JP4318951B2 - 取付管用の補修材及びそれを用いた補修方法、補修装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、本管の開口部に取り付けられた取付管への引込補修工法に用いる補修材及びそれを用いた補修方法、補修装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
各家庭などの下水道、配水管などの排水施設は、公共桝などを介して取付管から地中に埋設された本管に接続されている。
【0003】
このような取付管が老朽化したり破損したりすると、漏水や水浸入などの不具合を生じるので補修する必要があるが、この取付管の補修は、取付管内壁面のみならず、取付管と本管との接続部の補修も必要となる。
【0004】
このため、例えば、取付管更生工法(サイドライナー工法:登録商標)によれば、図9に示すように、不飽和ポリエステル樹脂などの硬化性の樹脂が含浸された樹脂含浸ホース1がサイドライナー用の反転機2(不図示)を用いて取付管3が埋設されている公共桝4側から反転されつつ装填される。ついで、取付管3に装填された樹脂含浸ホース1は成形用ホース5内に導入された流体の圧力により拡径されつつ加熱硬化されて取付管の補修が行われる。
【0005】
また、本管6(既設管)から取付管3への分岐部7は、図10に示すように、パートライナーS用の補修機10を用いた本管・取付管一体補修工法(パートライナーS工法:登録商標)により追加的に補修されている。この補修機10はエポキシ樹脂などの樹脂が含浸されたガラスマット(部分補修材)9が設置された状態で不図示のマンホール8から補修機10が本管6内に導入されて補修が行われている。
【0006】
これに対して、鍔付きの補修材(以下、鍔付補修材という。)13を用いることにより、取付管更生工法と本管・取付管一体補修工法とを一挙に行う工法(以下、鍔付き工法と略称する。)が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0007】
この鍔付補修材13は筒状の本体部11の一端に本管6の分岐部7周縁を被覆する鍔部12を備えている。このような鍔付補修材13を用いて取付管3を補修する場合、図11に示すように、本管6内に挿入された鍔付補修材13は、鍔部12を分岐部7に当接させて筒状本体部11の内外を反転させつつ取付管3内に装填される。その後、筒状本体部11に含浸されている樹脂を硬化させ、鍔部12は先端に押圧装置14aを備えた補修装置14により押圧させて硬化させている。
【0008】
【特許文献1】
特開2003−35395号公報(例えば、図8)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前者の取付管更生工法によれば、樹脂含浸ホース(補修材1)が反転機2により取付管3内に反転挿入されるため、反転が必ずしも順調に執り行われない場合があった。また、この取付管更生工法は、公共桝4側から取付管3内に反転装填するため補修材1の先端部1aは本管6内に突出してしまうので、この本管6内に突出した先端部1aを削り取る工程が必要であるが、この削り取り工程は本管6内での作業であるので作業工数が増大するという課題がある。
【0010】
またさらにこの工法によれば、本管6から取付管3への分岐部7を本管・取付管一体補修工法により補修する必要があり、それ故、取付管3への補修開始から工事完了までに要する時間が長いという課題がある。
【0011】
また、後者の鍔付き工法によれば、鍔付補修材13を特殊な押圧装置14を備えた機材へ装填する装填工程、鍔部12を本管6と取付管3に位置合わせを行う位置合わせ工程、鍔付補修材13を反転挿入する反転装填工程などの各工程の段取りに時間が掛かるという課題があった。
【0012】
また、この場合も鍔付補修材13は反転挿入されるため、取付管3が曲がっている場合には反転が必ずしも順調に推移しない場合もあり、反転装填には慎重を期す必要があった。このため、一連の更生が完了するまでには、施工現場での施工時間は4時間から6時間程度の長時間の所要時間が必要であった。
【0013】
取付管の更生は、近年益々増大しており、今後も更に増大すると予想されている。また、道路の使用規制などが強化される方向にあり、施工現場での施工時間の短縮が切望される。
【0014】
そこで、この発明は、上記の問題に鑑みて為されたものであり、現場での施工時間をできるだけ短時間に行える取付管の補修方法を提供することを課題とする。
【0015】
