JP4321216B2 - 1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸の製造方法。 - Google Patents

1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸の製造方法。 Download PDF

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Description

本発明は、1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸(以下、「THPA」と略記する。)及び/又はその有水酸を過酸化水素により酸化して1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸(以下、「BTC」と略記する。)を製造する方法に関する。さらに詳しくは、該製造で得られた反応母液を、繰り返し該製造に再使用してBTCを製造する方法に関する。
タングステン酸、モリブデン酸及びこれらのヘテロポリ酸触媒の存在下、過酸化水素を酸化剤として、THPAを酸化してBTCを製造する方法は、従来の硝酸酸化法と比較して、有害ガス及び有害副生物の発生が無く、かつ比較的高収率で目的物が得られるため、工業的に極めて有利な反応方法である(特許文献1)。
これらの触媒は比較的高価であり、経済性の面から回収して再使用するのが望ましい。上記特許文献1の明細書中には、反応終了後に反応液を冷却し析出した目的物のカルボン酸を分離回収した後の反応母液中には、失活していない触媒の大部分が残存しており、再度反応に供することが有利であることを開示しているが、その方法については何ら具体的に記載されていない。
また、タングステン酸、リンタングステン酸若しくはそれらの塩を含む反応液又はBTCを分離した後の反応母液を、弱塩基性陰イオン交換樹脂と接触させて、該触媒のみを選択吸着させ、回収、再使用する方法が提案されている(特許文献2)。
しかしながら、この方法においては、1)触媒のみの回収・再使用であること、2)再使用回数が限られること、3)煩雑な操作が必要であること等の問題点を有しており、工業的製造方法としては必ずしも有利な方法とは言えないのが現状である。
日本国特許第1682524号 日本国特許第3243627号
本発明は、上記問題点を解消し、BTCの生成率を低下させることなく触媒及びBTCを含有する反応母液を繰り返し該製造に再使用できる工業的に有利な1,2,3,4,−ブタンテトラカルボン酸の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の問題点を解決するため鋭意検討した。前記特許文献1には、触媒及び未析出のBTCが含まれている反応母液を反応に再使用することが工業的に有利であることが記載されている。しかし、本発明者の研究によると、確かに繰り返し使用はできるものの、その繰り返し回数に反比例して徐々にBTCの生成率は低下していき、必ずしも工業的に有利な方法として満足できるものではないことが判明した。
本発明者らは更に検討を重ねた結果、BTCの製造に使用した触媒及びBTCを含有する反応母液をスルホン酸型陽イオン交換樹脂で処理して得られた処理液を該製造に再使用することにより、BTCを工業的に有利に製造できることを見いだし、係る知見に基づいて本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、以下の1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸の製造方法を提供するものである。
項1 1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸及び/又はその有水酸を、水性溶媒中、タングステン酸、モリブデン酸及びタングステン酸若しくはモリブデン酸を含有するヘテロポリ酸からなる群より選ばれる少なくとも1種の触媒存在下で過酸化水素により酸化し、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸を製造する方法において、得られた反応液を冷却して析出した1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸を分離し、次いで得られた反応母液をスルホン酸型陽イオン交換樹脂で処理し、得られた処理液を該製造に再使用することを特徴とする1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸の製造方法。
