JP4320344B2 - ホスフェート−ホスホネート結合を有するリン化合物の製造方法 - Google Patents

ホスフェート−ホスホネート結合を有するリン化合物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、樹脂材料の難燃剤として有用な1分子中にホスフェート−ホスホネート結合を有するリン化合物を、原料のアルコール性ヒドロキシ基を有するホスホネートの種類に制限されることなしに、塩化マグネシウムのような触媒を用いず、窒素含有塩基性化合物の使用のみで、高純度かつ高収率で得ることができる新規な製造方法に関する。
本発明において「ホスフェート−ホスホネート結合」とは、リン原子間が置換基を有していてもよいアルキレン基と酸素原子との連結基で結合された構造を意味する。
リン化合物は、一般に多機能な化合物として様々な分野で使用され、多種の化合物が開発されている。特に、リン化合物は難燃剤として優れた機能を有し、従来から多用されている。その難燃化の対象となる樹脂は多岐にわたり、例えば、ポリカーボネート、ABS樹脂、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート)などの熱可塑性樹脂、ポリウレタン、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂などが挙げられる。また、それらの樹脂の形態は成形品に限らず、繊維製品など多岐にわたっている。
樹脂の難燃性は、一般的にリン化合物中のリン含有率に依存するが、所望の難燃性を付与するために樹脂にリン化合物を添加する場合、その添加量が多くなり樹脂自体の物性、特に機械特性が著しく低下することがある。したがって、より少ないリン化合物の添加量で十分な難燃性を樹脂に付与するために、リン含有率の高いリン化合物が望まれている。
また、樹脂は混練や成形加工の工程で非常に高い温度に曝されるので、添加するリン化合物としては高温においても安定性の高いものが望まれている。
リン化合物の構造は、主にホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、ホスファイト、ホスホナイト、ホスフィナイト、ホスフィンオキサイド、ホスフィンなどに大別される。リン化合物は1分子中にこれらの少なくとも1種の構造を有し、2種以上の異なる構造を有するリン化合物も存在する。
ホスフェート−ホスホネートはその一例であり、例えば、1分子中に塩素や臭素などのハロゲン原子を含有するホスフェート−ホスホネート、1分子中にアルコール性ヒドロキシ基を含有するホスフェート−ホスホネート、エチル基のような低級アルキル基を有するホスフェート−ホスホネートなどが知られている。
このようなホスフェート−ホスホネートの製造方法として、種々の方法が知られている。
例えば、米国特許第4697030号明細書(特許文献1)には、触媒としての塩化マグネシウムのようなルイス酸と塩化水素捕捉剤としてのトリエチルアミンとの共存下で、アルコール性ヒドロキシ基を有するホスホネートとオキシ塩化リンあるいはホスホロクロリデートとを反応させてホスフェート−ホスホネートを合成する方法が記載されている。
しかしながら、この方法では、原料として使用できるホスホネートの種類が制限されるという問題がある。すなわち、原料として1級のヒドロキシ基を有するホスホネートを用いる場合には、上記明細書の実施例に記載されているように問題なく反応が進行する。しかし、原料として2級あるいは3級のヒドロキシ基を有するホスホネートを用いる場合には、五価であるP(=O)−Cl(リン−塩素)結合を有する化合物との反応性が非常に低下し、その結果、目的化合物の収率が低下するという問題がある。
また、触媒として4-ジメチルアミノピリジン、1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン-
7(DBU)などの強塩基性触媒をトリエチルアミンと併用した場合でも、反応性はそれ
ほど向上せず、しかも触媒が高価であるためコスト面でも好ましくない。さらにこれら触媒を用いることで、不純物の副生が増えるという問題もある。
また、英国特許第941706号明細書(特許文献2)には、原料としてトリアルキルホスファイトと、ケトン類やアルデヒド類などのカルボニル化合物、ホスホロクロリダイトを用いた三価のホスファイト化合物の合成法が記載されている。ホスフェート−ホスホネートは、前記の方法で得られた三価のホスファイト化合物を酸化することにより得ることができる。
しかしながら、ホスファイト化合物は酸性雰囲気下で容易に分解してしまうという欠点がある。上記明細書の合成法は、触媒を用いない、ホスホロクロリダイト中にカルボニル化合物を添加反応させるという酸性雰囲気下の合成であり、生成物が分解してしまい、その結果収率が低下するという問題がある。
米国特許第4697030号明細書 英国特許第941706号明細書
本発明は、1分子中にホスフェート−ホスホネート結合を有するリン化合物を、原料のアルコール性ヒドロキシ基を有するホスホネートの種類に制限されることなしに、塩化マグネシウムのような触媒を用いず、窒素含有塩基性化合物の使用のみで、副生成物が少なく、高純度かつ高収率で得ることができる新規な製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、原料として、反応活性の高いジ置換ホスホロハリダイトを使用することにより、アルコール性ヒドロキシ基を有するホスホネートとの脱ハロゲン化水素反応を行うことができ、ホスホネートの種類に制限されることなしに、塩化マグネシウムのような触媒を用いず、窒素含有塩基性化合物の使用のみで、副生成物が少なく、高純度かつ高収率でホスフェート−ホスホネートが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
かくして、本発明によれば、一般式(II):
Figure 0004320344
(式中、R1およびR2は、互いに同一または異なって、直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であるか、またはR1とR2はそれらが結合する酸素原子およびリン原子と一緒になって環状構造を形成し、R3およびR4は、互いに同一または異なって、直鎖状もしくは分岐状のアルキル基またはアリール基であるか、またはR3とR4はそれらが結合する炭素原子と一緒になって環状構造を形成する)
で表されるアルコール性ヒドロキシ基を有するホスホネートと、一般式(III):
Figure 0004320344
(式中、R5およびR6は、互いに同一または異なって、直鎖状もしくは分岐状のアルキル基でありかつ5とR6はそれらが結合する酸素原子およびリン原子と一緒になって環状構造を形成し、Xはハロゲン原子である)
で表されるジ置換ホスホロハリダイトとを、窒素含有塩基性化合物の存在下で脱ハロゲン化水素反応に付して、一般式(I’)
Figure 0004320344
(式中、R1、R2、R3、R4、R5およびR6は、上記と同じ意味を有する)
で表される反応生成物を得、次いで、反応生成物(I’)を酸化して、一般式(I):
Figure 0004320344
(式中、R1、R2、R3、R4、R5およびR6は、上記と同じ意味を有する)
で表されるホスフェート−ホスホネート結合を有するリン化合物を得ることを特徴とするリン化合物の製造方法が提供される。
本発明によれば、1分子中にホスフェート−ホスホネート結合を有するリン化合物を、原料のアルコール性ヒドロキシ基を有するホスホネートの種類に制限されることなしに、塩化マグネシウムのような触媒を用いず、窒素含有塩基性化合物の使用のみで、副生成物が少なく、高純度かつ高収率で製造することができる。
