JP2005091097A - 検査システム、基板セット、検査装置および方法、記録媒体、並びにプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】 より迅速に、より安く、生体情報の検査をする。
【解決手段】 ステップS43の処理において、検査処理プログラムは、最初のバイオアッセイ基板11おけるプローブと遺伝子との結合を検出する。ステップS44において、検査処理プログラムは、プローブと遺伝子との結合の検出結果、および検査した遺伝子の他の遺伝子への影響を示す遺伝子リストに基づいて、次のバイオアッセイ基板を選択する。本発明は、生体情報を検査する検査装置に適用できる。
【選択図】 図11
【解決手段】 ステップS43の処理において、検査処理プログラムは、最初のバイオアッセイ基板11おけるプローブと遺伝子との結合を検出する。ステップS44において、検査処理プログラムは、プローブと遺伝子との結合の検出結果、および検査した遺伝子の他の遺伝子への影響を示す遺伝子リストに基づいて、次のバイオアッセイ基板を選択する。本発明は、生体情報を検査する検査装置に適用できる。
【選択図】 図11
Description
本発明は検査システム、基板セット、検査装置および方法、記録媒体、並びにプログラムに関し、特に、生体情報の検査をより安くできるようにした検査システム、基板セット、検査装置および方法、記録媒体、並びにプログラムに関する。
現在、マイクロアレイ技術によって所定のDNA(deoxyribonucleic acid)が微細配列された、いわゆるDNAチップまたはDNAマイクロアレイ(以下、「DNAチップ」と総称する。)と呼ばれるバイオアッセイ用の集積基板が、遺伝子の変異解析、SNPs(一塩基多型)分析、遺伝子発現頻度解析等に利用されており、創薬、臨床診断、薬理ジェノミクス、法医学その他の分野において広範囲に活用され始めている。
このDNAチップは、ガラス基板やシリコン基板上に多種・多数のDNAオリゴ鎖やcDNA(Complementary DNA)等が集積されていることから、ハイブリダイゼーション等の分子間相互作用の網羅的解析が可能となる点が特徴である。
DNAチップによる解析手法の一例を簡潔に説明すれば、ガラス基板やシリコン基板上に個相化されたDNAプローブに対して、細胞、組織等から抽出したmRNA(messenger ribonucleic acid)を逆転写PCR(Polymerase Chain Reaction)反応等によって蛍光プローブdNTP(デオキシリボヌクレオシド三リン酸)を組み込みながらPCR増幅し、基板上においてハイブリダイゼーションを行い、所定の検出器で蛍光測定を行うという手法である。
ここでDNAチップは2つのタイプに分類できる。第1のタイプは、半導体露光技術を応用したフォトリソグラフィーの技術を用いて、所定の基板上に直接オリゴヌクレオチドを合成していくものであり、アフィメトリクス社(Affimetrix社)によるものが代表的である(例えば、特許文献1参照)。この種のチップは、集積度は高いが、基板上でのDNA合成には限界があって、数十塩基程度の長さである。
第2のタイプは、「スタンフォード方式」とも称されるもので、先割れピンを用いて、予め用意されたDNAを基板上に分注・個相化していくことによって作成されるものである(例えば、特許文献2参照)。この種のチップは、集積度は前者に比べて低いが、1kb程度のDNA断片を個相化できると言う利点がある。
そして、これらのDNAチップを用いた解析した結果は、解析者、研究者、医師、または、場合によっては、個人によって、個々に保存され、管理され、必要に応じて新しいデータとの比較に利用されていた。
また、オリゴヌクレオチドをあるフェノタイプに関連する遺伝子とし、遺伝子同士の相関関係に基づいた配置規則により、オリゴヌクレオチドをチップ上に固定化するようにしているものもある(例えば、特許文献3参照)。
しかしながら、上述した従来のDNAチップ技術を用いた解析方法においては、検出すべき対象物を予め決めておき、それとハイブリダイゼーションする相補ヌクレオチド鎖を事前にDNAチップに保持しておく必要があるという問題があった。
より具体的には、DNAチップを使う前に、患者の病名や症状を完全に補足し、それに対する発現遺伝子の特定を完了し、事前にDNAチップに検出用のヌクレオチドを配置させる必要があった。
しかし、現実には完全に病名や症状を補足し、発現遺伝子を特定しておくことは困難であり、結果的には繰り返しDNAチップで検査することになり、多数のDNAチップが必要となり、その結果、コストが非常に高くなってしまうという問題がある。
本発明の検査システムは、第1の基板に、第1の標的物質を検出する第1の検出物質が配置され、第2の基板に、第1の標的物質による影響を受ける第2の標的物質を検出する第2の検出物質が配置され、検査装置が、第1の基板における第1の検出物質と第1の標的物質との結合を検出する検出手段と、第1の検出物質と第1の標的物質との結合の検出結果、および第1の標的物質の第2の標的物質への影響を示すデータに基づいて、第2の検出物質を選択する選択手段とを含むことを特徴とする。
選択手段は、第2の検出物質が配置されている第2の基板をさらに選択するようにすることができる。
本発明の基板セットは、第1の基板に、第1の標的物質を検出する第1の検出物質が配置され、第2の基板に、第1の標的物質による影響を受ける第2の標的物質を検出する第2の検出物質が配置されていることを特徴とする。
第1の基板に、第1の標的物質の第2の標的物質への影響を示すデータを記録するようにすることができる。
第1の基板に、第1の標的物質と第2の標的物質との因果関係が反映されたマップを基にしたデータを記録するようにすることができる。
本発明の検査装置は、第1の標的物質を検出する第1の検出物質と第1の標的物質との結合を検出する検出手段と、第1の検出物質と第1の標的物質との結合の検出結果、および第1の標的物質の第2の標的物質への影響を示すデータに基づいて、第2の標的物質を検出する第2の検出物質を選択する選択手段とを含むことを特徴とする。
選択手段は、第2の検出物質が配置されている、第2の標的物質を検査するための基板をさらに選択するようにすることができる。
検査装置は、選択された基板を使用者に通知する通知手段をさらに設けることができる。
選択手段は、第1の検出物質と第1の標的物質との結合の検出結果、および第1の標的物質と第2の標的物質との因果関係が反映されたマップを基にしたデータに基づいて、第2の検出物質を選択するようにすることができる。
検査装置は、第1の標的物質の第2の標的物質への影響を示すデータを格納する格納手段をさらに設けることができる。
検査装置は、第1の検出物質が配置されている基板に記録されている、第1の標的物質の第2の標的物質への影響を示すデータを読み出す読み出し手段をさらに設けることができる。
検出手段は、第1の検出物質と第1の標的物質との結合を示す蛍光強度を検出し、選択手段は、閾値と検出結果である蛍光強度との比較の結果を基に、第1の標的物質の第2の標的物質への影響を示すデータから、第2の検出物質を選択するようにすることができる。
本発明の検査方法は、第1の標的物質を検出する第1の検出物質と第1の標的物質との結合を検出する検出ステップと、第1の検出物質と第1の標的物質との結合の検出結果、および第1の標的物質の第2の標的物質への影響を示すデータに基づいて、第2の標的物質を検出する第2の検出物質を選択する選択ステップとを含むことを特徴とする。
本発明の記録媒体のプログラムは、第1の標的物質を検出する第1の検出物質と第1の標的物質との結合を検出する検出ステップと、第1の検出物質と第1の標的物質との結合の検出結果、および第1の標的物質の第2の標的物質への影響を示すデータに基づいて、第2の標的物質を検出する第2の検出物質を選択する選択ステップとを含むことを特徴とする。
本発明のプログラムは、コンピュータに、第1の標的物質を検出する第1の検出物質と第1の標的物質との結合を検出する検出ステップと、第1の検出物質と第1の標的物質との結合の検出結果、および第1の標的物質の第2の標的物質への影響を示すデータに基づいて、第2の標的物質を検出する第2の検出物質を選択する選択ステップとを実行させることを特徴とする。
検査装置は、独立した装置であっても良いし、検査処理を行うブロックであっても良い。
本発明の検査システムにおいては、第1の基板に、第1の標的物質を検出する第1の検出物質が配置され、第2の基板に、第1の標的物質による影響を受ける第2の標的物質を検出する第2の検出物質が配置され、第1の基板における第1の検出物質と第1の標的物質との結合が検出される。そして、第1の検出物質と第1の標的物質との結合の検出結果、および第1の標的物質の第2の標的物質への影響を示すデータに基づいて、第2の検出物質が選択される。
本発明の基板セットにおいては、第1の基板によって、第1の標的物質が検出され、第2の基板によって、第1の標的物質による影響を受ける第2の標的物質が検出される。
本発明の検査装置および方法、記録媒体、並びにプログラムにおいては、第1の標的物質を検出する第1の検出物質と第1の標的物質との結合が検出され、第1の検出物質と第1の標的物質との結合の検出結果、および第1の標的物質の第2の標的物質への影響を示すデータに基づいて、第2の標的物質を検出する第2の検出物質が選択される。
本発明によれば、より迅速に、より安く、生体情報の検査をすることができる。
以下に本発明の実施の形態を説明するが、本明細書に記載の発明と、発明の実施の形態との対応関係を例示すると、次のようになる。この記載は、本明細書に記載されている発明をサポートする実施の形態が本明細書に記載されていることを確認するためのものである。従って、発明の実施の形態中には記載されているが、発明に対応するものとして、ここには記載されていない実施の形態があったとしても、そのことは、その実施の形態が、その発明に対応するものではないことを意味するものではない。逆に、実施の形態が発明に対応するものとしてここに記載されていたとしても、そのことは、その実施の形態が、その発明以外の発明には対応しないものであることを意味するものでもない。
さらに、この記載は、本明細書に記載されている発明の全てを意味するものではない。換言すれば、この記載は、本明細書に記載されている発明であって、この出願では請求されていない発明の存在、すなわち、将来、分割出願されたり、補正により出現、追加される発明の存在を否定するものではない。
本発明によれば、検査システムが提供される。この検査システム(例えば、図1の検査システム1)は、第1の基板(例えば、図13のバイオアッセイ基板11−1)に、第1の標的物質(例えば、図12の遺伝子3)を検出する第1の検出物質(例えば、図13のプローブ3)が配置され、第2の基板(例えば、図15のバイオアッセイ基板11−2)に、第1の標的物質による影響を受ける第2の標的物質(例えば、図12の遺伝子3−1)を検出する第2の検出物質(例えば、図15のプローブ3−1)が配置され、検査装置(例えば、図1のバイオアッセイ装置12)が、第1の基板における第1の検出物質と第1の標的物質との結合を検出する検出手段(例えば、図6の励起光検出部73)と、第1の検出物質と第1の標的物質との結合の検出結果、および第1の標的物質の第2の標的物質への影響を示すデータ(例えば、図10の遺伝子リスト221)に基づいて、第2の検出物質を選択する選択手段(例えば、図6の制御部76)とを含む。
選択手段は、第2の検出物質が配置されている第2の基板をさらに選択するようにすることができる。
本発明によれば、基板セットが提供される。この基板セットは、第1の基板(例えば、図13のバイオアッセイ基板11−1)に、第1の標的物質(例えば、図12の遺伝子3)を検出する第1の検出物質(例えば、図13のプローブ3)が配置され、第2の基板(例えば、図15のバイオアッセイ基板11−2)に、第1の標的物質による影響を受ける第2の標的物質(例えば、図12の遺伝子3−1)を検出する第2の検出物質(例えば、図15のプローブ3−1)が配置されている。
第1の基板に、第1の標的物質の第2の標的物質への影響を示すデータ(例えば、図10の遺伝子リスト221)を記録するようにすることができる。
第1の基板に、第1の標的物質と第2の標的物質との因果関係が反映されたマップ(例えば、KEGG(Kyoto Encyclopedia of Genes and Genomes)におけるPathway図)を基にしたデータを記録するようにすることができる。
本発明によれば、検査装置が提供される。この検査装置(例えば、図1のバイオアッセイ装置12)は、第1の標的物質(例えば、図12の遺伝子3)を検出する第1の検出物質(例えば、図13のプローブ3)と第1の標的物質との結合を検出する検出手段(例えば、図6の励起光検出部73)と、第1の検出物質と第1の標的物質との結合の検出結果、および第1の標的物質の第2の標的物質への影響を示すデータ(例えば、図10の遺伝子リスト221)に基づいて、第2の標的物質を検出する第2の検出物質(例えば、図15のプローブ3−1)を選択する選択手段(例えば、図6の制御部76)とを含む。
選択手段は、第2の検出物質が配置されている、第2の標的物質を検査するための基板(例えば、図15のバイオアッセイ基板11−2)をさらに選択するようにすることができる。
この検査装置は、選択された基板を使用者に通知する通知手段(例えば、図6の表示部78)をさらに設けることができる。