項2 スルホン酸型イオン交換樹脂100容積部に対して、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸を分離して得られた反応母液を10〜500容積部/hの条件で処理することを特徴とする上記項1に記載の1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸の製造方法。
項3 触媒が、タングステン酸又は12−タングストリン酸である上記項1又は項2に記載の1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸の製造方法。
項4 反応液中の過酸化水素の濃度が0.4〜1.5mol/kgとなるように、過酸化水素を連続的に供給して行うことを特徴とする上記項1〜3のいずれかに記載の1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸の製造方法。
項5 還流条件下で反応を行うことを特徴とする上記項1〜4のいずれかに記載の1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸の製造方法。
本発明によれば、反応後冷却晶析してBTCを分離して得られた反応母液をスルホン酸型イオン交換樹脂で処理し、得られた処理液を繰り返し再使用することにより、BTCの生成率を低下させることなく、また過酸化水素の使用量を増大させることなく、工業的に有利にBTCを製造することができる。
本発明に係るBTCの製造は、1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸及び/又はその有水酸を、触媒存在下で過酸化水素により酸化する方法であれば、従来公知の方法により行うことができる。例えば、THPAを水性溶媒中、タングステン酸、モリブデン酸、及びタングステン酸又はモリブデン酸を含有するヘテロポリ酸からなる群より選ばれる少なくとも1種の触媒存在下で過酸化水素により酸化することにより行われる。
本発明に係る触媒としては、タングステン酸、モリブデン酸又はタングステン若しくはモリブデン酸を含有するヘテロポリ酸が使用できる。ヘテロポリ酸は、2種以上の酸素酸からなる縮合酸でり、ポリ酸原子としては、タングステン及びモリブデンであり、ヘテロ原子としては、P、As、Si、Ti、Co、Fe、B、V、Be、I、Ni、Gaが使用でき、これらは混合配位であっても良い。尚、上記触媒の中でも、合成の容易さ、入手の容易さ、反応性の観点から、タングステン酸及びタングステン酸をポリ酸として含有するヘテロポリ酸が好ましく、より好ましくはタングステン酸及び12−タングストリン酸が推奨される。
触媒として用いるタングステン酸、モリブデン酸又はタングステン酸若しくはモリブデン酸を含有するヘテロポリ酸は、水和物であってもよく、反応系内で上記の触媒を生成し得る化合物の形態であってもよい。
このような化合物としては、タングステン酸、モリブデン酸のカリウム、ナトリウム等のアルカリ金属塩、コバルト、ニッケル、マンガン、銅などの重金属塩、アンモニウム塩などの塩類などが挙げられ、更に、酸化物、塩化物、硫化物であってもよい。このような塩、塩化物、硫化物を使用する場合は、リン酸、塩酸、硫酸などの鉱酸を加え、pH4以下の酸性条件下で反応を行うことが好ましい。
又、ヘテロポリ酸のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、モノアルキルアンモニウム塩、ジアルキルアンモニウム塩、トリアルキルアンモニウム塩、テトラアルキルアンモニウム塩、アルキルピリジウム塩なども使用できる。
これらの触媒の使用量は、触媒活性が発揮される濃度であれば特に限定されないが、反応液中の遊離酸(タングステン酸、モリブデン酸又はタングステン酸若しくはモリブデン酸を含有するヘテロポリ酸)濃度が1〜50g/kgの範囲が好ましく、より好ましくは3〜10g/kgの範囲が好ましい。濃度が、1g/kg未満であると工業的な反応速度が得られにくく、一方、50g/kgを超える場合、添加量に見合う反応速度の向上効果は得られにくく、触媒コストの観点から不利である。
本発明に係るBTCの製造において、THPA及びその有水酸(以下、「基質」と略記する。)のいずれも使用することができ、有水酸は該製造において無水酸の加水分解により生成した有水酸であってもよい。反応時の基質濃度は特に制限が無く、反応温度において溶解している限り広い範囲から選択することができる。しかし反応終了後、反応液を冷却してBTCを結晶化させて分離させる方法において、結晶の析出量及びその品質の観点から、反応終了時のBTCの濃度が15〜35重量%、好ましくは25〜30重量%となるような基質濃度で行うことが好ましい。