本発明のリン化合物の製造方法は、ホスホネート(II)とジ置換ホスホロハリダイト(III)とを、窒素含有塩基性化合物の存在下で脱ハロゲン化水素反応に付して、反応生成物(I’)を得、次いで、反応生成物(I’)を酸化して、ホスフェート−ホスホネート結合を有するリン化合物(I)を得ることを特徴とする。
窒素含有塩基性化合物は、ハロゲン化水素捕捉剤として機能する。
ホスホネート(II)におけるR1およびR2は、互いに同一または異なって、直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であるか、またはR1とR2はそれらが結合する酸素原子およびリン原子と一緒になって環状構造を形成していてもよい。
1およびR2の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基としては、例えばメチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、iso-ブチル、sec-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-オクチル、2-エチルヘキシルなどが挙げられ、それらの中でもC2〜C8アルキル基が特に好ましい。
1およびR2のうち少なくとも一方がメチル基である場合には、加水分解し易く、その結果、リン化合物(I)の収率が低下するおそれがあるので、R1およびR2は、炭素数が2以上のアルキル基が好ましい。また、R1およびR2のうち少なくとも一方のアルキル基の炭素原子数が9以上の場合には、ホスホネート(II)の製造に由来する炭素原子数の大きなアルコールが最終生成物中に残存することがあり、その除去が困難となるおそれがあるので好ましくない。
1およびR2のシクロアルキル基としては、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシルが挙げられ、それらの中でもC5〜C7シクロアルキル基が好ましく、シクロヘキシル基が特に好ましい。
シクロアルキル基の環状構造を形成する炭素原子数が8以上の場合、あるいはシクロアルキル基の環状構造を形成する炭素原子数が4以下の場合には、該シクロアルキル環が不安定になり易く、その結果、環の開裂によって生じる化合物が、反応系において悪影響を及ぼすおそれがあるので好ましくない。
1およびR2のシクロアルキル基は置換基を有していてもよい。その置換基としては、C1〜C7の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基が挙げられ、それらの中でも、例えばメチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、iso-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチルのようなC1〜C4アルキル基が特に好ましい。
置換基を有するシクロアルキル基としては、例えば、3-メチルシクロヘキシル基、4-メチルシクロヘキシル基などが挙げられ、これらの基を有するホスホネート(II)は、ホスホネート(II)を合成する上での原料を入手し易いので好ましい。
1およびR2のアリール基としては、例えばフェニル、1-ナフチル、2-ナフチルなどが挙げられる。
1およびR2のアリール基は置換基を有していてもよい。その置換基としては、C1
9の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基が挙げられ、それらの中でも、例えばメチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、iso-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチルのようなC1〜C4アルキル基が特に好ましい。
置換基を有するアリール基としては、例えば、2-メチルフェニル、3-メチルフェニル、4-メチルフェニル、2,6-ジメチルフェニル、2,4-ジメチルフェニル、3,5-ジメチルフェニル、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニルなどのC6〜C15アリール基が挙げられる。
上記のアリール基の中でも、フェニル基、3-メチルフェニル基、4-メチルフェニル基を有するホスホネート(II)は、ホスホネート(II)を合成する上での原料を入手し易いので好ましい。
また、R1とR2はそれらが結合する酸素原子およびリン原子と一緒になって環状構造を形成していてもよい。R1とR2とが結合して形成される連結基−R1−R2−としては、R1およびR2に含まれる炭素原子数の和が2〜9になるアルキレン基が好ましく、2〜6になるアルキレン基がより好ましい。そして、環状構造における環は5〜7員環が好ましく、5員環もしくは6員環がより好ましく、6員環が特に好ましい。この環が8員環以上の場合もしくは4員環以下の場合には、環が不安定になり易く、その結果、環の開裂によって生じる酸成分[P−OH]が反応の進行に悪影響を及ぼすおそれがあるので好ましくない。
特に好ましい環状構造としては、次の一般式(VI)で表される環状構造:
Figure 0004320344
(式中、R51およびR52は、互いに同一または異なって、水素原子または直鎖状もしくは分岐状のアルキル基である)
が挙げられる。
51およびR52は、それらに含まれる炭素原子数の和が0〜6であるのが好ましく、具体的には、R51とR52が共にメチル基である組み合わせ、あるいはR51とR52がそれぞれエチル基とn-ブチル基である組み合わせなどが挙げられる。
ホスホネート(II)におけるR3およびR4は、互いに同一または異なって、水素原子、直鎖状もしくは分岐状のアルキル基またはアリール基であるか、またはR3とR4はそれらが結合する炭素原子と一緒になって環状構造を形成していてもよい。
3およびR4の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基としては、例えばメチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、iso-ブチル、sec-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシルなどが挙げられ、それらの中でもC1〜C6アルキル基が特に好ましい。
3およびR4のアリール基としては、例えばフェニル、1-ナフチル、2-ナフチルなどが挙げられる。
3およびR4のアリール基は置換基を有していてもよい。その置換基としては、例えばメチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、iso-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチルなどのC1〜C5の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基が挙げられる。
置換基を有するアリール基としては、例えば、メチル基を有するフェニル基、メチル基を有するナフチル基などが挙げられる。
また、R3とR4はそれらが結合する炭素原子と一緒になって、次式で示される環状構造を形成していてもよい。
Figure 0004320344
3とR4とが結合して形成される連結基−R3−R4−としては、R3およびR4に含まれる炭素原子数の和が4〜10になるアルキレン基が好ましい。また、環状構造における環は、5〜7員環が好ましく、6員環がさらに好ましく、置換基を有さない6員環が特に好ましい。この環が8員環以上の場合もしくは4員環以下の場合には、環が不安定になり易く、その結果、環の開裂によって生じる化合物が反応の進行に悪影響を及ぼすおそれがあるので好ましくない。
