JP4320000B2 - 光情報記録媒体用半透過反射膜と反射膜、および光情報記録媒体ならびにスパッタリングターゲット - Google Patents

光情報記録媒体用半透過反射膜と反射膜、および光情報記録媒体ならびにスパッタリングターゲット Download PDF

Info

Publication number
JP4320000B2
JP4320000B2 JP2005113620A JP2005113620A JP4320000B2 JP 4320000 B2 JP4320000 B2 JP 4320000B2 JP 2005113620 A JP2005113620 A JP 2005113620A JP 2005113620 A JP2005113620 A JP 2005113620A JP 4320000 B2 JP4320000 B2 JP 4320000B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
sample
reflective film
based alloy
information recording
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2005113620A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005332557A (ja
Inventor
勝寿 高木
淳一 中井
裕基 田内
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kobe Steel Ltd filed Critical Kobe Steel Ltd
Priority to JP2005113620A priority Critical patent/JP4320000B2/ja
Publication of JP2005332557A publication Critical patent/JP2005332557A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4320000B2 publication Critical patent/JP4320000B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Physical Vapour Deposition (AREA)
  • Optical Record Carriers And Manufacture Thereof (AREA)
  • Manufacturing Optical Record Carriers (AREA)

Description

本発明は、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、Blu-ray Disc、High Definition DVD等の光情報記録媒体の分野において、高耐凝集性、高耐光性、高耐熱性を有し、なおかつ高反射率、高透過率、低吸収率、高熱伝導率も有する光情報記録媒体用半透過反射膜と反射膜、およびそれらの半透過反射膜または反射膜の成膜に使用される光情報記録媒体用スパッタリングターゲット、ならびにそれらの半透過反射膜または反射膜を備える光情報記録媒体に関するものである。
光情報記録媒体(光ディスク)にはいくつかの種類があり、記録再生方式から読出専用型、追記型、書換型の三種類に大別される。また、一般的な片面一層の光ディスクに対して、大記録容量化の観点から開発された片面多層の光ディスクもある。例えば、片面二層光ディスクの場合、レーザー光の入射に遠い側の記録層で信号の記録や再生を行うには、レーザー光を入射に近い側の記録層を透過させ、遠い側の記録層で反射させ、再び近い側の記録層を透過させる必要がある。したがって、レーザー光の入射に近い側の記録層にはレーザー光を反射させ、また透過させることも可能な半透過反射膜が使用される。
半透過反射膜として機能する材料には、Ag、Al、Au、Pt、Rh、Cr等の金属や、Si、Ge等の単元素半導体が挙げられる。これらの材料の中でも、(1)光の効率(=反射率+透過率)が高く、(2)Blu-ray DiscやHD-DVDで使用される青紫色レーザー(波長:405 nm)に対して高反射率を示し、(3)信号記録時に記録膜から発せられる熱を適切に熱拡散させるための高熱伝導率を示す、純AgあるいはAgを主成分とするAg合金が注目されている。このAg系の材料は、光ディスクの半透過反射膜として優れた性能、つまり高反射率、高透過率、低吸収率(吸収率=100%?(反射率+透過率))、高熱伝導率を有するものではあるが、長期信頼性が得られる光ディスクの半透過反射膜として機能するには、Ag系材料の課題である〔1〕耐凝集性、〔2〕耐光性、〔3〕耐熱性を改善する必要がある。
〔課題1〕耐凝集性:Ag系の材料は熱やハロゲン(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素など)の影響を受けて凝集しやすく、光ディスクの信頼性試験が行われる高温高湿環境下、あるいはハロゲンを含む有機材料(有機色素記録膜、保護層、接着剤層)と積層される状態に保持されると、凝集に伴う薄膜の表面粗度増加や不連続膜化が起こり、半透過反射膜や反射膜としての機能が劣化する問題がある。
〔課題2〕耐光性:例えば、片面二層の再生専用型光ディスクは、基本的にポリカーボネート(PC)基板/半透過反射膜/接着剤層/全反射膜/PC基板の断面構造からなる。この光ディスクに対して耐光性試験と称するXeランプ(太陽光に似たスペクトルのランプ)の照射を行うと、半透過反射膜がAg系材料の場合に限って反射率の低下が起こり、再生信号を検出可能な反射率の下限を下回った時点で、信号を再生することが不可能となる問題がある。
〔課題3〕耐熱性:例えば、片面二層の追記型光ディスクは、基本的にPC基板/記録膜/半透過反射膜/スペーサー/記録膜/全反射膜/PC基板の断面構造からなり、また片面二層の書換型光ディスクは、基本的にPC基板/誘電体保護膜/界面層/記録膜/界面層/誘電体保護膜/半透過反射膜/中間層/ 誘電体保護膜/界面層/記録膜/界面層/誘電体保護膜/全反射膜/PC基板の断面構造からなる。これら追記型や書換型を含む記録型光ディスクでは、信号記録時に記録膜が300〜600 ℃まで昇温されるため、半透過反射膜や反射膜が受ける熱負荷は非常に厳しく、熱負荷の影響で起こる薄膜の結晶粒成長や不連続膜化が、半透過反射膜や反射膜としての機能を劣化させる問題がある。
これまでに、純Agの改善(主に合金化の)例として、次のようなものが報告されている。例えば、特許文献1などではAgにAu、Pd、Cu、Rh、Ru、Os、Ir、Ptを添加することによって、あるいは特許文献2及び特許文献3などではAgにAu、Pd、Cu、Rh、Ru、Os、Ir、Be、Ptを添加することによって、さらには特許文献4及び特許文献5などではAgにPd、Cuを添加することによ
って、耐腐食性を改善させる方法が提示されている。また、本発明者らが特許文献6において、AgにNdを添加することにより組織安定性(Agの拡散が抑制され、結晶粒成長が抑制されるという意味での組織安定性)を改善させる方法を提示している。
しかしながら、高反射率、高透過率、低吸収率、高熱伝導率を有しつつも、高耐凝集性、高耐光性、高耐熱性をも有するAg基合金は見出されておらず、これら全ての要求特性を兼ね備えるAg基合金が強く求められている。
