JP2005121489A - バイオアッセイ装置及び方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】複数の検査を同時に行うとともにこれらを合わせて解析する際に、その解析を効率よく迅速に行い、且つ、データ管理を確実に行ってデータの取り間違いや紛失を無くす。
【解決手段】診断システム1は、バイオアッセイ用基板10上で標的物質と検出物質とを生化学反応させるとともに、その解析を行う。診断システム1は、複数の基板10が挿入されるとともに、それぞれ異なる環境でバイオアッセイを行う複数のバイオアッセイ装置3-1〜3-nと、各バイオアッセイ装置3の検出結果を解析する解析装置5とを備えている。解析装置5は、基板10に保持されている検出物質の基板間の関連性、又は、滴下した標的物質の基板間の関連性に応じて、各基板10から得られた解析結果の関連付けを行い、その結果に基づき診断を行う。
【選択図】 図1
Description
本発明は、例えばバイオアッセイ用基板を用いて物質間相互反応処理を行うバイオアッセイ装置に関するものである。例えば検出用のヌクレオチド鎖(プローブ)が保持された基板に、標的ヌクレオチド鎖(ターゲット)を含む溶液を供給することによってハイブリダイゼーション反応を起させて反応生成物を生成し、反応生成物を蛍光発色させて反応結果を解析するバイオアッセイ装置及び方法に関するものである。
現在、マイクロアレイ技術によって所定のDNAが微細配列されたいわゆるDNAチップ又はDNAマイクロアレイ(以下、「DNAチップ」と総称する。)と呼ばれるバイオアッセイ用の集積基板が、遺伝子の変異解析、SNPs(一塩基多型)分析、遺伝子発現頻度解析等に利用されており、創薬、臨床診断、薬理ジェノミクス、法医学その他の分野において広範囲に活用され始めている。
DNAチップは、ガラスやシリコン等の基板上にDNAオリゴ鎖やcDNA(Complementary DNA)等の検出用のDNA(DNAプローブ)が配置されており、ハイブリダイゼーション等の分子間相互作用を利用したDNA解析を行うことができる。また、DNAチップは、多種、多数のプローブDNAが1つの基板上に配置されているため、網羅的なDNA解析を行うことができる。
DNAチップによる解析手法の一例を簡単に説明すると、ガラス基板やシリコン基板上に固相化されたDNAプローブに対して、細胞、組織等から抽出したmRANを逆転写PCR(Polymerase Chain Reaction)反応等によって蛍光プローブdNTPを組み込みながらPCR増幅し、前記基板上においてハイブリダイゼーションを行い、所定の検出器で蛍光測定を行うという手法である。
ここで、DNAチップは二つのタイプに分類できる。第1のタイプは、半導体露光技術を応用したフォトリソグラフィーの技術を用いて、所定の基板上に直接オリゴヌクレオチドを合成していくものであり、アフィメトリクス社(Affimetrix社)によるものが代表的である(例えば、特許文献1参照。)。この第1のタイプのDNAチップは、集積度は高いが、基板上でのDNA合成には限界があって、数十塩基程度の長さである。第2のタイプは、「スタンフォード方式」とも称されるもので、先割れピンを用いて、予め用意されたDNAを基板上に分注、固相化していくことによって作成されるものである(例えば、特許文献2参照。)。このタイプのDNAチップは、集積度は前者に比べて低いが、1kb程度のDNA断片を固相化できると言う利点がある。
ところで、上記した従来のDNAチップ技術を用いた解析装置では、一度に検査できるのは一検体のみという制約があった。即ち、複数の臓器から採取されたmRNA量を解析するには、mRNAを混ぜることができないために、2つのDNAチップと2台の検査装置又は2つのDNAチップを順番に検査装置にかける必要があった。2つのDNAチップを順番に1つの検査装置にかける場合、DNAチップを入れ替える際に内部を洗浄する必要があった。
このため、解析した結果データを検査者がデータファイル、保存メディアなどの形態で収集し、これを合わせて解析しなくてはならないという手間がかかるだけでなく、データを取り違えたり紛失したりする問題が発生する可能性があった。また、同様に、1つの臓器から一定時間間隔を経て抽出されたmRNAを比較する場合や、投薬前後の変化を検出する際にも、同様の問題が発生する可能性があった。
さらに、同一検体に対して、発現mRNA量の解析、SNPs解析、プロテイン解析を同時に行い、その関連性を調べるような場合にも、複数台の検査装置が必要となり、同様の問題が発生する可能性があった。
本発明は、複数の検査を行うとともにこれらを合わせて解析する際に、その解析を効率よく迅速に行うことができ、且つ、データ管理を確実に行ってデータの取り間違いや紛失を無くすることができるバイオアッセイ装置及び方法を提供することを目的とする。
本発明に係るバイオアッセイ装置は、バイオアッセイ用基板上で標的物質と検出物質とを生化学反応させ、当該生化学反応の検出を行うバイオアッセイ装置であって、上記検出物質を保持する保持部と、当該保持部により保持された上記検出物質と上記標的物質とを相互反応させる反応空間とを有する反応部が1又は複数設けられているバイオアッセイ用基板を複数枚装着する装着手段と、上記装着手段により装着された複数のバイオアッセイ用基板の反応空間に対し、上記標的物質を供給する供給手段と、上記供給手段により上記反応空間に供給された上記標的物質と、上記保持部に保持された上記検出物質との相互反応を行う反応手段と、上記反応手段により行われた上記標的物質と上記検出物質の上記相互反応を検出する検出手段と、上記検出手段により検出された上記相互反応を解析する解析手段とを備え、上記供給手段は、複数のバイオアッセイ用基板毎に、互いに異なる標的物質を供給可能とされており、上記解析手段は、上記バイオアッセイ用基板に保持されている検出物質の基板間の関連性、又は、上記供給手段により供給された標的物質の基板間の関連性に応じて、各基板から得られた解析結果の関連付けを行うことを特徴とする。
上記供給手段を、上記バイオアッセイ用基板における上記反応空間に、上記標的物質を滴下するようにしてもよい。
上記装着手段を、上記複数のバイオアッセイ用基板を装着するための、1又は複数の装着口を有し、上記複数のバイオアッセイ用基板を、上記検出物質及び上記反応物質の相互作用を行う場所へ装着するようにしてもよい。
上記標的物質と上記検出物質の相互反応を行う反応環境を、上記複数のバイオアッセイ用基板毎に設定する反応制御手段をさらに備え、少なくとも1の当該反応環境を他の当該反応環境とは異なる反応環境としてもよい。
上記バイオアッセイ用基板に上記反応部における上記相互反応の反応環境の設定条件を記録し、上記反応制御手段が、上記バイオアッセイ用基板から上記設定条件を読み出し、読み出した設定条件に応じた反応環境で相互反応をさせるようにしてもよい。
複数のバイオアッセイ用基板のうちの少なくとも1つの基板を、他の基板に保持されている検出物質と異なる検出物質を保持するようにしもよい。
上記複数のバイオアッセイ用基板は、検出物質としてmRNAを検出するmRNA検出基板、cDNAを検出するcDNA検出基板、SNPを検出するSNP検出基板、DNAマーカを検出するDNAマーカ検出基板、プロテインを検出するプロテイン検出基板のいずれかで構成し、少なくとも2種類以上のバイオアッセイ用基板を用いるようにすることができる。
各バイオアッセイ用基板は、互いに共通の検出物質を少なくとも保持し、上記供給手段は、バイオアッセイ用基板毎に異なる標的物質を供給するようにしてもよい。
供給手段は、各バイオアッセイ基板に対して、同一の人又は同一の生物の異なる臓器又は部位から採取された標的物質を供給できるようにすることができる。
供給手段は、各バイオアッセイ基板に対して、同一の人又は同一の生物の異なる臓器又は部位から所定の時間間隔を空けて採取された標的物質を供給できるようにすることができる。
供給手段は、各バイオアッセイ基板に対して、同一の人又は同一の生物の異なる臓器又は部位に対して外的要因を与える前及び後に臓器又は部位から採取された標的物質を供給できるようにすることができる。
外的要因は、薬剤の投薬とすることができる。
本発明に係るバイオアッセイ方法は、バイオアッセイ用基板上で標的物質と検出物質とを生化学反応させ、当該生化学反応の検出を行うバイオアッセイ方法であって、上記検出物質を保持する保持部と、当該保持部により保持された上記検出物質と上記標的物質とを相互反応させる反応空間とを有する反応部が1又は複数設けられているバイオアッセイ用基板を複数枚装着し、装着された複数のバイオアッセイ用基板の反応空間に対し、複数のバイオアッセイ用基板毎に互いに異なる標的物質を供給し、上記反応空間に供給された上記標的物質と、上記保持部に保持された上記検出物質との相互反応を行い、上記標的物質と上記検出物質の上記相互反応結果を検出し、検出された上記相互反応結果を解析し、上記バイオアッセイ用基板に保持されている検出物質の基板間の関連性、又は、上記供給手段により供給された標的物質の基板間の関連性に応じて、各基板から得られた解析結果の関連付けを行うことを特徴とする。
