JP2006010565A - バイオチップおよびその製造方法、ならびにポリホルミルパラキシリレン膜およびその製造方法 - Google Patents

バイオチップおよびその製造方法、ならびにポリホルミルパラキシリレン膜およびその製造方法 Download PDF

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宏 丸山
Takashi Inoue
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Abstract

【課題】 DNAやタンパク質等をプローブ物質として、感度の高い検出を行うことができるバイオチップを提供する。
【解決手段】 基板上に固定化基質として作用する結着層を有し、前記結着層が、所定構造のホルミル[2.2]パラシクロファンの化学蒸着物(ポリパラホルミルキシリレン)に、モノマー単位に少なくとも1個のシッフ塩基を形成する能力のあるアミノ基(−NH2)を含む重合体を反応させて得られたアミノ基を有する重合体を含有するバイオチップ。
【選択図】 なし

Description

本発明は、DNAやタンパク質の固定化を利用して遺伝子の発現、遺伝子の変異、遺伝子の多型等の解析を行う上で有用なバイオチップおよびその製造方法、ならびに固定化基質として作用する結着層の原料物質となるポリホルミルパラキシリレン膜およびその製造方法に関する。
医療分野等において使用する機器、例えばカテーテル等は、生体内に挿入され使用される。このように、生体内に異物である医療機器を導入することにより、生体免疫機構、生体防御機構などとの適合性が問題となる。
例えば、血栓症は、血液採集および処理システムのような医療機器の開発、使用において、最も障害となる問題の一つである。血液が異質の表面に接触するときに、体液および細胞の変化が起こる。このような材料の生体適合性を改善するために、抗凝固剤の固定化と、重合体表面上に生物学的に活性な抗凝血性物質を固定化することが必要とされている。
一方、細胞や組織における遺伝子発現の様態の解析は、これまで種々の細胞や組織からRNAを調製し、そのRNAをメンブレン上に固定し、解析対象の遺伝子の特異的プローブを用いてハイブリダイゼーションを行うノーザンブロット(もしくは、ドットブロット)法や、解析対象の遺伝子に特異的なプライマを用いたRT−PCR法などによって行われてきた。
一方、遺伝子の研究の進展により解析を必要とする遺伝子の数が急速に増加し、さらに、ゲノムプロジェクトの進展や、医療分野への応用などの進行に伴って、多数の遺伝子を一度に解析する必要性が高まっている。
このような要望に対して、最近、マイクロアレイ法もしくはDNAチップ法が開発されつつある。これらの技術の特徴は、ガラス製の基板上に、互いに異なる数千種類のDNA断片を固定し(DNAチップまたはバイオチップという。)、この固定DNA断片と極少量の標識されたターゲットDNA断片とのハイブリダイゼーションを行い、高感度でターゲットDNA断片を検出することである。
上記の方法を用いることによって、ヒト等のほ乳類や数千個の遺伝子を有する微生物の全遺伝子を数枚のDNAチップ等を用いて解析することができ、標識RNAによる全遺伝子を対象とした発現量の解析を行うこともできる。また、ゲノムDNAを標識することによって遺伝子欠損等の変異の解析も可能である。
DNAチップ等の作製において、「オン・チップ」法(基板表面上に固定するDNA断片を、直接、基板表面上で合成する方法)によらない場合には、DNA断片は、予め調製したものを基板表面に点着し、次いで静電的相互作用あるいは共有結合によって基板表面に固定する。
図2は、この従来の方法の原理を説明する図である。図2(a)に示すように、複数種類のプローブDNA21が入っているマイクロプレート22を用意する。一方、図2(b)に示すよう、プレート23としてガラス板を用意しておき、図2(c)で示すように、プレート23の表面にポリシリン(poly-l-Lysine)等のDNAとガラスの結合剤24をコーティングする。この後、マイクロプレート22に入っているプローブDNA21をピンに付着させ、表面にDNAとガラスの結合剤(poly-l-Lysine)24がコーテイングしてあるガラスプレート23の上に、ピンに付着させたプローブDNA21を接触させてスポットする。マイクロプレート22に入っている全てのプローブDNAをスポットし終わるまでこの作業を繰り返し、図2(d)に示すDNAチップを製造していた。このように、従来はプレートに予めDNAとガラスの結合剤を全面コーティングし、その上にDNAをプロットしてDNAチップを製造していた。
DNAチップのハイブリダイゼーション工程は、プローブDNAが結合剤でガラスのプレートにスポットされているDNAチップと、蛍光物質で標識したサンプルDNAを、ともにハイブリダイゼーション溶液に入れてハイブリダイズさせる。ハイブリダイゼーション溶液は、ホルムアルデヒド、SSC(NaCl, trisodiumcitrate)、SDS(sodium dodecyl sulfate)、EDTA(ethylenediamidetetraacetic acid)、蒸留水などからなる混合液であり、混合比率は使用するDNAの性質により異なる。
このとき、サンプルDNAとDNAチップ上のプローブDNAが相補鎖DNAであれば、両者は二重らせん構造をとり結合する。一方、両者が相補鎖でなければ結合することはなく、蛍光物質で標識したサンプルDNAは、そのままハイブリダイゼーション溶液に残留するか、そのごく一部はガラスのプレート上にコーティングされている結合剤と結合し、ガーベージとして残る場合もある。
その後、ガラスのプレート上に残った蛍光物質で標識したサンプルDNAを水槽等の中に入れて洗い流すと、プローブDNAと結合していないサンプルDNAは排出される。その後、プローブDNAと結合しているサンプルDNAに標識している蛍光物質を、所定の光源からの光エネルギーで励起させ、蛍光物質が励起して発光する光をCCDなどの光センサーで検出することでハイブリダイゼーションの検出を行う。