米国特許6007889号明細書 米国特許6280811号明細書 特表2002-518596号公報 米国特許5948497号明細書 特開平6-208732号公報 特許第3365762号公報
本発明は以上のような状況に鑑みてなされたもので、その目的は、純Agや従来のAg合金が満たし得ない高耐凝集性、高耐光性、高耐熱性と高反射率、高透過率、低吸収率、高熱伝導率とを兼ね備えるAg基合金を見出すことにより、優れた記録再生特性と長期信頼性が得られる光情報記録媒体用半透過反射膜と反射膜、およびそれらの反射膜または半透過反射膜の成膜に使用される光情報記録媒体用スパッタリングターゲット、ならびにそれらの反射膜または半透過反射膜を備える光情報記録媒体を提供することにある。
請求項1の発明は、Biを0.005〜0.40%(以下、特記しない限り原子%を表す)含有すると共に、Al、Ga、Si、Geから選ばれる少なくとも1種を合計で0.05〜5%含有するAg基合金であることを特徴とする光情報記録媒体用Ag基合金半透過反射膜または反射膜である。
請求項2の発明は、上記Ag基合金半透過反射膜または反射膜において、Biが膜表面および/または膜裏面に濃化した膜構造である請求項1に記載の光情報記録媒体用Ag基合金半透過反射膜または反射膜である。
請求項3の発明は、上記Ag基合金半透過反射膜または反射膜において、Al、Ga、Si、Geから選ばれる少なくとも1種が膜表面および/または膜裏面に濃化した膜構造であることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の光情報記録媒体用Ag基合金半透過反射膜または反射膜である。
請求項4の発明は、上記Ag基合金が、更に希土類金属元素の少なくとも1種を含有するものである請求項1〜3のいずれかに記載の光情報記録媒体用Ag基合金半透過反射膜または反射膜である。
請求項5の発明は、上記希土類金属元素としてNdおよび/またはYを合計で0.1〜2%含有するものである請求項4に記載の光情報記録用Ag基合金半透過反射膜または反射膜である。
請求項6の発明は、上記Ag基合金が、更にCu、Au、Rh、Pd、Ptから選ばれる少なくとも1種を合計で0.1〜3%含有するものである請求項1〜5のいずれかに記載の光情報記録媒体用Ag基合金半透過反射膜または反射膜である。
請求項7の発明は、 請求項1〜6のいずれかに記載のAg基合金半透過反射膜を備えることを特徴とする光情報記録媒体である。
請求項8の発明は、請求項1〜6のいずれかに記載のAg基合金反射膜を備えることを特徴とする光情報記録媒体である。
請求項9の発明は、Biを0.05〜4.5%含有すると共に、Al、Ga、Si、Geから選ばれる少なくとも1種を合計で0.05〜5%含有するAg基合金であることを特徴とするAg基合金スパッタリングターゲットである。
請求項10の発明は、上記Ag基合金が、更に希土類金属元素の少なくとも1種を含有するものである請求項9に記載のAg基合金スパッタリングターゲットである。
請求項11の発明は、上記希土類金属元素としてNdおよび/またはYを合計で0.1〜2%含有するものである請求項10に記載のAg基合金スパッタリングターゲットである。
請求項12の発明は、上記Ag基合金が、更にCu、Au、Rh、Pd、Ptから選ばれる少なくとも1種を合計で0.1〜3%含有するものである請求項9〜11に記載のAg基合金スパッタリングターゲットである。
本発明の光情報記録媒体用半透過反射膜と反射膜は、前述のように高耐凝集性、高耐光性、高耐熱性と高反射率、高透過率、低吸収率、高熱伝導率とを兼ね備えるため、光情報記録媒体の記録再生特性と長期信頼性を格段に高めることが可能となる。また、本発明のスパッタリングターゲットは、前述の半透過反射膜あるいは反射膜の成膜に好適に使用され、これを用いて成膜された半透過反射膜や反射膜は合金組成と合金元素分布と膜厚膜面内均一性に優れ、かつ不純物成分の含有量が少ないため、半透過反射膜または反射膜としての高性能が良好に発揮され、記録再生特性と長期信頼性に優れた光情報記録媒体が生産可能となる。そして、本発明の光情報記録媒体は、記録再生特性と長期信頼性を格段に高めることが可能となる。
本発明者らは、前述したような課題の下で、高耐凝集性、高耐光性、高耐熱性と高反射率、高透過率、低吸収率、高熱伝導率とを兼ね備える光情報記録媒体用Ag基合金半透過反射膜と反射膜を提供するべく、鋭意研究を重ねてきた。すなわち、種々のAg基合金スパッタリングターゲットを使用し、スパッタリング法によって種々の合金組成からなるAg基合金薄膜を成膜し、これらの膜組成、膜構造、耐凝集性、耐光性、耐熱性、反射率、透過率、吸収率、熱伝導率を評価した。その結果、Biを0.005〜0.40%含有し、さらにZn、Al、Ga、In、Si、Ge、Snから選ばれる少なくとも1種を合計で0.05〜5%含有する光情報記録媒体用Ag基合金半透過反射膜および反射膜は、これらの合金元素が膜表面および/または膜裏面に濃化した膜構造となるため、純Agや従来のAg合金を凌駕する優れた耐凝集性、耐光性、耐熱性と高反射率、高透過率、低吸収率、高熱伝導率とを兼ね備えることを見出し、本発明を完成した。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明者らは、Biを含有し、さらにZn、Al、Ga、In、Si、Ge、Snから選ばれる少なくとも1種を含有するAg基合金薄膜は、薄膜の形成過程において、これらの合金元素が膜表面および/または膜裏面へ拡散することにより、膜表面および/または膜裏面に合金元素が濃化する膜構造となることを明らかにした。これらの合金元素が膜表面および/または膜裏面に濃化するのは、Bi、Zn、Al、Ga、In、Si、Ge、SnのいずれもAg中の拡散速度が速く、Agと化合しにくい(Agと分離しやすい)ことによるものと考えられる。これらの中でもBiは融点が低く、蒸気圧が高いことから、熱的に活性化される成膜基板上で再蒸発する挙動を、また熱的に活性化されることで膜表面および/または膜裏面へ拡散する挙動を示す。このBiの挙動がZn、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn本来の膜表面および/または膜裏面への拡散をより促進し、BiとZn、Al、Ga、In、Si、Ge、Snとの組み合わせによる複合添加効果によって特有の膜構造の形成がより顕著になり、Biと他の合金元素との組み合わせでは得られない複合添加効果であることも明らかにした。このような特有の膜構造を形成することによって、前述のAg系材料の課題:耐凝集性、耐光性、耐熱性が改善される理由を、以下で説明する。
〔課題1〕耐凝集性:Ag系材料の熱起因の凝集は、高温下におけるAgの表面拡散により起こるものであるため、本発明のAg基合金薄膜のように膜表面および/または膜裏面の上記合金元素の濃化層の存在によってAgの表面拡散が抑制され、耐凝集性が改善される。また、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素など)起因の凝集は、ハロゲンが存在する環境において、まず膜表面および/または膜裏面へのハロゲンの吸着、次にハロゲン化Agの生成、そしてハロゲン化Agの生成を起点とするAgの凝集、という順序で起こるものであるが、膜表面および/または膜裏面の合金元素濃化層が、膜表面および/または膜裏面へのハロゲンの吸着を遮断し、その後のハロゲン化Ag生成とAg凝集を抑制することで、耐凝集性が改善される。