本発明に係るバイオアッセイ装置及び方法では、複数のバイオアッセイ用基板を用いて同時に複数の物質間相互反応処理を行う。この際に、バイオアッセイ用基板に保持されている検出物質に複数の基板間で関連性を持たせるか、又は、バイオアッセイ用基板に滴下する標的物質に複数の基板間で関連性を持たせ、物質間相互反応の結果をその関連性に応じて関連付けて検査を行う。
このことにより本発明に係るバイオアッセイ装置及び方法では、複数の検査を行うとともにこれらを合わせて解析する際に、その解析を効率よく迅速に行うことができ、データの取り間違いや紛失を無くすることができる。
本発明を実施するための最良の形態として、人間の臓器又は所定の部位から検出した物質を、バイオアッセイ用基板を用いて解析を行い、その解析結果に基づき病気等の診断を行う診断システムについて説明をする。
(システム全体構成)
図1に、診断システム1の機能ブロック図を示す。
図1に、診断システム1の機能ブロック図を示す。
診断システム1は、図1に示すように、バイオアッセイ用基板10を取り込む基板取り込み機構2と、複数のバイオアッセイ装置3(3-1〜3-n)と、環境設定部4と、解析装置5とを備えている。
ここで、「バイオアッセイ」とは、例えばハイブリダイゼーション等の物質間の相互反応に基づく生化学的分析を意味している。
基板取り込み機構2は、外部から挿入されたバイオアッセイ基板10を取り込んで、各バイオアッセイ装置3に搬送する機構である。バイオアッセイ装置3は、一枚のバイオアッセイ用基板10が内部に装着され、その基板10を用いてバイオアッセイ処理を行い、その処理結果を検出する装置である。環境設定部4は、各バイオアッセイ装置3の内部環境を設定する装置である。解析装置5は、複数のバイオアッセイ装置3から検出された複数の反応結果に基づき、検査対象となっている被検者の病気等の診断等を行う。
診断システム1では、以上の各装置が1つの筐体内に組み込まれて使用がされる。以下、診断システム1内の各部の説明をさらに詳細に行う。
(バイオアッセイ用基板)
図2は、バイオアッセイ用基板10の平面(図2(A))及び断面(図2(B))を模式的に示したものである。
図2は、バイオアッセイ用基板10の平面(図2(A))及び断面(図2(B))を模式的に示したものである。
バイオアッセイ用基板10は、例えば、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、MD(Mini-Disc)等の光情報記録媒体に用いられる円板状の基板(ディスク)の材料により形成されている。例えば、石英ガラスやシリコン、ポリカーボネート、ポリスチレンその他の円盤状に成形可能な合成樹脂、好ましくは射出成形可能な合成樹脂によって形成される。なお、安価な合成樹脂基板を用いることで、従来のガラスチップに比して低ランニングコストを実現できる。
バイオアッセイ用基板10は、CD、DVD、MD等の光情報記録媒体に用いられる円板状の基板(ディスク)と同様の主面が円形の平板状の形状を呈している。また、バイオアッセイ用基板10の中心には、中心孔12が形成されている。中心孔12には、当該バイオアッセイ用基板10がバイオアッセイ装置に装着されたときに、当該バイオアッセイ用基板10を保持及び回転させるためのチャッキング機構が挿入される。
バイオアッセイ用基板10の円形の主面は、図2(A)に示すように、半径方向に同心円状に形成された記録領域13及び反応領域14の2つの領域に分けられている。本例では、記録領域13が内周側に位置し、反応領域14が外周側に位置している。記録領域13が外周側に位置し、反応領域14が内周側に位置してもよい。記録領域13は、光ディスク情報記録媒体と同様に、レーザ光を照射して光学的に情報の記録再生がされる領域である。反応領域14は、検出物質(例えば、プローブDNAである検出用ヌクレオチド鎖)と標的物質(例えばサンプルDNAである標的ヌクレオチド鎖)との相互反応の場となる領域(例えばハイブリダイゼーション反応の場)である。
ここで、上記「標的物質」及び「検出物質」は、例えば、ヌクレオチド鎖、ペプチド、タンパク質、脂質、低分子化合物、リボソーム等の生体物質である。なお、「ヌクレオチド鎖」とは、プリン又はピリミジン塩基と糖がグリコシド結合したヌクレオチドのリン酸エステルの重合体を意味し、DNAプローブを含むオリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、プリンヌクレオチドとピリミジンヌクレオチドが重合したDNA(全長あるいはその断片)、逆転写により得られるcDNA(cDNAプローブ)、RNA等を広く含む。
バイオアッセイ用基板10の層構造は、図2(B)に示すように、情報層15と反応層16とから形成されている。ここでは、情報層15が下層、反応層16が上層に位置するものとする。また、バイオアッセイ用基板10の反応層16側の表面を上面11a、情報記録層15側の表面を下面11bというものとする。
情報層15には、記録領域13に対応する平面領域に、例えばピットや相変化材料等のレーザ光が照射されることによりデータの再生又は記録再生がされる信号記録膜17が形成されている。このような信号記録膜17は、CD、DVD、MD等の光ディスクと同様のディスク作成方法により形成することができる。
信号記録膜17は、バイオアッセイ用基板10の下面11b側からレーザ光を照射することにより、信号の再生又は記録再生がされる。また、情報層15は、反応結果の検出時に照射される励起光及び制御光、並びに、反応結果の検出時に蛍光標識剤から発光される蛍光の波長を透過する材料により形成されている。なお、励起光、制御光及び蛍光については詳細を後述する。
反応層16は、図3に示すように、下層側から(すなわち情報層15側から)、基板層20と、透明電極層21と、固相化層22と、ウェル形成層23とから形成された層構造となっている。
基板層20は、詳細を後述する励起光及び制御光並びに蛍光の波長の光を透過する材料である。例えば、基板層20は、石英ガラス、シリコン、ポリカーボネート、ポリスチレン等の材料で形成されている。
透明電極層21は、基板層20上に形成された層である。透明電極層21は、例えばITO(インジウム-スズ-オキサイド)等の光透過性があり且つ導電性を有する材料から形成されている。透明電極層21は、基板層20上に例えばスパッタリングや電子ビーム蒸着等により例えば250nm程度の厚さに成膜される形成される。
固相化層22は、透明電極層21上に形成された層である。固相化層22は、検出物質(例えばプローブDNAである検出ヌクレオチド鎖)を固相化させるための材料から形成されている。本例では、固相化層22は、例えばシランにより表面修飾可能なSiO2が、例えばスパッタリングや電子ビーム蒸着により例えば50nm程度の厚さに成膜された層となっている。
ウェル形成層23は、固相化層22上に形成された層である。ウェル形成層23は、検出物質と標的物質との間の物質間相互反応がされる空間である(例えばプローブDNAとサンプルDNAとの間のハイブリダイゼーション反応を起させる空間である)複数のウェル18が形成された層である。ウェル18では、タンパク質−タンパク質間、ヌクレオチド鎖−ヌクレオチド鎖間(DNA−DNA、DNA−RNA、RNA−RNAの双方を含む。また、DNAの代わりにPNA(Peptide Nucleic Acid)を用いても良い)、タンパク質−ヌクレオチド鎖(二本鎖を含む。)間の相互反応、その他の高分子間の相互反応、高分子と低分子の相互反応、及び、低分子間の相互反応等の各種の相互反応が行われる。また、例えば、反応空間で2本鎖ヌクレオチドの相互反応を行う場合には、転写因子であるホルモンレセプター等のレセプター分子と応答配列DNA部分の結合等を行わせることができる。ウェル18は、バイオアッセイ用基板10の上面11aが開口したくぼみ状となっており、標的物質(例えばサンプルDNA)が含まれた溶液等が滴下されたときにその溶液を保留することができる程度の深さ及び大きさとなっている。例えば、ウェル18は、開口部が100μm四方の大きさに形成され、深さが5μm程度とされて、底面24に固相化層22が露出している。このようなウェル形成層23は、例えば、固相化層22上に感光性ポリミイドをスピンコート等で5μm程度の厚さに塗布し、塗布した感光性ポリミイドを所定のパターンでフォトマスクを用いて露光及び現像することで形成される。