しかし、poly-l-Lysine等のDNAとガラスの結合剤は、DNAに対する結合力が十分でないため、上記水洗い工程の際、基板との結合が外れ、ハイブリダイズした資料まで洗い流されてしまう場合があった。このような、不十分な結合に由来するプローブDNAおよびサンプルDNAの損失は、多いときには70%以上にも達し、高価なプローブDNAや、貴重なサンプルDNAを徒に浪費しているのが現状であった。
1DNAチップとしては特注のスライドガラス(平滑性を要求される)に0.001%(質量百分率)のポリリシンを塗布している。但し、この方法はオックスフォード法である。
また、平滑に塗布するためにかなり濃度を低くしており、この分、感度が下がるので、Cy3,Cy5などのシアニン色素(非特許文献1:Ratnakar B. Mujumdar et al., Bioconjugate Chem., vol. 4, No.2, 1993年, p105-111参照)などの蛍光標識を反応させて判定している。
このために表面が平滑でないと表面のノイズを拾い、平滑性が要求される。
一方、タンパク質チップとしてはいろいろな方法があるが、やはり特注のスライドガラスを使いカルボン酸にコハク酸イミドを反応させてこの末端にアビジンを反応させてタンパク質との反応をさせている。
やはり感度が低いために蛍光物質を使用するケースが多い。
このような問題に対処するために、本発明者等は、先に、アミノ[2.2]パラシクロファンあるいはアミノメチル[2.2]パラシクロファンを原料とした化学蒸着膜を固定化基質(結着層)とすることを提案している(特許文献1:特開2002−340916号、特許文献2:特開2003−212974号)。
しかし、このようなものでは、重合体に導入されるアミノ基(−NH2)の数がモノマー単位中に1個あるいは2個の割合であるため、DNAやタンパク質の固定が不十分であることに起因して感度が十分でないという問題がある。
特開2002−340916号公報(特願2001−146675号) 特開2003−212974号公報(特願2002−11707号) ラトナカル・ビ・ムジュムダル等(Ratnakar B. Mujumdar et al.)著、バイオコンジュゲート ケミストリ(Bioconjugate Chem.)、第4巻、第2号、1993年、P105-111
本発明の目的は、DNAやタンパク質等をプローブ物質として、感度の高い検出を行うことができるバイオチップおよびその製造方法を提供することであり、さらには、バイオチップの結着層を構成する重合体の原料となるポリホルミルパラキシリレン膜およびその製造方法を提供することである。
このような目的は、下記の本発明によって達成される。
(1) 基板上に固定化基質として作用する結着層を有し、前記結着層が、式(I)で表されるホルミル[2.2]パラシクロファンの化学蒸着により形成された式(II)で表される重合体に、モノマー単位に少なくとも1個のシッフ塩基を形成する能力のあるアミノ基(−NH2)を含む重合体を反応させて得られたアミノ基を有する重合体を含有するバイオチップ。
Figure 2006010565
Figure 2006010565
[式(I)中、kは0または1である。
式(II)中、nおよびmはそれぞれ重合度を表し、nは0以上の整数であり、mは1以上の整数であり、n+mは2以上である。]
(2) 結着層が含有するアミノ基を有する重合体が式(III)で表される上記(1)のバイオチップ。
Figure 2006010565
[式(III)中、nおよびmはそれぞれ重合度を表し、nは0以上の整数であり、mは1以上の整数であり、n+mは2以上である。Xは、重合体主鎖の炭素に直接、または炭素もしくは窒素に炭素数1〜4のアルキレン基を介してアミノ基が結合した第1級アミンを有する基を表す。]
(3) 結着層が含有するアミノ基を有する重合体が式(IV)で表される上記(1)のバイオチップ。
Figure 2006010565
[式(IV)中、nおよびmはそれぞれ重合度を表し、nは0以上の整数であり、mは1以上の整数であり、m+nは2以上である。Xは、重合体主鎖の炭素に直接、または炭素もしくは窒素に炭素数1〜4のアルキレン基を介してアミノ基が結合した第1級アミンを有する基を表す。]
(4) 式(III)または式(IV)におけるX中の重合体主鎖がポリエチレン、ポリエチレンイミン、またはポリメチレンアミドである上記(2)または(3)のバイオチップ。
(5) 式(III)または式(IV)において、Xが−CH2に対して炭素または窒素により結合する上記(2)〜(4)のいずれかのバイオチップ。
(6) クロロ置換[2.2]パラシクロファンの化学蒸着物を下地として、式(I)で表されるホルミル[2.2]パラシクロファンの化学蒸着により式(II)で表される重合体を形成した上記(1)〜(5)のいずれかのバイオチップ。
(7) 固定化基質として作用する結着層にプローブ物質を結合した上記(1)〜(6)のいずれかのバイオチップ。
(8) 基板上に、式(I)で表されるホルミル[2.2]パラシクロファンを化学蒸着して式(II)で表される重合体の膜を得、この式(II)で表される重合体の膜に、モノマー単位に少なくとも1個のシッフ塩基を形成する能力のあるアミノ基(−NH2)を含む重合体を反応させて式(III)で表される重合体の膜を得、この重合体膜を固定化基質として作用する結着層としたバイオチップの製造方法。
Figure 2006010565
Figure 2006010565
Figure 2006010565
[式(I)中、kは0または1である。
式(II)中、nおよびmはそれぞれ重合度を表し、nは0以上の整数であり、mは1以上の整数であり、m+nは2以上である。
