JP4319457B2 - 熱式流量計 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、センサ流路とバイパス流路とを備え、センサ流路に橋設された熱線を用いて流量を計測する熱式流量計に関する。さらに詳細には、信頼性の高いセンサ流路を形成することができる熱式流量計に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から熱線を用いて流量を計測する熱式流量計の1つとして、半導体マイクロマシニングの加工技術で製造された測定チップをセンサ部として使用するものがある。この種の熱式流量計としては、例えば、特開2002−168669号公報に開示されたものがある。この熱式流量計100は、図15に示すように、測定チップ111が実装された基板121をボディ141に密着させることにより、ボディ141の内部において、主流路M1とセンサー流路S1とを形成すると同時に、測定チップ111に設けられた温度センサー用熱線と流速センサー用熱線を、センサー流路S1に橋設させた状態にして、基板121の裏面の電気回路を介し、ボディ141の内部を流れる計測対象気体Fの流量を測定するようになっている。
【0003】
このような熱式流量計における基板として、一般的には、ガラスエポキシ基板が使用されている。そして、ガラスエポキシ基板にセンサ流路を形成する場合には、ルーター加工と呼ばれる手法で、エンドミルを用いて基板に溝を掘ってセンサ流路を形成するようになっている。
【0004】
また、基板としてガラスエポキシ基板以外を使用する場合として、本出願人が特願2002−53390号にて提案しているように、セラミック基板を使用したものもある。この場合には、溝加工および穴加工を施したグリーンシート(焼結前の生材)と穴加工のみを施したグリーンシートとを圧着し、その2枚のグリーンシートを焼成することにより、センサ流路を形成するようになっている。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−168669号公報(第3〜5頁、第1図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した特願2002−168669号公報に開示されたものなどのように、センサ流路を形成するための基板として、ガラスエポキシ基板を使用する場合には、エンドミルを用いて基板に溝を掘ってセンサ流路を形成するため、基板上に削れカスが残存するおそれがあった。そして、削りカスが残存していると、熱式流量計の実使用時に被測定流体の流れに伴い削りカスが熱線に付着して、熱線が焼損してしまうおそれあり、信頼性に欠けるという問題があった。
【0007】
一方、特願2002−53390号にて本出願人が提案したものでは、削りカスが発生することがないため上記したような問題は生じないが、センサ流路の形成工程および基板の構造自体も複雑化するためコスト面で不利であった。また、焼成具合によってグリーンシートの収縮率が変化するため、センサ流路の幅寸法を管理することが困難であった。
【0008】
そこで、本発明は上記した問題点を解決するためになされたものであり、低コストでかつ信頼性の高いセンサ流路を形成することができる熱式流量計を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するためになされた本発明に係る熱式流量計は、センサ流路とバイパス流路とを備える熱式流量計であって、熱線と前記熱線に接続する熱線用電極とが設けられた測定チップと、前記熱線を用いた計測原理を行うための電気回路に接続する電気回路用電極と、被測定流体の流れ方向に対して略平行に形成されたセンサ流路形成部材とが基板表面に凸部として形成された基板と、前記基板が密着することにより前記バイパス流路が形成されるボディとを有し、前記熱線用電極と前記電気回路用電極とを電気的に接続して前記測定チップを前記基板に実装することによって、前記センサ流路形成部材により前記センサ流路を前記測定チップと前記基板との間に形成するとともに、前記センサ流路に前記熱線を橋設させ、前記センサ流路形成部材は部材材料を基板上に積層させることにより、基板表面と密着させたこと、前記センサ流路形成部材は、前記熱線用電極と前記電気回路用電極とを電気的に接続する接合部材により形成されていること、及び、前記基板の導体部を保護するための基板保護材料により形成されていることを特徴とするものである。
