JP4319456B2 - 光記録媒体および光記録方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光記録媒体および光記録方法に関するものであり、さらに詳細には、基板とは反対側から、レーザ光を照射して、データを記録し、再生する光記録媒体であって、再生された信号中のノイズレベルを低減し、C/N比を向上させることができる二層以上の記録層を備えた光記録媒体およびかかる光記録媒体に、データを記録する光記録方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、デジタルデータを記録するための記録媒体として、CDやDVDに代表される光記録媒体が広く利用されている。これらの光記録媒体は、CD−ROMやDVD−ROMのように、データの追記や書き換えができないタイプの光記録媒体(ROM型光記録媒体)と、CD−RやDVD−Rのように、データの追記はできるが、データの書き換えができないタイプの光記録媒体(追記型光記録媒体)と、CD−RWやDVD−RWのように、データの書き換えが可能なタイプの光記録媒体(書き換え型光記録媒体)とに大別することができる。
【0003】
広く知られているように、ROM型光記録媒体においては、製造段階において基板に形成されるプリピットにより、データが記録されることが一般的であり、書き換え型光記録媒体においては、たとえば、記録層の材料として相変化材料が用いられ、その相状態の変化に起因する光学特性の変化を利用して、データが記録されることが一般的である。
【0004】
これに対し、追記型光記録媒体においては、記録層の材料として、シアニン系色素、フタロシアニン系色素、アゾ色素などの有機色素が用いられ、その化学的変化(場合によっては、化学的変化に加えて物理的変形を伴うことがある)に起因する光学特性の変化を利用して、データが記録されることが一般的である。
【0005】
しかしながら、有機色素は、日光などの照射を受けると、劣化するため、記録層の材料として、有機色素を用いた場合には、長期間の保存に対する信頼性を高めることは容易ではない。したがって、追記型光記録媒体の長期間の保存に対する信頼性を高めるためには、記録層を有機色素以外の材料によって構成することが望ましい。
【0006】
記録層を有機色素以外の材料によって構成した例としては、特開昭62−204442号公報に記載されているように、二層の記録層を積層した光記録媒体が知られている。
【0007】
一方、近年、データの記録密度が高められ、かつ、非常に高いデータ転送レートを実現可能な次世代型の光記録媒体が提案されている。
【0008】
このような次世代型の光記録媒体においては、記録容量を高めるとともに、非常に高いデータ転送レートを実現するため、必然的に、データの記録・再生に用いるレーザ光のビームスポット径を非常に小さく絞ることが要求される。
【0009】
レーザ光のビームスポット径を小さく絞るためには、レーザ光を集束するための対物レンズの開口数(NA)を0.7以上、たとえば、0.85程度まで大きくするとともに、レーザ光の波長λを450nm以下、たとえば、400nm程度まで、短くすることが必要になる。
【0010】
しかしながら、レーザ光を集束するための対物レンズの開口数(NA)を高くすると、次式(1)で示されるように、光記録媒体に対するレーザ光の光軸の傾きに許される角度誤差、すなわち、チルトマージンTが非常に狭くなるという問題が生じる。
【0011】
【数1】
式(1)において、λは、記録・再生に用いるレーザ光の波長であり、dは、レーザ光が透過する光透過層の厚さである。
【0012】
式(1)から明らかなように、チルトマージンTは、対物レンズのNAが高いほど、小さくなり、光透過層の厚さdが薄いほど、大きくなる。したがって、チルトマージンTが小さくなることを防止するためには、光透過層の厚さdを小さくすることが効果的である。
【0013】
一方、コマ収差を表わす波面収差係数Wは、次式(2)によって定義される。
【0014】
【数2】
式(2)において、nは光透過層の屈折率であり、θはレーザ光の光軸の傾きである。
【0015】
式(2)から明らかなように、コマ収差を抑制するためにも、記録・再生に用いるレーザ光が透過する光透過層の厚さdを小さくすることが非常に効果的である。
【0016】
このような理由から、次世代型の光記録媒体においては、十分なチルトマージンを確保しつつ、コマ収差を抑制するために、光透過層の厚さを100μm程度まで薄くすることが提案されている。
【0017】
そのため、次世代型の光記録媒体においては、CDやDVDなど、現行の光記録媒体のように、光透過層上に記録層などの層を形成することは困難であり、したがって、基板上に形成した記録層などの層上に、スピンコーティング法などによって、薄い樹脂層を、光透過層として、形成する方法が提案されている。
【0018】
したがって、現行の光記録媒体においては、光入射面側から、順次、成膜が行われているが、次世代型の光記録媒体を作製する際には、光入射面とは反対側から、順次、成膜が行われることになる。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
このように、次世代型の光記録媒体においては、光入射面とは反対側から、順次、成膜が行われるため、基板上に、二層の記録層を形成した場合に、再生された信号中のノイズのレベルが大きくなり、C/N比が低下しやすいという問題が生じている。
【0020】
他方、近年の地球環境問題に対する関心の高まりにともなって、環境に与える負荷がより小さな構成材料を用いて、光記録媒体を構成することも要求されてきている。
【0021】
したがって、本発明は、基板とは反対側から、レーザ光を照射して、データを記録し、再生する光記録媒体であって、再生された信号中のノイズレベルを低減し、C/N比を向上させることができる二層以上の記録層を備えた光記録媒体を提供することを目的とするものである。
【0022】
また、本発明の別の目的は、環境に与える負荷がより小さな材料を用いて、作製することができ、長期間の保存に対する信頼性が高い光記録媒体を提供することにある。
【0023】
さらに、本発明の他の目的は、再生された信号中のノイズレベルを低減し、C/N比を向上させることができる光記録媒体への光記録方法を提供することにある。
【0024】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、本発明のかかる目的を達成するため、鋭意研究を重ねた結果、Si、Ge、CおよびAlよりなる群から選ばれる元素を主成分として含む第一の記録層と、第一の記録層に近傍に位置し、Znを主成分として含む第二の記録層を、総厚が30nm以下になるように、基板上に形成した場合には、驚くべきことに、450nm以下の波長λの所定のパワーを有するレーザ光を、λ/NA≦640nmを満たす開口数NAを有する対物レンズを介して、基板と反対側から照射して、データを記録する際に、レーザ光によって、第一の記録層に主成分として含まれている元素と、第二の記録層に主成分として含まれている元素とが混合した領域が形成され、反射率を大きく変化させることが可能になり、第一の記録層に主成分として含まれている元素と、第二の記録層に主成分として含まれている元素とが混合した領域の反射率と、それ以外の領域の反射率の大きな差を利用することにより、データを良好な感度で記録することができ、再生された信号中のノイズレベルを低減して、C/N比を向上させることが可能になることを見出し、さらに、第二の記録層に、Mg、CuおよびAlよりなる群から選ばれた少なくとも一種の元素を添加した場合には、再生された信号中のノイズレベルをより低減させることが可能となるとともに、長期間の保存に対する信頼性を向上させることが可能になることを見出した。
【0025】