さらに、ウェル18は、検出物質(例えばプローブDNA)を内部に固定化できるように、その底面部24(固相化層22が露出した部分)に対して表面処理がされている。例えば、ウェル18は、一端が官能基により修飾されたプローブDNAが底面24に結合するように、当該底面24が官能基により表面修飾されている。例えば、ウェル18は、図4に示すように、OH基26を有するシラン分子27により、底面24(SiO2から形成されている固相化層22)が表面修飾されている。このため、ウェル18の底面24には、例えばNCO基で一端が修飾されたプローブDNAを結合させることができる。このようにウェル18の底面24にプローブDNAの一端を結合させることができると、図5に示すように、底面24から垂直方向に鎖が伸びるように、プローブDNA(P)を結合させることができる。
なお、ウェル18の底面24にプローブDNAを固定化する方法としては、上述した方法の他に、ストレプトアビジンによって底面24を表面修飾し、一端がビオチンにより修飾されたヌクレオチド鎖を結合してもよい。また、ヌクレオチド鎖の末端に磁気ビーズを取り付け、裏面から磁石等で当該ヌクレオチド鎖を一時的に固定するようにして、底面24に固定化してもよい。また、バイオアッセイ用基板10では、図2に示すように、複数のウェル18が、主面の中心から外周方向に放射状に向かう複数の列上に、例えば400μm程度の間隔で等間隔に並んで配置されている。ただし、ここでは、ウェル18が形成される平面領域は、反応領域14の範囲である。
また、ウェル18外からウェル18の内部領域に検出物質を供給する手段は、ウェル18に対して検出物質を滴下するのみならず、どのような手段を用いてもよい。例えば、基板10の中心部から各ウェル18に液体を輸送する輸送路を形成し、中心部から輸送路を用いて毛細管現象や遠心力を利用して各ウェルまで輸送する方法や、ウェル18にゲルを注入するような方法を用いてもよい。
また、バイオアッセイ用基板10には、バイオアッセイ用基板10の下面11b側からレーザ光を照射することにより読み取り可能なアドレスピット19が形成されている。アドレスピット19は、バイオアッセイ用基板10の平面上における各ウェル18の位置を特定するための情報である。アドレスピット19から情報を光学的に読み取ることによって、複数存在するウェル18のうち、現在レーザ光を照射している位置の1つのウェル18がどれであるかを特定することが可能となる。このようなアドレスピット19が設けてあることによって、後述する滴下装置による溶液の滴下位置の制御や、対物レンズによる蛍光検出位置の特定を行うことができる。
以上のようなバイオアッセイ用基板10では、円板状に形成されているため、光ディスクシステムと同様の再生システムを利用することにより、レーザ光のフォーカシング位置を制御するためのフォーカシングサーボ制御、半径方向に対するレーザ光の照射位置や滴下装置による滴下位置の制御のための位置決めサーボ制御、並びに、アドレスピット19の情報検出処理をすることができる。つまり、アドレスピット19に記録してある情報内容と、そのアドレスピット19の近傍にあるウェル18とを対応させておくことにより、アドレスピット19の情報を読み出すことで、特定の1つのウェル18に対してのみレーザ光を照射して蛍光が発光しているウェル18の位置を特定したり、特定の1つのウェル18の位置と滴下装置との相対位置を制御して、その特定の1つのウェル18に対して溶液を滴下したりすることができる。
また、ウェル18は、特に放射状に配置しなくてもよいが、主面の中心から外周方向に放射状に向かう複数の列上に配置することによって、基板スペースを有効に利用でき、反応部の集積密度を高めることができる。
また、ウェル18と他のウェル18との間は、バッファ溶液中で相互反応をさせる際に、互いにコンタミネーションしないように区画がされている。なお、上記ウェル内の相互反応は液相中で行われる場合だけではなく、ゲル中での相互反応も含み、物質間の相互反応は、ハイブリダイゼーションのみならず、抗体抗原反応やホルモン応答反応等であってもよい。
また、1つ1つのウェル18毎、又は、複数のウェル18で1つのグループにグルーピングされた単位毎に、異なる検出物質(例えばプローブDNA)を保持し(すなわち、同一のグループ内では同一のプローブDNAが保持され)、それぞれのグループ毎に独立の条件を設定してハイブリダイゼーションを行う。このことにより、例えば、疾病発症のマーカ遺伝子を基板上にグルーピングして固定することが可能となり、これにより、一つの基板を用いて、同時に複数の疾病の発現状況を確認することができる。また、融解温度Tm(Melting Temperature)又はGC(Guanine-Cytosine)含有率の違いに基づいて、固定化する検出用ヌクレオチド鎖をグルーピングしておくことも可能となる。これにより、アクティブなハイブリダイゼーション反応が得られるバッファ組成、濃度等の反応条件、洗浄条件、滴下するサンプル溶液濃度等を、検出用ヌクレオチド鎖の性質に応じてきめ細かく選択することが可能となるので、解析作業において偽陽性又は偽陰性が示される危険性を格段に減少させることができる。
また、さらに、バイオアッセイ用基板10では、バイオアッセイ用の物質間の相互反応をさせる領域(ウェル18)とともに、光ディスクと同様に各種の情報の記録再生を行う信号記録膜17が形成されており、円板状に形成した基板をより有用且つ多様的に利用することが可能となる。
例えば、バイオアッセイ用基板10に、「バイオアッセイの環境設定情報」、「バイオアッセイ用基板10の動作制御に関する情報」等を記録することができる。
バイオアッセイの環境設定情報としては、当該基板に対してバイオアッセイを行う場合の、湿度、温度、反応時間等の設定情報である。バイオアッセイ用基板10の動作制御に関する情報の具体例としては、例えば、バイオアッセイ用基板10を用いてDNAの解析を行う際の検査プログラム、その検査に必要な各種のデータ、検査プログラムのアップデート情報、当該バイオアッセイ用基板10や解析装置の取り扱い説明書、検査処理の手順等を記録する。
以上のようなバイオアッセイ用基板10では、例えば、ヌクレオチド鎖をプローブとして固着した場合では、励起光を反応領域に照射し、その蛍光を検出することにより、バイオアッセイ処理の反応結果を検出ことができる。人等から採取されたmRNAはRT−PCRを経てcDNAに変換、増殖され、このcDNAを含む生体物質を滴下手段でDNAチップに滴下するとともに、インターカレータ(SYBR Green、Pico Greenなど)等の標識物質も滴下する。インターカレータは、プローブとcDNAがハイブリダイゼーションを起して二本鎖を形成した、その二本鎖塩基間の水素結合中に挿入されるように取り込まれる。これにより、インターカレータを含まない二本鎖ヌクレオチド鎖からの蛍光波長に比べ、長波長側に蛍光波長がシフトし、かつ、蛍光強度と二本鎖ヌクレオチド鎖に取り込まれたインターカレータの量との間には相関関係があるので、この相関関係に基づいて、定量的な検出が可能となる。検出された蛍光強度は、プローブと相補的なcDNAがどの程度あるか示しており、所定の閾値と比較することでプローブと相補的なcDNAが「ある」「ない」「多い」「少ない」などの状態に分離できる。
なお、プローブとして使われるヌクレオチド鎖は、補足するcDNA内配列の内、他の想定されるいかなるcDNAともハイブリしない特異的な配列となるように構成することが好ましく、その長さやCG(Cytosine-Guanine)含有量など最適と思われる条件を実験や経験を通して確定していくことが好ましい。
(基板取り込み機構、及び、同時使用される複数の基板)
つぎに、基板取り込み機構2について説明をする。
つぎに、基板取り込み機構2について説明をする。
基板取り込み機構2は、複数のバイオアッセイ用基板10を取り込んで、取り込んだバイオアッセイ用基板10を複数のバイオアッセイ装置3(3-1〜3-n)に搬送する機構である。
基板取り込み機構2としては、1つの挿入口に複数枚を順次挿入するシングルドライブ形式、複数の挿入口を備えるマルチドライブ形式、複数枚のDNAチップを保持できるカートリッジを1つの挿入口から挿入するカートリッジ形式のいずれの方式であってもよい。
図6(A)にシングルドライブ形式を採用した場合の診断システム1の筐体の正面から見た模式的な図を示し、図6(B)に側面側から見た模式的な図を示す。シングルドライブ形式を採用した場合、診断システム1の基板取り込み機構2としては、バイオアッセイ用基板10が挿入される1個の挿入口30と、挿入された基板10を排出するためのボタンである1個の排出ボタン31と、挿入口30から挿入された基板10を複数のバイオアッセイ装置3-1〜3-nに搬送するためのn個の搬送路32-1〜32-nとから構成される。このようなシングルドライブ形式を採用した場合には、1つの挿入口30に対して複数の基板10を順次挿入し、n個の搬送路32-1〜32-nが順次挿入された複数の基板10を複数のバイオアッセイ装置3-1〜3-nに順番に搬送していく。
