JP3241886U - 吸収体及び吸収性物品 - Google Patents

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Abstract

【課題】防漏カフの漏れ防止性能及びレッグカフのフィット性に優れ、横漏れを効果的に防止し得る吸収性物品を提供すること。【解決手段】防漏カフ3の第2起立部35に複数の弾性部材36が縦方向Xに伸縮可能な状態で配され、レッグカフ41に複数の弾性部材42が縦方向Xに伸縮可能な状態で配されている。防漏カフ3及びレッグカフ41それぞれの縦方向長さをカフ縦方向長さとし、両カフ3,41それぞれの最大伸長状態での該カフ縦方向長さを100とした場合に、該カフ縦方向長さが70での第2起立部35の弾性部材36の1本当たりの収縮応力が、該カフ縦方向長さが70でのレッグカフ41の弾性部材42の1本当たりの収縮応力に比べて小さく、且つ該カフ縦方向長さが70での第2起立部35の全体の収縮応力が、該カフ縦方向長さが70でのレッグカフ41の全体の収縮応力に比べて大きい。【選択図】図2

Description

本考案は、防漏カフ及びレッグカフを備えた吸収性物品に関する。
使い捨ておむつなどの吸収性物品において、立体ギャザー、立体ガードなどとも呼ばれる防漏カフを具備するものが知られている。防漏カフは、典型的には、吸収性物品の本体の縦方向(着用者の前後方向に対応する方向)に沿う両側部に一対配され、防漏カフ形成用シートと、該シートに伸長状態で固定された弾性部材とを具備し、該吸収性物品の着用時に着用者の肌側に起立し、便などの排泄物を堰き止めて横漏れを防止する。また、防漏カフを具備する吸収性物品は、典型的には更に、前記本体から横方向(縦方向と直交する方向)の外方に延出する一対のサイドフラップ部を具備するとともに、該サイドフラップ部における着用者の脚周りに対応する部位に、伸長状態で固定された弾性部材を含むレッグカフを具備する。レッグカフが着用者の脚周りにフィットすることで、排泄物が脚を伝って漏れ出す不都合が防止される。
特許文献1~3には、防漏カフ及びレッグカフを具備し、該防漏カフが、防漏カフ形成用シートが他の部材に固定された基端部と、該基端部を起点として該シートが着用者側に起立する起立部とを有する吸収性物品が記載されている。特許文献1及び2に記載の前記起立部は、縦方向に延びる折り曲げ部にて折り曲げられ、該基端部から該折り曲げ部にわたって横方向(縦方向と直交する方向)の外側から内側に延びる内側延出部と、該折り曲げ部から横方向外側に延び、該内側延出部よりも着用者の肌に近い側に位置する外側延出部とを有する。特許文献3に記載の前記起立部は、横方向に沿う断面視においてT字状を有している。
特開平11-285510号公報 特開2011-50501号公報 特開2008-307223号公報
防漏カフ及びレッグカフを備えた従来の吸収性物品は、防漏カフの漏れ防止性能及びレッグカフのフィット性の点で改善の余地があった。したがって本考案の課題は、防漏カフの漏れ防止性能及びレッグカフのフィット性に優れ、横漏れを効果的に防止し得る吸収性物品を提供することに関する。
本考案は、着用者の前後方向に対応する縦方向と該縦方向に直交する横方向とを有し、吸収体を具備する吸収性本体と、該吸収性本体の肌対向面に離間部を設けて配置された該縦方向に延びる一対の防漏カフと、該吸収体の該縦方向に沿う両側縁から該横方向外方に延出するサイドシートと、該一対の防漏カフの該横方向外側で且つ着用者の脚周りに対応する部位に配置された一対のレッグカフとを具備する吸収性物品である。
本考案の吸収性物品の一実施形態では、前記一対の防漏カフは、それぞれ、前記サイドシートを含んで構成され、且つ該サイドシートが他の部材に固定された基端部と、該基端部を起点として該サイドシートが着用者側に起立する起立部とを前記横方向に有している。
本考案の吸収性物品の一実施形態では、前記起立部は、前記縦方向に延びる折り曲げ部にて折り曲げられており、且つ前記基端部から該折り曲げ部にわたる第1起立部と、該折り曲げ部から該起立部の自由端にわたり、該第1起立部よりも着用者の肌に近い側に位置する第2起立部とを含んで構成され、該第2起立部に、複数の防漏カフ形成用弾性部材が前記縦方向に伸縮可能な状態で前記横方向に並べて配されている。
本考案の吸収性物品の一実施形態では、前記レッグカフは、前記サイドシートと、該サイドシートに配された複数のレッグカフ形成用弾性部材とを含んで構成され、該複数のレッグカフ形成用弾性部材は、前記基端部よりも前記横方向外方にて前記縦方向に伸縮可能な状態で該横方向に並べて配されている。
本考案の吸収性物品の一実施形態では、前記防漏カフ及び前記レッグカフそれぞれの前記縦方向の長さをカフ縦方向長さとし、両カフそれぞれの最大伸長状態での該カフ縦方向長さを100とした場合に、前記カフ縦方向長さが70での前記第2起立部の前記防漏カフ形成用弾性部材1本当たりの収縮応力が、前記カフ縦方向長さが70での前記レッグカフの前記レッグカフ形成用弾性部材1本当たりの収縮応力に比べて小さく、且つ前記カフ縦方向長さが70での前記第2起立部の全体の収縮応力が、前記カフ縦方向長さが70での前記レッグカフの全体の収縮応力に比べて大きい。
本考案の他の特徴、効果及び実施形態は、以下に説明される。
本考案によれば、防漏カフの漏れ防止性能及びレッグカフのフィット性に優れ、横漏れを効果的に防止し得る吸収性物品が提供される。
図1は、本考案の吸収性物品の一実施形態である展開型使い捨ておむつの展開且つ伸長状態における肌対向面側(表面シート側)を一部破断して模式的に示す展開平面図である。 図2は、図1のI-I線断面を模式的に示す横断面図である。 図3は、防漏カフの第2起立部の全体及びレッグカフの全体それぞれについて、カフ縦方向長さと収縮応力との関係を示すグラフの一例である。 図4は、防漏カフの第2起立部及びレッグカフそれぞれについて、カフ縦方向長さと弾性部材1本当たりの収縮応力との関係を示すグラフの一例である。 図5は、防漏カフの第2起立部における横方向最内方及び最外方それぞれについて、カフ縦方向長さと収縮応力との関係を示すグラフの一例である。
以下本考案を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。図面は基本的に模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なる場合がある。
