JP4319129B2 - パンツ型紙おむつ - Google Patents

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この発明は、特に夜間に使用するのに好適なパンツ型紙おむつに関する。
紙おむつとしては、従来、腹側の両側縁部と背側の両側縁部とが予め接合固定されたパンツ型紙おむつと、おむつ使用時(装着時)に腹側の左右両側縁と背側の左右両側縁とを接合するタイプのいわゆるテープ式紙おむつとが開発されている。
パンツ型紙おむつは、下着パンツと同様の形状をなしており、着用のし易さや着用時のボリューム感の少なさから昼間の着用に向いており、テープ式紙おむつはおむつ使用者が胴回りの締め付けを調節できることから、漏れに強い利点があり、夜間、特に就寝時の着用に適している。本発明者らが在宅介護者について調べたところによると、昼間はパンツ型紙おむつを使用し、夜間はテープ式紙おむつを使用する人は漏れ等の問題が殆ど生じていない。
特開平10−314220号公報
しかしその一方で、テープ式の装着感の悪さから夜間に長時間タイプのパンツ型紙おむつを使用している人が多く、しかもそれらの人は夜間漏れを非常に多く経験しているということが判明した。
そこで本発明の主たる課題は、漏れが発生し難く、夜間排尿量が多い人でも安心して使うことができるパンツ型紙おむつを提供することを主たる課題とする。
上記課題を解決した本発明は、トップシート、バックシート、及びこれらシート間に配置された吸収コアからなる吸収体と、
吸収体の両側部に設けられた起立カフスと、
ウエスト開口部及び左右一対の脚開口部と、
ウエスト端部に周方向に沿って伸張下に固定されたウエスト伸縮部材と、
前記ウエスト端部よりも下方に周方向に沿って伸張下に固定された腰下部伸縮部材とを有する、パンツ型紙おむつにおいて;
前記起立カフスは、一対の起立シートとこれらの間に配された不透液性もしくは疎水性の内部起立シートとが張り合わされてなる三重の起立シートにより形成されるとともに、伸縮部材が固着され、この伸縮部材の収縮作用によって起立するように構成されており、
前記三重の起立シートの内面はバックシートの裏面側に回り込み且つバックシートの裏面に固着されており、前記起立カフスは、前記三重の起立シートの固着部分の始端が起立端とされるとともに、この起立端よりも先端側が製品本体に固定されていない自由部分とされ、この自由部分における先端部および根元部に前記伸縮部材がそれぞれ設けられており、
前記起立カフスの伸縮部材は、太さが1000dtex以上であり且つ150〜300%の伸張状態で前記起立シートに固定されており、
前記腰下部伸縮部材は太さが800dtex以上であり且つ200〜350%の伸張状態で固定されており、
前記吸収体は、加圧下吸収試験による加圧下吸収量が1300cc以上となるように構成されたものであることを特徴とするパンツ型紙おむつである。
本発明によれば、漏れが発生し難く、夜間排尿量が多い人でも安心して使うことができるパンツ型紙おむつとなる。
以下、本発明の実施の形態について、主に図1によって本発明の部位や方向に関する用語説明をしつつ、図2〜4によって詳細な構造例も含めて説明する。
(基本構成)
この第1の実施形態に係るパンツ型使い捨ておむつは、図1と図2及び図3との対比からも容易に理解されるように、不透液性の外装シート1と、この外装シート1内面に固定され、股下4を中心として縦方向(前後方向)に延在する吸収体10とから主に構成されている。
外装シート1は2枚(または3枚以上でも良い)の通気・撥水性の不織布を積層固定してなり、この外装シート1の上に起立カフスC,Cと吸収体10とを重ね合わせて取り付けた後の製造工程の最終段階で、前身頃Fと後身頃Bとの両側縁部の長手方向全体を超音波シールや熱溶融などの手段により接合する(この接合部を符号30としてある)ことにより、図4に示すようにウエスト開口部WOおよび左右一対のレッグ開口部LOが形成された紙おむつとなる。
