JPWO2005056145A1 - 生物学的チップおよびその利用 - Google Patents

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Abstract

円盤もしくは円筒型支持体の外周側壁上に核酸、ペプチド、糖類、脂質、各種化学物質またはその断片からなるプローブを固定配置したことを特徴とする生物学的チップを構成し、この円盤もしくは円筒の回転により、外周側壁上に配列された複数のプローブ群から得られる計測情報を大量迅速に取り込むことにした。また、円盤もしくは円筒を数多くの薄板としたり、複数の薄板を積層することにより、大量のチップあるいは大容量チップを一括生産することにした。血液検査にはチップ上に孵卵槽を並べた生物学的チップを構成することにより、システムの簡略化と小型化、省資源を実現することにした。

Description

本発明は、生物学的、生化学的分子間反応を利用して、遺伝子型、遺伝子発現レベル、リガンドーレセプター関係、酵素活性、生体内物質含量など多彩な生命現象の成因と発現様式を解明する生物学的チップとその利用に関する。
医療やバイオテクノロジー分野において生物のゲノム、プロテオーム、トランスクリプトームなどの検討が活発になってきた。生命活動は単純な化学反応の組み合わせでは決して表現し尽くせない多彩かつ複雑な事象であるが、可能な限り生命現象の本質に近づくためには同時に多種大量の分子情報を獲得することが必須である。
よって、遺伝子の配列や発現を一括評価するためのDNA、プロテインチップを含む生物学的チップとこれらの計測系が実用化されている。このような生物学的チップの例としては、米国特許公報5744305号に記載されているチップを挙げることができる。
通常DNAチップ は、DNAプローブの1つである所定の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを適当な間隔で、板状の基板にスポット状に固定化したものである。
支持体(板状の基板)としては、ガラス基板、シリコン基板、プラスチック基板などが用いられている。これらのうちもっとも広く用いられているのは、顕微鏡用のスライドガラス支持体である。
一つのDNAチップ全体では、プローブであるスポットは50μm〜500μmの間隔で平面上にマトリクス状に配列されている。各スポットに含まれるオリゴヌクレオチドは、スポット毎に互いに異なるヌクレオチド配列を有している。
支持体上にオリゴヌクレオチドを設置する方法としては、基板上で一塩基ずつ、オリゴヌクレオチドを伸長させながら固定化する方法と、あらかじめ別途合成させておいたオリゴヌクレオチドを基板上に固定化する方法がある。前者の代表的な方法は、フォトリソグラフィー技術であり、後者の方法にはメカニカルマイクロスポッティング技術がある。インクジェット技術はどちらの方法にも使用される。
フォトリソグラフィー技術は、(Fordor等、Science,251号、767頁(1991年)参照)光反応性保護基を利用する。以下、フォトリソグラフィー技術によるスポット(プローブ)形成について説明する。
まず、基板全面に前記光反応性保護基を有するアミノ基を固定化させておく。次に、所望の塩基を結合させたいスポットにのみ、通常の半導体製造プロセスで使用されるフォトリソグラフィー技術を使って、選択的に光照射を行う。光を照射されたスポットでは、光反応性保護基とアミノ基との結合が切れてアミノ基だけが残る。ここに、同じ保護基を末端に有する所望の塩基を結合させる。そして、フォトマスクの形状を変更して、別のスポットに選択的に次の光照射を行う。このあと、同様にして、保護基を有する塩基を結合させる。この一塩基伸長させる工程を全スポットにおいて、所望の塩基配列が得られるまで繰返すことによって基板上に互いに異なる複数のオリゴヌクレオチドが整列配置される。
一方、インクジェット法は、熱、圧電効果を利用し非常に小さい液滴を2次元平面の所定の位置に射出する技術である。DNAチップの製造では、液体チャンバーに接続された圧電素子に電圧を加えることにより、圧電素子の体積の変化によってチャンバー内の液体が接続されたキャピラリーから液滴となって射出される。射出される液滴の大きさは、キャピラリーの径、圧電素子の体積変化量、液体の物理的性質によって決定される。
インクジェット装置を使ったDNAチップ製造装置は、インクジェット装置とDNAチップ基板とを相対運動させることにより、DNAチップ上の所望のスポットに所望の液滴(例えばある種の塩基など)を滴下することができる。インクジェット装置を使ったDNAチップ 製造装置には、大きくわけて2種類ある。1つは1台のインクジェット装置を用いたDNAチップ製造装置であり、もう1つはマルチヘッドのインクジェット装置を用いた方式である。
1台のインクジェット装置を用いたDNAチップ製造装置は、オリゴマー末端の保護基を除去する試薬を所望のスポットに滴下する構成になっている。所望の塩基を導入したいスポットの保護基を、このインクジェット装置を用いて除去して活性な状態にした後、DNAチップ全体に所望の塩基の結合反応操作を実施する。この際、インクジェット装置からの試薬の滴下によって、末端が活性化したオリゴマーを持つスポットのみに所望の塩基が結合する。この後、新たに付加した塩基の末端を保護する操作を行う。次に、保護基を除去するスポットを変更してこの操作を所望のヌクレオチド配列が得られるまで繰返す。
マルチヘッドのインクジェット装置を用いたDNAチップ製造装置は、各塩基を含む試薬毎にインクジェット装置を用意することによって、各スポット毎に所望の塩基を直接結合させることができる構成になっており、前述した1台のインクジェット装置を用いたDNAチップ製造装置よりも高いスループットが得られる。
また、あらかじめ合成したオリゴヌクレオチドを基板に固定化させる方法のうち、メカニカルマイクロスポッティング技術は、ステンレス製のピンの先端についたオリゴヌクレオチドを含む液体を機械的に基板上に押し付けて固定化していく技術である。マイクロスポッティング後には、UV光による固定化等の後処理が行われる。
以上のようにして作製されたDNAチップを用いて、次のようにして検査対象の注目部位のヌクレオチド配列を計測する。
前述のようにオリゴヌクレオチドプローブが固定化されたDNAチップにサンプルDNAやRNAを添加する。検体であるDNA、RNAは、あらかじめ増幅され、蛍光物質によるラベルが施されている。
液相下において、サンプル中のDNA配列がDNAチップに固定化されたオリゴヌクレオチドの配列と相補関係(アデニンとチミン、シトシンとグアニン間の対応関係)にあると、検体中の塩基とチップ上の塩基間に水素結合による部分二重鎖が形成される。すなわちハイブリダイゼーションを生ずる。
ハイブリダイゼーションの後、捕らえられなかったサンプル中のDNAを洗浄、除去する。これにより、サンプル中のDNAのうち、プローブオリゴヌクレオチドと相補的な配列を有するもののみがプローブ存在部位で蛍光を発生する。ラベリングには、蛍光物質の他に放射性同位元素を使用することもある。
ハイブリダイゼーションの結果は、アレイ リーダーにより、各プローブ存在領域の蛍光強度を測定して定量する。アレイ リーダーの測定方式には、大きくわけて二種類ある。CCDカメラを使用して同時に複数スポットの蛍光強度を測定する方式と、コンフォーカルレーザ顕微鏡を使用して生物学的チップ 上を2次元走査して測定する方式とである。コンフォーカルレーザ顕微鏡の光検出器には、光電子倍増管や、アバランシェフォトダイオードが使用されている。
照射した励起光の強度に較べて、検体にカップルした蛍光物質からの蛍光強度は有意に小さいので、測定にはダイクロイックミラーによる波長分離や、励起光と蛍光を空間的に分離するビームスプリッタが使用される。蛍光強度の測定は、強度の校正が不要なことから、2波長以上で行われることが一般的である。CCDカメラを用いた方式では、励起光の光源にランプを使用し、広い面積を1度に励起する。コンフォーカルレーザ顕微鏡を使用する方式では、励起光の光源にレーザを使用し、集光したレーザスポットの内部のみを励起する。
従って、CCDカメラを用いた方式では、約1平方cm程度の広い領域を1度に測定できるのに対して、コンフォーカルレーザ顕微鏡を用いた方式では、1度に直径5〜30μm程度の領域しか測定できない。また、コンフォーカル方式では、DNAチップまたは、顕微鏡ヘッドの2次元走査が必要となるため、読み取りのスループットが低下する。この2次元走査は、基板の載ったステージをXとYの2軸方向に走査することで実現する。典型的な走査時間は、20mm×60mmの領域を10μmの解像度でスキャンした場合で5〜15分程度必要である。