図1及び図2には、本考案の吸収性物品の一実施形態である使い捨ておむつ1が示されている。おむつ1は、着用者の前後方向、すなわち腹側から股間部を介して背側に延びる方向に対応する縦方向Xと、これに直交する横方向Yとを有し、吸収体23を具備する吸収性本体2と、該吸収性本体2の肌対向面に離間部39を設けて配置された縦方向Xに延びる一対の防漏カフ3,3と、該吸収体23の縦方向Xに沿う両側縁23S,23Sから横方向Yの外方に延出するサイドシート30と、該一対の防漏カフ3,3の横方向Yの外側で且つ着用者の脚周りに対応する部位に配置された一対のレッグカフ41,41とを具備する。図示の形態のおむつ1は、吸収性本体2の横方向Yの両側に配され、サイドシート30を含んで構成される一対のサイドフラップ部4,4を具備しており、一対のレッグカフ41,41は、それぞれ、サイドフラップ部4に配されている。
本明細書において、「肌対向面」は、吸収性物品又はその構成部材(例えば吸収性本体)における、吸収性物品の着用時に着用者の肌側に向けられる面、すなわち相対的に着用者の肌から近い側であり、「非肌対向面」は、吸収性物品又はその構成部材における、吸収性物品の着用時に肌側とは反対側に向けられる面、すなわち相対的に着用者の肌から遠い側である。なお、ここでいう「着用時」は、通常の適正な着用位置、すなわち当該吸収性物品の正しい着用位置が維持された状態を意味する。
本実施形態のおむつ1(吸収性本体2)は、図1に示すように、着用時に着用者の股間部に配される股下部Mと、該股下部Mより縦方向Xの前方すなわち着用者の腹側に配される腹側部Fと、該股下部Mより縦方向Xの後方すなわち着用者の背側に配される背側部Rとを有する。股下部Mは、着用時に着用者の陰茎等の排泄部に対向配置される排泄部対向部(不図示)を含む。
吸収性本体2は、吸収体23と、該吸収体23の肌対向面側に配された表面シート21と、該吸収体23の非肌対向面側に配された裏面シート22とを具備し、これらが接着剤等の公知の接合手段により一体化されて構成されている。吸収体23は、表面シート21と裏面シート22との間に介在配置されており、吸水性材料を含む液保持性の吸収性コア24と、該吸収性コア24の外面(肌対向面及び非肌対向面)を被覆するコアラップシート25とを含んで構成されている。本実施形態の吸収性本体2は平面視長方形形状を有し、腹側部Fから背側部Rにわたって縦方向Xに延在し、その長手方向が縦方向Xに一致している。
表面シート21、裏面シート22及び吸収体23としては、それぞれ、この種の吸収性物品に従来用いられている各種のものを特に制限なく用いることができる。表面シート21としては、例えば、液透過性を有する単層若しくは多層構造の不織布又は開孔フィルムを用いることができる。裏面シート22としては、防漏性を有するシート、すなわち、液不透過性(液を全く通さない性質)又は液難透過性(液不透過性とまでは言えないものの、液を通し難い性質)を有するシートを用いることができ、例えば、透湿性の樹脂フィルム、樹脂フィルムと不織布との積層体を用いることができる。吸収体23を構成する吸収性コア24としては、例えば、木材パルプや吸水性ポリマー等の吸水性材料を積繊してなる積繊体、該吸水性材料を含有するシート状の吸収構造体を用いることができる。吸収体23を構成するコアラップシート25としては、液透過性を有するシートを用いることができ、例えば、紙、不織布を用いることができる。
本実施形態では図2に示すように、表面シート21は吸収体23の肌対向面の全域を被覆し、裏面シート22は吸収体23の非肌対向面の全域を被覆し、両シート21,22は更に、吸収体23の両側縁23S,23Sから横方向Yの外方に延出し、サイドシート30とともにサイドフラップ部4を構成している。このように、本実施形態のサイドフラップ部4は、吸収体23の横方向Yの両外方に位置し、表面シート21、裏面シート22及びサイドシート30を含んで構成されている。サイドフラップ部4を構成するこれら複数の部材は、接着剤、ヒートシール、超音波シール等の公知の接合手段によって互いに接合
されている。
腹側部F及び背側部Rそれぞれの縦方向Xの端部すなわちウエスト端部には、横方向Yに伸縮可能な状態で配された胴周りギャザー形成用弾性部材11が、横方向Yの一方側のサイドフラップ部4から他方側のサイドフラップ部4にわたって横方向Yに延在している。胴周りギャザー形成用弾性部材11は、吸収体23の縦方向Xの両端23T,23Tそれぞれから縦方向Xの外方に延出する表面シート21と裏面シート22との間において、横方向Yに伸長状態で固定されている。斯かる構成によりおむつ1の着用時には、胴周りギャザー形成用弾性部材11の収縮力によって前記ウエスト端部が収縮し、着用者の腰周りにフィットし得る。
おむつ1は、いわゆる展開型使い捨ておむつであり、着用時に使用される止着構造5を具備する。止着構造5は、図1に示すように、おむつ1の背側部Rの縦方向Xに沿う両側縁部に配置された一対のファスニングテープ51,51と、おむつ1の腹側部Fの非肌対向面(裏面シート22の非肌対向面)に配置されたターゲット領域53とを含んで構成されている。ファスニングテープ51には止着部52が設けられており、おむつ1を着用する際には、止着部52をターゲット領域53に止着する。ターゲット領域53は、止着部52が着脱自在に止着可能になされている。典型的には、止着部52は機械的面ファスナーのオス部材からなり、ターゲット領域53は機械的面ファスナーのメス部材からなる。
図1及び図2に示すように、一対の防漏カフ3,3は、それぞれ、サイドシート30を含んで構成され、且つ該サイドシート30が他の部材に固定された基端部31と、該基端部31を起点として該サイドシート30が着用者側に起立する起立部32とを横方向Yに有する。
サイドシート30は、図1及び図2に示すように、吸収性本体2の肌対向面における縦方向Xに沿う両側部に一対配置されており、その一対のサイドシート30,30どうしの間には離間部39が設けられている。離間部39は、吸収性本体2(おむつ1)の横方向Yの中央部に位置する。各サイドシート30は、吸収体23の側縁23Sを横方向Yに跨ぐように配され、平面視において吸収体23と重複する部分と、吸収体23よりも横方向Yの外方に位置する部分とを横方向Yに有する。
サイドシート30としては、尿等の体液の外部への漏れ出しを防止するという役割を確実に果たす観点から、疎水性のシート材料が用いられる。疎水性のシート材料としては、例えば、疎水性の不織布を用いることができ、具体的には、エアスルー不織布、スパンボンド不織布、SMS不織布、SMMS不織布、SSMS不織布等を用いることができ、その他にも、疎水性の樹脂フィルム、該樹脂フィルムと該不織布との積層体等を用いることができる。ここでいう「S」はスパンボンド不織布、「M」はメルトブローン不織布を意味する。なお、防漏カフ形成用シートとしてのサイドシート30は、耐水圧が、ISO