水性溶媒としては水が好ましく用いられる。本発明の効果を阻害しない範囲で水と混和可能な有機溶媒、例えばメタノール、エタノール等の炭素数1〜4のアルコール、酢酸等の炭素数1〜4のカルボン酸、ジオキサン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド等と水の混合溶媒を用いることができる。
本発明に係る過酸化水素は、過酸化水素水として該製造に供することができる。過酸化水素水の濃度は、工業的に入手可能なものであれば特に制限がなく、具体的には、3〜70重量%、好ましくは30〜60重量%の過酸化水素水が推奨される。価格及び反応性の観点から特に60重量%の過酸化水素水が好ましい。過酸化水素の化学量論量は、基質に対して4モルであるが、実際にはその10〜50モル%過剰、即ち4.4〜6.0モル使用するのが好ましい。反応液中の過酸化水素濃度は、0.1〜8モル/kgが好ましく、より好ましくは0.4〜1.5モル/kgが推奨される。過酸化水素の濃度が0.1モル/kg未満では十分な反応速度が得られず、一方、8モル/kgを超える濃度で行うと、過反応、副反応又は過酸化水素の分解等により過酸化水素の消費量が増加する傾向が見られ好ましくない。反応液中の過酸化水素濃度をこの範囲内に保つために、過酸化水素を連続的又は間欠的に反応系に供給することが好ましい。
反応は、通常、反応速度の観点から80〜110℃の範囲で行われるが、還流条件下において行うと、反応温度の管理が不要になる上に、蒸発した水を適宜、系外に抜き出すことにより、反応液中の触媒濃度、基質濃度、過酸化水素濃度を一定に保ちやすく、好ましい方法として推奨される。
反応時間は、基質、触媒及び過酸化水素の濃度、反応温度等によって適宜異なるが、通常1〜24時間程度である。
本発明に係る反応母液は、上記の方法により得られた反応液を冷却して析出したBTCを分離することにより得ることができる。その方法については特に制限がなく、例えば、BTCの濃度、徐冷速度、晶析時間、冷却温度、使用する装置等を適宜選択して行うことができる。通常、冷却温度が低いほど析出量が増加するが、温度が低くなるにつれて固液分離性の悪い結晶が多く析出する傾向が見られる。これらの観点から、反応液は、0℃〜40℃、より好ましくは5℃〜25℃まで冷却した後、BTCを分離することが推奨される。
析出したBTCと反応母液との分離は、例えば濾過、遠心分離等の慣用の方法により行なうことができる。分離したBTCは精製水等の溶媒で洗浄するか、或いは再結晶により精製することができる。また、精製に用いた溶媒は反応母液とともに回収して発明に係るスルホン酸型イオン交換樹脂で処理することができる。
かくして得られた反応母液は、そのまま本スルホン酸型陽イオン交換樹脂で処理することができる。本発明において、反応母液を該処理する頻度は、反応に供する度毎に行うことが好ましいが、該処理をすることなく、少なくとも1回以上該反応に再使用した後に処理してもよい。
反応母液中のBTCの濃度については特に制限はないが、通常は30重量%以下の範囲で処理するのが好ましい。30重量%を超える反応母液は、配管、ポンプ、貯蔵槽又は処理槽等でBTCを析出する虞があり好ましくない。BTCの濃度が高い場合には精製水などで希釈して処理することが好ましい。
本発明に係るスルホン酸型陽イオン交換樹脂としては、官能基としてスルホン酸基を含有する市販の陽イオン交換樹脂が広く使用でき、例えば、三菱化学社製のダイヤイオン(R)のSK、PK又はUBKシリーズ、オルガノ社(Rhom & Haas)製のアンバーライト(R)IR120B Na、IR124 Na、200CT Na又は200CPなどが挙げられる。市販の陽イオン交換樹脂は、スルホン酸Na塩形で販売されていることが多く、この場合はNaイオンを水素イオンに置換して本発明に係るスルホン酸陽イオン交換樹脂とすることができる。Naイオンから水素イオンへの交換は従来公知の方法が広く使用でき、例えば、カラムに充填したNaイオン形の陽イオン交換樹脂に対して、2〜6倍容積の1〜2Nの塩酸を1〜2時間で通液することにより容易に得られる。さらにイオン交換樹脂と同容積の精製水を0.1〜1時間で通液することにより、塩素イオンも含まない水素イオン形のスルホン酸系陽イオン交換樹脂とすることができる。
