JP4319439B2 - 切断機用支持具及び切断機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一対の切断刃によって全ネジボルト等の棒状被切断材の切断を行う切断機に関する。
【0002】
【従来の技術】
全ネジカッタ等の切断機は、固定刃と、その固定刃に対向して揺動可能に軸着される可動刃から成る一対の切断刃を備えて、ハウジングに対して両切断刃を露出させている。また、ハウジング内には、モータ駆動で回転するカムが設けられ、このカムに沿って可動刃の基端に設けたローラを摺接させることで、可動刃を揺動させてその先端を固定刃に対して開閉動作させ、両切断刃の剪断作用によって全ネジボルト等の棒状被切断材を切断可能としている(例えば、特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】
特開平8−174329号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記切断機においては、切断機を床等に置いた据置状態で切断作業を行う場合、被切断材が全ネジボルト等の棒状体では、開位置の可動刃と固定刃との間に切断部位をセットして切断を行うことになるが、長い全ネジボルトを切断する際に、全ネジボルトが傾いてしまい、可動刃の動作方向に対して被切断材を直角に固定することが難しかった。
そこで、本発明は上記問題点に鑑み、切断機を床等に置いた据置状態で棒状被切断材の切断を行う場合であっても、被切断材が傾くことがなく良好に切断することを可能とする切断機用支持具及び切断機を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、一対の切断刃を有し、棒状の被切断材を前記一対の切断刃により切断可能とする切断機のハウジングに装着して、被切断材を支持させる切断機用支持具であって、略中央に前記ハウジング後部に嵌挿可能な装着孔を備えているとともに、被切断材を支持する複数の切断支持部、及び前記切断機の据置状態を支持する据置支持部を周囲に備えた板状体からなり、円周方向に角度を変えて前記ハウジングを着脱して、使用する前記切断支持部を選択することにより、異なる径の被切断材に対応可能なことを特徴とする。
この切断機支持具によれば、切断機に装着することで、切断機を床等に置いた据置状態で被切断材を切断する場合であっても、被切断材の径に合わせて切断支持部を選択することで、切断材を正確に支持でき、被切断材が傾くことがなく良好に切断できる。また、切断機の据置状態を安定させることができ、更に良好に切断できる。さらに、切断支持部の選択は、支持具の着脱操作により行うので、複数の切断支持部を設けても、支持具は簡易な形状で済む。また、支持具は着脱可能としたものであるから、切断機の使用形態に応じて支持具が邪魔になる場合は取り外しておけば良い。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記ハウジングの一部が係止する係止凹部を複数設け、前記ハウジングに係止させる前記係止凹部を選択することにより、使用する前記切断支持部を選択可能としたことを特徴とする。
この構成により、作業者は切断支持具を装着する際、切断支持部の位置を強く意識することなく最良の角度で切断支持具を装着でき更に固定できるし、切断機への装着後に回転移動等することがないので、被切断材を良好に支持することができる。
【0008】
請求項3の発明は、固定刃と、該固定刃に対して開閉動作する可動刃とを有し、棒状の被切断材を前記固定刃及び可動刃により切断可能とする切断機であって、請求項1又は2に記載の支持具を着脱可能に又は一体に装着して成ることを特徴とする。
この切断機によれば、支持具を装着することで、床等に置いた据置状態で被切断材の切断を行う場合であっても、被切断材が傾くことがなく良好に切断できる。
【0009】
請求項4の発明は、請求項3に記載の切断機において、着脱可能な支持具を装着した切断機にあっては、支持具を位置決めする位置決め手段を備えて成ることを特徴とする。
このように位置決め手段を設けたので、装着した支持具は最適角度で容易に装着でき、装着後は回転移動等することがないので、被切断材を良好に支持できる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1、図2は本発明に係る切断機としての全ネジカッタを示し、図1(a)は背面図、図1(b)はその要部拡大図、図2(a)は平面図、図2(b)は右側面図を示している。図において、1は全ネジカッタの本体を構成するハウジング、2は切断刃の一方を構成する固定刃、3は切断刃の他方を構成する可動刃、4は切断する被切断材である全ネジボルトを支持する支持具であり、5は全ネジボルトを示している。
ハウジング1は、可動刃3を駆動するためのモータ,減速装置,カム等(何れも図示せず)を収容する胴部1aと、把持操作するハンドル部1bと、バッテリパック装着部1cから構成され、7は装着されたバッテリパックを示している。そして、作業者がハンドル部1bを把持した状態でハンドル部1b近傍に設けられたスイッチ6を操作することで、可動刃3が固定刃2に対して閉動作(切断動作)及び開動作するように構成されている。また、固定刃2及び可動刃3はハウジング1の前方の上部中央に設けられ、支持具4は胴部1aの後端部に取り付けられている。
