JP4218274B2 - バイオアッセイ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、バイオインフォマティクス(生命情報科学)分野において特に有用なバイオアッセイ装置に関する。より詳細には、光学的に記録情報の読み取りが可能とされた基板上に配設された各検出部又は各検出部群において、物質間の相互反応が、至適条件下で効率よく行われるように工夫されたバイオアッセイ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
【0003】
本発明の主たる従来技術を以下説明する。現在、マイクロアレイ技術によって所定のDNAが微細配列された、いわゆるDNAチップ又はDNAマイクロアレイ(以下、「DNAチップ」と総称。)と呼ばれるバイオアッセイ用の集積基板が、遺伝子の変異解析、SNPs(一塩基多型)分析、遺伝子発現頻度解析等に利用されており、創薬、臨床診断、薬理ジェノミクス、法医学その他の分野において広範囲に活用され始めている。
【0004】
このDNAチップは、ガラス基板やシリコン基板上に多種・多数のDNAオリゴ鎖やcDNA(complementary DNA)等が集積されていることから、ハイブリダイゼーション等の分子間相互反応の網羅的解析が可能となる点が特徴とされている。
【0005】
DNAチップによる解析手法の一例を簡潔に説明すれば、ガラス基板やシリコン基板上に固相化されたDNAプローブに対して、細胞、組織等から抽出したmRNAを逆転写PCR反応等によって蛍光プローブdNTPを組み込みながらPCR増幅し、前記基板上においてハイブリダイゼーションを行い、所定の検出器で蛍光測定を行うという手法である。
【0006】
ここで、DNAチップは二つのタイプに分類できる。第1のタイプは、半導体露光技術を応用したフォトリソグラフィーの技術を用いて、所定の基板上に直接オリゴヌクレオチドを合成していくものであり、アフィメトリクス社(Affymetrix社)によるものが代表的である(例えば、特表平4−505763号公報参照)。この種のチップは、集積度は高いが、基板上でのDNA合成には限界があって、数十塩基程度の長さである。第2のタイプは、「スタンフォード方式」とも称されるもので、先割れピンを用いて、予め用意されたDNAを基板上に分注・固相化していくことによって作製されるものである(例えば、特許第3272365号公報参照)。この種のチップは、集積度は前者に比べて低いが、1kb程度のDNA断片を固相化できるという利点がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来のDNAチップやプロテインチップ等のセンサーチップでは、基板上で行われる物質間相互反応が一律でないにもかかわらず、統一された反応条件下で行われていたので、基板上のすべての物質間相互反応が効率よく進行しているとは限らなかった。
【0008】
例えば、Tm(melting Temperature)又はGC含有率が揃っていないDNAプローブ(検出用物質)が、二次元の平面的な広がりを持つ基板表面上に配列された構成の従来のDNAチップにおいては、同一のハイブリダイゼーション条件、洗浄条件に晒されて偽陽性又は偽陰性を示す可能性が高いという問題があった。また、従来の方法では、DNAプローブの塩基配列を選択してTmを揃える方法が採用される場合があるが、これには限界があり、特にSNPsチップでは、そのSNPsを含む領域の周辺に限定されるので難しかった。
【0009】
そこで、本発明の主な目的は、光学的に記録情報の読み取りが可能とされた基板上に配設された各検出部又は各検出部群において、物質間の相互反応が、それぞれの相互反応の至適条件下で効率よく行われるように工夫されたバイオアッセイ装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記技術的課題を解決するために、まず、本願においては、以下の「バイオアッセイ装置」を提供する。なお、本願において「バイオアッセイ」とは、ハイブリダイゼーションその他の物質間の相互反応に基づく生化学的分析を意味する。