一方、コンフォーカル方法では、蛍光発生深度の絞り込みによって、ノイズ光やフレアを取り除くことができ、CCD方式に比較して高いS/N比が得られる。
測定されたDNAチップ上の蛍光強度分布は16ビット程度の情報量を有する2次元の画像データとして出力される。この際、画像判定を容易にするために、擬似色付け処理が行われる場合もある。出力された画像内で蛍光強度が高いスポットは、検体中に該スポットのオリゴヌクレオチドの配列と相補的なcDNA配列が多く含まれていることを示す。したがって、どのスポットの蛍光強度が大きいかによって検体に多く発現した遺伝子群を調べたり、注目遺伝子のヌクレオチド配列を知ることができる。
プロテインチップとしては、レセプターとリガンド関係、抗原と抗体関係、酵素と基質関係、薬剤と作用点分子関係、など様々な様態への応用が試行されているが、二次元平面にプローブをならべたり、一次元的にプローブを展開したものが多く、反応条件、計測手技の煩雑さや評価方法についても問題点がある。
血液生化学領域でのアッセイではオートサンプラーによるサンプルと試薬の混合とライン制御による搬送系と計測系のすべてを備える場合が多く、大容量の血液、高価で複雑な機材や多量の試薬を要し、大量の廃棄物を発生する問題がある。
−発明が解決しようとする課題−
従来の生物学的チップでは主として平面上に展開されたマトリックス構造を形成し、基本的にシングルチップ毎に作成する手間をかけるため、チップ製造段階に多大な資源や作業、時間を要している。また、同じ手順を踏む解析システムでも、高速で精度の高い計測が困難であった。本願では大量かつ安価に生産可能であり、計測解析においても高性能でハイスループットな生物学的チップおよびそれを利用したシステムを提供することを課題とする。また、各種血液検査にはオートアナライザーが用いられるが、機器が高価であり、故障も避けがたいうえに、試薬の使用量も大量である。従って、省経費と省資源の観点から、生物学的チップによるあらたな血液検査システムを創出することをさらなる課題とする。
本発明の第1の生物学的チップは、支持体と該支持体表面に固定された生物由来の物質または擬似生物由来物質であるプローブとを有する生物学的チップであって、前記支持体は、円柱あるいは円筒形状であり、前記プローブは、核酸、ペプチド、糖類、脂質および細胞からなる群から選ばれた1つの物質あるいは当該物質の断片からなり、前記支持体の外周側壁上に固定されている。擬似生物由来物質としては、合成DNA、合成RNA、合成ペプチド、合成ポリヌクレオチド、合成糖鎖およびこれらの複合体を含む機能物質などを挙げることができる。ここで、生物由来の物質は、その起源が微生物、リガンド、ヌクレオチド、抗体、抗原、蛋白質、ペプチド、炭水化物、多糖類、受容体、薬剤標的、植物あるいは動物細胞、細胞小器官、細菌、病原菌、抗生物質、薬剤、毒物、天然生成物、試験化合物及びこれらの断片からなる群から選択される対象物質に由来するものであることが好ましい。また、プローブは、印刷、描画、吹き付け、張り付け、巻き付け、吸着、各種化学反応または当該部位における合成により支持体に固定されることが好ましい。また、この生物学的チップを中心軸に垂直に切断することにより複数の第2の生物学的チップを作成してもよい。
さらに前記プローブが固定されている前記支持体の表面上の位置を示すインデックスマークを有することが好ましい。
ある好適な実施形態において、前記インデックスマークは複数存しており、前記プローブは複数存しているとともに前記支持体への固定位置も複数存しており、前記プローブの固定位置は複数の集合に分割されており、前記各集合が前記インデックスマークによって互いに識別されるように、当該インデックスマークが前記支持体の所定位置に設けられている。
前記プローブは複数存しており、少なくとも1つの内部標準プローブ含んでいることが好ましい。ここで内部標準プローブとは、生物学的チップと反応させるサンプル溶液に添加しておく内部標準物質とのみ反応し、サンプル物質とは反応しないプローブである。
本発明の生物学的チップ積層体は、前記の生物学的チップを複数積み重ねた生物学的チップ積層体であって、前記円柱あるいは円筒の中心軸が互いに略一致するように前記複数の生物学的チップを積み重ねたことを特徴とする。
隣り合う2つの前記生物学的チップの間にはスペーサが設置されていることが好ましい。
本発明のインキュベータは、少なくとも1つの前記プローブと反応を行う検体と、前記の生物学的チップまたは前記の生物学的チップ積層体とを接触させて該プローブと該検体との反応を行わせるインキュベータであって、前記生物学的チップまたは生物学的チップ積層体を、前記円柱あるいは円筒の中心軸を略水平にして保持するとともに当該中心軸の周りに回転させ、前記検体の溶液に前記生物学的チップまたは生物学的チップ積層体の鉛直下方に位置する一部を浸漬する。
本発明の第1の計測装置は、前記の生物学的チップまたは前記の生物学的チップ積層体上の前記プローブに結合した分子の物理的性質、化学的性質及び生物学的性質のうちの少なくとも1つを計測する計測装置であって、計測部位が前記円柱あるいは円筒の外周側壁に沿って且つ当該円柱あるいは円筒の中心軸の周りに回転する。ここで物理的性質とは発光の強さや吸光度、電導度などであり、化学的性質とは特定の試薬との反応性など、生物学的性質とは所定の酵素による産生物の種類などを例示できる。
本発明の第2の計測装置は、前記の生物学的チップまたは前記の生物学的チップ積層体上の前記プローブに結合した分子の物理的性質、化学的性質及び生物学的性質のうちの少なくとも1つを計測する計測装置であって、前記生物学的チップまたは生物学的チップ積層体を前記円柱あるいは円筒の中心軸の周りに回転させて計測する。
計測結果を各プローブ固有の生物学的意義と照合して、評価結果を表示することが好ましい。また、前記生物学的チップ積層体の計測において、複数の生物学的チップのプローブ部を同時に計測することが好ましい。
計測部位と前記生物学的チップまたは生物学的チップ積層体との間に介在物を有することが好ましい。介在物としては、膜、板、棒、粉体などを挙げることができるが、特に膜が好ましい。ここで膜とは、感光性素材、輝尽発光体、発光体と感光素材のコンポジットまたはフィルターであることが好ましい。
本発明の第2の生物学的チップは、円柱あるいは円筒形状の支持体と、前記支持体の外周上に設けられている複数の容器とを備えている。この容器は孵卵槽であることが好ましい。ここで容器中で反応を行った後に、容器中の反応物質を顕微測光方式およびコンフォーカル方式の少なくとも一方による吸光度計測を行うことが好ましい。この場合、容器が透光性であると、容器外から計測を行うことができ好ましい。
前記容器は前記支持体に着脱自在に設けられていることが好ましい。
前記容器内部に測定試薬が収納されていることが好ましい。
ある好適な実施形態において、前記測定試薬は固体である。
前記測定試薬は、GOT,GPT、LDH,CPK,ALP,γGTP、LAP、BUN、CRE、Ch−E、Na、K、Cl、Ca、P、Fe、Mg、アンモニア、シアル酸、BS、HbA1C、アミラーゼ、ビリルビン、総蛋白、アルブミン、尿酸、コレステロール、中性脂肪、HDLコレステロール、LDL、CRP、ジゴキシン、テオフィリン、パルブロ酸、フェニトイン、甲状腺ホルモン、TSH、HBs抗原、HCV抗体、GH、LH、FSH、プロラクチン、ADH、ACTH、レニン活性、アルドステロン、ミオグロビン、ANP、BNP、エリスロポエチン、インスリン、PSA、CEA、CA19・9、AFPを含む分子および遺伝子からなる群から選ばれた物質と特異的に反応して当該物質の存否および量と活性とのうちいずれか一方を判定する試薬であることが好ましい。上記の群に含まれる物質以外でもヒトの疾病を発見する指標となる物質やヒトの健康状態の良否を示す指標となる物質と特異的に反応して当該物質の存否および量と活性とのうちいずれか一方を判定する試薬であってもよい。
前記複数の容器の内少なくとも1つの容器の内部に複数種類の前記測定試薬が収納されていることが好ましい。
前記容器の外面には当該容器を他の容器から識別するための識別記号が付されていることが好ましい。例えば患者ID情報と計測物質の種類、計測日時を登録しておけば有用である。
以上説明したように、本発明による生物学的チップは、円柱あるいは円筒の外周側壁をプローブや反応容器として利用しているので多種類のプローブや反応容器を一つのチップ上に容易に且つ短時間に製作することができるとともに、サンプルとの反応や反応後の測定も容易にかつ短時間で行うことができる。