図7(A)にマルチドライブ形式を採用した場合の診断システム1の筐体の正面から見た模式的な図を示し、図7(B)に側面側から見た模式的な図を示す。マルチドライブ形式を採用した場合、診断システム1の基板取り込み機構2としては、バイオアッセイ用基板10が挿入されるn個の挿入口30-1〜30-nと、挿入された基板10を排出するためのボタンであるn個の排出ボタン31-1〜31-nと、挿入口30-1〜30-nから挿入された基板10を対応するバイオアッセイ装置3-1〜3-nに搬送するn個の搬送路32-1〜32-nとから構成される。このようなマルチドライブ形式を採用した場合には、複数のバイオアッセイ装置3-1〜3-nのそれぞれに対応して基板10の挿入口が設けられることとなる。
図8(A)にカートリッジ形式を採用した場合の診断システム1の筐体の正面から見た模式的な図を示し、図8(B)に側面側から見た模式的な図を示す。カートリッジ形式を採用した場合、複数の基板10が1つのカートリッジ34内に収納される。診断システム1の基板取り込み機構2としては、カートリッジ34が装填されるカートリッジ挿入口35と、装填されたカートリッジを排出するためのボタンである排出ボタン36と、カートリッジ34に収納されている複数の基板10を全て取り出して、それぞれを対応するバイオアッセイ装置3-1〜3-nに搬送するn個の搬送路37-1〜37-nとから構成される。このようなカートリッジ形式を採用した場合には、カートリッジ34から基板10を一枚一枚取り出して対応したバイオアッセイ装置3-1〜3-nに装着し、また、バイオアッセイ装置3-1〜3-nに装着されている基板10がカートリッジ34内に戻される。
また、診断システム1に同時に挿入される複数の基板10について説明をする。
診断システム1では、バイオアッセイ用基板として、mRNA検出基板、cDNA検出基板、SNP検出基板、DNAマーカ検出基板、プロテイン検出基板のいずれか2種類以上を同時に用いて、バイオアッセイ処理を行うようにされている。
mRNA検出基板、cDNA検出基板は、既に説明したようにプローブとしてオリゴヌクレオチド鎖やPNAを用い、mRNAやcDNAとプローブをハイブリダイゼーションさせ、そこにインターカレータを適用して蛍光強度を検出し、mRNAやcDNAの配列を決定したり、その存在量を定量観測するというものである。
SNP検出基板は、SNPを含んで特異的な配列を持つヌクレオチド鎖をプローブとする点がmRNA検出基板やcDNA検出基板と異なるだけである。例えば、ACGTCAC(A)CCTGAGT、ACGTCAC(C)CCTGAGT、ACGTCAC(G)CCTGAGT、ACGTCAC(T)CCTGAGTという4つのプローブを用いることで、()内のSNPを検出することが可能である。
DNAマーカ検出基板でも、DNAマーカを含むヌクレオチド鎖をプローブとすればSNP検出基板と同様に処理できる。DNAマーカとは、SNPs、マイクロサテライト、ミニサテライト、RFLPs(Restriction Fragment Length Polymorphism:制限酵素断片長多型)のことであり、個人によりパターンに多型を持つものを言う。ミニサテライトは30塩基数程度の繰り返し、マイクロサテライトは数塩基の繰り返しをなすもので、その繰り返し回数に多型を持っている。RFLPは、制限酵素により切断できる部位に多型をもつものである。
なお、SNPs検出基板やDNAマーカ検出基板ではプローブの数が膨大になるため(人の遺伝子数は約4万と言われているが、SNPは10の6乗個以上、ミニサテライトで10の4乗個以上と言われている)、一つのDNAチップにプローブを載せきらない場合が考えられる。そのため、比較用のコントロールプローブを同一にし、複数の基板に分けてプローブを搭載するようにしてもよい。
プロテイン検出基板は、既に説明してきたように、反応領域内の反応を表面プラズモン共鳴原理や水晶発振子等の原理を用いて観察・分析し、抗体抗原反応やホルモン応答反応等の物質間相互反応の分析を行うものである。これにより、例えば、プローブに二本鎖ヌクレオチドを用い、転写因子であるホルモンレセプター等のレセプター分子と応答配列DNA部分の結合等を分析することができる。
これらの異なる生体物質を検出する基板を複数用いることで、mRNA又はcDNAから発現遺伝子量を解析し、SNPs、DNAマーカで個人を特定したり、変異遺伝子の場所を特定し、プロテイン解析により、複数のタンパク質の関連性を解析するなど、統合的な解析が可能となる。言い換えれば、今までは個別のmRNAの存在量からのみ検査、診断をしていたのに対し、発現しているタンパク質の内、複数のタンパク質の複合的な反応を検出できることになる。
また、診断システム1では、複数のバイオアッセイ用基板10に保持されるプローブの種類が同じになるように構成されている。例えば、人の臓器や部位で共通して発現するハウスキーピング遺伝子が、異なる臓器や部位でどのように発現しているか検査するために、複数の基板に同じハウスキーピング遺伝子用プローブを搭載する。このような基板を複数用いることで、各臓器・部位での発現遺伝子状況を一括して検査、比較することができるようになる。
また、同一検体(患者、マウス等)、同一臓器(部位)から生体物質(抽出したmRNA、mRNAからRT−PCRにより増幅されたcDNA、抽出したタンパク質等)を採取する際に、予め定めた時間間隔を置いて2回以上採取し、上記複数の基板を用いて一括して検査、比較することもできる。これにより、遺伝子発現量の経時変化を追跡し、病状の経過をたどることができるようになる。
更にまた、同一検体(患者、マウス等)、同一臓器(部位)から生体物質(抽出したmRNA、mRNAからRT−PCRにより増幅されたcDNA、抽出したタンパク質等)を複数回採取する際に、例えば1回目と2回目の採取の間に、外的要因を与える。外的要因としては、ストレス、光、におい、食事、投薬などが考えられる。これにより、外的要因を与える前後での遺伝子発現量の変化を検出し、外的要因と発現遺伝子の因果関係を検査することができるようになる。
(環境設定部)
つぎに、環境設定部4について説明をする。
つぎに、環境設定部4について説明をする。
環境設定部4は、バイオアッセイ用基板10からデータを読み出すデータ読出部と、複数のバイオアッセイ装置3に対して温度、湿度の設定を行う設定制御部とを備えている。データ読出部は、バイオアッセイ用基板10の記録領域13に記録されているその基板10に対する諸所の環境条件を、バイオアッセイ装置3から読み出す処理部である。読み出される環境条件は、例えば、ハイブリダイゼーションを行う温度や、反応中に保持しなければならない湿度等である。
設定制御部は、バイオアッセイ用基板10から読み出した湿度や温度に合わせて、バイオアッセイ装置内の作業領域内の環境を制御する部分である。例えば、設定制御部は、図9に示すように、バイオアッセイ装置3内のバイオアッセイ基板10に対してバイオアッセイを行う空間領域の温度湿度を保持するために、その空間を外部から遮蔽する遮蔽部41と、遮蔽部41内の空間を加湿するための加湿器42と、遮蔽部41内の空間を昇温するヒータ43と、遮蔽部41内の空間を冷却する冷却板44と、遮蔽部41内の空間の温度及び湿度を検出するセンサ45と、センサ45から検出された温度及び湿度と設定されている温度及び湿度の差に基づき、上記加湿器42、ヒータ43及び冷却板44を制御するコントローラ46とを備えている。
このような設定制御部は、複数のバイオアッセイ装置3のそれぞれに備えられている。従って、診断システム1では、複数のバイオアッセイ用基板10に対して、それぞれ独立の環境によりバイオアッセイをさせることができる。
なお、環境設定部4は、温度や湿度の他に要望される反応環境を保持する機能を適宜持たせて良い。また、データ読出部は、ユーザ外部から環境条件を入力するための入力手段で置き換えるように簡略化しても良い。