したがって、本発明の前記目的は、基板と、前記基板上に設けられ、Si、Ge、CおよびAlよりなる群から選ばれる元素を主成分として含む第一の記録層と、前記第一の記録層の近傍に位置し、Znを主成分として含み、Mg、CuおよびAlよりなる群から選ばれた少なくとも一種の元素が添加された第二の記録層とを備え、データの記録時に、450nm以下の波長λの所定のパワーを有するレーザ光が、λ/NA≦640nmを満たす開口数NAを有する対物レンズを介して、前記基板と反対側から照射されたときに、前記第一の記録層に主成分として含まれた元素と前記第二の記録層に主成分として含まれた元素とが混合した領域が形成されるように構成され、前記第一の記録層と前記第二の記録層の総厚が30nm以下であることを特徴とする光記録媒体によって達成される。
【0026】
本発明の前記目的はまた、基板と、前記基板上に設けられ、Si、Ge、CおよびAlよりなる群から選ばれる元素を主成分として含む第一の記録層と、前記第一の記録層の近傍に位置し、Znを主成分として含み、Mg、CuおよびAlよりなる群から選ばれた少なくとも一種の元素が添加された第二の記録層とを備え、前記第一の記録層と前記第二の記録層の総厚が30nm以下である光記録媒体に、450nm以下の波長λの所定のパワーを有するレーザ光を、λ/NA≦640nmを満たす開口数NAを有する対物レンズを介して、前記基板と反対側から照射し、前記第一の記録層に主成分として含まれた元素と前記第二の記録層に主成分として含まれた元素とが混合した領域を形成することを特徴とする光記録方法によって達成される。
このように、本発明においては、450nm以下の波長λの所定のパワーを有するレーザ光が、λ/NA≦640nmを満たす開口数NAを有する対物レンズを介して、光記録媒体に照射されるから、光記録媒体に照射されるレーザ光のビームスポット径を絞ることができ、データの記録密度を大幅に向上させることが可能になる。
【0027】
本発明において、第一の記録層が、元素を主成分として含むとは、第一の記録層に含まれる元素のうち、その元素の含有率が最も大きいことをいい、第二の記録層がZnを主成分として含むとは、第二の記録層に含まれる元素のうち、Znの含有率が最も大きいことをいう。
【0028】
本発明において、第二の記録層は、レーザ光の照射を受けたときに、第一の記録層に主成分として含まれている元素と、第二の記録層に主成分として含まれている元素とが混合した領域が形成されるように、第一の記録層の近傍に位置していればよく、第二の記録層が、第一の記録層に接触していることは必ずしも必要でなく、第一の記録層と第二の記録層の間に、誘電体層などの一または二以上の他の層が介在していてもよい。
【0029】
本発明において、好ましくは、前記第二の記録層が、前記第一の記録層に接するように、形成されている。
【0030】
本発明において、光記録媒体は、第一の記録層および第二の記録層に加えて、一もしくは二以上のSi、Ge、CおよびAlよりなる群から選ばれる元素を主成分として含む記録層、または、一もしくは二以上のZnを主成分として含む記録層を備えていてもよい。
【0031】
本発明において、好ましくは、前記第一の記録層が、Si、GeおよびCよりなる群から選ばれる元素を主成分として含んでいる。
【0032】
本発明において、前記第一の記録層が、Siを主成分として含んでいることがとくに好ましい。
【0033】
レーザ光が照射されたときに、第一の記録層に主成分として含まれている元素と、第二の記録層に主成分として含まれている元素とが混合した領域が形成される理由は必ずしも明らかでないが、レーザ光が照射されたときに、第一の記録層に主成分として含まれている元素および第二の記録層に主成分として含まれている元素が、部分的にあるいは全体として、溶融ないし拡散し、第一の記録層に主成分として含まれている元素と、第二の記録層に主成分として含まれている元素とが混合された領域が形成されるものと推測される。
【0034】
こうして、第一の記録層に主成分として含まれている元素と、第二の記録層に主成分として含まれている元素とが混合されて、形成された領域の再生のためのレーザ光に対する反射率と、それ以外の領域の再生のためのレーザ光に対する反射率とは大きく異なるので、反射率の大きな差異を利用して、記録されたデータを高感度で再生することができる。
【0035】
基板側から、レーザ光が照射されるように構成された光記録媒体にあっては、基板上に、第一の記録層と第二の記録層が、順次、気相成長法によって形成されている場合にも、レーザ光は、射出成形などによって形成され、表面平滑性に優れた基板の表面に接し、表面平滑性に優れた第一の記録層の表面に入射するため、再生された信号中のノイズレベルが高くなることはないが、基板上に、第一の記録層と第二の記録層が、順次、気相成長法によって形成され、基板とは反対側から、レーザ光が照射されるように構成された光記録媒体にあっては、レーザ光は、基板上に、気相成長法によって形成され、表面平滑性が低い第一の記録層の表面に、気相成長法によって形成され、さらに表面平滑性が劣った第二の記録層の表面に入射するため、再生された信号中のノイズレベルが高くなり、C/N比が低下するという問題が生じ得る。
【0036】
ことに、波長の短いレーザ光と開口数NAが大きい対物レンズを用いて、データを記録し、再生する次世代型の光記録媒体にあっては、第二の記録層の表面に照射されるレーザ光のビームスポット径がきわめて小さいため、再生された信号中のノイズレベル、したがって、C/N比が、第二の記録層の表面の平滑性に大きく影響され、第二の記録層の表面の平滑性が低いと、再生された信号中のノイズレベルがきわめて高くなり、C/N比が大幅に低下するおそれがある。
【0037】
さらに、Znを主成分として含む記録層を、良好な表面平滑性を有するように、成膜することは困難であり、Znを主成分として含む第二の記録層を含む光記録媒体においては、一般に、再生された信号中のノイズレベルがきわめて高くなり、C/N比が大幅に低下しやすい。
【0038】
しかしながら、本発明によれば、第一の記録層と第二の記録層は、その総厚が30nm以下になるように形成されているから、レーザ光が入射する第二の記録層の表面の平滑性を向上させることができ、したがって、再生された信号中のノイズレベルが高くなることを効果的に防止して、C/N比の低下を防止することが可能になる。
【0039】
また、これらの元素は、環境に対する負荷が小さく、とくに、Znは安価な材料であるため、光記録媒体のコストを低減することも可能になる。
【0040】
本発明において、好ましくは、第一の記録層および第二の記録層は、第一の記録層と第二の記録層の総厚が2nmないし30nmとなるように、より好ましくは、第一の記録層と第二の記録層の総厚が2nmないし24nmになるように、さらに好ましくは、第一の記録層と第二の記録層の総厚が2nmないし12nmになるように形成される。
【0041】
本発明において、第一の記録層は、Si、Ge、CおよびAlからなる群より選ばれる元素に代えて、Sn、Au、Cu、B、Mg、Ti、Mn、Fe、Ga、Zr、AgおよびPtよりなる群から選ばれる元素を主成分として含んでいてもよい。
【0042】
本発明において、第二の記録層に、Mgが添加されているときは、添加量が24原子%以上、50原子%未満であり、Cuが添加されているときは、添加量が17原子%以上、50原子%未満であり、Alが添加されているときは、添加量が24原子%以上、50原子%未満であることが好ましい。
【0043】
本発明において、第二の記録層には、Mg、CuおよびAlよりなる群から選ばれた少なくとも一種の元素に代えて、あるいは、Mg、CuおよびAlよりなる群から選ばれた少なくとも一種の元素に加えて、Au、Ti、Si、Sn、Ge、P、CrおよびPtよりなる群から選ばれた少なくとも一種の元素が添加されていてもよい。
【0044】