【0011】
まず、本発明に係るバイオアッセイ装置は、検出用物質を固定化するための検出表面と、該検出表面に固定された状態の前記検出用物質と標的物質との相互反応の場を提供する反応領域と、を少なくとも備える検出部が設けられた基板に対して、前記検出部単位に、予め用意された複数種の反応溶液の一種を選択できる反応溶液選択手段と、前記基板から独立して設けられ、反応温度条件を前記検出部単位に選択し、前記検出部単位で照射範囲を選択してIRレーザー光を照射する加温手段と、前記検出用物質と前記標的物質との間の至適反応条件に基づいて、前記加温手段を制御する手段と、前記検出部の反応溶液の温度を検出する温度検出手段と、を備える。
【0012】
「検出部」は、互いにコンタミネーションしないように、それぞれが基板上に別個独立に形成された、例えば、円形、矩形その他の形状のセル構造やウエル構造を採用でき、「検出部単位」とは、1個の検出部だけでなく、グルーピングされた複数の検出部を単位とする概念も含まれる。
【0013】
前記至適反応条件には、塩溶液等の反応溶液の組成、濃度や反応物質濃度、反応温度等の反応条件が広く包含され、また、アクティブな相互反応を示さなかった標的物質を前記検出部から除去するときの洗浄条件も含まれる。本発明では、数種以上に階層を付けた反応溶液を予め準備し、これらの中から好適なものを選択して検出部に滴下する、
【0014】
「加温手段」としては、前記検出部単位で照射範囲の設定が可能とされた赤外光照射手段を採用できる。この赤外線照射手段による部分的(局所的)な加温手段に加えて、検出部が配設されている基板全体を加温する手段、例えば、基板を保持するプレートをヒーター等によって一様に加温する手段を併用することにより、所望の温度範囲内に確実かつ迅速に設定できる。なお、赤外光(IR)照射は、加温に適した波長(基板が吸収できる波長)の赤外光を出射するIRレーザー光源によって行うことができる。
【0015】
「温度検出手段」としては、前記検出部から輻射される赤外光をディテクター(検出器)で受光することによって検出する手段を採用できる。これは、全ての物質表面が、その温度に固有の赤外光を輻射していることに基づく。即ち、各検出部の温度に固有の輻射赤外光を分析することによって、各検出部の温度を的確に検出できる。
【0016】
以上の構成を備えるバイオアッセイ装置によれば、基板上で行われる物質間相互反応が一律ではない場合において、即ち、複数種の検出用物質を基板上に整列させて網羅的な相互反応作用解析を行う場合において、各検出用物質と標的物質との間の特異的な相互反応にそれぞれ特有の反応条件を選択し、基板上のすべての物質間相互反応を効率よく進行させることができる。
【0017】
例えば、Tm(melting Temperature)又はGC含有率が揃っていない、検出用物質であるDNAプローブが、二次元の平面的な広がりを持つ基板表面上に多数配列された構成の従来のDNAチップにおいては、検出用ヌクレオチド鎖をTm又はGC含有率の違いに基づいて基板上にグルーピングして固定化しておき、その上で、前記Tm又はGC含有率に対応する好適な塩溶液の濃度や温度条件等を基板上のグループ毎に設定することによって、各検出部において、アクティブなハイブリダイゼーションを進行させることができる。この結果、解析作業時の偽陽性又は偽陰性を示す危険性を大幅に低減させることができる。
【0018】
ここで、本発明に係るバイオアッセイ装置において採用できる基板は、狭く限定されないが、特に好適には、例えば、直径2〜10cm程度であって、前記検出部の位置情報と回転同期情報を提供できる構成の円盤状基板を採用できる。この基板では、検出用物質を固相化できる検出表面、該検出表面を備える検出部、該検出部の集合である検出部グルーブを多数集積できるという利点がある。即ち、記録情報の集積量が多いDNAチップやバイオセンサーチップ等を提供できる。
【0019】
また、前記円盤状基板では、位置情報と回転同期情報に基づいて、検出用物質含有溶液並びに標的物質含有溶液を所定の検出部又は検出部群に、正確に追従させて滴下することができる。なお、前記滴下手段としては、例えば、インクジェットプリンティング法又はマイクロメカニカルスポッティング法等を採用でき、これらの方法は、基板上の検出部位置に正確に追従させながら、検出用物質を含む微小滴並びに標的物質を含む微小滴を、正確に滴下することができる。