また、このような環境設定部により空間を遮蔽した場合、ターゲット等が含まれた各種溶液を、バイオアッセイ用基板10に滴下することが困難となる。そのため、診断システム1では、図9に示すように、遮蔽部41の外部から、遮蔽部41内の貯留部やノズル(詳細後述)に溶液を注入する流路47が設けられている。流路47は、図10に示すように、筐体外部に設けられた溶液注入器具取り付け部48に接続される。溶液注入器具取り付け部48には、検体(患者、マウス等)から採取した生体物質(抽出したmRNA、mRNAからRT−PCRにより増幅されたcDNA、抽出したタンパク質等)が注入される溶液注入器49が接続され、この溶液注入器49により流路47に溶液が注入される。溶液注入器49は、例えば、図11(A)に示すような、漏斗状の溶液注入器49-Aや、図11(B)に示すようなシリンダとピストンを用いた溶液注入器49-Bである。例えば、注射器で採取した人の血液を保持するスピッツを遠心分離器にかけ、血漿成分を分離して、リンパ球成分からDNAを抽出する。そして、このDNAを含むバッファ溶液を溶液注入器49-A等に滴下する。
溶液注入器49から流れ込んだDNAを含む溶液は、流路47を経て、ノズルからバイオアッセイ用基板10に滴下される。
なお、異なる標的物質を1つのバイオアッセイ用基板10に同時に滴下できるように、溶液注入器具取り付け部48や、流路47、滴下部53を複数組備えるようにしてもよい。
なお、異なる標的物質を1つのバイオアッセイ用基板10に同時に滴下できるように、溶液注入器具取り付け部48や、流路47、滴下部53を複数組備えるようにしてもよい。
(バイオアッセイ装置)
つぎに、バイオアッセイ装置3-1〜3-nについて説明をする。なお、診断システム1には、複数のバイオアッセイ装置3-1〜3-nが備えられているが、全て同一構造となっている。
つぎに、バイオアッセイ装置3-1〜3-nについて説明をする。なお、診断システム1には、複数のバイオアッセイ装置3-1〜3-nが備えられているが、全て同一構造となっている。
バイオアッセイ装置3は、図12に示すように、バイオアッセイ用基板10を保持して回転をさせるディスク装着部52と、ハイブリダイゼーションのための各種溶液を貯留するとともにバイオアッセイ用基板10のウェル18にその溶液を滴下する滴下部53と、バイオアッセイ用基板10のウェル18から励起光を検出するための励起光検出部54と、上記の各部の管理及び制御を行う制御/サーボ部55と、バイオアッセイ用基板10の信号記録膜17に対して信号の記録再生を行う記録再生部56とを備えている。なお、図12では図示していないが、ディスク装着部52、滴下部53及び励起光検出部54が、上述した遮蔽部41内に配置されている。
ディスク装着部52は、バイオアッセイ用基板10の中心孔12内に挿入して当該バイオアッセイ用基板10を保持するチャッキング機構61と、チャッキング機構61を駆動することによりバイオアッセイ用基板10を回転させるスピンドルモータ62と有している。ディスク装着部52は、上面11a側が上方向となるようにバイオアッセイ用基板10を水平に保持した状態で、当該バイオアッセイ用基板10を回転駆動する。
滴下部53は、試料溶液Sを貯留する貯留部65と、貯留部65内の試料溶液Sをバイオアッセイ用基板10に滴下する滴下ヘッド64とを有している。滴下ヘッド64は、水平に装着されたバイオアッセイ用基板10の上面11aの上方に配置されている。さらに、滴下ヘッド64は、図2記載のバイオアッセイ用基板10のアドレスピット19から読み出される位置情報及び回転同期情報に基づいてバイオアッセイ用基板10との相対位置を半径方向に制御し、プローブ(例えばプローブDNA)、ターゲット(例えばターゲットDNA)又は蛍光標識剤を含有する試料溶液Sを所定のウェル18に正確に追従して滴下する構成とされている。なお、上述した流路47は、貯留部65に接続され、外部から溶液Sが注入される。また、貯留部65を設けずにそのまま滴下ヘッド64に接続された構成であってもよい。 励起光検出部54は、光学ヘッド70を有している。光学ヘッド70は、水平に装着されたバイオアッセイ用基板10の下方側、すなわち、下面11b側に配置されている。光学ヘッド70は、例えば、図示していないスレッド機構等により、バイオアッセイ用基板10の半径方向に移動自在とされている。
光学ヘッド70は、対物レンズ71と、対物レンズ71を移動可能に支持する2軸アクチュエータ72と、導光ミラー73とを有している。対物レンズ71は、その中心軸がバイオアッセイ用基板10の表面に対して略垂直となるように2軸アクチュエータ72に支持されている。従って、対物レンズ71は、バイオアッセイ用基板10の下方側から入射された光束を当該バイオアッセイ用基板10に対して集光することができる。2軸アクチュエータ72は、バイオアッセイ用基板10の表面に対して垂直な方向、及び、バイオアッセイ用基板10の半径方向の2方向に対物レンズ71を移動可能に支持している。2軸アクチュエータ72を駆動することにより、対物レンズ71により集光された光の焦点を、バイオアッセイ用基板10の表面に対して垂直な方向及び半径方向に移動させることができる。従って、この光学ヘッド70では、光ディスクシステムにおけるジャストフォーカス制御並びに位置決め制御と同様の制御を行うことができる。
導光ミラー73は、光路X上に対して45°の角度で配置されている。光路Xは、励起光P、蛍光F、制御光V及び反射光Rが、光学ヘッド70に対して入射及び出射する光路である。導光ミラー73には、励起光P及び制御光Vが光路X上から入射される。導光ミラー73は、励起光P及び制御光Vを反射して90°屈折させて、対物レンズ71に入射する。対物レンズ71に入射された励起光P及び制御光Vは、当該対物レンズ71により集光されてバイオアッセイ用基板10に照射される。また、導光ミラー73には、蛍光F及び制御光Vの反射光Rが、バイオアッセイ用基板10から対物レンズ71を介して入射される。導光ミラー73は、蛍光F及び反射光Rを反射して90°屈折させて、光路X上に出射する。なお、光学ヘッド70をスレッド移動させる駆動信号及び2軸アクチュエータ72を駆動する駆動信号は、制御/サーボ部55から与えられる。
また、励起光検出部54は、励起光Pを出射する励起光源74と、励起光源74から出射された励起光Pを平行光束とするコリメータレンズ75と、コリメータレンズ75により平行光束とされた励起光Pを光路X上で屈折させて導光ミラー73に照射する第1のダイクロックミラー76とを有している。
励起光源74は、蛍光標識剤を励起可能な波長のレーザ光源を有する発光手段である。励起光源74から出射される励起光Pは、ここでは波長が405nmのレーザ光である。なお、励起光Pの波長は、蛍光標識剤を励起できる波長であればどのような波長であってもよい。コリメータレンズ75は、励起光源74から出射された励起光Pを平行光束にする。第1のダイクロックミラー76は、波長選択性を有する反射鏡であり、励起光Pの波長の光のみを反射して、蛍光F及び制御光V(その反射光R)の波長の光を透過する。第1のダイクロックミラー76は、光路X上に45°の角度を持って挿入されており、コリメータレンズ75から出射された励起光Pを反射して90°屈折させ、導光ミラー73に励起光Pを照射している。
また、励起光検出部54は、蛍光Fを検出するアバランジェフォトダイオード77と、蛍光Fを集光する集光レンズ78と、光学ヘッド70から光路X上に出射された蛍光Fを屈折させてアバランジェフォトダイオード77に照射する第2のダイクロックミラー79とを有している。
アバランジェフォトダイオード77は、非常に感度の高い光検出器であり、微弱な光量の蛍光Fを検出することが可能である。なお、アバランジェフォトダイオード77により検出する蛍光Fの波長は、ここでは470nm程度である。また、この蛍光Fの波長は、蛍光標識剤の種類により異なるものである。集光レンズ78は、アバランジェフォトダイオード77上に蛍光Fを集光するためのレンズである。第2のダイクロックミラー79は、光路X上に45°の角度を挿入されているとともに、導光ミラー73側から見て第1のダイクロックミラー76の後段に配置されている。従って、第2のダイクロックミラー79には、蛍光F、制御光V及び反射光Rが入射し、励起光Pは入射しない。第2のダイクロックミラー79は、波長選択性を有する反射鏡であり、蛍光Fの波長の光のみを反射して、制御光V(反射光R)の波長の光を透過する。第2のダイクロックミラー79は、光学ヘッド70の導光ミラー73から出射された蛍光Fを反射して90°屈折させ、集光レンズ78を介してアバランジェフォトダイオード77に蛍光Fを照射する。
アバランジェフォトダイオード77では、このように検出した蛍光Fの光量に応じた電気信号を発生し、その電気信号を制御/サーボ部55に供給する。
また、励起光検出部54は、制御光Vを出射する制御光源80と、制御光源80から出射された制御光Vを平行光束とするコリメータレンズ81と、制御光Vの反射光Rを検出するフォトディテクト回路82と、非点収差を生じさせてフォトディテクト回路82に対して反射光Rを集光するシリンドリカルレンズ83と、制御光Vと反射光Rとを分離する光セパレータ84とを有している。