【0010】
この熱式流量計では、基板に被測定流体の流れ方向に対して略平行に形成されたセンサ流路形成部材が形成されているため、基板がボディに対して密着させられると、ボディ内部において、基板上に形成されたセンサ流路形成部材によってセンサ流路が形成されるとともに、バイパス流路が形成される。そして、この熱式流量計においては、流量計内部に流れ込んだ被測定流体は、熱線が橋設されたセンサ流路と、センサ流路に対するバイパス流路とに分流される。このとき、熱線を用いた計測原理に基づいて、センサ流路を流れる被測定流体の流量、ひいては熱式流量計の内部を流れる被測定流体の流量が計測される。
【0011】
ここで、センサ流路は、基板に形成されたセンサ流路形成部材によって形成される。このため、センサ流路を形成するために基板に溝を掘る必要がない。つまり、基板を削る必要がないので、削りカスが発生しない。これにより、熱式流量計の実使用時に被測定流体の流れに伴い削りカスが熱線に付着して、熱線が焼損することがない。したがって、信頼性の高いセンサ流路を形成することができる。また、セラミック基板を使用した場合であっても、溝加工および穴加工を施したグリーンシートと穴加工のみを施したグリーンシートとを圧着し、その2枚のグリーンシートを焼成する必要がない。したがって、センサ流路の形成工程や基板自体の構造が複雑化することがないので、コスト面で非常に有利となる。このように、この熱式流量計によれば、低コストでかつ信頼性の高いものとなっている。
【0012】
なお、センサ流路を形成するための基板としては、ガラスエポキシ基板やセラミック基板の他に、フェノール基板、ポリイミド基板、アルミ金属基板など基板材料となるものであれば種類は問わない。
【0013】
本発明に係る熱式流量計においては、前記センサ流路形成部材は、前記熱線用電極と前記電気回路用電極とを電気的に接続する接合部材により形成すればよい。具体的には、前記接合部材としては、ハンダを使用すればよい。例えば、スクリーン印刷によって、前記熱線用電極と前記電気回路用電極とを電気的に接続するために必要なハンダ(クリームハンダ)の厚みを管理することにより、基板と測定チップとの間に所定の隙間を形成して、その隙間をセンサ流路とするのである。そして、接合部材は従来から必要なものであるので、センサ流路を形成するために余計な工程を必要としない。これにより、製造コストの低減を図ることができる。なお、接合部材としては、クリームハンダ以外にも、導電性クリーム接着剤、導線性ゴム、ハンダボール、および金ボールなどを使用することができる。
【0014】
また、本発明に係る熱式流量計においては、前記センサ流路形成部材は、前記基板の導体部を保護するための基板保護材料により形成されていてもよい。上記したように、接合部材でセンサ流路形成部材を形成すると、電気的絶縁性を確保するために連続的なセンサ流路形成部材を形成することができない。そこで、基板の導体部を保護するための基板保護材料をさらに使用して、接合部材間に存在する隙間を塞いでセンサ流路形成部材を形成することにより、電気的絶縁性を十分に確保するとともに、連続的なセンサ流路形成部材を形成することができる。これにより、センサ流路に流れ込んだ被測定流体がセンサ流路から漏れ出すことを確実に防止することができる。したがって、比較的大きなセンサ出力を得ることができる。
【0015】
ここで、基板保護材料としては、無機材料の膜(例えば、オーバーコートグラス等)あるいは有機材料の膜(例えば、グリーンレジスト等)を使用すればよい。具体的には、前記基板保護材料としては、前記基板としてセラミック基板を使用する場合、オーバーコートグラスを使用すればよい。また、前記基板保護材料は、前記基板としてガラスエポキシ基板を使用する場合、グリーンレジストを使用すればよい。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の熱式流量計を具体化した最も好適な実施の形態について図面に基づき詳細に説明する。そこで、実施の形態に係る熱式流量計の概略構成を図1に示す。図1に示すように、本実施の形態に係る熱式流量計1は、大別してボディ41とセンサ基板21とから構成されるものである。そして、ボディ41上面に開口する流路空間44を塞ぐように、センサ基板21がシールパッキン48を介しボディ41に密着されている。具体的には、センサ基板21は、基板押さえ31がボディ41にネジ固定されることにより、ボディ41に密着するようになっている。これにより、センサ流路S、およびセンサ流路Sに対するバイパス流路である主流路Mが形成されている。すなわち、本実施の形態に係る熱式流量計1は、センサ流路とバイパス流路とを備える熱式流量計である。