アルキレン基は、置換基を有していてもよい。その置換基としては、例えばメチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、iso-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチルのようなC1〜C6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基が挙げられる。
3およびR4に含まれる炭素原子数の和が1〜12であるのが好ましい。
また、ホスホネート(II)のR3およびR4に含まれる炭素原子数がそれぞれ1以上であ
り、かつR3およびR4に含まれる炭素原子数の和が2〜12であるのが好ましい。
3およびR4が共にアルキル基である場合、およびR3とR4が一緒になって環状構造を形成する場合には、ホスホネート(II)が立体的に嵩高い置換基を有することになり、その結果、ジ置換ホスホロハリダイト(III)との反応性が低下することが予想されるが、本発明の製造方法によれば、その予想に反して反応が円滑に進行する。
ホスホネート(II)におけるR3およびR4は、メチル基と水素原子、メチル基とメチル基、メチル基とエチル基、メチル基とイソブチル基、フェニル基と水素原子、フェニル基とメチル基、フェニル基とフェニル基の組み合わせ、およびR3およびR4がそれらが結合する炭素原子と一緒になって6員環を形成する連結基から選択されるのが好ましい。
ホスホネート(II)は、式(IV):
Figure 0004320344
(式中、R3およびR4は上記と同じ意味を有する)
で表される化合物、R1およびR2が共にn-ブチル基である化合物およびR1およびR2が共に2-エチルヘキシル基である化合物から選択されるのが好ましい。
ホスホネート(II)は、例えば、ホスファイトへのアルデヒドまたはケトンの付加反応により合成することができる(例えば、特開昭49−126623号公報参照)。
上記の付加反応に用いられるホスファイトとしては、例えば、ジエチルホスファイト、ジn-プロピルホスファイト、ジn-ブチルホスファイト、ジn-オクチルホスファイトおよびビス(2-エチルヘキシル)ホスファイトなどのジアルキルホスファイト、ネオペンチレンホスファイトなどの環状ホスファイトなどが挙げられる。原料としての入手し易さや価格の点で、例示したような、同種のアルキル基が置換されたジアルキルホスファイトおよび環状ホスファイトが特に好ましい。
また、アルデヒドとしては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒドなどが挙げられ、ケトンとしては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)などの鎖状ケトン、アセトフェノン、ベンゾフェノンなどの芳香族ケトン、およびシクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノンなどの環状ケトンなどが挙げられる。
上記の付加反応には触媒を用いるのが好ましい。このような触媒としては、金属ナトリウム、金属カリウムなどのアルカリ金属類、水素化ナトリウム、ナトリウムアルコキシド、ナトリウムアミドなどのアルカリ金属含有塩基類、トリエチルアミン、トリブチルアミンなどの脂肪族第3級アミン類、ピリジン、ルチジン、ピコリンなどの芳香族アミン類などの塩基性触媒が挙げられ、これらの中でも脂肪族第3級アミン類が好ましい。また、これらは2種以上を混合して用いることができる。
また、触媒として、塩化マグネシウム、塩化アルミニウム、塩化亜鉛、四塩化チタン、三フッ化ホウ素エーテル錯体などの金属ハロゲン化物を併用することもできる。これらも2種以上を混合して用いることができる。
上記の付加反応においては、その反応性および取り扱いの点から、塩基性触媒のトリエチルアミンと金属ハロゲン化物の塩化マグネシウムとの併用が好ましい。
ジ置換ホスホロハリダイト(III)におけるR5およびR6は、互いに同一または異なっ
て、直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であるか、またはR5とR6はそれらが結合する酸素原子およびリン原子と一緒になって環状構造を形成していてもよく、Xはハロゲン原子である。
5およびR6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基としては、例えばメチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、iso-ブチル、sec-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-オクチル、2-エチルヘキシルなどが挙げられ、それらの中でもC2〜C8アルキル基が特に好ましい。
5およびR6のうち少なくとも一方がメチル基である場合には、合成が困難となり、その結果、リン化合物(I)の収率が低下するおそれがあるので、R5およびR6は、炭素数が2以上のアルキル基が好ましい。また、R5およびR6のうち少なくとも一方のアルキル基の炭素原子数が9以上の場合には、ジ置換ホスホロハリダイト(III)の製造に由来する炭素原子数の大きなアルコールが最終生成物中に残存することがあり、その除去が困難となるおそれがあるので好ましくない。
5およびR6のシクロアルキル基としては、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシルが挙げられ、それらの中でもC5〜C7シクロアルキル基が好ましく、シクロヘキシル基が特に好ましい。
シクロアルキル基の環状構造を形成する炭素原子数が8以上の場合、あるいはシクロアルキル基の環状構造を形成する炭素原子数が4以下の場合には、該シクロアルキル環が不安定になり易く、その結果、環の開裂によって生じる化合物が、反応系において悪影響を及ぼすおそれがあるので好ましくない。
5およびR6のシクロアルキル基は置換基を有していてもよい。その置換基としては、C1〜C7の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基が挙げられ、それらの中でも、例えばメチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、iso-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチルのようなC1〜C4アルキル基が特に好ましい。
置換基を有するシクロアルキル基としては、例えば、3-メチルシクロヘキシル基、4-メチルシクロヘキシル基などが挙げられ、これらの基を有するジ置換ホスホロハリダイト(III)は、原料として入手し易いので好ましい。
5およびR6のアリール基としては、例えば、フェニル、1-ナフチル、2-ナフチルなどが挙げられる。
5およびR6のアリール基は置換基を有していてもよい。その置換基としては、C1
9の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基が挙げられ、それらの中でも、例えばメチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、iso-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチルのようなC1〜C4アルキル基が特に好ましい。
置換基を有するアリール基としては、例えば、2-メチルフェニル、3-メチルフェニル、4-メチルフェニル、2,6-ジメチルフェニル、2,4-ジメチルフェニル、3,5-ジメチルフェニル、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニルなどのC6〜C15アリール基が挙げられる。
上記のアリール基の中でも、フェニル基、3-メチルフェニル基、4-メチルフェニル基を有するジ置換ホスホロハリダイト(III)は、原料として入手し易いので好ましい。