本発明の好ましい実施態様においては、光記録媒体は、さらに、前記第一の記録層および前記第二の記録層に対して、前記基板とは反対側に設けられた光透過層と、前記光透過層と前記第一の記録層および前記第二の記録層との間に設けられた第一の誘電体層と、前記第一の記録層および前記第二の記録層と前記基板との間に設けられた第二の誘電体層を備えている。
【0045】
本発明の好ましい実施態様によれば、データの記録時に、レーザ光が照射された基板または光透過層が、熱変形することを確実に防止することが可能になる。また、第一の記録層に主成分として含まれている元素および第二の記録層に主成分として含まれるZnが腐食することを防止することが可能になるから、記録されたデータの劣化を、長期間にわたって、より効果的に防止することが可能になる。
【0046】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、光記録媒体は、前記基板と前記第二の誘電体層との間に設けられた反射層を備えている。
【0047】
本発明のさらに好ましい実施態様によれば、多重干渉効果により、記録部と未記録部との反射率の差を大きくすることができ、その結果、高い再生信号(C/N比)を得ることが可能になる。
【0051】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に基づいて、本発明の好ましい実施態様につき、詳細に説明を加える。
【0052】
図1は、本発明の好ましい実施態様にかかる光記録媒体の構造を示す略断面図である。
【0053】
図1に示されるように、本実施態様にかかる光記録媒体10は、追記型の光記録媒体として構成され、基板11と、基板11の表面上に形成された反射層12と、反射層12の表面上に形成された第二の誘電体層13と、第二の誘電体層13の表面上に形成された第二の記録層32と、第二の記録層32の表面上に形成された第一の記録層31と、第一の記録層31の表面上に設けられた第一の誘電体層15と、第一の誘電体層15の表面上に形成された光透過層16を備えている。
【0054】
図1に示されるように、光記録媒体10の中央部分には、センターホール17が形成されている。
【0055】
本実施態様においては、図1に示されるように、光透過層16を介して、レーザ光L10が照射されて、光記録媒体10にデータが記録され、光記録媒体10から、データが再生される。
【0056】
基板11は、光記録媒体10に求められる機械的強度を確保するための支持体として、機能する。
【0057】
基板11を形成するための材料は、光記録媒体10の支持体として機能することができれば、とくに限定されるものではない。基板11は、たとえば、ガラス、セラミックス、樹脂などによって、形成することができる。これらのうち、成形の容易性の観点から、樹脂が好ましく使用される。このような樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素系樹脂、ABS樹脂、ウレタン樹脂などが挙げられる。これらの中でも、加工性、光学特性などの点から、ポリカーボネート樹脂がとくに好ましい。
【0058】
本実施態様においては、基板11は、約1.1mmの厚さを有している。
【0059】
基板11の形状は、とくに限定されるものではないが、通常は、ディスク状、カード状あるいはシート状である。
【0060】
図1に示されるように、基板11の表面には、交互に、グルーブ11aおよびランド11bが形成されている。基板11の表面に形成されたグルーブ11aおよび/またはランド11bは、データを記録する場合およびデータを再生する場合において、レーザ光L10のガイドトラックとして、機能する。
【0061】
反射層12は、光透過層16を介して、入射したレーザ光L10を反射し、再び、光透過層16から出射させる機能を有している。
【0062】
反射層12の厚さは、とくに限定されるものではないが、10nmないし300nmであることが好ましく、20nmないし200nmであることが、とくに好ましい。
【0063】
反射層12を形成するための材料は、レーザ光を反射できればよく、とくに限定されるものではなく、Mg、Al、Ti、Cr、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ge、Ag、Pt、Auなどによって、反射層12を形成することができる。これらのうち、高い反射率を有しているAl、Au、Ag、Cu、または、AgとCuとの合金などのこれらの金属の少なくとも1つを含む合金などの金属材料が、反射層12を形成するために、好ましく用いられる。
【0064】
反射層12は、レーザ光L10を用いて、第一の記録層31および第二の記録層32に光記録されたデータを再生するときに、多重干渉効果によって、記録部と未記録部との反射率の差を大きくして、高い再生信号(C/N比)を得るために、設けられている。
【0065】
第一の誘電体層15および第二の誘電体層13は、第一の記録層11および第二の記録層12を保護する役割を果たす。したがって、第一の誘電体層15および第二の誘電体層13により、長期間にわたって、光記録されたデータの劣化を効果的に防止することができる。また、第二の誘電体層13は、基板11などの熱変形を防止する効果があり、したがって、変形に伴うジッターの悪化を効果的に防止することが可能になる。
【0066】
第1の誘電体層15および第2の誘電体層13を形成するための誘電体材料は、透明な誘電体材料であれば、とくに限定されるものではなく、たとえば、酸化物、硫化物、窒化物またはこれらの組み合わせを主成分とする誘電体材料によって、第一の誘電体層15および第二の誘電体層13を形成することができる。より具体的には、基板11などの熱変形を防止し、第一の記録層31および第二の記録層32を保護するために、第一の誘電体層15および第二の誘電体層13が、Al2O3、AlN、ZnO、ZnS、GeN、GeCrN、CeO、SiO、SiO2、SiNおよびSiCよりなる群から選ばれる少なくとも1種の誘電体材料を主成分として含んでいることが好ましく、ZnS・SiO2を主成分として含んでいることがより好ましい。
【0067】
第一の誘電体層15と第二の誘電体層13は、互いに同じ誘電体材料によって形成されていてもよいが、異なる誘電体材料によって形成されていてもよい。さらに、第一の誘電体層15および第二の誘電体層13の少なくとも一方が、複数の誘電体膜からなる多層構造であってもよい。
【0068】
なお、本明細書において、誘電体層が、誘電体材料を主成分として含むとは、誘電体層に含まれている誘電体材料の中で、その誘電体材料の含有率が最も大きいことをいう。また、ZnS・SiO2は、ZnSとSiO2との混合物を意味する。
【0069】
第一の誘電体層15および第二の誘電体層13の層厚は、とくに限定されるものではないが、3ないし200nmであることが好ましい。第一の誘電体層15あるいは第二の誘電体層13の層厚が3nm未満であると、上述した効果が得られにくくなる。一方、第一の誘電体層15あるいは第二の誘電体層13の層厚が200nmを越えると、成膜に要する時間が長くなり、光記録媒体10の生産性が低下するおそれがあり、さらに、第一の誘電体層15あるいは第二の誘電体層13のもつ応力によって、光記録媒体10にクラックが発生するおそれがある。
【0070】
第一の記録層31および第二の記録層32は、データを記録する層である。図1に示されるように、本実施態様においては、第一の記録層31は、光透過層16側に配置され、第二の記録層32は、基板11側に配置されている。
【0071】
本実施態様においては、第一の記録層31は、Si、Ge、CおよびAlよりなる群から選ばれる元素を主成分として含み、第二の記録層32は、Znを主成分として含んでいる。
【0072】
再生信号のC/N比を十分に向上させためには、第一の記録層31が、Siを主成分として含んでいることがとくに好ましい。
【0073】