【0011】
支持具4は、中央に胴部1aの後端部に形成した支持具装着部8を嵌挿する円形の装着孔11が形成された略円弧形状を成し、周囲4カ所に全ネジボルト5を支持する切断支持部12(12a〜12d)が配置形成され、更に周囲に全ネジカッタを床等に置いた据置状態が安定するように、ハウジング1を支持する据置支持部13が夫々の切断支持部12に対応させて形成されている。また、図2に示すように、支持具4は略同一形状の金属板4aと樹脂板4bを重ねて板状に形成され、金属板4aを使用することで切断支持部12に全ネジボルト5が当接しても切断支持部12の摩耗を防止すると共に、樹脂板4bを使用することで胴部1aへの着脱操作をし易くしている。
【0012】
一方、胴部1aの後端部に設けた支持具装着部8は、支持具4の装着孔11に合致する同一径の円筒状に形成され、支持具4の装着孔11への嵌挿操作で支持具4はハウジング1へ装着されるようになっている。
そして、支持具4を円周方向に回転して角度を変えて胴部1aへ装着することで、4つの切断支持部12のうち最適な切断支持部12を選択できるようになっている。但し、支持具装着部8の1カ所、据置状態で下面となる胴部1a側面に、装着した支持具4の位置決めをすると共に回転を阻止する位置決め手段としての係止突起9が設けられ、対応する支持具4の装着孔11周囲には、係止突起9を挿入させる係止凹部14が設けられている。この係止凹部14は夫々の切断支持部12に対応して3カ所設けられている。
【0013】
支持具4に形成された4つの切断支持部12は、装着孔11の中心に向けてU字状に切り欠いて形成され、異なった4つの径の全ネジボルト5に対応するよう(ここでは、切断支持部12aがM8及び5/16インチ、切断支持部12bがM10、切断支持部12cが3/8インチ、切断支持部12dがM6の全ネジボルトに夫々対応する)夫々異なった幅で形成されている。また、これらの切断支持部12の端部は、据置状態で上方となる一方を低く他方を高くして段違いに形成することで、支持する全ネジボルト5の挿入操作をし易くしている。
そして、切断する全ネジボルト5が、可動刃3の動作方向に対して直交方向となる胴部1aの長手方向に平行に支持されるように、即ち使用する切断支持部12がハウジング1の上方を向いて固定されるように各係止凹部14は配置されている。このように、係止突起9及び係止凹部14を設けることで、作業者は支持具4を装着する際、切断支持部12の位置を強く意識することなく最良の角度で支持具4を装着でき更に固定できる。
【0014】
尚、図1に示すように、全ネジカッタの胴部1aは、可動刃3やカムが収容されている先端部及び装着したバッテリパック7に比べて細く形成されているため、左側面を下に向けて置いた状態が据置状態となるように設計した場合、据置支持部13は図示するように装着時に左側となる部位に形成されている。このように据置支持部を設けることで、全ネジカッタの据置状態を安定させることができ、精度良く全ネジボルトを切断することができる。
【0015】
以上の如く構成された全ネジカッタを据置状態で使用する場合、まず切断する全ネジボルトの径に合う切断支持部12を選択して支持具をハウジングに装着する。このとき選択した切断支持部12が切断刃の後方となる胴部1aの上方を向くように装着操作する。この装着操作で、係止突起9と係止凹部14の係止作用により、切断支持部12は切断刃の後方、即ち胴部1aの前後方向(長手方向)に平行する位置に確実に配置される。
図3は、このように切断する全ネジボルト5の径に合わせて角度を変えて支持具4を装着した全ネジカッタの背面図を示し、(a)から(d)の順に4カ所設けた切断支持部12a〜12dを夫々使用する形態を示している。(a),(b)は樹脂板4bを前方にして装着し、(c),(d)は金属板4aを前方にして装着している。このように反転して使用することで、据置支持部13や係止凹部14を切断支持部12と同数設けずに済む。
【0016】
そして、支持具4を装着したら、全ネジカッタを床等に置き、図2に示すように、全ネジボルト5の切断部位を開位置の固定刃2と可動刃3の間に配置し、その後方を支持具4の切断支持部12に挿入支持させる。この状態でスイッチ6を操作して切断操作する。
この操作で、全ネジカッタは据置支持部13により据置状態で安定するし、切断時に全ネジボルト5の後部を支持具4が支持しているので、作業者は全ネジボルト5の後部を把持して全ネジボルト5を切断支持部12に軽く押し当てるだけで、全ネジボルト5を可動刃3の動作方向に対して直交する方向に固定することができ、長い全ネジボルトでも正確な切断を簡単に行うことになる。
【0017】
このように、被切断材を支持する切断支持部を備えた支持具を切断機に装着することで、据置状態で被切断材の切断を行う場合に被切断材が傾くことが無く良好に切断できるし、複数設けた切断支持部を被切断材の径に合わせて選択して使用することで、切断材を正確に支持できる。
また、据置支持部を有するので、切断機の据置状態を安定させることができ、作業者は簡易な切断機操作で良好に切断操作できる。