第1の実施形態に係る円盤型生物学的チップの概略斜視図である。 第2の実施形態に係る多層の円盤型生物学的チップの概略斜視図である。 第3の実施形態に係る生物学的チップ積層体の概略斜視図である。 第2の実施形態に係る生物学的チップ積層体のインキュベータの概略図である。 (a)第4の実施形態に係る生物学的チップの模式図であり、(b)孵卵槽の待ち行列の模式図である。 第2の実施形態に係るDNAチップ読み取り装置の要部概略図である。 第2の実施形態に係る別のDNAチップ読み取り装置の要部概略図である。
まず本願の特徴を実施形態によって概観する。
ある実施形態においては、円盤もしくは円筒型支持体の外周側壁上に核酸、ペプチド、糖類、脂質、各種化学物質またはその断片からなるプローブを固定配置したことを特徴とする生物学的チップを作成し、この円盤もしくは円筒の回転により、外周側壁上に配列された複数のプローブ群から得られる計測情報を大量迅速に取り込むことを行う。また、円盤もしくは円筒を数多くの薄板としたり、複数の薄板を積層することにより、大量のチップあるいは大容量チップを一括生産することを行う。また別の実施形態では、血液検査においてチップ上に孵卵槽を並べた生物学的チップを使用することにより、システムの簡略化と小型化、省資源を実現する。
円盤もしくは円筒状構造体の外周側壁上において円盤あるいは円筒の中心軸と平行にプローブを線状に連続固定した後、続いて中心軸を中心として円盤もしくは円筒を一定の角度回転させる。そして、再び外周側壁上において該中心軸と平行に次のプローブを線状に連続固定してゆく。この作業を円盤あるいは円筒の回転が360度に達するまで反復することにより、単一工程で広い領域にわたり多種類のプローブ固定をおこなう。
事前に、円筒もしくは円盤を薄板積層構造としておいてプローブ固定後にこれをほぐせば、あるいはプローブ固定後の円筒もしくは円柱を薄切すれば、簡単に大量の同一構成のチップを得ることができる。
フォトリソグラフィーによりプローブを固定する場合も同様に、一種類の核塩基について、円盤あるいは円筒の中心軸に平行に光を照射して光反応性保護基を除去し、該円盤あるいは円筒を中心軸の周りに定められた角度または距離分を回転させる。そして再び光処理し、再度回転させる。この一連の作業を円盤あるいは円筒が一周するまで繰り返した後、光反応性保護基が除去された部分に特定の塩基を結合すればよい。この場合、光照射に用いるフォトマスクは直線状の一種類で済む。
塩基については、それぞれ光反応性保護基により保護されたアデニン、グアニン、シトシン、チミンを溶液中に分散してある4種類の連続書き込み用ユニットを代わる代わるライン上にもちこんで描画すればよい。同様に、平面上で作業する場合には、ロールに巻き込まれた短冊状または糸状の支持体を平面状に整列させて、短冊状または糸状の支持体の長手方向に直交する方向にプローブを固定してゆく。支持体の端までプローブを固定し終わったら、支持体を既定の距離分ずらしてからあらたなプローブを短冊状または糸状の支持体の長手方向に直交する方向に固定する作業を繰り返す。最後に短冊または糸を分離して、一工程で多数のチップ構成パートを作成する。このようにして平面もしくは円筒上に多種類のプローブ配列を形成できる。さらには、円盤あるいは円筒外周表面にプローブを形成する場合、同時に複数のプローブ固定装置を円盤あるいは円筒の中心軸に平行に特定の間隔をおいて移動させながら円盤あるいは円筒を回転させると、作業の効率を一層高めることになり好ましい。
また、多種類のプローブが固定された円盤もしくは円筒を何種類か積層して大情報量の生物学的チップを構成することも好ましい形態である。プローブ固定部位の配置と順序の同定のためには、円盤あるいは円筒にいくつかのラベリングを施すことが好ましい。積層の各層間における歪みやずれの修正のためには、円盤あるいは円筒にいくつかの切れ目か凹凸による噛み合わせを設けることが好ましい。各層間に異種素材のスペーサーまたはメッキ、スパッター等によるコーティングを設置して、各層の分離、識別、絶縁等を容易にすることも好ましい。
上記のような円盤もしくは円筒の外周側壁上において縦横にプローブが規則的かつ精細に配置された生物学的チップをサンプル液と反応させるとき、様々な反応過程において、従来のDNAチップのように平面上でインキュベートする場合と比べ、円盤もしくは円筒の回転を利用することにより少量のサンプルや液量で工程を賄うことのみならず、安定かつ高感度の計測を行うことが可能となる。
また、計測においても、円盤あるいは円筒上に配置されたプローブと検体との生物学的もしくは物理化学的反応の結果を、円盤あるいは円筒の回転、または円盤あるいは円筒の周辺に設置した計測器の円盤あるいは円筒周りにおける移動により解析する生物学的チップおよび計測機器をシステム構成することにより、従来法に比べて単純簡略かつ精緻に測定系を成立する事が出来る。
プローブと検体間における生物学的もしくは物理化学的反応の結果は、ディティクションチップによって計測すればよい。このディティクションチップは円筒あるいは円盤形状であってその外周側壁上に一つ以上の突起を設けたものとすることが好ましい。そして、この突起が円筒もしくは円盤状生物学的チップの外周側壁上におけるプローブに対向するように、ディティクションチップを該生物学的チップの近傍に設置することが好ましい。生物学的チップのプローブが該チップの中心軸方向において複数並んでいる場合は、ディティクションチップの突起はプローブの数に対応した数だけ設けられていて、各プローブと各突起とが一対一に対応して対向するように生物学的チップとディティクションチップとを向かい合わせて置くことが好ましい。さらには、生物学的チップとディティクションチップとの間にフィルター膜を介在させて、光学的、電気的、化学的、物理的、または生物的検出手段により解析する計測解析機器およびシステムを構成すれば平面状の生物学的チップを計測・解析するのと比べて精度と感度、操作の容易さの点で遙かに有用となる。
少なくとも、プローブとサンプルとの反応結果の計測においても、円盤もしくは円筒を軸を中心とした回転および中心軸に沿った直線運動のみの、シンプルな計測システムを構築できる。また、検体が多数となっても連続的に計測を継続することも可能となる。すなわち、円盤状の生物学的チップを複数重ねた積層構造においては、各層のプローブ配置部位を一直線上に整列させておけば、ラインスキャン方式で高速にデータアクイジションを行うことができる。さらに、上述の円盤もしくは円筒の外周側壁を用いる方式によれば、チップの回転と一直線移動の組み合わせのみで全プローブ領域のスキャンが容易にかつ高速に行うことができるので、サンプルとプローブの結合前のプレスキャン、サンプル結合時のアッセイスキャン、サンプル剥脱後のポストスキャンを速やかに行って、真のプローブへのサンプル結合をより忠実に反映している測定値の獲得ができる。
上述した方法によって獲得されて、解析されたプローブとサンプルとの各種反応結果は、個々の結果が単なる孤立した情報として存在するのでは殆ど意義を発揮できない。つまり上記の各種反応結果は、プローブ群固有の特性と照合して生物学的意義を検定導出する解析装置およびソフトウェア、また複数のサンプルとの反応結果を互いに比較することと連結して始めて、生命現象を理解して様々な介入手段を講ずる上で非常に重要な情報となる。すなわち、上記各種反応結果を優秀な情報解析システムと連結することはシステムの全体価値をはるかに高めることになる。さらに、多数のサンプルを取り扱う場合には複数の平行処理を同時に実行することが時間的また資源的な経費削減と正確な相対評価のために有用である。
生物学的チップを用いた検査において、血液生化学検査、すなわち酵素活性など反応過程または結果の判定に精細な定量や濃度評価を要する場合には、単にチップを液中に浸すのみでなく、反応に関与する溶液の正確な液量と物質濃度の設定が要求される。ことにチップというスモールスケールの反応系の場合は僅かな誤差も大きな計測値変動に帰結する。従って、均一の形状、均一容量かつ小容量の孵卵槽をチップの円周に規則的に配置することは、従来のオートサンプラー方式によってサンプルや反応液を注入して反応・計測する場合に比べて、極めて小さなシステム内で極少量のサンプルによって、正確かつ迅速な反応と結果検定を実行するために有用である。
このとき、反応計測システムを正確にかつ単純化するためには各種反応溶液を専用製造手段によって孵卵槽に事前収納しておくことが役立つ。一段階反応の場合は微少で精細な一定量の各種反応溶液を孵卵槽にそれぞれ収納しておく。