【0020】
なお、「インクジェットプリンティング法」は、インクジェットプリンターで用いられるノズルを応用する方法であって、電気を用いてインクジェットプリンターのようにプリンターヘッドから基板に検出用物質を噴射し、固定する方法である。この方法には、圧電式インクジェット法、バブルジェット(登録商標)法、超音波ジェット法がある。圧電式インクジェット法は、圧電体にパルスを印加することによって生じる変位の圧力によって液滴を飛ばす方法である。通常のバブルジェット(登録商標)法は、熱方式であって、ノズル中のヒーターを熱して発生させた気泡の圧力によって液滴を飛ばす方式である。ノズル内にヒーターとなるシリコン基盤を埋め込み、約300℃/sで制御して一様な気泡を作成し、液滴を押し出す。しかしながら、高温に液体が曝されることになることから、生体物質試料には適さないと考えられる。超音波ジェット法は、超音波ビームを液体の自由面にあてて、局所的に高い圧力を与えることによってその箇所から小滴を放出させる方式である。ノズルを必要とせず、高速で直径約1μmの小滴を形成できる。
【0021】
本発明においては、「インクジェットプリンティング法」として、「圧電式インクジェッティング法」のように、サンプル液への熱影響が少ない方法を好適に採用できる。印加するパルスの形状を変えることによって、液滴(微小滴)のサイズを制御することができるので、解析精度向上に好適である。液滴表面の曲率半径が小さいときは液滴を小さくし、液滴の曲率半径が大きいときは液滴を大きくすることができる。また、パルスを急激に負の方向に変化させることにより液滴表面を内側に引っ張り、曲率半径を小さくすることも可能である。
【0022】
「マイクロメカニカルスポッティング法」は、マイクロスポッティングペン、キャピラリー(細管)、あるいはピンセットを装着させたプリントヘッドを用いて、検出用物質を含む微小滴を基板上の検出表面部位にスポットしていく方法である。
【0023】
以上のように、本発明は、従来のDNAチップやプロテインチップその他のセンサーチップは、統一された反応条件下で基板上のすべての物質間相互反応を行う構成であったので、反応効率が悪く、偽陽性又は偽陰性を示す可能性が高かったという問題を解決できる新規バイオアッセイ装置を関連業界に提供するという技術的意義を有している。
【0024】
以下、本願における主要な技術用語の意味について説明する。
【0025】
また、「相互反応」は、水素結合を含む化学結合に基づく、ハイブリダイゼーション、抗原抗体反応、酵素応答反応等の物質間の相互反応作用を広く包含する。一本鎖ヌクレオチド鎖である検出用物質と一本鎖ヌクレオチド鎖である標的物質との間のハイブリダイゼーションである場合に特に好適であるが、これに限定されない。
【0026】
「検出表面」は、所望の標的物質をカップリング反応等によって固定化できる好適な表面処理が施された表面部位を意味する。一例を挙げれば、ストレプトアビジンによって表面処理された検出表面の場合には、ビオチン化されたヌクレオチド鎖の固定化に適する。「反応領域」は、ハイブリダイゼーションその他の物質間相互反応の場を提供する区画された、溶液を貯留可能な領域又は空間である。
【0027】
「検出用物質」とは、前記検出表面に直接的に、又はリンカーを介して間接的に固相化される、ヌクレオチド鎖、ペプチド、タンパク質、脂質、低分子化合物、リポソームその他の生体物質等を広く包含し、狭く解釈されない。「標的物質」は、前記検出用物質と特異的な相互反応を示す低分子、高分子及び生体物質等を広く包含し、狭く解釈されない。
【0028】
なお、本願において、「ヌクレオチド鎖」とは、ヌクレオチドが重合したDNAプローブを含むオリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、プリンヌクレオチドとピリミジンヌクレオチオドが重合したDNA(全長あるいはその断片)、逆転写により得られるcDNA(cDNAプローブ)、RNA、ポリアミドヌクレオチド誘導体(PNA)等を広く含む。