【0017】
ここで、ボディ41は、図2および図3に示すように、直方体形状のものである。なお、図2はボディ41の平面図であり、図3は図2におけるA−A断面図である。このボディ41には、両端面に入口ポート42と出口ポート46とが形成されている。そして、入口ポート42からボディ中央に向かって入口流路43が形成され、同様に出口ポート46からボディ中央に向かって出口流路45が形成されている。
【0018】
また、ボディ41の上部には、主流路Mおよびセンサ流路Sを形成するための流路空間44が形成されている。この流路空間44の横断面は、長方形の両短辺を円弧状(半円)にした形状になっており、その中央部に円弧状の凸部44Cが形成されている。凸部44Cは、センサ流路Sに流れ込む被測定流体の流れを整えるためのメッシュ板51の位置決めを行うためのものである。そして、流路空間44の下面の一部が入口流路43および出口流路45に連通している。すなわち、流路空間44と入口流路44および出口流路45との連通部に、それぞれ90度に屈曲したエルボ部43Aおよび45Aが形成されている。
【0019】
そして、この流路空間44の下面に、図1に示すように、メッシュ板51が配設されている。このメッシュ板51は、底板37とともにボディ41にねじ固定されている。これにより、主流路Mとエルボ部45Aとの連通部にメッシュ部51Mが設けられることになる。このように、主流路Mとエルボ部45Aとの連通部にメッシュ部51Mを設けることにより、入口流路43に流れ込んだ被測定流体の入射角による計測出力への影響をほとんどなくすことができる。なぜなら、被測定流体がメッシュ部51Mを通過することにより、被測定流体の流れに細かな乱れが非常に多く形成されるからである。
【0020】
図2に戻って、ボディ41の上面には、流路空間44の外周に沿うように溝49が形成されている。この溝49は、シールパッキン48を装着するためのものである。ここで、溝49に装着されるシールパッキン48について、図4を用いて説明する。なお、図4(a)はシールパッキンの平面図であり、図4(b)は図4(a)におけるA−A断面図であり、図4(c)は図4(a)におけるB−B断面図である。
【0021】
シールパッキン48は、リング部48Aとシート部48Bとを備える。すなわち、リング部48Aとシート部48Bとを一体的に成形したものである。このようなリング部48Aとシート部48Bとを一体的に成形したシールパッキン48を使用するのは、被測定流体の外部漏れと内部漏れの両方を防止するためである。なお、シールパッキン48の材質は、フッ素ゴム、NBR、シリコンゴム等の弾性ゴムであればよい。また、シート部48Bには、後述する測定チップ11に嵌合するように凹部48Cが形成されている。これにより、図5に示すように、シート部48Bがセンサ基板21および測定チップ11に密着するようになっている。
【0022】
一方、本発明の特徴部であるセンサ基板21は、測定流量を電気信号として出力するものである。このセンサ基板21について、図6〜図9を用いて説明する。図6はセンサ基板21の表面側を表す平面図であり、図7はセンサ基板21の正面図であり、図8はセンサ基板21の裏面側を表す平面図であり、図9は図8に示すA−A線における断面図である。
【0023】
センサ基板21は、ベースとなるセラミック基板22に色々な電気素子などが設けられている。具体的には、図6に示すように、センサ基板21の表面側には、ピンP1,P2,P3,P4,P5,P6(図7参照)を備える端子CS1,CS2,CS3,CS4,CS5,CS6と、チップ抵抗R1,R2,R3,R4とが設けられている。そしてチップ抵抗R1〜R4と端子CS1,CS2,CS5,CS6とが電気的に接続されている。
【0024】
また、図8に示すように、センサ基板21の裏面側(ボディ41への装着面側)には、その中央部に電気回路用電極24,25,26,27,28,29が設けられている。これら電気回路用電極24,25,26,27,28,29は、3つずつ対向する形で配置されている。そして、電気回路用電極24〜29と、端子CS1〜CS6とが電気的に接続されている。これらの電気回路用電極24〜29および電気回路用電極に接続する回路パターンは、電気的絶縁性を確保するために、オーバーコートグラス62によって覆われている。オーバーコートグラス62の厚さは、15μm程度である。さらに、電気回路用電極24〜29が設けられている中心部には、オーバーコートグラス63がさらに積層されている。オーバーコートグラス63の厚さは、100μm程度である。