811に準拠して測定した場合に、80mmH2O以上、特に100mmH2O以上であ
ることが好ましい。
基端部31は、おむつ1の着用時に起立部32が着用者の肌側に向かって起立する際の起立起点となる部分である。より具体的には、基端部31は、サイドシート30の「他の部材」との固定部における、起立部32と横方向Yにおいて隣接する部分であり、換言すれば、該固定部における横方向Yの最内方に位置する部分である。また、前記「他の部材」は、おむつ1の構成部材のうちでサイドシート30以外のものであり、典型的には、該サイドシート30の非肌対向面側に該サイドシート30と接触可能に配された部材であり、本実施形態においては図2に示すように、表面シート21である。
基端部31は、前述したとおり、サイドシート30と他の部材との固定部であり、典型的には、ホットメルト等の接着剤、熱融着等の公知の接合手段によって形成されている。
本実施形態の基端部31は、図1に示すように、平面視において直線状をなし、サイドシート30の縦方向Xの略全長にわたって縦方向Xに延在し、また、図2に示すように、吸収体23の側縁23Sよりも横方向Yの外方で且つ該側縁23Sの近傍に位置している。基端部31の平面視形状は特に限定されず、直線の他、例えば、波線、湾曲線、ジグザグ線などでもよく、また、基端部31は一方向(縦方向X)に連続していなくてもよく、サイドシート30における他の部材との固定部と非固定部とが縦方向Xに交互に配置された構成の破断線でもよい。
起立部32は、サイドシート30における他の部材との非固定部であり、図1及び図2に示すように、縦方向Xに延びる折り曲げ部33にて折り曲げられており、且つ基端部31から折り曲げ部33にわたる第1起立部34と、折り曲げ部33から起立部32の自由端32aにわたり、第1起立部34よりも着用者の肌に近い側に位置する第2起立部35とを含んで構成されている。第2起立部35の表面は、おむつ1の着用時に着用者の肌と接触し得る。
本実施形態では図2に示すように、起立部32は横方向Yの外側に折り曲げられており、該起立部32を構成する第1起立部34は、基端部31から折り曲げ部33にわたって横方向Yの外側から内側に延び、該起立部32を構成する第2起立部35は、折り曲げ部33から横方向Yの外側に延びている。折り曲げ部33は、起立部32においておむつ1の横方向Yの中央に最も近い部位であり、図1に示す如きおむつ1の展開且つ伸長状態において、縦方向Xに延びる直線状をなしている。一対の防漏カフ3,3どうしの離間部39は、一方の防漏カフ3の折り曲げ部33と他方の防漏カフ3の折り曲げ部33とに挟まれた領域である。なお、前記の「おむつ1(吸収性物品)の展開且つ伸長状態」とは、おむつ1を図1に示す如き展開状態とし、その展開状態のおむつ1を各部の弾性部材を伸長させて設計寸法(弾性部材の影響を一切排除した状態で平面状に広げたときの寸法と同じ)となるまで拡げた状態をいう。おむつ1の展開且つ伸長状態では通常、起立部32は起立せずに倒伏するが、同状態を示す図2では、説明容易の観点から、起立部32を起立させている。
図1及び図2に示すように、第2起立部35には、複数(具体的には4本)の防漏カフ形成用弾性部材36が縦方向Xに伸縮可能な状態で横方向Yに並べて配されている。第2起立部35における、防漏カフ形成用弾性部材36が縦方向Xに伸縮可能な状態で固定されている部分は、縦方向Xに伸縮性を有している。より具体的には、第2起立部35は図2に示すように、サイドシート30が横方向Yに二つに折られて二層構造となった部分を含んで構成され、該二層構造を構成する2枚の該シート30,30間に、糸状の複数(4本)の防漏カフ形成用弾性部材36が縦方向Xに伸長状態で横方向Yに並べて固定されて
おり、これにより各弾性部材36が縦方向Xに伸縮可能な状態で配されている。起立部32の自由端32aは、このサイドシート30における二つ折りの折り目に位置している。防漏カフ形成用弾性部材36は糸状が好ましいが、これに変えて帯状であってもよい。また、防漏カフ形成用弾性部材36の数は2本以上であればよく特に限定されない。
防漏カフ3は、典型的には、サイドシート30に対して防漏カフ形成用弾性部材36を伸長状態で固定した後にその伸長状態を解放することによって作製されているところ、斯かる作製方法に起因して、おむつ1の着用者の肌と接触し得る第2起立部35の表面に多数の皺が存在する。この第2起立部35の表面の皴は、縦方向Xに略規則的に間欠配置されている。
起立部32は、少なくとも股下部Mに存在することが好ましい。おむつ1において排泄物が集中し横漏れが特に問題となる部位は股下部Mであるためである。本実施形態の起立部32は、図1に示すように、股下部Mの縦方向Xの全長にわたり、更に腹側部F及び背側部Rの双方に延出している。
図1に示すように、一対の防漏カフ3,3それぞれの起立部32の縦方向Xの両外方には起立阻害部37が形成されている。起立部32は、縦方向Xの一端側(腹側部F側)の起立阻害部37と他端側(背側部R側)の起立阻害部37とに挟まれている。起立阻害部37では、サイドシート30における起立部32(すなわち他の部材との非固定部)と横方向Yにおいて同位置に存在する部分が、平面視で吸収体23と重なる位置にて他の部材(本実施形態においては表面シート21)に固定されており、これにより、起立部32が起立しても、起立阻害部37は起立しないようになされている。
おむつ1の着用時には、一対の防漏カフ3,3それぞれの起立部32(第1起立部34及び第2起立部35)が、第2起立部35に配された防漏カフ形成用弾性部材36の収縮力により、基端部31を起立基端として図2に示す如くに起立し、これにより、少なくとも股下部Mにおける吸収性本体2の肌対向面の縦方向Xに沿う両側部に、起立部32からなる防漏壁が一対形成される。この一対の防漏壁は、おむつ1の肌対向面に排泄された尿や便等の排泄物を堰き止め、排泄物がおむつ1の横方向Yの外方に漏れ出す、いわゆる横漏れを防止する。
また、おむつ1の着用時には、防漏カフ形成用弾性部材36の収縮力により、該弾性部材36の配置部であるおむつ1の縦方向Xの中央部(股下部Mを含む部分)が、非肌対向面側(裏面シート22側)に凸となるように、換言すれば肌対向面側(表面シート21側)に凹となるように、おむつ1が湾曲する。こうしておむつ1は全体として舟形形状に変形する。このような舟形形状のおむつ1は着用者の股間部の形状に沿いやすいため、該おむつ1における起立状態の起立部32の第2起立部35は、着用者の肌にフィット性良く密着し、これにより防漏カフ3による横漏れ防止機能が効果的に発現し得る。
