JP4321085B2 - バイオアッセイ用基板とバイオアッセイ装置及び読み取り装置 - Google Patents

バイオアッセイ用基板とバイオアッセイ装置及び読み取り装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、バイオインフォマティクス(生命情報科学)分野において有用なバイオアッセイツールとなる円盤状の情報記録媒体等に関する。より詳細には、検出用物質が固相化された基板表面部位に標識化されたターゲット物質を含む溶液を滴下することにより、ハイブリダイゼーションその他の分子間相互反応が高精度に起こるように工夫されたバイオアッセイ用基板、該基板を用いたバイオアッセイ方法及び該基板を利用したバイオアッセイ装置並びにその記録情報の読み取り装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
【0003】
本発明の主たる従来技術を以下説明する。現在、マイクロアレイ技術によって所定のDNAが微細配列された、いわゆるDNAチップ又はDNAマイクロアレイ(以下、「DNAチップ」と総称。)と呼ばれるバイオアッセイ用の集積基板が、遺伝子の変異解析、SNPs(一塩基多型)分析、遺伝子発現頻度解析等に利用されており、創薬、臨床診断、薬理ジェノミクス、法医学その他の分野において広範囲に活用され始めている。
【0004】
このDNAチップは、ガラス基板やシリコン基板上に多種・多数のDNAオリゴ鎖やcDNA(complementary DNA)等が集積されていることから、ハイブリダイゼーション等の分子間相互反応の網羅的解析が可能となる点が特徴とされている。
【0005】
DNAチップによる解析手法の一例を簡潔に説明すれば、ガラス基板やシリコン基板上に固相化されたDNAプローブに対して、細胞、組織等から抽出したmRNAを逆転写PCR反応等によって蛍光プローブdNTPを組み込みながらPCR増幅し、前記基板上においてハイブリダイゼーションを行い、所定の検出器で蛍光測定を行うという手法である。
【0006】
ここで、DNAチップは二つのタイプに分類できる。第1のタイプは、半導体露光技術を応用したフォトリソグラフィーの技術を用いて、所定の基板上に直接オリゴヌクレオチドを合成していくものであり、アフィメトリクス社(Affymetrix社)によるものが代表的である。この種のチップは、集積度は高いが、基板上でのDNA合成には限界があって、数十塩基程度の長さである。第2のタイプは、「スタンフォード方式」とも称されるもので、先割れピンを用いて、予め用意されたDNAを基板上に分注・固相化していくことによって作製されるものである。この種のチップは、集積度は前者に比べて低いが、1kb程度のDNA断片を固相化できるという利点がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来のDNAチップ技術では、該DNAチップ自体の集積数、集積密度が少なかったので、一度のアッセイで達成できる解析量が充分とは言えなかった。また、検出用物質の種類と数、更にはその基板上における配置分け(グルーピング)を、ユーザーが自由に設定することが困難であった。
【0008】
また、Tm(melting Temperature)又はGC含有率が揃っていないDNAプローブが二次元の平面的な広がりを持つ基板表面上に検出用物質が配列された構成の従来のDNAチップにおいては、同一のハイブリダイゼーション条件、洗浄条件に晒されて偽陽性又は偽陰性を示す危険性が高いという問題があった。
【0009】
また、基板表面にDNAプローブ等の検出用物質を固相化するとともに、ターゲット物質を含むサンプル溶液を滴下(スポッティング)するアッセイ装置と、該検出用物質と前記標識ターゲット物質の間の相互反応結果を読み取る、「リーダー」又は「スキャナー」とも称される解析装置が、従来別個独立の構成であったので、バイオアッセイとそれに続く読み取り及び解析作業を一連化できなかったので、非常に不便であった。
【0010】
更に、DNAプローブ等の検出用物質やサンプル溶液の微小滴の量や形状が不均一であったので、蛍光強度読み取り精度が低いという技術的課題があった。
【0011】
そして、チップ1枚当たり、更には集積量当りの単価が高く、解析装置も非常に高価な装置であった。
【0012】
そこで、本発明は、固相化される検出用物質の集積量が多く、また、該物質のグルーピングが自在で、かつ安価なバイオアッセイ基板と、該基板の好適な製造方法並びにバイオアッセイを効率的かつ確実に行えるバイオアッセイ装置とアッセイと読み取り解析作業を一連化できる基板記録情報の読み取り装置を提供することを主な目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記技術的課題を解決するために、まず、本発明においては、以下の「バイオアッセイ用基板」を提供する。なお、本発明において「バイオアッセイ」とは、物質間の相互反応に基づく生化学的分析を意味する。
【0014】