更に、切断支持部の選択は、支持具の着脱操作により行うので、複数の切断支持部を設けても支持具は簡易な形状で済むし、切断機の使用形態に応じて必要ないときは取り外しておけば良く、例えば天井から垂下した状態の被切断材を切断する場合、支持具が邪魔に成るようなことがない。
また、位置決め手段としてハウジングに係止突起を設け、支持具に係止凹部を設けたので、支持具は最適角度で容易に装着でき、装着後は回転移動等することがないので、被切断材を良好に支持する。
【0018】
尚、上記の実施形態では、支持具4を、一部を切り欠いた円弧状にしているが、完全なリング形状としても良い。また、略同一形状の金属板4aと樹脂板4bを重ねて形成しているが、切断支持部12を金属のみで形成し、胴部1aを嵌挿する装着孔11形成部を樹脂のみで形成しても良いし、全体を硬質樹脂で形成しても良い。
また、支持具4を胴部に着脱操作することで切断支持部12を選択するようにしているが、胴部に嵌めた状態で回転可能に構成すれば、取り外すことなく切断支持部を選択できる。例えば、嵌挿位置を2段に形成して2段目に係止突起を設けて、1段目では回転可能とすれば、ハウジングを嵌挿した状態で切断支持部を変更できるし、上記実施形態と同様に支持具は簡易な形状のままで済む。
更に、支持具自体に回転部を設けて、ハウジングに装着した状態で切断支持部を回転して選択可能としても良い。この場合、更に切断支持部を倒置可能に形成すれば、支持具を使用しない場合は切断支持部を倒置しておくことで、支持具を取り外さなくても邪魔になることがない。
また、据置支持部13はハウジング1に一体形成しても良い。
【0019】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の切断機用支持具によれば、切断機に装着することで、切断機を床等に置いた据置状態で棒状被切断材の切断を行う場合であっても、被切断材が傾くことがなく良好に切断できる。また、被切断材の径に合わせて切断支持部を選択することで、切断材を正確に支持できる。
更に、切断支持部の選択は、支持具の着脱操作により行うので、複数の切断支持部を設けても、支持具は簡易な形状で済むし、支持具は着脱可能としたものであるから、切断機の使用形態に応じて支持具が邪魔になる場合は取り外しておけば良い。
加えて、ハウジングの一部が係止する係止凹部を複数設け、ハウジングに係止させる係止凹部を選択することにより、使用する切断支持部を選択可能としているため、作業者は切断支持具を装着する際、切断支持部の位置を強く意識することなく最良の角度で切断支持具を装着でき更に固定できし、切断機への装着後に回転移動等することがないので、被切断材を良好に支持することができる。
【0020】
本発明の切断機によれば、支持具を装着することで、床等に置いた据置状態で棒状被切断材の切断を行う場合であっても、被切断材が傾くことがなく良好に切断できる。また、位置決め手段により、装着した支持具は最適角度で容易に装着でき、装着後は回転移動等することがないので、被切断材を良好に支持できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る切断機の実施形態の一例を示し、(a)は背面図、(b)は要部である支持具の拡大図である。
【図2】(a)は図1の切断機の平面図である。
(b)は図1の切断機の右側面図である。
【図3】 (a)〜(d)は支持具の装着角度を変えた切断機の背面図である。
【符号の説明】
1・・ハウジング、1a・・胴部、1b・・ハンドル部、1c・・バッテリパック装着部、2・・固定刃、3・・可動刃。4・・支持具、5・・被切断材としての全ネジボルト、8・・支持具装着部、9・・係止突起、11・・装着孔、12・・切断支持部、13・・据置支持部、14・・係止凹部。

Claims (4)

  1. 一対の切断刃を有し、棒状の被切断材を前記一対の切断刃により切断可能とする切断機のハウジングに装着して、被切断材を支持させる切断機用支持具であって、
    略中央に前記ハウジング後部に嵌挿可能な装着孔を備えているとともに、被切断材を支持する複数の切断支持部、及び前記切断機の据置状態を支持する据置支持部を周囲に備えた板状体からなり、
    円周方向に角度を変えて前記ハウジングを着脱して、使用する前記切断支持部を選択することにより、異なる径の被切断材に対応可能なことを特徴とする切断機用支持具。
  2. 前記ハウジングの一部が係止する係止凹部を複数設け、前記ハウジングに係止させる前記係止凹部を選択することにより、使用する前記切断支持部を選択可能としたことを特徴とする請求項1に記載の切断機用支持具。
  3. 固定刃と、該固定刃に対して開閉動作する可動刃とを有し、棒状の被切断材を前記固定刃及び可動刃により切断可能とする切断機であって、
    請求項1又は2に記載の支持具を着脱可能に又は一体に装着して成ることを特徴とする切断機。
  4. 着脱可能な支持具を装着した切断機にあっては、支持具を位置決めする位置決め手段を備えて成る請求項3に記載の切断機。
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