〔課題2〕耐光性:例えば、PC基板/半透過反射膜/接着剤層/全反射膜/ PC基板を基本断面構造とする片面二層の再生専用型光ディスクにおいて、半透過反射膜がAg系材料の場合に限り起こる、Xeランプ(太陽光に似たスペクトルのランプ)照射による反射率の低下は、Ag系半透過反射膜を構成するAg原子が隣接するPC基板および/または接着剤層へ拡散・浸透することにより生じる現象である。本発明のAg基合金薄膜のように膜表面および/または膜裏面に前記合金元素の濃化層が存在すると、Ag系半透過反射膜とPC基板や接着剤層との直接接触が絶たれ、Ag原子の拡散・浸透が抑制されることで、Xeランプ照射を行っても反射率の低下は起こらず、つまり耐光性が改善される。
〔課題3〕耐熱性:信号記録時に記録膜が300〜600 ℃まで昇温されるため、受ける熱負荷が非常に厳しい片面多層の記録型(追記型、書換型)光ディスクの半透過反射膜についても、本発明のAg基合金薄膜のように膜表面および/または膜裏面の前記合金元素による濃化層の存在によってAgの拡散が抑制され、結晶粒成長や不連続膜化が抑えられ、つまり耐熱性が改善される。
また、本発明のAg基合金薄膜は、膜表面および/または膜裏面に合金元素の濃化層があり、膜全体は合金元素量の比較的少ない、純Agに近い組成の膜構造となるものであり、薄膜の大半を占め、光学特性と熱特性を機能する部分が純Agに近い組成となることから、高反射率、高透過率、低吸収率、高熱伝導率を発揮することになる。
本発明のAg基合金薄膜は特有の膜構造からなり、膜表面および/または膜裏面の合金元素濃化層が高耐凝集性、高耐光性、高耐熱性の発現に寄与し、また膜の大半を占める純Agに近い組成の部分が高反射率、高透過率、低吸収率、高熱伝導率の発現に寄与することから、光情報記録媒体の半透過反射膜および反射膜として優れた性能を発揮することになる。
本発明の光情報記録媒体用Ag基合金半透過反射膜および反射膜は、Biを0.005〜0.40%含有し、さらにZn、Al、Ga、In、Si、Ge、Snから選ばれる少なくとも1種を合計で0.05〜5%含有するところに特徴を有する。Bi、Zn、AlGa、In、Si、Ge、Snの添加は、その添加量の増加にともなって、より明確な耐凝集性、耐光性、耐熱性向上効果が得られるものの、反射率・透過率・熱伝導率の低下と、吸収率の増加を引き起こす。したがって、本発明ではBiの含有量を0.005〜0.40%、Zn、Al、Ga、In、Si、Ge、Snから選ばれる少なくとも1種の総含有量を0.05〜5%とする。Biの含有量が0.005%未満の場合は高耐凝集性、高耐光性、高耐熱性が得られないため好ましくなく、一方、Biの含有量が0.40%を超える場合は高反射率、高透過率、低吸収率、高熱伝導率が得られないため好ましくない。したがって、Biの好ましい含有量は0.005〜0.40%、より好ましい含有量は0.01〜0.3%、より一層好ましい含有量は0.05〜0.2%である。また、Zn、Al、Ga、In、Si、Ge、Snから選ばれる少なくとも1種の総含有量が0.05%未満の場合は高耐凝集性、高耐光性、高耐熱性が得られないため好ましくなく、一方、Zn、Al、Ga、In、Si、Ge、Snから選ばれる少なくとも1種の総含有量が5%を超える場合は高反射率、高透過率、低吸収率、高熱伝導率が得られないため好ましくない。したがって、Zn、Al、Ga、In、Si、Ge、Snから選ばれる少なくとも1種の好ましい総含有量は0.05〜5%、より好ましい総含有量は0.1〜4%、より一層好ましい総含有量は0.2〜3%で、最も好ましくは1〜3%である。
本発明の光情報記録媒体用Ag基合金半透過反射膜および反射膜に、耐凝集性と耐熱性をさらに向上させる目的で、希土類金属元素、特にNdおよび/またはYを含有させることも有効である。希土類元素、特にNdおよび/またはYの総含有量について、0.1%未満の場合は耐凝集性と耐熱性のさらなる向上効果がおよび得られず、2%を超える場合は高反射率、高透過率、低吸収率、高熱伝導率が得られないため、総含有量を0.1〜2%とし、好ましくは0.2〜1%、より好ましくは0.3〜0.5%とする。なお、本発明において希土類金属元素とは、Yおよび周期律表でランタン系と称されるLaからLuまでの元素をさす。中でもY、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Gd、Tb、Dyの使用が好ましく、特に好ましいのが前記の通りNdおよびYである。
また、本発明の光情報記録媒体用Ag基合金半透過反射膜および反射膜に、耐食性をさらに向上させる目的で、Cu、Au、Rh、Pd、Ptから選ばれる少なくとも1種を含有させることも有効である。Cu、Au、Rh、Pd、Ptから選ばれる少なくとも1種の総含有量について、0.1%未満の場合は耐食性のさらなる向上効果が得られず、3%を超える場合は高反射率、高透過率、低吸収率、高熱伝導率が得られないため、総含有量を0.1〜3%とし、好ましくは0.2〜2%、より好ましくは0.3〜1%とする。
なお、本発明の光情報記録媒体用Ag基合金半透過反射膜とは、レーザー光の入射方向に対して片面多層光ディスクで最も奥の記録層以外の記録層において透過と反射を機能させる薄膜のことで、透過率はおおよそ45〜80 %、反射率はおおよそ5〜30 %である。また、その膜厚は、これらの透過率と反射率を満たす範囲で適宜決定すればよいが、標準的には5〜25 nmとすればよい。
また、本発明の光情報記録媒体用Ag基合金反射膜とは、片面単層光ディスクの反射膜、もしくはレーザー光の入射方向に対して片面多層光ディスクで最も奥の記録層における反射膜のことで、反射率はおおよそ50 %以上、透過率はほぼ0 %である。また、その膜厚は、これらの反射率と透過率を満たす範囲で適宜決定すればよいが、標準的には50〜250 nmとすればよい。
本発明の光情報記録媒体用Ag基合金半透過反射膜と反射膜は、前述したAg基合金を真空蒸着法やイオンプレーティング法やスパッタリング法などの各種薄膜形成方法によって成膜基板上に成膜することで得られるが、これらの薄膜形成方法の中でもスパッタリング法によって成膜されたものが推奨される。スパッタリング法によって成膜されたAg基合金半透過反射膜とAg基合金反射膜は、他の薄膜形成方法によって成膜されたものに比較して、合金組成と合金元素分布と膜厚の膜面内均一性に優れており、半透過反射膜および反射膜として優れた性能(高反射率、高透過率、低吸収率、高熱伝導率、高耐凝集性、高耐光性、高耐熱性)が良好に発揮され、記録再生特性と長期信頼性に優れた光情報記録媒体が生産可能となる。
スパッタリングの際には、スパッタリングターゲット(以下、単に「ターゲット」ともいう。)として、Bi:0.05〜4.5%含有すると共に、Zn、Al、Ga、In、Si、Ge、Snから選ばれる少なくとも1種を合計で0.05〜5%含有するAg基合金を用いることにより、所望の化学組成の反射膜を得ることができる。
ここで、ターゲット中のBiの含有量を光反射膜中のBiの含有量より高くする理由は以下のとおりである。すなわち、Biを含むAg基合金からなるターゲットを用いてスパッタリング法により光反射膜を形成する際、光反射膜中のBi含有量はターゲット中のBi含有量の数%〜数十%に低下することが認められる。この原因としては、AgとBiの融点の差が大きいために成膜中に基板上からBiが再蒸発すること、Agのスパッタ率がBiのスパッタ率に比べ