反応母液をスルホン酸型陽イオン交換樹脂で処理する方法は、特に限定されず、例えば、反応母液と該イオン交換樹脂を所定の時間、混合撹拌した後に該イオン交換樹脂を濾別するバッチ方式、該イオン交換樹脂を充填した塔に反応母液を通液するカラム方法等が挙げられるが、単位時間当たりの処理速度が早い、処理操作が容易、設備が簡略等の点から、カラム方式が推奨される。
該イオン交換樹脂の使用量としては、当該イオン交換樹脂の見掛密度、交換容量、架橋密度、粒径、反応母液中のBTC濃度、触媒濃度、処理形式又は装置の形状などによって異なるが、例えば、カラム方式で充填塔に通液して処理する場合には、反応母液100容積部に対して1〜500容積部、好ましくは5〜200容積部のスルホン酸型陽イオン交換樹脂を使用するのが好ましい。当該イオン交換樹脂の量が1容積部以下だと、十分な処理能力が得られにくい傾向がみられ、或いは処理を繰り返した際の能力低下が著しい傾向がみられる。一方、500容積部を超えて使用しても顕著な処理効果の向上は認められず、該イオン交換樹脂の再生若しくは交換時の作業負担が大きくなり好ましくない。
カラム方式で処理をする場合、反応母液の処理速度は、当該イオン交換樹脂100容積部に対して10〜1000容積部/hが好ましく、より好ましくは50〜500容積部/hが推奨される。この範囲において、生産性と処理効果が十分に得られる。
ましくない。
処理温度は、反応母液からBTCが析出しない温度より高く、当該イオン交換樹脂の耐熱温度以下であれば特に制限はないが、10〜80℃が好ましく、より好ましくは20〜60℃が推奨される。
本発明に係るスルホン酸型陽イオン交換樹脂は、繰り返し当該処理に供することができる。繰り返し使用により、所望の効果が得られにくくなった場合は、該スルホン酸型イオン交換樹脂の調製に用いた方法と同一の操作を行うことにより、再度処理効果が得られることがある。
反応母液中に含有される過酸化水素の濃度が高いと、該イオン交換樹脂の酸化劣化で発生した微粉末により流路が閉塞して、反応母液の通液速度が低下したり、送液圧力が増大する傾向が見られる。また、塔内で過酸化水素の分解ガスが発生すると、反応母液と該イオン交換樹脂と接触面積の低下により、所望の効果が得られにくくなる傾向がある。そのため、該処理に用いる反応母液中の過酸化水素濃度は低い方が好ましい。推奨される過酸化水素の濃度は、少なくとも反応時より低濃度の8モル/kg以下、より好ましくは1.5モル/kg以下、特に好ましくは0.4モル/kg以下が推奨される。
かくして得られた該処理液は活性な触媒及び未析出のBTCを含有しており、該製造の反応母液、即ち、触媒及びBTCを含有した反応溶媒としてそのまま、或いは必要に応じて触媒、精製水を加えた後、再使用することができる。再使用する場合の該製造は上記記載の方法により行われ、この繰り返しにより、触媒コストの低減及びBTCの収率が向上する。
以下、実施例を掲げて本発明を詳しく説明する。尚、本発明はこれら実施例により何らその範囲を制限されるものではない。
過酸化水素濃度
JIS K1463に準拠して測定した。
BTC生成率
アジピン酸を内部標準とする液体クロマトグラフィー(HPLC)により測定した。
スルホン酸型イオン交換樹脂の調製例1
陽イオン交換樹脂(三菱化学社製、商品名「ダイヤイオン(R) PK216」、官能基:スルホン酸のNaイオン形)100mlをガラスカラムに充填した。2N−塩酸1000mlを100ml/hの速度で通液しNaイオンが溶出していないことを炎光分析により確認した。つづいて、蒸留水1000mlを100ml/hの速度で通液し、スルホン酸型陽イオン交換樹脂Aを調製した。
スルホン酸型イオン交換樹脂の調製例2
陽イオン交換樹脂としてオルガノ社の商品名「アンバーライト(R) 200CT Na」100mlを使用した他は、スルホン酸型イオン交換樹脂の調製例1と同様にしてスルホン酸型陽イオン交換樹脂Bを調製した。
撹拌機、温度計及び冷却器付き2Lのガラス製フラスコ中に、1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸(以下、「THPA」と略記する。)152g(1.0モル)と12−タングストリン酸・30水和物4.5gを精製水500gを入れ、加熱溶解した。常圧、還流下で60%過酸化水素水255g(4.5モル)を8時間かけて滴下すると共に、反応液量が概ね一定量に保たれるように蒸発水を適宜系外に留去しながら反応を行ったところ、反応液中のTHPAに対するBTCの生成率は88.2モル%であった。なお、反応中の反応液の過酸化水素濃度は、0.4〜0.8モル/kgの範囲であった。得られた反応液を10℃まで冷却し析出したBTCの結晶を濾別し、精製水で洗浄してBTC湿結晶185g(含水量22重量%)と、濾液としてBTC(12重量%)及び触媒を含有する反応母液520g(470ml)を得た。