また、本発明はこの取付管の補修方法に用いる補修材及び補修装置を提供することを課題とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解決すべく検討したところ、硬化性樹脂が含浸された引き込み用の鍔付補修材を予め施工現場とは異なる工場等において別途に調整しておくことにすれば、施工現場では搬送されてきた鍔付補修材を本管側から取付管内に引き込んで補修すればよいので、鍔付補修材の機器への取付工程や引込工程に要する時間を大幅に短縮でき、また、補修材を反転することなく取付管内に配設するので、反転装填の場合に比べて位置合わせに必要な時間の短縮を含めて装填時間が大幅に短縮できることを認め本発明に到達した。
【0017】
すなわち、本発明の補修材は、外周面に配置されたアウター層と内周面に配置されたインナー層との間に硬化性の樹脂が含浸された硬化層を含んで構成された可撓性の筒状の本体部と、該本体部に鍔状に配置された変形可能な可撓性の鍔部と、牽引用のロープとを備え、該鍔部は、鍔用インナー層と接着剤が付与可能な接着用層を備えたことを特徴とする取付管用の補修材である。
【0018】
このような取付管用の補修材を用いて本管の開口部に取り付けられた取付管を補修すれば、施工現場では、前記接着用層に接着剤を付与させる接着剤付与工程、該接着剤の付与された鍔付補修材を前記牽引用のロープを用いて牽引して前記本管から前記取付管の管路内に引き込むことにより前記取付管の内壁面に前記本体部を配設すると共に前記鍔部を前記開口部の周縁部面に配設する引込工程、前記本体部を前記内壁面に圧接して該本体部を硬化させる硬化工程及び前記接着用層を前記周縁部面に圧接して該鍔部を前記周縁部に接着させる接着工程を行うことにより取付管の管路の内壁面及び取付管と本管との分岐部との双方を同時に補修することができる。
【0019】
また、この補修工法によれば、施工現場での施工が簡易であることにより、現場での施工時間を大幅に短縮することができる。
【0020】
一般に従来の鍔付補修材においては、予め地上で補修材の鍔部を押圧装置の押圧部に取り付けた状態で本管の管路内に装填されるので、管路の形状に沿って設けられた押圧部に沿った形状の鍔部を備えた補修材を用いることができるが、本発明の工法においては、補修材はロープなどの牽引により引き込まれるので、鍔部の形状を管路の所定形状に則して成形すると位置合わせが極端に困難となる。そこで、この発明の補修材としては、前記鍔部は開口部周縁の形状に沿って変形可能であることが好ましい。これにより、引込方法を採用しても、鍔部は開口部周縁の形状に沿って変形可能であるので、開口部への位置合わせが適切に行えれば、開口部の周縁に沿った位置合わせが行われなくても、すなわち、鍔部が回転しても、この鍔部は常に開口部の周縁部に密着させて接着させることができる。
【0021】
また、この補修材には、前記鍔付補修材は内部には前記取付管に引き込まれて配設された状態で前記本体部と取付管の内壁面との配設状態を補正するための成形用治具が予め配設されていれば、上記発明において、引込工程と硬化工程及び接着工程との間に、前記成形用治具を用いて前記本体部の取付管の内壁面への配設状態を補正する配設補正工程を行うことにより、本体部の硬化に先立って取付管内への補修材の配設状態を補正することができる。
【0022】
この配設補正工程は、例えば、成形用治具が密閉された密閉部と内部に気体などの流体を導入可能にされた導入部とを備えた筒状体であり、前記密閉部は前記鍔部近傍に配置され、前記導入部は前記補修材の基部から前記成形用治具内へ前記流体の導入操作が可能に配置されていれば、前記成形用治具の基部から流体を導入して成形用治具及び本体部を膨張させることにより、本体部の硬化に先立って取付管内への補修材の配設状態を補正することができる。
【0023】
この成形用治具は、内部への温水循環装置を備えていれば、配設補正工程後にこの成形用治具内に温水を循環させることにより、熱硬化性樹脂を硬化させることができる。
【0024】
また、以上に記載の取付管用の補修材の鍔部を本管側から押圧して補修するための補修装置であって、前記補修装置は、ロープにより牽引されて取付管内に引き込まれる前記補修材を基部側から前記取付管内に誘導するためのガイドローラを、前記本管内に沿った前記補修装置本体の一端に備えていれば、このガイドローラにより誘導することにより補修材を本管側から取付管内へ引き込む操作がスムースに行える。
【0025】