て大きいためにBiがスパッタされにくいこと、BiがAgに比べて酸化されやすいためにターゲット表面でBiのみが酸化されてスパッタされないこと、などが考えられる。このように光反射膜中の元素含有量がターゲット中の元素含有量から大幅に低下する現象は、Ag−希土類金属合金など他のAg基合金ではみられない現象である。このため、ターゲット中のBi含有量は目標とする光反射膜中のBi含有量より高くする必要があるのである。
また、反射膜中に、更に希土類金属元素、特にNdおよび/またはYを含有させようとする場合やCu、Au、Rh、Pd、Ptから選ばれる少なくとも1種を含有させようとする場合には、ターゲット中にこれらの元素を添加しておけばよい。希土類元素、特にNdおよび/またはYの総含有量については、0.1〜2%とし、好ましくは0.2〜1%、より好ましくは0.3〜0.5%とする。Cu、Au、Rh、Pd、Ptから選ばれる少なくとも1種の総含有量については、 0.1〜3%とし、好ましくは0.2〜2%、より好ましくは0.3〜1%とする。
本発明のAg基合金スパッタリングターゲットは、溶解・鋳造法や粉末焼結法やスプレイフォーミング法などのいずれの方法によっても製造できるが、これらの製造方法の中でも特に真空溶解・鋳造法によって製造されたものが推奨される。真空溶解・鋳造法によって製造されたAg基合金スパッタリングターゲットは、他の方法によって製造されたものに比較して窒素や酸素などの不純物成分の含有量が少なく、このスパッタリングターゲットを使用して成膜された半透明反射膜や反射膜では優れた特性(高反射率、高透過率、低吸収率、高熱伝導率、高耐凝集性、高耐光性、高耐熱性)が効果的に引き出され、記録再生特性と長期信頼性に優れた光情報記録媒体が生産可能となる。
本発明の光記録媒体は、本発明のAg基合金半透過反射膜またはAg基合金反射膜を備えていればよく、その他の光情報記録媒体としての構成は特に限定されず、光情報記録媒体分野において公知のあらゆる構成を採用することができる。例えば、前述のAg基合金からなる半透過反射膜または反射膜は、高反射率、高透過率、低吸収率、高熱伝導率、高耐凝集性、高耐光性、高耐熱性を有しているため、現在の読出専用型、追記型、書換型光情報記録媒体に好適に使用することができるのはもちろんのこと、次世代大記録容量光情報記録媒体にも好適に用いることができる。
(実施例)
実験例によって本発明をさらに詳述するが、以下の実験例は本発明を制限するものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施することは、全て本発明の技術範囲に包含される。
(1)薄膜の成膜
純Agスパッタリングターゲット(サイズφ101.6mm×t5mm)、純Agスパッタリングターゲット上に合金元素(Bi、Zn、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn)のチップ(サイズ5mm×5mm×t1mm)所定数を配置した複合スパッタリングターゲット(サイズφ101.6mm×t5mm)、Ag合金スパッタリングターゲット(サイズφ101.6mm×t5mm)のいずれかを用い、島津製作所製スパッタリング装置HSM-552を使用し、DCマグネトロンスパッタリング法(背圧:0.27×
10-3 Pa以下、Arガス圧:0.27 Pa、Arガス流量:30 sccm、スパッタパワー:DC 200 W、極間距離:52 mm、基板温度:室温)によって、ポリカーボネート基板(直径:50mm、厚さ:1.0mm)上に膜厚15nm(半透過反射膜)または100nm(反射膜)のAg(試料番号1)、Ag-Bi(試料番号2〜5)、Ag-Sn(試料番号6)、Ag-Bi-Sn(試料番号7〜11)、Ag-Si(試料番号12)、Ag-Bi-Si(試料番号13〜17)、Ag-In(試料番号18)、Ag-Bi-In(試料番号19〜23)、Ag-Ga(試料番号24)、Ag-Bi-Ga(試料番号25〜29)、Ag-Ge(試料番号30)、Ag-Bi-Ge(試料番号31〜35)、Ag-Al(試料番号36)、Ag-Bi-Al(試料番号37〜41)、Ag-Zn(試料番号42)、Ag-Bi-Zn(試料番号43〜47)、Ag-Bi-Sn-Nd(試料番号48)、Ag-Bi-Sn-Y(試料番号49)、Ag-Bi-Sn-Cu(試料番号50)、Ag-Bi-Sn-Au(試料番号51)、Ag-Bi-Sn-Nd-Cu(試料番号52)、Ag-Bi-Sn-Nd-Au(試料番号53)、Ag-Bi-Sn-Y-Cu(試料番号54)、Ag-Bi-Sn-Y-Au(試料番号55)、Ag-Bi-Si-Nd(試料番号56)、Ag-Bi-Si-Y(試料番号57)、Ag-Bi-Si-Cu(試料番号58)、Ag-Bi-Si-Au(試料番号59)、Ag-Bi-Si-Nd-Cu(試料番号60)、Ag-Bi-Si-Nd-Au(試料番号61)、Ag-Bi-Si-Y-Cu(試料番号62)、Ag-Bi-Si-Y-Au(試料番号63)、Ag-Bi-In-Nd(試料番号64)、Ag-Bi-In-Y(試料番号65)、Ag-Bi-In-Cu(試料番号66)、Ag-Bi-In-Au(試料番号67)、Ag-Bi-In-Nd-Cu(試料番号68)、Ag-Bi-In-Nd-Au(試料番号69)、Ag-Bi-In-Y-Cu(試料番号70)、Ag-Bi-In-Y-Au(試料番号71)、Ag-Bi-Ga-Nd(試料番号72)、Ag-Bi-Ga-Y(試料番号73)、Ag-Bi-Ga-Cu(試料番号74)、Ag-Bi-Ga-Au(試料番号75)、Ag-Bi-Ga-Nd-Cu(試料番号76)、Ag-Bi-Ga-Nd-Au(試料番号77)、Ag-Bi-Ga-Y-Cu(試料番号78)、Ag-Bi-Ga-Y-Au(試料番号79)、Ag-Bi-Ge-Nd(試料番号80)、Ag-Bi-Ge-Y(試料番号81)、Ag-Bi-Ge-Cu(試料番号82)、Ag-Bi-Ge-Au(試料番号83)、Ag-Bi-Ge-Nd-Cu(試料番号84)、Ag-Bi-Ge-Nd-Au(試料番号85)、Ag-Bi-Ge-Y-Cu(試料番号86)、Ag-Bi-Ge-Y-Au(試料番号87、Ag-Bi-Al-Nd(試料番号88)、Ag-Bi-Al-Y(試料番号89)、Ag-Bi-Al-Cu(試料番号90)、Ag-Bi-Al-Au(試料番号91)、Ag-Bi-Al-Nd-Cu(試料番号92)、Ag-Bi-Al-Nd-Au(試料番号93)、Ag-Bi-Al-Y-Cu(試料番号94)、Ag-Bi-Al-Y-Au(試料番号95)、Ag-Bi-Zn-Nd(試料番号96)、Ag-Bi-Zn-Y(試料番号97)、Ag-Bi-Zn-Cu(試料番号98)、Ag-Bi-Zn-Au(試料番号99)、Ag-Bi-Zn-Nd-Cu(試料番号100)、Ag-Bi-Zn-Nd-Au(試料番号101)、Ag-Bi-Zn-Y-Cu(試料番号102)、Ag-Bi-Zn-Y-Au(試料番号103)の薄膜を成膜した。
(2)膜組成の分析
前述のように成膜された薄膜のうち、Ag合金薄膜(試料番号2〜103)の膜組成を誘導結合プラズマ(Inductively Coupled Plasma:ICP)質量分析法によって分析した。詳細には、Ag合金薄膜を分析試料として、これを硝酸:純水=1:1の酸溶液中に溶解し、この酸溶液を200℃のホットプレート上で加熱し、分析試料が酸溶液中に完全に溶解したことを確認してから室温まで冷却して、セイコーインスツルメント社製ICP質量分析装置SPQ-8000を使用してAg合金薄膜中に含まれる合金元素量を測定した。各試料の膜組成(分析結果)を以下に述べる膜構造の解析並びに各性能評価とともに表1〜表45に示す。