第1に提供するバイオアッセイ用基板は、光学的に記録情報の読み取りが可能とされた円盤状基板の表面に検出用物質を固相化できる検出表面を備え、この検出表面を、前記基板に上方視放射方向に延びるように設けられた溝構造内に設けるように工夫した。
【0015】
ここで、本発明において「検出用物質」とは、検出表面に直接的に、又はリンカーを介して間接的に固相化され、蛍光物質等により標識されたターゲット物質と特異的な相互結合反応を発揮する低分子、高分子及び生体物質等を広く包含し、狭く解釈されない。また、基板に形成される「溝構造」とは、例えば、筋状に延設されたマイクロチャンネル構造又は溝構造部位であり、この溝構造内にはピットやセル構造等によって放射方向に区切りがあってもよく、また、ピットやセル構造の集合体から構成され、これらのピットやセル構造が配列された部位を上方視したときに略筋状の外観を呈するような構造であってもよく、狭く解釈されない。この溝構造を備えるバイオアッセイ用基板が属する一つの分野は、円盤状のマイクロチャネルアレイである。
【0016】
このバイオアッセイ用基板は、検出用物質を固相化するための基板として、例えば、直径10cm程度の円盤状基板が採用されているので、検出用物質を固相化できる検出表面又は該検出表面を備えるピット、グルーブ等を多数集積できるという利点がある。即ち、記録情報の集積量が多いDNAチップやバイオセンサーチップ等を提供できる。
【0017】
また、前記基板上に上方視放射状をなすように、互いにコンタミネーションしないように所定間隔で設けられた溝構造内に検出表面を設けた構成を採用しているので、溝構造毎に検出用物質の種類をグルーピングできる。例えば、疾病発症のマーカー遺伝子を溝構造単位でグルーピングしたり、Tm又はGC含有率の違いに基づいて、溝構造単位に固相化するヌクレオチド(検出用物質)をグルーピングしたりすることが可能となる。これにより、検出用物質の至適反応が得られるバッファー組成、濃度等のハイブリダイゼーション条件その他の反応条件、洗浄条件、サンプル溶液濃度等を変えることが可能になるので、解析作業において偽陽性又は偽陰性が示される危険性を格段に減少させることができる。
【0018】
また、円盤状基板の中心側から外周側に延びる上方視放射状の溝構造を該基板上に形成したことによって、毛細管現象を利用した送液や、円盤状の基板を所定の方法で回転させることによって生じる遠心力を生かした送液も利用することができる。例えば、反応後にアクティブに結合しなかった余分なターゲット物質を除去する際には、洗浄液を基板中心領域から溝構造内(の各検出表面部位)に、円滑かつ確実に送液することが可能となる。
【0019】
続いて提供するバイオアッセイ用基板は、前記検出表面部位の位置情報と回転同期情報を提供する手段を備えるものであり、また、この手段が前記基板上に設けられたウォブリング又はアドレスピットによるものとすることができる。なお、「ウォブリング」とは、ディスク上の物理的な番地(アドレス)の情報を予めディスク上に記録するために、ユーザーによるデータを記録するグルーブ(案内溝)をトラックの中心に対してわずかに左右に蛇行させることである。通常、トラッキングサーボ帯域より高い周波数に対し、わずかな周波数の偏向(Deviation)を有するFM変調を行われ、正弦波変調信号振幅をグルーブ半径方向変位として基板上に刻まれる。
【0020】
このバイオアッセイ用基板は、位置情報と回転同期情報に基づいて、検出用物質含有溶液並びにターゲット物質含有溶液を所定の検出表面部位に正確に追従させて滴下する場合に好適に利用することができる。
【0021】
更に提供するバイオアッセイ用基板は、上記基板上に形成された上記検出表面部位に、ヌクレオチド鎖、ペプチド、タンパク質、脂質、低分子化合物、リポソームその他の生体物質のいずれかが少なくとも固相化された構成を備えるものである。
【0022】
この基板は、一本鎖ヌクレオチド鎖間の相互反応、即ちハイブリダイゼーションを行わせるDNAチップ二本鎖ヌクレオチド鎖とペプチド(又はタンパク質)の相互反応、抗原抗体反応その他の分子間相互反応を行わせるバイオセンサーチップとして広く利用できる。
【0023】
ここで、「ヌクレオチド鎖」とは、ヌクレオチドが重合したDNAプローブを含むオリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、プリンヌクレオチドとピリミジンヌクレオチオドが重合したDNA(全長あるいはその断片)、逆転写により得られるcDNA(cDNAプローブ)、RNA等を広く含む。一本鎖の場合は、標的ヌクレオチド分子とのハイブリダイゼーション反応に基づく分析を行う。二本鎖の場合は、タンパク質とDNA(特定の配列部位)との反応に分析を行うことができ、例えば、転写因子であるホルモンレセプター等のレセプター分子と応答配列DNA部分の結合等を分析することができる。「ペプチド」は、複数のアミノ酸がペプチド結合によって結合したものである。「タンパク質」は、L−α−アミノ酸がペプチド結合によって連結したポリペプチド鎖を主要構成成分とする生体高分子であって、単純タンパク質、複合タンパク質のいずれも含む。以上には、ストレプトアビジンと強固に結合するビオチンが結合されたDNA断片や種々のリガンド分子が含まれる。「脂質」には、リン脂質膜が含まれ、検出表面を膜モデルとして利用できる。「低分子化合物」には、シランカップリング剤が含まれる。該剤はシリコン表面又はガラス表面に結合され、ぺプチド、タンパク質等のリンカーとして機能する架橋剤の一種である。「生体分子」には、細胞やウイルス粒子も含まれる。なお、検出表面処理の構成は、固相化する検出用物質によって適宜選択でき、場合によっては吸着防止剤であるポリリシンで処理される。
