JP4321234B2 - エポキシ樹脂組成物及び半導体装置 - Google Patents
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Description
一方、半田処理後の信頼性において、エポキシ樹脂組成物の硬化物と半導体装置内部に存在する半導体素子やリードフレーム等の基材との界面の接着性は非常に重要になってきている。界面での接着力が弱いと半田処理後の基材との界面で剥離が生じ、更にはこの剥離に起因し半導体装置にクラックが発生する。
従来から耐半田性の向上を目的として、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランやγ−(メタクリロキシプロピル)トリメトキシシラン等のシランカップリング剤をエポキシ樹脂組成物中に添加し、基材との界面の接着性向上を図る検討がなされてきた。しかし近年、実装時のリフロー温度の上昇や、鉛フリーハンダに対応しNi、Ni−Pd、Ni−Pd−Au等のプリプレーティングフレームの出現等、益々厳しくなっている耐半田性に対する要求に対して、これらのシランカップリング剤だけでは充分に対応できなくなっている。
その対処法として、アルコキシシランカップリング剤によりリードフレームの表面処理をする方法(例えば、特許文献1参照。)やチアゾール系、スルフェンアミド系、及びチウラム系化合物を添加した樹脂組成物及び樹脂封止型半導体装置(例えば、特許文献2及び特許文献3参照。)などが提案されている。しかしながら、前者のシランカップリング剤は、熱時安定性が悪く耐半田処理において密着向上効果が低下する欠点があり、また、後者の化合物は金もしくは銀メッキされたフレームに対しては効果があるが、Niを主要成分としたフレームに対しては効果が出にくいことが問題とされてきた。
[1] (A)エポキシ樹脂、(B)フェノール樹脂、(C)硬化促進剤、(D)無機質充填材、及び(E)2−メルカプトピリミジンを必須成分とすることを特徴とする半導体封止用エポキシ樹脂組成物、
[2] 前記の2−メルカプトピリミジンが、樹脂組成物全体に対して0.005〜2重量%の割合で含有される第[1]項記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物、
[3] 第[1]又は[2]項記載のエポキシ樹脂組成物を用いて半導体素子を封止してなることを特徴とする半導体装置、
である。
以下、本発明について詳細に説明する。
全エポキシ樹脂のエポキシ基と全フェノール樹脂のフェノール性水酸基との当量比としては、好ましくは0.5〜2、特に好ましくは0.7〜1.5である。上記範囲を外れると、硬化性、耐湿信頼性等が低下する可能性がある。
無機質充填材の配合量を多くする場合、溶融シリカを用いるのが好ましい。溶融シリカは、破砕状、球状のいずれでも使用可能であるが、溶融シリカの配合量を高め、かつエポキシ樹脂組成物の溶融粘度の上昇を抑えるためには、球状のものを主に用いる方が好ましい。更に溶融球状シリカの配合量を多くするためには、溶融球状シリカの粒度分布がより広くなるように調整することが望ましい。無機質充填材は、予めシランカップリング剤等で表面処理されているものを用いてもよい。
本発明のエポキシ樹脂組成物を用いて、半導体素子等の電子部品を封止し、半導体装置を製造するには、トランスファーモールド、コンプレッションモールド、インジェクションモールド等の成形方法で硬化成形すればよい。
実施例1
0.2重量部
溶融球状シリカ(マイクロン製、平均粒径28μm) 85.0重量部
カーボンブラック 0.3重量部
をミキサーを用いて混合した後、表面温度が90℃と25℃の2本ロールを用いて混練し、冷却後粉砕してエポキシ樹脂組成物を得た。得られたエポキシ樹脂組成物の特性を以下の方法で評価した。結果を表1に示す。
スパイラルフロー:EMMI−1−66に準じたスパイラルフロー測定用の金型を用いて、金型温度175℃、注入圧力6.9MPa、硬化時間120秒の条件で測定した。単位はcm。80cm以下であるとパッケージ未充填などの成形不良が生じる。
密着強度:トランスファー成形機を用いて、金型温度175℃、注入圧力9.8MPa、硬化時間120秒の条件で、リードフレーム上に2mm×2mm×2mmの密着強度試験片を1水準当たり10個成形した。リードフレームには42alloyフレーム(42alloyとはNi42%、Fe58%を主成分とする合金である。以下、フレーム1とする。)とNiPd合金フレームに金メッキしたもの(以下、フレーム2とする。)の2種類を用いた。その後、自動せん断強度測定装置(DAGE社製、PC2400)を用いて、エポキシ樹脂組成物の硬化物とリードフレームとのせん断強度を測定した。10個の試験片のせん断強度の平均値を表1に示す。単位はN/mm2。
耐半田性:80ピンQFPパッケージ(パッケージサイズは24×24mm、厚み2.0mm、シリコンチップのサイズは、8.0×8.0mm、リードフレームは80pin42alloyフレーム。)を、金型温度175℃、注入圧力9.3MPa、硬化時間120秒の条件でトランスファー成形し、175℃で8時間の後硬化をした。得られたパッケージを85℃、相対湿度60%の環境下で168時間加湿処理した。その後このパッケージ20個を260℃の半田槽に10秒間浸漬した。半田に浸漬させたパッケージを超音波探傷装置を用いて観察し、チップ(SiNコート品)及びインナーリードとエポキシ樹脂組成物の硬化物との界面に剥離が発生した剥離発生率[(剥離発生パッケージ数)/(全パッケージ数)×100]を%で表示した。剥離発生率が10%以下であれば、信頼性が高いと考えられる。
表1の配合に従い、実施例1と同様にしてエポキシ樹脂組成物を得、実施例1と同様にして評価した。これらの結果を表1に示す。用いたエポキシ樹脂およびフェノール樹脂の詳細は表2に示す。また、比較例3で用いた2−(4'−モルホリノジチオ)ベンゾチアゾールの化学構造式については下記に示す。
Claims (3)
- (A)エポキシ樹脂、(B)フェノール樹脂、(C)硬化促進剤、(D)無機質充填材、及び(E)2−メルカプトピリミジンを必須成分とすることを特徴とする半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
- 前記の2−メルカプトピリミジンが樹脂組成物全体に対して0.005〜2重量%の割合で含有される請求項1記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
- 請求項1又は2記載のエポキシ樹脂組成物を用いて半導体素子を封止してなることを特徴とする半導体装置。
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