(3)膜構造の解析
前述のように成膜された薄膜(試料番号1〜103)の膜構造をラザフォード後方散乱分光法(Rutherford Backscattering Spectrometry:RBS)によって解析した。詳細には、ビームエネルギー:2300keV、イオン種:He+、散乱角:170度、試料電流:30nA、ビーム照射量:40μCの条件でRBSスペクトルを測定し、測定スペクトルとシミュレーションスペクトルのフィッティングを行うことによって、膜表面および/または膜裏面における合金元素の濃化層の有無と厚さを解析した。膜構造の解析結果を表1〜5に示す。表1〜5では、厚さ5Å以上の合金元素濃化層があるものを◎、厚さ5Å未満の合金元素濃化層があるものを○、合金元素濃化層がないものを×で表している。Ag薄膜(試料番号1)では合金元素濃化層が認められない。これに対して、Ag-Bi薄膜(試料番号2〜5)、Ag-Sn薄膜(試料番号6)、Ag-Si薄膜(試料番号12)、Ag-In薄膜(試料番号18)、Ag-Ga薄膜(試料番号24)、Ag-Ge薄膜(試料番号30)、Ag-Al薄膜(試料番号36)、Ag-Zn薄膜(試料番号42)では厚さ5Å未満の合金元素濃化層が認められ、さらにBiと(Zn、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn)から選ばれる少なくとも1種とを複合添加したAg-Bi-(Zn、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn)薄膜(試料番号7〜11、13〜17、19〜23、25〜29、31〜35、37〜41、43〜47)、そしてこれに(Nd、Y、Cu、Au)から選ばれる少なくとも1種を添加したAg合金薄膜(試料番号48〜103)では、複合添加効果によって形成される厚さ5Å以上の合金元素濃化層が認められる。なお、Rh、Pd、Ptの添加効果はCu、Auと同様である。
Figure 0004320000
Figure 0004320000
Figure 0004320000
Figure 0004320000
Figure 0004320000
(4)耐凝集性〔熱起因の凝集〕の評価
前述のように成膜された薄膜(試料番号1〜103)について、Digital Instruments社製Nanoscope IIIa 走査型プローブ顕微鏡を用いて、AFM(Atomic Force Microscope)観察モードにより平均表面粗さRaを測定した。そして、同じ薄膜に対して高温高湿(温度:80℃、湿度:90%RH、保持時間:48時間)試験を施し、この試験後に再び平均表面粗さRaを測定した。耐凝
集性〔熱起因の凝集〕の評価結果を表6〜10に示す。表6〜10では、高温高湿試験前後の平均粗さ変化が1.5nm未満のものを高耐凝集性を有するものと見なして○、1.5nm以上のものを高耐凝集性を有しないものと見なして×で表している。表3から明らかなように、本発明の規定用件を満たすAg合金薄膜(試料番号5〜103)はいずれも高耐凝集性を示し、満たさないAg薄膜(試料番号1)は高耐凝集性を示さない。なお、Rh、Pd、Ptの添加効果はCu、Auと同様である。
Figure 0004320000
Figure 0004320000
Figure 0004320000
Figure 0004320000
Figure 0004320000
(5)耐凝集性〔ハロゲン起因の凝集〕の評価
前述のように成膜された薄膜(試料番号1〜103)について、Digital Instruments社製Nanoscope IIIa 走査型プローブ顕微鏡を用いて、AFM(Atomic Force Microscope)観察モードにより平均表面粗さRaを測定した。そして、同じ薄膜に対して塩水浸漬(塩水濃度:NaClが0.05mol/l、塩水温度:20℃、浸漬時間:5分間)試験を施し、この試験後に再び平均表面粗さRa
を測定した。耐凝集性〔ハロゲン起因の凝集〕の評価結果を表11〜15に示す。表11〜15では、塩水浸漬試験前後の平均粗さ変化が3nm未満のものを高耐凝集性を有するものと見なして○、3nm以上のものを高耐凝集性を有しないものと見なして×で表している。表4から明らかなように、本発明の規定要件を満たすAg合金薄膜(試料番号2〜103)はいずれも高耐凝集性を示し、満たさないAg薄膜(試料番号1)は高耐凝集性を示さない。なお、Rh、Pd、Ptの添加効果はCu、Auと同様である。
Figure 0004320000
Figure 0004320000
Figure 0004320000
Figure 0004320000
Figure 0004320000
(6)耐光性の評価
前述のように成膜された薄膜(試料番号1〜103)の上層に紫外線硬化樹脂膜を積層したものについて、スガ試験機製スーパーキセノンフェードメーターSX75Fを用いて、キセノンアークランプによる紫外・可視光の照射(照射照度:120 W/m2、照射温度:80℃、照射時間:144時間)試験を施し、この試験後に断面TEM観察を行い、ポリカーボネート基板または紫外線硬化樹脂膜へのAg原子の拡散・浸透の有無を評価した。耐光性の評価結果を表16〜20に示す。表16〜20では、Ag原子の拡散・浸透深さが10Å未満のものを優れた耐光
性を有するものと見なして◎、10Å以上30Å未満のものを高い耐光性を有するものと見なして○、30Å以上のものを高耐光性を有しないものと見なして×で表している。Ag薄膜(試料番号1)は高耐光性を示さない。これに対して、Ag-Bi薄膜(試料番号2〜5)、Ag-Sn薄膜(試料番号6)、Ag-Si薄膜(試料番号12)、Ag-In薄膜(試料番号18)、Ag-Ga薄膜(試料番号24)、Ag-Ge薄膜(試料番号30)、Ag-Al薄膜(試料番号36)、Ag-Zn薄膜(試料番号42)はAg原子の拡散・浸透を抑制する合金元素の濃化層(厚さ5Å未満)があるため高い耐光性を示し、さらにBiと(Zn、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn)から選ばれる少なくとも1種とを複合添加したAg-Bi-(Zn、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn)薄膜(試料番号7〜11、13〜17、19〜23、25〜29、31〜35、37〜41、43〜47)、そしてこれに(Nd、Y、Cu、Au)から選ばれる少なくとも1種を添加したAg合金薄膜(試料番号48〜103)は、複合添加効果によって形成される厚さ5Å以上の合金元素濃化層があるため優れた耐光性を示す。なお、Rh、Pd、Ptの添加効果はCu、Auと同様である。
Figure 0004320000
Figure 0004320000
Figure 0004320000
Figure 0004320000
Figure 0004320000
(7)耐熱性の評価
前述のように成膜された薄膜(試料番号1〜103)について、Digital Instruments社製Nanoscope IIIa 走査型プローブ顕微鏡を用いて、AFM(Atomic Force Microscope)観察モードにより平均表面粗さRaを測定した。そして、同じ薄膜に対して、成瀬科学器械製回転磁場中熱処理装置を使用した真空加熱(真空度:0.27×10-3 Pa以下、温度:300℃、保持時間:0.5