式(III)中、nおよびmはそれぞれ重合度を表し、nは0以上の整数であり、mは1以上の整数であり、m+nは2以上である。Xは、重合体主鎖の炭素に直接、または炭素もしくは窒素に炭素数1〜4のアルキレン基を介してアミノ基が結合した第1級アミンを有する基を表す。]
(9) 上記(8)において得られた式(III)で表される重合体をさらに還元して、式(IV)で表される重合体の膜を得、この重合体膜を固定化基質として作用する結着層としたバイオチップの製造方法。
Figure 2006010565
[式(IV)中、nおよびmはそれぞれ重合度を表し、nは0以上の整数であり、mは1以上の整数であり、m+nは2以上である。Xは、重合体主鎖の炭素に直接、または炭素もしくは窒素に炭素数1〜4のアルキレン基を介してアミノ基が結合した第1級アミンを有する基を表す。]
(10) 固定化基質として作用する結着層にプローブ物質を結合させる際にUV照射を行う上記(8)または(9)のバイオチップの製造方法。
(11) 式(II)で表されるポリホルミルパラキシリレン膜。
Figure 2006010565
[式(II)中、nおよびmはそれぞれ重合度を表し、nは0以上の整数であり、mは1以上の整数であり、n+mは2以上である。]
(12) 式(I)で表されるホルミル[2.2]パラシクロファンを化学蒸着して式(II)で表されるポリホルミルパラキシリレン膜を得るポリホルミルパラキシリレン膜の製造方法。
Figure 2006010565
Figure 2006010565
[式(I)中、kは0または1である。
式(II)中、nおよびmはそれぞれ重合度を表し、nは0以上の整数であり、mは1以上の整数であり、n+mは2以上である。]
本発明によれば、結着層の重合体のアミノ基の導入数を多くできるので、DNAやタンパク質等をプローブ物質として、感度の良い検出を行うことができる。また、アミノ基による結合が強固であるので、水洗い工程等においてプローブ物質やサンプル物質の損失が少なく、その有効利用を図ることができる。また、結着層の基本となる重合体のポリホルミルパラキシリレンの成膜を、ホルミル[2.2]パラシクロファンを出発物質として化学蒸着により行っているので、基板として安価なスライドガラス等を用いても平滑性を確保できる。さらには、基板として、各種樹脂材料や紙、あるいは金属、繊維、磁気ビーズ等を用いることができる。
また、ホルミル[2.2]パラシクロファンの化学蒸着に先立って、基板に、まず、[2.2]パラシクロファンに塩素を導入したクロロ置換[2.2]パラシクロファンを蒸着すれば、ポリホルミルパラキシリレン膜の基板への接着性を高めるとともに、ポリホルミルキシリレン膜を薄くできるため経済的である。基板への接着性が高まるため、水洗い工程等における膜の剥離を防止することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のバイオチップは、基板上に固定化基質として作用する結着層を有するものであり、この結着層は、式(I)で表されるホルミル[2.2]パラシクロファンの化学蒸着により形成された式(II)で表される重合体に、モノマー単位に少なくとも1個のシッフ塩基を形成する能力のあるアミノ基(−NH2)を含む重合体(アミノ基含有重合体)を反応させて得られたアミノ基を有する重合体を含有する。
Figure 2006010565
Figure 2006010565
式(I)中、kは0または1である。
式(II)中、nおよびmはそれぞれ重合度を表し、nは0以上の整数であり、mは1以上の整数であり、n+mは2以上である。
上記のようにして得られた重合体は、反応させるアミノ含有重合体を選択することにより、重合体に導入できるアミノ基数を多くすることができるため、DNAやタンパク質等をプローブ物質として検出感度を高くすることができる。このため、場合によっては蛍光物質を用いることなく、目視の判定が可能になることがある。
本発明に用いるアミノ含有重合体は、モノマー単位に、ホルミル[2.2]パラシクロファンのホルミル基と脱水縮合してシッフ塩基を生成するアミノ基(−NH2)を少なくとも1個含むものであれば特に制限なく用いることができる。そして、シッフ塩基生成に使用されなかったアミノ基が、プローブ物質となるDNAやタンパク質等を、リン酸基やカルボキシ基との静電結合により固定化することになる。この場合、リン酸基やカルボキシ基とアミノ基との結合はこのような静電結合が一般的であるが、共有結合であってもよい。このように、プローブ物質の固定化という観点からは、アミノ基数は多い方が好ましい。シッフ塩基生成に関与しないアミノ基は−NH2が好ましいが、このほか、−NHR、−N(R)2(Rはアルキル基等の置換基)であってもよい。このような重合体としては、ビニル基等の重合可能な不飽和基(エチレン性不飽和基)を有する第一級アミン化合物から得られた重合体などを用いることが好ましい。このような重合体の分子量は重量平均分子量で1,000〜50万であることが好ましい。
このようなアミノ含有重合体の具体例を以下に示す。
Figure 2006010565
上記において、m’およびn’はそれぞれ重合度を表す。なお、m’は0であってもよい。
これらのなかには市販されているものもあり、市販品はそのまま用いることができる。また、公知の方法あるいは公知の方法に準じて合成することができる。
これらのなかでは、その入手のしやすさなどから、通常、(1)〜(5)の化合物が用いられる。例えば、(1)のポリエチレンイミン化合物は、商品名エポミン(日本触媒製)として、(3)のポリアリルアミン化合物は、商品名PAA−L(重量平均分子量1万)、PAA−H(重量平均分子量10万)(日東紡製)として市販されている。
これらは、通常、1種の化合物が用いられるが、場合によっては、2種以上を併用してもよい。