【0024】
次に、本発明では、以下の「バイオアッセイ方法」を提供する。
【0025】
即ち、本発明に係るバイオアッセイ方法は、反射膜上に形成された光透過層に、複数の溝構造が上方視放射状に形成され、該溝構造内に検出用物質を固相化できるように表面処理された複数の検出表面部位が列設されるとともに、前記溝構造間の領域に前記検出表面部位の位置情報と回転同期情報を提供するウォブリング又はアドレスピットが設けられた構成の円盤状のバイオアッセイ用基板に対して、インクジェットプリンティング法によって、前記基板を回転させながら、複数の前記検出表面部位に同時に検出用物質含有溶液を滴下した後、下記数式により求められる時間T経過後に、前記検出用物質含有溶液を滴下した複数の検出表面部位に同時に標識ターゲット分子含有液を滴下する方法である。なお、下記数式におけるLは対物レンズの中心と一列目のノズル群までの距離、Lはノズル群の配列間隔、nはノズル群の配列数、φは液滴の径、Vは基板の線速度、Vは液滴速度、Wはノズルから基板までの距離である。
Figure 0004321085
【0026】
この方法は、溝構造内の所定の検出表面部位に正確に追従させながら、検出用物質を含む微小滴、並んでいる標識ターゲット物質を含む微小滴を、正確に滴下する方法として、好適である。
【0027】
ここで、「インクジェットプリンティング法」は、インクジェットプリンターで用いられるノズルを応用する方法であって、電気を用いてインクジェットプリンターのようにプリンターヘッドから基板に検出用物質を噴射し、固定する方法である。
【0028】
この方法には、圧電式インクジェット法、バブルジェット法、超音波ジェット法がある。圧電式インクジェット法は、圧電体にパルスを印加することによって生じる変位の圧力によって液滴を飛ばす方法である。バブルジェット法は、熱方式であって、ノズル中のヒーターを熱して発生させた気泡の圧力によって液滴を飛ばす方式である。ノズル内にヒーターとなるシリコン基盤を埋め込み、約300℃/sで制御して一様な気泡を作成し、液滴を押し出す。しかしながら、高温に液体が曝されることになることから、生体物質試料には適さないと考えられる。超音波ジェット法は、超音波ビームを液体の自由面に当てて、局所的に高い圧力を与えることによってその箇所から小滴を放出させる方式である。ノズルを必要とせず、高速で直径約1μmの小滴を形成できる。
【0029】
本発明においては、「インクジェットプリンティング法」として、「圧電式インクジェッティング法」を好適に採用できる。印加するパルスの形状を変えることによって、液滴(微小滴)のサイズを制御することができるので、解析精度向上に好適である。液滴表面の曲率半径が小さいときは液滴を小さくし、液滴の曲率半径が大きいときは液滴を大きくすることができる。また、パルスを急激に負の方向に変化させることにより液滴表面を内側に引っ張り、曲率半径を小さくすることも可能である。
【0030】
「マイクロメカニカルスポッティング法」は、マイクロスポッティングペン、キャピラリー(細管)、あるいはピンセットを装着させたプリントヘッドを用いて、検出用物質を含む微小滴を基板上の検出表面部位にスポットしていく方法である。
【0031】
次に、本発明では、以下の構成の「バイオアッセイ装置」を提供する。
【0032】
まず、第1に提供されるバイオアッセイ装置は、光学的に記録情報の読み取りが可能とされた円盤状基板の表面に、検出用物質を固相化できる検出表面を備え、前記基板に上方視放射方向に延びるように設けられた溝構造内に前記検出表面が設けられ、位置情報と回転同期情報を提供するバイオアッセイ用基板を用いるバイオアッセイ装置であって、次の(1)〜(4)の手段等を少なくとも備える。
【0033】
(1)前記バイオアッセイ用基板を回転可能に保持する基板回転手段、(2)前記基板回転手段によって、前記バイオアッセイ用基板を回転させながら検出用物質含有溶液並びに標識ターゲット物質含有溶液を前記検出表面部位に滴下する滴下装置、(3)該滴下装置と前記バイオアッセイ用基板との間の距離を一定に保持するためのフォーカスサーボ機構、(4)前記位置情報と回転同期情報に基づいて、前記溶液の滴下を前記検出表面部位に追従させるトラッキングサーボ機構。
【0034】