選択手段は、第1の検出物質と第1の標的物質との結合の検出結果、および第1の標的物質と第2の標的物質との因果関係が反映されたマップ(例えば、KEGGにおけるPathway図)を基にしたデータに基づいて、第2の検出物質を選択するようにすることができる。
この検査装置は、第1の標的物質の第2の標的物質への影響を示すデータを格納する格納手段(例えば、図10の遺伝子関係情報記録部201)をさらに設けることができる。
この検査装置は、第1の検出物質が配置されている基板(例えば、図13のバイオアッセイ基板11−1)に記録されている、第1の標的物質の第2の標的物質への影響を示すデータを読み出す読み出し手段(例えば、図6の励起光検出部73および記録再生部75)をさらに設けることができる。
検出手段は、第1の検出物質と第1の標的物質との結合を示す蛍光強度を検出し、選択手段は、閾値(例えば、図14のVHまたはVL)と検出結果である蛍光強度との比較の結果を基に、第1の標的物質の第2の標的物質への影響を示すデータから、第2の検出物質を選択するようにすることができる。
本発明によれば、検査方法が提供される。この検査方法は、第1の標的物質(例えば、図12の遺伝子3)を検出する第1の検出物質(例えば、図13のプローブ3)と第1の標的物質との結合を検出する検出ステップ(例えば、図20のステップS103の処理)と、第1の検出物質と第1の標的物質との結合の検出結果、および第1の標的物質の第2の標的物質(例えば、図12の遺伝子3−1)への影響を示すデータ(例えば、図10の遺伝子リスト221)に基づいて、第2の標的物質を検出する第2の検出物質(例えば、図15のプローブ3−1)を選択する選択ステップ(例えば、図20のステップS104の処理)とを含む。
本発明によれば、プログラムが提供される。このプログラムは、第1の標的物質(例えば、図12の遺伝子3)を検出する第1の検出物質(例えば、図13のプローブ3)と第1の標的物質との結合を検出する検出ステップ(例えば、図20のステップS103の処理)と、第1の検出物質と第1の標的物質との結合の検出結果、および第1の標的物質の第2の標的物質(例えば、図12の遺伝子3−1)への影響を示すデータ(例えば、図10の遺伝子リスト221)に基づいて、第2の標的物質を検出する第2の検出物質(例えば、図15のプローブ3−1)を選択する選択ステップ(例えば、図20のステップS104の処理)とを含む。
このプログラムは、記録媒体(例えば、図6の磁気ディスク81)に記録することができる。
図1は、本発明に係る検査システムの一実施の形態の構成を示すブロック図である。
検査システム1は、バイオアッセイ基板11およびバイオアッセイ装置12を含む。検査システム1のバイオアッセイ装置12は、ネットワーク13およびインターネット14を介して、サーバ15に接続される。
ここで、バイオアッセイとは、ハイブリダイゼーションその他の物質間の相互反応に基づく生化学的分析を広く意味する。
バイオアッセイ基板11は、光学的にアクセス可能とされた円盤状基板上に、少なくとも、検出物質(例えば、ヌクレオチド鎖、ペプチド、タンパク質、脂質、低分子化合物、リボソームその他生体物質等)と標的物質との間のハイブリダイゼーション反応の場となる領域を備える。
ここで、検出物質や標的物質を構成するヌクレオチド鎖は、プリンまたはピリミジン塩基と糖がグリコシド結合したヌクレオチドのリン酸エステルの重合体を意味し、DNAプローブを含むオリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、プリンヌクレオチドとピリミジンヌクレオチドが重合したDNA(全長あるいはその断片)、逆転写により得られるcDNA(cDNAプローブ)、RNA等を広く含む。
すなわち、バイオアッセイ基板11は、標的物質を検出するための検出物質が固定される。バイオアッセイ基板11には、電磁気的な情報を記録するための領域が設けられている。バイオアッセイ基板11の電磁気的な情報を記録するための領域には、例えば、遺伝子の関係を示す情報が記録されている。
バイオアッセイ装置12は、反応(結合)した標的物質および検出物質を検出する。例えば、バイオアッセイ装置12は、バイオアッセイ基板11に固定されている検出物質と標的物質との反応を検出する。バイオアッセイ装置12は、検出された、標的物質と検出物質との反応(結合)に基づいて、情報を生成する。バイオアッセイ装置12は、所定の情報をバイオアッセイ基板11の電磁気的な情報を記録するための領域に記録させる。また、バイオアッセイ装置12は、バイオアッセイ基板11の電磁気的な情報を記録するための領域に記録されている情報を読み出す。
バイオアッセイ装置12は、ネットワーク13およびインターネット14を介して、サーバ15に接続して、各種の情報をサーバ15に送信するか、またはサーバ15から各種の情報を受信して、取得する。
サーバ15は、バイオアッセイ装置12から供給された各種の情報を記録し、バイオアッセイ装置12から要求された場合、ネットワーク13およびインターネット14を介して、バイオアッセイ装置12に記録している情報を提供する。
次に、バイオアッセイ基板11について説明する。
図2は、バイオアッセイ基板11の上面(図2A)及び断面(図2B)を模式的に示したものである。
バイオアッセイ基板11はCD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、MD(Mini-Disc)(商標)等の光情報記録媒体に用いられる円盤基板(ディスク)に採用される基材から形成されている。
バイオアッセイ基板11は、石英ガラスやシリコン、ポリカーボネート、ポリスチレンその他の円盤状に成形可能な合成樹脂、好ましくは射出成形可能な合成樹脂によって円盤状に形成される。なお、安価な合成樹脂基板を用いることで、従来のガラスチップに比して低ランニングコストを実現できる。
例えば、バイオアッセイ基板11は、CD、DVD等の光ディスクと同様の主面が円形の平板状の形状を呈している。また、バイオアッセイ基板11の中心には、中心孔31が形成されている。中心孔31には、バイオアッセイ基板11がバイオアッセイ装置12に装着されたときに、バイオアッセイ基板11を保持及び回転させるためのチャッキング機構が挿入される。
バイオアッセイ基板11の円形の主面は、図2Aに示すように、半径方向に同心円状に形成された記録領域32及び反応領域33の2つの領域に分けられている。図2で示される例では、記録領域32が内周側に位置し、反応領域33が外周側に位置している。記録領域32が外周側に位置し、反応領域33が内周側に位置するようにしてもよい。
記録領域32は、情報記録媒体である光ディスクと同様に、レーザが照射され光学的に情報の記録がされる領域である。記録領域32に記録された情報は、バイオアッセイ装置12によって読み出される。
反応領域33は、プローブDNA(検出物質、検出用ヌクレオチド鎖)とサンプルDNA(標的物質、標的ヌクレオチド鎖)との相互反応の場、具体的にはハイブリダイゼーション反応の場となる領域である。
バイオアッセイ基板11の層構造は、図2Bで示されるように、情報層34と反応層35とから形成されている。ここでは、情報層34が下層、反応層35が上層に位置するものとする。また、バイオアッセイ基板11の反応層35側の表面を上面11a、情報層34側の表面を下面11bというものとする。
情報層34には、記録領域32に対応する平面領域に、例えばピットや相変化材料等のレーザが照射されることによりデータの再生又は記録再生がされる信号記録膜36が形成されている。信号記録膜36は、CD、DVD等の光ディスクと同様のディスク作成方法により形成することができる。
信号記録膜36は、バイオアッセイ基板11の下面11b側からレーザが照射されることにより、バイオアッセイ装置12において、信号(情報)が再生されるか、または信号(情報)が記録される。また、情報層34は、DNA解析時に照射される励起光及び制御光、並びに、DNA解析時に蛍光標識剤から発光される蛍光の波長を透過する材料により形成されている。例えば、情報層34は、石英ガラス、シリコン、ポリカーボネート、ポリスチレン等の材料で形成されている。なお、励起光、制御光、および蛍光の詳細は後述する。
反応層35は、図3で示されるように、下層側から(すなわち情報層34側から)、基板層41と、透明電極層42と、固相化層43と、ウェル形成層44とから形成された層構造となっている。
基板層41は、詳細を後述する励起光及び制御光並びに蛍光の波長の光を透過する材料である。例えば、基板層41は、石英ガラス、シリコン、ポリカーボネート、ポリスチレン等の材料で形成されている。
透明電極層42は、基板層41上に形成された層である。透明電極層42は、例えばITO(インジウム-スズ-オキサイド)等の光透過性があり且つ導電性を有する材料から形成されている。透明電極層42は、基板層41上に例えばスパッタリングや電子ビーム蒸着等により250nm程度の厚さに成膜され形成される。
固相化層43は、透明電極層42上に形成された層である。固相化層43は、プローブDNAの一端を固相化させるための材料から形成されている。本実施の形態では、固相化層43は、シランにより表面修飾可能なSiO2が、例えばスパッタリングや電子ビーム蒸着により50nm程度の厚さに成膜された層となっている。
ウェル形成層44は、固相化層43上に形成された層である。ウェル形成層44は、プローブDNAとサンプルDNAとの間のハイブリダイゼーション反応を起させる複数のウェル37を形成する層である。ウェル37は、バイオアッセイ基板11の上面11aが開口したくぼみ状となっており、サンプルDNAが含まれた溶液等が滴下されたときにその溶液を保留することができる程度の深さ及び大きさとなっている。例えば、ウェル37は、開口部が100μm四方の大きさに形成され、深さが5μm程度とされて、底面14に固相化層43が露出している。このようなウェル形成層44は、例えば、固相化層43上に感光性ポリミイドをスピンコート等で5μm程度の厚さに塗布し、塗布した感光性ポリミイドを所定のパターンでフォトマスクを用いて露光及び現像することで形成される。
さらに、ウェル37は、一端が官能基により修飾されたプローブDNAが底面45(固相化層43が露出した部分)に結合するように、底面45が官能基により表面修飾されている。例えば、ウェル37は、図4に示すように、OH基51を有するシラン分子52により、底面45(SiO2から形成されている固相化層43)が表面修飾されている。このため、ウェル37の底面45には、例えばNCO基で一端が修飾されたプローブDNAを結合させることができる。このようにバイオアッセイ基板11では、ウェル37の底面45に、プローブDNAの一端を結合させることができるので、図5に示すように、底面45から垂直方向に鎖が伸びるように、プローブDNA(P)を結合させることができる。
また、バイオアッセイ基板11では、図2で示されるように、複数のウェル37が、主面の中心から外周方向に放射状に向かう複数の列上に、例えば400μm程度の間隔で等間隔に並んで配置されている。ただし、ここでは、ウェル37が形成される平面領域は、反応領域33の範囲である。
また、バイオアッセイ基板11には、バイオアッセイ基板11の下面11b側からレーザを照射することにより読み取り可能なアドレスピット38が形成されている。アドレスピット38は、バイオアッセイ基板11の平面上における各ウェル37の位置を特定するためのピットであり、アドレスピット38から情報を光学的に読み取ることによって、バイオアッセイ装置12は、対応するウェル37を特定する情報を取得する。すなわち、アドレスピット38から情報を光学的に読み取ることによって、複数存在するウェル37のうち、現在レーザを照射している位置の1つのウェル37がどれであるかを特定することが可能となる。このようなアドレスピット38が設けてあることによって、後述する滴下装置による溶液の滴下位置の制御や、対物レンズによる蛍光検出位置の特定を行うことができる。
以上のようなバイオアッセイ基板11では、円板状に形成されているため、光ディスクシステムと同様の再生システムを利用することにより、レーザのフォーカシング位置を制御するためのフォーカシングサーボ制御、半径方向に対するレーザの照射位置や滴下装置による滴下位置の制御のための位置決めサーボ制御、並びに、アドレスピット38の情報検出処理をすることができる。つまり、アドレスピット38に記録してある情報内容と、そのアドレスピット38の近傍にあるウェル37とを対応させておくことにより、アドレスピット38の情報を読み出すことで、特定の1つのウェル37に対してのみレーザを照射して蛍光が発光しているウェル37の位置を特定したり、特定の1つのウェル37の位置と滴下装置との相対位置を制御して、その特定の1つのウェル37に対して溶液を滴下したりすることができる。
また、さらに、バイオアッセイ基板11では、バイオアッセイ用の物質間の相互反応を起させる領域(ウェル37)とともに、光ディスクと同様に各種の情報の記録再生を行う信号記録膜36が形成されており、円板状に形成した基板をより有用且つ多様的に利用することが可能となる。
例えば、バイオアッセイ基板11に、「バイオアッセイ基板11の動作制御に関する情報」、「ウェル37に固相化されているプローブDNAに関する情報」、「検査結果に関する情報」、「読み出し画像に関する情報」、「検出される遺伝子に関するネットワーク図」「検出される遺伝子関連URL」等を記録することができる。