一対のレッグカフ41,41は、それぞれ、サイドシート30と、該サイドシート30に配された複数のレッグカフ形成用弾性部材42とを含んで構成されている。本実施形態のレッグカフ41は、図2に示すように、更に裏面シート22を含んで構成され、また、レッグカフ形成用弾性部材42として、糸状のものを2本含んでいる。糸状の複数(2本)のレッグカフ形成用弾性部材42は、防漏カフ3の基端部31よりも横方向Yの外方にて、縦方向Xに伸縮可能な状態で横方向Yに並べて配されている。複数のレッグカフ形成用弾性部材42は、それぞれ、少なくとも股下部Mの縦方向Xの全長にわたって縦方向Xに伸長状態とされて、サイドシート30等のサイドフラップ部4を構成するシート状の部材に固定されることで、縦方向Xに伸縮可能な状態とされている。斯かる構成によりおむつ1の着用時には、レッグカフ形成用弾性部材42の収縮力によってレッグカフ41が収縮し、着用者の脚周りにフィットし得る。レッグカフ形成用弾性部材42は糸状が好ましいが、これに変えて帯状であってもよい。また、レッグカフ形成用弾性部材42の数は2本以上であればよく特に限定されない。
おむつ1は、防漏カフ3(第2起立部35)及びレッグカフ41それぞれの縦方向Xの長さを「カフ縦方向長さ」と呼称し、両カフ3,41それぞれの最大伸長状態でのカフ縦方向長さを100とした場合に、下記(A)及び(B)の双方を満たす点で特徴付けられる。なお、「カフ縦方向長さ」はこのように、当該カフの最大伸長状態での縦方向長さを基準とした、当該カフの相対的な縦方向長さであり、典型的には、当該カフが自然状態(外力がかかっていない状態)のときに最も短くなるが、ゼロにはならない
(A)カフ縦方向長さが70での第2起立部35の防漏カフ形成用弾性部材36の1本当たりの収縮応力σ7035が、カフ縦方向長さが70でのレッグカフ41のレッグカフ形成用弾性部材42の1本当たりの収縮応力σ7041に比べて小さい。
(B)カフ縦方向長さが70での第2起立部35の全体の収縮応力σ7035Wが、カフ縦方向長さが70でのレッグカフ41の全体の収縮応力σ7041Wに比べて大きい。
前記の各収縮応力の測定は、以下の方法で作製した測定サンプルを用い、以下の方法により測定される。
<測定サンプルの作製>
まず、おむつ1(吸収性物品)を、対比する2種類のカフ(防漏カフ3(第2起立部35)、レッグカフ41)を含むように縦方向Xの全長にわたって切断し、第1の切片を得る。この第1の切片を得るための切断は、例えば、おむつ1を横方向Yに二等分することで行ってもよい。第1の切片には、防漏カフ3の第2起立部35(折り曲げ部33から自由端32aにわたる部分)及び該第2起立部35を縦方向Xの両外方に仮想的に延長した場合の延長領域(図1に示すおむつ1では起立阻害部37)と、レッグカフ41及び該レッグカフ41を縦方向Xの両外方に仮想的に延長した場合の延長領域とが含まれる。
次に、第1の切片における、弾性部材(防漏カフ形成用弾性部材36、レッグカフ形成用弾性部材42)が縦方向Xに伸長状態で配されている部分を切断し、展開且つ伸長状態で縦方向Xの長さが100mmである平面視四角形形状の第2の切片を得る。第2の切片は、おむつ1において縦方向Xに伸縮性を有する部分であり、典型的には、股下部Mに位置する部分である。
そして、第2の切片を、該第2の切片に配されている複数の弾性部材それぞれに沿って横方向Yに切り分け、該第2の切片に含まれる弾性部材の数と同数の測定サンプルを得る。こうして得られた複数の測定サンプルは、それぞれ、1本の弾性部材(防漏カフ形成用弾性部材36又はレッグカフ形成用弾性部材42)と、該弾性部材が固定されているシートとを含み、長手方向長さ(縦方向Xの長さ)が100mmである。このシートは、第2の切片が図1に示すおむつ1から切り取ったものである場合において、測定サンプルに含まれる弾性部材が防漏カフ形成用弾性部材36である場合はサイドシート30であり、測定サンプルに含まれる弾性部材がレッグカフ形成用弾性部材42である場合はサイドシート30及び裏面シート22である。
<収縮応力の測定方法>
測定サンプルの長手方向両端を(株)ORIENTEC社製のテンシロン万能試験機(RTC-1210A)のチャック間に挟み、チャック間距離を300mm/minの速度で広げることで、測定サンプルをその長手方向(縦方向X)に最大伸長状態となるまで伸長させた後、チャック間距離を300mm/minの速度で狭めることで、測定サンプルを所定の長さまで収縮させ、その際の応力(収縮応力)(単位:N)を測定する。測定する前記の各応力σ7035、σ7041は、それぞれ前述したとおり、最大伸長状態でのカフ縦方向長さを100とした場合に70となる長さでの収縮応力であるので、前記測定では測定サンプルを、カフ縦方向長さ100に相当する最大伸長状態から、カフ縦方向長さ70に相当する長さまで収縮させる。防漏カフ3(第2起立部35)から作製された複数の測定サンプルそれぞれについて前記方法により収縮応力を測定し、それら複数の測定値の平均値を「収縮応力σ7035」(カフ縦方向長さ70での第2起立部35の防漏カフ形成用弾性部材36の1本当たりの収縮応力)とし、該複数の測定値の合計を「収縮応力σ7035W」(カフ縦方向長さ70での第2起立部35の全体の収縮応力)とする。また、レッグカフ41から作製された複数の測定サンプルそれぞれについて前記方法により応力を測定し、それら複数の測定値の平均値を「収縮応力σ7041」(カフ縦方向長さ70でのレッグカフ41のレッグカフ形成用弾性部材42の1本当たりの収縮応力)とし、該複数の測定値の合計を「応力σ7041W」(カフ縦方向長さ70でのレッグカフ41の全体の収縮応力)とする。
例えば図2に示す形態では、第2起立部35に4本の防漏カフ形成用弾性部材36が配されているので、前記方法により、該第2起立部35から4本の該弾性部材36に対応する4つの測定サンプルを作製し、その4つの測定サンプルそれぞれのカフ縦方向長さ70に相当する長さでの収縮応力を測定し、その4つの測定値の平均値を算出することで収縮応力σ7035が得られ、また、その4つの測定値を合算することで収縮応力σ7035Wが得られる。また、図2に示す形態では、レッグカフ41に2本のレッグカフ形成用弾性部材42が配されているので、前記方法により、該レッグカフ41から2本の該弾性部材42に対応する2つの測定サンプルを作製し、その2つの測定サンプルそれぞれのカフ縦方向長さ70に相当する長さでの収縮応力を測定し、その2つの測定値の平均値を算出することで収縮応力σ7041が得られ、また、その2つの測定値を合算することで収縮応力σ7041Wが得られる。