このバイオアッセイ装置では、円盤状のバイオアッセイ用基板を、該基板の位置情報と回転同期情報に基づいて回転させながら、フォーカスサーボ機構によって、滴下距離を高精度に一定に維持することにより、所定位置に設けられた検出表面部位の一定の領域に均一形状の微小滴を滴下でき、蛍光強度を再現性良く検出することができる。また、トラッキングサーボ機構によって、検出用物質含有溶液とターゲット物質含有溶液を、順次所定の溝構造内の検出表面部位に追従させて確実に滴下することができる。この結果、検出用物質と標識ターゲット物質の反応を高精度に行わせることができるとともに、解析シグナルが安定し、解析精度が向上する。
【0035】
ここで、上記バイオアッセイ装置において好適に採用できる滴下装置は、インクジェットプリンティング装置である。なお、インクジェットプリンティング装置は、既述した「インクジェットプリンティング法」を実施できる装置を意味する。なお、インクジェットプリンティング装置を採用する場合は、既述した理由により、圧電式インクジェットプリンティング法を実施できる装置が好適である。
【0036】
ここで、上記バイオアッセイ装置における滴下装置としてインクジェットプリンティング装置を採用した構成では、バイオアッセイ用基板に対向配置されており、フォーカスサーボ及びトラッキングサーボを担うレーザー光を前記基板に出射する対物レンズを収容する支持体に、インクジェットノズルを一体化する。
【0037】
この支持体一体型のインクジェットノズル構成は、フォーカスサーボ及びトラッキングサーボと同期させながら、基板に対して所定溶液の滴下を行うことができ、かつ装置をコンパクト化できる。
【0038】
次に本発明では、以下の構成の「基板記録情報の読み取り装置」を提供する。
【0039】
本発明で提供する基板記録情報の読み取り装置は、まず、上記バイオアッセイ装置とユニット化されている点に特徴を有し、そして、バイオアッセイ用基板に対して、フォーカスサーボとトラッキングサーボをかけるとともに、ピックアップレンズ等によって集光したレーザー光を、前記検出表面において前記検出用物質と結合したる蛍光標識ターゲット物質に照射し、励起されて発光する蛍光色素強度を検出するという構成を備える。
【0040】
この手段では、基板表面にDNAプローブ等の検出用物質を固相化し、続いてターゲット物質を含むサンプル溶液を滴下(スポッティング)して前記各物質間の相互反応を行うことができるバイオアッセイ装置と該検出用物質と前記ターゲット物質の間の相互反応情報に関する読み取り装置が一体化されているので、アッセイ作業とそれに続く読み取り作業を一連化することができる
【0041】
以上のように、本発明は、DNAチップやバイオセンサーチップに係わる新規技術を提供するという技術的意義を有している。
【0042】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に基づき、本発明の好適な実施形態について説明する。図1は、本発明に係る好適な実施形態であるバイオアッセイ用基板を上方視したときの外観図、図2(A)は、同基板の構成を一部誇張して示す模式図、図2(B)は、同基板に配設された溝構造部分の一実施形態の構成を表す部分拡大図である。
【0043】
まず、図1の符号1は、本発明に係るバイオアッセイ用基板の好適な一実施形態を示している。このバイオアッセイ用基板1(以下、「基板1」と略称)は、CD、DVD、MD等の光情報記録媒体に用いられる円盤基板(ディスク)に採用される基材から形成されている。
【0044】
該基材は、石英ガラスやシリコン、ポリカーボネート、ポリスチレンその他の円盤状に成形可能な合成樹脂、好ましくは射出成形可能な合成樹脂によって円盤状に形成されている。なお、安価な合成樹脂基板を用いることで、従来使用されていたガラスチップに比して低ランニングコストを実現できる。基板1の中心には、後述する基板回転手段に設けられたスピンドルに固定するための孔2が形成されている。
【0045】
この基板1の一方の表面には、反射膜である厚さ40nm程度のアルミ蒸着層が形成されており、該層は反射膜として機能している。この反射膜は、屈折率1.5以上の基盤単体からの表面反射4%以上とする。この反射膜の上層には、透明なガラスや透明樹脂等からなる光透過層が成膜されている。なお、基材が高反射率の材料である場合には、基材表面自体が反射面として機能するので前記反射膜は形成しなくてもかまわない。また、金属膜などの高反射率膜を形成すれば蛍光標識されたターゲット物質の蛍光強度を、感度良く検出することができる。
【0046】
前記光透過層には、基板1の中心部から上方視放射状に延びる溝構造3が所定間隔で凹設されている。各溝構造3内には、検出用物質を固相化できるように表面処理された検出表面部位S(図2参照)が、半径方向に所定間隔で配列されている。なお、検出表面部位Sは、各溝構造内に配列されたピット部分に形成してもよく、各溝構造3の内側壁面全体に亘って形成することも可能である。
【0047】