ここに図1の符号において、「縦方向」とは、腹側と背側を結ぶ方向を意味し、「周方向」とは前記縦方向と直交する方向を意味する。「ウエスト開口縁」とはウエスト開口部WOの縁5を意味し、「レッグ開口縁」とはレッグ開口部LOの縁6を意味する。「レッグ開口始端」とはレッグ開口部LOのレッグ開口縁6と接合部30と交差する位置を意味し、レッグ開口縁6の始まり個所の意味である。「胴周り部」Tとは、ウエスト開口縁5からレッグ開口始端に至る長さ範囲の全体領域を意味する。胴周り部Tは、概念的に「ウエスト端部」Wと「腰下部」Uとに分けることができる。これらの縦方向の長さは、製品のサイズによって異なるが、ウエスト端部Wは15〜50mm、腰下部Uは45〜200mmである。「股部」Lとは、レッグ開口部LOを形成する長さ範囲の全体領域を意味する。また、「中央部」とは、製品の中央線を含む側部を除く中間領域を意味する。「脇部」とは、胴周り部Tにおける両側部を意味する。
吸収体10は、図2及び図3にも示すように、不織布などからなり着用者の肌に直接触れる長方形の透液性のトップシート11と、ポリエチレンプラスチックフィルムなどからなる長方形の不透液性バックシート12と、これらシート間に配置されたある程度の剛性を有する(半剛性の)長方形の吸収コア13とから主に構成されている。吸収コアは、綿状パルプを主体とし必要に応じてSAPを含むものである。
特に本例では、吸収コア13は下層及びこれよりも幅の狭い上層からなる二層構造とされ、その全体が長方形のクレープ紙14により包むように額巻きされた上で、トップシート11およびバックシート12間に配置されている。またトップシート11は、吸収体10の両側縁を周り込んで裏面に達し、不透液性バックシート12に重ねられ、当該重なり部分においてホットメルト接着剤により接着一体化されている。さらに本例では、透液性トップシート11とクレープ紙14との間に透液性セカンドシート11Sを介在させている。図示例では、クレープ紙14上にホットメルト接着剤をスパイラル状に塗工し、その上にセカンドシート14Sを接着固定している。本例では、かかる吸収体10のほぼ裏面全体が、バックシート1上にホットメルト接着剤により接着されている。
特に本発明では、かかる吸収体10が、加圧下吸収試験による加圧下吸収量が1300cc以上、特に好適には1400〜1700ccとなるように構成される。さらに望ましくは、吸収速度試験による吸収速度が25秒以下、特に好適には15秒以下となるように構成される。さらに望ましくは、傾斜表面液流れ試験による1回目、2回目及び3回目の液流れがそれぞれ100mm以下、特に好適には80mm以下となるように構成される。
このために、例えば吸収コアのパルプ量を34.0g以上、特に好適には35.0〜40.0gとし、SAP量を25.0g以上、特に好適には27.0g〜39.0gとすることができる。また合わせて、トップシート11及びセカンドシートとしてエアスルー不織布を用いるのも好ましい。
また特に、トップシート11の目付けを15〜30g/m2、かつセカンドシートの目付けを20〜60g/m2とし、後述する圧縮試験による圧縮エネルギーWCが15〜40、かつ圧縮回復性RCが35以上となるように吸収体10を構成すると、吸収速度及び表面液流れが良好となるので好ましい。
(起立カフス)
吸収体10の両側部には、使用面側に突出する脚周り起立カフスC,Cがそれぞれ形成され、この起立カフスCは、実質的に幅方向に連続した起立シート40と、伸縮部材、たとえば糸ゴムからなる一本のまたは図示のように複数本の伸縮部材50,50…とにより構成されている。