【0025】
ここで、電気回路用電極24と25との間、電気回路用電極26と27との間、および電気回路用電極28と29との間、つまり図8に示すA−A線に沿うように細長い空間がオーバーコートグラス62および63に覆われるこなく、基板の地肌面が露出した基板地肌部61が形成されている。つまり、この基板地肌部61に対してマスキングがされた状態で、オーバーコートグラス62および63が形成されるのである。このため、基板地肌部61は、オーバーコートグラス62および63に覆われている部分よりも低くなっている。すなわち、オーバーコートグラス62および63が流体形成部材となって、この基板地肌部61がセンサ流路Sになるのである。
【0026】
このようにして、センサ流路Sを形成するため、センサ流路を形成するためにセンサ基板21に溝を掘る必要がない。つまり、センサ基板21を削る必要がないので、削りカスが発生しない。これにより、熱式流量計1の実使用時に被測定流体の流れに伴い削りカスが抵抗体(熱線)R1,R2,Rh、Rt(図10参照)に付着して、抵抗体(熱線)R1,R2,Rh、Rtが焼損することを防止することができる。つまり、信頼性の高いセンサ流路を形成することができる。
【0027】
ここで、センサ基板21の製造方法について簡単に説明する。上記したようなセンサ基板21は、版下を用いた印刷および高温焼成(600〜800℃で印刷部を焼き固める)を繰り返すことにより製造される。具体的には、まずセラミック基板22上に導体部(電気回路用電極も含む)を形成する。次いで、その上にオーバーコートグラス62を形成する。そして、最後にオーバーコートグラス63を形成する。なお、オーバーコートグラス62,63の形成は、印刷後に主成分である粉末ガラスを高温焼成により溶融させることにより行う。
【0028】
このように、セラミック基板を使用した場合であっても、センサ流路を形成するために、従来のように溝加工および穴加工を施したグリーンシートと穴加工のみを施したグリーンシートとを圧着し、その2枚のグリーンシートを焼成する必要がない。したがって、センサ流路の形成工程や基板自体の構造が複雑化することがないので、コスト面で非常に有利である。
【0029】
そして、センサ基板21の裏面側には、測定チップ11が実装されている。この測定チップ11について、図10を参照しながら説明する。図10は、測定チップ11の平面図である。測定チップ11は、図10に示すように、シリコンウエハ12に対して、半導体マイクロマシニングの加工技術を実施したものである。この加工により、抵抗体用電極(熱線用電極)14,15,16,17、18,19が設けられている。また、温度センサ用熱線18が抵抗体用電極14,15から延設され、流速センサ用熱線19が抵抗体用電極16,17から延設されている。
【0030】
このとき、上流温度検出抵抗体R1が、抵抗体用電極15,17から延設される。さらに、下流温度検出抵抗体R2が、抵抗体用電極17,19から延設される。さらにまた、発熱抵抗体Rhが、上流温度検出抵抗体R1と下流温度検出抵抗体R2との間に、抵抗体用電極16,18から延設される。また、測定チップ11においては、センサ流路Sの順方向上流側に流体温度検出抵抗体Rtが、抵抗体用電極14,16から延設される。
【0031】
そして、測定チップ11の抵抗体用電極14,15,16,17,18,19を、センサ基板21の電気回路用電極24,25,26,27,28,29(図10参照)のそれぞれと、ハンダリフローで接合することによって、図11に示すように、測定チップ11をセンサ基板21に実装している。なお、図11は、測定チップ11が実装されたセンサ基板21の断面図である。
【0032】
測定チップ11がセンサ基板21に実装されると、測定チップ11によって被測定流体の出入り口を残し基板地肌部61の中央部が塞がれる。そして、この状態のセンサ基板21をボディ41にシールパッキン48を介して密着すると、図1に示すように、ボディ41の流路空間44において、センサ基板21と測定チップ11との間に、ハンダ64とオーバーコートグラス61および63によりセンサ流路Sが形成される。