また、Znを主成分として含む第二の記録層32に、Mg、CuおよびAlよりなる群から選ばれた少なくとも一種の元素が添加されていることが好ましい。Znを主成分として含む第二の記録層32に、Mg、CuおよびAlよりなる群から選ばれた少なくとも一種の元素が添加することによって、第二の記録層32の表面平滑性をより一層向上させることができ、再生された信号中のノイズレベルをより低く抑えることが可能になる。
【0074】
さらに、Znを主成分として含む第二の記録層32に、Mg、CuおよびAlよりなる群から選ばれた少なくとも一種の元素が添加することによって、光記録媒体10の保存信頼性および記録感度を向上させることが可能になる。
【0075】
また、Mg、CuおよびAlは、環境に関する負荷が小さく、地球環境を害するおそれもない。
【0076】
Mg、CuまたはAlの添加量は、1原子%以上、50原子%未満であることが好ましい。
【0077】
第二の記録層32に、Mgを添加する場合には、添加量が24原子%以上、50原子%未満であることが好ましく、Cuを添加する場合には、添加量が17原子%以上、50原子%未満であることが好ましい。また、第二の記録層32に、Alを添加する場合には、添加量が24原子%以上、50原子%未満であることが好ましい。
【0078】
第一の記録層31および第二の記録層32の総厚が厚くなればなるほど、レーザ光L10が照射される第一の記録層31の表面平滑性が低下し、その結果、再生された信号中のノイズレベルが高くなるとともに、記録感度が低下する。その一方で、第一の記録層31および第二の記録層32の総厚が薄すぎると、データを記録する前後の反射率の差が少なくなり、高い再生信号(C/N比)を得ることができなくなり、膜厚制御も困難になる。
【0079】
そこで、本実施態様においては、第一の記録層31と第二の記録層32の総厚が、2nmないし30nmになるように、第一の記録層31および第二の記録層32が形成されている。より高い再生信号(C/N比)を得るとともに、再生信号中のノイズレベルをより一層低下させるためには、第一の記録層31と第二の記録層32の総厚が、2nmないし24nmであることが好ましく、2nmないし12nmであることがより好ましい。
【0080】
ただし、Znを主成分として含む第二の記録層32に、Mg、CuおよびAlよりなる群から選ばれた少なくとも一種の元素が添加されていない場合には、第一の記録層31と第二の記録層32の総厚が、2nmないし24nmとなるように、第一の記録層31および第二の記録層32を形成することが好ましく、さらに好ましくは、第一の記録層31と第二の記録層32の総厚が、2nmないし12nmとなるように、第一の記録層31および第二の記録層32が形成される。
【0081】
第一の記録層31および第二の記録層32のそれぞれの層厚は、とくに限定されるものではないが、記録感度を十分に向上させ、データを記録する前後の反射率の変化を十分に大きくするためには、第一の記録層31の層厚が、1nmないし30nmであり、第二の記録層32の層厚が、1nmないし30nmであることが好ましい。さらに、レーザ光を照射する前後の反射率の変化を十分に大きくするために、第一の記録層31の層厚と第二の記録層32の層厚との比(第一の記録層31の層厚/第二の記録層32の層厚)は、0.2ないし5.0であることが好ましい。
【0082】
光透過層16は、レーザ光L10が透過する層であり、10μmないし300μmの厚さを有していることが好ましく、より好ましくは、光透過層16は、50μmないし150μmの厚さを有している。
【0083】
光透過層16を形成するための材料は、とくに限定されるものではないが、スピンコーティング法などによって、光透過層16を形成する場合には、紫外線硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂などが好ましく用いられ、より好ましくは、紫外線硬化性樹脂によって、光透過層16が形成される。
【0084】
光透過層16は、第一の誘電体層15の表面に、光透過性樹脂によって形成されたシートを、接着剤を用いて、接着することによって、形成されてもよい。
【0085】
以上のような構成を有する光記録媒体10は、たとえば、以下のようにして、製造される。
【0086】
まず、グルーブ11aおよびランド11bが形成された基板11の表面上に、反射層12が形成される。
【0087】
反射層12は、たとえば、反射層12の構成元素を含む化学種を用いた気相成長法によって、形成することができる。気相成長法としては、真空蒸着法、スパッタリング法などが挙げられる。
【0088】
次いで、反射層12の表面上に、第二の誘電体層13が形成される。
【0089】
第二の誘電体層13は、たとえば、第二の誘電体層13の構成元素を含む化学種を用いた気相成長法によって、形成することができる。気相成長法としては、真空蒸着法、スパッタリング法などが挙げられる。
【0090】
さらに、第二の誘電体層13の表面上に、第二の記録層32が形成される。第二の記録層32も、第二の誘電体層13と同様にして、第二の記録層32の構成元素を含む化学種を用いた気相成長法によって、形成することができる。
【0091】
次いで、第二の記録層32の表面上に、第一の記録層31が形成される。第一の記録層31も、第一の記録層31の構成元素を含む化学種を用いた気相成長法によって形成することができる。
【0092】
本実施態様においては、第一の記録層31と第二の記録層32の総厚が、2nmないし30nmとなるように、第一の記録層31および第二の記録層32が形成されるから、第一の記録層31の表面平滑性を向上させることができる。
【0093】
さらに、第一の記録層31の表面上に、第一の誘電体層15が形成される。第一の誘電体層15もまた、第一の誘電体層15の構成元素を含む化学種を用いた気相成長法によって、形成することができる。
【0094】
最後に、第一の誘電体層15の表面上に、光透過層16が形成される。光透過層16は、たとえば、粘度調整されたアクリル系の紫外線硬化性樹脂あるいはエポキシ系の紫外線硬化性樹脂を、スピンコーティング法などによって、第一の誘電体層15の表面に塗布して、塗膜を形成し、紫外線を照射して、塗膜を硬化させることによって、形成することができる。
【0095】
以上のようにして、光記録媒体10が製造される。
【0096】
以上のような構成を有する光記録媒体10に、たとえば、以下のようにして、データが光記録される。
【0097】
まず、図1および図2(a)に示されるように、所定のパワーを有するレーザ光L10が、光透過層16を介して、第一の記録層31および第二の記録層32に照射される。
【0098】
データを高い記録密度で、光記録媒体10に記録するためには、450nm以下の波長を有するレーザ光L10を、開口数NAが0.7以上の対物レンズ(図示せず)を用いて、光記録媒体10上に集束することが好ましく、λ/NA≦640nmであることがより好ましい。
【0099】
本実施態様においては、405nmの波長を有するレーザ光L10が、開口数が0.85の対物レンズを用いて、光記録媒体10上に集束される。
【0100】
その結果、レーザ光L10が照射された領域において、第一の記録層31に主成分として含まれた元素と、第二の記録層32に主成分として含まれた元素とが混合されて、図2(b)に示されるように、第一の記録層31に主成分として含まれた元素と、第二の記録層32、主成分として含まれた元素とが混合された混合領域Mが形成される。
【0101】
第一の記録層31に主成分として含まれた元素と、第二の記録層32に主成分として含まれた元素とを速やかに混合させて、混合領域Mを形成するために、レーザ光L10のパワーは、光透過層16の表面で、1.5mW以上であることが好ましい。
【0102】
第一の記録層31に主成分として含まれた元素と、第二の記録層32に主成分として含まれた元素とが混合されると、その領域の反射率が大きく変化し、したがって、こうして形成された混合領域Mの反射率は、その周囲の領域の反射率と大きく異なることになるので、光記録されたデータを再生する際に、高い再生信号(C/N比)が得ることが可能になる。