【0029】
なお、一本鎖の場合は、一本鎖の標的ヌクレオチド鎖とのハイブリダイゼーション反応に基づく分析を行う。二本鎖の場合は、タンパク質とDNA(特定の配列部位)との反応に分析を行うことができ、例えば、転写因子であるホルモンレセプター等のレセプター分子と応答配列DNA部分の結合等を分析することができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に基づき、本発明に係るバイオアッセイ装置の好適な実施形態について説明する。まずは、図1に基づいて、本装置に特に好適に使用できる基板について説明する。
【0031】
図1において符号1で示される基板は、CD、DVD、MD等の光情報記録媒体に用いられる円盤状基板(ディスク)に採用される基材から形成されている。
【0032】
前記基材は、石英ガラスやシリコン、ポリカーボネート、ポリスチレンその他の円盤状に成形可能な合成樹脂、好ましくは射出成形可能な合成樹脂によって円盤状に形成されている。なお、安価な合成樹脂基板を用いることで、従来のガラスチップに比して低ランニングコストを実現できる。
【0033】
この基板1の一方の表面には、反射膜である厚さ40nm程度のアルミ蒸着層が形成されており、該層は反射膜として機能している。この反射膜は、屈折率1.5以上の基盤単体からの表面反射4%以上とする。この反射膜の上層には、透明なガラスや透明樹脂等からなる光透過層が成膜されている。
【0034】
なお、基材が高反射率の材料である場合には、基材表面自体が反射面として機能するので前記反射膜は形成しなくてもかまわない。金属膜などの高反射率膜を形成することにより、蛍光標識された標的物質の蛍光強度を検出することもできる。
【0035】
ここで、前記光透過層には、基板1の中心の周辺領域から上方視放射状に延びるように、符号2で示される検出部が多数整列されて配設されている。図2は、この検出部2の一つを拡大して示す外観斜視図である。なお、以下、検出用物質、標的物質ともに一本鎖のヌクレオチド鎖である場合を代表例として説明するが、これに限定する趣旨ではない。なお、基板1の形態は、円盤状に限定されることはない。
【0036】
検出部2には、符号Dで示す検出用ヌクレオチド鎖の末端部位が固定できるように表面処理が施されている検出表面21と、この検出表面21に予め固定された検出用ヌクレオチド鎖Dと続いて滴下されてくる標的ヌクレオチド鎖Tとの間のハイブリダイゼーション反応の場を提供する反応領域22と、を備えている。ここでは、反応領域22は、上方に開口する上方視矩形状のセル、例えば、深さ1μm、長さ100μm、幅50μのセルとして形成されているが、図示された形状、サイズに限定されない。なお、図1中の符号Nは、検出部2に反応溶液Sを滴下するためのノズル先端部位を表している。
【0037】
検出表面21は、DNAプローブ等の所望の検出用物質Dを固相化するために好適な表面処理が適宜選択されて施されている。例えば、アミノ基含有のシランカップリング剤溶液やポリリシン溶液で表面処理され得る。合成樹脂製基板であれば、その表面をプラズマ処理及びDUV(DeepUV、深紫外)照射処理後、アミノ基含有シランカップリング剤溶液で処理され得る。また、表面に銅、銀、アルミニウム又は金をスパッタして成膜して、その表層にアミノ基、チオール基、カルボキシル基等の官能基(活性基)を有する物質やシステアミン、ストレプトアビジン等をコートしてもよい。また、検出表面には、必要に応じて検出用物質を固相化するためのリンカーを結合させておいてもよい。ストレプトアビジンによって表面処理された検出表面21の場合には、ビオチン化されたヌクレオチド鎖末端の固定化をできる。
【0038】