二段階反応を要する場合は隔壁を設けた二槽式の孵卵槽を設け、ひとつの孵卵槽にて第一反応を実施した後、隔壁を破壊して第二反応をすすめるか、二段階目の試薬を収納した易破壊性収納器を破裂させてもよいし、インクジェット方式やマイクロピペット方式などで第二試薬を投入しても良い。孵卵槽内において少量の液体を混和するためにはバイブレーターや音波などによる振動を与えることや遠心回転が役立つ。孵卵槽を有するチップシステムにおいて吸光度法による計測の場合は透光性素材からなる孵卵槽壁を透かして計測しても良いし、ミニサンプラーで採取した反応液の吸光度をキュベット内等で計測しても良いし、吸光度を計測するマイクロプローブを孵卵槽内の反応液中へ挿入しても良い。計測方法としては、計測部位を確実に溶液中に求められるコンフォーカル法も好ましい。
生物学的チップにおいて、反応試薬などとサンプルを液層にて反応させる必要があるが、液体の試薬は保存中に蒸発したり、経時的に活性が低下することが問題となる。ここで、凍結乾燥などにより、当初より孵卵槽に固層の必要試薬を投入してあれば、単にサンプルあるいはその希釈液を加えるのみで、正確な量と活性を維持した試薬により反応が進行する。二段階反応の場合は、隔壁を設けて第二反応開始時に隔壁を破いたり、浸透圧などで破裂する第二液の収納部を設ける方法でもよいし、またはインクジェット方式やマイクロピペット方式などで第二試薬を投入しても良い。
また、免疫学的物質捕捉法(ELISA)を行う場合には、第1抗体を固定したチップをサンプルとインキュベートした後、洗浄を経て酵素標識された第2抗体と再度インキュベートし、洗浄後の光化学反応を計測する。
各種医学生物学的アッセイにおいて、解析項目は多種類のなかから選択することが多い。この場合、多種類の異なる反応を行う孵卵槽を用意して着脱式孵卵槽の組み合わせにより解析項目を選択すれば、無分別に項目を選ぶ時と違い、不必要なサプライ消費を防止できるし、計測の無駄も省けることになる。また、電解質、肝機能、腎機能、心筋傷害、などに特有の解析項目をまとめてこの解析項目に対応する孵卵槽を各ブロックにまとめておき、これを数種類組みあわせて全解析項目を構成するのも便利である。
生物学的チップにおいて着脱式孵卵槽を装着した場合、孵卵槽に自身を表示する機能がなければ、どの槽がどの患者の何の項目を計測しているのか認知することが困難となる。ここで、サンプルの由来と解析項目、検査日時などを孵卵槽にラベル表示しておけば、複数の人物の異なる種類の解析項目を同時に並行して計測することが可能となる。この場合、孵卵槽へのラベル表示は孵卵槽にラベルを貼付しても良いし、孵卵槽に直接印刷してもよい。
また、円盤もしくは円筒の外周側壁上に複数のプローブを配置した生物学的チップにおいては、各種プローブ固定部位が円盤もしくは円筒の回転方向に沿って外周側壁上に等間隔に区画分けされ、各区画毎に互いに異なるプローブ種同定用マークを設け、さらに、プローブ固定部位には円盤もしくは円筒の回転方向に沿って、プローブ固定部位を呈示するインデックスマークを設けておくので、このインデックスマークを読み取って認識することにより計測すべきプローブ種の部位を事前に判定できるので、計測精度の向上のみでなく、連続計測の確度とスピードを飛躍的に向上できる。
さらに、積層された円筒もしくは円盤構造については層間を認識できる標識また各層を区分する異素材の挿入を施し、プローブ固定領域を前記標識に沿って配置構成しておけば、外周側壁上の縦横に規則的かつ精細な配置構成がもたらされる。
また、反射表面を呈する積層型円筒もしくは円盤の外周側壁表面に形成されているプローブ種の固定部位を示すマーク(インデックスマーク)と層間標識(トラッキングマーク)と、前記外周側壁の表面に積層されている透明部材と、該透明部材の表面にDNAプローブが固定化されている複数の計測部位とを有し、計測部位は、前記層間標識とインデックスマークに沿って配列し、且つ配列している方向に対して区画分けされており、前記インデックスマークは前記区画毎に形成されているとともに前記区画毎に互いに異なり、且つ読み取り可能に記録されていることを特徴とする生物学的チップを構成すれば、光学的スキャンを一層容易かつ正確にできる。
さらに、円筒もしくは円盤構造体の外周側壁表面にプローブが固定された生物学的チップをその中心軸周りに回転させることによって前記プローブ固定部位の走査を行うことを特徴とする生物学的チップ読み取り装置も実施形態に含まれる。円筒もしくは円盤構造体の外周側壁表面にプローブが固定された生物学的チップを回転させることによってプローブ固定部位の走査を行い、プローブ固定部位の走査の際にトラッキングマークに追従するトラッキングサーボ機能を有し、且つプローブ固定部位走査の際にインデックスマークに従ってプローブ固定部位を独立に読み取ることを特徴とする生物学的チップ読み取り装置であれば好ましい装置である。さらに、生物学的チップの回転に伴う、読み取りヘッドと前記生物学的チップの円盤あるいは円筒との距離変動に追従するフォーカシングサーボ機構を備えるているとより好ましい。
また、円筒もしくは円盤構造体の外周側壁表面にプローブが固定された生物学的チップを固定し中心軸周りに回転させる回転機構および回転軸に平行してチップ位置を変化させる移動機構と、光源と、該光源から出射される光を生物学的チップに照射する照射光学系と、生物学的チップ上に照射する光源と生物学的チップとの相対的な位置を変化させる相対位置移動装置と、生物学的チップからの反射光を検出する反射光検出光学系と、生物学的チップのプローブ固定部位からの蛍光を検出する蛍光検出光学系と、これらの装置や機構、光学系等を制御する制御装置とを有し、反射光検出光学系は、生物学的チップに形成されているプローブ設置部位表示マーク(トラッキングマーク)に基づき制御装置によって位置制御されるトラッキングサーボ機能と、生物学的チップに形成されているインデックスマークに基づき制御装置によりインデックスの読み出しを行う機能とを有し、蛍光検出光学系は、光検出器と、該光検出器へ蛍光を選択的に通過させるアパチャーとを有し、光検出器からの信号が制御装置に入力し、プローブ部位走査の際にインデックスマークに従って特定のプローブ存在部位からの情報を独立に読み取ることを特徴とする生物学的チップ読み取り装置も実施形態に含まれる。また、反射光検出光学系は、生物学的チップの回転に伴う生物学的チップの表面形状の変動に追従するフォーカシングサーボ機能を更に有することを特徴とする生物学的チップ読み取り装置も実施形態に含まれる。
さらに上記の生物学的チップ読み取り装置において、円盤型もしくは円筒型チップに対面する読みとり用ドラムを配置して当該チップとともに回転させ、該ドラムのチップとの接触面を特定の領域に限定して連続的にデータ計測することにより、プローブから得られる情報の感度、精度の向上、バックグラウンドの低下を実現した計測を行うことができる。つまり、チップ側と読み取り側の接触が接線上に限定されるためノイズの減少とバックグラウンドの設定が確実になる。このとき、チップと読みとり用ドラムとの接触面にはフィルター膜構造を介在させたり、フィルター自体を計測用媒体とできる。チップ側、フィルターまた対面するドラム側素材の構成素材として、カーボンナノチューブ、有機発光物質、金属質粉や膜、などの物質独特の性質が顕著な、感光媒体、輝尽発光体、導電成分、発光基質、接着物質、絶縁物質、などを採用すれば、光学的、電気的、物理的、化学的、生物学的等の検出手段によって、容易に感度よくプローブ領域からの計測情報を収集できるため好ましい。
生物学的チップと読みとり用ドラム、またはチップと介在膜と読みとり用ドラムとは接触した状態としておくと、いずれかを回転もしくはスクロールすることによりチップの外周側壁からの情報を円周方向に沿って順次収集できるため好ましい。すべり防止のためには、柔構造をくみあわせることが役立つ。
以下に、本発明による実施の形態を具体的に説明するが、本発明はこれらに限られるものではない。
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施の形態の生物学的チップ41を示す概略構成図である。
生物学的チップ41は、直径2cmの円盤状であり、中心部に回転用のスピンドルに固定するための穴3が空いている。本実施形態の生物学的チップ41はDNAチップである。