式(I)で表されるホルミル[2.2]パラシクロファンの化学蒸着物にアルキル含有重合体を反応させて得られたアミノ基を有する重合体としては、式(III)で表されるシッフ塩基型の重合体、あるいは、このシッフ塩基型の重合体のシッフ塩基部分を還元した式(IV)で表される重合体が好ましいものとして挙げられる。
Figure 2006010565
Figure 2006010565
式(III)、(IV)中、nおよびmはそれぞれ重合度を表し、nは0以上の整数であり、mは1以上の整数であり、n+mは2以上である。Xは、重合体主鎖の炭素に直接、または炭素もしくは窒素に炭素数1〜4のアルキレン基を介してアミノ基が結合した第1級アミンを有する基を表す。
X中の重合体主鎖としては、前記アミノ含有重合体の例示化合物に示されるように、ポリエチレン、ポリエチレンイミン、またはポリエチレンアミドであることが好ましい。また、Xは、通常、−CH2と炭素あるいは窒素で結合する。
式(II)で表される重合体は、通常、ランダム共重合体であると推定できる。
このようなアミノ基を有する重合体を含有する結着層の厚さに特に制限はなく、使用目的に応じて適宜選択することができる。
本発明のバイオチップにおいては、式(I)で表されるホルミル[2.2]パラシクロファンの化学蒸着物の形成に先立って、クロロ置換[2.2]パラシクロファン、好ましくはジクロロ[2.2]パラシクロファンの化学蒸着物を下地として形成することが好ましい。
ポリクロロ置換[2.2]パラキシリレン膜の方が基板に対する接着性がよいために、水洗い工程等における膜の剥離を防止することができるなど、基板と結着層との密着性が向上する。また、前述のように、経済的にも有利となる。
このような下地層の厚さは結着層の厚さに応じて選択するなどしてよく、接着性を得る目的を達成できれば、特に制限はない。通常、下地層は結着層より厚くすることが多い。
本発明のバイオチップは、次のようにして製造される。まず、式(I)で表されるホルミル[2.2]パラシクロファンを合成する。
式(I)で表されるホルミル[2.2]パラシクロファンは、公知の方法に従い、[2.2]パラシクロファンを、塩化チタン(IV)の存在下で、ジクロロメチルエーテルを反応させることにより得られる。
次に、式(I)で表されるホルミル[2.2]パラシクロファンを原料として化学蒸着法により基板上に重合体膜を成膜する。
化学蒸着は、図1に示されるような蒸着装置を用いて行う。図1の蒸着装置は、蒸発部11と、分解部12と、蒸着部13とを有する。なお、図1において、蒸発部11には蒸発材料を導入する開口部シャッタ11aを有し、さらに蒸発部13にはトラップ14を介して真空ポンプ15が接続されている。
図示例の蒸着装置において、蒸発部11に固体状の蒸発材料の式(I)で表されるホルミル[2.2]パラシクロファンを導入する。蒸発部11を、10〜50Torr(1.33〜6.65Pa)程度の真空度に保ち、140〜180℃程度に加熱すると、蒸発材料が気化してダイマーガスとなり、原料ガスが生成する。
次いで、原料のダイマーガスを700℃程度に加熱してある分解部12に導入する。この分解部12では、導入された原料ガスは熱分解によりモノマーガスとなる。
次に、得られた原料モノマーガスを、蒸着部13内に導入する。蒸着部13内は、50mTorr(6.65Pa)程度の真空度に保持されている。そして、導入されたモノマーガスは基板表面で重合し、式(II)で表される重合体の膜が形成される。
なお、この成膜作業はホルミル基の酸化を防止するために非酸化性雰囲気(例えば窒素雰囲気)で行うことが好ましい。
また、式(I)で表されるホルミル[2.2]パラシクロファンの化学蒸着による成膜に先立ち、基板上に、予め、クロロ置換[2.2]パラシクロファンを化学蒸着して、これによりその重合体の膜を形成し、この膜上に式(I)で表されるホルミル[2.2]パラシクロファンからの重合体の膜を形成してもよい。これにより、基板との密着性が向上し、水等による膜剥離が防止できる。また、前述のように、経済的にも有利となる。
次に、基板上に形成された式(II)で表されるポリホルミルパラキシリレンとアミノ含有重合体とを反応させ、ホルミル基とアミノ基との縮合反応によりシッフ塩基を形成した式(III)で表される重合体を得る。
本発明では、式(III)で表される重合体を結着層に用いて十分であるが、さらに、このシッフ塩基部分をNaBH4等の還元剤を用いて還元し、これにより式(IV)で表される重合体を得、これを結着層に用いてもよい。式(IV)で表される重合体の方がより安定な化合物といえるが、本発明においては、いずれであってもよい。また、これらを併用してもよい。
なお、シッフ塩基タイプの重合体の生成の確認は、重合体がDNAを吸着することから行うことができる。
このようにして、式(III)、(IV)で表される重合体を含有する結着層を有するバイオチップが得られる。
なお、上記の成膜時に所定パターンのマスクを用い、マスク蒸着を行ってもよい。このように、マスク蒸着を行うことにより、精度よく結着層パターンを形成することができ、不必要な部分にプローブ物質やサンプル物質(例えばDNAやタンパク質)が付着してガーベージとして残り、感度(S/N)を悪化させることを防止することができる。
また、上記の反応スキームをまとめると次のようになる。ここでは、式(I)において、k=0の場合を代表にして示す。
Figure 2006010565
ここで、n、m、Xは、式(III)、(IV)におけるものと同義である。
基板の材質は、透明なガラス、シリコンまたはポリエチレンテレフタレート、酢酸セルロース、ビスフェノールA等のポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート等のポリマーであることが好ましい。なかでもガラスまたはシリコンであることが特に好ましい。これは、表面処理の容易さや蛍光スキャニング装置による解析の容易さによるものである。シリカ表面層を持つガラスも好ましく用いられる。基板の厚さとしては、100〜2000μmの範囲にあることが好ましい。なお、本発明の結着層と基板との結合性を考えると、上記ポリマーなどの樹脂材料も好ましく、さらに結合性を改善するために基板との間にカップリング剤を介在させてもよい。また、紙や金属、あるいは繊維、磁気ビーズなども基板として用いることができる。