基板1の回転方向には、予め光ディスクマスタリングプロセスにより形成された多数のアドレスピット(図示せず)が形成され、検出部2の位置情報手段としての役割を果たす。ここで、基板1の位置情報及び回転同期情報について説明すると、基板1を光ディスクとして考えた場合、滴下検出位置である検出部2をユーザーデータ領域と考え、他の領域は、サンプルサーボ方式等により同期ピットを配列し、かつトラッキングサーボとしても利用し、更に、直後にアドレス部(ディスク上の地理的な番地)を挿入することによって位置情報を与える。アドレス部は、先頭パターンであるセクターマークから始まり、実際に回転しているディスクの回転位相を与えるVFO(Variable Frequency Oscillator)とアドレスデータの開始位置を与えるアドレスマークとトラックとセクタのナンバーが入ったID(Identifer)などが組み合わされてなる。以上の構成により、円盤状の基板1は、光学的に記録情報の読み取りが可能となる。
【0039】
次に、図3、4に基づいて、上記構成を備える基板1を用いる、本発明に係るバイオアッセイ装置Uの好適な実施形態について説明する。なお、図3は、同バイオアッセイ装置Uの全体構成を表す図、図4は、同装置Uの「反応溶液選択手段」の基本構成を表す図である。
【0040】
まず、本発明に係るバイオアッセイ装置Uは、上記構成を有する基板1を用いて行い、この基板1を回転可能に支持する基板回転手段3と、この基板回転手段3によって前記基板1を回転させながら、検出用物質含有溶液Sd並びに標識ターゲット物質含有溶液Stを、所定位置の検出部2に対して、所定の順序、タイミングで滴下する手段である滴下装置4を備える。
【0041】
そして、前記滴下装置4と前記基板1との間の距離を一定に保持するためのフォーカスサーボ機構(図示せず。)と、基板1からの位置情報と回転同期情報に基づいて、前記サンプル溶液Sd又はStの滴下を基板1の検出部2に追従させるトラッキングサーボ機構(図3において図示せず。)を備えている。なお、フォーカスサーボ機構並びにトラッキングサーボ機構の具体的構成は、周知構成の中から適宜選択可能である。
【0042】
次に、本装置Uには、反応溶液選択手段5と加温手段6が設けられている。以下の説明においても、検出用物質D及び標的物質Tは、ともにヌクレオチド鎖を代表例として説明するが、両物質D、Tはこれに限定する趣旨ではない。
【0043】
まず、反応液選択手段5は、複数の液槽(ここでは、3つの液槽)51,52,53が配設されている反応液貯留部54を備える。この反応液貯留部54は、検出部2(の検出表面21)に固定された状態の検出用ヌクレオチド鎖Dと標的ヌクレオチド鎖Tとの間の好適な相互反応(ここでは、ハイブリダイゼーション)に関する条件情報が予め記憶されている制御部Cから送信される信号化された前記情報Xに基づいて、前記液槽51、52、53にそれぞれ貯留された反応液S,S,Sのいずれかを選択し、滴下装置4に送液する。そして、滴下装置4は、基板1に対向するように配設されたノズルN(N,N,N)から、目標の検出部2の反応領域22に向かって、反応液S,S,Sを滴下命中させる。
【0044】
ここで、反応液選択手段5とその関連手段を示す図4に基づいて説明する。まず、反応液S,S,Sは、それぞれ塩組成、塩濃度等の溶液条件が異なっている。これらの反応液S〜Sは、検出部2に固定された状態の検出用物質D〜Dが相補鎖の一方となって進行するハイブリダイゼーションにそれぞれ好適な溶液条件とされている。
【0045】
従って、検出用物質Dが固定されている検出部201には反応液S、検出用物質Dが固定されている検出部202には反応液S、検出用物質Dが固定されている検出部203には反応液Sが、それぞれ滴下される。
【0046】
このようにして、基板1の検出部201〜203では、別個独立に設定された好適な反応液条件の下で、ハイブリダイゼーションが効率よく、短時間で進行する。ここで、反応液Sの種類は、上記構成では3種類としたが、これに限定する趣旨ではなく、反応液Sの種類数は必要に応じて選択決定することができる。
【0047】
なお、用意された反応液Sの種類数が多い程、より多くの種類の検出用ヌクレオチド鎖Dに対応できる好適な条件をきめ細かく設定することができることから、網羅的で、かつ高精度な遺伝子解析等を行うことが可能となる。また、反応液Sの溶液条件設定は、塩組成や塩濃度のみに限定するものでなく、至適pH等を含めて、物質の種類や相互反応の種類に応じて自由に選択できる。
【0048】