より詳細には図2に示すように、起立カフスCは、起立シート40を三重にして形成される、すなわち一対の起立シート40,40とこれらの間に配された不透液性もしくは疎水性の内部起立シート40とが張り合わされて形成されるとともに、各伸縮部材50,50…がホットメルト接着剤などにより固着された状態で包まれたものである。各起立カフスC,Cを形成する起立シート40は、透液性でなく不透液性もしくは疎水性であるのが望ましい。本例では起立シート40を三重にするとともに内部起立シート40として不透液性に優れた別のシート(フィルム、不織布等)を張り込んで防漏性を高める構成としている。また、不織布などの透液性シートに対してシリコン処理などにより液体をはじく性質となるようにしてもよい。さらに、通気もしくは蒸気透過性を有しているのが望ましい。
三重の起立シート40の内面は、吸収体10の不透液性バックシート12の裏面側に回り込んで外面シートとの間にホットメルト接着剤などにより固着されている。その結果、三重の起立シート40のこの固着始端は、起立カフスCの起立端を形成している。この起立端より先端側は、製品本体に固定されていない自由部分である。起立シート40の縦方向前後端部においては、自由部分の先端が物品の幅方向中央側に向かう状態で物品に、具体的にはトップシート11外面にホットメルト接着剤などにより固定される。
また、伸縮部材50,50…は、少なくとも1本(図示例では2本)が自由部分にあることを基本形態とするが、特にその伸縮部材50は自由部分の先端部にあることが好ましく、さらに、図示例のように根元側にも伸縮部材50を有することが好ましい。先端部には、図示のように複数本有するのがさらに望ましい。
特に本発明においては、起立カフスC,Cの各伸縮部材50,50…は、太さが1000dtex以上、特に好適には1000〜2000dtexのものが用いられ、150〜300%、特に好適には200〜250%の伸張状態で起立シート40に固定される。具体的な伸縮部材としては糸ゴムが好適に用いられる。
図1は、紙おむつを長手方向に展開した状態を示しているが、装着時には、紙おむつが舟形に体に装着されるため、また各伸縮部材50,50…の収縮力が作用するため、製品の前後端はそのままで、脚周りでは、各伸縮部材50,50…の収縮力により起立カフスCが起立する。そしてこのとき、吸収体10の側部を変形させ持ち上げ、深いポケット空間が形成される。
左右の起立カフスC,Cで囲まれる空間は、尿または軟便の閉じ込め空間を形成する。この空間内に排尿されると、その尿は透液性トップシート11を通り吸収体10内に吸収されるとともに、軟便の固形分については、起立カフスCがバリヤーとなり、その乗り越えが防止される。
(起立カフス以外の伸縮部材)
他方、前身頃F及び後身頃Bのウエスト端部Wから股部Lの間の領域たる腰下部Uにおける外装シート1の不織布間には、腰下部伸縮部材21F,21Bが周方向に沿って伸張下に配置固定されている。本発明では、これら腰下部伸縮部材21F,21Bとしては、太さが800dtex以上、特に好適には900〜1000dtexのものが用いられ、200〜350%、特に好適には270〜290%の伸張状態で固定される。具体的な伸縮部材としては糸ゴム等を好適に用いることができる。
これら腰下部伸縮部材21F,21Bは、縦方向の間隔が15mm以下とされ、それぞれ平行に5〜40本設けられるのが好ましい。腰下部伸縮部材21F,21Bおける相互間隔は、ウエスト伸縮部材20F,20Bの間隔に対して同じか、あるいはそれよりも広いものが望ましい。
また本例ではウエスト周りのフィット性を高めるために、、図3にも示すように、ウエスト端部Wにおける外装シート1の不織布間に、ウエスト開口部WOの端縁に平行に間隔を置いて細い糸ゴムからなるウエスト伸縮部材20F,20Bが伸長下に配置固定されている。かかるウエスト伸縮部材20F,20Bの間隔および本数は適宜定めることができるが、例えば間隔としては4〜8mm程度、本数としては4〜20本程度が好ましい。このウエスト伸縮部材20F,20B及び前述の腰下部伸縮部材21F,21Bは、ウエスト端部Wおよび腰下部Uに設けられる限り、固定位置は外装シート1の不織布間に限られない。
他方、本例では、前身頃F及び後身頃Bの長手方向端部に相当するウエスト端部Wにおいて、外装シート1が製品内面側に折り返されており、この折り返し部分1R,1Rの裏面からトップシート11の前後端部にわたる押えシート9がホットメルト接着等により接着されている。