また、R5とR6はそれらが結合する酸素原子およびリン原子と一緒になって環状構造を形成していてもよい。R5とR6とが結合して形成される連結基−R5−R6−としては、R5およびR6に含まれる炭素原子数の和が2〜9になるアルキレン基が好ましく、2〜6に
なるアルキレン基がより好ましい。そして、環状構造における環は5〜7員環が好ましく、5員環もしくは6員環がより好ましく、6員環が特に好ましい。この環が8員環以上の場合もしくは4員環以下の場合には、環が不安定になり易く、その結果、環の開裂によって生じる酸成分[P−OH]が反応の進行に悪影響を及ぼすおそれがあるので好ましくない。
特に好ましい環状構造としては、次の一般式(VII)で表される環状構造:
Figure 0004320344
(式中、R53およびR54は、互いに同一または異なって、水素原子または直鎖状もしくは分岐状のアルキル基である)
が挙げられる。
53およびR54は、それらに含まれる炭素原子数の合計が0〜6であるのが好ましく、具体的には、R53とR54が共にメチル基である組み合わせ、あるいはR53とR54がそれぞれエチル基とn-ブチル基である組み合わせなどが挙げられる。
ジ置換ホスホロハリダイト(III)におけるXのハロゲン原子としては、フッ素、塩素
、臭素、ヨウ素が挙げられる。反応性が高いという理由で塩素、臭素が好ましく、塩素がより好ましい。
ジ置換ホスホロハリダイト(III)は、式(V):
Figure 0004320344
(式中、Xはハロゲン原子である)
で表されるものが好ましい。
ジ置換ホスホロハリダイト(III)、例えば、環状アルキレンホスホロハリダイトは、
ハロゲン化リンとジオール系化合物との反応により合成することができる(例えば、特開平2−273688号公報参照)。
上記の反応に用いられるハロゲン化リンとしては、例えば、三塩化リン、三臭化リンなどが挙げられる。原料としての入手し易さや価格の点で、三塩化リンが特に好ましい。
原料としてオキシ塩化リンやオキシ臭化リンなどの5価のオキシハロゲン化リンを用いた場合には、ジ置換ホスホロハリダイト(III)の酸化物が得られる。この酸化物は、ホ
スホネート(II)との反応性が極めて低く、本発明の目的物であるリン化合物(I)を高収率で得ることができなくなるので好ましくない。本発明のリン化合物の製造方法は、ホスホネート(II)とジ置換ホスホロハリダイト(III)とを反応させた後に、得られた反応生成物を酸化させることを特徴としており、特にジ置換ホスホロハリダイト(III)が環状構造を有する場合には、リン化合物(I)の収率の差が顕著に表れる。
また、ジオール系化合物としては、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオール、2-エチル-2-ブチル-1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、2,2-ジアリル-1,3-プロパンジオールなどが挙げられる。原料としての入手し易さや価格の点で、2-エチル-2-ブチル-1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコールが特に好ましい。
上記のホスホネート(II)において、R1とR2が一緒になって環状構造を形成する、お
よび/または上記のジ置換ホスホロハリダイト(III)において、R5とR6が一緒になっ
て環状構造を形成するのが好ましい。
次に、本発明のホスホネート(II)とジ置換ホスホロハリダイト(III)との反応について詳しく説明する。
本発明の製造方法は、ホスホネート(II)とジ置換ホスホロハリダイト(III)とを、窒素含有塩基性化合物の存在下で脱ハロゲン化水素反応に付して(工程(1))、次いで、得られた反応生成物(I’)を酸化して、リン化合物(I)を得る(工程(2))ことにより行われる。
工程(1)で用いられる窒素含有塩基性化合物としては、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミンなどの脂肪族第3級アミン、ピリジンなどの芳香族アミンが挙げられ、これらの中でも、脂肪族第3級アミンが好ましく、トリエチルアミンが特に好ましい。
窒素含有塩基性化合物の使用量は、ジ置換ホスホロハリダイト(III)1モルに対して
1.0〜1.2モル程度である。
工程(1)におけるジ置換ホスホロハリダイト(III)の使用量は、ホスホネート(II)1モルに対して1.0〜1.5モルが好ましく、1.01〜1.2モルがより好ましい。
ジ置換ホスホロハリダイト(III)の使用量が、ホスホネート(II)1モルに対して1.0モル未満の場合には、未反応のホスホネート(II)が反応物中に残存する比率が高くなり、その結果、最終目的物中からのホスホネート(II)の除去が困難になるおそれがあるので好ましくない。また、ジ置換ホスホロハリダイト(III)の使用量が、ホスホネート(II)1モルに対して1.5モルを超えて、工程(1)の反応終了後に未反応のジ置換ホスホロハリダイト(III)が残存しても、これを水洗により容易に分解除去することができるが、原料ロスになることから好ましくない。
工程(1)における反応温度は、好ましくは10〜100℃、より好ましくは20〜70℃である。反応温度が10℃未満の場合には、反応性が低下するので好ましくない。また、反応温度が100℃を超えると、窒素含有塩基性化合物が飛散したり、ジ置換ホスホロハリダイト(III)が副反応を起こす可能性があるので好ましくない。
また、反応時間は、反応温度などの条件にもよるが、通常、1〜5時間程度で十分である。
工程(1)の反応は、必要に応じて有機溶剤の存在下で行うことができる。
有機溶剤は、この反応に不活性な溶剤であれば特に限定されず、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレンおよび石油スピリットなどの炭化水素系溶剤;クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、クロロベンゼンおよびジクロロベンゼンなどのハロゲン含有炭化水素系溶剤;ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、1,4-ジオキサンおよびエチレングリコールジエチルエーテルなどのエーテル系溶剤などが挙げられる。これらの中でも、取り扱い易さの面でトルエン、クロロベンゼンなどの芳香族炭化水素が特に好ましい。
ホスホネート(II)およびジ置換ホスホロハリダイト(III)を製造する反応と、工程
(1)の反応とを一連の工程として連続して実施する場合には、同一の溶剤を用いるのが好ましい。これにより溶剤の回収工程が簡略化できるため有利である。
工程(1)の反応終了後に、副生したアミンのハロゲン化水素塩を除去するのが好ましい。除去方法としては、濾過、水洗などの公知の方法が挙げられる。
次いで、工程(2)では、工程(1)で得られた反応生成物(I’)を公知の方法で酸化して、上記の一般式(I)で表されるリン化合物を得る。例えば、反応生成物(I’)と過酸化水素を塩基性条件下で反応させる(例えば、特開平11−100391号公報参照)。
工程(2)において反応系が酸性条件になると、反応生成物(I’)が分解するため、反応系を常に塩基性に保つ必要がある。
反応系を塩基性に保つためには、公知の塩基性化合物を用いることができる。
このような塩基性化合物としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物;炭酸ナトリウムに代表される炭酸塩;アンモニア;ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N-ジメチルアニリンなどのアミン;ピリジン、ピコリンなどの芳香族複合環塩基などが挙げられ、これらの中でも、水酸化ナトリウム、トリエチルアミンが特に好ましい。また、これらの塩基性化合物は、2種以上を混合して用いることもできる。