支持体である円盤は厚さ約5mmのポリカーボネート製である。即ちこの生物学的チップ41は、厚みは薄いが円柱形(中心部に穴3があるので、円筒形とも言える)である。ポリカーボネート製の円盤の外周側壁上部には、インデックスマークである窪み1及び下部には塗装によるトラッキングマーク2が形成され、プローブ4は円盤の中心軸に平行に、直線状に外周側壁に固定されている。インデックスマークである窪み1は外周側壁に複数形成されていて円盤の周方向において互いに離間しているもの同士は互いに識別されるように形状や深さなどが異なっている。なお、図1では隠れて見えていないインデックスマークがある。ここでインデックスマークとは、チップ上に配列されたプローブ4群の並び方と存在部位とを呈示するものであり、本実施形態のように多数のプローブ4が存在する場合には、これらのプローブ4が複数の集合に分かれていてこの集合同士の間にインデックスマークが形成されていて、各集合はインデックスマークによって互いに識別できるようになっている。つまり、複数のインデックスマークは互いに識別可能に形成されているため、これらのインデックスマークと対応して識別されるプローブ4の集合も互いに識別可能となるのである。また、トラッキングマーク2は、後述する信号の読み取り時に適正なプローブ位置を認識するための位置決めマークとして働くものである。
円盤の外周側壁表面には反射膜である厚さ500nmのアルミ反射層が蒸着されている。これにより、円盤の外周側壁表面は反射面になっている。トラッキングマーク2の幅は20μmであり、窪み1の深さは、インデックスの読み出しに使用する光源の波長の約1/4に設定している。アルミ反射層の上には、透明部材であるガラスの層が50μmの厚さで積層されている。本実施形態のDNAチップ41ではガラスの層の材料はホウ珪酸ガラスであり、スパッタにより成膜されている。
プローブ(DNAプローブ)4は、ガラスの層の表面に複数設置されており、窪み1部分以外の部分では隣接するプローブ4間は等間隔となっている。上述のように複数のインデックスマーク1によって複数の区画に区切られており、一つの区画にはインデックスマーク1と96個のプローブ固定領域とが配置されている。このように、領域は配列の列方向に区画分けされ、各区画毎に割り振られたインデックスマークを有している。
ここでプローブ設置領域の内の一つにブランクのプローブを設置し、別の一つに内部標準用に定められた人工的なプローブを設置し、後述の工程において内部標準用のプローブとのみ反応する合成ヌクレオチドをサンプルに一定量加えておくと、サンプル溶液とのハイブリダイゼーションの工程を経て測定を行うときに、ブランク部分は計測値が0となり、内部標準部分は規定の標準値とすることができるので計測値を保証できる。なお、ブランクというのはDNA等のサンプルと反応する物質以外の物質のことであり、例えばサケ精子DNAの溶解液のようなバッファー溶液を挙げることができる。
次に、フォトリソグラフィーにより生物学的チップであるDNAチップ41を作製する方法の詳細を示す。
まず、位置検出用光源であるトラッキング/インデックス用光源から出射した光は、コリメータレンズ、ハーフミラーを透過し、もう一つのハーフミラーにて反射され、レンズによって集光されてDNAチップ41上のアルミ反射面に照射される。コリメータレンズ、2つのハーフミラー、レンズが位置検出用光源から出射される光を円盤の外周側壁に照射する照射光学系を構成する。
アルミ反射面からの反射光は、レンズ、ハーフミラーを通って別のハーフミラーによってトラッキング/インデックス検出光学系に導入される。トラッキング/インデックス検出光学系は、DNAチップ読み取り装置と同様の方法でトラッキングマークを読みとってトラッキングサーボを行う。そして、インデックスマークを読み取り、当該インデックスマークの位置を基に照射光学系によりDNAチップ41に照射された光のDNAチップ上の位置座標を出力する。
制御装置は、トラッキング/インデックス検出光学系からの位置情報に基づき、光反応性保護基除去用光源のオン/オフを制御する。DNAチップ製造装置の光学系は、光源、受光素子、光学素子が一体化しており、光学系はその照射光をDNAチップ41の外周側壁上の任意の位置に移動できる構成になっている。つまり、DNAチップ製造装置はDNAチップ41の外周側壁を照射する光源とDNAチップ41との相対的な位置を移動させる駆動装置を有する。
DNAチップ41では、シランカップリング剤を用いてガラス表面全体にアミノ基が導入されており、さらに従来のフォトリソグラフィー技術によるDNAプローブの合成技術で使用されたものと同様の機能を有する光反応性保護基がそのアミノ基に結合されている。また、DNAチップ41はスピンドルに固定され、直線的な一軸運動と回転運動により動作制御される。
トラッキング/インデックス検出光学系を用いて、DNAチップ41の外周側壁上の座標を検出し、所望のヌクレオチドを結合させたい領域が光照射範囲の直下に来たときに、光反応性保護基除去用の光源をオンにする。光源を出た光は、レンズを透過し、DNAチップ41上の所望の領域に照射されて当該領域の光反応性保護基を除去する。ここで、中心軸に平行にDNAチップ41を移動させると、外周側壁上で直線状に光反応性保護基の除去領域が形成される。このような操作を特定の塩基を導入したい領域に関して繰り返す。円盤の全周にわたって処理を終えた後、結合させたいヌクレオチドの含まれた溶液を投入する。この結果、光反応性保護基が除去された直線領域群にのみ所定のヌクレオチドが結合する。
上記の工程をA、G、T、Cのヌクレオチドについてそれぞれ1回毎実行する。前記一連の作業を、所望のヌクレオチド配列が得られるまで繰返すことにより、DNAチップ41の全領域にDNAプローブ4を固定化できる。一般には、事前にプログラムに入力された複数の核酸プローブ配列のうち、まずそれぞれのプローブの第一塩基につき、A、G、T、C、の4種類それぞれについて、外周側壁全周にわたるそれぞれのプローブ固定領域についてDNAチップを少しずつ回転させては、予定領域における光保護基の除去を行い、一周させた後、ヌクレオチド結合をおこなう。すなわち光照射とヌクレオチド結合の工程を計四回繰り返すと全周にわたる一塩基の伸長がもたらされる。
なお、本実施形態においては、光反応を用いてオリゴヌクレオチドをDNAチップ41外周側壁表面に合成固定化したが、トラッキング用光照射領域と既知の位置関係にあるインクジェット装置や、描画機構を用いてプローブを固定化してもよい。
また本実施形態においては、回転に伴いDNAチップ41の外周側壁表面が変動してもレンズとDNAチップの外周側壁との間隔を一定に保つフォーカシングサーボ機構を有することが好ましい。これによりDNAチップ41の表面が歪んでいて、回転に伴いDNAチップ41の表面の位置が変動する場合でも、DNAプローブ4を固定化することが可能となる。DNAチップ41表面とレンズとの間隔を求める方法としては、非点収差法、フーコー法、ナイフエッジ法、SSD法等を用いればよい。
本実施形態のDNAチップ41では、基板を円盤状としたが、円盤形状の中抜きされた筒状等であってもよい。ここで、インデックスマークの窪み1及びトラッキングマーク2が圧縮成形、塗装により形成されているとしたが、射出成形や2P法等により形成されてもよい。また、本実施形態では円盤の外周側壁表面の上にアルミ反射層は蒸着により成膜されているが、スパッタ等により成膜してもよい。また、円盤の素材はポリ塩化ビニルやアクリル等の樹脂、ガラス、アルミ等の金属、Si、多孔質セラミックス等であってもよい。円盤がアルミやSi等の高反射率の材料である場合は円盤の表面に反射膜を成膜しなくてもよいので好ましい。この場合、インデックスマークの窪み1及びトラッキングマーク2は、圧縮成形やエッチングや切削加工等により形成される。また、本実施形態のDNAチップ41では、透明部材のホウ珪酸ガラスをスパッタで成膜しているが、真空蒸着やCVD等により成膜してもよい。
また、本実施形態のDNAチップ41では、円盤の外周側壁上反射面の上に透明部材として、ホウ珪酸ガラスを用いているが、石英ガラスやパイレックス(R)ガラス等の他のガラスを用いてもよいし、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、アクリル等の透明な樹脂を用いてもよい。基板にSiを用いた場合には、Si基板の表面にエッチング等によりトラッキングマーク及びインデックスマークを形成した後に、Si基板を熱酸化することによりSiO2膜を形成して透明部材として用いてもよい。さらに、多孔質素材を用いてDNA固定とハイブリダイゼーションの効率を改善しても良いし、カーボンナノチューブ、金薄膜などで表面処理して、電気的、物理的計測に対応しても良い。また、同一区画内プローブ固定領域は96個以外の個数であってもよい。
(第2の実施形態)
第2の実施形態は、厚さ1mmの薄い円盤もしくは円筒を積み重ねて多数の同一チップを作製する形態であり、図2に模式図をしめす。第1の実施形態と同様に、厚さ1mmで直径2cmの円盤の外周側壁表面に反射膜である厚さ500nmのアルミ反射層が蒸着されている。これにより、円盤の外周側壁表面は、反射面になっている。円盤の中央には第1の実施形態と同様に穴7が設けられている。トラッキングマーク5の幅は20μmであり、インデックスマークである窪み6の深さは、インデックスの読み出しに使用する光源の波長の約1/4である。アルミ反射層の上には、透明部材であるガラスの層が50μmの厚さで積層されている。このような構成の100枚の前記円盤を、各インデックスマークを円盤の中心軸と平行な一つの直線上に並べるようにして、各中心軸を略一致させて次々に重ねていく。