時間)試験を施し、この試験後に再び平均表面粗さRaを測定した。耐熱性の評
価結果を表21〜25に示す。を表21〜25では、真空加熱試験前後の平均粗さ変化が1.5nm未満のものを優れた耐熱性を有するものと見なして◎、1.5nm以上3.0nm未満のものを高い耐熱性を有するものと見なして○、3.0nm以上ものを高耐熱性を有しないものと見なして×で表している。Ag薄膜(試料番号1)は高耐熱性を示さない。これに対して、Ag-Bi薄膜(試料番号2〜5)、Ag-Sn薄膜(試料番号6)、Ag-Si薄膜(試料番号12)、Ag-In薄膜(試料番号18)、Ag-Ga薄膜(試料番号24)、Ag-Ge薄膜(試料番号30)、Ag-Al薄膜(試料番号36)、Ag-Zn薄膜(試料番号42)はAgの拡散を抑制する合金元素の濃化層(厚さ5Å未満)があるため高い耐熱性を示し、さらにBiと(Zn、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn)から選ばれる少なくとも1種とを複合添加したAg-Bi-(Zn、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn)薄膜(試料番号7〜11、13〜17、19〜23、25〜29、31〜35、37〜41、43〜47)、そしてこれに(Nd、Y、Cu、Au)から選ばれる少なくとも1種を添加したAg合金薄膜(試料番号48〜103)は、複合添加効果によって形成される厚さ5Å以上の合金元素濃化層があるため優れた耐熱性を示す。なお、Rh、Pd、Ptの添加効果はCu、Auと同様である。
Figure 0004320000
Figure 0004320000
Figure 0004320000
Figure 0004320000
Figure 0004320000
(8)反射率、透過率、吸収率の評価
前述のように成膜された薄膜(試料番号1〜103)について、日本分光製紫外可視近赤外分光光度計V-570DSを用いて、波長400〜800nmにおける分光反射率と分光透過率を測定した。また、測定した反射率と透過率から吸収率(=100%−(反射率+透過率))を算出した。Blu-ray Disc、HD- DVD等において使用される波長405nmレーザー光に対する反射率、透過率、吸収率の評価結果を表26〜30、表31〜35及び表36〜40に示す。表26〜40では、純Agの反射率18%、透過率68%、吸収率14%に対して、反射率15%以上、透過率60%以上、吸収率25%未満を示すものを優れた光学特性を有するものと見なして○、反射率15%未満、透過率60%未満、吸収率25%以上を示すものを優れた光学特性を有しないものと見なして×で表している。Ag-0.6%Bi薄膜(試料番号5)、Ag-0.1%Bi-7%Sn薄膜(試料番号11)、Ag-0.1%Bi-7%Si薄膜(試料番号17)、Ag-0.1%Bi-7%In薄膜(試料番号23)、Ag-0.1%Bi-7%Ga薄膜(試料番号29)、Ag-0.1%Bi-7%Ge薄膜(試料番号35)、Ag-0.1%Bi-7%Al薄膜(試料番号41)、Ag-0.1%Bi-7%Zn薄膜(試料番号47)は、Zn、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn量が多く、高反射率、高透過率、低吸収率を示さない。これに対して、Ag薄膜(試料番号1)、Ag-Bi薄膜(試料番号2〜4)、Ag-Sn薄膜(試料番号6)、Ag-Bi-Sn薄膜(試料番号7〜10)、Ag-Si薄膜(試料番号12)、Ag-Bi-Si薄膜(試料番号13〜16)、Ag-In薄膜(試料番号18)、Ag-Bi-In膜(試料番号19〜22)、Ag-Ga薄膜(試料番号24)、Ag-Bi-Ga薄膜(試料番号25〜28)、Ag-Ge薄膜(試料番号30)、Ag-Bi-Ge薄膜(試料番号31〜34)、Ag-Al薄膜(試料番号36)、Ag-Bi-Al薄膜(試料番号37〜40)、Ag-Zn薄膜(試料番号42)、Ag-Bi-Zn薄膜(試料番号43〜46)、そしてこれに(Nd、Y、Cu、Au)から選ばれる少な
くとも1種を添加したAg合金薄膜(試料番号48〜103)は、高反射率、高透過率、低吸収率を示す。なお、Rh、Pd、Ptの添加効果はCu、Auと同様である。
Figure 0004320000
Figure 0004320000
Figure 0004320000
Figure 0004320000
Figure 0004320000
Figure 0004320000
Figure 0004320000
Figure 0004320000
Figure 0004320000
Figure 0004320000
Figure 0004320000
Figure 0004320000
Figure 0004320000
Figure 0004320000
Figure 0004320000
(9)熱伝導率の評価
前述のように成膜された薄膜(試料番号1〜103)について、熱伝導率を以下の方法で測定した。日置電機製3226 mΩ Hi TESTERを用いて直流四探針法によりシート抵抗Rsを、そしてTENCOR INSTRUMENTS社製alpha-step 250を用いて膜厚tを測定し、電気抵抗率ρ(=シート抵抗Rs×膜厚t)〔μΩcm〕を算出してから、ヴィーデマン−フランツの法則より絶対温度300K(≒27℃)の熱伝導率κ(=2.51×絶対温度T/電気抵抗率ρ)〔W/(m・K)〕を算出した。熱伝導率の評価結果を表41〜表45に示す。表41〜表45では、純Ag薄膜の熱伝導率320W/(m・K)の5割以上に相当する160W/(m・K)以上を示すものを高熱伝導率を有するものと見なして○、160W/(m・K)未満を示すものを高熱伝導率を有しないものと見なして×で表している。Ag-0.6%Bi薄膜(試料番号5)、Ag-0.1%Bi-7%Sn薄膜(試料番号11)、Ag-0.1%Bi-7%Si薄膜(試料番号17)、Ag-0.1%Bi-7%In薄膜(試料番号23)、Ag-0.1%Bi-7%Ga薄膜(試料番号29)、Ag-0.1%Bi-7%Ge薄膜(試料番号35)、Ag-0.1%Bi-7%Al薄膜(試料番号41)、Ag-0.1%Bi-7%Zn薄膜(試料番号47)は、Zn、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn量が多く、高熱伝導率を示さない。これに対して、Ag薄膜(試料番号1)、Ag-Bi薄膜(試料番号2〜4)、Ag-Sn薄膜(試料番号6)、Ag-Bi-Sn薄膜(試料番号7〜10)、Ag-Si薄膜(試料番号12)、Ag-Bi-Si薄膜(試料番号13〜16)、Ag-In薄膜(試料番号18)、Ag-Bi-In薄膜(試料番号19〜22)、Ag-Ga薄膜(試料番号24)、Ag-Bi-Ga薄膜(試料番号25〜28)、Ag-Ge薄膜(試料番号30)、Ag-Bi-Ge薄膜(試料番号31〜34)、Ag-Al薄膜(試料番号36)、Ag-Bi-Al薄膜(試料番号37〜40)、Ag-Zn薄膜(試料番号42)、Ag-Bi-Zn薄膜(試料番号43〜46)、そしてこれに(Nd、Y、Cu、Au)から選ばれる少なくとも1種を添加したAg合金薄膜(試料番号48〜103)は、高熱伝導率を示す。
Figure 0004320000
Figure 0004320000
Figure 0004320000
Figure 0004320000
Figure 0004320000