プローブとして用いられるDNA断片は、目的によって二通りに分けることができる。遺伝子の発現を調べるためには、cDNA、cDNAの一部、EST等のポリヌクレオチドを使用することが好ましい。これらのポリヌクレオチドは、その機能が未知であってもよいが、一般的にはデータベースに登録された配列を基にしてcDNAのライブラリー、ゲノムのライブラリーあるいは全ゲノムをテンプレートとしてPCR法によって増幅して調製する(以下「PCR産物」という。)。あるいは、PCR法によって増幅しないものも使用することができる。また、遺伝子の変異や多型を調べるには、標準となる既知の配列をもとにして、変異や多型に対応する種々のオリゴヌクレオチドを合成し、これを使用することが好ましい。さらに、塩基配列分析の場合には、4n(nは、塩基の長さ)種のオリゴヌクレオチドを合成し、これを使用することが好ましい。DNA断片の塩基配列は、既知であることが好ましい。
DNA断片の点着は、DNA断片を水性媒体に溶解あるいは分散した水性液を、プラスチックプレートに分注し、分注された水性液をスポッター装置を用いて基板上に滴下して行うことが好ましい。
点着されるDNA断片は、基板表面に対して、102 〜105 種類/cm2 の範囲にあることが好ましい。DNA断片の量は、1〜10-15 モルの範囲にあり、重量としては数ng以下であることが好ましい。点着によって、DNA断片の水性液は、基板表面にドットの形状で固定されるが、そのドット間の距離は、0〜1.5mmの範囲にあることが好ましく、特に100〜300μmの範囲にあることが好ましい。1つのドットの大きさは、直径が50〜300μmの範囲にあることが好ましい。点着する量は、100pL〜1μLの範囲にあることが好ましく、特に1〜100nLの範囲にあることが好ましい。
アミノ基に対するDNAの固定化には、静電相互作用を利用する方法、UVクロスリンカーを用いる方法などがある。本発明ではUVクロスリンカーを用いることが好ましい。UVの照射条件は10〜200mJであることが好ましい。
点着後は、必要に応じて乾燥し、固定されなかったDNA断片を洗浄して除去することが好ましい。
前記記載の基板表面上のドットの形状は、ほとんど円形である。形状に変動がないことは、遺伝子発現の定量的解析や一塩基変異を解析するために重要である。
上記のようにして作製されたDNA用のバイオチップの寿命は、cDNAが固定されたcDNAチップで数週間、オリゴDNAが固定されたオリゴDNAチップではさらに長期間である。これらのDNA用のバイオチップは、遺伝子発現のモニタリング、塩基配列の決定、変異解析、多型解析等に利用される。検出原理は、標識した標的核酸とのハイブリダーゼーションである。
サンプルである標的核酸としては、その配列や機能が未知であるDNA断片試料あるいはRNA断片試料を用いることが好ましい。
標的核酸は、遺伝子発現を調べる目的では、真核生物の細胞や組織サンプルから単離することが好ましい。標的がゲノムならば、赤血球を除く任意の組織サンプルから単離することが好ましい。赤血球を除く任意の組織は、末梢血液リンパ球、皮膚、毛髪、精液等であることが好ましい。標的がmRNAならば、mRNAが発現される組織サンプルから抽出することが好ましい。mRNAは、逆転写反応により標識dNTP(「dNTP」は、塩基がアデニン(A)、シトシン(C)、グアニン(G)もしくはチミン(T)であるデオキシリボヌクレオチドを意味する。)を取り込ませて標識cDNAとすることが好ましい。dNTPとしては、化学的な安定性のため、dCTPを用いることが好ましい。1回のハイブリダイゼーションに必要なmRNA量は、液量や標識方法によって異なるが、数μg以下であることが好ましい。なお、DNA用チップ上のDNA断片がオリゴDNAである場合には、標的核酸は低分子化しておくことが望ましい。原核生物の細胞では、mRNAの選択的な抽出が困難なため、全RNAを標識することが好ましい。
標的核酸は、遺伝子の変異や多型を調べる目的では、標識プライマーもしくは標識dNTPを含む反応系で標的領域のPCRを行って得ることが好ましい。
標識方法としては、RI法と非RI法とがあるが、非RI法を用いることが好ましい。非RI法としては、蛍光標識法、ビオチン標識法、化学発光法等が挙げられるが、蛍光標識法を用いることが好ましい。蛍光物質としては、核酸の塩基部分と結合できるものであれば何れも用いることができるが、シアニン色素(例えば、Cy DyeTMシリーズのCy3、Cy5等:Ratnaker B. Mujumdar et al., Bioconjugate Chem., vol 4, No.2, 1993年, p105-111参照)、ローダミン6G試薬、N−アセトキシ−N2 −アセチルアミノフルオレン(AAF)、AAIF(AAFのヨウ素誘導体)などを使用することが好ましい。
ハイブリダイゼーションは、プラスチックプレートに分注しておいた、標識した標的核酸が溶解あるいは分散された水性液を、上記で作製したバイオチップ上に点着することが好ましい。点着の量は、1〜100nLの範囲にあることが好ましい。ハイブリダイゼーションは、室温〜70℃の温度範囲で、そして6〜20時間の範囲で実施することが好ましい。ハイブリダイゼーション終了後、界面活性剤と緩衝液との混合溶液を用いて洗浄を行い、未反応の標的核酸を除去することが好ましい。界面活性剤としては、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を用いることが好ましい。緩衝液としては、クエン酸緩衝液、リン酸緩衝液、ホウ酸緩衝液、トリス緩衝液、グッド緩衝液等を用いることができるが、クエン酸緩衝液を用いることが好ましい。