前述したとおり、前記の各応力(σ7035、σ7035W、σ7041、σ7041W)は、当該カフ(防漏カフ3の第2起立部35、レッグカフ41)の最大伸長状態での縦方向Xの長さ(カフ縦方向長さ)を100とした場合に、カフ縦方向長さが70であるときの収縮応力であるところ、この「カフ縦方向長さ70」というのは、この種の吸収性物品(使い捨ておむつ)の着用時における防漏カフ及びレッグカフの平均的な縦方向長さに相当するものである。また、前記の各応力として、当該カフを伸長させていく過程での応力(伸長応力)ではなく、当該カフを最大伸長状態から収縮させていく過程での応力(収縮応力)とした理由は、おむつを装着しようとする者が行う操作を考慮したためである。すなわち、おむつの装着時には通常、おむつの各部を伸長させてから身体形状にフィットさせるので、おむつは伸長状態から収縮状態に変化するところ、この装着時のおむつの状態変化に対応するべく、前記測定方法では測定サンプルを伸張状態から収縮状態に変化させ、その過程での収縮応力を測定することとしたのである。
前記(A)で規定する「収縮応力σ7035<収縮応力σ7041」という大小関係の技術的意義は、主として、おむつ1の着用者の肌と接触する第2起立部35を構成する防漏カフ形成用弾性部材36の1本当たりの収縮応力(σ7035)を抑えることで、おむつ1の着用者の肌に該弾性部材36の締め付けによる跡が付くことを抑制する点にある。しかしながら、第2起立部35の全体としての収縮応力が必要以上に低下してしまうと、第2起立部35が着用者の肌にフィットし難くなり、防漏カフ3の横漏れ防止性能の低下に繋がる。そこでおむつ1では、前記(A)に加えて更に前記(B)を満たすこととした。すなわち、収縮応力σ7035<収縮応力σ7041を成立させることによって、着用者の肌に防漏カフ形成用弾性部材36の締め付けによる跡がつきにくくしつつ、収縮応力σ7035W>収縮応力σ7041Wを成立させることによって、第2起立部35の全体としての収縮応力が低下しすぎないようにした。したがっておむつ1によれば、着用時に防漏カフ3の第2起立部35が、防漏カフ形成用弾性部材36の跡が残らない程度の適度な締め付け強さで、着用者の肌にフィット性良く密着するため、横漏れが効果的に防止される。
また、防漏カフ3が、おむつ1の着用時に図2に示すように、第1起立部34が、基端部31から折り曲げ部33にわたって横方向Yの外側から内側に延び、第2起立部35が、折り曲げ部33から横方向Yの外側に延びている形態の場合には、前記(A)及び(B)を満たすことによって以下に述べるような特徴を有する。すなわち斯かる形態により、前記カフ縦方向長さが70のときに、レッグカフ41の収縮応力が防漏カフ3を縮ませるように働きにくくなるため、防漏カフ3の起立性の低下、第2起立部35に不規則なシワが発生する等の不都合が生じ難くなり、その結果、着用者の肌に対する第2起立部35の面での密着性が維持され易く、排泄液の横漏れが一層効果的に防止され得る。
また、カフ縦方向長さ70の場合において、おむつ1の着用時に図2に示すように、防漏カフ3の第2起立部35における横方向Yの最外方に位置する防漏カフ形成用弾性部材36bが、複数のレッグカフ形成用弾性部材42のうち横方向Yの最内方に位置するもの(図中符号42aで示すもの)よりも、横方向Yの内側に位置することが好ましい。なお、ここで言及している弾性部材36b,42aの位置関係は、当該弾性部材36b,42aが、おむつ1を横方向Yに二等分した場合の同じ側(例えば、図2に示すおむつ1の横方向Yの中央を境界として右側又は左側)に位置している場合に当てはまるものである。このような構成によって、カフ縦方向長さが70の場合において、弾性部材1本あたりの収縮応力が、レッグカフ形成用弾性部材42の方が防漏カフ形成用弾性部材36より高くても、すなわちおむつ1が前記(A)を満たしていても、前記(A)が防漏カフ3の第1起立部34の起立性に与える影響が一層抑制されるため、前記(A)及び(B)による作用効果に加えて、着用者の肌と防漏カフ3との密着性が保持され易く、排泄液の横漏れが一層効果的に防止されるという効果が奏され得る。
図3には、防漏カフ3の第2起立部35の全体及びレッグカフ41の全体それぞれについて、カフ縦方向長さと収縮応力(σ35W、σ41W)との関係を示すグラフの一例が示されている。本考案では前記(B)で規定するように、カフ3,41の全体の収縮応力については、少なくともカフ縦方向長さが70の場合に、「第2起立部35の収縮応力>レッグカフ41の収縮応力」という大小関係が成立すればよい。これに対し、図3に示す例では、カフ縦方向長さにかかわらず常時、斯かる大小関係が成立している。本考案には、収縮応力の大小関係が図3に示すグラフのようになる形態、すなわちカフ縦方向長さが70の場合のみならずそれ以外の場合にも「収縮応力σ7035W>収縮応力σ7041W」が成立する形態が包含される。
収縮応力σ7041に対する収縮応力σ7035の比率(σ7035/σ7041)は、好ましくは0.2以上、より好ましくは0.3以上、そして、好ましくは0.99以下、より好ましくは0.9以下である。
収縮応力σ7035(カフ縦方向長さ70での第2起立部35の防漏カフ形成用弾性部材36の1本当たりの収縮応力)は、好ましくは0.03N以上、より好ましくは0.06N以上、そして、好ましくは0.15N以下、より好ましくは0.12N以下である。
収縮応力σ7041(カフ縦方向長さ70でのレッグカフ41のレッグカフ形成用弾性部材42の1本当たりの収縮応力)は、好ましくは0.04N以上、より好ましくは0.08N以上、そして、好ましくは0.24N以下、より好ましくは0.20N以下である。
収縮応力σ7041Wに対する収縮応力σ7035Wの比率(σ7035W/σ7041W)は、好ましくは1超、より好ましくは1.25以上、そして、好ましくは6以下、より好ましくは5以下である。
収縮応力σ7035W(カフ縦方向長さ70での第2起立部35の全体の収縮応力)は、好ましくは0.1N以上、より好ましくは0.2N以上、そして、好ましくは0.6N以下、より好ましくは0.5N以下である。
収縮応力σ7041W(カフ縦方向長さ70でのレッグカフ41の全体の収縮応力)は、好ましくは0.05N以上、より好ましくは0.1N以上、そして、好ましくは0.5N以下、より好ましくは0.4N以下である。