Claims (12)

  1. Biを0.005〜0.40%(以下、特記しない限り原子%を表す)含有すると共に、Al、Ga、Si、Geから選ばれる少なくとも1種を合計で0.05〜5%含有するAg基合金であることを特徴とする光情報記録媒体用Ag基合金半透過反射膜または反射膜。
  2. 上記Ag基合金半透過反射膜または反射膜は、Biが膜表面および/または膜裏面に濃化した膜構造である請求項1に記載の光情報記録媒体用Ag基合金半透過反射膜または反射膜。
  3. 上記光情報記録媒体用Ag基合金半透過反射膜または反射膜は、Al、Ga、Si、Geから選ばれる少なくとも1種が膜表面および/または膜裏面に濃化した膜構造であることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の光情報記録媒体用Ag基合金半透過反射膜または反射膜。
  4. 上記Ag基合金は、希土類金属元素の少なくとも1種を含有するものである請求項1〜3のいずれかに記載の光情報記録媒体用Ag基合金半透過反射膜または反射膜。
  5. 上記希土類金属元素としてNdおよび/またはYを合計で0.1〜2%含有するものである請求項4に記載の光情報記録用Ag基合金半透過反射膜または反射膜。
  6. 上記Ag基合金は、Cu、Au、Rh、Pd、Ptから選ばれる少なくとも1種を合計で0.1〜3%含有するものである請求項1〜5のいずれかに記載の光情報記録媒体用Ag基合金半透過反射膜または反射膜。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載のAg基合金半透過反射膜を備えることを特徴とする光情報記録媒体。
  8. 請求項1〜6のいずれかに記載のAg基合金反射膜を備えることを特徴とする光情報記録媒体。
  9. Biを0.05〜4.5%含有すると共に、Al、Ga、Si、Geから選ばれる少なくとも1種を合計で0.05〜5%含有するAg基合金であることを特徴とするAg基合金スパッタリングターゲット。
  10. 上記Ag基合金は、希土類金属元素の少なくとも1種を含有するものである請求項9に記載のAg基合金スパッタリングターゲット。
  11. 上記希土類金属元素としてNdおよび/またはYを合計で0.1〜2%含有するものである請求項10に記載のAg基合金スパッタリングターゲット。
  12. 上記Ag基合金は、Cu、Au、Rh、Pd、Ptから選ばれる少なくとも1種を合計で0.1〜3%含有するものである請求項9〜11に記載のAg基合金スパッタリングターゲット。