バイオチップを用いるハイブリダイゼーションの特徴は、標識した核酸の使用量が非常に少ないことである。そのため、基板に固定するDNA断片の鎖長や標識した標的核酸の種類により、ハイブリダーゼーションの最適条件を設定する必要がある。遺伝子発現の解析には、低発現の遺伝子も十分に検出できるように、低い厳密度で長時間のハイブリダイゼーションを行うことが好ましい。一塩基変異の検出には、高い厳密度で短時間のハイブリダイゼーションを行うことが好ましい。また、互いに異なる蛍光物質によって標識した標的核酸を二種類用意し、これらを同時にハイブリダイゼーションに用いることにより、同一のバイオチップ上で発現量の比較や定量ができる特徴もある。
タンパク質をプローブとする場合の具体的操作はDNAをプローブとする場合と同様にすればよい。
プローブとして用いられるタンパク質は機能がある酵素全てを挙げることができる。具体的には、糖質関連酵素、タンパク質分解酵素、脂質分解酵素、果実関連酵素、医療用酵素、診断用酵素、遺伝子工学用酵素などがある。
[2.2]パラシクロファンから式(I)で表されるホルミル[2.2]パラシクロファンを合成した。
Figure 2006010565
[2.2]パラシクロファン7.8gを40mlの塩化メチレン溶液に塩化チタン(IV)塩化メチレン溶液(1mol/L濃度)80mlを加え、0℃から5℃に冷却した。撹拌しながら、この温度下で、ジクロロメチルエーテル溶液9.0gを滴下した。滴下終了後、室温で20分撹拌し、その後、塩酸50mlを含む氷上にあけた。塩化メチレン溶液を分離し、この溶液を水200mlで2回洗浄した。塩化メチレン溶液を窒素雰囲気中、芒硝で脱水を行った。窒素下で溶媒を留去した。残留物に200mlのエタノールを加え、加熱還流を行った。溶液は濁りがあるため濾過した。エタノール溶液を凝縮、放冷した。析出した沈澱を濾取し、減圧乾燥した。5.2gのホルミル[2.2]パラシクロファンを得た(ガラスクロマトグラフィー純度GC99.8%、mp140〜142℃)。
結着層を有する基板を作製した。
(1)重合体膜の形成
図1に示すような蒸着装置を使用して重合体膜の形成を行った。図示例の蒸着装置において蒸発部に式(I)の構造を有する固体状の蒸着材料ホルミル[2.2]パラシクロファン3.0gを導入した。蒸発部を、10〜50mTorr(1.33〜6.65Pa)の真空度に保ち、140〜180℃に加熱すると、蒸着材料が気化してダイマーガスとなり、原料ガスが生成した。次いで、原料ガスは700℃に加熱してある分解部に導入した。この分解部では、前記のスキームに示されるように、導入された原料ガスは熱分解によりモノマーガスとなる。次に、得られたモノマーガスを蒸着部に導入した。蒸着部内は、最大50mTorr (6.65Pa)の真空度に保持されている。そして導入されたモノマーガスは蒸着部内に設置されたガラス基板の表面で重合し、前記のスキームに示されるような重合体の膜を形成した。この時、形成された重合体の膜の膜厚は0.35μmであった。また、重合体の膜形成における一連の作業は、蒸着材料中や重合体の膜中におけるホルミル基の酸化を防ぐために窒素雰囲気下で行った。
(2)シッフ塩基の形成
20%(質量百分率)ポリアリルアミン水溶液(日東紡製Polyallylamine-L(20%))40gを真空度40〜60mmHg(5.32〜7.98kPa)、温度約100℃ミンのエタノール溶液を得た。この溶液に上記のようにして製造したガラス基板を浸し、加熱を行い、還流状態を2時間保持した。その後、ガラス基板を取り出し、真空度2〜3mmHg(266〜399Pa)、温度約85℃で減圧乾燥を一昼夜行った。このようにしてガラス基板上にホルミルパラシクロファンのポリアリルアミンシッフ塩基を生成した(前記スキーム参照)。その後、ガラス基板は未反応のポリアリルアミンを除去するために十分に水洗いし、内温約60℃のオーブンで乾燥させた。
この場合のアルキル含有重合体であるポリアリルアミンは、例示化合物(3)であり、重量平均分子量は1万であり、商品名PAA−L(日東紡製)で市販されているものである。また、これによって得られるシッフ塩基型の重合体は次のとおりである。
Figure 2006010565
このようにして得られたシッフ塩基型の重合体の膜を結着層として有するガラス基板を得た。これを基板サンプルNo.1とする。
実施例2の基板サンプルNo.1において、(1)の重合体膜の形成に先立って、ガラス基板上に下記のジクロロ[2.2]パラシクロファンからの化学蒸着膜を下地として3μm 厚に形成したものとするほかは同様にして基板サンプルNo.2を作製した。
Figure 2006010565
(1)DNAバイオチップの作製(図2参照)
プローブDNAの濃度が0.5〜1μg/μLとなるように、標準液の2倍希釈のSSC(NaCl-Na3C6H5O7)溶液を加えてDNAを溶解してスポット溶液とし、実施例2の基板サンプルNo.1を用い、DNAマイクロアレイ作製装置を設定し、DNAスポッターにより基板サンプルNo.1上にスポットし、スポット完了後ラックにたてて、70〜80℃で1時間ベーキングした。その後、室温に戻した。なお、このスポットにより、前述のシッフ塩基の生成が確認できた。
次に、UVクロスリンク機を用い、60mJのUVを照射した。これをDNAバイオチップNo.1(本発明品)とする。
(2)ハイブリダイゼーション
作製したDNAバイオチップNo.1の1個につき、ターゲット(標的)DNA溶液40μLを用意した。溶液量はガバーグラスのサイズにより調整する。
ターゲットDNA溶液はターゲットDNAに蒸留水を加えて28μLとして、さらに標準溶液を20倍に希釈したSSC溶液を10μL加えて調液した。
但し、プローブDNAがcDNAの場合は、poly(A)(Sigma社製ポリアデニル酸)最終濃度が0.5mg/mLとなるように加える。