【0033】
ここで、測定チップ11をセンサ基板21に実装する際には、スクリーン印刷によって行う。具体的には、まず、センサ基板21の電気回路用電極(ハンダ付けランド)24,25,26,27,28,29に対して、メタルマスクを用いてハンダ(クリームハンダ)64を印刷する。このとき、ハンダ64の厚みは、メタルマスクの厚みによって管理され、本実施の形態ではその厚みは、1.0±0.05mmでとなっている。
【0034】
そして、測定チップ11上の抵抗体用電極14,15,16,17,18,19を、ハンダ64が印刷されたセンサ基板21の電気回路用電極24,25,26,27,28,29に対向させて取り付け、リフローによりハンダ付けを行う。これにより、測定チップ11のセンサ基板21に対する対向面は、ハンダ64の厚みがオーバーコートグラス63の厚みとほぼ同一となるため、測定チップ11は、オーバーコートグラス63と接する状態となる。したがって、センサ流路Sの出入り口以外は塞がれた状態となり、センサ流路Sの途中から被測定流体が漏れない。
【0035】
センサ流路Sの底面(センサ基板21の地肌面)から測定チップ11までの距離は、測定チップ11をセンサ基板21に実装する際に測定チップ11をセンサ基板21に押しつけることによって、オーバーコートグラス63の表面で制限される。これにより、従来のようにセンサ基板に溝を形成した場合と同等の性能が得られる。つまり、センサ流路Sの容積を一定にすることができるので、被測定流体の流れに対するセンサ出力の製品間バラツキを小さくすることができる。
【0036】
なお、オーバーコートグラス63を形成せずに、ハンダ64だけでセンサ流路Sを形成することもできる。ただし、この場合には、センサ流路Sの途中から被測定流体が漏れるため、後述するようにセンサ出力が小さくなってしまう。また、センサ流路Sの底面(センサ基板21の地肌面)から測定チップ11までの距離が、オーバーコートグラス63の表面で制限されないので、センサ出力の製品間バラツキが大きくなりやすい。
【0037】
このようにして、測定チップ11がセンサ基板21に実装されると、測定チップ11に設けられた流体温度検出抵抗体Rt、上流温度検出抵抗体R1、下流温度検出抵抗体R2、および発熱抵抗体Rhは、測定チップ11の抵抗体用電極14〜19と、センサ基板21の電気回路用電極24〜29(図10参照)とを介して、センサ基板21の表面側に設けられた端子CS1〜CS6およびチップ抵抗R1〜R4(図6参照)に接続されることになる。これにより、図12に示す定温度差回路と、図13に示す出力回路とが構成される。
【0038】
ここで、図12に示す定温度差回路は、発熱抵抗体Rhを、流体温度検出抵抗体Rtで検出される流体温度と一定の温度差をもつように制御するための回路である。また、図13に示す出力回路は、上流温度検出抵抗体R1と下流温度検出抵抗体R2との温度差に相当する電圧値を出力するための回路である。この出力回路では、上流温度検出抵抗体R1と下流温度検出抵抗体R2とが直列に接続され、定電圧Vcが印可されるようになっている。そして、上流温度検出抵抗体R1と下流温度検出抵抗体R2との中点電位Voutが測定信号として出力されるようになっている。
【0039】
次に、上記した構成を有する熱式流量計1の作用について説明する。熱式流量計1においては、図1に示すように、入口ポート42を介して入口流路43へ流れ込んだ被測定流体(図1のF)は、流路空間44にて、主流路Mへ流れ込むもの(図1のF1)と、センサ流路Sへ流れ込むもの(図1のF2)とに分流される。そして、主流路Mおよびセンサ流路Sから流れ出した被測定流体は、合流して、出口流路45を介して出口ポート46からボディ41の外部に流れ出す(図1のF)。
【0040】
そして、センサ流路Sを流れる被測定流体は、センサ流路Sに橋設された発熱抵抗体Rhから熱を奪う。そうすると、センサ基板21の裏面側に設けられた電気回路(図12に示す定温度差回路)により、流体温度検出抵抗体Rtと発熱抵抗体Rhとが一定の温度差になるように制御される。
【0041】
また、センサ基板21の裏面側に設けられた電気回路(図13に示す出力回路)により、直列に接続され定電圧Vcが印可された上流温度検出抵抗体R1と下流温度検出抵抗体R2との中点電位Voutが測定信号として出力される。このとき、被測定流体が順方向の流れの場合には、上流温度検出抵抗体R1の温度(抵抗値)が低下し、下流温度検出抵抗体R2の温度(抵抗値)が増加するため、中点電位Voutが増加する。一方、被測定流体が逆方向の流れの場合には、上流温度検出抵抗体R1の温度(抵抗値)が増加し、下流温度検出抵抗体R2の温度(抵抗値)が低下するため、中点電位Voutは低下する。このため、被測定流体の流れ方向をも検知することができるようになっている。