バイオアッセイ基板11の動作制御に関する情報の具体例として、例えば、バイオアッセイ基板11を用いてDNAの解析を行う際の検査プログラム、その検査に必要な各種のデータ、検査プログラムのアップデート情報、バイオアッセイ基板11や解析装置の取り扱い説明書、検査処理の手順等が記録される。
このようなバイオアッセイ基板11の動作制御に関する情報を、物質間の相互反応を起させる領域とともに同一基板に記録することとによって、動作制御に関連する情報を別の記録媒体に記録して頒布する必要がなくなる。
また、ウェル37に固相化されているプローブDNAに関する情報の具体例として、各ウェル37に配置されているプローブDNAの種別やその配置位置、各ウェル37内のプローブDNAの説明、プローブDNAと疾病との関係、バイオアッセイ基板11の製造者や製造日時等が記録される。
このようなウェル37に固相化されているプローブDNAに関する情報を、そのプローブDNAが固相化されている同一基板に記録することによって、バイオアッセイ基板11の管理を確実且つ容易に行うことが可能となる。
また、検査結果に関する情報の具体例として、被検査者に関する情報(名前、年齢、性別等)、検査日時、検査場所、検査者、検査結果データ(反応領域から読み取った生データ)、検査結果に基づくDNA解析結果(ビジュアル的な検査結果データや疾病との関連付けを示すデータ等)、その被検査者の過去の検査結果(検査履歴)、その被検査者の他の検査結果等が記録される。
また、読み出し画像に関する情報の具体例としては、ハイブリダイゼーション反応による蛍光強度をCCD(Charge Coupled Device)カメラ等で撮像し、その画像イメージを所定のフォーマット(例えば、JPEG(Joint Photographic Experts Group)方式)で記録する。これにより、一度検出に使用したバイオアッセイ基板11から再度蛍光強度を読み取る必要がなくなるだけでなく、時間と共に蛍光強度が劣化することによる測定誤差を減少させることができる。
また、検出される遺伝子に関するネットワーク図に関しては、例えばKEGG(Kyoto Encyclopedia of Genes and Genomes)におけるPathway図などがあげられる。更にまた、検出される遺伝子に関するURL(Uniform Resource Locator)方式のアドレスデータを登録しておき、バイオアッセイ装置12に備えられたネットワークインターフェースを用いて情報検索することができる。
なお、バイオアッセイ基板11の記録領域32には、後述する遺伝子リスト221を記録させることができる。
このような検査結果に関する情報を、検査結果のソースとなるサンプルDNAがハイブリダイゼーションされた同一のバイオアッセイ基板11に記録することによって、検査結果の取り扱いが確実且つ容易になる。
バイオアッセイ基板11では、以上のような情報に限らず、他のデータも記録することももちろん可能である。
なお、バイオアッセイ基板11では、主面を記録領域32と反応領域33との2つの領域に分けているが、記録領域32と反応領域33とが平面領域上で重なっていてもよい。この場合には、信号記録膜36の位置が反応領域33から厚み方向に、蛍光を励起するために照射するレーザ(詳細を後述する励起光)や制御用のレーザ(詳細を後述する制御光)の焦点深度より離間した位置に形成されていればよい。つまり、光ディスクの2層記録と同様に焦点の手前に信号記録膜36が位置すれば、反応領域33に充分到達するためである。
また、底面45は、検出表面の一例であり、検出表面は、ヌクレオチド鎖の末端を、カップリング反応その他の化学結合によって固定化できる好適な表面処理が施された表面部位を意味し、狭く解釈されない。一例を挙げれば、ストレプトアビジンによって表面処理された検出表面の場合には、ビオチン化されたヌクレオチド鎖の固定化に適する。あるいは、ヌクレオチド鎖の末端に磁気ビーズを取り付け、裏面から磁石等でヌクレオチド鎖を一時的に固定するようにすれば、表面処理を特段施す必要もない。
なお、ウェル37は、反応領域の一例であり、反応領域は、液相中でのハイブリダイゼーション反応の場を提供できる区画された領域又は空間である。
また、この反応領域では、本発明の目的、効果に合致する範囲において、タンパク質−タンパク質間、ヌクレオチド鎖−ヌクレオチド鎖間(DNA−DNA、DNA−RNA、RNA−RNAの双方を含む。)、タンパク質−ヌクレオチド鎖(二本鎖を含む。)間その他の高分子間の相互反応、高分子と低分子の相互反応、低分子間の相互反応などの反応をさせることができる。
例えば、二本鎖ヌクレオチドを用いる場合は、転写因子であるホルモンレセプター等のレセプター分子と応答配列DNA部分の結合等を分析することができる。
本発明に係るバイオアッセイ基板11では、上記した「反応領域」を、一壁面に検出表面が形成されたウェル構造を備えるウェル反応部とし、このウェル反応部を円盤状基板上に複数配設させた形態を採用することができる。なお、「ウェル反応部」とは、周辺の基板領域とは区画された小室状の反応領域を備える部位と定義する。
この「ウェル反応部」は、基板上の適宜な位置に配設することが可能であるが、上方視放射状を呈するように並べて配設すれば、基板上のスペースを有効に利用できるので、情報の集積密度を高めることができる。即ち、記録情報の集積量が多い(円盤状の)DNAチップを提供できる。
また、ウェル反応部は、互いにコンタミネーションしないように区画されているので、ウェル検出部単位またはグルーピングされた複数のウェル検出部単位で異なる検出用ヌクレオチド鎖を固定し、検出用ヌクレオチド鎖毎に別個独立の条件を設定してハイブリダイゼーション反応を進行させることができる。
例えば、疾病発症のマーカー遺伝子を基板上にグルーピングして固定できる。これにより、一つの基板を用いて、同時に複数の疾病の発現状況を確認することができる。
また、融解温度Tm(Melting Temperature)又はGC(Guanine-Cytosine)含有率の違いに基づいて、固定化する検出用ヌクレオチド鎖をグルーピングしておくことが可能となる。これにより、アクティブなハイブリダイゼーション反応が得られるバッファ組成、濃度等の反応条件、洗浄条件、滴下するサンプル溶液濃度等を、検出用ヌクレオチド鎖の性質に応じてきめ細かく選択することが可能となるので、解析作業において偽陽性又は偽陰性が示される危険性を格段に減少させることができる。
このようにバイオアッセイ基板11は、光学的にアクセス可能とされた円盤状基板上に、少なくとも、検出物質(例えば、ヌクレオチド鎖、ペプチド、タンパク質、脂質、低分子化合物、リボソームその他生体物質等)と標的物質との間のハイブリダイゼーション反応の場となる反応領域を備える反応部(例えば、ウェル37)とを備えることを特徴とする。
なお、バイオアッセイ基板11の記録領域32は、書き換え可能な形態でも、1度しか書き込めない形態のものでもよいし、反応領域と同じ面にあっても良い。
つぎに、上述したバイオアッセイ基板11を用いてDNA解析を行うバイオアッセイ装置12について、図6を参照して説明をする。
バイオアッセイ装置12は、図6で示されるように、バイオアッセイ基板11を保持して回転をさせるディスク装填部71と、ハイブリダイゼーションのための各種溶液を貯留するとともにバイオアッセイ基板11のウェル37にその溶液を滴下する滴下部72と、バイオアッセイ基板11のウェル37から励起光を検出するための励起光検出部73と、各部の管理及び制御を行う制御/サーボ部74と、バイオアッセイ基板11の信号記録膜36に対して信号の記録再生を行う記録再生部75とを備える。
さらに、バイオアッセイ装置12は、ネットワーク13を介してインターネット14に接続するためのネットワークインターフェース77と、記録再生部75やネットワークインターフェース77を制御し、所定のデータを加工、生成してバイオアッセイ基板11に情報を記録したり、情報を読み出したりする制御部76とを備えている。
さらにまた、バイオアッセイ装置12は、制御部76の制御に基づいて、所定の文字または画像を表示させる表示部78を備える。表示部78は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)または有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイなどからなる。
入力部79は、キーボード、マウス、ボタン、スイッチ、またはバーコードスキャナなどからなり、使用者の操作に応じた信号を制御部76に供給する。例えば、入力部79によって、病気の症状や病名、患者の外見上の変化、血液検査の結果、診断結果など、病気に関連する情報、またはユーザ(患者)のIDやパスワードなどが入力される。
制御部76には、必要に応じて、ドライブ80が接続される。ドライブ80は、装着された磁気ディスク81、光ディスク82、光磁気ディスク83、または半導体メモリ84に記録されているプログラムを読み出して、読み出したプログラムを制御部76に供給する。これにより、制御部76は、記録媒体の一例である磁気ディスク81、光ディスク82、光磁気ディスク83、または半導体メモリ84に記録されているプログラムを実行することができる。
制御部76は、例えば、いわゆる、組込型コンピュータなどからなり、バイオアッセイ装置12の全体を制御する。
更に、制御部76には、判別部85および測定動作制御部86が設けられている。判別部85は、各種の情報を比較し、情報の一致するか否かの判別の処理などを実行する。測定動作制御部86は、記録再生部75などを制御して、バイオアッセイ装置12の測定動作を制御する。
ディスク装填部71は、バイオアッセイ基板11の中心孔31内に挿入して、装着されているバイオアッセイ基板11を保持するチャッキング機構91と、チャッキング機構91を駆動することによりバイオアッセイ基板11を回転させるスピンドルモータ92と有している。ディスク装填部71は、上面11a側が上方向となるようにバイオアッセイ基板11を水平に保持した状態で、バイオアッセイ基板11を回転駆動する。
滴下部72は、試料溶液Sを貯留する貯留部93と、貯留部93内の試料溶液Sをバイオアッセイ基板11に滴下する滴下ヘッド94とを有している。滴下ヘッド94は、水平に装填されたバイオアッセイ基板11の上面11aの上方に配置されている。さらに、滴下ヘッド94は、図2で示される、バイオアッセイ基板11のアドレスピット38から読み出される位置情報及び回転同期情報に基づいてバイオアッセイ基板11との相対位置を半径方向に制御し、プローブDNA、サンプルDNA又は蛍光標識剤を含有する試料溶液Sを所定のウェル37に正確に追従して滴下する構成とされている。
励起光検出部73は、光学ヘッド101を有している。光学ヘッド101は、水平に装填されたバイオアッセイ基板11の下方側、すなわち、下面11b側に配置されている。光学ヘッド101は、例えば、図示していないスレッド機構等により、バイオアッセイ基板11の半径方向に移動自在とされている。
光学ヘッド101は、対物レンズ102と、対物レンズ102を移動可能に支持する2軸アクチュエータ103と、導光ミラー104とを有している。対物レンズ102は、その中心軸がバイオアッセイ基板11の表面に対して略垂直となるように2軸アクチュエータ103に支持されている。従って、対物レンズ102は、バイオアッセイ基板11の下方側から入射された光束を、装着されているバイオアッセイ基板11に対して集光することができる。2軸アクチュエータ103は、バイオアッセイ基板11の表面に対して垂直な方向、及び、バイオアッセイ基板11の半径方向の2方向に対物レンズ102を移動可能に支持している。2軸アクチュエータ103を駆動することにより、対物レンズ102により集光された光の焦点を、バイオアッセイ基板11の表面に対して垂直な方向及び半径方向に移動させることができる。従って、この光学ヘッド101では、光ディスクシステムにおけるフォーカス制御並びに位置決め制御と同様の制御を行うことができる。
導光ミラー104は、光路X上に対して45°の角度で配置されている。光路Xは、励起光P、蛍光F、制御光V及び反射光Rが、光学ヘッド101に対して入射及び出射する光路である。導光ミラー104には、励起光P及び制御光Vが光路X上から入射される。導光ミラー104は、励起光P及び制御光Vを反射して90°屈折させて、対物レンズ102に入射する。対物レンズ102に入射された励起光P及び制御光Vは、対物レンズ102により集光されてバイオアッセイ基板11に照射される。また、導光ミラー104には、蛍光F及び制御光Vの反射光Rが、バイオアッセイ基板11から対物レンズ102を介して入射される。導光ミラー104は、蛍光F及び反射光Rを反射して90°屈折させて、光路X上に出射する。なお、光学ヘッド101をスレッド移動させる駆動信号及び2軸アクチュエータ103を駆動する駆動信号は、制御/サーボ部74から与えられる。
また、励起光検出部73は、励起光Pを出射する励起光源105と、励起光源105から出射された励起光Pを平行光束とするコリメータレンズ106と、コリメータレンズ106により平行光束とされた励起光Pを光路X上で屈折させて導光ミラー104に照射する第1のダイクロックミラー107とを有している。