さらに、10%(質量百分率)SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)溶液を2μL加え、65℃で5分間加温した。
DNAバイオチップNo.1上にターゲットDNA溶液40μLを静かに泡が入らないように端に広げ、カバーガラス(24mm×55mmサイズのNo.1)を静かに端から乗せ、ハイブリダイゼーションチャンバー内にて65℃で20時間インキュベートした。なお、ギャップカバー使用時は、DNAバイオチップにギャップカバーを被せたあと、端からマイクロピペットを用いて45μL浸透させる。
その後、ハイブリダイゼーションチャンバーから取り出し、以下の工程で洗浄を実施した。なお、下記のSSCの希釈溶液は、前記の20倍希釈溶液を基準とした希釈度であり、SDS溶液は前記の10%溶液から調製した。
a)2倍希釈のSSC溶液-0.1%(質量百分率)SDS溶液中にスライドをピンセットでつかんで揺動しカバーガラスが落ちるまで静かに揺動した。
b)染色スライド枠に立てた。
c)2倍希釈のSSC溶液-0.2%(質量百分率)SDS溶液で常温で揺動3分の条件で3回洗浄した(新液に順に3回漬けた)。
d)0.2倍希釈のSSC溶液-0.2%(質量百分率)SDS溶液で常温で揺動3分の条件で3回洗浄した。
e)0.2倍希釈のSSC溶液-0.2%(質量百分率)SDS溶液で60℃で揺動10分の条件で2回洗浄した。
f)0.2倍希釈のSSC溶液-0.2%(質量百分率)SDS溶液で常温で揺動3分の条件で2回洗浄した。
g)SDS除去のため、0.2倍希釈のSSC溶液で常温で数秒の条件で3回リンスした。
h)エタノール中で20回揺動した。
i)さらに、エタノール中20回揺動後、800rpm2分間遠心機にかけたあと、室温で乾燥させた。
その後、DNAマイクロアレイ用スキャナーを用い、蛍光量を観察した。
結果を図3に示す。図中、dXH10−uv−Cy3は標的DNAにCy3が標識されたものであり、dXH10−uv−Cy5はCy5が標識されたものである。また、dXH10−wash−Cy3、dXH10−wash−Cy5は、それらを蒸留水に一晩漬けることにより水洗いしたものである。
さらに、これらの画像データの数値化を行った。データは、各40個のスポットの平均と標準偏差であり、数値は、色調図を図7のようにしたときの色調パラメータである。結果を表1に示す。なお、表の数値化は、グレースレールに直すと、結合が、このような色の解析を行った場合、このような数字になるということを示している。
(3)本発明品のチップNo.1の作製において、UV照射を行わないものとする以外は同様にしてチップNo.11(本発明品)を作製した。
このチップNo.11(本発明品)についてもチップNo.1と同様の操作を行い、蛍光量を観察した。結果を図4および表1に示す。表示は、図3におけるものと同様である。
(4)次に、ポリリシンを結着層とする市販のマイクロアレイスライドを用い、基板サンプルNo.1と同様の操作を行い、蛍光量を観察した。結果を図5および表1に示す。表示は、図3におけるものと同様である。
(5)さらに、ポリリシンを結着層とする市販のマイクロアレイスライドを用い、基板サンプルNo.1に対する操作において、UV照射を行わないものとし、ベーキング後に、無水コハク酸溶液に浸漬するような次の操作を行い、蛍光量を観察した。この場合の操作は、無水コハク酸溶液を用いた標準処理に相当するものである。結果を図6および表1に示す。表示は、図3におけるものと同様である。
i) ラックにマイクロアレイスライドをたてて、無水コハク酸溶液に時々揺動しながら20分間漬けた。
前処理溶液である無水コハク酸溶液は使用直前に調製した。この溶液は、2.5gの無水コハク酸を157mLの1−メチル−2−ピロリジンに溶解し、使用直前に17.5mLのホウ酸ナトリウム(pH8.0)溶液を加えたものである。
ii) 無水コハク酸溶液のすすぎは次のように行った。
a) 純水にラックごと漬け、10回静かに揺動した。
b) さらに、純水にラックごと漬け10回静かに揺動した。
iii) 沸騰した蒸留水中に2分間漬けた。
iv)余分な水分を吸い取り、素早く冷エタノールに1分間浸して脱水したあと取り出し余分なエタノールを吸い取り室温で乾燥させた。
Figure 2006010565
以上の結果より、本発明品において、UV照射によりプローブDNAを固定すれば、水洗い処理などによる影響が少なく、良好な測定を行えることがわかる。
これに対し、市販品はUV照射によってもDNA固定が十分でなく、ポリリシン層中に存在するオリゴマーによる影響のためか、標準処理においても水洗い処理の影響がみられる。
本発明品は、DNAの検出などに有効である。
実施例3の基板サンプルNo.2を用いて、実施例4の基板サンプルNo.1に対する操作と同様の操作を施したが、UV照射を行ったものにおいても、行わないものにおいても、基板に対する結着層の密着性が改善し、水洗い処理による影響が少ないことがわかった。
実施例2の基板サンプルNo.1のシッフ塩基型の重合体をNaBH4により還元した次の重合体の膜を結着層として有するガラス基板(基板サンプルNo.3)を得た。
Figure 2006010565
これを用いて、実施例4の基板サンプルNo.1に対する操作と同様の操作を施した。UV照射の有無に応じて同様の結果が得られた。
実施例3の基板サンプルNo.2において、実施例6と同様に、NaBH4によりシッフ塩基型の重合体を還元する他は同様にして、基板サンプルNo.4を得た。これに対して、実施例5と同様の操作を行ったところ、基板サンプルNo.3に比べた場合、基板に対する結着層の密着性が改善することがわかった。