JP2005113620A 2004-04-21 2005-04-11 光情報記録媒体用半透過反射膜と反射膜、および光情報記録媒体ならびにスパッタリングターゲット Expired - Fee Related JP4320000B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005113620A JP4320000B2 (ja) 2004-04-21 2005-04-11 光情報記録媒体用半透過反射膜と反射膜、および光情報記録媒体ならびにスパッタリングターゲット

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004125932 2004-04-21
JP2005113620A JP4320000B2 (ja) 2004-04-21 2005-04-11 光情報記録媒体用半透過反射膜と反射膜、および光情報記録媒体ならびにスパッタリングターゲット

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005332557A JP2005332557A (ja) 2005-12-02
JP4320000B2 true JP4320000B2 (ja) 2009-08-26

Family

ID=35487071

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005113620A Expired - Fee Related JP4320000B2 (ja) 2004-04-21 2005-04-11 光情報記録媒体用半透過反射膜と反射膜、および光情報記録媒体ならびにスパッタリングターゲット

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4320000B2 (ja)

Families Citing this family (17)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4377861B2 (ja) 2005-07-22 2009-12-02 株式会社神戸製鋼所 光情報記録媒体用Ag合金反射膜、光情報記録媒体および光情報記録媒体用Ag合金反射膜の形成用のAg合金スパッタリングターゲット
JP4176136B2 (ja) * 2006-09-21 2008-11-05 株式会社神戸製鋼所 Ag合金薄膜
WO2008035617A1 (fr) * 2006-09-21 2008-03-27 Kabushiki Kaisha Kobe Seiko Sho FILM MINCE D'ALLIAGE Ag ET CIBLE DE PULVÉRISATION D'ALLIAGE Ag POUR LA FORMATION DU FILM MINCE D'ALLIAGE Ag
JP2008117470A (ja) * 2006-11-02 2008-05-22 Sony Corp 光情報記録媒体および光情報記録媒体の製造方法、BCA(BurstCuttingArea)マーキング方法
JP5144302B2 (ja) * 2007-02-20 2013-02-13 株式会社神戸製鋼所 反射膜積層体
JP4540687B2 (ja) * 2007-04-13 2010-09-08 株式会社ソニー・ディスクアンドデジタルソリューションズ 読み出し専用の光情報記録媒体
WO2009041529A1 (ja) * 2007-09-25 2009-04-02 Kabushiki Kaisha Kobe Seiko Sho 反射膜、反射膜積層体、led、有機elディスプレイ及び有機el照明器具
JP5097031B2 (ja) * 2007-10-05 2012-12-12 株式会社神戸製鋼所 反射膜、led、有機elディスプレイ及び有機el照明器具
JP5280777B2 (ja) * 2007-09-25 2013-09-04 株式会社神戸製鋼所 反射膜積層体
JP5525315B2 (ja) * 2009-06-16 2014-06-18 株式会社神戸製鋼所 Led用リードフレーム
JP5695841B2 (ja) * 2009-08-24 2015-04-08 株式会社神戸製鋼所 Led用リードフレーム
JP5628662B2 (ja) * 2010-12-29 2014-11-19 石福金属興業株式会社 Ag基合金からなる反射膜
JP5796883B2 (ja) * 2011-04-14 2015-10-21 昭和電工株式会社 熱アシスト磁気記録媒体及び磁気記録再生装置
KR101764053B1 (ko) 2013-06-26 2017-08-01 가부시키가이샤 고베 세이코쇼 반사 전극용 또는 배선 전극용 Ag 합금막, 반사 전극 또는 배선 전극, 및 Ag 합금 스퍼터링 타겟
JP6172230B2 (ja) 2014-09-18 2017-08-02 三菱マテリアル株式会社 Ag合金スパッタリングターゲット、Ag合金膜およびAg合金膜の製造方法
WO2021111974A1 (ja) * 2019-12-02 2021-06-10 三菱マテリアル株式会社 Ag合金膜、Ag合金スパッタリングターゲット
JP6908164B2 (ja) * 2019-12-02 2021-07-21 三菱マテリアル株式会社 Ag合金膜

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005332557A (ja) 2005-12-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4320000B2 (ja) 光情報記録媒体用半透過反射膜と反射膜、および光情報記録媒体ならびにスパッタリングターゲット
KR100694944B1 (ko) 광정보 기록 매체용 반투과-반사막과 반사막, 및 광정보기록 매체 및 스퍼터링 타겟
KR100789059B1 (ko) 광정보 기록 매체용 반투과-반사막과 반사막, 광정보 기록매체, 및 스퍼터링 타겟
US7514037B2 (en) AG base alloy thin film and sputtering target for forming AG base alloy thin film
JP3655907B2 (ja) 光情報記録媒体用反射膜と半透過反射膜、および光情報記録媒体
JP4320003B2 (ja) 光情報記録媒体用半透過反射膜と反射膜、及び光情報記録媒体、並びにスパッタリングターゲット
JP4153484B2 (ja) 光情報記録媒体用Ag基合金スパッタリングターゲット
JP4328310B2 (ja) 光情報記録媒体用反射膜および光情報記録媒体
TW200536949A (en) Ag base alloy thin film and sputtering target for forming ag base alloy thin film

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070928

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090216

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090224

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090422

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090526

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090529

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120605

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4320000

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130605

Year of fee payment: 4

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees