JP4318476B2 - 空気調和機の再利用判定システム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、空気調和機を構成する構成部品の再利用の可否を判定する再利用判定システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、リサイクル可能な部品(構成部品)を有する製品として、例えばテレビ受像機が挙げられる。このテレビ受像機は、主要な構成部品としてアンテナ入力ターミナル並びにチューナ及び補助入力ターミナルを含む入力回路板と、信号処理回路板と、ブラウン管と、電源回路板と、中央処理装置とがある。これら構成部品には、再利用の判定に必要なストレス情報を検出するセンサと、このストレス情報を記憶するためのメモリとがそれぞれ設けられている。また、各メモリに記憶されたストレス情報を読み出すための診断コネクタが設けられている。テレビ受像機が使用者により破棄されリサイクル工場へ収集された場合、チェック装置によって、各構成部品のメモリに記憶されたストレス情報が診断コネクタを介して読み出され、各構成部品の再利用が可能かどうかが判別される(例えば、特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】
特開平7−130295号公報(第4頁−第6頁、図1)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前述した従来のテレビ受像機は、ストレス情報を検出して記憶するために、各構成部品にセンサ及びメモリをそれぞれ設けなければならず、また、部品の再利用を判定する際に使用するチェック装置と接続する診断コネクタを要するため、コストアップし、小型化を阻む要因となっていた。
【0005】
本発明は、かかる課題を解決するためになされたもので、部品の追加及びコストを掛けることなく、既存の構成部品で再利用の判定が行える空気調和機の再利用判定システムを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る空気調和機の再利用判定システムは、空気調和機を構成する構成部品に運転制御を司る制御部を含み、各構成部品の再利用の可否を判定する空気調和機の再利用判定システムであって、制御部に、空気調和機の運転中、空気調和機に設けられた温度センサからの検出温度を読み込んで、検出温度毎に各構成部品の動作時間をそれぞれ積算する時間積算手段と、予め運転パターンに応じて異なる構成部品自体の温度と温度センサの検出温度との差を温度差データとして有し、各検出温度とその検出温度毎の動作時間とからそれぞれ構成部品の温度ストレス量を算出し、かつ、運転パターンに応じた温度差データを用いてその温度ストレス量を補正する演算手段と、予め構成部品毎に基準値が設定され、所定信号が入力されたときに、補正された温度ストレス量と基準値とを比較し、個々の構成部品の再利用の可否を判定する判定手段とを備えたものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の実施の形態を示す空気調和機の制御系のブロック図である。
図中に示す空気調和機は室内ユニット2と室外ユニット15とからなり、室内ユニット2には、室内制御部3と、リモコン1からの運転指令信号を受信する受光部4と、運転情報を表示する表示部5と、室内温度センサ6及び室内管温度センサ7と、送風量を調整するための室内ファンモータ8と、ベーン(図示せず)を介して風向を変えるベーンモータ9とが搭載されている。これら部品は、室内ユニット2を構成する主要な構成部品である。
【0008】
室内ユニット2の室内制御部3は、マイコン10と、室内記憶部11と、室外ユニット15と運転に関わる通信を行う室内通信部12と、マイコン10と室内ファンモータ8との間に挿入された速度制御部13と、マイコン10とベーンモータ9との間に挿入されたベーン駆動部14とを有している。
【0009】
室内記憶部11には、空調運転モード及び再利用判定モードをそれぞれ実行するための制御プログラム、室内ファンモータ8の速度やベーンの角度など室内ユニット2の動作に必要な各種データが格納されており、また、運転パターンに応じて異なる各構成部品自体の温度と室内温度センサ6の検出温度との差を示す温度差データ、構成部品毎に設定された温度ストレス量に対する基準値がそれぞれ格納されている。また、この室内記憶部11には、室内温度センサ6の検出温度、構成部品毎の動作時間、構成部品毎に算出される温度ストレス量などが書き込まれるようになっている。前記の動作時間は、室内温度センサ6の検出温度毎に動作した時間の積算値である。
【0010】
マイコン10は、リモコン1からの運転指令信号が受光部4を介して受信されると空調運転モードに入る。この時、室内温度センサ6からの検出温度を読み込んで、検出温度毎に各構成部品の動作時間をそれぞれ積算し、各検出温度とその検出温度毎の動作時間とからそれぞれ構成部品の温度ストレス量を算出すると共に、運転パターンに応じた温度差データを用いてその温度ストレス量を補正し、室内記憶部11に書き込む。この温度ストレス量の書込タイミングは、一定時間毎や運転パターンの変更時、マイコン10への通電が遮断される直前など、効率的かつ信頼性の高いタイミングで行われ、その都度、構成部品毎の温度ストレス量は更新される。
【0011】
また、所定信号(特殊信号)が受光部4を介して入力されたときは、再利用判定モードに入る。この場合は、室内記憶部11に書き込んだ構成部品の温度ストレス量とこの構成部品に設定された基準値とを比較して、構成部品の再利用の可否を判定する。この判定は再利用対象の構成部品毎に行われ、その結果の再利用の可否は例えば表示部5に表示される。この結果を基に空気調和機が解体され、再利用可能な構成部品と再利用不可能な構成部品とに分別される。
【0012】
前記の室外ユニット15には、室外制御部16と、外気温度センサ17及び室外管温度センサ18と、室外送風量を調整するための室外ファンモータ19と、冷媒を圧縮する圧縮機20とが搭載されている。これら部品は、室外ユニット15を構成する主要な構成部品である。
【0013】
室外ユニット15の室外制御部16は、マイコン21と、室外記憶部22と、室内ユニット2と運転に関わる通信を行う室外通信部23と、マイコン21と室外ファンモータ19との間に挿入された室外ファン制御部24と、マイコン21と圧縮機20との間に挿入されたインバータ回路部25とを有している。
【0014】
室外記憶部22には、室内ユニット2からの運転指令信号の入力時に空調運転モードを実行するための制御プログラム、特殊信号の入力時に再利用判定モードを実行するための制御プログラム、室外ファンモータ19や圧縮機20の速度など室外ユニット15の動作に必要な各種データが格納されており、また、前述したように、運転パターンに応じて異なる各構成部品自体の温度と外気温度センサ17の検出温度との差を示す温度差データ、構成部品毎に設定された温度ストレス量に対する基準値がそれぞれ格納されている。また、この室外記憶部11には、外気温度センサ17の検出温度、各構成部品の検出温度毎の動作時間、構成部品毎に算出される温度ストレス量などが書き込まれるようになっている。
【0015】
マイコン21は、室内ユニットからの運転指令信号が室外通信部23を介して受信されると空調運転モードに入る。この時、外気温度センサ17からの検出温度を読み込んで、検出温度毎に各構成部品の動作時間をそれぞれ積算し、各検出温度とその検出温度毎の動作時間とからそれぞれ構成部品の温度ストレス量を算出すると共に、運転パターンに応じた温度差データを用いてその温度ストレス量を補正し、室外記憶部22に書き込む。この温度ストレス量の書込タイミングは、前記と同様に一定時間毎や運転パターンの変更時、マイコン10への通電が遮断される直前に行われ、その都度、構成部品毎の温度ストレス量は更新される。
【0016】
また、特殊信号が室外通信部23を介して入力されたときは、再利用判定モードに入る。この場合は、室外記憶部22に書き込んだ構成部品の温度ストレス量とこの構成部品に設定された基準値とを比較して、構成部品の再利用の可否を判定する。この判定結果は室外通信部23を介して例えば専用の表示部(図示せず)などに出力される。
【0017】
次に、実施の形態に係る空気調和機の再利用判定システムの動作を図2に示すフローチャートに基づいて説明する。なお、動作説明の便宜上、室内温度センサ6と外気温度センサ17の名称を単に「温度センサ」とし、室内記憶部11と室外記憶部22の名称を単に「記憶部」とする。
空気調和機の使用段階では、室内ユニット2のマイコン10はリモコン1からの運転指令信号に基づいて空調運転モードに入り、一方、室外ユニット15のマイコン21は室内ユニット2側からの運転指令信号に基づいて空調運転モードに入る(ステップ1)。各ユニット2、15のマイコン10、21は、空調運転モード中、各温度センサからの検出温度を読み込み(ステップ2)、その検出温度時の各構成部品の動作時間をそれぞれ積算する(ステップ3)。動作時間の積算は検出温度が変わる毎に行われる。そして、前述したように一定時間経過したときは、構成部品毎に検出温度とその検出温度毎の動作時間とから温度ストレス量を算出し、かつ、運転パターンに応じた温度差データを用いてその温度ストレス量を補正し、記憶部に書き込む(ステップ4)。各構成部品の温度ストレス量の算出は前記の一定時間が経過する毎に行われ、その都度、温度ストレス量が更新される(ステップ5)。温度ストレス量を記憶部に書き込んだ後は、再利用判定モード移行のための特殊信号が入力されたかどうかを判定し(ステップ6)、特殊信号の入力を検知したときはステップ7へ進むが、特殊信号が入力されていないときは、ステップ1へ戻り空調運転モードを繰り返す。
【0018】
一方、空気調和機の使用段階の完了によりリサイクル工場へ運んで、解体前に室内ユニット2に対しては受光部4から特殊信号を入力し、室外ユニット15に対しては室外通信部23から特殊信号を入力すると、各ユニット2、15のマイコン10、21は、それぞれ再利用判定モードに入って(ステップ7)、各構成部品の動作が可能であるか否かのチェックを自己診断的に行う(ステップ8)。その後、記憶部に書き込んだ構成部品毎のの温度ストレス量と各構成部品に設定された基準値とをそれぞれ比較して、各構成部品の再利用の可否を判定する(ステップ9)。この時、室内ユニット2のマイコン10は、その判定結果を表示部5に出力し、室外ユニット15のマイコン21は、室外通信部23を通じて外部に出力する(ステップ10)。この出力内容に応じて空気調和機は解体され、利用可能な構成部品を分別することができる。
【0019】
以上のように実施の形態によれば、空気調和機の室内ユニット2及び室外ユニット15にそれぞれ再利用判定モードを設け、各マイコン11、21により自己を含む各構成部品の再利用の可否を判定するようにしたので、部品の追加及びコストを掛けることなく、資源の再利用化が可能になるという効果がある。
【0020】
なお、空気調和機の製造段階で、室内記憶部11及び室外記憶部22に製造年月日を入力しておくと共に、再利用判定モード移行のため特殊信号の中に判定日を含めておくことで、流通段階や使用段階における無通電期間を算出することで、無通電期間に受けるストレス量を加味した構成部品の再利用の判定ができる。
【0021】
また、空気調和機の使用段階で故障等により構成部品が交換された場合、修理段階に修理情報をリモコン1より入力することで、例えば、室内記憶部11及び室外記憶部22に書き込まれた該当構成部品の温度ストレス量の情報をリセットすることが可能となる。
【0022】
さらに、室内ユニット2では構成部品の再利用の判定結果を表示部5に出力するようにしたが、室内通信部12から出力するようにしてもよいし、リモコンへ送信する送信部を有する室内ユニットにおいては、前述の判定結果を送信部から出力するようにしてもよい。この場合でも、前述したように部品を追加することなく再利用の判定結果を出力することができる。