【0042】
ここで、熱式流量計1の出力例を図14に示す。図14は、流量(図1のF)とセンサ出力との関係を示したものである。図14の実線が本実施の形態に係る熱式流量計1のセンサ出力を示す。また、図14の破線が従来の熱式流量計のセンサ出力を示す。そして、図14の一点鎖線が本実施の形態においてオーバーコートグラスを利用せずにハンダのみでセンサ流路を形成した熱式流量計のセンサ出力を示す。
【0043】
図14から明らかなように、本実施の形態に係る熱式流量計1は、従来の熱式流量計(特願2002−53390号)と同様に、リニアな出力特性を得ることができる。なお、センサ出力が小さくなっているのは、センサ流路Sの容積が小さいからである。なぜなら、熱式流量計に流入した被測定流体は、主流路Mとセンサ流路Sとに分流されるので、センサ出力は、センサ流路Sの容積に比例するためである。このため、センサ流路の容積が大きい従来の熱式流量計ほどセンサ出力が大きくなるのである。
【0044】
また、図14に一点鎖線で示すように、ハンダ64のみでセンサ流路を形成すると、センサ出力がさらに小さくなる。これは、上記したように、ハンダ64のみでセンサ流路を形成するとその途中から被測定流体が漏れるからである。
【0045】
このように、本実施の形態に係る熱式流量計1、およびハンダ64のみでセンサ流路を形成したもののセンサ出力は、従来の熱式流量計のセンサ出力よりも小さいが、高性能ノイズ吸収部品や高安定化増幅回路などを使用することによって十分にカバーすることができる。つまり、これらを使用することにより、フルスケールの物理的変化(被測定流体の流量の変化)量に対して、電気的変化が30mVあれば外乱ノイズによる検出精度の低下を招くことなく安定した流量検出を行うことができる。
【0046】
以上、詳細に説明したように本実施の形態に係る熱式流量計1では、センサ流路Sがハンダ64およびオーバーコートグラス62,63によって形成されているので、センサ流路Sを形成するためにセンサ基板21に溝を掘る必要がない。つまり、センサ基板21を削る必要がないので、削りカスが発生しない。これにより、熱式流量計1の実使用時に被測定流体の流れに伴い削りカスが抵抗体(熱線)R1,R2,Rh、Rt(図10参照)に付着して、抵抗体(熱線)R1,R2,Rh、Rtが焼損することを防止することができる。つまり、信頼性の高いセンサ流路Sを形成することができる。また、セラミック基板を使用した場合であっても、溝加工および穴加工を施したグリーンシートと穴加工のみを施したグリーンシートとを圧着し、その2枚のグリーンシートを焼成する必要がない。したがって、センサ流路Sの形成工程や基板自体の構造が複雑化することがないので、低コストでセンサ流路Sを形成することができる。このように、本実施の形態に係る熱式流量計1によれば、低コストでかつ信頼性の高いセンサ流路Sを形成することができる。
【0047】
また、本実施の形態に係る熱式流量計1では、ハンダ64のみならず、オーバーコートグラス62,63によっても流体形成部材を構成してセンサ流路Sを形成しているので、センサ流路Sの途中から被測定流体が漏れない。従って、比較的大きなセンサ出力を得ることができる。
【0048】
なお、上記した実施の形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることはもちろんである。例えば、上記した実施の形態では、基板としてセラミック基板を使用しているが、セラミック基板の代わりに、ガラスエポキシ基板を使用してもよい。この場合には、基板保護膜としてオーバーコートグラスの代わりにグリーンレジストを使用すればよい。グリーンレジストは版下を用いたプリントおよに高温乾燥により形成すればよい。なお、グリーンレジストの厚みは、重ね塗りの回数によって調整することができ、オーバーコートグラスと同様のバラツキ範囲内で所定の厚みを形成することができる。さらに、ガラスエポキシ基板やセラミック基板の他に、フェノール基板、ポリイミド基板、アルミ金属基板などを使用することもできる。
【0049】