励起光源105は、蛍光標識剤を励起可能な波長のレーザを発する光源である。励起光源105から出射される励起光Pは、例えば、波長が405nmのレーザである。なお、励起光Pの波長は、蛍光標識剤を励起できる波長であればどのような波長であってもよい。コリメータレンズ106は、励起光源105から出射された励起光Pを平行光束にする。第1のダイクロックミラー107は、波長選択性を有する反射鏡であり、励起光Pの波長の光のみを反射して、蛍光F及び制御光V(その反射光R)の波長の光を透過する。第1のダイクロックミラー107は、光路X上に45°の角度を持って挿入されており、コリメータレンズ106から出射された励起光Pを反射して90°屈折させ、導光ミラー104に励起光Pを照射する。
また、励起光検出部73は、蛍光Fを検出するアバランジェフォトダイオード108と、蛍光Fを集光する集光レンズ109と、光学ヘッド101から光路X上に出射された蛍光Fを屈折させてアバランジェフォトダイオード108に照射する第2のダイクロックミラー110とを有している。
アバランジェフォトダイオード108は、非常に感度の高い光検出器であり、微弱な光量の蛍光Fを検出することが可能である。なお、アバランジェフォトダイオード108により検出する蛍光Fの波長は、ここでは470nm程度である。また、この蛍光Fの波長は、蛍光標識剤の種類により異なるものである。集光レンズ109は、アバランジェフォトダイオード108上に蛍光Fを集光するためのレンズである。第2のダイクロックミラー110は、光路X上に45°の角度を挿入されているとともに、導光ミラー104側から見て第1のダイクロックミラー107の後段に配置されている。従って、第2のダイクロックミラー110には、蛍光F、制御光V及び反射光Rが入射し、励起光Pは入射しない。第2のダイクロックミラー110は、波長選択性を有する反射鏡であり、蛍光Fの波長の光のみを反射して、制御光(反射光R)の波長の光を透過する。第2のダイクロックミラー110は、光学ヘッド101の導光ミラー104から出射された蛍光Fを反射して90°屈折させ、集光レンズ109を介してアバランジェフォトダイオード108に蛍光Fを照射する。
アバランジェフォトダイオード108は、このように検出した蛍光Fの光量に応じた信号を生成し、生成した信号を制御/サーボ部74に供給する。
また、励起光検出部73は、制御光Vを出射する制御光源111と、制御光源111から出射された制御光Vを平行光束とするコリメータレンズ112と、制御光Vの反射光Rを検出するフォトディテクト回路113と、非点収差を生じさせてフォトディテクト回路113に対して反射光Rを集光するシリンドリカルレンズ114と、制御光Vと反射光Rとを分離する光セパレータ115とを有している。
制御光源111は、例えば780nmの波長のレーザを出射するレーザ源を有する発光手段である。なお、制御光Vの波長は、アドレスピット38が検出でき、且つ、信号記録膜36に対して情報の記録及び再生ができる波長に設定されている。さらに、制御光Vの波長は、励起光P及び蛍光Fの波長と異なった波長に設定されている。このような波長であれば、制御光Vの波長は、780nmに限らずどのような波長であってもよい。コリメータレンズ112は、制御光源111から出射された制御光Vを平行光束にする。平行光束とされた制御光Vは光セパレータ115に入射される。
フォトディテクト回路113は、反射光Rを検出するディテクタと、検出した反射光Rからフォーカスエラー信号、位置決めエラー信号、及び、アドレスピット38の再生信号、並びに、信号記録膜36の再生信号を生成する信号生成回路とを有している。反射光Rは、制御光Vがバイオアッセイ基板11で反射して生成された光であるので、その波長は、制御光と同一の780nmである。
なお、光学ヘッド101によりバイオアッセイ基板11の反応領域33(外周側の領域)にレーザを照射している場合、フォーカスエラー信号は、対物レンズ102により集光された光の合焦位置とバイオアッセイ基板11の反応層35との位置ずれ量を示すエラー信号となり、位置決めエラー信号は、所定のウェル37の位置と焦点位置とのディスク半径方向に対する位置ずれ量を示す信号となる。光学ヘッド101によりバイオアッセイ基板11の記録領域32(内周側の領域)にレーザを照射している場合、フォーカスエラー信号は、対物レンズ102により集光された光の合焦位置と信号記録膜36との位置ずれ量を示すエラー信号となり、位置決めエラー信号は、信号記録膜36のトラック位置と焦点位置とのディスク半径方向に対する位置ずれ量を示す信号となる。
アドレスピット38の再生信号は、反応領域33(外周側の領域)にレーザを照射している場合のみに検出され、バイオアッセイ基板11に記録されているアドレスピット38に記述されている情報内容を示す信号である。この情報内容を読み出すことにより、現在、制御光Vを照射しているウェル37を特定することができる。
信号記録膜36の再生信号は、記録領域32(内周側の領域)にレーザを照射している場合のみに検出され、信号記録膜36のトラックに記録されている情報内容を示す信号である。
フォトディテクト回路113は、反射光Rに基づき生成されたフォーカスエラー信号、位置決めエラー信号及びアドレスピット38の再生信号を制御/サーボ部74に供給する。
シリンドリカルレンズ114は、フォトディテクト回路113上に反射光Rを集光するとともに非点収差を生じさせるためのレンズである。このように非点収差を生じさせることによりフォトディテクト回路113によりフォーカスエラー信号を生成させることができる。
光セパレータ115は、偏向ビームスプリッタからなる光分離面115aと1/4波長板115bにより構成されている。光セパレータ115では、1/4波長板115bの逆側から入射された光を光分離面115aが透過し、その透過光の反射光が1/4波長板115b側から入射された場合には光分離面115aが反射する。光セパレータ115は、光分離面115aが光路X上に45°の角度を挿入されているとともに、導光ミラー104側から見て第2のダイクロックミラー110の後段に配置されている。従って、光セパレータ115では、コリメータレンズ112から出射された制御光Vを透過して光学ヘッド101内の導光ミラー104に対してその制御光Vを入射させているとともに、光学ヘッド101の導光ミラー104から出射された反射光Rを反射することにより90°屈折させ、シリンドリカルレンズ114介してフォトディテクト回路113に反射光Rを照射する。
制御/サーボ部74は、励起光検出部73により検出されたフォーカスエラー信号、位置決めエラー信号及びアドレスピット38の再生信号に基づき、各種のサーボ制御を行う。
反応領域33(外周側の領域)にレーザを照射している場合には、制御/サーボ部74は、フォーカスエラー信号に基づき光学ヘッド101内の2軸アクチュエータ103を駆動して対物レンズ102とウェル37との間の間隔を制御し、位置決めエラー信号に基づき光学ヘッド101内の2軸アクチュエータ103を駆動して対物レンズ102とウェル37との半径方向の位置関係を制御し、アドレスピット38の再生信号に基づき光学ヘッド101のスレッド移動制御を行って光学ヘッド101を所定の半径位置に移動する。
記録領域32(内周側の領域)にレーザを照射している場合には、制御/サーボ部74は、フォーカスエラー信号に基づき光学ヘッド101内の2軸アクチュエータ103を駆動して対物レンズ102と信号記録膜36との間の間隔を制御し、位置決めエラー信号に基づき光学ヘッド101内の2軸アクチュエータ103を駆動して対物レンズ102と信号記録膜36の記録トラックとの半径方向の位置関係を制御する。
記録再生部75は、信号記録膜36に記録されているデータの再生信号の復調及び復号処理を行ってデータを出力するとともに、信号記録膜36に記録する記録データの符号化及び変調を行う。記録再生部75は、再生時には、励起光検出部73から出力された再生信号が入力され、外部に復調及び復号したデータを出力する。また、記録再生部75は、記録時には、外部から記録データが入力され、符号化及び変調がされたデータを励起光検出部73に供給して、制御光Vを出射する制御光源111を駆動する。
ネットワークインターフェース77は、予めバイオアッセイ基板11の記録領域32に記録されているURL(Uniform Resource Locator)方式のアドレスデータや、入力部79により指示されたアドレスなどを用いて、ネットワーク13およびインターネット14を介して、サーバ15にアクセスする。
制御部76は、記録再生部75で読み出されたハイブリダイゼーション結果に基づく画像イメージを所定のフォーマット(例えば、JPEG(Joint Photographic Experts Group)方式)の画像データに圧縮し、記録再生部75を介してバイオアッセイ基板11に記録させる。また、制御部76は、ネットワークインターフェース77を制御して、サーバ15から関連情報を収集し、収集した関連情報も同様に記録させる。更にまた、バイオアッセイ基板11がバイオアッセイ装置12に装着された際に、バイオアッセイ基板11が既に検査に使用されたか否かを、バイオアッセイ基板11に記録されている情報から判定し、バイオアッセイ基板11が既に検査に使用されたと判定された場合、書き込まれている画像イメージや収集データを表示したり、再度バイオアッセイ基板11を検査に使用しようとする際には、既に検査済みである旨の警告を表示部78に表示させ、測定動作を制限する。
以上のような構成のバイオアッセイ装置12では、バイオアッセイを行う場合には、次のような動作を行う。
バイオアッセイ装置12は、バイオアッセイ基板11を回転させながら、図7で示されるようにウェル37上にサンプルDNA(S)が含有された溶液を滴下し、プローブDNA(P)とサンプルDNA(S)とを相互反応(ハイブリダイゼーション)させる。また、ハイブリダイゼーション処理の済んだバイオアッセイ基板11上に蛍光標識剤Mを含んだバッファ溶液を滴下することにより、図8で示されるようにプローブDNA(P)とサンプルDNA(S)との二重らせん内に蛍光標識剤Mを挿入する。
また、バイオアッセイ装置12は、蛍光標識剤が滴下された後のバイオアッセイ基板11を回転させ、励起光Pをバイオアッセイ基板11の下面11b側から入射させてウェル37内の蛍光標識剤に照射し、その励起光Pに応じてその蛍光標識剤から発生した蛍光Fをバイオアッセイ基板11の下方から検出する。
ここで、バイオアッセイ装置12では、励起光Pと制御光Vとを同一の対物レンズ102を介してバイオアッセイ基板11に照射する。そのため、バイオアッセイ装置12では、制御光Vを用いたフォーカス制御、位置決め制御並びにアドレス制御を行うことによって、励起光Pの照射位置、すなわち、蛍光Fの発光位置を特定することが可能となり、その蛍光の発光位置からサンプルDNAと結合したプローブDNAを特定することができる。
また、以上のような構成のバイオアッセイ装置12では、データの記録及び再生時には、次のような動作を行う。
バイオアッセイ装置12は、励起光Pの出射を停止して、制御光Vのみを出射する。そして、バイオアッセイ基板11を回転させながらサーボ制御を行い、信号記録膜36上のトラックに対して、データの記録又は再生を行う。
このように、本発明に係るバイオアッセイ装置12は、バイオアッセイ基板11の検出表面に保持された状態の検出物質に蛍光標識された標的物質含有液を滴下して、検出物質と標的物質とを反応領域において相互反応させて反応生成物を作成させ、反応生成物に1つ以上の波長の励起光を照射することによって蛍光標的物質から発せられた蛍光を、反応部の反応領域から集光して蛍光強度を検出する。
なお、標的物質は予め蛍光標識されている場合の他に、滴下時に混合させて反応領域に滴下させる場合や、標的物質と蛍光物質をほぼ同時又は時系列的に前後して、かつ別々に滴下するようにしても良い。ここで、標的物質は蛍光色素で標識する方式か、インターカレータを用いる方式のいずれも採用できる。「インターカレータ」は、検出用ヌクレオチド物質と標的ヌクレオチド物質との塩基間の水素結合中に挿入されるようにして、ハイブリダイゼーションした二本鎖ヌクレオチド鎖に取り込まれる。これにより、インターカレータを含まない二本鎖ヌクレオチド鎖からの蛍光波長に比べ、長波長側に蛍光波長がシフトし、かつ、蛍光強度と二本鎖ヌクレオチド鎖に取り込まれたインターカレータの量との間には相関関係があるので、この相関関係に基づいて、定量的な検出が可能となる。
これらにより検出された蛍光強度又は蛍光分布画像は、制御部76によって解析され、生体情報(例えば変異遺伝子配列情報、SNPs情報、発現遺伝子情報(mRNAの存在の有無や発現量、局在情報))が生成される。
また、発症している病状を入力する入力部79は、キーボードやマウス等による選択、バーコード付き症状リストなど、所定の入力ができるものならいずれでも良い。また、病状とは、病名、患者の外見上の変化、血液検査結果、診断結果など、病気に関連する一連の情報である。
なお、病状には、健康である状態も含まれ、病状情報は、健康である状態を示す場合もある。
またバイオアッセイ装置12とサーバ15との通信は、インターネット14またはネットワーク13に限らず、LAN(Local Area Network)、無線LAN、電話回線、その他の有線・無線の伝送路等であればいずれでも良い。
次に、図9のフローチャートを参照して、検査処理プログラムを実行するバイオアッセイ装置12による検査の処理を説明する。
なお、検査の処理を実行する前に、検査を行う者は、検査の対象となる人からDNAを採取し、採取したDNAであるサンプルDNAを、PCRなどの手法により複製しておく必要がある。