工程(2)における過酸化水素の使用量は、反応生成物(I’)1モルに対して1.0〜1.5モルが好ましく、1.01〜1.2モルがより好ましい。
過酸化水素水の使用量が、反応生成物(I’)1モルに対して1.0モルを下回る場合には、酸化反応が完結せずに、未反応の反応生成物(I’)が反応物中に残存する比率が高くなり、その結果、リン化合物(I)の収量が低下するおそれがあるので好ましくない。また、過酸化水素水の使用量が多い程、酸化反応が十分に進行してリン化合物(I)の収率が高くなる反面、爆発の危険性を有する未反応の過酸化水素が残存することになり、安全面で好ましくない。さらに、過酸化水素の水への還元といった余計な工程が必要になることから、過酸化水素の使用量の上限は、反応生成物(I’)1モルに対して1.5モル程度までが適当であり、1.2モル程度までが実用的である。
工程(2)における反応温度は、好ましくは0〜80℃、より好ましくは10〜70℃である。反応温度が0℃未満の場合には、爆発の危険性を有する過酸化水素が反応系内に蓄積して急激な反応を起こす危険性があるので好ましくない。また、反応温度が80℃を超えると、過酸化水素自体の分解が促進されるので好ましくない。
また、反応時間は、反応温度などの条件にもよるが、通常1〜5時間程度で十分である。
工程(2)の反応は、必要に応じて有機溶剤の存在下で行うことができる。
有機溶剤は、この反応に不活性な溶剤であれば特に限定されず、工程(1)で例示のものが挙げられる。工程(1)と工程(2)において同一の溶剤を用いることにより、溶剤の回収工程を1回に簡略化できるので好ましい。
このようにして得られた反応混合物から、溶剤や低沸成分を減圧除去することにより、目的化合物であるリン化合物(I)を得ることができる。
また、窒素含有塩基性化合物や酸性成分などの不純物の残存を避けたい場合には、それらを公知の方法で除去するのが好ましい。この除去方法としては、酸洗浄処理、アルカリ洗浄処理、水洗処理、減圧蒸留などが挙げられる。しかし、難燃剤としてリン化合物(I)を樹脂に添加した場合、これらの不純物がポリウレタンフォームやOA機器などの成形品の物性に悪影響を及ぼすほどではない、極少量の場合には、精製処理は特に必要としない。従って、必要に応じて精製処理を取り入れればよい。
酸洗浄処理では、反応混合物中の窒素含有塩基性化合物を除去することができる。具体的には、塩酸、硫酸、シュウ酸、硝酸、リン酸およびクエン酸などの酸性水を用いて、得られた反応混合物を洗浄すればよい。
アルカリ洗浄処理では、反応混合物中の酸性成分や未反応の過酸化水素を中和により除去することができる。具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウムなどのアルカリ水溶液を用いて、得られた反応混合物を洗浄すればよい。
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明は、これらの実施形態に限定して解釈されるべきものではない。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができる。本明細書において引用した特許文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様に、その内容が本明細書に対する参考として援用されるべきである。
(実施例)
本発明を以下の実施例および比較例によりさらに具体的に説明するが、これらの実施例により本発明の範囲が限定されるものではない。
(実施例1)
(原料1の合成)
攪拌機、温度計、滴下装置、塩酸回収装置および還流管を備えた1リットルの四つ口フラスコに、ネオペンチルグリコール112.3g(1.08モル)およびトルエン123.5g(ネオペンチルグリコールに対して110重量%)を充填した。この混合溶液を窒素雰囲気下、20℃にて撹拌しながら、三塩化リン148.5g(1.08モル)を4時間かけて追加した。その後、同温度(20℃)で1時間撹拌し、最終的に60℃まで昇温し、発生する塩化水素ガスを回収した(75.6g)。その後、約33kPaに達するまで徐々に減圧し、残存する塩化水素ガスを取り除くことにより、ネオペンチレンホスホロクロリダイト(原料1)を主成分とする溶液を得た。なお、溶剤として用いたトルエンは次工程でも使用するため、ここでは回収しなかった。
(原料2の合成)
次に、攪拌機、温度計、滴下装置および還流管を備えた2リットルの四つ口フラスコに、ジブチルホスファイト213.4g(1.1モル)、トリエチルアミン5.6g(0.06モル)および塩化マグネシウム1.9g(0.020モル)を充填した。この混合溶液を40℃にて撹拌しながら、アセトン70.2g(1.2モル)を1時間かけて追加した。さらに同温度(40℃)で1時間撹拌することにより、反応を完結させた。その後、得られた反応溶液を1%希塩酸水溶液、飽和炭酸ナトリウム水溶液にて順次洗浄し、さらに水洗を2回行って、トリエチルアミンおよび塩化マグネシウムを除去した。次いで、反応混合物を80℃まで昇温加熱しつつ、約2.7kPaの減圧下で水を回収した。さらに、同条件で窒素トッピングを行い、低沸分を除去し、ジブチル(1-ヒドロキシ-1-メチルエチル)ホスホネート(原料2)254.6gを得た。
得られた生成物の純度を、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したところ、99.0面積%であった(表2)。
(工程(1))
上記の反応終了後、原料2が残存する2リットルの四つ口フラスコに、トルエン22.5gおよびトリエチルアミン114.3g(1.13モル)を充填し、攪拌した。次いで、恒温装置により混合溶液を60℃に保持しつつ、滴下装置(追加漏斗)から原料1を含む混合溶液を2時間かけて追加した。その後、反応混合物を同温度(60℃)で1時間攪拌することにより反応を完結させた。
反応混合物に水209.1g(反応混合物に対して30重量%)を加え、同温度(60℃)で30分撹拌した後、静置して分相させた。水相を回収し、副生したトリエチルアミン塩酸塩を除去した。
(工程(2))
次いで、得られた反応溶液を20℃まで冷却し、トリエチルアミン3.0g(0.03モル)を加え、混合溶液をpH10とした。次いで、温度20〜40℃の範囲を外れないように、発熱に注意しながら滴下装置(追加漏斗)から35%過酸化水素水溶液104.9g(過酸化水素として1.08モル)を2時間かけて加えた。その後、40℃で1時間撹拌した。
その後、反応溶液を60℃まで加熱昇温し、1%希塩酸水溶液、飽和炭酸ナトリウム水溶液で順次洗浄し、最後に水洗を2回行った。次いで、反応混合物を100℃まで加熱しつつ、13.3kPaの減圧下で水とトルエンを回収した。さらに、100〜110℃で2.7kPaの減圧下で水蒸気トッピングおよび窒素トッピングを順次行い、低沸分を除去し、無色透明の液体390.3gを得た。
得られた生成物の純度を、次の条件でガスクロマトグラフィー(GC)により測定したところ、98.6面積%であった(表1)。
Figure 0004320344
また、GCと表2の数値から収率を算出したところ、96.2%であった(表1)。
得られた生成物の構造をIR、NMR、元素分析および吸光法によるP%により決定した。
IR(KBr):
2976,1469,1376,1306,1261,1213,1149,1056,1014,915,851,813,742,624cm-1
NMR:
1H−NMR(CDCl3;400MHz);δ4.26(2H,d,JHH=10Hz,POC 2C(CH32−),4.144(2H,t,JHH=7Hz,POC 2CH2CH2CH3),4.141(2H,t,JHH=7Hz,POC 2CH2CH2CH3),3.86(2H,dd,JHH=10Hz,JPH=23Hz,POC 2C(CH32−),1.80(3H,s,PC(C 32O),1.76(3H,s,PC(C 32O),1.69(4H,m,POCH2 2CH2CH3),1.43(4H,tq,JHH=7Hz,POCH2CH2 2CH3),1.29(3H,s,POCH2C(C 32−),0.96(6H,t,JHH=7Hz,POCH2CH2CH2 3),0.86(3H,s,POCH2C(C 32−)ppm
13C−NMR(CDCl3;100MHz);δ80.3(dd,1PC=179Hz,2PC=8Hz,P(CH32OP),77.7(d,2PC=7Hz,PO2C(CH32−),66.5(d,2PC=7Hz,PO2CH2CH2CH3),32.5(d,JPC=6Hz),31.9(d,3PC=5Hz,POCH2 (CH32−),23.3,21.7,20.1,18.6,13.4ppm
元素分析および吸光法によるP%:
C:47.9%,H:8.5%,P:15.5%
実施例2
(原料1の合成)
実施例1の(原料1の合成)と同様にして、ネオペンチレンホスホロクロリダイト(原料1)を主成分とする溶液を得た。
(原料3の合成)
攪拌機、温度計、滴下装置および還流管を備えた2リットルの四つ口フラスコに、ジブチルホスファイト213.4g(1.1モル)、トリエチルアミン5.6g(0.06モル)および塩化マグネシウム1.05g(0.011モル)を充填した。この混合溶液を25℃にて撹拌しながら、メチルイソブチルケトン(MIBK)120.0g(1.2モル)を1時間かけて追加した。さらに同温度(25℃)で1時間撹拌することにより、反応を完結させた。その後、実施例1の(原料(2)の合成)と同様にして、洗浄および低沸分除去を行い、トリエチルアミンおよび塩化マグネシウムが除去されたジブチル(1-ヒドロキシ-1,3-ジメチルブチル)ホスホネート(原料3)298.8gを得た。
実施例1と同様にして、得られた生成物の純度を測定したところ、98.4面積%であった(表2)。
(工程(1))
上記の反応終了後、原料3が残存する2リットルの四つ口フラスコに、トルエン22.5gおよびトリエチルアミン114.3g(1.13モル)を充填し、攪拌した。次いで、恒温装置により混合溶液を25℃に保持しつつ、滴下装置(追加漏斗)から原料1を含む混合溶液を2時間かけて追加した。その後、反応混合物を同温度(25℃)で1時間撹拌することにより反応を完結させた。
反応混合物を60℃まで昇温し、反応混合物に水222.3g(反応混合物に対して30重量%)を加え、同温度(60℃)で30分撹拌した後、静置して分相させた。水相を回収し、副生したトリエチルアミン塩酸塩を除去した。
(工程(2))
実施例1の(工程(2))と同様にして反応を行い、無色透明の液体433.0gを得た。
実施例1と同様にして、得られた生成物の純度を測定し、収率を算出したところ、それぞれ98.1面積%および96.1%であった(表1)。
得られた生成物の構造をIR、NMR、元素分析および吸光法によるP%により決定した。
IR(KBr):
2976,1469,1376,1306,1251,1152,1072,992,918,899,848,806,736,624cm-1
NMR:
1H−NMR(CDCl3;400MHz);δ4.41(2H,d,JHH=10Hz,POC 2C(CH32−),4.15(4H,m,POC 2CH2CH2CH3),3.84(2H,m,POC 2C(CH32−),2.12(1H,m,CH2(CH32),1.93(2H,dd,JHH=6Hz,3PH=14Hz,POC(C 2CH(CH32)−),1.84(3H,d,3PH=16Hz,POC(C 3)(CH2CH(CH32)P),1.68(4H,m,CH2),1.43(4H,m,CH2),1.28(3H,s,POCH2C(C 32−),1.07−0.92(12H,m,C 3),0.86(3H,s,POCH2C(C 32−)ppm
13C−NMR(CDCl3;100MHz);δ83.9(dd,1PC=173Hz,2PC=8Hz,P(CH3)(CH2CH(CH32)OP),77.9(d,2PC=7Hz,PO2C(CH32−),77.4(d,2PC=7Hz,PO2C(CH32−),66.7(d,2PC=7Hz,PO2CH2CH2CH3),66.2(d,2PC=8Hz,PO2CH2CH2CH3),45.9,32.6(d,JPC=6Hz),32.5(d,JPC=6Hz),31.9(d,3PC=5Hz,POCH2 (CH32),24.5,24.3,23.9(d,JPC=6Hz),21.9,21.7,20.2,18.7,13.5ppm
元素分析および吸光法によるP%:
C:51.5%,H:9.2%,P:13.9%
実施例3
(原料1の合成)
実施例1の(原料1の合成)と同様にして、ネオペンチレンホスホロクロリダイト(原料1)を主成分とする溶液を得た。
(原料4の合成)
アセトンの代わりにシクロヘキサノン117.6g(1.2モル)を用いること以外は、実施例1の(原料2の合成)と同様に合成を行って、ジブチル(1-ヒドロキシシクロヘキシル)ホスホネート(原料4)297.4gを得た。
実施例1と同様にして、得られた生成物の純度を測定したところ、98.2面積%であった(表2)。
(工程(1))および(工程(2))
上記の反応終了後、原料2の代わりに原料4を用いること以外は、実施例1と同様にして反応を行い、無色透明の液体432.8gを得た。
実施例1と同様にして、得られた生成物の純度を測定し、収率を算出したところ、それぞれ98.4面積%および96.8%であった(表1)。
得られた生成物の構造をIR、NMR、元素分析および吸光法によるP%により決定した。
IR(KBr):
2960,1469,1376,1309,1248,1152,1075,1008,922,896,883,848,816,784,726,659,618,582cm-1
NMR:
1H−NMR(CDCl3;400MHz);δ4.26(2H,d,JHH=10Hz,POC 2C(CH32−),4.14(2H,t,JHH=7Hz,POC 2CH2CH2CH3),4.12(2H,t,JHH=7Hz,POC 2CH2CH2CH3),3.84(2H,dd,JHH=10Hz,JPH=23Hz,POC 2C(CH32−),2.37(2H,m,cyclo−C 2),1.91(2H,m,cyclo−C 2),1.69(10H,m,CH2),1.41(4H,fq,JHH=7Hz,POCH2CH2 2CH3),1.28(3H,s,POCH2C(C 32−),0.95(6H,t,JHH=7Hz,POCH2CH2CH2 3),0.85(3H,s,POCH2C(C 32−)ppm
13C−NMR(CDCl3;100MHz);δ83.7(dd,1PC=171Hz,2PC=9Hz,POP),77.6(d,2PC=7Hz,PO2C(CH32−),66.5(d,2PC=7Hz,PO2CH2CH2CH3),32.6(d,3PC=6Hz,POCH2 2CH2CH3),31.9(d,3PC=6Hz,POCH2 (CH32−),31.3(d,m,cycloCH2),24.6,22.0,21.0,20.9,20.2,18.7,13.6ppm
元素分析および吸光法によるP%:
C:51.8%,H:8.8%,P:14.0%
実施例4
(原料1の合成)
実施例1の(原料1の合成)と同様にして、ネオペンチレンホスホロクロリダイト(原料1)を主成分とする溶液を得た。
(原料2の合成)
ジブチルホスファイト194.0g(1.0モル)、トリエチルアミン5.1g(0.05モル)、塩化マグネシウム1.7g(0.018モル)およびアセトン63.8g(1.1モル)を用いること、洗浄および低沸分除去を行わず、トリエチルアミンおよび塩化マグネシウムを除去しないこと以外は、実施例1の(原料2の合成)と同様にして合成を行い、ジブチル(1-ヒドロキシ-1-メチルエチル)ホスホネート(原料2)を主成分とする溶液264.6gを得た。