前記(A)及び(B)の双方を満たすことは、防漏カフ形成用弾性部材36とレッグカフ形成用弾性部材42とで、種類(形成材料の組成)、太さ、伸長率、接合長さ(当該弾性部材における他の部材に接着剤等によって接合されている部分の長さ)等の1種以上を異ならせることによって可能である。収縮応力σ7035<収縮応力σ7041を満たす構成の一例として、「防漏カフ形成用弾性部材36がレッグカフ形成用弾性部材42に比べて径が細い」が挙げられる。そして、斯かる構成において収縮応力σ7035W>収縮応力σ7041Wを満たすためには、第2起立部35における防漏カフ形成用弾性部材36の配置数を、レッグカフ41におけるレッグカフ形成用弾性部材42の配置数よりも多くすればよい。図2に示す形態では、おむつ1を横方向Yに二等分する仮想中心線(図示せず)を基準として、一方側及び他方側の双方において、第2起立部の前記防漏カフ形成用弾性部材の配置数が4であるのに対し、レッグカフ形成用弾性部材の配置数は2であり、前者が後者よりも多い。
前記(A)及び(B)の双方を満たすことに加えて更に、カフ縦方向長さが特定値未満の範囲にあるときと、カフ縦方向長さが該特定値を超えて100以下の範囲にあるときとで、第2起立部35の防漏カフ形成用弾性部材36の1本当たりの収縮応力σ35とレッグカフ41のレッグカフ形成用弾性部材42の1本当たりの収縮応力σ41との大小関係が異なることが好ましい。すなわち、カフ縦方向長さが0以上特定値未満の範囲にあるときは、「収縮応力σ35<収縮応力σ41」又は「収縮応力σ35>収縮応力σ41」の大小関係が成立し、カフ縦方向長さが特定値を超えて100以下の範囲にあるときは、カフ縦方向長さが0以上特定値未満の範囲にあるときとは逆の大小関係が成立することが好ましい。斯かる構成により、カフ縦方向長さが比較的小さいときは、防漏カフ3(第2起立部35)及びレッグカフ41のうち相対的に収縮応力が大きい方が先に収縮して着用者の肌にフィット性良く密着しするようになり、前記(A)及び(B)の双方を満たすことによる作用効果と相俟って、横漏が一層効果的に防止され得る。
特に、カフ縦方向長さが特定値未満の範囲にあるとき(すなわちカフ縦方向長さが比較的小さいとき)は、「収縮応力σ35>収縮応力σ41」の大小関係が成立し、カフ縦方向長さが特定値を超えて100以下の範囲にあるとき(すなわちカフ縦方向長さが比較的大きいとき)は、「収縮応力σ35<収縮応力σ41」の大小関係が成立することが好ましい。図4に示すグラフは、斯かる好ましい形態の一例である。図4に示すグラフでは、防漏カフ3の第2起立部35の弾性部材1本当たりの収縮応力σ35及びレッグカフ41の弾性部材1本当たりの収縮応力σ41の何れも、伸び量の増加に伴って増加していくが、増加率は両者において相違する。具体的には、収縮応力σ35は、グラフの傾きが小さく、増加率が小さいので、カフ縦方向長さを大きく増加させても収縮応力σ35の値は大きく増加しない。これとは対照的に、収縮応力σ41は、グラフの傾きが大きく、増加率が大きいので、カフ縦方向長さを大きく増加させると収縮応力σ41の値も大きく増加する。その結果、カフ縦方向長さが特定値Qにおいて、収縮応力σ35と収縮応力σ41との値が一致し、それよりもカフ縦方向長さが大きくなると、収縮応力σ35と収縮応力σ41との大小関係がそれまでと逆転し、収縮応力σ41が収縮応力σ35よりも大きくなる。収縮応力σ35と収縮応力σ41とが図4に示すような関係にあることにより、第2起立部35がレッグカフ41よりも先に収縮するようになり、その結果、防漏カフ3(起立部32)の起立性が向上し、レッグカフ41が着用者の脚周りにフィット性良く密着し得る。
収縮応力σ35と収縮応力σ41とが図4に示すような関係を満たす場合、収縮応力σ35と収縮応力σ41との大小関係が逆転するカフ縦方向長さの特定値Q(収縮応力σ35と収縮応力σ41との値が一致するときのカフ縦方向長さ)は、70未満が好ましい。これにより、前記(A)及び(B)の双方を満たすことによる作用効果がより一層確実に奏されるようになる。特定値Qは、好ましくは30以上69以下の範囲の数値、より好ましくは40以上60以下の範囲の数値である。
収縮応力σ35と収縮応力σ41とが図4に示すような関係を満たす形態の一例として、「防漏カフ形成用弾性部材36がレッグカフ形成用弾性部材42に比べて径が細く、伸長率が高い形態」が挙げられる。斯かる形態において、レッグカフ形成用弾性部材42の径に対する、防漏カフ形成用弾性部材36の径の比率(弾性部材36の径/弾性部材42の径)が、好ましくは0.2以上、より好ましくは0.3以上、そして、好ましくは0.9以下、より好ましくは0.8以下である。
カフ縦方向長さが70であるとき、第2起立部35における複数(本実施形態では4本)の防漏カフ形成用弾性部材36のうちの横方向Yの最内方に位置するもの(図中符号36aで示すもの)に対応する部分(以下、「第2起立部最内方部」ともいう。)の収縮応力σ7035aは、該第2起立部35における該複数の防漏カフ形成用弾性部材36のうちの横方向Yの最外方に位置するもの(図中符号36bで示すもの)に対応する部分(以下、「第2起立部最外方部」ともいう。)の収縮応力σ7035bと同等か、又はそれよりも大きいことが好ましい。ここでいう、「第2起立部35における防漏カフ形成用弾性部材36a又は36bに対応する部分」とは、第2起立部35における該弾性部材36a又は36bと平面視で重なる部分を意味する。このように、第2起立部35においてカフ縦方向長さが70である場合に、第2起立部最内方部(横方向Yの最内方に位置する防漏カフ形成用弾性部材36aの配置部)の収縮応力σ7035aが、第2起立部最外方部(横方向Yの最外方に位置する防漏カフ形成用弾性部材36bの配置部)の収縮応力σ7035bと同等以上であることにより、第2起立部35の全体が着用者の肌に対して面で接触するようになり、防漏カフ3のフィット性が一層向上し得る。
図5には、第2起立部最内方部(弾性部材36aと平面視で重なる部分)及び第2起立部最外方部(弾性部材36bと平面視で重なる部分)それぞれについて、カフ縦方向長さと収縮応力(σ35a、σ35b)との関係を示すグラフの一例が示されている。前述したとおり、少なくともカフ縦方向長さが70の場合に、「第2起立部最内方部の収縮応力σ35a≧第2起立部最外方部の収縮応力σ35b」という大小関係が成立することが好ましいが、図5に示す例のように、カフ縦方向長さにかかわらず常時、斯かる大小関係が成立しているとより好ましい。