ステップS11において、使用者(ユーザ)(検査を行う者)が、バイオアッセイ装置12に、バイオアッセイ基板11を挿入する。例えば、ステップS11において、使用者は、バイオアッセイ基板11をバイオアッセイ装置12のディスク装填部71に水平に装填する。ステップS12において、検査処理プログラムは、バイオアッセイ基板11の記録領域32から、このバイオアッセイ基板11が既に使用されて検査がされたか否かを示す情報など、検査の処理に必要なデータを読み出す。
ステップS13において、検査処理プログラムは、ステップS12の処理で読み出した情報を基に、装着されているバイオアッセイ基板11で検査済みであるか否かを判定し、検査済みでない、すなわち、装着されているバイオアッセイ基板11で検査が行われていないので、ステップS14に進み、バイオアッセイ基板11に試料や標識物質を滴下する。
ステップS15において、バイオアッセイ基板11において、ハイブリタイゼーションが行われるので、ステップS16において、検査処理プログラムは、バイオアッセイ基板11から、反応結果を読み出して、反応結果を解析する。
ステップS17において、検査処理プログラムは、ステップS16の処理で得られた、画像データまたは解析結果などをバイオアッセイ基板11に書き込む。
ここで、ステップS14乃至ステップS17の処理を詳細に説明すれば、バイオアッセイ装置12は、アドレスピット38に基づく位置制御を行いながらバイオアッセイ基板11を回転させ、滴下ヘッド94から、一端がNCO基等で修飾されたプローブDNAが含有された溶液を所定のウェル37に滴下する。このとき、1つのバイオアッセイ基板11に対して、複数種類のプローブDNAが滴下される。だたし、1つのウェル37内には1種類のプローブDNAが入るようにプローブDNAが滴下される。
なお、各ウェル37にいずれの種類のプローブDNAを滴下するかは、予めウェル37とプローブDNAとの対応関係を示す配置マップ等を信号記録膜36から読み出しておくか、ネットワークインターフェース77を介してサーバ15から配置マップ等を収集しておき、バイオアッセイ装置12は、その配置マップに基づき滴下制御する。
続いて、バイオアッセイ装置12は、バイオアッセイ基板11の上面11a側から、電極をウェル37内の溶液に挿入して、1MV/m、1MHz程度の交流電界を各ウェル37に印加する。このように交流電界を印加すると、プローブDNAがバイオアッセイ基板11に対して垂直方向に伸張するとともに、プローブDNAがバイオアッセイ基板11に垂直方向に移動して、予め表面修飾処理がされた底面45に対して、プローブDNAの修飾端が結合し、ウェル37内にプローブDNAを固相化(固定化)することができる。プローブDNAの固相化の詳細は、Masao Washizu and Osamu Kurosawa: “ Electrostatic Manipulation of DNA in Microfabricated Structures ”, IEEE Transaction on Industrial Application Vol.26,No26,P.1165-1172(1900)に記載されている。
次に、バイオアッセイ装置12は、滴下ヘッド94から、バッファ塩を含む溶液とともに、サンプルDNAを含有した溶液を、バイオアッセイ基板11上の各ウェル37に滴下する。
そして、バイオアッセイ装置12は、サンプルDNAの滴下後、バイオアッセイ基板11を恒温層等に移し、ウェル37内を数十度に加熱し、加熱した状態のまま1MV/m、1MHz程度の交流電界を印加する。このような処理をすると、サンプルDNAとプローブDNAとが垂直方向に伸張して立体障害の少ない状態となるとともに、サンプルDNAがバイオアッセイ基板11に対して垂直方向に移動する。この結果、同一のウェル37内にある、互いの塩基配列が対応したサンプルDNAとプローブDNAとがハイブリダイゼーションを起す。
ハイブリダイゼーションを起させた後に、バイオアッセイ装置12は、インターカレータ等の蛍光標識剤を、バイオアッセイ基板11のウェル37内に滴下する。このような蛍光標識剤は、ハイブリダイゼーションを起したプローブDNAとサンプルDNAとの二重らせんの間に入り込んで結合する。
そして、バイオアッセイ装置12は、バイオアッセイ基板11の表面1aを純水等で洗浄し、ハイブリダイゼーションを起していないウェル37内のサンプルDNA及び蛍光標識剤を除去する。この結果、ハイブリダイゼーションを起したウェル37内にのみ、蛍光標識剤が残存することとなる。
ステップS16において、バイオアッセイ装置12は、プローブと、サンプルDNAの反応の結果を検出する。
すなわち、バイオアッセイ装置12は、制御光Vを基に、フォーカスサーボ制御、位置決めサーボ制御、並びにアドレス制御を行いながら、バイオアッセイ基板11を回動(回転)させ、励起光Pを所定のウェル37に照射する。この励起光Pの照射とともに、アドレスピット38によるアドレス情報を検出しながら蛍光Fが発生しているか否かを検出する。
ステップS17において、バイオアッセイ装置12は、サンプルDNAとプローブと反応の結果から生体情報を生成する。生体情報は、例えば、変異遺伝子配列情報、SNPs情報、または発現遺伝子情報(mRNAの存在の有無や発現量、局在情報)などからなる。
発現遺伝子情報とは、生体内で発現しているタンパク質を指し示すmRNAや、逆転写したcDNA及びその発現量、局在情報(一般に、遺伝子の発現量は臓器の部位によって異なっている)、変異を起している遺伝子とその配列・遺伝子座、多型情報などである。
また、ステップS17において、バイオアッセイ装置12は、バイオアッセイ基板11上の各ウェル37の位置と蛍光Fの発光の強度に応じた測定値を計算し、その結果及び撮像イメージをバイオアッセイ基板11の信号記録膜36に記録して保存する。続いて、バイオアッセイ装置12は、その測定値から標的物質の有無を判別し、ディスクイメージ上の判別マップ作成する。バイオアッセイ装置12は、その作成したマップ、並びに、各ウェル37にどのような塩基配列のプローブDNAが滴下されていたかを示す配置マップに基づき、サンプルDNAの塩基配列の解析を行う。
バイオアッセイ装置12は、この解析の結果を参照して、信号記録膜36に記録されているプローブDNAと疾病との関係の情報に基づき、例えば疾病との関係等を解析してもよい。
更にまた、バイオアッセイ装置12は、バイオアッセイ基板11に記録された遺伝子ネットワークに発現遺伝子を対応させ、その機能を図示するようにしても良い。
そして、バイオアッセイ装置12は、その解析結果や、検出した配置マップ等をバイオアッセイ基板11の信号記録膜36に記録して保存する。
ステップS18において、検査処理プログラムは、ネットワークインターフェース77に、ネットワーク13を介して、インターネット14に接続させる。すなわち、検査処理プログラムは、ネットワーク13およびインターネット14を介して、サーバ15に接続する。
ステップS19において、検査処理プログラムは、サーバ15から、関連情報を選択して、関連情報を取得する。ステップS20において、検査処理プログラムは、取得した関連情報をバイオアッセイ基板11に記録させることにより、関連情報を保存する。
また、ステップS20において、検査処理プログラムは、使用者の操作に対応する入力部79からの信号を基に、病状(病名、患者の外見上の変化、血液検査結果、診断結果)に関する情報(病状情報)を取得し、記録再生部75を用いて、バイオアッセイ基板11から基板IDを読み出し、ネットワークインターフェース77を介して基板ID、バイオアッセイ基板11の解析結果(生体情報)、病状を示す病気情報をサーバ15に送信し、保存させる。
なお、解析結果(生体情報)、病状を示す病気情報を、バイオアッセイ基板11の信号記録膜36やバイオアッセイ装置12の生体情報リスト204に併せて記録しても良い。
ステップS21において、検査処理プログラムは、取得した関連情報を表示部78に表示させて処理は終了する。
一方、ステップS13において、検査済みである、すなわち、装着されているバイオアッセイ基板11で既に検査が行われたので、ステップS22に進み、検査処理プログラムは、測定動作禁止の処理を実行する。例えば、ステップS22において、検査処理プログラムは、測定動作の禁止を示すフラグを設定するなどして、測定動作禁止モードにして、装着されているバイオアッセイ基板11を使用して測定動作が行われないようにする。
ステップS23において、検査処理プログラムは、バイオアッセイ基板11の記録領域32から、保存データを読み出す。ステップS24において、検査処理プログラムは、読み出した保存データを、表示部78に表示させて、ステップS18に進み、インターネット14に接続して、関連情報を取得する処理を実行する。
なお、本発明では光磁気ディスクを用いた円盤状のバイオアッセイ基板11を使用すると説明してきたが、バイオアッセイ基板11の形状を、適宜適した形(例えば、正方形、長方形、楕円形など)にするようにしても良い。
また、記録領域32として光磁気ディスクを用いた例を示したが、記録領域32は、光磁気ディスクに限らず、所定の記録機能を有する光ディスク、磁気ディスク、磁気記録テープ、半導体メモリ(EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)やFRAM(Ferroelectronic RAM)、MRAM(Magnetoresistive RAM)など)、印刷を利用した記録など他の技術を利用してデータを記録するようにすることができる。
ただし、この場合、データ検出に使用したバイオアッセイ基板11には、データ読み出し時にも専用の装置(例えば、バイオアッセイ装置12)が必要となり、コストがかかる。
図10は、バイオアッセイ装置12の機能を示すブロック図である。
検査処理プログラムを実行する制御部76は、遺伝子関係情報記録部201、基板選択部202、およびデータベース管理システム203を含む。
遺伝子関係情報記録部201は、制御部76の内蔵されているメモリに、遺伝子リスト221を記録し、記録されている遺伝子リスト221を読み出す。遺伝子リスト221には、相互に影響を受ける遺伝子の関係が記述されている。
基板選択部202は、検査に使用するバイオアッセイ基板11を選択する。
なお、バイオアッセイ基板11には、遺伝子リスト221に記述される、相互に影響を受ける遺伝子の関係に基づいて、所定のウェル37に所定のプローブが配置されている。
詳細は後述するが、検査には、複数枚のバイオアッセイ基板11が用いられ、それぞれのバイオアッセイ基板11には、それぞれ異なるプローブが配置される。
基板選択部202は、バイオアッセイ基板11毎に異なるプローブが配置された、複数のバイオアッセイ基板11から、1枚のバイオアッセイ基板11を選択する。
なお、バイオアッセイ基板11の1つのウェル37には、複数の同じプローブが配置されている。これは、DNAチップにおいては、その再現性や反応性が余りよくない場合が多いため、同一のプローブを複数(例えば8個)搭載し、その複数の発現結果を平均化したり、いいものを幾つかピックアップして判定するなどするためである。
例えば、基板選択部202は、励起光検出部73から供給された検出の結果を示す信号、および遺伝子リスト221を基に、次の検査に使用するバイオアッセイ基板11を選択する。
基板選択部202は、表示部78に、選択された、次の検査に使用するバイオアッセイ基板11を示す画像または文字を表示させる。表示部78は、選択された、次の検査に使用するバイオアッセイ基板11を示す画像または文字を表示することにより、選択された、次の検査に使用するバイオアッセイ基板11を使用者に通知する。
データベース管理システム203は、制御部76の内蔵されているメモリに、生体情報リスト204を記録させ、管理する。例えば、データベース管理システム203は、励起光検出部73から検出の結果を示す信号を生体情報として取得し、入力部79から、使用者の操作に対応した病状情報を取得して、生体情報リスト204に、生体情報および病状情報を記録させる。
より詳細には、データベース管理システム203は、励起光検出部73から検出された生体情報、および入力部79から入力(取得)された病状情報を取得し、生体情報と病状情報とを関連づけ、生体情報または病状が検索できるように生体情報リスト204に記録させる。例えば、データベース管理システム203は、商用のデータベースソフト(Oracle(商標)等)を使用し、生体情報と病状情報とを結びつけるようにしても良いし、独自フォーマットで関連づけて管理するようにしても良い。
また、検査処理プログラムを実行する制御部76は、解析部205を含む。解析部205は、生体情報リスト204に記録されている、生体情報および病状情報を解析して、その結果を、制御部76の内蔵されているメモリに、解析結果リスト206として記録する。
解析部205は、解析結果リスト206に記録されている生体情報間の相関関係を演算し、その関連性と病状を関連づける。
図11は、それぞれ異なるプローブが配置されたバイオアッセイ基板11のセットを用いた、図10で構成が示されるバイオアッセイ装置12による検査の処理を説明するフローチャートである。
なお、この処理の場合も、検査の処理を実行する前に、検査を行う者は、検査の対象となる人からDNAを採取し、採取したDNAであるサンプルDNAを、PCRなどの手法により複製しておく必要がある。
ステップS41において、使用者は、最初のバイオアッセイ基板11をバイオアッセイ装置12に装着する。