また、基板1の変形例を表す外観図である図3のように、セル状のピット3aに検出表面部位Sを設け、そしてこのピット3aを放射状方向に複数配列し、更に放射状に並んだピット3aの列を、周方向に複数形成した構成を採用することも可能である。溝構造3、該溝構造3内のピット又はセル状のピット3aの検出表面に対して微小滴を滴下することによって、ほぼ同一のスポットサイズを実現できるので、再現性の良い蛍光強度検出を実現できる。なお、図3中の符号4aは、アドレスピット等を表している。
【0048】
前記検出表面部位Sは、DNAプローブ等の所望の検出用物質を固相化するために好適な表面処理が適宜選択されて施されている。例えば、アミノ基含有のシランカップリング剤溶液やポリリシン溶液で表面処理される。合成樹脂製基板であれば、その表面をプラズマ処理及びDUV(DeepUV、遠赤外)照射処理後、アミノ基含有シランカップリング剤溶液で処理する。
【0049】
また、表面に銅、銀、アルミニウム又は金をスパッタして成膜し、その表層にアミノ基、チオール基、カルボキシル基等の官能基(活性基)を有する物質やシステアミン、ストレプトアビジン等をコートしてもよい。また、検出表面には、必要に応じて検出用物質を固相化するためのリンカーを結合させておいてもよい。
【0050】
基板1の回転方向には、予め光ディスクマスタリングプロセスにより形成された多数のアドレスピット4,4・・・が形成されている。ここで、基板1の位置情報及び回転同期情報について説明すると、基板1を光ディスクとして考えた場合、滴下検出位置である溝構造3をユーザーデータ領域と考え、他の領域は、サンプルサーボ方式等により同期ピットを配列し、かつトラッキングサーボとしても利用し、更に、直後にアドレス部(ディスク上の地理的な番地)を挿入することによって位置情報を与える。
【0051】
アドレス部は、先頭パターンであるセクターマークから始まり、実際に回転しているディスクの回転位相を与えるVFO(Variable Frequency Oscillator)とアドレスデータの開始位置を与えるアドレスマークとトラックとセクタのナンバーが入ったID(Identifer)などが組み合わされてなる。
【0052】
なお、上記アドレスピットを用いる代わりにトラック上にウォブリングを形成し、位置に応じたクロック情報を持たせるようにウォブリングの蛇行を調節して、ディスク上の位置情報を取得してアドレッシングを行うようにしても良い。同時に、ウォブリング周波数成分を利用することでトラッキングサーボを行うことができる。さらに、アドレスピットとウォブリングを併せて形成することにより、より高精度のアドレッシング及びトラッキングサーボが可能となる。
【0053】
次に、図4に基づいて、上記基板1を用いる本発明に係るバイオアッセイ装置の好適な実施形態について説明する。なお、図4は、同装置の構成を簡略に表すブロック図である。
【0054】
まず、図4に示されたバイオアッセイ装置10は、上記構成の基板1を用いるバイオアッセイ装置であって、前記基板1を回転可能に保持する基板回転手段5と、この基板回転手段5によって、前記基板1を回転させながら検出用物質含有溶液D並びに標識ターゲット物質含有溶液Tを検出表面部位Sに、所定の順序、タイミングで滴下する滴下装置6と、該滴下装置6と前記バイオアッセイ用基板との間の距離を一定に保持するためのフォーカスサーボ機構7と、基板1からの位置情報と回転同期情報に基づいて、前記溶液D,Tの滴下を基板1の検出表面部位Sに追従させるトラッキングサーボ機構8を備えている。
【0055】
ここで、バイオアッセイ装置10は、励起光源である青色半導体レーザー11と、フォーカスサーボ機構7とトラッキングサーボ機構8を担う赤色半導体レーザー21を備えている。
【0056】
青色半導体レーザー11は、基板1の反応情報読み取りのための励起光源として機能する。まず、この青色半導体レーザー11から出射されたレーザー光Bは、反射ミラー12で直角に反射され、該反射光の進行方向に並設されたレンズ13、14によって平行光とされる。
【0057】
この平行光は、反射ミラー15で直角に反射された後、λ/4板16を通過して円偏光とされる。この円偏光は、凹レンズ17,凸レンズ18によってビームが拡大された後にダイクロイックミラー19により反射され、基板1に対向配置された対物レンズ20に入射される。なお、対物レンズ20は支持体Gに収容されている。
【0058】
ダイクロイックミラー19は、青色半導体レーザー11から出射されたレーザー光Bを中心とする波長帯の光を反射し、それ以外の光を透過するように設計されている。より詳しくは、レーザー光Bを反射し、後述する、レーザー光Bによって励起された基板1上の蛍光物質からの蛍光を透過するように設計されている。
【0059】
このようにして、対物レンズ20の下方位置に、基板回転手段5に保持された基板1に対し、前記対物レンズ20から青色レーザー光Bを照射する。この青色レーザー光Bによって励起された(ターゲット物質に標識として結合されている)蛍光物質からの蛍光は、対物レンズ20を通過し、更にダイクロイックミラー19,26を通過し、反射ミラー27により直角に反射されて、光電子増倍管及びアバランシェフォトダイオード検出器(ディテクター)28によって検出される。この構成によって、蛍光強度を検出する。なお、ダイクロイックミラー26は、後述する赤色レーザー光Rの波長を中心とする波長帯の光を反射し、蛍光を含む他の光を透過するように設計されている。