ここで、このガイドローラは補修装置又は押圧装置の本体に本管の軸方向に対して回動調整可能に配置されていれば、本管の軸方向に交差して取り付けられる取付管に向かって補修材の基部を的確に誘導することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、従来技術と同一乃至は均等な部位部材は同一番号を付して詳細な説明は省略する。
【0027】
まず、図1は本発明の実施の形態に係る鍔付きの補修材(鍔付補修材)を説明する図であり、図2及び図3は図1の鍔付補修材により取付管3を補修した補修後の状況を説明する図である。ここで、図2では、本管6の内壁面には予め本管用の補修材により更生された内壁面6aが形成されている例である。
【0028】
符号20で示される鍔付きの補修材は、可撓性の筒状本体部21とこの筒状本体部21の一端に連続して形成されたフランジ状の鍔部22を備えている。この筒状本体部21は取付管3の全長を補修するに十分な長さを備えている。ここで、この図1では、この筒状本体部21は長手方向が省略されて、かつ、円筒状に描かれているが、この筒状本体部21は可撓性の長尺ものであり、工場から施工現場への移送を容易とするために筒状本体部21は折り畳まれたり、又はリールなどに巻き取られて保管されている。
【0029】
この筒状本体部21は取付管3の内壁面3aを補修する補修部材であり、鍔部22は、図3に示すように、本管6の開口部23の周縁部24に固着されて分岐部7を補修するためのものである。
【0030】
筒状本体部21は両端21a、21bがともに開放されている。この両端部は説明の都合上、鍔部22が固定される一端を先端部21aと呼称し、反対側の一端を基部21bと呼称して以下に説明する。
【0031】
これにより、鍔部22の両表面を取り付けられた状態で本管6内に配置される側を鍔部22の先端側表面22a(又は単に表面22a)と呼称し、本管6の内壁面6aに配置される側を鍔部22の基部側表面22b(又は単に裏面22b)と呼称することにする。
【0032】
この筒状本体部21は、内部には繊維質材料に硬化性の樹脂が含浸された硬化層25を含んで構成され、外表面側には不透過性のアウター層26が配置され、また、内表面側には不透過性のインナー層27が配置されている。いずれの層26,27も、例えば、不透過性フィルム素材により形成可能であるが、インナー層27では、補修後には内部を流れる排水に接触することになるので、例えば、ポリウレタンフィルムなどの耐水性と耐久性に優れた素材が選択される。ここで、これらのインナー層27及びアウター層26は以上の機能を備えていれば、フィルム素材によることなく硬化層25に用いられている繊維質素材と一体となって形成されていてもよい。
【0033】
次に、鍔部22は大略ガラス繊維マットなどの繊維質マットより構成されており、裏面22bには繊維質材料が露出して接着用層が形成され、表面22aにはFRP素材として一体に形成された鍔用のインナー層が配置されている。これにより、表面側には排水に直接接触しても耐久性のある表面が形成され、一方、裏面22bには本管6の内壁面6aに固着させるための接着層が付与可能な面(接着用層)が形成される。この裏面22bにはエポキシ樹脂などの接着剤が施工現場にて塗布されて使用に供されるが、予め工場で接着性の樹脂が付着されていてもよい。
【0034】
なお、ここで、鍔部22を構成するインナー層と接着用層はインナー層と接着用層の両方を兼ね備えたインナー接着用層22c(図1のみ図示)であってもよい。
【0035】
また、この接着剤は常温硬化型の接着剤に限らず、鍔部を開口部周縁に接着できればなんでもよい。例えば、熱硬化型、光硬化型等の接着剤であってもよく、この場合には、鍔部22は加熱されたり、光が照射されるなどの硬化手段により硬化され、鍔部22が開口部周縁に接着される。
【0036】
以上の鍔付補修材20は、予め施工現場とは異なる工場等において適宜の手法により調整される。
[変形例]
次に、図4はこの発明の好ましい実施の形態で用いられる鍔付補修材20´の一例である。この鍔付補修材20´では、図1の鍔付補修材20に加えて、内部に成形用治具の一例としての成形用チューブ28が挿入されている。この成形用チューブ28は、予め工場などにおいて図1の鍔付補修材20の内部に反転挿入されたものであり、施工後は取り剥がして廃棄又は再利用される筒状のフィルム(シート)素材である。
【0037】
この成形用チューブ28は、鍔付補修材20の長さよりも若干長め(例えば、50cm程度長め)に切断され、一端を折り返して縛ることなどの適宜の手法により密封して、鍔付補修材20の内部に適宜の手法(例えば、反転挿入法)により挿入する。