続いて、本装置Uに設けられる加温手段6の好適な実施形態について、再び図3に基づいて説明する。
【0049】
加温手段6は、基板1に配設された検出部2又はグルーピングされた所定範囲の検出部2群を単位として、反応温度条件を自在に設定及び制御できるように工夫された装置である。
【0050】
例えば、ハイブリダイゼーションは、塩基配列のGC含有率に依存して至適反応温度が異なることが知られている。このため、各検出部201〜203(の検出表面21)にそれぞれ固定された状態の検出用ヌクレオチド鎖D〜Dが、それぞれ相補鎖の一方となって進行するハイブリダイゼーションを効率良く行うには、検出用ヌクレオチド鎖D〜Dについて、それぞれの至適反応温度の下でハイブリダイゼーションを進行させる必要がある。そこで、本発明では、検出部201〜203について、異なる温度設定ができるように工夫した。なお、温度条件は、40〜70℃の範囲であれば、ハイブリダイゼーションの至適温度条件をほぼ保持できる。
【0051】
具体的に説明する。まず、制御部Cから送信されてくる所定の制御信号Yによって作動するドライバ601によって制御されるIRレーザーダイオード602を設ける。
【0052】
このレーザーダイオード602から出射された赤外光Pをコリメーターレンズ603で平行光に変換し、該平行光をハーフミラー604によって90°反射させる。そして、更に前方のミラー605で再び上方に向けて90°反射させ、基板1の下方位置において、アクチュエータ606によって可動できるように保持されている集光レンズ607に入射させる。
【0053】
集光レンズ607で集光された赤外光Pを、目標の検出部2を狙って照射することによって、当該検出部2に滴下、貯留された反応液Sを目標の至適反応温度にまで加温する(赤外光照射手段)。なお、赤外光Pの照射は、基板1の下方側(図3参照)からだけでなく、基板1の上方側からでもよい。
【0054】
続いて、図3中において符号7で示される温度検出手段について説明する。
【0055】
基板1に照射された赤外光Pから得られる、符号Pで示される反射光(赤外光Pが基板下方側から照射される場合)又は透過光(赤外光Pが基板上方側から照射される場合)を前記集光レンズ607によって平行光に変換した後に前記ミラー605で90°反射させる。
【0056】
続いて、前記ハーフミラー604を通過した赤外光Pを、ミラー701で90°反射させた後にレンズ702によって集光し、フォトマル等のディテクター703で受光する。そして、ディテクター703から送られてくる信号を解析部704で分析して反応液Sの温度を推定し、それを信号Zとして前記制御部Cに送る。
【0057】
制御部Cでは、前記信号Zに基づく制御信号Yを前記ドライバ601に送信することによって、該ダイオード602からの加温用赤外光Pの出射量(光量)を制御し(増減し)、目的とする至適反応温度をより的確に得るようにする。即ち、基板1への赤外光Pの照射によって発生する反射赤外光(又は透過赤外光)Pを用いて、照射された検出部2の反応液Sの温度を推定し、赤外光Pの照射による加温条件を制御することができる。
【0058】
また、本発明では、加温条件の制御を、温度検出対象の検出部2から輻射される赤外光に基づいて行うこともできる。即ち、検出部2から輻射された温度固有の波長を備える赤外光をディテクター703で受光し、このディテクター703から送られてくる信号を解析部704で分析して反応液Sの温度を推定し(温度検出手段)、それを信号Zとして前記制御部Cに送る。制御部Cでは、前記信号Zに基づく制御信号Yを前記ドライバ601に送信することによって、該ダイオード602からの加温用赤外光Pの出射量(光量)を制御し(増減し)、目的とする至適反応温度をより的確に得ることができる。即ち、この輻射赤外光を用いる方法では、加温と温度検出を別個独立の系で行うことができる。
【0059】
なお、加温用の赤外光Pの出射量(光量)を制御する方法に変えて、時間制御も採用できる。例えば、パルス幅変調(PWM)、パルス振幅変調(PAM)による制御を採用できる。
【0060】