【0060】
次に、符号21で示す赤色半導体レーザーから出射された赤色レーザー光Rは、基板1と対物レンズ20との間の距離を一定に保つ役割を果たすフォーカシングのために利用される。
【0061】
また、この赤色レーザー光Rは、基板1のアドレスピット4又は/及びウォブリングされたグルーブによって提供される位置情報及び回転同期情報に基づいて、上記対物レンズ20が基板1に配設された溝構造3内の検出表面部位Sを追従するトラッキングサーボを行うために利用される。なお、符号29は、赤色レーザー光Rの照射位置を調整するためのポジションセンサーディテクター(PSD)である。
【0062】
具体的には、図4に示された赤色半導体レーザー21から出射されたレーザー光Rは、該レーザー光Rの進行方向に並設された二枚のレンズ22,23によって平行光とされる。この平行光は、前方に配置された偏光ビームスプリッタ24により分光され、一方は更にλ/4板25を通過した後、ダイクロイックミラー26で直角に反射され、前記対物レンズ20に入射し、他方はPSD29に導かれる。
【0063】
このようにして、対物レンズ20から出射される赤色レーザー光Rを用いて、フォーカシングサーボとトラッキングサーボを行いながら、基板1の所定の検出表面部位Sの位置を正確に読み取って、上記支持体Gに対物レンズ20と一体化して設けられたインクジェットノズル30(以下、単に「ノズル30」と称する。)を介して、検出用物質含有溶液D又は標識ターゲット物質含有溶液Tを、検出表面部位Sの真上に順次、所定タイミングで正確に滴下する。
【0064】
次に、図5に基づいて、支持体G内に対物レンズ20と一体化されたノズル30の構成について詳説する。図5(A)は、ノズル30周辺部分の外観斜視図、同図(B)は、ノズル30の拡大図である。
【0065】
対物レンズ20を支持する矩形のアクチュエーターホルダーHの中央に、上記対物レンズ20が設けられ、前記ホルダーHの対物レンズ20の後方側領域に、ノズル30が設けられている。なお、このノズル30は、複数設けてもよい。
【0066】
また、ノズル30は、圧電体に印加するパルスの形状を変えることで吐出される液滴の大きさを制御し易いという利点があるため、圧電式インクジェットノズルを採用するのが好ましい。なお、図5中の符号Xで示す矢印は、基板1の進行方向(回転方向)を示している。
【0067】
ここで、ノズル30には、ラジアル方向Yに一列に並設されたノズル群31が、矢印X方向に沿って複数列配設されている。このノズル群31は、同一の検出用物質含有溶液Dを同時に滴下するためのノズル孔32,32・・・の集合体である。ノズル群31,31・・・からは、順次、異種の検出用物質含有溶液Dが下方の基板1における溝構造3内の対応する検出表面部位Sに同時に滴下され、続いて、所定時間後に、異種又は同種の標識ターゲット物質含有溶液Tが、同検出表面部位Sに同時に滴下される。
【0068】
なお、検出用物質含有溶液Dを検出表面部位Sに滴下してから、その上に標識ターゲット分子含有溶液を滴下させるまでの時間Tは、次式にて算定できる。
T=[L+(n−1)L+0.5φ]÷V−W/V
【0069】
なお、上記式において、Lは、対物レンズ20の中心と一列目のノズル群31aまでの距離、Lはノズル群31の配置間隔、φはプローブDNAの液滴の径、Vは基板1の線速度、Wはノズル30と基板1までの距離、Vはノズル30からの液滴速度、をそれぞれ表している。この式に従えば、検出用物質含有溶液の液滴の真上に、ターゲット物質含有溶液を滴下させることができる。
【0070】
最後に、図6に基づいて、上記基板1を用いて実施できるバイオアッセイプロセスについて簡潔に説明する。なお、図6(A)〜(E)は、同基板1を用いて実施できるバイオアッセイプロセスのフロー図である。
【0071】
まず、基板1の孔2を、基板回転手段5(図4参照)のスピンドル51(図4参照)に固定して回転させ、フォーカスサーボ機構7又は/及びトラッキングサーボ機構8により位置情報を検出しながら、基板1に対向配置されたノズル30(ノズル群31)からインクジェットプリンティング法に基づき、検出用物質含有溶液D,D・・・を基板1上に設けられた所定の検出表面部位S(図2参照)に滴下する(図6(A)参照)。
【0072】
続いて、蛍光標識されたターゲット物質含有溶液Tを、フォーカスサーボ機構7又は/及びトラッキングサーボ機構8(図4参照)により位置情報を検出しながら、基板1に対向配置されたノズル30(ノズル群31)からインクジェットプリンティング法により、上記検出表面部位Sの上に滴下する(図6(B)参照)。
【0073】
次に、基板1の検出表面部位Sにおいて、検出用物質と標識ターゲット物質との間のハイブリダイゼーションその他の相互結合反応を至適に行うために、基板1を恒温恒湿槽9において数時間加温する(図6(C)参照)。
【0074】