制御光源80は、例えば780nmの波長のレーザ光を出射するレーザ光源を有する発光手段である。なお、制御光Vの波長は、アドレスピット19が検出でき、且つ、信号記録膜17に対して情報の記録及び再生ができる波長に設定されている。さらに、制御光Vの波長は、励起光P及び蛍光Fの波長と異なった波長に設定されている。このような波長であれば、制御光Vの波長は、780nmに限らずどのような波長であってもよい。コリメータレンズ81は、制御光源80から出射された制御光Vを平行光束にする。平行光束とされた制御光Vは光セパレータ84に入射される。
フォトディテクト回路82は、反射光Rを検出するディテクタと、検出した反射光Rからフォーカスエラー信号、位置決めエラー信号、及び、アドレスピット19の再生信号、並びに、信号記録膜17の再生信号を生成する信号生成回路とを有している。反射光Rは、制御光Vがバイオアッセイ用基板10で反射して生成された光であるので、その波長は、制御光と同一の780nmである。
なお、光学ヘッド70によりバイオアッセイ用基板10の反応領域14(外周側の領域)にレーザ光を照射している場合、フォーカスエラー信号は、対物レンズ71により集光された光の合焦位置とバイオアッセイ用基板10の反応層16との位置ずれ量を示すエラー信号となり、位置決めエラー信号は、所定のウェル18の位置と焦点位置とのディスク半径方向に対する位置ずれ量を示す信号となる。光学ヘッド70によりバイオアッセイ用基板10の記録領域3(内周側の領域)にレーザ光を照射している場合、フォーカスエラー信号は、対物レンズ71により集光された光の合焦位置と信号記録膜17との位置ずれ量を示すエラー信号となり、位置決めエラー信号は、信号記録膜17のトラック位置と焦点位置とのディスク半径方向に対する位置ずれ量を示す信号となる。
アドレスピット19の再生信号は、反応領域14(外周側の領域)にレーザ光を照射している場合のみに検出され、バイオアッセイ用基板10に記録されているアドレスピット19に記述されている情報内容を示す信号である。この情報内容を読み出すことにより、現在、制御光Vを照射しているウェル18を特定することができる。
信号記録膜17の再生信号は、記録領域13(内周側の領域)にレーザ光を照射している場合のみに検出され、信号記録膜17のトラックに記録されている情報内容を示す信号である。
フォトディテクト回路82は、反射光Rに基づき生成されたフォーカスエラー信号、位置決めエラー信号及びアドレスピット19の再生信号を制御/サーボ部55に供給する。
シリンドリカルレンズ83は、フォトディテクト回路82上に反射光Rを集光するとともに非点収差を生じさせるためのレンズである。このように非点収差を生じさせることによりフォトディテクト回路82によりフォーカスエラー信号を生成させることができる。
光セパレータ84は、偏向ビームスプリッタからなる光分離面84aと1/4波長板84bにより構成されている。光セパレータ84では、1/4波長板84bの逆側から入射された光を光分離面84aが透過し、その透過光の反射光が1/4波長板84b側から入射された場合には光分離面84aが反射する機能を有している。光セパレータ84は、光分離面84aが光路X上に45°の角度を挿入されているとともに、導光ミラー73側から見て第2のダイクロックミラー79の後段に配置されている。従って、光セパレータ84では、コリメータレンズ81から出射された制御光Vを透過して光学ヘッド70内の導光ミラー73に対してその制御光Vを入射させているとともに、光学ヘッド70の導光ミラー73から出射された反射光Rを反射することにより90°屈折され、シリンドリカルレンズ83介してフォトディテクト回路82に反射光Rを照射する。
制御/サーボ部55は、励起光検出部54により検出されたフォーカスエラー信号、位置決めエラー信号及びアドレスピット19の再生信号に基づき、各種のサーボ制御を行う。
反応領域14(外周側の領域)にレーザ光を照射している場合には、制御/サーボ部55は、フォーカスエラー信号に基づき光学ヘッド70内の2軸アクチュエータ72を駆動して対物レンズ71とウェル18との間の間隔を制御し、位置決めエラー信号に基づき光学ヘッド70内の2軸アクチュエータ72を駆動して対物レンズ71とウェル18との半径方向の位置関係を制御し、アドレスピット19の再生信号に基づき光学ヘッド70のスレッド移動制御を行って光学ヘッド70を所定の半径位置に移動する。
記録領域13(内周側の領域)にレーザ光を照射している場合には、制御/サーボ部55は、フォーカスエラー信号に基づき光学ヘッド70内の2軸アクチュエータ72を駆動して対物レンズ71と信号記録膜17との間の間隔を制御し、位置決めエラー信号に基づき光学ヘッド70内の2軸アクチュエータ72を駆動して対物レンズ71と信号記録膜17の記録トラックとの半径方向の位置関係を制御する。
記録再生部56は、情報記録層17に記録されているデータの再生信号の復調及び復号処理を行ってデータを出力するとともに、情報記録層17に記録する記録データの符号化及び変調を行う。記録再生部56は、再生時には、励起光検出部54から出力された再生信号が入力され、復調及び復号したデータを出力する。また、記録再生部56は、記録時には、記録データが入力され、符号化及び変調がされたデータを励起光検出部54に供給して、制御光Vを出射する制御光源80を駆動する。
以上のような構成のバイオアッセイ装置3では、バイオアッセイを行う場合には、次のような動作を行う。
バイオアッセイ装置3は、バイオアッセイ用基板10を回転させながら、図13に示すようにウェル18上にサンプルが含有した溶液を滴下し、プローブとサンプルとを相互反応(例えばハイブリダイゼーション)させる。また、相互反応処理の済んだバイオアッセイ用基板10上に蛍光標識剤M(例えばインターカレータ)を含んだバッファ溶液を滴下して、相互反応が行われた部分を蛍光標識する。
バイオアッセイ装置3は、蛍光標識された後のバイオアッセイ用基板10を回転させ、励起光Pを当該バイオアッセイ用基板10の下面11b側から入射させてウェル18内の蛍光標識剤に照射し、その励起光Pに応じてその蛍光標識剤から発生した蛍光Fをバイオアッセイ用基板10の下方から検出する。
ここで、バイオアッセイ装置3では、励起光Pと制御光Vとを同一の対物レンズ71を介してバイオアッセイ用基板10に照射している。そのため、バイオアッセイ装置3では、制御光Vを用いたフォーカス制御、位置決め制御並びにアドレス制御を行うことによって、励起光Pの照射位置、すなわち、蛍光Fの発光位置を特定することが可能となり、その蛍光の発光位置からサンプルDNAと結合したプローブDNAを特定することができる。
また、以上のような構成のバイオアッセイ装置3では、データの記録及び再生時には、次のような動作を行う。
バイオアッセイ装置3は、励起光Pの出射を停止して、制御光Vのみを出射する。そして、バイオアッセイ用基板10を回転させながらサーボ制御を行い、信号記録膜17上のトラックに対して、データの記録又は再生を行う。
また、特に、DNA解析を行う場合の動作について説明する。
まず、バイオアッセイ装置3により、アドレスピット19に基づく位置制御を行いながらバイオアッセイ用基板10を回転させ、滴下ヘッド64から、一端がNCO基等で修飾されたプローブDNAが含有した溶液を所定のウェル18に対して滴下する。このとき、1つのバイオアッセイ用基板10に対して、複数種類のプローブDNAが滴下する。だたし、1つのウェル18内には1種類のプローブDNAが入るようにする。なお、各ウェル18にいずれの種類のプローブDNAを滴下するかは、予めウェルとプローブDNAとの対応関係を示す配置マップ等を信号記録膜17から読み出しておくか、図示せぬネットワーク接続部を用いて情報収集しておき、その配置マップに基づき滴下制御する。
続いて、バイオアッセイ用基板10の上面11a側から、電極をウェル18内の溶液に挿入して、1MV/m、1MHz程度の交流電界を各ウェル18に印加する。このように交流電界を印加すると、プローブDNAがバイオアッセイ用基板10に対して垂直方向に伸張するとともに、プローブDNAをバイオアッセイ用基板10に垂直方向に移動させて、予め表面修飾処理がされた底面14に対して、プローブDNAの修飾端を結合させ、ウェル18内にプローブDNAを固相化(固定化)することができる(Masao Washizu and Osamu Kurosawa:“Electrostatic Manipulation of DNA in Microfabricated”,IEEE Transaction on Industrial Application Vol.26,No26,P.1165-1172(1900) 参照)。