また、上記した実施の形態では、測定チップ11をセンサ基板21に実装する際の接合部材としてクリームハンダを使用しているが、クリームハンダ以外にも、導電性クリーム接着剤、導線性ゴム、ハンダボール、および金ボールなどを使用することができる。
【0050】
【発明の効果】
以上説明した通り本発明に係る熱式流量計によれば、センサ流路とバイパス流路とを備える熱式流量計であって、熱線と前記熱線に接続する熱線用電極とが設けられた測定チップと、前記熱線を用いた計測原理を行うための電気回路に接続する電気回路用電極と、被測定流体の流れ方向に対して略平行に形成された流体形成部材とを同一面に備える基板と、前記基板が密着することにより前記バイパス流路が形成されるボディとを有し、前記熱線用電極と前記電気回路用電極とを電気的に接続して前記測定チップを前記基板に実装することによって、前記流体形成部材により前記センサ流路を前記測定チップと前記基板との間に形成するとともに、前記センサ流路に前記熱線を橋設させたので、低コストでかつ信頼性の高いセンサ流路を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施の形態に係る熱式流量計の概略構成図である。
【図2】 ボディの平面図である。
【図3】 図2のA−A線における断面図である。
【図4】 シールパッキンを示す図であり、(a)が平面図、(b)がA−A断面図、(c)がB−B線における断面図である。
【図5】 図1のA−A線における断面図である。
【図6】 センサ基板の裏面側を示す平面図である。
【図7】 センサ基板の正面図である。
【図8】 センサ基板の表面側を示す平面図である。
【図9】 図8のA−A線における断面図である。
【図10】 測定チップの平面図である。
【図11】 測定チップをセンサ基板に実装した状態を示す図である。
【図12】 定温度差回路の回路図である。
【図13】 出力回路の回路図である。
【図14】 実施の形態に係る熱式流量計の出力例を示す図である。
【図15】 従来の熱式流量計の断面図である。
【符号の説明】
1 熱式流量計
11 測定チップ
14,15,16,17,18,19 抵抗体用電極
21 センサ基板
24,25,26,27,28,29 電気回路用電極
41 ボディ
44 流路空間
M 主流路(バイパス流路)
R1 上流温度検知抵抗体
R2 下流温度検知抵抗体
Rh 発熱抵抗体
Rt 流体温度検知抵抗体
S センサ流路

Claims (6)

  1. センサ流路とバイパス流路とを備える熱式流量計であって、
    熱線と前記熱線に接続する熱線用電極とが設けられた測定チップと、
    前記熱線を用いた計測原理を行うための電気回路に接続する電気回路用電極と、被測定流体の流れ方向に対して略平行に形成されたセンサ流路形成部材とが基板表面に凸部として形成された基板と、
    前記基板が密着することにより前記バイパス流路が形成されるボディとを有し、
    前記熱線用電極と前記電気回路用電極とを電気的に接続して前記測定チップを前記基板に実装することによって、前記センサ流路形成部材により前記センサ流路を前記測定チップと前記基板との間に形成するとともに、前記センサ流路に前記熱線を橋設させ、前記センサ流路形成部材は部材材料を基板上に積層させることにより、基板表面と密着させたこと、
    前記センサ流路形成部材は、前記熱線用電極と前記電気回路用電極とを電気的に接続する接合部材により形成されていること、及び、前記基板の導体部を保護するための基板保護材料により形成されていることを特徴とする熱式流量計。
  2. 請求項1に記載する熱式流量計において、
    前記接合部材は、ハンダであることを特徴とする熱式流量計。
  3. 請求項1に記載する熱式流量計において、
    前記基板保護材料は、前記基板としてセラミック基板を使用する場合、無機材料の膜であることを特徴とする熱式流量計。
  4. 請求項3に記載する熱式流量計において、
    前記無機材料の膜は、オーバーコートグラスであることを特徴とする熱式流量計。
  5. 請求項1に記載する熱式流量計において、
    前記基板保護材料は、前記基板としてガラスエポキシ基板を使用する場合、有機材料の膜であることを特徴とする熱式流量計。
  6. 請求項5に記載する熱式流量計において、
    前記有機材料の膜は、グリーンレジストであることを特徴とする熱式流量計。
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