続いて、再びスピンドル51によって基板1を回転させながら、該基板1に対向配置された洗浄ノズルNから所定の洗浄液Uを滴下することによって、アクティブな結合反応を示さなかった標識ターゲット物質を検出表面部位Sから除去する。洗浄液は、例えば、界面活性剤SDSを含むSaline−Sodium Citrate(SSC)バッファー溶液を用いる(図6(D)参照)。
【0075】
基板1に青色レーザー光Bを照射して各検出表面部位Sを励起させ、蛍光強度の大きさを検出器28によって検出し、検出用物質と標識ターゲット物質の間の結合反応の状況を判断する。最後に、各検出表面部位Sに対する蛍光強度を、A/D変換して結合反応割合をコンピュータCの画面に分布表示することによって、視覚化する(図6(E)参照)。
【0076】
【実施例】
直径12cmの石英ガラス基板を使用した。該基板の表面を、半径20mmから40mmまで、トラックピッチ50μm、Duty70%、溝深さ500nmのグルーブをエッチングして形成した。また、基板表面は、シランカップリング剤(日本ユニチカ:A1100)のエタノール溶液0.3wt%を用いて、スピンコートにより処理した。その後100℃で2時間、ベーク炉にて乾燥させた。
【0077】
更に、フォトビオチン;photobiotin(Sigma-Aldrich:N-(4-azido-2-nitrophenyl)-N’-(3−biotinylaminopropyl)-N’-methyl-1,3-propanydiamine(acetate)を、10μg/mL濃度になるように蒸留水に溶解し、前記シラン処理を施した基板表面にスピンコートした。
【0078】
波長680nmの赤外半導体レーザーを用いて、NA0.45のピックアップレンズで集光し、基板へフォーカスサーボ及びトラキングサーボをかけた。基板とレンズとの間の距離を一定に保って、線速1m/秒で、グルーブに追従させながら、フォトビオチン(photobiotin)を青色半導体レーザー、波長405nm、1mW,10kHzで変調し、対物レンズNA0.45にて露光を行った。その後、蒸留水にて洗浄し、露光されたエリアのみフォトビオチン(photobiotin)パターンが形成され、ネガ型リソグラフィを得た。
【0079】
アビジン:Avidin(Vector Lab:Avidin D)25μg/ml.PBS溶液を、インクジェットノズルから吐出し、上記フォトビオチンパターンの上に半径r=20−30までをトラッキングサーボ及びフォーカスサーボをかけながら滴下を行った。
【0080】
次に250μg/mlのアビジン(Avidin)D.PBS溶液を、半径r=30−40に滴下した。その後、phosphate buffer solution(Sugma:1003)溶液にてスピンコート洗浄を行った。
【0081】
再度波長680nmの赤外半導体レーザーを用いて、基板にトラッキングサーボ及びフォーカスサーボをかけ、グルーブに追従させながら、更に青色半導体レーザーによって、出力100μW、ビーム径2mmのレーザー光を出射し、上記NAO.45の対物レンズを用いて、線速5m/秒にて、蛍光強度を読み取った。
【0082】
検出器は、光電子増倍管(浜松ホトニクス:H5784−01)を使用した。読み取りに要した時間はr=20−30で約6.3秒、r=20−40で約8.8秒であった。これにより、従来の読み取り装置に比べて非常に短時間で読み取ることができることが判明した。
【0083】
また蛍光強度比は、濃度25μg/mlのものは平均120mV,250μg/mlのものは、平均600mVという値が得られ、強度比1/5という値が得られた。また、どちらも強度ばらつきは、σで1mVと非常に精度の高い結果が得られた。
【0084】
【発明の効果】
(1)本発明に係るバイオアッセイ用基板は、上方視放射状に配設された溝構造内に検出表面部位が配列された構成を備えているので、多量・多数の検出用物質を集積することができる。また、複数の検出用物質をグルーピングして配列させて、溝構造毎に至適反応条件等を選択してアッセイを行うことができるので、偽陽性、偽陰性の結果の発生率が格段に減少する。従って、前記バイオアッセイ用基板によれば、網羅的かつ効率的で、しかも高精度な解析を行うことができる。また、記録情報当りのコストも安価である。
【0085】
(2)本発明に係るバイオアッセイ用基板は、DNAチップやバイオセンサーチップとして、特に有用である。また、新規構造を備える円盤状のマイクロチャネルアレイを提供できる。本基板をDNAチップとして利用する場合は、遺伝子の変異解析、SNPs(一塩基多型)分析、遺伝子発現頻度解析等に利用でき、創薬、臨床診断、薬理ジェノミクス、法医学その他の分野において広範囲に活用できる。本基板をバイオセンサーチップとして利用する場合は、抗原抗体反応の検査、内分泌攪乱物質の検定等に利用できる。
【0086】
(3)次に、本発明に係るバイオアッセイ装置は、基板上での検出用物質のスポッティング及び固相化作業、続く標識タ−ゲット物質のスポッティング及び反応、洗浄、反応結果の読み取り及び解析を一連の作業で円滑に行うことができるので、アッセイから解析に至る作業が効率化、迅速化し、大変便利である。