(工程(1)および工程(2))
実施例1と同様にして反応を行い、無色透明の液体393.0gを得た。
実施例1と同様にして、得られた生成物の純度を測定し、収率を算出したところ、それぞれ96.8面積%および95.1%であった(表1)。
また、実施例1で得られた生成物を用いて同定した。
実施例5(参考例)
(原料1の合成)
実施例1の(原料1の合成)と同様にして、ネオペンチレンホスホロクロリダイト(原料1)を主成分とする溶液を得た。
(原料5の合成)
ジブチルホスファイト194.0g(1.0モル)、トリエチルアミン5.1g(0.05モル)および塩化マグネシウム0.14g(0.0015モル)を用いること、アセトンの代わりにアセトアルデヒド48.4g(1.1モル)を用いること、洗浄および低沸分除去を行わず、トリエチルアミンおよび塩化マグネシウムを除去しないこと以外は、実施例1の(原料2の合成)と同様にして合成を行い、ジブチル(1-ヒドロキシエチル)ホスホネート(原料5)を主成分とする溶液を247.6g得た。
(工程(1)および工程(2))
原料2の代わりに原料5を用いること以外は、実施例1と同様にして反応を行い、無色透明の液体381.8gを得た。
実施例1と同様にして、得られた生成物の純度を測定し、収率を算出したところ、それぞれ96.1面積%および95.1%であった(表1)。
得られた生成物の構造をIR、NMR、元素分析および吸光法によるP%により決定した。
IR(KBr):
2976,1469,1376,1302,1248,1120,1056,1014,918,854,838,742,624cm-1
NMR:
1H−NMR(CDCl3;400MHz);δ4.56(1H,m,POC(CH3)P),4.26(2H,d,JHH=10Hz,POC 2C(CH32−),4.14(2H,t,JHH=7Hz,POC 2CH2CH2CH3),4.12(2H,t,JHH=7Hz,POC 2CH2CH2CH3),3.86(2H,dd,JHH=10Hz,JPH=23Hz,POC 2C(CH32−),1.98(3H,d,JHH=7Hz,POCH(C 3)P),1.43(4H,tq,JHH=7Hz,POCH2CH2 2CH3),1.29(3H,s,POCH2C(C 32−),0.98(6H,t,JHH=7Hz,POCH2CH2CH2 3),0.86(3H,s,POCH2C(C 32−)ppm
13C−NMR(CDCl3;100MHz);δ79.4(dd,1PC=180Hz,2PC=8Hz,PH(CH3)OP),77.7(d,2PC=7Hz,PO2C(CH32−),66.5(d,2PC=7Hz,PO2CH2CH2CH3),32.5(d,3PC=6Hz,POCH2 2CH2CH3),31.9(d,3PC=5Hz,POCH2 (CH32−),23.3,21.7,20.1,13.4ppm
元素分析および吸光法によるP%:
C:46.6%,H:7.8%,P:16.1%
比較例1
(原料6の合成)
攪拌機、温度計、滴下装置、塩酸回収装置および還流管を備えた1リットルの四つ口フラスコに、ネオペンチルグリコール117.5g(1.13モル)およびトルエン129.3g(ネオペンチルグリコールに対して110重量%)を充填した。この混合溶液を50℃にて撹拌しながら、オキシ塩化リン171.9g(1.12モル)を1時間かけて追加した。追加終了後、1時間かけて75℃まで昇温し反応させることで、発生する塩化水素ガスを回収した(70.9g)。その後、約33kPaに達するまで徐々に減圧し、残存する塩化水素ガスを取り除くことにより、ネオペンチレンホスホロクロリデート(原料6)を主成分とする溶液を得た。なお、溶剤として用いたトルエンは次の工程でも使用するため、ここでは回収しなかった。
(原料2の合成)
実施例4の(原料2の合成)と同様にして、ジブチル(1-ヒドロキシ-1-メチルエチル)
ホスホネート(原料2)を主成分とする溶液を得た。
上記の反応終了後、原料6を主成分とする溶液に、原料2を主成分とする溶液および塩化マグネシウム3.2g(0.03モル)を充填し、撹拌した。次いで、恒温装置により混合溶液を50℃に保持しつつ、滴下装置(追加漏斗)からトリエチルアミン113.1g(1.12モル)を2時間かけて追加した。その後、反応混合物を同温度(50℃)にて12時間撹拌した。
その後、2.5%希塩酸水溶液を加えて撹拌し、過剰のトリエチルアミンを中和処理してトリエチルアミンの塩酸塩として除去し、さらに水洗を行って残存する塩酸塩を除去した。次いで、飽和炭酸ナトリウム水溶液にて、副生したネオペンチレンピロホスフェートを分解処理し、さらに水洗を2回行って不純物を除去した。次いで、反応混合物を100℃まで加熱しつつ、13.3kPaの減圧下で水とトルエンを回収した。さらに、100〜110℃で2.7kPaの減圧下で、水蒸気トッピングおよび窒素トッピングを順次行い、低沸分を除去し、無色透明の液体275.3gを得た。
実施例1と同様にして、得られた生成物の純度を測定し、収率を算出したところ、それぞれ86.8面積%および59.7%であった(表1)。
また、実施例1で得られた生成物を用いて同定した。
比較例2
(原料6の合成)
比較例1の(原料6の合成)と同様にして、ネオペンチレンホスホロクロリデート(原料6)を主成分とする溶液を得た。
(原料5の合成)
実施例5の(原料5の合成)と同様にして、ジブチル(1-ヒドロキシエチル)ホスホネート(原料5)を主成分とする溶液を得た。
上記の反応終了後、原料6を主成分とする溶液に、原料5を主成分とする溶液および塩化マグネシウム1.2g(0.013モル)を充填し、攪拌した。次いで、恒温装置により混合溶液を40℃に保持しつつ、滴下装置(追加漏斗)からトリエチルアミン113.1g(1.12モル)を2時間かけて追加した。その後、反応混合物を同温度(40℃)にて4時間撹拌した。
その後、1.0%希塩酸水溶液を加えて攪拌し、過剰のトリエチルアミンを中和処理してトリエチルアミンの塩酸塩として除去し、さらに水洗を行って残存する塩酸塩を除去した。次いで、飽和炭酸ナトリウム水溶液にて、副生したネオペンチレンピロホスフェートを分解処理し、さらに水洗を2回行って不純物を除去した。次いで、反応混合物を100℃まで加熱しつつ、13.3kPaの減圧下で水とトルエンを回収した。さらに、100〜110℃で2.7kPaの減圧下で、水蒸気トッピングおよび窒素トッピングを順次行い、低沸分を除去し、茶褐色透明の液体342.4gを得た。
実施例1と同様にして、得られた生成物の純度を測定し、収率を算出したところ、それぞれ96.6面積%および85.7%であった(表1)。
また、実施例5で得られた生成物を用いて同定した。
比較例3
洗浄および低沸分除去を行ってトリエチルアミンと塩化マグネシウムを除去して精製した原料5を用いたこと、その精製された原料5と原料6を主成分とする溶液との反応時に塩化マグネシウムを用いなかったこと以外は、比較例2と同様にして反応を試みた。
しかし、反応終了後の溶液をGCにて分析したところ、目的物は生成しておらず、ネオペンチレンピロホスフェートの副生のみで、反応は進行しなかった。
比較例4(英国特許第941706号明細書、実施例57の類似反応)
攪拌機、温度計、滴下装置および還流管を備えた1リットルの四つ口フラスコに、トリブチルホスファイト(東京化成工業株式会社製)250.0g(1.0モル)および原料1を主成分とする溶液を精製して得られたネオペンチレンホスホロクロリダイト168.5g(1.0モル)を充填し、攪拌した。次いで、恒温装置により混合溶液を10℃に保持しつつ、滴下装置(追加漏斗)からアセトン58.0g(1.0モル)を1時間かけて追加した。
追加終了後の反応混合物、およびさらに70℃まで昇温し、同温度(70℃)で1時間保持させた後の反応混合物をGCにて分析したところ、目的化合物が全く生成していないことがわかり、目的化合物は得られないものと判断した。