前記作業の終了後、各々のインデックスマークに対応して配置と順列とを定められたプローブ8,8,…群の中の一つを生物学的チップ51の中心軸に平行となるように外周側壁に直線状に連続プリント固定して行く。引き続き、円盤を0.6度だけ左回転させて次のプローブ8をインクジェットプリンタにより連続プリント固定する。このプローブ連続固定と円盤の回転を交互に600回繰り返す。この時、円盤の円周方向におよそ105μm間隔でプローブ8,8,…が配列される。プリント描画の太さを20μmとすると、一枚のチップ当たり0.02mm2の面積で一つのプローブ8が円盤に固定される。プローブ固定後の円盤を中心軸から順次とりはずして外周側壁上の360度にわたり600種類のプローブを固定された、100枚の同一構成同一ロットのDNAチップ51,51,…を得る。なお、図には各DNAチップ51,51,…に隠されて見えていないが、各DNAチップ51,51,…の間にスペーサーが挟まれており、各DNAチップ51,51,…を取り外しやすくなっている。
次に本実施形態のDNAチップ51とサンプルとのハイブリダイゼーションを行う容器をしめす。直径2cmの本実施形態のDNAチップ51,51,…を20枚重ね合わせた厚さ21.9mmの円盤チップ積層体11を中心軸を横向きに倒して、図4のごとく、底面が湾曲した容器13のなかに配置する。円盤チップ積層体11の中心軸近傍に設けられた貫通孔には支持棒12が挿入されている。円盤チップ積層体11の外周側壁と容器との間には僅かな間隙が生じるように支持棒12が円盤チップ積層体11を支持している。そしてこの間隙に、サンプル溶液14を200μl注入する。円盤チップ積層体11を支持棒12を中心として回転させつつインキュベートすると、プローブ8,8,…とサンプル間において、安定して確実なハイブリダイゼーションがもたらされる。サンプルとプローブ8,8,…との充分な結合が得られた時点で、円盤チップ積層体11を容器13から取り出して洗浄後、各DNAチップ51,51,…において結合したサンプル量を定量する。
このことをさらに詳しく説明すると、オリゴヌクレオチド プローブ8,8,…が固定化された円盤型DNAチップ51,51,…を回転させながら、蛍光色素マーキングを施したDNAを含む溶液(サンプル)とともにインキュベートする。この後、DNAチップ51,51,…を回転させつつ洗浄する。このようにサンプルとの半方を行うことにより、全てのプローブ8,8,…が同一条件でサンプルに曝露されるので、各プローブ8,8,…において対等条件での反応が可能となるばかりでなく、プローブ8,8,…対サンプル内結合配列の接触機会も格段に高められる。なお、動作中のチップの乾燥を防ぐために、孵卵槽内の湿度を調整することが好ましい。
次にDNAチップ51,51,…による反応の解析系を示す。
まずDNAチップ読み取り装置にDNAチップ51,51,…を重ねた円盤チップ積層体11を固定する。スピンドル及びサーボモーターにより円盤チップ積層体11を固定し、円盤軸を中心として回転させる機構と一軸運動により多層に分布するプローブ領域をスキャンできる仕組みを備える。
DNAチップ読み取り装置の光学系は、光源、受光素子、光学素子が一体化しており、一体化した光学系は、DNAチップ51の外周側壁上の一カ所において円盤の中心軸に平行に移動できる構成になっている。つまり、DNAチップ読み取り装置はDNAチップ51上に照射される光がDNAチップ51の外周側壁の任意の位置に照射されるように移動させる駆動装置を有している。光源から出射した光は、コリメータレンズ、ハーフミラーを透過し、ミラーにて反射され、レンズによって集光されてDNAチップ51のアルミ反射面に照射される。アルミ面からの反射光は、レンズ、ミラーを通ってハーフミラーによってトラッキング/インデックス検出光学系に導入される。
トラッキング/インデックス検出光学系は、通常のトラッキングサーボ機構に使用されているプッシュプル法、ウオブル法、3ビーム法等のいずれかにより、チップ外周面上のプローブ部位を正確に認知してDNAチップ51のアルミ反射面に照射される光がトラッキングマーク5に追従するようにトラッキングサーボを行う。従って、DNAチップ51の中心軸がDNAチップ51の中心から偏心していたり、DNAチップ51の外周側壁に凹凸があったとしても、トラッキング/インデックス検出光学系からの信号により一体化した光学系の位置を制御することにより、プローブが固定されている位置から照射光がずれることがない。
また、トラッキング/インデックス検出光学系は、インデックスマーク6を読み取り、DNAチップ51上の位置座標を表す信号を出力する。前述したようにインデックスマーク6は光源の波長の1/4の深さを有しているので、光源からの光がインデックスマーク6の段差の上の部分で反射する光と底の部分で反射する光の光路差が光源の波長の1/2となるため、インデックスマーク6部分の全反射光の強度は、インデックスマーク6のエッジ部分以外に照射されている場合の全反射光の強度に比べて小さくなる。そして、前述したように各区画毎のインデックスマーク6は互いに異なっているので、各インデックスマーク6毎の反射光の強度変化を位置座標を表す信号として利用できる。つまり、光源の波長の1/4の段差を有しているインデックスマーク6は、読み取り可能に記録されている。
DNAチップ51が移動して、ミラーで反射した光がDNAチップ51の外周側壁表面のDNAプローブ8が固定化されている領域に照射され、且つ、当該領域内にハイブリダイゼーションが生じていると、照射された光によってDNAチップ51のプローブ固定領域表面で蛍光が生じる。生じた蛍光は、レンズによって集められ、ミラーによって反射した後、レンズによってアパチャーに集光される。アパチャーの開口部の寸法及び位置は、DNAチップ51の表面からの蛍光が選択的に通過するように設定してあり、通常のコンフォーカル顕微鏡型の検出方法と同様の構成になっている。従ってアルミ反射面光や、コンタミネーション光や途中の光学系からのフレア等のノイズ光は、アパチャーで効率よく遮断されることになる。そして、アパチャーを通過した蛍光は光検出器によって検出される。円周上の特定部位における最上の位置の計測領域で蛍光の検出を終えると、順次DNAチップ51,51,…の重なりである円盤チップ積層体11を上方に押し上げて、位置決めと計測を順次行っていく。このようにして、最終の20番目のプローブ8位置に到達する。
演算装置は、トラッキング/インデックス検出光学系からの位置情報と、光検出器からの出力を基にプローブ領域の位置とプローブ番号、ハイブリダイゼーションの蛍光強度を対応させて出力する。
演算装置にはDNAチップ51上の各領域にあるDNAプローブ8のヌクレオチド配列のもととなる遺伝子名や機能に関するデータを記憶して、このデータと以上に述べた読み取り結果との相関から検体DNAの特徴を推定出力することができる。
ハイブリダイゼーション後の蛍光マーカーの検出に、コンフォーカル顕微鏡法を使用するとき、高いS/N比と検出感度が向上を達成することができる。更に、DNAチップ51の走査には、DNAチップ51の回転運動および一軸直線運動と、光学系の固定化とを、もしくはDNAチップ51の回転運動と光学系の一軸運動とを組み合わせることで、X方向とY方向の2軸ステージ走査に較べて、明らかに走査速度を向上させ、チップの読み取り時間を短縮させることができる。
また、例えば、プローブ領域からの信号強度が小さく、積算測定によってS/N比を向上させようとする場合、全ての走査を繰返すことなく、特に注目している少数のプローブ領域のみについて走査を繰返すような読み取り方法を容易に実施できる。
複数の波長における読み取りが必要である場合には、単に光源、受光素子等を増設した構成とすればよい。
なお、回転に伴いDNAチップ51の外周側壁表面が変動してもレンズとDNAチップ51の外周側壁表面との間隔を一定に保つフォーカシングサーボ機構を有することが好ましい。これによりDNAチップが歪んでいて、回転に伴いDNAチップ51の外周側壁表面の位置が変動する場合でも、蛍光を正確に検出することが可能となる。DNAチップ51の表面とレンズとの間隔を求める方法としては、非点収差法、フーコー法、ナイフエッジ法、SSD法等を用いればよい。