【0087】
(4)本発明に係る前記アッセイ装置とユニット化された基板情報の読み取り装置を用いて、基板にファーカスサーボ及び/又はトラッキングサーボをかけながら、一定量周期的に基板に検出用物質含有溶液を滴下し、続いてDNAプローブ、抗体等の検出用物質を所定の検出表面に固相化し、更に、蛍光物質が標識されたcDNA、抗原等のターゲット物質を,再度上記サーボをかけながら検出表面部位に滴下し、続いて、所定の相互反応促進プロセスを行い、所定条件下で洗浄し、最後にレーザー光により蛍光物質を励起させて、蛍光発行量を検出して情報を読み取るという複雑な作業を、一連で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る好適な実施形態であるバイオアッセイ用基板(1)を上方視したときの外観図
【図2】(A)同基板(1)の構成を一部誇張して示す模式図
(B)同基板(1)に配設された溝構造(3)部分の一実施形態の構成を表す部分拡大図
【図3】同基板(1)の変形例を上方視したときの外観図
【図4】本発明に係るバイオアッセイ装置(10)の好適な実施形態の構成を簡略に表すブロック図
【図5】(A)ノズル(30)周辺部分の外観斜視図
(B)ノズル(30)の拡大平面図
【図6】本発明に係る好適な実施形態であるバイオアッセイ用基板(1)を用いて実施できるバイオアッセイプロセスのフロー図
【符号の説明】
1 バイオアッセイ基板
3 溝構造
5 基板回転手段
7 フォーカシングサーボ機構
8 トラッキングサーボ機構
30 インクジェットノズル
B 励起光であるレーザー光
D 検出用物質含有溶液
G 支持体
S 検出表面部位
T 標識ターゲット物質含有溶液

Claims (5)

  1. 反射膜と、
    前記反射膜上に形成された光透過層と、
    前記光透過層に、上方視放射状に形成された複数の溝構造と、
    前記溝構造内に列設され、検出用物質を固相化できるように表面処理された複数の検出表面部位と、
    前記溝構造間の領域に設けられ、前記検出表面部位の位置情報と回転同期情報を提供するウォブリング又はアドレスピットと、
    を有する円盤状のバイオアッセイ用基板。
  2. 前記検出用物質は、ヌクレオチド鎖、ペプチド、タンパク質、脂質、低分子化合物、リポソームその他の生体物質のいずれかであることを特徴とする請求項1記載のバイオアッセイ用基板。
  3. 反射膜上に形成された光透過層に、複数の溝構造が上方視放射状に形成され、該溝構造内に検出用物質を固相化できるように表面処理された複数の検出表面部位が列設されるとともに、前記溝構造間の領域に前記検出表面部位の位置情報と回転同期情報を提供するウォブリング又はアドレスピット設けられた構成の円盤状のバイオアッセイ用基板に対して、
    インクジェットプリンティング法によって、前記基板を回転させながら、複数の前記検出表面部位に同時に検出用物質含有溶液を滴下した後、下記数式により求められる時間T経過後に、前記検出用物質含有溶液を滴下した複数の検出表面部位に同時に標識ターゲット分子含有液を滴下するバイオアッセイ方法。
    Figure 0004321085
  4. 反射膜上に形成された光透過層に、複数の溝構造が上方視放射状に形成され、該溝構造内に検出用物質を固相化できるように表面処理された複数の検出表面部位が列設されるとともに、前記溝構造間の領域に前記検出表面部位の位置情報と回転同期情報を提供するウォブリング又はアドレスピットが設けられた構成の円盤状のバイオアッセイ用基板を用いるバイオアッセイ装置であって、
    前記バイオアッセイ用基板を回転可能に保持する基板回転手段と、
    前記基板回転手段によって、前記バイオアッセイ用基板を回転させながら検出用物質含有溶液並びに標識ターゲット物質含有溶液を前記検出表面部位に滴下する滴下装置と、
    該滴下装置と前記バイオアッセイ用基板との間の距離を一定に保持するためのフォーカスサーボ機構と、
    前記位置情報と回転同期情報に基づいて、前記溶液の滴下を前記検出表面部位に追従させるトラッキングサーボ機構と、を有し、
    前記滴下装置が、インクジェットプリンティング装置であって、前記バイオアッセイ用基板に対向配置され、フォーカスサーボ及びトラッキングサーボを担うレーザー光を前記基板に出射する対物レンズを収容する支持体に、複数のノズル孔を備えたインクジェットノズルが一体化されているバイオアッセイ装置。
  5. 請求項4記載のバイオアッセイ装置とユニット化され、請求項1又は2記載のバイオアッセイ用基板上の記録情報を読み取る装置であって、
    前記バイオアッセイ用基板に対して、フォーカスサーボとトラッキングサーボをかけるとともに、集光したレーザー光を、前記検出表面において前記検出用物質と結合したる蛍光標識ターゲット物質に照射し、励起されて発光する蛍光色素強度を検出する基板記録情報の読み取り装置。
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