上記したように、各検出部2(201,202,203)で効率良く、ハイブリダイゼーション等の相互反応を進行させた後は、各検出部2に対して、(図3では図示しない)光源602とは別に設けられた光源から所定波長の励起光を照射することによって、蛍光標識された標的物質Tから発せられる蛍光や反応物質に介在するインターカレータ等からの蛍光を受光手段で捕捉し、その蛍光強度を検出することによって、検出用物質Tと標的物質Tとの間の相互反応を、偽陽性又は偽陰性なく検出し、解析できる。
【0061】
なお、本発明は、上記実施形態に狭く限定されることはなく、検出部2の加温手段は、所定の温度範囲に制御できる手段であれば適宜採用できる。また、検出部2は、図1、図2等に示されたようなセル構造に限定されない(なお、セル構造は別個独立の反応領域22において温度制御が可能であるという利点がある)。更に、検出部2が形成される基板1は、円盤状に限定されず、目的に応じた形態を採用できる。そして、検出部2におけるハイブリダイゼーションの検出は、慣用の方法を適宜採用できる。
【0062】
【発明の効果】
本発明に係るバイオアッセイ装置によれば、基板上に配設された検出部での物質間相互反応が一律ではない場合において、即ち、複数種の検出用物質を基板上に整列させて網羅的な相互反応作用解析を行う場合において、各検出用物質と標的物質との間の特異的な相互反応にそれぞれ特有の反応条件を選択できるように工夫されているので、基板上のすべての物質間相互反応を効率よく進行させることができる。
【0063】
(2)本発明に係るバイオアッセイ装置は、遺伝子の変異解析、SNPs(一塩基多型)分析、遺伝子発現頻度解析等に利用でき、創薬、臨床診断、薬理ジェノミクス、法医学その他の分野において広範囲に活用でき、また、抗原抗体反応の検査、内分泌攪乱物質の検定等に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るバイオアッセイ装置に好適に採用できる基板(1)の外観斜視図
【図2】同基板(1)の検出部2の一つを拡大して示す外観斜視図
【図3】同バイオアッセイ装置(U)の全体構成を表す図
【図4】同装置(U)の反応溶液選択手段(5)の基本構成を表す図
【符号の説明】
1 基板
2(201,202,203) 検出部
5 反応液選択手段
6 加温手段(レーザー光照射手段)
7 温度検出手段
21 検出表面
22 反応領域
C 制御部
D(D,D,D) 検出用物質(検出用ヌクレオチド鎖を含む。)
S(S,S,S) 反応溶液
T 標的物質(標的ヌクレオチド鎖を含む。)

Claims (5)

  1. 検出用物質を固定化するための検出表面と、該検出表面に固定された状態の前記検出用物質と標的物質との相互反応の場を提供する反応領域と、を少なくとも備える検出部が設けられ、前記検出部の位置情報と回転同期情報を提供でき、基板回転手段により回転可能に支持される円盤状基板に対して、
    前記検出部単位に、予め用意された複数種の反応溶液の一種を選択し、前記検出部の位置情報と回転同期情報に基づいて前記検出部に反応溶液を滴下する滴下装置に、選択した反応溶液を送液する反応溶液選択手段と、
    前記基板から独立して設けられ、反応温度条件を前記検出部単位に選択し、前記検出部単位で照射範囲を選択してIRレーザー光を照射する加温手段と、
    前記検出用物質と前記標的物質との間の至適反応条件に基づいて、前記加温手段を制御する手段と、
    前記検出部の反応溶液の温度を検出する温度検出手段と、を備えるバイオアッセイ装置。
  2. 前記温度検出手段は、前記検出部から複写される赤外光を受光することにより検出する手段であることを特徴とする請求項1記載のバイオアッセイ装置。
  3. 前記加温手段の温度制御は、前記検出部に照射されるレーザー光の光量を調節することにより行われることを特徴とする請求項1記載のバイオアッセイ装置。
  4. 前記検出部は、ウェル構造であることを特徴とする請求項1記載のバイオアッセイ装置。
  5. 前記相互反応は、ハイブリダイゼーションであることを特徴とする請求項1記載のバイオアッセイ装置。
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