収縮応力σ7035bに対する収縮応力σ7035aの比率(σ7035a/σ7035b)は、好ましくは1以上、より好ましくは1.05以上、そして、好ましくは3以下、より好ましくは2以下である。
収縮応力σ7035a(カフ縦方向長さ70での第2起立部35における複数の防漏カフ形成用弾性部材36のうちの横方向Yの最内方に位置するものに対応する部分の収縮応力)は、好ましくは0.03N以上、より好ましくは0.06N以上、そして、好ましくは0.15N以下、より好ましくは0.12N以下である。
収縮応力σ7035b(カフ縦方向長さ70での第2起立部35における複数の防漏カフ形成用弾性部材36のうちの横方向Yの最外方に位置するものに対応する部分の収縮応力)は、好ましくは0.02N以上、より好ましくは0.05N以上、そして、好ましくは0.14N以下、より好ましくは0.11N以下である。
以上、本考案について説明したが、本考案は前記実施形態に制限されず、本考案の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば図2に示すおむつ1は、防漏カフ3が外折りの形態(第1起立部34が、基端部31から折り曲げ部33にわたって横方向Yの外側から内側に延び、第2起立部35は、該折り曲げ部33から横方向Yの外側に延びている形態)であったが、防漏カフ3は内折りの形態(第1起立部34が、基端部31から折り曲げ部33にわたって横方向Yの内側から外側に延び、第2起立部35は、該折り曲げ部33から横方向Yの内側に延びている形態)でもよい。ただし前述したとおり、防漏カフ3が外折りの形態であると、斯かる形態に特有の効果が奏されるため好ましい。
本考案の吸収性物品は、人体から排出される体液(尿、経血、軟便、汗等)の吸収に用いられる物品を広く包含し、前記実施形態の如き展開型使い捨ておむつの他、例えば、パンツ型使い捨ておむつ、尿取りパッド、生理用ナプキン、生理用ショーツなどを包含しうる。本考案の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
<1>
着用者の前後方向に対応する縦方向と該縦方向に直交する横方向とを有し、吸収体を具備する吸収性本体と、該吸収性本体の肌対向面に離間部を設けて配置された該縦方向に延びる一対の防漏カフと、該吸収体の該縦方向に沿う両側縁から該横方向外方に延出するサイドシートと、該一対の防漏カフの該横方向外側で且つ着用者の脚周りに対応する部位に配置された一対のレッグカフとを具備する吸収性物品であって、
前記一対の防漏カフは、それぞれ、前記サイドシートを含んで構成され、且つ該サイドシートが他の部材に固定された基端部と、該基端部を起点として該サイドシートが着用者側に起立する起立部とを前記横方向に有しており、
前記起立部は、前記縦方向に延びる折り曲げ部にて折り曲げられており、且つ前記基端部から該折り曲げ部にわたる第1起立部と、該折り曲げ部から該起立部の自由端にわたり、該第1起立部よりも着用者の肌に近い側に位置する第2起立部とを含んで構成され、該第2起立部に、複数の防漏カフ形成用弾性部材が前記縦方向に伸縮可能な状態で前記横方向に並べて配されており、
前記レッグカフは、前記サイドシートと、該サイドシートに配された複数のレッグカフ形成用弾性部材とを含んで構成され、該複数のレッグカフ形成用弾性部材は、前記基端部よりも前記横方向外方にて前記縦方向に伸縮可能な状態で該横方向に並べて配されており、
前記防漏カフ及び前記レッグカフそれぞれの前記縦方向の長さをカフ縦方向長さとし、両カフそれぞれの最大伸長状態での該カフ縦方向長さを100とした場合に、
前記カフ縦方向長さが70での前記第2起立部の前記防漏カフ形成用弾性部材1本当たりの収縮応力が、前記カフ縦方向長さが70での前記レッグカフの前記レッグカフ形成用弾性部材1本当たりの収縮応力に比べて小さく、且つ
前記カフ縦方向長さが70での前記第2起立部の全体の収縮応力が、前記カフ縦方向長さが70での前記レッグカフの全体の収縮応力に比べて大きい、吸収性物品。
<2>
前記カフ縦方向長さが70での前記レッグカフ形成用弾性部材1本当たりの収縮応力に対する、前記カフ縦方向長さが70での前記防漏カフ形成用弾性部材1本当たりの収縮応力の比率が、0.2以上0.99以下、好ましくは0.3以上0.9以下である、前記<1>に記載の吸収性物品。
<3>
前記カフ縦方向長さが70での前記防漏カフ形成用弾性部材1本当たりの収縮応力が、0.03N以上0.15N以下、好ましくは0.06N以上0.12N以下である、前記<1>又は<2>に記載の吸収性物品。
<4>
前記カフ縦方向長さが70での前記レッグカフ形成用弾性部材1本当たりの収縮応力が、0.04N以上0.24N以下、好ましくは0.08N以上0.20N以下である、前記<1>~<3>のいずれか1に記載の吸収性物品。
<5>
前記カフ縦方向長さが70での前記レッグカフの全体の収縮応力に対する、前記カフ縦方向長さが70での前記第2起立部の全体の収縮応力の比率が、1超6以下、好ましくは1.25以上5以下である、前記<1>~<4>のいずれか1に記載の吸収性物品。
<6>
前記カフ縦方向長さが70での前記第2起立部の全体の収縮応力が、0.1N以上0.6N以下、好ましくは0.2N以上0.5N以下である、前記<1>~<5>のいずれか1に記載の吸収性物品。
<7>
前記カフ縦方向長さが70での前記レッグカフの全体の収縮応力が、0.05N以上0.5N以下、好ましくは0.1N以上0.4N以下である、前記<1>~<6>のいずれか1に記載の吸収性物品。
<8>
前記第2起立部の前記防漏カフ形成用弾性部材の数が、前記レッグカフ形成用弾性部材の数より多い、前記<1>~<7>のいずれか1に記載の吸収性物品。
<9>
前記カフ縦方向長さが特定値未満の範囲にあるときと、前記カフ縦方向長さが該特定値を超えて100以下の範囲にあるときとで、前記第2起立部の前記防漏カフ形成用弾性部材1本当たりの収縮応力と前記レッグカフの前記レッグカフ形成用弾性部材1本当たりの収縮応力との大小関係が異なる、前記<1>~<8>のいずれか1に記載の吸収性物品。
<10>
前記特定値が70未満、好ましくは30以上69以下、より好ましくは40以上60以下である、前記<9>に記載の吸収性物品。
<11>
前記レッグカフ形成用弾性部材の径に対する、前記第2起立部の前記防漏カフ形成用弾性部材の径の比率が、0.2以上0.9以下、好ましくは0.3以上0.8以下である、前記<1>~<10>のいずれか1に記載の吸収性物品。
<12>