【0038】
これにより、密封された先端部(密閉部)28aが鍔部22近傍に配置することにより、他端は鍔付補修材20´の基部21bから突出して密封された成形用チューブ28内に空気などの流体を導入する導入部28bとされる。これにより、この導入部28bは密封栓等を介してエアーコンプレッサーなどの圧力気体導入装置や温水供給源と連結可能である。
【0039】
このような鍔付補修材20´によれば、成形用チューブ28は、取付管3に引き込まれて配設された状態で成形用チューブ28内に圧力空気などの流体を導入させることにより、取付管3の内壁面3aへの筒状本体部21の配設状態を整える(補正する)ことができる。
【0040】
また、この成形用チューブ28内に温水を循環させて硬化性樹脂を硬化させる場合には、この成形用チューブ28の先端部28aに可撓性の材料から形成された温水循環ホースを固定する。この温水循環ホースへ温水が導水可能になるように温水循環ホースの基部は成形用チューブ28の導入部28b付近になるように装着する。これにより成形用チューブ28内に鍔付補修材として熱硬化性樹脂が含浸されたものを用いる場合の硬化が進行される。
【0041】
次に、図5は、この発明の好ましい実施の形態で用いられる鍔付補修材の導入装置を備えた押圧装置の一例である。
【0042】
この補修装置30は鍔部を押圧硬化させるための筒状のゴム製のパッカー部(ヒータ付き)31、本管6内に導入された鍔付補修材20を基部21bから取付管3への引き込みを誘導する誘導部32及び走行手段としての車輪33…等を備えている。この車輪33は、自走式であっても不図示のロープにより牽引されて本管6の内壁面6aに沿って走行可能であってもよい。
【0043】
また、この補修装置30には、空気導入管34、空気排出管35、カメラ、ヒータ、温度センサなどを含む電装品を配設するための配設ケーブル36が配設されている。また、補修装置30の一端には回転ユニット37が配設され、この回転ユニット37には制御電源等により制御されるギアポンプなどが配設されている。カメラ装置などが別体として本管6内に導入されていてもよい。
【0044】
また、この回転ユニット37に連繋して補修装置の前方には管路の長手方向を軸方向にして矢印a方向に回転する回転部38が設けられ、回転部38には誘導部32を支持する支持アーム39が固定されている。
【0045】
この支持アーム39の先端39aには継手部39bで折りたたみ自由にガイドローラ40が固定されている。このガイドローラ40は、図6に示すように、継手部39bが伸張された状態で使用され、鍔付補修材20が本管6から取付管3の開口部23へ向けて引き込まれる際の引き込みをガイドローラ40が矢印b方向に回転することにより滑らかに遂行させるためのものである。そして、このガイドローラ40には、伸張した状態で下方にガイドローラ40を支持するスキー状の支持部材41が固定されている。そして、この支持部材41は矢印b方向に回動することによりガイドローラ40が回転部38の回動により矢印a方向に回動する際の支持部材41と内壁面6aとの干渉が防止されている。
【0046】
なお、この誘導部32には、適宜のガイド補助部材が配置されていてもよい。例えば、この図6では、符号42の2点鎖線で示すようにエルボ状のガイド板42が配設されている。このガイド板42は、ガイドローラ40による鍔付補修材20の誘導を補助するためのものであり、例えば、ガイドローラ40に対向する面が開口し、周囲を滑らかな曲線で形成することにより鍔付補修材20が補修装置30の本体側へ曲折されるのを防止している。
【0047】
次に、このような装置を用いた管路の補修方法について説明する。
(1)鍔付補修材20は、例えば、成形用チューブ28が内装された状態で施工現場に工場などから搬送されてくる。ここで、工場から搬送される鍔付補修材20は、取付管3の管径及び長さを考慮して、予め所定径と所定長を備えている。
(2)ポリエチレンシートなどの離型性シートによりパッカー部31が養生されている補修装置が機材運搬用の車体からロープなどにより牽引されて一方のマンホール8から搬入される。
(3)本管側に取り付けられたカメラ(不図示)を観察しつつ回転部38を回動させてガイドローラ40の角度を取付管3の軸方向に直交するように合わせ、ロープ44を公共桝4から取付管3、本管6及びマンホール8aを介して通線する。
(4)鍔付補修材20の基部21bをマンホール8aより飛び出たロープ44に縛り付ける(図8(a)参照)。
(5)鍔部22の裏面22bに露出したガラス繊維マットにエポキシ樹脂などの硬化剤を含む接着性の強い樹脂を含浸する。