室温下、この反応母液をスルホン酸型イオン交換樹脂Aに5時間かけて通液して(スルホン酸型陽イオン交換樹脂100mlに対する処理速度100ml/h)、処理液480gを得た。該処理液にTHPA76g(0.5モル)を加熱溶解し、還流下で60%過酸化水素130g(2.3モル)を7時間かけて連続的に滴下した。この間、反応液量が概ね一定量に保たれるように蒸発水を適宜系外に留去し、滴下終了1時間後に反応液をHPLCで分析したところ、THPAに対する新たなBTCの生成率は90.6モル%であった。なお、反応中、反応液の過酸化水素の濃度は、0.4〜0.8モル/kgの範囲であった。
実施例1で得られた反応液を10℃まで冷却して析出したBTCの結晶を濾別し、精製水で洗浄してBTC湿結晶160g(含水量24重量%)と、濾液としてBTC(9重量%)及び触媒を含有する反応母液480g(460ml)を得た。この反応母液を室温下で、スルホン酸型イオン交換樹脂Bに1時間かけて通液して(処理速度460ml/h)、処理液470gを得た。該処理液にTHPA76g(0.5モル)を加熱溶解し、常圧、還流下で60%過酸化水素130g(2.3モル)を7時間かけて連続的に滴下した。この間、反応液量が概ね一定量に保たれるように蒸発水を適宜系外に留去し、滴下終了1時間後に反応液をHPLC分析したところ、THPAに対するBTCの生成率は90.2モル%であった。なお、反応中、反応液の過酸化水素の濃度は、0.4〜0.8モル/kgの範囲であった。
実施例1と同様の方法で反応及びBTCの分離を行い、BTC(12重量%)及び触媒を含有する反応母液490g(445ml)を得た。40℃に加温した該反応母液をスルホン酸型イオン交換樹脂Aに2.5時間かけて通液して(処理速度200ml/h)、処理液480gを得た。該処理液にTHPA76g(0.50モル)を加熱溶解し還流下で、60%過酸化水素を130g(2.3モル)を、2時間毎に4回に分けて添加した。この間、130gの蒸発水を適宜系外に留去し、最後の添加から2時間後に反応液をHPLC分析したところ、THPAに対するBTCの生成率は88.7モル%であった。なお、反応中、反応液の過酸化水素濃度は、0.4〜1.2モル/kgの範囲であった。
実施例3で得られた反応液を10℃まで冷却して析出したBTCの結晶を濾別し、精製水で洗浄してBTC湿結晶145g(含水量24重量%)と、濾液としてBTC(11重量%)及び触媒を含有する反応母液450g(410ml)を得た。この反応母液をスルホン酸型イオン交換樹脂Bに2時間かけて通液して(処理速度225ml/h)、処理液450gを得た。該処理液にTHPA76g(0.5モル)を加熱溶解し、90℃で60%過酸化水素130g(2.3モル)を8時間かけて連続的に滴下しながら反応を行った。滴下終了1時間後、反応液をHPLC分析したところ、THPAに対するBTCの生成率は89.8モル%であった。なお、反応中、反応液の過酸化水素の濃度は、0.3〜0.8モル/kgの範囲であった。
触媒としてタングステン酸2.0gを使用した以外は、実施例1と同様の方法で反応及びBTCの分離を行い、BTC(12重量%)及び触媒を含有する反応母液500g(455ml)を得た。この反応母液をスルホン酸型イオン交換樹脂Aに2時間かけて通液して(処理速度250ml/h)、処理液480gを得た。該処理液にTHPA76g(0.5モル)を加熱溶解し、還流下で60%過酸化水素130g(2.3モル)を8時間かけて連続的に滴下した。この間、反応液量が概ね一定量に保たれるように蒸発水を適宜系外に留去し、滴下終了1時間後、反応液をHPLC分析したところ、THPAに対するBTCの生成率は90.2モル%であった。なお、反応中、反応液の過酸化水素の濃度は、0.4〜0.8モル/kgの範囲であった。
実施例1と同様の方法で、BTCの反応及び分離を行い、反応母液480g(435ml)を得た。該反応母液に、THPA76g(0.5モル)を加熱溶解し、還流下で60%過酸化水素160g(2.8モル)を7時間かけて連続的に滴下した以外は、実施例1と同様の方法により、BTCの分離と反応母液を得た。さらに、この反応母液をそのまま、再使用してBTCの製造を繰り返し3回行ない、合計5回反応を繰り返した反応母液460gを得た。BTC(10重量%)及び触媒を含有する該反応母液を、室温下でスルホン酸型陽イオン交換樹脂に5時間かけて通液して(処理速度90ml/h)、処理液450gを得た。該処理液にTHPAg(0.5モル)を加熱溶解し、還流下で60%過酸化水素130g(2.3モル)を7時間かけて連続的に滴下した。この間、反応液量が概ね一定量に保たれるように蒸発水を適宜系外に留去し、滴下終了1時間後、反応液をHPLC分析したところ、THPAに対するBTCの生成率は91.7モル%であった。なお、反応中、反応液の過酸化水素の濃度は、0.4〜0.8モル/kgの範囲であった。