DNAチップ読み取り装置としては、図6に示すように、円盤型DNAチップ51に対向する読み取り用円盤32(計測用センサーを内在する)と介在する膜33から構成されるものを例示できる。このとき、DNAチップ51上のプローブと読み取り用円盤32内の計測用センサーは円周上の一直線でのみ接することになり、円盤の回転部位やフィルター膜33のスクロールにより、DNAチップ51上の特定位置のプローブ28が計測用センサーにより計測されることになる。
また、図7のように、カーボンナノチューブで表面処理した後に接触端子35を固定した円盤チップ積層体34をサンプルとハイブリダイズした後この円盤チップ積層体34を、有機発光素材をインターカレートした膜フィルター36を挟んで、精細に導電配線38された読み取り用円盤37と対向させる。導電配線38から円盤チップ積層体34にパルス電位を負荷すると、ハイブリダイズしたプローブ側からカーボンナノチューブを経て効率よく電子流が流れ込み、膜フィルター36を発光させる。この結果、読み取り用円盤37に組み込まれたCCD素子に電荷が蓄えられてプローブに結合したDNAが計測される。
膜フィルター36を感光性素材からなるフィルムと重ね合わせれば、発光後に感光したフィルムを現像してハイブリダイズ反応を解析評価することができる。また、膜フィルター36にイメージングプレートを重ねた場合には、イメージングプレートに蓄えられた光子を解析時に放出させて記録を行う。化学発光を行う場合には、例えば、ジゴキシゲニンラベルされたサンプルに対する酵素標識抗体を結合させた後、基質を浸潤させたフィルターに反応させて発光を計測する。
(第3の実施形態)
第三の実施形態では、図3に示すように、第2の実施形態と同様の円盤チップ積層体を用いて、円盤の中心軸と平行な直線運動Aと円盤軸を中心とする回転運動Bとを同期させて、多層の全層における全てのプローブ8’、8’、…群とインデックスマーカー6の配置関係を一定とするように、複種類のプローブ8’,8’,…を同時に固定することが出来る。例えば、10基のプリンターヘッドを備え、一度に10種類のプローブを固定して行くときプローブ溶液のみを代えて用意すれば単一プリンターヘッドで600回のプリント工程作業が必要なことに比べ60回の作業で済み、多大な作業時間の短縮がもたらされる。
例えば、600種類毎の相異なるプローブ群が固定された20枚の円盤DNAチップを一工程で作製することができる。このとき、第2の実施形態と同様に前記20種類の薄い円盤を順次中心軸に合わせて積み重ねる。ここで、材質の異なる柔軟なスペーサーを層間に介在させると、各層の隙間を密着させつつプローブの固定された円盤を保護する効果を有するとともに、プローブ固定部位の識別性が向上する。例えば、厚さ1mmの円盤を0.1mmの薄いスペーサーを挟んで積み重ねて、21.9mmの厚さを持った直径1cmのサイズで12,000種類のプローブを載せた厚い円盤の形態を呈するDNAチップの積層体が完成する。
(第4の実施形態)
第4の実施形態に係る臨床血液生化学検査装置システムにおいては、、GOT,GPT、LDH,CPK,ALP,γGTP、LAP、BUN、CRE、Ch−E、Na、K、Cl、Ca、P、Fe、Mg、アンモニア、シアル酸、BS、HbA1C、アミラーゼ、ビリルビン、総蛋白、アルブミン、尿酸、コレステロール、中性脂肪、HDLコレステロール、LDL、CRP、リパーゼ、各種免疫学的計測項目などのうち、30種類の計測第一試薬をそれぞれに指定されたインクジェットプリンターの貯留槽に充填しておく。一方、本実施形態に係る生物学的チップは、図5(a)に模式的に示すように、第1の実施形態のDNAチップに類似の円盤状チップの外周側壁に容器である孵卵槽22,22,…が設けられた形状のものである。このとき、各孵卵槽22,22,…には2次元バーコードにより解析項目、Lot.NO.、患者ID等が付されている。また、インデックスマーク21と各孵卵槽22,22,…の内容及び順列(並び方)とは1対1に対応しており、特定のインデックスマーク21には特定の各孵卵槽22,22,…の内容及び順列(並び方)が対応する。
複数のヒトの血漿検体のそれぞれについて事前に指定された計測項目に必要な第1の試薬類は、予め生物学的チップ71のインデックスマーク21を認識することで記憶された各孵卵槽22,22,…の順列に対応するように、インクジェット方式により各孵卵槽22,22,…に放出される。一度放出される度に生物学的チップ71をスピンドル用穴24に存する中心軸の周りに10度づつ回転させて次の試薬の放出されるプリンターヘッドの位置に移動させ、次の計測項目用試薬を次順の孵卵槽22へ放出する作業をくりかえす。
必要な項目全ての試薬が充填されたら、空の孵卵槽22は放置したまま、チップ71を10度づつ回転させながら次々に試薬の充填された孵卵槽22,22,…へサンプル血漿を投入する。サンプル投入量の誤差を修正するためには、全体のサンプルに滴定用マーカー物質を加えて、サンプル希釈時のマーカー濃度からアッセイに用いたサンプル量を補正する。
この後、加速度的回転などによる充分なミキシングを経て適当な時間のインキュベートを終える。必要に応じて、第二試薬を、第一試薬に準ずる方法で孵卵槽22,22,…へ投入して、混和、インキュベートする。充分な発色が生じたら、このチップ71は単純な上下方向の移動により計測系へと移動され、10度づつ回転させながら、各孵卵槽22,22,…における吸光度を計測して先に記憶済みの孵卵槽22,22,…の順列とサンプルの由来を参照しつつ、標準曲線と対照しつつ各計測項目の測定値を算出する。最後に当該サンプル血漿に対応する患者ファイルへのデータ保存とプリンターによるデータ打ち出しを行って作業を終了する。
免疫学的計測には、予め抗体の固定された孵卵槽を用意する必要がある。従って、事前に試薬が収納された着脱式のマイクロ孵卵槽22を使用する場合は、各計測項目に対応する30種類の孵卵槽22,22,…が納められたシェルフから、プログラムに入力された項目ごとの孵卵槽22を取り出して図5(b)に示すような待ち行列23を形成してから、チップ71の円周上にはめ込んで配列させる。ここで、サンプル血漿またはその希釈液を孵卵槽内22,22,…へインクジェットにより投入し恒温にて反応させる。第二試薬が必要なものは第二試薬の追加を経て孵卵槽22,22,…内に産出された吸光物質の濃度を計測して測定値を算出する。各サンプルデータは集計され、患者情報とともに集中管理および出力される。
図5に示すような、均一な形状の小容量の孵卵槽22、22,…をチップの円周に規則的に配置することは、従来のオートサンプラー方式によるサンプルや反応液の注入よりも、極めて小さなシステム内で極少量のサンプルによって、正確かつ迅速な反応と結果検定するために有用である。一段階反応の場合は各種反応溶液を孵卵槽22,22,…にそれぞれ収納しておくことが好ましい。二段階反応を要する場合は隔壁を設けた二槽式の孵卵槽の隔壁を破壊して反応をすすめるか、二段目の試薬を収納した易破壊性収納器を破裂させてもよいし、インクジェット方式やマイクロピペットなどで二段階目の試薬を投入しても良い。
孵卵槽22,22,…内の少量の液体を混和するためにはバイブレーターや超音波などによる振動や遠心回転が役立つ。チップシステムにおいて吸光度法による計測の場合は透光性素材からなる孵卵槽壁を透かして計測しても良いし、ミニサンプラーで採取した反応液の吸光度をキュベット内等で計測しても良い。また、吸光度を計測するマイクロプローブを孵卵槽22内へ挿入しても良い。微小液量の局所からの吸光度を正確に検定するためには、顕微測光、コンフォーカル方式やスペクトル解析を採用することが好ましい。
生物学的チップにおいて、反応試薬などとサンプルを液層にてインキュベートする必要があるが、液体の試薬は蒸発したり、活性が低下することが問題となる。ここで、凍結乾燥などにより、当初より孵卵槽に固相の必要試薬を投入してあれば、単にサンプルあるいはその希釈液を加えるのみで、正確な量と活性を維持して反応が進行するので好ましい。この時も少量の液体を粉体と混和するためにはバイブレーターや音波などによる振動や遠心回転が役立つ。二段階反応の場合は第一反応終了時に第二反応液を加えてもよいし、隔壁を設けて第二反応開始時に隔壁を破いたり、浸透圧、加圧などで破裂する第二液の収納部を設けることが好ましい。
試薬類が固体であると孵卵槽22へ入れることが容易なので、第1、第2の試薬ともに錠剤などの固形化物を用いてもよい。
また、免疫学的物質捕捉法(ELISA)を行う場合には、サンプルを2つの抗体で挟むことが好ましい。例えば、第1の抗体が固定された孵卵槽にサンプルを投入して第1の結合反応を行い、孵卵槽の洗浄後液状または固形の第2の抗体を投入して第2の結合反応を行った後、再度洗浄して、発光または吸光反応を用いて目的分子の定量計測を行う。
(その他の実施形態)