【0023】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、空気調和機の構成部品である制御部に、空気調和機の運転中、空気調和機に設けられた温度センサからの検出温度を読み込んで、検出温度毎に各構成部品の動作時間をそれぞれ積算する時間積算手段と、予め運転パターンに応じて異なる構成部品自体の温度と温度センサの検出温度との差を温度差データとして有し、各検出温度とその検出温度毎の動作時間とからそれぞれ構成部品の温度ストレス量を算出し、かつ、運転パターンに応じた温度差データを用いてその温度ストレス量を補正する演算手段と、所定信号が入力されたときに、補正された温度ストレス量と基準値とを比較し、個々の構成部品の再利用の可否を判定する判定手段とを備えようにしたので、部品の追加及びコストを掛けることなく、資源の再利用化が可能になるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態を示す空気調和機の制御系のブロック図である。
【図2】 実施の形態に係る空気調和機の再利用判定システムの動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 リモコン、2 室内ユニット、3 室内制御部、4 受光部、5 表示部、6 室内温度センサ、7 室内管温度センサ、8 室内ファンモータ、
9 ベーンモータ、10 マイコン、11 室内記憶部、12 室内通信部、
13 速度制御部、14 ベーン駆動部、15 室外ユニット、16 室外制御部、17 外気温度センサ、18 室外管温度センサ、19 室外ファンモータ、20 圧縮機、21 マイコン、22 室外記憶部、23 室外通信部、24室外ファン制御部、25 インバータ回路部。

Claims (8)

  1. 空気調和機を構成する構成部品に運転制御を司る制御部を含み、各構成部品の再利用の可否を判定する空気調和機の再利用判定システムであって、
    前記制御部に、
    空気調和機の運転中、空気調和機に設けられた温度センサからの検出温度を読み込んで、検出温度毎に各構成部品の動作時間をそれぞれ積算する時間積算手段と、
    予め運転パターンに応じて異なる構成部品自体の温度と前記温度センサの検出温度との差を温度差データとして有し、各検出温度とその検出温度毎の動作時間とからそれぞれ構成部品の温度ストレス量を算出し、かつ、運転パターンに応じた温度差データを用いてその温度ストレス量を補正する演算手段と、
    予め構成部品毎に基準値が設定され、所定信号が入力されたときに、補正された温度ストレス量と基準値とを比較し、個々の構成部品の再利用の可否を判定する判定手段と
    を備えたことを特徴とする空気調和機の再利用判定システム。
  2. 空気調和機は室内ユニットと室外ユニットとを備えてなり、室内ユニットの構成部品である室内制御部と室外ユニットの構成部品である室外制御部とに、前記の時間積算手段、演算手段及び判定手段をそれぞれ設けたことを特徴とする請求項1記載の空気調和機の再利用判定システム。
  3. 前記判定手段は、温度ストレス量と基準値とを比較する際、予め設定された空気調和機の製造年月日を考慮して構成部品の再利用の可否を判定することを特徴とする請求項1又は2記載の空気調和機の再利用判定システム。
  4. 前記所定信号を、空気調和機の構成部品であるリモートコントローラの信号を受信する受信部を用いて入力することを特徴とする請求項1〜の何れかに記載の空気調和機の再利用判定システム。
  5. 前記所定信号を、室内ユニット及び室外ユニットの構成部品である相互に運転に関わる通信を行う室内通信部と室外通信部とを用いて受信することを特徴とする請求項2又は3記載の空気調和機の再利用判定システム。
  6. 前記判定手段は、構成部品の再利用の判定結果を、空気調和機の構成部品である表示部を用いて表示することを特徴とする請求項1〜の何れかに記載の空気調和機の再利用判定システム。
  7. 前記判定手段は、構成部品の再利用の判定結果を、室内ユニット及び室外ユニットの構成部品である室内通信部と室外通信部を用いて出力することを特徴とする請求項2〜の何れかに記載の空気調和機の再利用判定システム。
  8. 前記判定手段は、構成部品の再利用の判定結果を、リモートコントローラへ送信する送信部を用いて出力することを特徴とする請求項1〜の何れかに記載の空気調和機の再利用判定システム。
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