かくして形成されたおむつにおいては、後述の実施例からも明らかなように、下腹部及び臀部と対応する腰下部Uに、太さが800dtex以上の腰下部伸縮部材21F,21Bを200〜350%の伸張状態で周方向に沿って固定し、下腹部及び臀部を強く締め付けて吸収体10のフィット性を高めるとともに、吸収体の両側部にある起立カフスC,Cの伸縮部材50,50…の太さを1000dtex以上とし且つ起立シート40に対して150〜300%の伸張状態で固定して、脚周りへの起立カフスC,Cの締め付けを強くし且つ吸収体10のフィット性を高め、その上で吸収体10の加圧下吸収量を1300cc以上とし、締め付けを増強したことによる吸収力の低下を補って余りあるようになるため、夜間において排尿量が多い人でも動きの激しい人でも非常に漏れ難くなる。
(その他:伸縮部材の配置形態等)
(イ) 本発明では、腰下部伸縮部材21F,21Bを設けることを必須とするものであるが、その具体的な配置については特に限定されず、適宜変更できる。上記図1の配置形態を含めて纏めると、図5の(A)〜(F)に示すようになる。これらを比較して推測できるように、腰下部伸縮部材21F,21Bは、吸収体10を横断して周方向に連続して配置固定する形態と、吸収体10が位置する中央部には存在せず、製品の左右脇部のおいてのみ配置固定する形態とを選択的に採ることができる。
また本発明では、ウエスト伸縮部材20F,20Bを設けるか否かは適宜選択でき、ウエスト伸縮部材20F,20Bを設ける場合には、腰下部伸縮部材21F,21Bと同様に、吸収体10を横断して周方向に連続して配置固定する形態と、吸収体10が位置する中央部には存在せず、製品の左右脇部においてのみ配置固定する形態とを選択的に採ることができる。したがって、図5の(E)に示すように、ウエスト伸縮部材20F,20B、ならびに腰下部伸縮部材21F,21Bを、吸収体ABが位置する中央部には存在せず、製品の左右脇部のおいてのみ配置固定し、さらに股部伸縮部材23を設けない形態とすることもできる。また、図5の(B)、(C)等に示すように、股部Lについても周方向に沿って且つ伸張下に伸縮部材23を配設することもできる。
また、腰下部伸縮部材21Fまたは21Bは、格子網状に配設してもよい。この一例が図5の(D)に示す形態である。この種の形態でも、少なくとも周方向に沿う弾性伸縮部材は上述の太さ及び伸張状態を有するように構成するのが好ましい。
さらに、前身頃Fと後身頃Bとの間で伸縮部材の配設形態を相違させることもできる。したがって、図5の(F)に別の実施の形態として示すように、前身頃Fにおいてはウエスト伸縮部材20Fおよび腰下部伸縮部材21Fを、吸収体ABが位置する中央部には存在させず、製品の左右脇部のおいてのみ配置固定し、かつ股部伸縮部材23を設け、後身頃においてはウエスト伸縮部材20Bおよび腰下部伸縮部材21Bを吸収体10を横断して周方向に連続して配置固定し、かつ股部伸縮部材を設けない形態なども採用できる。
このように伸縮部材の配設形態は適宜であることを付言する。腰下部伸縮部材21F,21B、または股部伸縮部材23を、吸収体ABが位置する中央部には存在せず、製品の左右脇部のおいてのみ配置固定する場合において、腰下部伸縮部材21F,21B端部、または股部伸縮部材23の端部が吸収体ABの側縁部に重なる場合と、吸収体ABの側縁に達しないで離間する場合との両者を含む。
(ロ) さらに本発明の紙おむつに対して、付加的に図6に示すような伸縮部材を設けることもできる。図6(A)は、前脇部の端部から股部Lのレッグ開口縁にほぼ平行に後脇部の端部に亘って、それぞれ股部伸縮部材24,24を外形シート1の不織布間に固定したものである。この形態では、股部伸縮部材24がレッグ開口部LOを収縮させ、体液の漏れを防止する。