比較例5(英国特許第941706号明細書、実施例57の類似反応の改良法)
攪拌機、温度計、滴下装置および還流管を備えた1リットルの四つ口フラスコに、トリブチルホスファイト(東京化成工業株式会社製)250.0g(1.0モル)および原料1を主成分とする溶液を精製して得られたネオペンチレンホスホロクロリダイト168.5g(1.0モル)を充填し、攪拌した。次いで、恒温装置により混合溶液を10℃に保持しつつ、滴下装置(追加漏斗)からアセトン58.0g(1.0モル)およびトリエチルアミン101.0g(1.0モル)の混合溶液を1時間かけて追加した。
追加終了後の反応混合物、およびさらに70℃まで昇温し、同温度(70℃)で1時間
保持させた後の反応混合物をGCにて分析したところ、不明成分が約10%程度生成し、ほとんどが原料のまま残存していることがわかり、目的化合物は得られないものと判断した。
Figure 0004320344
Figure 0004320344
表1の結果から、アルコール性ヒドロキシ基を有するホスホネートとジ置換ホスホロハリダイトを、窒素含有塩基性化合物の存在下で脱ハロゲン化水素反応に付し、得られた反応生成物を酸化することにより、塩化マグネシウムのような触媒を必要とすることなしに高純度かつ高収率でホスフェート−ホスホネートを合成できることがわかる(実施例1〜5)。
特に、原料として、反応性の低い3級アルコール(実施例1)や立体的に障害があり、さらに反応性の低いことが予想される3級アルコール(実施例2および3)を用いた場合でも、それらの反応性が良好で、高純度かつ高収率でホスフェート−ホスホネートを合成できることがわかる。
また、工程(1)の反応において未精製品の原料を用いた場合でも、高純度かつ高収率でホスフェート−ホスホネートを合成できることがわかる(実施例4および5)。
さらに、原料として、ジブチル(ヒドロキシメチル)ホスホネートのような1級アルコールを用いた場合でも、当然のことながら上記と同様の効果が得られる。
一方、原料として、3価のリン化合物(ジ置換ホスホロハリダイト)の代わりに5価のリン化合物を用いた場合(比較例1および2)は、酸化反応が不要であり、反応工程数が少なくなるという利点を有しているが、実施例1〜5と比較して、純度および収率のいずれにおいても劣っている。
比較例1および2では、次式で示されるネオペンチレンピロホスフェートが副生する。
この化合物は、水蒸気トッピングや窒素トッピングにより目的化合物から除去することができず、アルカリを用いた加水分解によってのみ除去することができる。しかしながら、この加水分解では目的化合物もいくらか分解を起こすために、収率が低下してしまう。
Figure 0004320344
3価のリン化合物の代わりに5価のリン化合物を用い、窒素含有塩基性化合物としてトリエチルアミンのみを使用し、触媒として塩化マグネシウムを使用しなかった場合(比較例3)には、反応が全く進行しなかった。
このことから、原料として5価のリン化合物を用いる場合には、触媒として塩化マグネシウムを使用せざるを得ず、しかも比較例1および2と同様に、副生成物が発生して収率が低下することがわかる。
英国特許第941706号明細書に記載の合成法およびその改良法(比較例4および5)は、原料となるアルコール性ヒドロキシ基を有するホスホネートの合成と工程(1)とを1工程に省略できる効率のよい方法であり、触媒が不要という利点を有しているが、試験では目的化合物を得ることができなかった。
比較例4では、反応雰囲気が強酸性下であり、仮に目的化合物が生成されたとしても直ちに分解してしまうことが想定される。このため、比較例5では、トリエチルアミンを用いて反応雰囲気を塩基性下として目的化合物の分解を阻止しようと試みたが、比較例4と同様に、不明成分が得られただけで目的化合物を得ることができなかった。
本発明は、2004年11月2日に出願された日本特許出願、第2004−319529に関し、これを優先権主張して出願するものであり、この内容を参照としてここに入れる。

Claims (10)

  1. 一般式(II):
    Figure 0004320344
    (式中、R1およびR2は、互いに同一または異なって、直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であるか、またはR1とR2はそれらが結合する酸素原子およびリン原子と一緒になって環状構造を形成し、R3およびR4は、互いに同一または異なって、直鎖状もしくは分岐状のアルキル基またはアリール基であるか、またはR3とR4はそれらが結合する炭素原子と一緒になって環状構造を形成する)
    で表されるアルコール性ヒドロキシ基を有するホスホネートと、一般式(III):
    Figure 0004320344
    (式中、R5およびR6は、互いに同一または異なって、直鎖状もしくは分岐状のアルキル基でありかつ5とR6はそれらが結合する酸素原子およびリン原子と一緒になって環状構造を形成し、Xはハロゲン原子である)
    で表されるジ置換ホスホロハリダイトとを、窒素含有塩基性化合物の存在下で脱ハロゲン化水素反応に付して、一般式(I’)
    Figure 0004320344
    (式中、R1、R2、R3、R4、R5およびR6は、上記と同じ意味を有する)
    で表される反応生成物を得、次いで、反応生成物(I’)を酸化して、一般式(I):
    Figure 0004320344
    (式中、R1、R2、R3、R4、R5およびR6は、上記と同じ意味を有する)
    で表されるホスフェート−ホスホネート結合を有するリン化合物を得ることを特徴とするリン化合物の製造方法。
  2. 窒素含有塩基性化合物が、脂肪族第3級アミンである請求項1に記載のリン化合物の製造方法。
  3. 脂肪族第3級アミンが、トリエチルアミンである請求項2に記載のリン化合物の製造方法。
  4. ホスホネート(II)のR1とR2が一緒になって環状構造を形成する請求項1〜3のいずれか1つに記載のリン化合物の製造方法。
  5. ホスホネート(II)が、式(IV):
    Figure 0004320344
    (式中、R3およびR4は上記と同じ意味を有する)
    で表される化合物、R1およびR2が共にn-ブチル基である化合物およびR1およびR2が共に2-エチルヘキシル基である化合物から選択される請求項4に記載のリン化合物の製造方法。
  6. ジ置換ホスホロハリダイト(III)が、式(V):
    Figure 0004320344
    (式中、Xはハロゲン原子である)
    で表される請求項4に記載のリン化合物の製造方法。
  7. ホスホネート(II)のR3およびR4に含まれる炭素原子数がそれぞれ1以上であり、かつR3およびR4に含まれる炭素原子数の和が2〜12である請求項1〜6のいずれか1つに記載のリン化合物の製造方法。
  8. ホスホネート(II)のR3およびR4、メチル基とメチル基、メチル基とエチル基、メチル基とイソブチル基、フェニル基とメチル基、フェニル基とフェニル基の組み合わせ、およびR3およびR4がそれらが結合する炭素原子と一緒になって6員環を形成する連結基から選択される請求項1〜6のいずれか1つに記載のリン化合物の製造方法。
  9. 窒素含有塩基性化合物の使用量が、ジ置換ホスホロハリダイト(III)1モルに対して1.0〜1.2モルである請求項1〜のいずれか1つに記載のリン化合物の製造方法。
  10. 反応生成物(I’)1モルに対して1.0〜1.5モルの過酸化水素を用いて反応生成物(I’)を酸化する請求項1〜のいずれか1つに記載のリン化合物の製造方法。
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