ここで、それぞれ異なるプローブが配置されたバイオアッセイ基板11からなるバイオアッセイ基板11のセットのうち、最初に使用すべきバイオアッセイ基板11は予め決められている。
ステップS42において、検査処理プログラムは、バイオアッセイ装置12に装着されているバイオアッセイ基板11のプローブと、検査の対象となる人から採取し、複製したサンプルDNAとを反応させる。例えば、ステップS42において、検査処理プログラムは、滴下部72に、プローブが配置されているバイオアッセイ基板11のウェル37に、サンプルDNAを含有する溶液を滴下することにより、バイオアッセイ基板11のプローブと、検査の対象となる人のサンプルDNAとを反応させる。
ステップS43において、検査処理プログラムは、プローブとサンプルDNAとの反応を検出する。例えば、ステップS43において、検査処理プログラムは、励起光検出部73に、プローブとサンプルDNAとの反応に対応した、ウェル37毎の励起光を検出させて、励起光の強度を取得させる。
ステップS44において、検査処理プログラムは、検出されたプローブとサンプルDNAとの反応を基に、次のバイオアッセイ基板11を選択する。例えば、ステップS44において、検査処理プログラムは、検出されたプローブとサンプルDNAとの反応に対応する励起光の強度、および遺伝子関係情報記録部201に記録されている遺伝子リスト221を基に、次のバイオアッセイ基板11を選択する。
ここで、遺伝子リスト221に記述されている遺伝子間の影響とそれぞれのバイオアッセイ基板11に配置されているプローブにより検出されるサンプルDNAとの関係について説明する。
図12は、遺伝子間の影響を説明する図である。図12において、個々の丸は、1つの遺伝子を示す。図12において、実線の矢印は、矢印の元の遺伝子が矢印の先の遺伝子を活性化させることを示す。図12において、点線の矢印は、矢印の元の遺伝子が矢印の先の遺伝子を抑制することを示す。
例えば、図12で示される遺伝子1は、紫外線または放射能などの外的要因の影響を受けやすく、遺伝子1−1および遺伝子3を活性化させる。
例えば、遺伝子2は、喫煙または飲酒などの生活環境などの環境要因の影響を受けやすく、遺伝子Dおよび遺伝子4を活性化させる。遺伝子3は、遺伝子3−1乃至遺伝子3−4並びに遺伝子Aおよび遺伝子Dを活性化させる。また、遺伝子4は、遺伝子4−1乃至遺伝子4−5および遺伝子Dを活性化させる。遺伝子Aは、遺伝子Bを抑制する。遺伝子Bは、遺伝子Cを活性化させる。遺伝子Dは、遺伝子Bを抑制する。
さらに、遺伝子1−1は、遺伝子3を抑制する。遺伝子3−2は、遺伝子3−4を抑制し、遺伝子3−3は、遺伝子3−5および遺伝子Cを活性化する。遺伝子3−4は、遺伝子Bおよび遺伝子Cを活性化する。
遺伝子4−2は、遺伝子4−6を活性化し、遺伝子4−6は、遺伝子4−9を活性化する。遺伝子4−3は、遺伝子4−7を活性化し、遺伝子4−7は、遺伝子4−9を抑制する。遺伝子4−4および遺伝子4−5は、遺伝子4−8を活性化し、遺伝子4−8は、遺伝子4−10を活性化する。
なお、図12では、遺伝子の影響力が均一であるとして表現されているが、実際には、遺伝子の影響力を考慮する必要がある。例えば、図12の遺伝子Aは、遺伝子Bを強力に抑制し、遺伝子Dの遺伝子Bを抑制する影響は、遺伝子Aの影響力に対して相対的に、低い。この場合、遺伝子Aを代表遺伝子として選択できる。
図12に示される遺伝子間の影響から、外的要因または環境要因の影響を受けやすいか、または遺伝子の活性化または抑制の起点となる遺伝子を最初に検査すべきことがわかる。すなわち、最初に検査すべき遺伝子は、発現の起点になる遺伝子、他の遺伝子への関与が多い遺伝子、影響力の大きい遺伝子、他の遺伝子からの関与が多い遺伝子などから選択される。例えば、図12において、最初に検査すべき遺伝子は、遺伝子1、遺伝子2、遺伝子3、遺伝子4、および遺伝子Aである。
例えば、1つ目のバイオアッセイ基板11には、遺伝子1、遺伝子2、遺伝子3、遺伝子4、および遺伝子Aをそれぞれ検出するプローブが配置される。2つ目のバイオアッセイ基板11には、遺伝子3−1、遺伝子3−2、遺伝子3−3、遺伝子3−4、および遺伝子3−5をそれぞれ検出するプローブが配置される。3つ目のバイオアッセイ基板11には、遺伝子4−1、遺伝子4−2、遺伝子4−3、遺伝子4−4、遺伝子4−5、遺伝子4−6、遺伝子4−7、遺伝子4−8、遺伝子4−9、および遺伝子4−10を検出するプローブが配置される。4つ目のバイオアッセイ基板11には、遺伝子B、遺伝子C、および遺伝子Dをそれぞれ検出するプローブが配置される。
バイオアッセイ基板11のセットは、遺伝子間の影響に基づいて、それぞれ異なる遺伝子を検出するためのプローブが配置されたバイオアッセイ基板11からなる。
例えば、ステップS41において、使用者は、最初に検査すべき、遺伝子1、遺伝子2、遺伝子3、遺伝子4、および遺伝子Aを検出するプローブが配置されたバイオアッセイ基板11をバイオアッセイ装置12に装着する。
例えば、ステップS41において、図13で示されるように、遺伝子1を検出するプローブ1がウェル37−1に配置され、遺伝子2を検出するプローブ2がウェル37−2に配置され、遺伝子3を検出するプローブ3がウェル37−3に配置され、遺伝子4を検出するプローブ4がウェル37−4に配置され、遺伝子Aを検出するプローブAがウェル37−5に配置されているバイオアッセイ基板11−1がバイオアッセイ装置12に装着される。
例えば、ステップS42において、プローブ1乃至プローブ4およびプローブAと、サンプルDNAとが反応させられ、ステップS43において、プローブ1乃至プローブ4およびプローブAと、サンプルDNAとの反応が検出される。
そして、プローブ1乃至プローブ4およびプローブAと、サンプルDNAとの反応、および遺伝子リスト221に記述されている遺伝子間の影響から、次のバイオアッセイ基板11が選択される。
図14は、遺伝子リスト221の例を示す図である。
遺伝子リスト221には、遺伝子番号、条件、およびプローブ対象遺伝子番号が格納されている。遺伝子番号は、検査の対象となった遺伝子を特定する情報である。条件は、遺伝子番号に対応する情報であり、対応する遺伝子番号の遺伝子を検出した蛍光強度と比較される閾値である。
図14の遺伝子リスト221の条件における、VHおよびVLは、閾値である。VHは、この値を超える蛍光強度が得られた場合に、対応するプローブ対象遺伝子番号で特定される遺伝子を検査すべきことを示し、VLは、この値未満の蛍光強度が得られた場合に、対応するプローブ対象遺伝子番号で特定される遺伝子を検査すべきことを示す。
プローブ対象遺伝子番号は、遺伝子番号および条件に対応する情報であり、対応する遺伝子番号の遺伝子を検出した蛍光強度が条件を満たす場合に、検査すべき遺伝子を特定する情報である。
例えば、図14の遺伝子リスト221において、1である遺伝子番号、すなわち、遺伝子1とプローブ1との反応に対応して検出された蛍光強度が、12.0を超える場合、1−1であるプローブ対象遺伝子番号で特定される遺伝子、すなわち、遺伝子1−1を検査すべきことが示されている。図14の遺伝子リスト221において、2である遺伝子番号、すなわち、遺伝子2とプローブ2との反応に対応して検出された蛍光強度が、10.0を超える場合、Dであるプローブ対象遺伝子番号で特定される遺伝子、すなわち、遺伝子Dを検査すべきことが示されている。
図14の遺伝子リスト221において、3である遺伝子番号、すなわち、遺伝子3とプローブ3との反応に対応して検出された蛍光強度が、5.0を超える場合、3−1,3−2,3−3,3−4,3−5,B、およびCであるプローブ対象遺伝子番号で特定される遺伝子、すなわち、遺伝子3−1、遺伝子3−2、遺伝子3−3、遺伝子3−4、遺伝子3−5、遺伝子Bおよび遺伝子Cを検査すべきことが示されている。
同様に、図14の遺伝子リスト221において、遺伝子3とプローブ3との反応に対応して検出された蛍光強度が、7.0を超える場合、3−1,3−2,3−5、およびCであるプローブ対象遺伝子番号で特定される遺伝子、すなわち、遺伝子3−1、遺伝子3−2、遺伝子3−5、および遺伝子Cを検査すべきことが示されている。
図14の遺伝子リスト221において、4である遺伝子番号、すなわち、遺伝子4とプローブ4との反応に対応して検出された蛍光強度が、5.0を超える場合、D,B,C,4−1,4−2,4−3,4−4,4−5,4−6,4−7,4−8,4−9、および4−10であるプローブ対象遺伝子番号で特定される遺伝子、すなわち、遺伝子D、遺伝子B、遺伝子C、遺伝子4−1、遺伝子4−2、遺伝子4−3、遺伝子4−4、遺伝子4−5、遺伝子4−6、遺伝子4−7、遺伝子4−8、遺伝子4−9、および遺伝子4−10を検査すべきことが示されている。
図14の遺伝子リスト221において、遺伝子4とプローブ4との反応に対応して検出された蛍光強度が、7.0を超える場合、D,4−1,4−5,4−9、および4−10であるプローブ対象遺伝子番号で特定される遺伝子、すなわち、遺伝子D、遺伝子4−1、遺伝子4−5、遺伝子4−9、および遺伝子4−10を検査すべきことが示されている。
図14の遺伝子リスト221において、Aある遺伝子番号、すなわち、遺伝子AとプローブAとの反応に対応して検出された蛍光強度が、3.0未満である場合、B,C,3−2,3−3、および3−4であるプローブ対象遺伝子番号で特定される遺伝子、すなわち、遺伝子B、遺伝子C、遺伝子3−2、遺伝子3−3、および遺伝子3−4を検査すべきことが示されている。
図14の遺伝子リスト221において、遺伝子AとプローブAとの反応に対応して検出された蛍光強度が、1.0未満である場合、Cであるプローブ対象遺伝子番号で特定される遺伝子、すなわち、遺伝子Cを検査すべきことが示されている。
なお、遺伝子リスト221は、遺伝子の因果関係が反映されたマップを基に生成することができる。例えば、遺伝子リスト221は、遺伝子の因果関係が反映されたマップの一例である、KEGGにおけるPathway図などを基に生成することができる。
また、図14で示されるように、遺伝子リスト221において、例えば、強度により複数分かれているものは、かなり顕著な反応であれば最終点をみればよく、微妙なものの場合には、間のものも検査するように設定される。
例えば、ステップS43において、遺伝子3とプローブ3との反応に対応して検出された蛍光強度が5.0を超える場合、遺伝子リスト221を基に、ステップS44において、遺伝子3−1、遺伝子3−2、遺伝子3−3、遺伝子3−4、遺伝子3−5、遺伝子Bまたは遺伝子Cを検査するバイオアッセイ基板11が選択される。例えば、図15で示されるように、遺伝子3−1を検出するプローブ3−1がウェル37−1に配置され、遺伝子3−2を検出するプローブ3−2がウェル37−2に配置され、遺伝子3−3を検出するプローブ3−3がウェル37−3に配置され、遺伝子3−4を検出するプローブ3−4がウェル37−4に配置され、遺伝子3−5を検出するプローブ3−5がウェル37−5に配置されているバイオアッセイ基板11−2が選択される。また、図示は省略するが、遺伝子Bを検出するプローブBが配置され、遺伝子Cを検出するプローブCが配置されているバイオアッセイ基板11が選択される。
プローブ3−1乃至プローブ3−5並びにプローブBおよびプローブCが配置されたバイオアッセイ基板11を選択するようにしてもよいことは勿論である。
なお、バイオアッセイ基板11の記録領域32に、遺伝子リスト221を記録させるようにしてもよく、この場合、バイオアッセイ装置12の励起光検出部73および記録再生部75が、バイオアッセイ基板11から遺伝子リスト221を読み出す。
また、サーバ15が遺伝子リスト221を記録し、バイオアッセイ装置12は、ネットワークインターフェース77に、ネットワーク13およびインターネット14を介して、サーバ15から遺伝子リスト221を取得させるようにしてもよい。この場合、バイオアッセイ装置12がサーバ15に要求すると、サーバ15は、ネットワーク13およびインターネット14を介して、バイオアッセイ装置12に遺伝子リスト221を送信してくるので、バイオアッセイ装置12は、ネットワークインターフェース77に、サーバ15から送信されてくる遺伝子リスト221を受信させる。
このように、ステップS44において、検査処理プログラムは、第1の検出物質と第1の標的物質との結合の検出結果、および第1の標的物質の第2の標的物質への影響を示すデータに基づいて、第2の検出物質を選択する。さらに、検査処理プログラムは、第2の検出物質が配置されている第2の基板を選択する。
図11に戻り、ステップS45において、検査処理プログラムは、ステップS44の処理で選択された、選択された次のバイオアッセイ基板11を使用者に通知する。例えば、ステップS45において、検査処理プログラムは、選択された次のバイオアッセイ基板11を示す画像または文字を表示部78に表示させることにより、選択された次のバイオアッセイ基板11を使用者に通知する。
ステップS46において、使用者は、次のバイオアッセイ基板11をバイオアッセイ装置12に装着する。ステップS47において、検査処理プログラムは、ステップS42と同様の処理で、バイオアッセイ装置12に装着されているバイオアッセイ基板11のプローブと、検査の対象となる人から採取し、複製したサンプルDNAとを反応させる。
ステップS48において、検査処理プログラムは、ステップS43の処理と同様の処理で、装着されているバイオアッセイ基板11のプローブとサンプルDNAとの反応を検出する。