図6(B)は、前身頃F及び後身頃Bにおいて、左方の脇部の端部から股下部を横断するように右方の脇部の端部に亘って、それぞれ股間・股下部伸縮部材25F,25Bを外形シート1の不織布間に固定したものである。また、この例においては、前身頃F側と後身頃B側の股間・股下部伸縮部材25F,25Bが一部交差する形態としてある。
図6(C)は、前身頃F及び後身頃Bにおいて、左方の脇部の端部から股下部を横断するように右方の脇部の端部に亘って、それぞれ股間・股下部伸縮部材26F,26Bを外形シート1の不織布間に固定したものである。この例においては、股間・股下部伸縮部材26F,26Bは交差することなく、股間部において平行する形態としてある。
表1に示すように、本発明に係る吸収体を備えた大人用パンツ型紙おむつを三種類製造し、実施例1〜3とした。実施例2は吸収コア寸法を600mm×190mmとした他は、実施例1と同様とした。実施例3はパルプ量及びポリマー量をそれぞれ38.0gとした他は、実施例と同様とした。また大人用パンツタイプ紙おむつの市販品を3種類(全て製造会社が異なる)用意し、従来例1〜3とした。そして、これら実施例1〜3および従来例1〜3について、下記に示す加圧下吸収試験、吸収速度試験、傾斜表面液流れ試験および圧縮試験をそれぞれ行った。これらの試験結果を表1に合わせて示した。
(加圧下吸収試験)
本発明にいう加圧下吸収試験とは以下に示すものである。すなわち、
(1) 製品重量を測定し、規格に準じた重量であることを確認する。
(2) 起立カフス部をカットし、吸収体が縮まないようにする。
(3) 可能な限り平らな状態となるようにおむつをアクリル板で挟み込む。
(4) 錘を載せ、20g/cm2の荷重をかけた状態として、人工尿中に30分間浸漬する。
(5) 30分後、人工尿中からおむつを取り出し、水切りは行わずに全重量を測定する。
(6) 測定した全重量から製品重量を差し引き、加圧下吸収量とする。
(吸収速度試験)
本発明にいう吸収速度試験とは以下に示すものであり、その概要が図7に示されている。すなわち、
(1) 吸収体の後側110mmに印(受尿部)をつける。
(2) おむつ300を可能な限り平らに水平面PL上に貼り付け、四隅をガムテープで止める。
(3) 印位置に所定形状・サイズの吸収筒400を立て、この吸収筒400内に1回あたり150mlの人工尿を注入し、吸収体に吸収させる。
(4) 人工尿を全量吸収するのに要した時間を測定する。3回測定を行い平均値を吸収速度とする。
(傾斜表面液流れ試験)
本発明にいう傾斜表面液流れ試験とは以下に示すものでああり、その概要が図8に示されている。すなわち、
(1) おむつ300を、腹側を上にして15度の傾斜板301に平らに貼り付ける。
(2) 吸収体中央部に印302(受尿部)をつける。
(3) 滴下容器303を用い、高さ10mmの位置から15cc/secの滴下速度で人工尿200ccを滴下・注入する。
(4) 10分間隔で(3)を3回繰り返す。この際の液流れ距離をそれぞれ測定する。
(圧縮試験)
本試験では、図9に示すカトーテック社製KES−G5ハンディー圧縮試験機400を用いる。本試験機400は、試料台401の上の受圧板402(面積2cm2)の上に試料の測定部位を載せ、上方から加圧板403(面積2cm2)を下降させて試料を徐々に加圧させ、設定した最大荷重に達したら加圧板403を上昇させて圧力を徐々に弱めて試料を復元させ、この過程で試料に加わる加圧圧力と加圧板403のストローク量とを測定し、これらの測定結果に基づいて「圧縮かたさLC」、「圧縮エネルギーWC」および「圧縮回復性RC」を算出・表示するものである。
ここに本試験機により求まる「圧縮かたさLC」、「圧縮エネルギーWC」および「圧縮回復性RC」とは、図10に示す圧縮曲線(縦軸:加圧圧力、横軸:ストローク量)が測定されたとき、次式により求まるものである。
WC=面積a+面積b
LC=(面積a+面積b)/三角形ABCの面積
RC=面積b/(面積a+面積b)