以上のプローブDNAの製造は、通常DNAチップメーカが行う。診断システム1のユーザは、既にプローブDNAが固相化されたバイオアッセイ用基板10の購入を行い、以下の処理を行う。
バイオアッセイ装置3に対してプローブDNAが固相化されているバイオアッセイ用基板10を装着する。続いて、アドレスピット19に基づく位置制御を行いながらバイオアッセイ用基板10を回転させ、滴下ヘッド64からサンプルDNAが含有した溶液をバッファ塩を含む溶液とともに各ウェル18に滴下する。
続いて、サンプルDNAの滴下後、ウェル18内を数十度に加熱し、加熱した状態のまま1MV/m、1MHz程度の交流電界(又は、パルス電界)を印加する。このような処理をすると、サンプルDNAとプローブDNAとが垂直方向に伸張して立体障害の少ない状態となるとともに、サンプルDNAがバイオアッセイ用基板10に対して垂直方向に移動する。この結果、互いの塩基配列が対応したサンプルDNAとプローブDNAとが同一のウェル18内にある場合には、それらがハイブリダイゼーションを起す。
続いて、ハイブリダイゼーションを起させた後に、バイオアッセイ装置3により、蛍光標識剤であるインターカレータをバイオアッセイ用基板10のウェル18内に滴下する。インターカレータは、図14に示すように、ハイブリダイゼーションを起したプローブDNAとサンプルDNAとの二重らせんの間に挿入して結合する。
続いて、バイオアッセイ装置3により、制御光Vを用いてフォーカスサーボ制御及び位置決めサーボ制御並びにアドレス制御を行いながらバイオアッセイ用基板10を回転させ、励起光Pを所定のウェル18に照射する。この励起光Pの照射とともに、アドレス情報を検出しながら蛍光Fが発生しているか否かを検出する。
続いて、バイオアッセイ装置3は、バイオアッセイ用基板10上の各ウェル18の位置と蛍光Fの発光の強度に応じた測定値を計算し、その結果及び撮像イメージをバイオアッセイ用基板10の信号記録膜17に記録して保存する。続いて、その測定値から標的物質の有無を判別し、検出結果を例えばディスクイメージ上の判別マップ等にした状態で解析装置5に送出する。
(解析装置)
つぎに、解析装置5について説明をする。
つぎに、解析装置5について説明をする。
解析装置5には、複数のバイオアッセイ装置3のそれぞれから反応結果が入力され、これら反応結果を解析し、その解析結果に基づき検査対象となっている被検者の病気等の診断等を行う。また、バイオアッセイ用基板10毎に得られた解析結果やその診断結果を、互いに関連性付けてさらなる解析をしたり、互いに関連性付けてそれらの保存をしたりする。
図15に解析装置5の構成図を示す。解析装置5は、各バイオアッセイ装置3-1〜3-nの反応結果を検出する検出部101と、バイオアッセイ用基板10のIDを検出するID検出部102と、検出部101からの解析結果に基づき生体情報を生成する生体情報生成部103と、病状(病名、患者の外見上の変化、血液検査結果、診断結果)に関する情報等が入力される病状入力部104と、関連化部105、解析結果生成部106とを備えている。検出部101は、バイオアッセイ用基板10での反応結果(例えば標的物質の有無、ディスクイメージ状の判別マップ、蛍光強度)を各バイオアッセイ装置3から受信し、その反応結果から発現遺伝子名や発現遺伝子量、検出SNPs配列(情報)、生成タンパク質名や生成タンパク質量等を検出する。検出部101は、予め、バイオアッセイ用基板10から、プローブ(検出物質)の配置情報を読み出し、どのディスク上のどのアドレスにどのような遺伝子(SNPs、タンパク質)を検出する物質が搭載されているか把握している。そのため、ディスクイメージ状の判別マップ等の反応結果を分析することで、発現遺伝子名、発現遺伝子量、検出SNPs配列、生成タンパク質名、生成タンパク質量を検出することができる。
ID検出部102は、バイオアッセイ用基板10の記録領域から読み出された基板ID(基板毎にユニークなID)を、各バイオアッセイ装置3から受信する。なお、基板IDは、半導体メモリに記録してあるもの、物理的な傷、その他基板固有のIDとして利用できるものであればどのようなものを用いてもかまわないが、その際の読み出し手段は適宜変更するものとする。
生体情報生成部103は、検出部101の解析結果から、生体情報(例えば変異遺伝子配列情報、SNPs情報、発現遺伝子情報(mRNAの存在の有無や発現量、局在情報)、生成タンパク質情報(タンパク質の存在の有無や発現量、局在情報))を生成する。生体情報生成部103は、生成した生体情報を所定のファイル形式にフォーマット化して、保存、検索、参照できるデータ形態に加工する。例えば、発現遺伝子名、発現量、添付画像等をXML等の書式に従って加工する。
病状入力部104は、キーボード、マウス、バーコード付き入力帳(病名や症状にバーコードを関連づけたノート状の冊子で、バーコードスキャナでバーコードを読み込むことで病名や症状を取り込む)などを用い、外部から人手を使って病状等を入力する手段である。病状入力部104は、外部からデータ入力できる手段であればどのような手段であってもよい。病状とは、病名、患者の外見上の変化、血液検査結果、診断結果など、病気に関連する一連の情報である。
関連化部105は、生体情報が生体情報生成部103から供給されるとともに、その生体情報を検出したバイオアッセイ用基板10の基板IDがID検出部102から供給される。また、関連化部105には、病状入力部104から病状が供給される。関連化部105は、基板IDと、生体情報と、病状を取り込み、基板IDに対して生体情報及び病状を関連づける。この結果、基板IDから生体情報や病状が検索できるようなる。これらは、例えば商用のDBソフト(Oracle等)を使用し、基板IDに対して生体情報及び病状を結びつけるようにしても良いし、ハードディスクに独自フォーマットで関連づけて管理するようにしても良い。
解析結果生成部106は、複数のバイオアッセイ用基板10の記録領域や図示せぬ情報記録領域に登録されているバイオアッセイ基板毎の生体情報間の相関関係を演算し、その関連性と病状とを関連づけた解析結果を出力する。
(解析方法)
次に、解析結果生成部106で行われる診断方法(又は検査方法)を具体的に説明する。
次に、解析結果生成部106で行われる診断方法(又は検査方法)を具体的に説明する。
診断システム1には、通常2枚以上のバイオアッセイ用基板10を装着できる構造となっている。このため、プローブの搭載密度は低いが、安価な基板を用いることができる。この場合、各基板にはコントロール用の共通プローブが保持され、他は各基板間で相異なるプローブが保持され、これらを同時に用いて統合的にデータ処理することで、プローブ搭載密度の高い、高価な基板を用いたものと同じ効果を得ることができる。なお、共通プローブを用いる理由は、基板毎に反応環境や読み出し精度、滴下量などが微妙に異なってしまうため、同じプローブに対しても検出できる蛍光強度が異なるのが一般的である。このため、共通プローブに対する蛍光強度で正規化する必要があるからである。
次に、診断システム1では、mRNA検出基板、cDNA検出基板、SNP検出基板、プロテイン検出基板を同時に用いることができるように構成されている。mRNA検出基板を用いれば、標的物質中のmRNAを直接検出することができる。cDNA検出基板を用いれば、生体物質中のmRNAからRT−PCRなどの手法を用いて増幅したcDNAを検出でき、結果として標的物質中のcDNAからmRNAを間接的に検出することができる。また、SNP検出基板を用いれば、検体から採取したDNAからSNP配列を検出できる。更に、プロテイン検出基板を用いれば、mRNAから生成されたタンパク質の種類と量を正確に測定することができる(一般的に、mRNAの全てがタンパク質に変換されるわけではない)。
これら、種類の異なる基板を同時に測定に用いることで、例えば、肥満で心臓病になっている患者の場合、SNP検出基板で例えば肥満に関連する遺伝子を検出し、これによりcDNA検出基板で検出された肥満により引き起こされる病気に関連する遺伝子群を注視し、プロテイン検出基板で実際の生成タンパク質量を注視する。つまり、肥満遺伝子の検出を前提として、これに誘発される各種病気を想定して発現遺伝子に注目し、実際に生成されるタンパク質を解析することで、見逃しがちであった病気と遺伝子、タンパク質との関係を明確にすることができる。