(6)パッカー部31を拡径させて本管の内壁面6aに補修装置30を固定した状態で、ロープ44を公共桝4側から牽引して基部21bから鍔付補修材20を取付管3内に誘導する。
(7)カメラで監視しつつ鍔部22が開口部23の周縁部24に位置決めされた状態で、パッカー部31を減圧して補修装置30を移動可能とする(図8(b)参照)。
(8)鍔付補修材20の基部21bに空気導入装置を備えた温水循環用治具(不図示)を取り付ける。
(9)本管側カメラから監視しつつ鍔付補修材20内に0.2kgf/cm2程度の圧力を加える。
(10)成形用チューブ28内に0.2kgf/cm2程度の圧力を加えて成形用ホース5を拡径させて鍔部22の位置の微調整を行う。成形用チューブ28の先端部28aが鍔部22より僅かに本管6内に突出した状態で成形用チューブ28を拡径することにより、鍔部22の取付管3の軸方向を中心とするセンタ位置合わせが可能となる。
(11)鍔部22の下にパッカー部31が来るように補修装置30を移動させパッカ部31を拡径して補修装置を固定する。このとき、成形用チューブ28の先端部28aはパッカー部31が拡径されることにより内部に押し戻される。また、平板状であり且つ変形可能な可撓性であった鍔部22は、内壁面6aの形状に沿って湾曲して押圧される。このように可撓性で、パッカー部31の押圧により変形可能である鍔部であれば、鍔部22の位置合わせを湾曲に沿って行う必要がなくなり、施工が簡略化される。
(12)成形用チューブによる拡径圧力を0.2kgf/cm2に維持しつつ80℃の温水を1時間循環させて筒状本体部21を十分に硬化させる。この間、鍔部22は60℃に加熱養生させる。
(13)加熱養生後に、温水を冷却し、成形用チューブ28及び補修装置30を撤去して作業を終了する。
【0048】
以上の鍔付補修材を本管側から取付管内に引き込んで補修するという取付管への引込補修工法によれば、取付部位が屈曲している場合でも取付施工が確実かつ簡易であり、鍔付補修材の機器への取付工程や引込工程に要する時間を大幅に短縮できる。例えば、従来、施工現場で必要であった作業時間は4時間から6時間であるが、この工法によれば、半分の2時間から3時間で施工を完了させることができる。
【0049】
また、補修材を反転することなく取付管内に配設するので、反転装填の不具合が解消される。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、現場での施工時間をできるだけ短時間に行える取付管の補修方法、この取付管の補修方法に用いる補修材及び補修装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る鍔付補修材の一例を説明するための模式的な斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る鍔付補修材により補修された管路を説明するための一部切欠斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る鍔付補修材により補修された管路を説明するための断面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る鍔付補修材の一例を説明するための模式的な斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る管路補修方法に使用される補修装置を説明するための模式的斜視図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る管路補修方法を説明するための断面図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る管路の補修方法を説明するための横断面図である。
【図8】図8(a)〜(c)は、本発明の実施の形態に係る管路の補修方法を説明するための説明図である。
【図9】従来の管路の補修方法を説明するための横断面図である。
【図10】従来の管路の補修方法を説明するための断面図である。
【図11】従来の管路の補修方法を説明するための断面図である。
【符号の説明】
1:樹脂含浸ホース(補修材)
1a:先端部
2:反転機
3:取付管
3a:内壁面
4:公共桝
5:成形用ホース
6:本管
6a:内壁面(本管用補修材)
7:分岐部
8:マンホール
8a:マンホール
9:部分補修材
10:補修機
11:筒状本体部(本体部)
12:鍔部
13:鍔付補修材(補修材)