ここに、A点は最大荷重点を意味し、B点は荷重が0.5gf/cm2の測定始点を意味し、C点はA点の荷重がゼロの点を意味する。
また本試験の結果得られる値の意味は次のようになる。
「圧縮かたさLC」…値が1に近づくほど圧縮に対して硬いことを意味する。
「圧縮エネルギーWC」…値が大きいほど圧縮されやすいことを意味する。
「圧縮回復性RC」…値が100に近づくほど回復性が高いことを意味する。
そして、特に本発明にいう圧縮試験に限っては、上記のハンディー圧縮試験機400を用い、加圧板の下降スピードを0.1cm/secに設定し、最大荷重が100g/cm2となるように設定し、ストロークが20mmとなるように設定した試験をいうものとする。
また、本発明の圧縮試験に際しては、図示しないがおむつの内面側を上にして試料台401上に平坦に貼り付け、吸収コア部位が受圧板402上に位置するようにした上で、同一のサンプルに対して3回測定を行い、平均値を評価値とする。
Figure 0004319129
次いでこれら実施例1〜3および従来例1〜3の紙おむつを、在宅介護者20名に夜間使用してもらい、漏れ防止効果を評価した。評価結果を表2に示す。
Figure 0004319129
その結果、本発明に係る実施例1〜3の紙おむつは、夜間使用しても漏れが生じ無かったが、従来例1〜3の紙おむつは夜間使用により漏れが多発した。
本発明は、パンツ型紙おむつに適用できるものである。
本発明に係るパンツ型紙おむつの展開状態を示す、使用面側からの平面図である。 本発明に係るパンツ型紙おむつの周方向に沿う縦断面図である。 本発明に係るパンツ型紙おむつの縦方向に沿う縦断面図である。 本発明に係るパンツ型紙おむつの斜視図である。 他の伸縮部材配置形態を概略的に示す、展開状態平面図である。 別の伸縮部材配置形態を概略的に示す、展開状態平面図である。 本発明の吸収速度試験の概要図である。 本発明の傾斜表面液流れ試験の概要図である。 本発明の圧縮試験の概要図である。 本発明の圧縮試験の測定結果例のグラフである。
符号の説明
1…外装シート、10…吸収体、11…透液性トップシート、12…不透液性バックシート、13…吸収コア、14クレープ紙、20F,20B…ウエスト伸縮部材、21F,21B…腰下部伸縮部材、40…起立用シート、50…起立カフスの伸縮部材、C…起立カフス。

Claims (1)

  1. トップシート、バックシート、及びこれらシート間に配置された吸収コアからなる吸収体と、
    吸収体の両側部に設けられた起立カフスと、
    ウエスト開口部及び左右一対の脚開口部と、
    ウエスト端部に周方向に沿って伸張下に固定されたウエスト伸縮部材と、
    前記ウエスト端部よりも下方に周方向に沿って伸張下に固定された腰下部伸縮部材とを有する、パンツ型紙おむつにおいて;
    前記起立カフスは、一対の起立シートとこれらの間に配された不透液性もしくは疎水性の内部起立シートとが張り合わされてなる三重の起立シートにより形成されるとともに、伸縮部材が固着され、この伸縮部材の収縮作用によって起立するように構成されており、
    前記三重の起立シートの内面はバックシートの裏面側に回り込み且つバックシートの裏面に固着されており、前記起立カフスは、前記三重の起立シートの固着部分の始端が起立端とされるとともに、この起立端よりも先端側が製品本体に固定されていない自由部分とされ、この自由部分における先端部および根元部に前記伸縮部材がそれぞれ設けられており、
    前記起立カフスの伸縮部材は、太さが1000dtex以上であり且つ150〜300%の伸張状態で前記起立シートに固定されており、
    前記腰下部伸縮部材は太さが800dtex以上であり且つ200〜350%の伸張状態で固定されており、
    前記吸収体は、加圧下吸収試験による加圧下吸収量が1300cc以上となるように構成されたものであることを特徴とするパンツ型紙おむつ。
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