【0103】
レーザ光L10が照射されると、第一の記録層31および第二の記録層32がレーザ光L10によって加熱されるが、本実施態様においては、第一の記録層31および第二の記録層32の外側に、第一の誘電体層15および第二の誘電体層13が配置されているので、基板11および光透過層16の熱変形を効果的に防止することが可能になる。
【0104】
本実施態様によれば、第一の記録層31は、Si、Ge、CおよびAlよりなる群から選ばれる元素を主成分として含み、第二の記録層32は、Znを主成分として含んでおり、所定のパワーを有するレーザ光L10が、光透過層16を介して、第一の記録層31および第二の記録層32に照射されると、レーザ光L10が照射された領域において、第一の記録層31に主成分として含まれた元素と、第二の記録層32に主成分として含まれた元素とが混合されて、図2(b)に示されるように、第一の記録層31に主成分として含まれた元素と、第二の記録層32、主成分として含まれた元素とが混合された混合領域Mが形成され、こうして形成された混合領域Mの反射率は、その周囲の領域の反射率と大きく異なることになるから、光記録されたデータを再生する際に、高い再生信号(C/N比)が得ることが可能になる。
【0105】
また、第一の記録層31および第二の記録層32の層厚が厚くなればなるほど、レーザ光L10が照射される第一の記録層31の表面平滑性が低下し、その結果、再生された信号中のノイズレベルが高くなるとともに、記録感度が低下し、その一方で、第一の記録層31および第二の記録層32の層厚が薄すぎると、データを記録する前後の反射率の差が少なくなり、高い再生信号(C/N比)を得ることができなくなり、膜厚制御も困難になるが、本実施態様によれば、第一の記録層31と第二の記録層32の総厚が、2ないし30nmになるように、第一の記録層31および第二の記録層32が形成されているから、第一の記録層31の表面平滑性を向上させることができ、したがって、再生された信号中のノイズレベルを低減させることが可能になるとともに、記録感度を向上させることができ、さらには、高い再生信号(C/N比)を得ることが可能になる。
【0106】
さらに、本実施態様によれば、第一の記録層31に主成分として含まれている元素および第二の記録層32に主成分として含まれている元素は、環境に関する負荷が小さいから、地球環境を害するおそれがない。
【0107】
【実施例】
以下、本発明の効果をより明瞭なものとするため、実施例および比較例を掲げる。
【0108】
実施例1
以下のようにして、光記録媒体サンプル#1−1を作製した。
【0109】
すなわち、まず、厚さ1.1mm、直径120mmのポリカーボネート基板をスパッタリング装置にセットし、次いで、ポリカーボネート基板上に、Ag、PdおよびCuの混合物を含み、100nmの層厚を有する反射層、ZnSとSiO2の混合物を含み、28nmの層厚を有する第二の誘電体層、Znを主成分として含み、4nmの層厚を有する第二の記録層、Siを主成分として含み、8nmの層厚を有する第一の記録層、ZnSとSiO2の混合物を含み、22nmの層厚を有する第一の誘電体層を、順次、スパッタリング法によって、形成した。
【0110】
第一の誘電体層および第二の誘電体層に含まれたZnSとSiO2の混合物中のZnSとSiO2のモル比率は、80:20であった。
【0111】
さらに、第一の誘電体層上に、アクリル系紫外線硬化性樹脂を、溶剤に溶解して、調製した樹脂溶液を、スピンコーティング法によって、塗布して、塗布層を形成し、塗布層に紫外線を照射して、アクリル系紫外線硬化性樹脂を硬化させ、100μmの層厚を有する光透過層を形成し、光記録媒体サンプル#1−1を作製した。
【0112】
6nmの層厚を有する第一の記録層を形成するとともに、6nmの層厚を有する第二の記録層を形成した点を除き、同様にして、光記録媒体サンプル#1−2を作製した。
【0113】
さらに、8nmの層厚を有する第一の記録層を形成し、4nmの層厚を有する第二の記録層を形成した点を除き、同様にして、光記録媒体サンプル#1−3を作製した。
【0114】
実施例2
Geを主成分として含む第一の記録層を形成した点を除き、実施例1と同様にして、光記録媒体サンプル#2−1、#2−2および#2−3を作製した。
【0115】
実施例3
Cを主成分として含む第一の記録層を形成した点を除き、実施例1と同様にして、光記録媒体サンプル#3−1、#3−2および#3−3を作製した。
【0116】
実施例4
Alを主成分として含む第一の記録層を形成した点を除き、実施例1と同様にして、光記録媒体サンプル#4−1、#4−2および#4−3を作製した。
【0117】
実施例5
Znを主成分として含む第一の記録層を形成し、Siを主成分として含む第二の記録層を形成した点を除き、実施例1と同様にして、光記録媒体サンプル#5−1、#5−2および#5−3を作製した。
【0118】
実施例6
Znを主成分として含む第一の記録層を形成し、Geを主成分として含む第二の記録層を形成した点を除き、実施例1と同様にして、光記録媒体サンプル#6−1、#6−2および#6−3を作製した。
【0119】
実施例7
Znを主成分として含む第一の記録層を形成し、Cを主成分として含む第二の記録層を形成した点を除き、実施例1と同様にして、光記録媒体サンプル#7−1、#7−2および#7−3を作製した。
【0120】
実施例8
Znを主成分として含む第一の記録層を形成し、Alを主成分として含む第二の記録層を形成した点を除き、実施例1と同様にして、光記録媒体サンプル#8−1、#8−2および#8−3を作製した。
【0121】
比較例1
Wを主成分として含む第一の記録層を形成した点を除き、実施例1と同様にして、比較光記録媒体サンプル#1−1、#1−2および#1−3を作製した。
【0122】
比較例2
Znを主成分として含む第一の記録層を形成し、Wを主成分として含む第二の記録層を形成した点を除き、実施例1と同様にして、比較光記録媒体サンプル#2−1、#2−2および#2−3を作製した。
【0123】
実施例1ないし実施例8ならびに比較例1および比較例2にしたがって作製された光記録媒体サンプルに、以下のようにして、データを光記録した。
【0124】
すなわち、実施例1ないし8ならびに比較例1および2にしたがって作製した光記録媒体サンプルを、順次、パルステック工業株式会社製の光記録媒体評価装置「DDU1000」(商品名)にセットし、以下の条件で、各光記録媒体サンプルにデータを光記録した。
【0125】
波長が405nmの青色レーザ光を、記録用レーザ光として用い、NA(開口数)が0.85の対物レンズを用いて、レーザ光を、光透過層を介して、集光し、下記の記録信号条件で、データを光記録した。
【0126】
データの光記録は、実施例および比較例のそれぞれの各光記録媒体サンプルごとに、レーザ光のパワーを変化させて、おこなった。
【0127】
記録信号条件は、以下のとおりであった。
【0128】
変調方式:(1,7)RLL
チャンネルビット長:0.12μm
記録線速度:5.3m/秒
チャンネルクロック:66MHz
記録信号:8T
次いで、上述の光媒体評価装置を用いて、各光記録媒体サンプルに記録されたデータを再生し、再生信号のC/N比の値を測定した。データの再生にあたっては、レーザ光の波長を405nm、対物レンズのNA(開口数)を0.85とし、レーザ光のパワーを0.3mWとした。ここに、レーザ光のパワーは、光透過層の表面におけるレーザ光のパワーとして、定義した。
【0129】
こうして、それぞれの光記録媒体サンプルにつき、最も高いC/N比の値および最も高いC/N比を有する再生信号が得られたときのレーザ光のパワーを測定した。
【0130】
測定結果は、表1に示されている。
【0131】