ステップS49において、検査処理プログラムは、次の遺伝子を検出するか否かを判定する。例えば、ステップS49において、検査処理プログラムは、遺伝子リスト221に次に検査すべき遺伝子の情報が記述されているか否かを基に、次の遺伝子を検出するか否かを判定する。
ステップS49において、次の遺伝子を検出すると判定された場合、ステップS44に戻り、次のバイオアッセイ基板11を選択して、サンプルDNAとの反応を検出する処理を繰り返す。
ステップS49において、次の遺伝子を検出しないと判定された場合、ステップS50に進み、検査処理プログラムは、検出結果を生体情報として記録して、処理は終了する。
例えば、ステップS50において、検査処理プログラムは、データベース管理システム203に、検出結果を生体情報として、生体情報リスト204に格納させる。
図16は、生体情報リスト204の例を示す図である。例えば、図16で示されるように、データベース管理システム203は、生体情報リスト204に、生体情報である観測情報、病状情報、およびコメントなどを記録する。
例えば、図16で示される生体情報リスト204においては、遺伝子1とプローブとの反応を検出した蛍光強度が0.75であり、遺伝子2とプローブとの反応を検出した蛍光強度が12.58であり、また、遺伝子iとプローブとの反応を検出した蛍光強度が0.07であり、遺伝子Nとプローブとの反応を検出した蛍光強度が1.92であることを示す、生体情報の一例である観測情報が記録され、この観測情報に対して、病名が”肝臓癌”であり、r-GTPが”29”であり、血圧が”120-76”である病状情報が記録されている。
また、例えば、図16で示される生体情報リスト204においては、遺伝子1とプローブとの反応を検出した蛍光強度が3.28であり、遺伝子2とプローブとの反応を検出した蛍光強度が4.44であることを示す、生体情報の一例である観測情報が記録され、この観測情報に対して、病名が”肝臓癌”であり、r-GTPが”35”であり、血圧が”132-77”である病状情報が記録されている。
さらに、例えば、図16で示される生体情報リスト204においては、遺伝子1とプローブとの反応を検出した蛍光強度が1.11であり、遺伝子2とプローブとの反応を検出した蛍光強度が0.59であり、また、遺伝子Nとプローブとの反応を検出した蛍光強度が8.33であることを示す、生体情報の一例である観測情報が記録され、この観測情報に対して、病名が”心筋梗塞”であり、r-GTPが”33”であり、血圧が”126-80”である病状情報が記録されている。
また、図16で示される生体情報リスト204においては、観測情報および病状情報に対して、日付、検査目的、概要などのコメントが記録されている。
このように、バイオアッセイ装置12は、検査の処理において、バイオアッセイ基板11における検出物質であるプローブと標的物質であるサンプルDNAとの結合を検出し、プローブとサンプルDNAとの結合の検出結果、および標的物質の他の標的物質への影響を示す遺伝子リスト221に基づいて、次に検査をすべき標的物質を検出する検出物質が配置されている次のバイオアッセイ基板11を選択するようにしたので、全ての標的物質について検査をする必要がなくなる。これにより、全ての標的物質を検出するための基板が不要となり、影響の大きい標的物質を順次検査できるようになる。その結果、より迅速に、より安く、生体情報の検査をすることができるようになる。
換言すれば、繰り返し、多数の基板で検査する必要がなくなり、その結果、少しの数の基板で検査を行うことができるようになり、その結果、より迅速に、より安く、生体情報の検査をすることができるようになる。また、患者の負担も減らすことができる。
なお、バイオアッセイ基板11の記録領域32に、個々のバイオアッセイ基板11を識別するための基板IDを記録させるとともに、基板IDを印刷して、バイオアッセイ装置12は、基板IDによって、使用者に次のバイオアッセイ基板11を通知するようにしてもよい。そして、バイオアッセイ基板11が装着された場合、バイオアッセイ装置12は、記録領域32に記録されている基板IDによって、正しいバイオアッセイ基板11が装着されたか否かを判定するようにすることができる。
以上の本発明に係る検査装置は、以下のように構成することもできる。
例えば、検出手段(例えば、励起光検出部73)により検出された蛍光強度又は蛍光分布画像は、第1の解析手段(例えば、制御部76)によって解析され、発現遺伝子が特定される。ここで、発現遺伝子を特定するとは、DNAチップ搭載情報から遺伝子名、配列を決定し、検出した蛍光強度と基準蛍光強度(例えば、遺伝子リスト221)を比較し、比較の結果に応じて遺伝子関連を再調査すべきか否かを決めることである。
また、DNAチップ搭載情報とは、DNAチップ(例えば、バイオアッセイ基板11)に保持されている検出物質(プローブ)とその位置情報(例えば、ウェル37の位置)のことであり、これらは予め決めておいたり、DNAチップに搭載された光ディスク領域(例えば、記録領域32)やメモリ等から読み出しておいたり、インターネット14、LAN(例えば、ネットワーク13)等を介して外部(のサーバ15)から入手したりする。
基準蛍光強度は検出物質毎に決められており、それぞれVHとVLを持っている(VHとVLが定められている)。VHは、これを上回ると発現量が多いと判断され、VLは、これを下回ると発現量が小さいと判断される。
また、本発明に係る検査装置には、第1の解析手段による解析結果に基づき、第2の検出物質を決定する検出物質決定手段が新たに設けられる。この検出物質決定手段は、第1の検出物質に関連づけられた検出物質群を管理する管理手段(例えば、遺伝子関係情報記録部201)と、第1の解析手段の解析結果に基づき、管理手段から検出物質群を抽出する抽出手段とから構成されている。
管理手段では、ある検出物質に対して反応した蛍光強度が、VHより上回った時に検査すべき遺伝子群と、VLより下回ったときに検査すべき遺伝子群が登録または管理されている。
なお、管理手段は、バイオアッセイ装置12の制御部76に設けられると説明したが、他のパーソナルコンピュータやバイオアッセイ装置12に備えられる所定のメディア(CD、DVD、半導体メモリ(例えば、メモリースティックなど)、HDDなど)に管理情報を保持して管理してもよく、サーバ15に設けるようにしてもよい。
また、抽出手段には、検出物質と条件(VHまたはVLと検出蛍光強度との関係)を入力する入力手段(例えば、入力部79)と、検出物質から遺伝子群を検索する検索手段(例えば、基板選択部202)と、条件により、どの遺伝子群を選定するかを決定する選定手段(例えば、基板選択部202)が備えられている。入力手段は、キーボード、マウス等の物理デバイスや、検出手段の結果データを通信やファイルデータを介してダイレクトに検索手段へ引き渡すデータ処理手段などが考えられる。
検索手段は、入力手段により指定された検出物質に関連する遺伝子群を検索する手段である。通常はサーバ15やパーソナルコンピュータ等のプログラムで実装される。選定手段は、入力手段により指定された条件(VHより蛍光強度が大きい、VLより蛍光強度が小さい)に応じて遺伝子群を決定する手段であり、これも通常プログラムの形態を取る。
なお、検出された蛍光強度が、VLからVHまでの間である場合には、検索手段で検索された遺伝子群は選定されない。また、先に選定手段により選定条件を決定し、その後に検索手段で検索するようにしても良い。また、選定された遺伝子群は、それ自体を検出する検出物質群の情報も広く含んでいるものとする。
なお、本実施の形態ではバイオアッセイ装置12での構成方法で例を示したが、その他別の装置で実装してもよい。即ち、本発明は個別の装置について言及しているのではなく、広く方法に関して述べており、狭く解釈されない。
次に、本発明に係るDNAチップ構成方法は、検出物質決定手段により決定された第2の検出物質に基づき、第2のDNAチップを構成するように工夫されている。第2の検出物質は、遺伝子群を検出可能な物質であり、通常はこの遺伝子と相補的なヌクレオチド鎖を持つプローブで構成されている。第2のDNAチップには、このプローブ群が網羅的に搭載される。
以上のように、本発明に係る検査方法によれば、代表的な遺伝子群を検出できるバイオアッセイ基板11およびバイオアッセイ装置12を用いて発現遺伝子解析を行い、その解析結果に応じて第2の検出物質を選定し、この第2の検出物質を保持した第2のDNAチップを検査に用いるようにしたので、効果的、経済的な遺伝子診断方法、装置、システムを提供できるようになる。そして、この解析結果を生かして診断、研究を行えるシステムを提供することで、創薬、臨床診断、薬理ジェノミクス、法医学その他の関連産業界に提供するという技術的意義を有している。
本発明においては、網羅的な検出物質を保持したバイオアッセイ基板11を用いて発現遺伝子を検出し、これを解析して第2の検出物質を選定すると共に、第2のバイオアッセイ基板11を生成して診察、診断に用いるようにする。
すなわち、第1のDNAチップを用いた検査では第1のDNAチップに画一的な検出物質を搭載し、これで網羅的な検査が行われる。次に、これで検出された情報から患者固有の症状を読み取り、それに関連した検出ヌクレオチドを保持した第2のDNAチップが生成され、第2の検査が行われる。
このことにより、本発明によれば、全ての検出物質を搭載した高価なDNAチップを用いる必要がなく経済的である。また、画一的な検出物質を保持した第1のDNAチップは、検出物質の数をある程度絞っていることと量産化が出来るため、その価格を低く抑えることが出来る。さらに、第1のDNAチップを用いて検出した結果に応じて第2のDNAチップを構成することにより、繰り返しDNAチップを使うことを防止でき、コストを低下させることが出来る。
次に、図17のフローチャートを参照して、生体情報および病状情報の解析の処理を説明する。
ステップS61において、解析部205は、生体情報リスト204に記録されている、生体情報と病状情報との相関計算を行って、特徴を抽出する。ステップS62において、解析部205は、抽出された特徴を解析結果として解析結果リスト206に保存し、処理は終了する。
図18は、解析結果リスト206の例を示す図である。例えば、図18で示される解析結果リスト206は、生体情報において、遺伝子74とプローブとの反応から検出される蛍光強度が12.4以上である場合、病状1を誘発しやすい傾向があることを示す。図18で示される解析結果リスト206は、生体情報において、遺伝子238とプローブとの反応から検出される蛍光強度が2.1以下である場合、病状2を誘発しやすい傾向があることを示す。
また、例えば、図18で示される解析結果リスト206は、生体情報において、遺伝子2とプローブとの反応から検出される蛍光強度が7.4以上であり、遺伝子11とプローブとの反応から検出される蛍光強度が8.8以上であり、他の遺伝子で、所定の蛍光強度が得られ、遺伝子118とプローブとの反応から検出される蛍光強度が0.11以下である場合、病状iを誘発しやすい傾向があることを示す。
このように、解析結果リスト206には、生体情報リスト204を解析した結果得られる、所定の病状と、生体情報との関係が記録される。すなわち、解析結果リスト206には、所定の病状を誘発しやすい生体情報の条件が記録される。
次に、図19のフローチャートを参照して、生体情報および病状情報の解析の処理の詳細の例を説明する。ステップS81において、解析部205は、生体情報リスト204に記録されている、生体情報の一例である観測情報から、各遺伝子に対する蛍光強度を取得して、各遺伝子をクラス分けする。例えば、解析部205は、第1の閾値と、第1の閾値より大きい第2の閾値と、第2の閾値より大きい第3の閾値を基に、各遺伝子に対するそれぞれの蛍光強度が第1の閾値以上であるか否かを判定し、各遺伝子に対するそれぞれの蛍光強度が第2の閾値以上であるか否かを判定し、各遺伝子に対するそれぞれの蛍光強度が第3の閾値以上であるか否かを判定することにより、各遺伝子に対する蛍光強度を4つのクラスのうちのいずれか1つのクラスに分類する。
なお、クラス分けの手法は、蛍光強度と閾値との比較によるものに限らず、例えば、隣り合う遺伝子の蛍光強度の差分と閾値とを比較する、または、注目している遺伝子に配列が近似する遺伝子の蛍光強度の分布を基にクラス分けするなど、所望の手法を用いることができる。
ステップS82において、解析部205は、各遺伝子において、同一のクラスに分類され、病状情報が類似しているものを探索する。ステップS83において、解析部205は、解析結果を解析結果リスト206に記録する。
例えば、ステップS82において、解析部205は、観測情報において、i番目の遺伝子がj番目のクラスに分類され、病状情報において、同じ病名が存在する生体情報が、m個以上存在する場合、i番目の遺伝子とその病名の病気が関係があるものとして、ステップS83において、i番目の遺伝子のj番目のクラスに対する蛍光強度と、その病名の病気を示す病状情報とを解析結果リスト206に記録する。
ステップS84において、解析部205は、変数Nに初期値として2を設定する。
ステップS85において、解析部205は、任意のNの遺伝子において、それぞれ同一のクラスに分類され、病状情報が類似しているものを探索する。ステップS86において、解析部205は、解析結果を解析結果リスト206に記録する。