本発明のバイオチップを製造するための装置の概略構成を示したブロック図である。 バイオチップの製造工程を示した模式図である。 基板上に形成された微細なパターンを表す図面代用写真であり、本発明のバイオチップ(UV照射有:無水コハク酸溶液を用いた標準処理無)を用いた場合の蛍光量を示す写真である。 基板上に形成された微細なパターンを表す図面代用写真であり、本発明のバイオチップ(UV照射無:無水コハク酸溶液を用いた標準処理無)を用いた場合の蛍光量を示す写真である。 基板上に形成された微細なパターンを表す図面代用写真であり、従来のバイオチップ(UV照射有:無水コハク酸溶液を用いた標準処理無)を用いた場合の蛍光量を示す写真である。 基板上に形成された微細なパターンを表す図面代用写真であり、従来のバイオチップ(無水コハク酸溶液を用いた標準処理)を用いた場合の蛍光量を示す写真である。 色調図とそれに対応する色調パラメータである。
符号の説明
11 蒸発部
12 分解部
13 蒸着部
14 トラップ
15 真空ポンプ
21 DNA
22 マイクロプレート
23 基板
24 結合剤含有層(結着層)

Claims (12)

  1. 基板上に固定化基質として作用する結着層を有し、前記結着層が、式(I)で表されるホルミル[2.2]パラシクロファンの化学蒸着により形成された式(II)で表される重合体に、モノマー単位に少なくとも1個のシッフ塩基を形成する能力のあるアミノ基(−NH2)を含む重合体を反応させて得られたアミノ基を有する重合体を含有するバイオチップ。
    Figure 2006010565
    Figure 2006010565
    [式(I)中、kは0または1である。
    式(II)中、nおよびmはそれぞれ重合度を表し、nは0以上の整数であり、mは1以上の整数であり、n+mは2以上である。]
  2. 結着層が含有するアミノ基を有する重合体が式(III)で表される請求項1のバイオチップ。
    Figure 2006010565
    [式(III)中、nおよびmはそれぞれ重合度を表し、nは0以上の整数であり、mは1以上の整数であり、n+mは2以上である。Xは、重合体主鎖の炭素に直接、または炭素もしくは窒素に炭素数1〜4のアルキレン基を介してアミノ基が結合した第1級アミンを有する基を表す。]
  3. 結着層が含有するアミノ基を有する重合体が式(IV)で表される請求項1のバイオチップ。
    Figure 2006010565
    [式(IV)中、nおよびmはそれぞれ重合度を表し、nは0以上の整数であり、mは1以上の整数であり、m+nは2以上である。Xは、重合体主鎖の炭素に直接、または炭素もしくは窒素に炭素数1〜4のアルキレン基を介してアミノ基が結合した第1級アミンを有する基を表す。]
  4. 式(III)または式(IV)におけるX中の重合体主鎖がポリエチレン、ポリエチレンイミン、またはポリメチレンアミドである請求項2または3のバイオチップ。
  5. 式(III)または式(IV)において、Xが−CH2に対して炭素または窒素により結合する請求項2〜4のいずれかのバイオチップ。
  6. クロロ置換[2.2]パラシクロファンの化学蒸着物を下地として、式(I)で表されるホルミル[2.2]パラシクロファンの化学蒸着により式(II)で表される重合体を形成した請求項1〜5のいずれかのバイオチップ。
  7. 固定化基質として作用する結着層にプローブ物質を結合した請求項1〜6のいずれかのバイオチップ。
  8. 基板上に、式(I)で表されるホルミル[2.2]パラシクロファンを化学蒸着して式(II)で表される重合体の膜を得、この式(II)で表される重合体の膜に、モノマー単位に少なくとも1個のシッフ塩基を形成する能力のあるアミノ基(−NH2)を含む重合体を反応させて式(III)で表される重合体の膜を得、この重合体膜を固定化基質として作用する結着層としたバイオチップの製造方法。
    Figure 2006010565
    Figure 2006010565
    Figure 2006010565
    [式(I)中、kは0または1である。
    式(II)中、nおよびmはそれぞれ重合度を表し、nは0以上の整数であり、mは1以上の整数であり、m+nは2以上である。
    式(III)中、nおよびmはそれぞれ重合度を表し、nは0以上の整数であり、mは1以上の整数であり、m+nは2以上である。Xは、重合体主鎖の炭素に直接、または炭素もしくは窒素に炭素数1〜4のアルキレン基を介してアミノ基が結合した第1級アミンを有する基を表す。]
  9. 請求項8において得られた式(III)で表される重合体をさらに還元して、式(IV)で表される重合体の膜を得、この重合体膜を固定化基質として作用する結着層としたバイオチップの製造方法。
    Figure 2006010565
    [式(IV)中、nおよびmはそれぞれ重合度を表し、nは0以上の整数であり、mは1以上の整数であり、m+nは2以上である。Xは、重合体主鎖の炭素に直接、または炭素もしくは窒素に炭素数1〜4のアルキレン基を介してアミノ基が結合した第1級アミンを有する基を表す。]
  10. 固定化基質として作用する結着層にプローブ物質を結合させる際にUV照射を行う請求項8または9のバイオチップの製造方法。
  11. 式(II)で表されるポリホルミルパラキシリレン膜。
    Figure 2006010565
    [式(II)中、nおよびmはそれぞれ重合度を表し、nは0以上の整数であり、mは1以上の整数であり、n+mは2以上である。]
  12. 式(I)で表されるホルミル[2.2]パラシクロファンを化学蒸着して式(II)で表されるポリホルミルパラキシリレン膜を得るポリホルミルパラキシリレン膜の製造方法。
    Figure 2006010565
    Figure 2006010565
    [式(I)中、kは0または1である。
    式(II)中、nおよびmはそれぞれ重合度を表し、nは0以上の整数であり、mは1以上の整数であり、n+mは2以上である。]
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