表1においては、実施例1ないし8ならびに比較例1および2のそれぞれにしたがって作製された3つの光記録媒体サンプルのうち、最も高いC/N比の値が得られた光記録媒体サンプルのデータが示されている。
【0132】
ここに、実験に用いた光媒体評価装置のレーザ光の最高パワーは10.0mWであったため、レーザ光パワーを10.0mWまで高めても、C/N比の値が飽和しなかった場合には、最も高いC/N比を有する再生信号が得られるレーザパワーが10.0mWを越えていると判定し、レーザ光のパワー値を10.0mWとし、星印を付した。
【0133】
【表1】
表1から明らかなように、実施例1ないし実施例8にしたがって作製された光記録媒体サンプルにおいては、再生信号のC/N比を測定することができ、とくに、実施例1ないし実施例3および実施例6ないし8にしたがって作製された光記録媒体サンプルにおいては、再生信号のC/N比が40dBを越え、実施例6にしたがって作製された光記録媒体サンプルにおいては、再生信号のC/N比が50dBを越えており、データの記録・再生特性が良好であることが判明した。
【0134】
これに対して、比較例1および比較例2にしたがって作製された光記録媒体においては、再生信号のC/N比を測定することができず、データの記録・再生が困難であることが判明した。
【0135】
さらに、実施例1ないし3および実施例5ないし7にしたがって作製された光記録媒体サンプルにおいては、最も高いC/N比を有する再生信号が得られたときのレーザ光のパワーが10mW未満であり、実施例1ないし3および実施例5ないし7にしたがって作製された光記録媒体が高い記録感度を有していることが判明した。
【0136】
実施例9
2nmの厚さを有する第二の記録層を形成し、2nmの厚さを有する第一の記録層を形成した点を除き、実施例1と同様にして、光記録媒体を作製した。
【0137】
実施例10
6nmの厚さを有する第二の記録層を形成し、6nmの厚さを有する第一の記録層を形成した点を除き、実施例1と同様にして、光記録媒体を作製した。
【0138】
実施例11
8nmの厚さを有する第二の記録層を形成し、8nmの厚さを有する第一の記録層を形成した点を除き、実施例1と同様にして、光記録媒体を作製した。
【0139】
実施例12
12nmの厚さを有する第二の記録層を形成し、12nmの厚さを有する第一の記録層を形成した点を除き、実施例1と同様にして、光記録媒体を作製した。
【0140】
比較例3
15nmの厚さを有する第二の記録層を形成し、15nmの厚さを有する第一の記録層を形成した点を除き、実施例1と同様にして、光記録媒体を作製した。
【0141】
比較例4
20nmの厚さを有する第二の記録層を形成し、20nmの厚さを有する第一の記録層を形成した点を除き、実施例1と同様にして、光記録媒体を作製した。
【0142】
実施例1ないし8ならびに比較例1および2にしたがって作製した光記録媒体にデータを光記録したのと同様にして、実施例9ないし12ならびに比較例3および4にしたがって作製した光記録媒体にデータを光記録し、記録信号(8T)のC/N比を測定した。データの記録に用いたレーザビームのパワーは8mWに固定した。
【0143】
測定結果は、図3に示されている。
【0144】
図3に示されるように、データを記録する際に用いたレーザ光のパワーが8mWの場合、第一の記録層および第二の記録層の総厚が大きくなるにしたがって、再生信号のC/N比が低下し、第一の記録層および第二の記録層の総厚が12nm以下であるときは、再生信号のC/N比が40dB以上であったが、第一の記録層と第二の記録層の総厚が16nm以上であるときは、再生信号のC/N比が40dB未満に低下することが判明した。
【0145】
さらに、データを記録する際に用いたレーザ光のパワーが8mWの場合に、再生信号のC/N比が40dB未満であった実施例11の光記録媒体に、9mWのパワーのレーザ光を用いて、データを光記録し、記録信号(8T)のC/N比を測定し、データを記録する際に用いたレーザ光のパワーが8mWの場合に、再生信号のC/N比が40dB未満であった実施例12ならびに比較例3および4の光記録媒体に、10mWのパワーのレーザ光を用いて、データを光記録し、記録信号(8T)のC/N比を測定した。
【0146】
測定結果は、図4に示されている。
【0147】
図4に示されるように、第一の記録層および第二の記録層の総厚が30nm以上である比較例3および4の光記録媒体においては、データを記録する際に用いるレーザ光のパワーを増大させても、再生信号のC/N比は40dB未満であったが、第一の記録層および第二の記録層の総厚が24nm以下である実施例11および12の光記録媒体においては、データを記録する際に用いるレーザ光のパワーを増大させた結果、再生信号のC/N比を40dB以上に向上させることが可能であることが判明した。
【0148】
実施例13
5nmの厚さを有する第二の記録層を形成し、5nmの厚さを有する第一の記録層を形成した点を除き、実施例1と同様にして、光記録媒体を作製した。
【0149】
実施例14
Znを主成分として含む第二の記録層に、Mgを添加した点を除いて、実施例13と同様にして、光記録媒体を作製した。
【0150】
Mgの添加量を変えて、同様にして、3つの光記録媒体を作製した。
【0151】
実施例15
Znを主成分として含む第二の記録層に、Alを添加した点を除いて、実施例13と同様にして、光記録媒体を作製した。
【0152】
Alの添加量を変えて、同様にして、3つの光記録媒体を作製した。
【0153】
実施例16
Znを主成分として含む第二の記録層に、Cuを添加した点を除いて、実施例13と同様にして、光記録媒体を作製した。
【0154】
Cuの添加量を変えて、同様にして、3つの光記録媒体を作製した。
【0155】
実施例13ないし実施例16にしたがって作製された光記録媒体の未記録部の16.5MHzおよび4.1MHzの周波数帯域でのノイズを測定した。
【0156】
実施例14ないし16にしたがって作製された光記録媒体についての測定結果は、それぞれ、図5ないし図7に示されている。
【0157】
図5ないし図7において、元素の添加量が0原子%のデータは、それぞれ、実施例13にしたがって作製された光記録媒体のデータである。
【0158】
図5に示されるように、Znを主成分として含む第二の記録層に、Mgを添加すると、16.5MHzおよび4.1MHzの周波数帯域でのノイズレベルが低減されることが判明した。また、16.5MHzおよび4.1MHzの周波数帯域のいずれにおいても、Mgの添加量が約24原子%以下の領域では、Mgを添加しても、大きなノイズレベルの低下は認められなかったが、Mgの添加量が約24原子%を越えると、Mgの添加量が増えるにしたがって、ノイズレベルが大きく低下することがわかった。ここに、第二の記録層は、Znを主成分として含んでいるから、図5におけるMgの添加量が50原子%を越えたデータは参考データである。
【0159】
また、図6に示されるように、Znを主成分として含む第二の記録層に、Alを添加すると、16.5MHzおよび4.1MHzの周波数帯域でのノイズレベルが低減されることが判明した。また、16.5MHzおよび4.1MHzの周波数帯域のいずれにおいても、Alの添加量が約24原子%以下の領域では、Alを添加することにより、ノイズレベルの低下が顕著であったが、Alの添加量が約24原子%を越えると、Alの添加量を増大させても、ノイズレベルの低下はわずかであることがわかった。
【0160】
さらに、図7に示されるように、Znを主成分として含む第二の記録層に、Cuを添加すると、16.5MHzおよび4.1MHzの周波数帯域でのノイズレベルが低減されることが判明した。また、16.5MHzおよび4.1MHzの周波数帯域のいずれにおいても、Cuの添加量が約24原子%以下の領域では、Cuを添加することにより、ノイズレベルの低下が顕著であったが、Cuの添加量が約24原子%を越えると、Cuの添加量を増大させても、ノイズレベルの低下はわずかであることがわかった。