14:補修装置
14a:押圧装置
20:鍔付補修材
20´:鍔付補修材(成形チューブ入り)
21:筒状本体部
21a:先端部
21b:基部
22:鍔部
22a:先端側表面(表面;鍔用のインナー層)
22b:基部側表面(裏面:接着用層)
22c:インナー接着用層
23:開口部
24:周縁部
25:硬化層
26:アウター層
27:インナー層
28:成形用チューブ(成形用治具)
28a:先端部(密閉部)
28b:導入部
30:補修装置
31:パッカー部
32:誘導部
33:車輪
34:空気導入管
35:空気排出管
36:配設ケーブル
37:回転ユニット
38:回転部
39:支持アーム
39a:支持アームの先端
39b:継手部
40:ガイドローラ
41:支持部材
42:ガイド板
44:ロープ
Claims (9)
- 外周面に配置されたアウター層と内周面に配置されたインナー層との間に硬化性の樹脂が含浸された硬化層を含んで構成された可撓性の筒状の本体部と、
該本体部に鍔状に配置された変形可能な可撓性の鍔部と、牽引用のロープとを備え、
該鍔部は、鍔用インナー層と接着剤が付与可能な接着用層を備えたことを特徴とする取付管用の補修材。 - 外周面に配置されたアウター層と内周面に配置されたインナー層との間に硬化性の樹脂が含浸された硬化層を含んで構成された可撓性の筒状の本体部と、
該本体部に鍔状に配置された変形可能な可撓性の鍔部と、牽引用のロープとを備え、
該鍔部は、鍔用インナー層と接着剤が付与可能な接着用層の両方を兼ね備えたインナー接着用層を備えたことを特徴とする取付管用の補修材。 - 前記補修材は内部には前記取付管に引き込まれて配設された状態で前記本体部と取付管の内壁面との配設状態を補正するための成形用治具が予め配設されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の取付管用の補修材。
- 前記成形用治具は密閉された密閉部と内部に流体を導入可能にされた導入部とを備えた筒状体であり、
前記密閉部は前記鍔部近傍に配置され、前記導入部は前記補修材の基部から前記成形用治具内へ前記流体の導入操作が可能に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の取付管用の補修材。 - 請求項1又は2に記載の取付管用の補修材を用いて本管の開口部に取り付けられた取付管を補修するに際して、
前記接着用層に接着剤を付与させる接着剤付与工程、
該接着剤の付与された鍔付補修材を前記牽引用のロープを用いて牽引して前記本管から前記取付管の管路内に引き込むことにより前記取付管の内壁面に前記本体部を配設すると共に前記鍔部を前記開口部の周縁部面に配設する引込工程、
前記本体部を前記内壁面に圧接して該本体部を硬化させる硬化工程及び前記接着用層を前記周縁部面に圧接して該鍔部を前記周縁部に接着させる接着工程を行うことを特徴とする管路補修方法。 - 請求項3に記載の取付管用の補修材を用いて本管の開口部に取り付けられた取付管を補修するに際して、
前記接着用層に接着剤を付与させる接着剤付与工程、
該接着剤の付与された鍔付補修材を前記牽引用のロープを用いて牽引して前記本管から前記取付管の管路内に引き込むことにより前記取付管の内壁面に前記本体部を配設すると共に前記鍔部を前記開口部の周縁部面に配設する引込工程、
前記成形用治具を用いて前記本体部の取付管の内壁面への配設状態を補正する配設補正工程、
前記本体部を前記内壁面に圧接して該本体部を硬化させる硬化工程及び前記接着用層を前記周縁部面に圧接して該鍔部を前記周縁部に接着させる接着工程を順次行うことを特徴とする管路補修方法。 - 請求項4に記載の取付管用の補修材を用いて本管の開口部に取り付けられた取付管を補修するに際して、
前記配設補正工程は、前記成形用治具の基部から流体を導入して前記成形用治具及び前記本体部を膨張させることにより行われることを特徴とする請求項6に記載の管路補修方法。 - 請求項1に記載の取付管用の補修材の鍔部を本管側から押圧して補修するための補修装置であって、
前記補修装置は、ロープにより牽引されて取付管内に引き込まれる前記補修材を基部側から前記取付管内に誘導するためのガイドローラを、前記本管内に沿った前記補修装置本体の一端に備えていることを特徴とする補修装置。 - 前記ガイドローラは、前記補修装置又は押圧装置の本体に本管の軸方向に対して回動調整可能に配置されていることを特徴とする請求項8記載の補修装置。
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