次に、診断システム1には、同一の2枚以上のバイオアッセイ用基板10も装着できる構造となっており、比較検査が容易にできるようになっている。このため、同一の発現遺伝子であっても、臓器や部位で発現量が異なる遺伝子を一括して検査することができる。これにより、発現遺伝子の局在情報を取得したり、個人差による発現量を考慮することができる。例えば、通常は胃でしか発現しない遺伝子が腸でも検出されていたりした場合、腸で発現した遺伝子による発病の予知、予防、治療に活かすことができたり、複数の臓器で発現した発現量の多い又は少ない遺伝子などを統合的に解析し、因果関係を調べることができる。胆嚢で発現している遺伝子Aの量が少ないため、腸で発現している遺伝子Bの量が多くなっているなどの解析である。また、通常の人に比べ、全般的に多め・少な目に発現する遺伝子量を、平均発現量などで正規化するなどにより容易に基準値と比較することもできるようになる。
また、通常は、病院で臓器、血液等から生体物質(標的物質)が採取され、検査担当部署や検査専門会社(以下、検査部門とする)で検査されることが多い。このため、同一人から一定の時間を空けて採取された生体物質は、一括して検査部門で検査されることとなる。本バイオアッセイ装置を用いれば、一括して送付されてきた生体物質を同時に検査することができ、読み出されたデータの取り違えや時間による検査誤差を防止することができるようになる。更にまた、同一人に外的要因を与えた前後での採取生体物質も同様に検査することができる。外的要因としては、薬剤の投与、ストレス、光、におい、食事等があげられ、例えば、外的要因が薬剤であれば薬剤の効能を発現mRNA量から判定することができるようになる。また、ストレスと病気の関係、ストレスとホルモン分泌量との関係、光(特に太陽光)による時計遺伝子の変動量、体内リズムやホルモン分泌量の変化、食事の前後での消化酵素の増減、におい、音などによるホルモン分泌量の変化などを一括して検査することができる。
以上のように種類の異なる複数の基板を同時に測定するとともに、これら複数の基板間で測定内容に関連性を付けておく。このことにより、一括して測定を行うのみならず、複数基板間で得られた結果の比較解析を行うことができ、多面的な検査を行うことが可能となる。
なお、本発明では光磁気ディスクを用いた円盤状のDNAディスクを説明してきたが、形状は適宜適した形(例えば正方形、長方形、楕円形)にしても良い。また、データ記録層として光磁気ディスクを用いた例を示していたが、所定の記録機能を有する磁気記録テープ、半導体メモリ(EEPROMやFRAM、MRAMなど)、印刷技術などを差し障りのない範囲で使用できるものとする。また、各手段においては、可能な範囲でソフトウェアで実装したり、ハードウェアで構成したりすることができるものとする。また、通信するためのプロトコル(FTPなど)やフォーマット(ファイルフォーマット、データ格納形式)などは実現可能な範囲で任意とする。
1 診断システム、2 基板取り込み機構、3 バイオアッセイ装置、4 環境設定部、5 解析装置、10 バイオアッセイ用基板
Claims (13)
- バイオアッセイ用基板上で標的物質と検出物質とを生化学反応させ、当該生化学反応の検出を行うバイオアッセイ装置において、
上記検出物質を保持する保持部と、当該保持部により保持された上記検出物質と上記標的物質とを相互反応させる反応空間とを有する反応部が1又は複数設けられているバイオアッセイ用基板を複数枚装着する装着手段と、
上記装着手段により装着された複数のバイオアッセイ用基板の反応空間に対し、上記標的物質を供給する供給手段と、
上記供給手段により上記反応空間に供給された上記標的物質と、上記保持部に保持された上記検出物質との相互反応を行う反応手段と、
上記反応手段により行われた上記標的物質と上記検出物質の上記相互反応を検出する検出手段と、
上記検出手段により検出された上記相互反応を解析する解析手段とを備え、
上記供給手段は、複数のバイオアッセイ用基板毎に、互いに異なる標的物質を供給可能とされており、
上記解析手段は、上記バイオアッセイ用基板に保持されている検出物質の基板間の関連性、又は、上記供給手段により供給された標的物質の基板間の関連性に応じて、各基板から得られた解析結果の関連付けを行うこと
を特徴とするバイオアッセイ装置。 - 上記供給手段は、上記バイオアッセイ用基板における上記反応空間に、上記標的物質を滴下すること
を特徴とする請求項1に記載のバイオアッセイ装置。 - 上記装着手段は、上記複数のバイオアッセイ用基板を装着するための、1又は複数の装着口を有し、上記複数のバイオアッセイ用基板を、上記検出物質及び上記反応物質の相互作用を行う場所へ装着すること
を特徴とする請求項1に記載のバイオアッセイ装置。 - 上記標的物質と上記検出物質の相互反応を行う反応環境を、上記複数のバイオアッセイ用基板毎に設定する反応制御手段をさらに備え、
少なくとも1の当該反応環境は、他の当該反応環境とは異なる反応環境であること
を特徴とする請求項1記載のバイオアッセイ装置。 - 上記バイオアッセイ用基板には、上記反応部における上記相互反応の反応環境の設定条件が記録されており、
上記反応制御手段は、上記バイオアッセイ用基板から上記設定条件を読み出し、読み出した設定条件に応じた反応環境で相互反応をさせること
を特徴とする請求項4記載のバイオアッセイ装置。 - 複数のバイオアッセイ用基板のうちの少なくとも1つの基板は、他の基板に保持されている検出物質と異なる検出物質を保持していること
を特徴とする請求項1記載のバイオアッセイ装置。 - 上記複数のバイオアッセイ用基板は、検出物質としてmRNAを検出するmRNA検出基板、cDNAを検出するcDNA検出基板、SNPを検出するSNP検出基板、DNAマーカを検出するDNAマーカ検出基板、プロテインを検出するプロテイン検出基板のいずれかで構成され、少なくとも2種類以上のバイオアッセイ用基板を用いること
を特徴とする請求項6記載のバイオアッセイ装置。 - 各バイオアッセイ用基板は、互いに共通の検出物質を少なくとも保持し、
上記供給手段は、バイオアッセイ用基板毎に異なる標的物質を供給すること
を特徴とする請求項1記載のバイオアッセイ装置。 - 上記供給手段は、各バイオアッセイ用基板に対して、同一の人間又は生物の異なる臓器又は部位から採取された標的物質を供給すること
を特徴とする請求項8記載のバイオアッセイ装置。 - 上記供給手段は、各バイオアッセイ用基板に対して、同一の人間又は生物の同一臓器又は部位から所定の時間間隔を空けて採取された標的物質を供給すること
を特徴とする請求項8記載のバイオアッセイ装置。 - 上記供給手段は、各バイオアッセイ用基板に対して、同一の人間又は生物の同一臓器又は部位に対して外的要因を与える前及び後に当該臓器及び部位から採取された標的物質を供給すること
を特徴とする請求項8記載のバイオアッセイ装置。 - 上記外的要因は、薬剤の投与によるものであること
を特徴とする請求項11記載のバイオアッセイ装置。 - バイオアッセイ用基板上で標的物質と検出物質とを生化学反応させ、当該生化学反応の検出を行うバイオアッセイ方法において、
上記検出物質を保持する保持部と、当該保持部により保持された上記検出物質と上記標的物質とを相互反応させる反応空間とを有する反応部が1又は複数設けられているバイオアッセイ用基板を複数枚装着し、
装着された複数のバイオアッセイ用基板の反応空間に対し、複数のバイオアッセイ用基板毎に互いに異なる標的物質を供給し、
上記反応空間に供給された上記標的物質と、上記保持部に保持された上記検出物質との相互反応を行い、
上記標的物質と上記検出物質の上記相互反応結果を検出し、
検出された上記相互反応結果を解析し、
上記バイオアッセイ用基板に保持されている検出物質の基板間の関連性、又は、上記供給手段により供給された標的物質の基板間の関連性に応じて、各基板から得られた解析結果の関連付けを行うこと
を特徴とするバイオアッセイ方法。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2003356975A JP2005121489A (ja) | 2003-10-16 | 2003-10-16 | バイオアッセイ装置及び方法 |
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JP2006322722A (ja) * | 2005-05-17 | 2006-11-30 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | 分析装置 |
JP2018159684A (ja) * | 2017-03-24 | 2018-10-11 | 株式会社Jvcケンウッド | 検出対象物質捕捉ユニット及び抽出装置 |
-
2003
- 2003-10-16 JP JP2003356975A patent/JP2005121489A/ja not_active Withdrawn
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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