【0161】
実施例17
Siを主成分として含み、6nmの層厚を有する第一の記録層を形成し、Znを主成分として含み、36原子%のCuが添加された6nmの層厚を有する第二の記録層を形成した点を除き、実施例1と同様にして、光記録媒体を作製した。
【0162】
実施例18
8nmの層厚を有する第一の記録層を形成し、8nmの層厚を有する第二の記録層を形成した点を除き、実施例17と同様にして、光記録媒体を作製した。
【0163】
実施例19
12nmの層厚を有する第一の記録層を形成し、12nmの層厚を有する第二の記録層を形成した点を除いて、実施例17と同様にして、光記録媒体を作製した。
【0164】
実施例20
15nmの層厚を有する第一の記録層を形成し、15nmの層厚を有する第二の記録層を形成した点を除いて、実施例17と同様にして、光記録媒体を作製した。
【0165】
比較例5
20nmの層厚を有する第一の記録層を形成し、20nmの層厚を有する第二の記録層を形成した点を除いて、実施例17と同様にして、光記録媒体を作製した。
【0166】
実施例1ないし8ならびに比較例1および2にしたがって作製した光記録媒体にデータを光記録したのと同様にして、実施例17ないし20および比較例5にしたがって作製した光記録媒体にデータを光記録し、記録信号(8T)のC/N比を測定した。データの記録に用いたレーザビームのパワーは8mWに固定した。
【0167】
測定結果は、図8に示されている。
【0168】
図8に示されるように、Znを主成分として含む第二の記録層に、Cuを添加した場合でも、第一の記録層および第二の記録層の総厚が大きくなるにしたがって、再生信号のC/N比の低下が認められたが、図3に示されたCuが添加されていない場合に比して、再生信号のC/N比の低下は緩やかであり、第一の記録層および第二の記録層の総厚が30nmの場合にも、再生信号のC/N比は40dBを越えていた。
【0169】
したがって、Znを主成分として含む第二の記録層に、Cuを添加することによって、第一の記録層および第二の記録層の総厚の増大に起因する再生信号のC/N比の低下を抑制し得ることが判明した。
【0170】
実施例21
以下のようにして、光記録媒体サンプル#A−1を作製した。
【0171】
すなわち、まず、厚さ0.6mm、直径120mmのポリカーボネート基板をスパッタリング装置にセットし、次いで、ポリカーボネート基板上に、ZnSとSiO2の混合物を含み、60nmの層厚を有する第二の誘電体層、Znを主成分として含み、5nmの層厚を有する第二の記録層、Siを主成分として含み、5nmの層厚を有する第一の記録層、ZnSとSiO2の混合物を含み、60nmの層厚を有する第一の誘電体層を、順次、スパッタリング法によって、形成した。
【0172】
第一の誘電体層および第二の誘電体層に含まれたZnSとSiO2の混合物中のZnSとSiO2のモル比率は、80:20であった。
【0173】
次いで、第一の誘電体層の表面上に、厚さ0.6mm、直径120mmのポリカーボネート板を貼り合わせて、光透過層を形成し、光記録媒体サンプル#A−1を作製した。
【0174】
比較例6
50nmの厚さを有する第二の記録層および50nmの厚さを有する第一の記録層を形成した点を除き、光記録媒体サンプル#A−1と同様にして、光記録媒体サンプル#A−2を作製した。
【0175】
実施例22
Siを主成分として含む第二の記録層を形成し、Znを主成分として含む第一の記録層を形成した点を除き、実施例21と同様にして、光記録媒体サンプル#B−1を作製した。
【0176】
比較例7
Siを主成分として含む第一の記録層を形成し、Znを主成分として含む第二の記録層を形成した点を除き、比較例6と同様にして、光記録媒体サンプル#B−2を作製した。
【0177】
次いで、開口数NAが0.6の対物レンズを用いて、波長635nmのレーザ光を、ポリカーボネート板を貼り合わせて形成した光透過層側から、光記録媒体サンプル#A−1、#A−2、#B−1および#B−2のそれぞれに集光し、5.3m/秒の線速度で、16.5MHzおよび4.1MHzの周波数帯域での未記録部のノイズを測定した。
【0178】
レーザ光のパワーは、1.0mWであった。
【0179】
実施例21および比較例6についての測定結果は図9に示され、実施例22および比較例7についての測定結果は図10に示されている。
【0180】
図9および図10に示されるように、ポリカーボネート板を貼り合わせて形成した光透過層を介して、レーザ光を照射し、データを記録した場合には、実施例21および実施例22のいずれにおいても、第一の記録層および第二の記録層の総厚が大きくなるにしたがって、4.1MHzの周波数帯域での未記録部のノイズレベルが増大することが判明した。これは、第一の記録層および第二の記録層が厚くなるにしたがって、レーザ光が入射する第一の記録層の表面の平滑性が悪化するためと推測される。
【0181】
比較例8
実施例21、比較例6、実施例22および比較例7と同様にして、光記録媒体サンプル#A−1、#A−2、#B−1および#B−2を作製した。
【0182】
次いで、ポリカーボネート基板を介して、各光記録媒体サンプルに、レーザ光を照射した点以外は、実施例21、比較例6、実施例22および比較例7と同様にして、16.5MHzおよび4.1MHzの周波数帯域での未記録部のノイズを測定した。
【0183】
実施例21および比較例6にしたがって作製した光記録媒体サンプル#A−1および#A−2についての測定結果は図11に示され、実施例22および比較例7にしたがって作製した光記録媒体サンプル#B−1および#B−2についての測定結果は図12に示されている。
【0184】
図11および図12に示されるように、ポリカーボネート基板を介して、各光記録媒体サンプルに、レーザ光を照射して、データを記録した場合には、第一の記録層の厚さおよび第二の記録層の厚さと、未記録部のノイズレベルとの相関は認められなかった。これは、第一の記録層の厚さおよび第二の記録層の厚さが変化しても、レーザ光が入射する第二の記録層のポリカーボネート基板側の表面の平滑性が変化しないためと推測される。
【0185】
本発明は、以上の実施態様および実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0186】
たとえば、前記実施態様および前記実施例においては、第一の記録層31と第二の記録層32が、互いに接触するように形成されているが、第二の記録層32は、レーザ光の照射を受けたときに、第一の記録層31に主成分として含まれている元素と、第二の記録層12に主成分として含まれている元素とが混合した領域が形成されるように、第一の記録層31の近傍に配置されていればよく、第一の記録層31と第二の記録層32が、互いに接触するように形成されていることは必ずしも必要でなく、第一の記録層31と第二の記録層32の間に、誘電体層などの一または二以上の他の層が介在していてもよい。
【0187】
また、前記実施態様および前記実施例においては、光記録媒体10は、第一の記録層31および第二の記録層32を備えているが、第一の記録層31および第二の記録層32に加えて、一もしくは二以上のSi、Ge、CおよびAlよりなる群から選ばれる元素を主成分として含む記録層または一もしくは二以上のZnを主成分として含む記録層を備えていてもよい。
【0188】
さらに、前記実施態様および前記実施例においては、第一の記録層31が光透過層16側に配置され、第二の記録層32が基板11側に配置されているが、第一の記録層31を基板11側に配置し、第二の記録層32を光透過層16側に配置することもできる。
【0189】