ELISA法を行う場合は、上述の第1から第4の実施形態に用いた生物学的チップを用いると、容易に短時間に正確な測定結果が得られる。通常のELISA法による抗原分子の測定では、1回の計測ごとに既知濃度の抗原分子を同時測定する必要があり、さらに96穴のプレートを使用する場合などには多くの操作と材料、人手を要する。しかしながら、上述の実施形態の生物学的チップを用い場合、この生物学的チップに上述の内部標準プローブを設けておけば従来のチップの問題点が解決できる。すなわち、内部標準プローブとして測定したいサンプルには存在しない物質(内部標準物質)に反応するプローブを使用し、測定サンプルに内部標準物質を一定濃度となるように添加して生物学的チップと測定サンプルとの反応を行うのである。この場合は、事前に決定された発光もしくは発色反応のKd値を基準とすることにより、数種類のプローブを固定した生物学的チップ1枚で簡便且つ正確にELISA計測が可能となる。特に、内部標準物質を2種類としこれに対応する内部標準プローブも2種類とすると、インキュベーションの環境や反応阻害物質の影響を免れて簡単に正確な計測値を得ることができる。
以上の実施形態は、本発明の例示であって本発明はこれらの例に限定されない。プローブとして用いる物質はDNAやオリゴヌクレオチドに限定されず、タンパク質、ペプチド、糖鎖、RNA、脂質及び細胞、あるいはこれらの断片からなる群から選ばれた物質でもよい。また、合成DNAなどの生体擬似合成物質であってもよい。
生物学的チップの支持体はポリカーボネート以外に、ポリアミドやポリエステルなどのプラスチック、ガラス、シリコン、金属、セラミックス、あるいはこれらの複合材などを素材とすることができる。
また、サンプルと反応後のチップを測定するときに、チップと測定端子との間に膜や板等を介在させて計測を行う方法は、外周側壁にプローブが固定された円筒あるいは円柱形チップを用いる場合に限定されない。従来のプローブが主面上にマトリックス状に配置された平板状チップを用いた計測の際にもこの方法を用いることができる。
本発明による生物学的チップのなかで、DNAチップ 、及びDNAチップ読み取り装置によれば、多くの遺伝子群の多数のドメインについてのプローブを積層された幾種類かの構成薄板上に分割して網羅できるので、すべての遺伝子群のうち関心のあるグループをカバーするように構成薄板を選択して組み合わせることによりオーダーメードのチップを大量かつ安価に作製したり、逆に未知の事象に関しては無作為に大量の遺伝子群のスクリーニングもできる、応用性に富んだチップ作製と解析方式が実現できる。また、軸ぶれのない円盤回転とチップの直線運動の組み合わせにより、コンフォーカル顕微鏡などによる高いS/N比の確保のうえで、高速にチップを走査することも可能である。加えて、外周側壁表面は液中に常時含浸されることは必須でなく、孵卵中のサンプル溶液とプローブとの接触は間欠的でありながら安定均一であるので、少量のサンプル溶液でも良好なハイブリダイゼーションにより正確な検討が可能となる。一方、血液生化学用のチップでは、従来よりも遙かにコンパクトで経費節減と廃棄物減少に役立つ検査法が確立される。
以上説明したように本発明は、多種類のプローブや反応容器を一つのチップ上に容易に且つ短時間に製作することができるとともに、サンプルとの反応や反応後の測定も容易にかつ短時間で行うことができる生物学的チップであるので、遺伝子機能解析やタンパク質等の検出解析などに有用である。

Claims (17)

  1. 支持体と該支持体表面に固定された生物由来の物質または擬似生物由来物質であるプローブとを有する生物学的チップであって、
    前記支持体は、円柱あるいは円筒形状であり、
    前記プローブは、核酸、ペプチド、糖類、脂質および細胞からなる群から選ばれた1つの物質あるいは当該物質の断片からなり、前記支持体の外周側壁上に固定されている、生物学的チップ。
  2. さらに前記プローブが固定されている前記支持体の表面上の位置を示すインデックスマークを有することを特徴とする請求項1に記載の生物学的チップ。
  3. 前記インデックスマークは複数存しており、
    前記プローブは複数存しているとともに前記支持体への固定位置も複数存しており、
    前記プローブの固定位置は複数の集合に分割されており、
    前記各集合が前記インデックスマークによって互いに識別されるように、当該インデックスマークが前記支持体の所定位置に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の生物学的チップ。
  4. 前記プローブは複数存しており、少なくとも1つの内部標準プローブ含んでいることを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の生物学的チップ。
  5. 請求項1から4のいずれか一つに記載の生物学的チップを複数積み重ねた生物学的チップ積層体であって、
    前記円柱あるいは円筒の中心軸が互いに略一致するように前記複数の生物学的チップを積み重ねたことを特徴とする生物学的チップ積層体。
  6. 隣り合う2つの前記生物学的チップの間にはスペーサが設置されていることを特徴とする請求項5に記載の生物学的チップ積層体。
  7. 少なくとも1つの前記プローブと反応を行う検体と、請求項1から4のいずれか一つに記載の生物学的チップまたは請求項5あるいは6に記載の生物学的チップ積層体とを接触させて該プローブと該検体との反応を行わせるインキュベータであって、
    前記生物学的チップまたは生物学的チップ積層体を、前記円柱あるいは円筒の中心軸を略水平にして保持するとともに当該中心軸の周りに回転させ、
    前記検体の溶液に前記生物学的チップまたは生物学的チップ積層体の鉛直下方に位置する一部を浸漬することを特徴とするインキュベータ。
  8. 請求項1から4のいずれか一つに記載の生物学的チップまたは請求項5あるいは6に記載の生物学的チップ積層体上の前記プローブに結合している分子の物理的性質、化学的性質及び生物学的性質のうちの少なくとも1つを計測する計測装置であって、
    計測部位が前記円柱あるいは円筒の外周側壁に沿って且つ当該円柱あるいは円筒の中心軸の周りに回転することを特徴とする計測装置。
  9. 請求項1から4のいずれか一つに記載の生物学的チップまたは請求項5あるいは6に記載の生物学的チップ積層体上の前記プローブに結合している分子の物理的性質、化学的性質及び生物学的性質のうちの少なくとも1つを計測する計測装置であって、
    前記生物学的チップまたは生物学的チップ積層体を前記円柱あるいは円筒の中心軸の周りに回転させて計測することを特徴とする計測装置。
  10. 計測部位と前記生物学的チップまたは生物学的チップ積層体との間に介在物を有することを特徴とする請求項8または9に記載の計測装置。
  11. 円柱あるいは円筒形状の支持体と、
    前記支持体の外周上に設けられている複数の容器とを備えている、生物学的チップ。
  12. 前記容器は前記支持体に着脱自在に設けられていることを特徴とする請求項11に記載の生物学的チップ。
  13. 前記容器内部に測定試薬が収納されていることを特徴とする請求項11または12に記載の生物学的チップ。
  14. 前記測定試薬は固体であることを特徴とする請求項13に記載の生物学的チップ。
  15. 前記測定試薬は、GOT,GPT、LDH,CPK,ALP,γGTP、LAP、BUN、CRE、Ch−E、Na、K、Cl、Ca、P、Fe、Mg、アンモニア、シアル酸、BS、HbA1C、アミラーゼ、ビリルビン、総蛋白、アルブミン、尿酸、コレステロール、中性脂肪、HDLコレステロール、LDL、CRP、ジゴキシン、テオフィリン、パルブロ酸、フェニトイン、甲状腺ホルモン、TSH、HBs抗原、HCV抗体、GH、LH、FSH、プロラクチン、ADH、ACTH、レニン活性、アルドステロン、ミオグロビン、ANP、BNP、エリスロポエチン、インスリン、PSA、CEA、CA19・9、AFPを含む分子および遺伝子からなる群から選ばれた物質と特異的に反応して当該物質の存否および量と活性とのうちいずれか一方を判定する試薬であることを特徴とする請求項13または14に記載の生物学的チップ。
  16. 前記複数の容器の内少なくとも1つの容器の内部に複数種類の前記測定試薬が収納されていることを特徴とする請求項15に記載の生物学的チップ。
  17. 前記容器の外面には当該容器を他の容器から識別するための識別記号が付されていることを特徴とする請求項11から16のいずれか一つに記載の生物学的チップ。
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