前記カフ縦方向長さが70であるとき、前記第2起立部における前記複数の防漏カフ形成用弾性部材のうちの横方向最内方に位置するものに対応する部分の収縮応力は、該第2起立部における該複数の防漏カフ形成用弾性部材のうちの横方向最外方に位置するものに対応する部分の収縮応力と同等か、又はそれよりも大きい、前記<1>~<11>のいずれか1に記載の吸収性物品。
<13>
前記第2起立部における前記複数の防漏カフ形成用弾性部材のうちの横方向最外方に位置するものに対応する部分の収縮応力に対する、前記第2起立部における前記複数の防漏カフ形成用弾性部材のうちの横方向最内方に位置するものに対応する部分の収縮応力の比率が、1以上3以下、好ましくは1.05以上2以下である、前記<12>に記載の吸収性物品。
<14>
前記第2起立部における前記複数の防漏カフ形成用弾性部材のうちの横方向最内方に位置するものに対応する部分の収縮応力は、0.03N以上0.15N以下、好ましくは0.06N以上0.12N以下である、前記<12>又は<13>に記載の吸収性物品。
<15>
前記第2起立部における前記複数の防漏カフ形成用弾性部材のうちの横方向最外方に位置するものに対応する部分の収縮応力は、0.02N以上0.14N以下、好ましくは0.05N以上0.11N以下である、前記<12>~<14>のいずれか1に記載の吸収
性物品。
<16>
前記第1起立部は、前記基端部から前記折り曲げ部にわたって前記横方向の外側から内側に延び、前記第2起立部は、該折り曲げ部から該横方向の外側に延びている、前記<1>~<15>のいずれか1に記載の吸収性物品。
<17>
前記カフ縦方向長さが70であるとき、前記第2起立部における前記複数の防漏カフ形成用弾性部材のうちの横方向最外方に位置するものは、前記複数のレッグカフ形成用弾性部材のうちの横方向最内方に位置するものよりも、前記横方向の内側に位置する、前記<16>に記載の吸収性物品。
1 使い捨ておむつ(吸収性物品)
F 腹側部
M 股下部
R 背側部
2 吸収性本体
21 表面シート
22 裏面シート
23 吸収体
3 防漏カフ
30 サイドシート
31 基端部
32 起立部
32a 起立部の自由端
33 折り曲げ部
34 第1起立部
35 第2起立部
36,36a,36b 防漏カフ形成用弾性部材
37 起立阻害部
39 離間部
4 サイドフラップ部
41 レッグカフ
42,42a レッグカフ形成用弾性部材
5 止着構造
X 縦方向
Y 横方向

Claims (9)

  1. 着用者の前後方向に対応する縦方向と該縦方向に直交する横方向とを有し、吸収体を具備する吸収性本体と、該吸収性本体の肌対向面に離間部を設けて配置された該縦方向に延びる一対の防漏カフと、該吸収体の該縦方向に沿う両側縁から該横方向外方に延出するサイドシートと、該一対の防漏カフの該横方向外側で且つ着用者の脚周りに対応する部位に配置された一対のレッグカフとを具備する吸収性物品であって、
    前記一対の防漏カフは、それぞれ、前記サイドシートを含んで構成され、且つ該サイドシートが他の部材に固定された基端部と、該基端部を起点として該サイドシートが着用者側に起立する起立部とを前記横方向に有しており、
    前記起立部は、前記縦方向に延びる折り曲げ部にて折り曲げられており、且つ前記基端部から該折り曲げ部にわたる第1起立部と、該折り曲げ部から該起立部の自由端にわたり、該第1起立部よりも着用者の肌に近い側に位置する第2起立部とを含んで構成され、該第2起立部に、複数の防漏カフ形成用弾性部材が前記縦方向に伸縮可能な状態で前記横方向に並べて配されており、
    前記レッグカフは、前記サイドシートと、該サイドシートに配された複数のレッグカフ形成用弾性部材とを含んで構成され、該複数のレッグカフ形成用弾性部材は、前記基端部よりも前記横方向外方にて前記縦方向に伸縮可能な状態で該横方向に並べて配されており、
    前記防漏カフ及び前記レッグカフそれぞれの前記縦方向の長さをカフ縦方向長さとし、両カフそれぞれの最大伸長状態での該カフ縦方向長さを100とした場合に、
    前記カフ縦方向長さが70での前記第2起立部の前記防漏カフ形成用弾性部材1本当たりの収縮応力が、前記カフ縦方向長さが70での前記レッグカフの前記レッグカフ形成用弾性部材1本当たりの収縮応力に比べて小さく、且つ
    前記カフ縦方向長さが70での前記第2起立部の全体の収縮応力が、前記カフ縦方向長さが70での前記レッグカフの全体の収縮応力に比べて大きい、吸収性物品。
  2. 前記カフ縦方向長さが70での前記レッグカフ形成用弾性部材1本当たりの収縮応力に対する、前記カフ縦方向長さが70での前記防漏カフ形成用弾性部材1本当たりの収縮応力の比率が、0.2以上0.99以下である、請求項1に記載の吸収性物品。
  3. 前記カフ縦方向長さが70での前記レッグカフの全体の収縮応力に対する、前記カフ縦方向長さが70での前記第2起立部の全体の収縮応力の比率が、1超6以下である、請求項1又は2に記載の吸収性物品。
  4. 前記第2起立部の前記防漏カフ形成用弾性部材の数が、前記レッグカフ形成用弾性部材の数より多い、請求項1~3のいずれか1項に記載の吸収性物品。
  5. 前記カフ縦方向長さが特定値未満の範囲にあるときと、前記カフ縦方向長さが該特定値を超えて100以下の範囲にあるときとで、前記第2起立部の前記防漏カフ形成用弾性部材1本当たりの収縮応力と前記レッグカフの前記レッグカフ形成用弾性部材1本当たりの収縮応力との大小関係が異なる、請求項1~4のいずれか1項に記載の吸収性物品。
  6. 前記特定値が70未満である、請求項5に記載の吸収性物品。
  7. 前記レッグカフ形成用弾性部材の径に対する、前記第2起立部の前記防漏カフ形成用弾性部材の径の比率が、0.2以上0.9以下である、請求項1~6のいずれか1項に記載の吸収性物品。
  8. 前記カフ縦方向長さが70であるとき、前記第2起立部における前記複数の防漏カフ形成用弾性部材のうちの横方向最内方に位置するものに対応する部分の収縮応力は、該第2起立部における該複数の防漏カフ形成用弾性部材のうちの横方向最外方に位置するものに対応する部分の収縮応力と同等か、又はそれよりも大きい、請求項1~7のいずれか1項に記載の吸収性物品。
  9. 前記第2起立部における前記複数の防漏カフ形成用弾性部材のうちの横方向最外方に位置するものに対応する部分の収縮応力に対する、前記第2起立部における前記複数の防漏カフ形成用弾性部材のうちの横方向最内方に位置するものに対応する部分の収縮応力の比率が、1以上3以下である、請求項8に記載の吸収性物品。
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