比較例1
撹拌機、温度計及び冷却器付きガラス製フラスコ中に、1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸(以下、「THPA」と略記する。)152g(1.0モル)と12−タングストリン酸・30水和物4.5gを精製水500gを入れ、加熱溶解した。還流下で60%過酸化水素水255g(4.5モル)を8時間かけて滴下すると共に、反応液量が概ね一定量に保たれるように蒸発水を適宜系外に留去しながら反応を行ったところ、反応液中のTHPAに対するBTCの生成率は88.2モル%であった。なお、反応中の反応液の過酸化物価から求めた過酸化水素濃度は、0.4〜0.8モル/kgの範囲であった。得られた反応液を10℃まで冷却し析出したBTCの結晶を濾別し、精製水で洗浄してBTC湿結晶160g(含水量24重量%)と、濾液としてBTC(12重量%)及び触媒を含有する反応母液500gを得た。この反応母液にTHPA76g(0.5モル)を加熱溶解し、還流下で60%過酸化水素130g(2.3モル)を7時間かけて連続的に滴下した。この間、反応液量が概ね一定量に保たれるように蒸発水を適宜系外に留去し、滴下終了1時間後、反応液をHPLC分析したところ、THPAに対するBTCの生成率は70.7モル%であった。なお、反応中、反応液の過酸化水素の濃度は、0.4〜0.8モル/kgの範囲であった。

比較例2
実施例6と同様の方法により、合計5回反応を繰り返した反応母液を得た。該反応母液を何ら処理しなかった以外は、実施例6と同様の条件で反応を行った後、反応液をHPLC分析したところ、THPAに対するBTCの生成率は、58.2%であった。
本発明に従い、BTCの製造に使用した触媒及びBTCを含有する反応母液をスルホン酸型陽イオン交換樹脂で処理し、得られた処理液を反応に再使用することにより、BTCの生成率を低下させることなく工業的に有利に1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸を得ることができる。

特許出願人 新日本理化株式会社

Claims (5)

  1. 1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸及び/又はその有水酸を、水性溶媒中、タングステン酸、モリブデン酸、及びタングステン酸又はモリブデン酸を含有するヘテロポリ酸からなる群より選ばれる少なくとも1種の触媒存在下で過酸化水素により酸化し、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸を製造する方法において、得られた反応液を冷却して析出した1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸を分離し、次いで得られた反応母液をスルホン酸型陽イオン交換樹脂で処理し、得られた処理液を該製造に再使用することを特徴とする1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸の製造方法。
  2. スルホン酸型イオン交換樹脂100容積部に対して、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸を分離して得られた反応母液を10〜1000容積部/hの条件で処理することを特徴とする請求項1に記載の1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸の製造方法。
  3. 触媒が、タングステン酸又は12−タングストリン酸である請求項1又は2に記載の1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸の製造方法。
  4. 反応液中の過酸化水素の濃度が0.4〜1.5mol/kgとなるように、過酸化水素を連続的又は間欠的に供給して行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸の製造方法。
  5. 還流条件下で反応を行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸の製造方法。
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