また、前記実施態様および前記実施例においては、光記録媒体10は、第一の誘電体層15および第二の誘電体層13を備え、第一の記録層31および第二の記録層32が、第一の誘電体層15および第二の誘電体層13の間に配置されているが、光記録媒体10が、第一の誘電体層15および第二の誘電体層13を備えていることは必ずしも必要でなく、誘電体層を備えていなくてもよい。また、光記録媒体10は、単一の誘電体層を有していてもよく、その場合には、誘電体層は、第一の記録層31および第二の記録層32に対して、基板11側に配置されていても、あるいは、光透過層16側に配置されていてもよい。
【0190】
さらに、前記実施例においては、第一の記録層と第二の記録層は、同じ厚さを有するように形成されているが、第一の記録層と第二の記録層を、同じ厚さを有するように形成することは必ずしも必要でない。
【0191】
また、前記実施態様および実施例1ないし20においては、光記録媒体10は反射層12を備えているが、レーザ光が照射された結果、第一の記録層31に主成分として含まれた元素と、第二の記録層32に主成分として含まれたZnが混合して形成された混合領域Mにおける反射光のレベルと、レーザ光が照射されていない領域における反射光のレベルの差が十分に大きい場合には、反射層12を省略することができる。
【0192】
【発明の効果】
本発明によれば、基板とは反対側から、レーザ光を照射して、データを記録し、再生する光記録媒体であって、再生された信号中のノイズレベルを低減し、C/N比を向上させることができる二層以上の記録層を備えた光記録媒体を提供することが可能になる。
【0193】
また、本発明によれば、環境に与える負荷がより小さな材料を用いて、作製することができ、長期間の保存に対する信頼性が高い光記録媒体を提供することが可能になる。
【0194】
さらに、本発明によれば、再生された信号中のノイズレベルを低減し、C/N比を向上させることができる光記録媒体への光記録方法を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の好ましい実施態様にかかる光記録媒体の構造を示す略断面図である。
【図2】図2(a)は、図1に示された光記録媒体の一部拡大略断面図であり、図2(b)は、データが記録された後の光記録媒体の一部拡大略断面図である。
【図3】図3は、第一の記録層と第二の記録層の総厚とC/N比との関係を示すグラフである。
【図4】図4は、第一の記録層と第二の記録層の総厚とC/N比との関係を示すグラフである。
【図5】図5は、第二の記録層に添加したMgの添加量とノイズレベルとの関係を示すグラフである。
【図6】図6は、第二の記録層に添加したAlの添加量とノイズレベルとの関係を示すグラフである。
【図7】図7は、第二の記録層に添加したCuの添加量とノイズレベルとの関係を示すグラフである。
【図8】図8は、第一の記録層と第二の記録層の総厚とC/N比との関係を示すグラフである。
【図9】図9は、第一の記録層と第二の記録層の総厚と、光透過層を介して、実施例21および比較例6にしたがって作製された各光記録媒体サンプルにレーザ光を照射して、データを記録した場合のノイズレベルとの関係を示すグラフである。
【図10】図10は、第一の記録層と第二の記録層の総厚と、光透過層を介して、実施例22および比較例7にしたがって作製された各光記録媒体サンプルにレーザ光を照射して、データを記録した場合のノイズレベルとの関係を示すグラフである。
【図11】図11は、第一の記録層と第二の記録層の総厚と、ポリカーボネート基板を介して、実施例21および比較例6にしたがって作製された各光記録媒体サンプル各光記録媒体サンプルにレーザ光を照射して、データを記録した場合のノイズレベルとの関係を示すグラフである。
【図12】図12は、第一の記録層と第二の記録層の総厚と、ポリカーボネート基板を介して、実施例22および比較例7にしたがって作製された各光記録媒体サンプル各光記録媒体サンプルにレーザ光を照射して、データを記録した場合のノイズレベルとの関係を示すグラフである。
【符号の説明】
10 光記録媒体
11 基板
11a グルーブ
11b ランド
12 反射層
13 第二の誘電体層
15 第一の誘電体層
16 光透過層
17 センターホール
31 第一の記録層
32 第二の記録層
L10 レーザ光
M 混合領域
Claims (12)
- 基板と、前記基板上に設けられ、Si、Ge、CおよびAlよりなる群から選ばれる元素を主成分として含む第一の記録層と、前記第一の記録層の近傍に位置し、Znを主成分として含み、Mg、CuおよびAlよりなる群から選ばれた少なくとも一種の元素が添加された第二の記録層とを備え、データの記録時に、450nm以下の波長λの所定のパワーを有するレーザ光が、λ/NA≦640nmを満たす開口数NAを有する対物レンズを介して、前記基板と反対側から照射されたときに、前記第一の記録層に主成分として含まれた元素と前記第二の記録層に主成分として含まれた元素とが混合した領域が形成されるように構成され、前記第一の記録層と前記第二の記録層の総厚が30nm以下であることを特徴とする光記録媒体。
- 前記第二の記録層が、前記第一の記録層に接するように、形成されたことを特徴とする請求項1に記載の光記録媒体。
- 前記第一の記録層が、Si、GeおよびCよりなる群から選ばれる元素を主成分として含んでいることを特徴とする請求項1または2に記載の光記録媒体。
- 前記第二の記録層に、Mgが添加されているときは、添加量が24原子%以上、50原子%未満であり、Cuが添加されているときは、添加量が17原子%以上、50原子%未満であり、Alが添加されているときは、添加量が24原子%以上、50原子%未満であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の光記録媒体。
- 前記第一の記録層と前記第二の記録層の総厚が2nm以上であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の光記録媒体。
- 前記第一の記録層と前記第二の記録層の総厚が2nmないし24nmであることを特徴とする請求項5に記載の光記録媒体。
- 前記第一の記録層と前記第二の記録層の総厚が2nmないし12nmであることを特徴とする請求項6に記載の光記録媒体。
- 前記第一の記録層と前記第二の記録層の総厚が2nmないし10nmであることを特徴とする請求項7に記載の光記録媒体。
- さらに、前記第一の記録層および前記第二の記録層に対して、前記基板とは反対側に設けられた光透過層と、前記光透過層と前記第一の記録層および前記第二の記録層との間に設けられた第一の誘電体層と、前記第一の記録層および前記第二の記録層と前記基板との間に設けられた第二の誘電体層を備えたことを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載の光記録媒体。
- さらに、前記基板と前記第二の誘電体層との間に、反射層が設けられたことを特徴とする請求項9に記載の光記録媒体。
- 前記光記録媒体が追記型光記録媒体として構成されたことを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1項に記載の光記録媒体。
- 基板と、前記基板上に設けられ、Si、Ge、CおよびAlよりなる群から選ばれる元素を主成分として含む第一の記録層と、前記第一の記録層の近傍に位置し、Znを主成分として含み、Mg、CuおよびAlよりなる群から選ばれた少なくとも一種の元素が添加された第二の記録層とを備え、前記第一の記録層と前記第二の記録層の総厚が30nm以下である光記録媒体に、450nm以下の波長λの所定のパワーを有するレーザ光を、λ/NA≦640nmを満たす開口数NAを有する対物レンズを介して、前記基板と反対側から照射し、前記第一の記録層に主成分として含まれた元素と前記第二の記録層に主成分として含まれた元素とが混合した領域を形成することを特徴とする光記録方法。
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