例えば、変数Nが2である場合、解析部205は、観測情報において、遺伝子iがj番目のクラスに分類され、遺伝子pがq番目のクラスに分類され、病状情報において、同じ病名が存在する生体情報が、m個以上存在する場合、遺伝子iおよび遺伝子pとその病名の病気が関係があるものとして、遺伝子iのj番目のクラスに対する蛍光強度および遺伝子pのq番目のクラスに対する蛍光強度と、その病名の病気を示す病状情報とを解析結果リスト206に記録する。
例えば、変数Nがrである場合、解析部205は、観測情報において、r個の同じ遺伝子が同じクラスに分類され、病状情報において、同じ病名が存在する生体情報が、m個以上存在する場合、r個の遺伝子とその病名の病気が関係があるものとして、それぞれの遺伝子の蛍光強度と、その病名の病気を示す病状情報とを解析結果リスト206に記録する。
ステップS87において、解析部205は、変数Nをインクリメントする。
ステップS88において、解析部205は、変数Nが予め定めた閾値以上であるか否かを判定し、変数Nが予め定めた閾値以上でないと判定された場合、さらに、解析を行うので、ステップS85に戻り、上述した処理を繰り返す。
ステップS88において、変数Nが予め定めた閾値以上であると判定された場合、解析が終了したので、処理は終了する。
このように、例えば、生体情報と病状情報との関係を解析して、その結果を記録することができる。その結果、所定の病気を誘発する可能性が高い、生体情報を特定することができる。
次に、図20のフローチャートを参照して、検査の他の処理を説明する。ステップS101乃至ステップS103のそれぞれは、図11のステップS41乃至ステップS43の処理のそれぞれと同様なので、その説明は省略する。
ステップS104において、検査処理プログラムは、検出されたプローブとサンプルDNAとの反応および遺伝子リスト221を基に、次の遺伝子を検出するプローブを選択する。例えば、ステップS104において、検査処理プログラムは、検出されたプローブとサンプルDNAとの反応に対応する励起光の強度、および遺伝子関係情報記録部201に記録されている遺伝子リスト221を基に、次の遺伝子3−1を検出するプローブ3−1を選択する。
ステップS105において、使用者は、選択されたプローブが配置されたバイオアッセイ基板11を生成する。例えば、ステップS105において、使用者は、プローブ3−1が配置されたバイオアッセイ基板11−2を生成する。
なお、ステップS105において、検査処理プログラムは、滴下部72に、装着されているバイオアッセイ基板11の空いているウェル37に、選択されたプローブを含む溶液を滴下させて、バイオアッセイ基板11に選択されたプローブを配置することにより、検査処理プログラムを実行するバイオアッセイ装置12が、選択されたプローブが配置されたバイオアッセイ基板11を生成するようにしてもよい。
ステップS106において、使用者は、生成したバイオアッセイ基板11をバイオアッセイ装置12に装着する。
ステップS107乃至ステップS110のそれぞれは、図11のステップS47乃至ステップS50の処理のそれぞれと同様なので、その説明は省略する。
このように、バイオアッセイ基板11に配置されたプローブとサンプルDNAとの反応を検出して、その検出結果、および遺伝子リスト221を基に、次の標的物質である次の遺伝子を検出するプローブを選択するようにしたので、より少ない数のバイオアッセイ基板11を用いて検査をすることができるようになり、その結果、より迅速に、より安く、生体情報の検査をすることができるようになる。
なお、以上で説明したように、基板選択部202は、次に検査すべき遺伝子に対応するプローブを指示し、その指示に従って全てのプローブを搭載したバイオアッセイ基板11を使用者が選定するようにしても良いし、使用者が空(プローブを未搭載)のバイオアッセイ基板11に基板選択部202の指示に従ってプローブを搭載しても良いし、上記指示を空のバイオアッセイ基板11の記録領域32に書き込み、バイオアッセイ装置12が読み取って自動搭載(ステップS14で説明した処理と同じ処理)してもよい。いずれにしても、基板選択部202によって、所望のプローブを搭載したバイオアッセイ基板11を選択することができるため、その実現方法はこれまで述べてきた選択方法に限定されない。
本発明において、第1のDNAチップを用いた検査では画一的な検出物質を搭載し、これで網羅的な検査が行われる。次に、これで検出された情報から患者固有の症状が読み取られ、それに関連した検出ヌクレオチドを保持した第2のDNAチップが生成され第2の検査が行われる。
このように、標的物質を検出する検出物質に標的物質を結合させるようにした場合には、標的物質を検出することができる。また、第1の基板に、第1の標的物質を検出する第1の検出物質を配置し、第2の基板に、第1の標的物質による影響を受ける第2の標的物質を検出する第2の検出物質を配置し、第1の基板における第1の検出物質と第1の標的物質との結合を検出し、第1の検出物質と第1の標的物質との結合の検出結果、および第1の標的物質の第2の標的物質への影響を示すデータに基づいて、第2の検出物質を選択するようにした場合には、より迅速に、より安く、生体情報の検査をすることができる。
第1の基板に、第1の標的物質を検出する第1の検出物質を配置し、第2の基板に、第1の標的物質に影響を受ける第2の標的物質を検出する第2の検出物質を配置するようにした場合には、より迅速に、より安く、生体情報の検査をすることができる。
さらに、第1の標的物質を検出する第1の検出物質と第1の標的物質との結合を検出し、第1の検出物質と第1の標的物質との結合の検出結果、および第1の標的物質の第2の標的物質への影響を示すデータに基づいて、第2の標的物質を検出する第2の検出物質を選択するようにした場合には、より迅速に、より安く、生体情報の検査をすることができる。
上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるが、ソフトウェアにより実行させることもできる。一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ、または、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどに、記録媒体からインストールされる。
この記録媒体は、図6に示すように、コンピュータとは別に、ユーザにプログラムを提供するために配布される、プログラムが記録されている磁気ディスク81(フレキシブルディスクを含む)、光ディスク82(CD-ROM(Compact Disc-Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disc)を含む)、光磁気ディスク83(MD(Mini-Disc)(商標)を含む)、若しくは半導体メモリ84などよりなるパッケージメディアにより構成されるだけでなく、コンピュータに予め組み込まれた状態でユーザに提供される、プログラムが記録されているROM(図示せず)や、ハードディスク(図示せず)などで構成される。
なお、上述した一連の処理を実行させるプログラムは、必要に応じてルータ、モデムなどのインタフェースを介して、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル衛星放送といった、有線または無線の通信媒体を介してコンピュータにインストールされるようにしてもよい。
また、本明細書において、記録媒体に格納されるプログラムを記述するステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
なお、本明細書において、システムとは、複数の装置により構成される装置全体を表すものである。
1 検査システム, 11 バイオアッセイ基板, 12 バイオアッセイ装置, 13 ネットワーク, 14 インターネット, 15 サーバ, 72 滴下部, 73 励起光検出部, 74 制御/サーボ部, 75 記録再生部, 76 制御部, 77 ネットワークインターフェース, 79 入力部, 81 磁気ディスク, 82 光ディスク, 83 光磁気ディスク, 84 半導体メモリ, 201 遺伝子関係情報記録部, 202 基板選択部, 203 データベース管理システム, 204 生体情報リスト, 205 解析部, 206 解析結果リスト, 221 遺伝子リスト
Claims (15)
- 第1の標的物質を検査するための第1の基板および第2の標的物質を検査するための第2の基板、並びに前記第1の基板および前記第2の基板により前記第1の標的物質および前記第2の標的物質を検査する検査装置からなる検査システムであって、
前記第1の基板は、
前記第1の標的物質を検出する第1の検出物質が配置され、
前記第2の基板は、
前記第1の標的物質による影響を受ける前記第2の標的物質を検出する第2の検出物質が配置され、
前記検査装置は、
前記第1の基板における前記第1の検出物質と前記第1の標的物質との結合を検出する検出手段と、
前記第1の検出物質と前記第1の標的物質との結合の検出結果、および前記第1の標的物質の前記第2の標的物質への影響を示すデータに基づいて、前記第2の検出物質を選択する選択手段と
を含むことを特徴とする検査システム。 - 前記選択手段は、前記第2の検出物質が配置されている前記第2の基板をさらに選択する
ことを特徴とする請求項1に記載の検査システム。 - 第1の標的物質を検査するための第1の基板および第2の標的物質を検査するための第2の基板からなる基板セットであって、
前記第1の基板は、
前記第1の標的物質を検出する第1の検出物質が配置され、
前記第2の基板は、
前記第1の標的物質による影響を受ける前記第2の標的物質を検出する第2の検出物質が配置されている
ことを特徴とする基板セット。 - 前記第1の基板は、前記第1の標的物質の前記第2の標的物質への影響を示すデータが記録されている
ことを特徴とする請求項3に記載の基板セット。 - 前記第1の基板は、前記第1の標的物質と前記第2の標的物質との因果関係が反映されたマップを基にした前記データが記録されている
ことを特徴とする請求項4に記載の基板セット。 - 第1の標的物質および第2の標的物質を検査する検査装置において、
前記第1の標的物質を検出する第1の検出物質と前記第1の標的物質との結合を検出する検出手段と、
前記第1の検出物質と前記第1の標的物質との結合の検出結果、および前記第1の標的物質の前記第2の標的物質への影響を示すデータに基づいて、前記第2の標的物質を検出する第2の検出物質を選択する選択手段と
を含むことを特徴とする検査装置。 - 前記選択手段は、前記第2の検出物質が配置されている、前記第2の標的物質を検査するための基板をさらに選択する
ことを特徴とする請求項6に記載の検査装置。 - 選択された前記基板を使用者に通知する通知手段をさらに含む
ことを特徴とする請求項7に記載の検査装置。 - 前記選択手段は、前記第1の検出物質と前記第1の標的物質との結合の検出結果、および前記第1の標的物質と前記第2の標的物質との因果関係が反映されたマップを基にした前記データに基づいて、前記第2の検出物質を選択する
ことを特徴とする請求項6に記載の検査装置。 - 前記第1の標的物質の前記第2の標的物質への影響を示す前記データを格納する格納手段をさらに含む
ことを特徴とする請求項6に記載の検査装置。 - 前記第1の検出物質が配置されている基板に記録されている、前記第1の標的物質の前記第2の標的物質への影響を示す前記データを読み出す読み出し手段をさらに含む
ことを特徴とする請求項6に記載の検査装置。 - 前記検出手段は、前記第1の検出物質と前記第1の標的物質との結合を示す蛍光強度を検出し、
前記選択手段は、閾値と前記検出結果である前記蛍光強度との比較の結果を基に、前記第1の標的物質の前記第2の標的物質への影響を示す前記データから、前記第2の検出物質を選択する
ことを特徴とする請求項6に記載の検査装置。 - 第1の標的物質および第2の標的物質を検査する検査装置の検査方法において、
前記第1の標的物質を検出する第1の検出物質と前記第1の標的物質との結合を検出する検出ステップと、
前記第1の検出物質と前記第1の標的物質との結合の検出結果、および前記第1の標的物質の前記第2の標的物質への影響を示すデータに基づいて、前記第2の標的物質を検出する第2の検出物質を選択する選択ステップと
を含むことを特徴とする検査方法。 - 第1の標的物質および第2の標的物質を検査する検査処理用のプログラムであって、
前記第1の標的物質を検出する第1の検出物質と前記第1の標的物質との結合を検出する検出ステップと、
前記第1の検出物質と前記第1の標的物質との結合の検出結果、および前記第1の標的物質の前記第2の標的物質への影響を示すデータに基づいて、前記第2の標的物質を検出する第2の検出物質を選択する選択ステップと
を含むことを特徴とするコンピュータが読み取り可能なプログラムが記録されている記録媒体。 - 第1の標的物質および第2の標的物質を検査する検査処理を、コンピュータに行わせるプログラムにおいて、
前記第1の標的物質を検出する第1の検出物質と前記第1の標的物質との結合を検出する検出ステップと、
前記第1の検出物質と前記第1の標的物質との結合の検出結果、および前記第1の標的物質の前記第2の標的物質への影響を示すデータに基づいて、前記第2の標的物質を検出する第2の検出物質を選択する選択ステップと
を含むことを特徴とするプログラム。
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