JP4318321B2 - オーロン合成活性を有する蛋白質をコードする遺伝子 - Google Patents

オーロン合成活性を有する蛋白質をコードする遺伝子 Download PDF

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Description

発明の分野
本発明は、カルコン類を基質としてオーロン類を合成する活性を有する蛋白質をコードする遺伝子及びその利用に関するものである。更に詳しくは、カルコン類を基質としてオーロン類を合成する活性を有するポリフェノールオキシダーゼをコードする遺伝子及びその利用に関するものである。更に詳しくは、例えばカルコン類を基質としてオーロン類を合成する活性を有する金魚草由来の蛋白質をコードする遺伝子及びその利用に関するものである。
背景技術
花の色のうち、橙、赤、紫、青は主にアントシアニンと呼ばれるフラボノイドに由来する。黄色は、カロチノイド、ベタレインといったフラボノイド以外の化合物に由来することが多いが、一部の植物の黄色はフラボノイドに由来する。たとえば、金魚草、スターチス、アサガオ、ダリア、ムギワラギク、キクイモ、コスモスの一部の品種にはオーロン類に分類される化合物が花弁中に存在することが知られている(斉藤、バイオホルティ1、49-57、1990)。
オーロン類としては、4’,6-ジヒドロキシオーロン、4, 4’,6-トリヒドロキシオーロン、オーレウシジン、スルフレチン、ブラックテアチン等が知られており、金魚草にはオーレウシジンとブラックテアチンが、スターチスにはオーレウシジンが、アサガオにはオーレウシジンが、ダリアにはスルフレチンが、ムギワラギクにはブラックテアチンが、キクイモにはスルフレチンが含まれている。
また、キク科のコレオプシス属、ヒマワリ属、ティトニア属、ジニア属、ビギュエラ属、ツツジ科のウアッキニウム属、カヤツリグサ科のカヤツリグサ属、マメ科のアカシア属、プテロカルプス属、soja属、アカネ科コンロンカ属の一部にもオーロン類が植物体中に含まれることが知られている(The flavonoids, edited by J. B. Harbone, 1988, Chapman & Hall, 340-342)。
アントシアニンの生合成経路はよく研究されているが、オーロンの生合成に関しては、その構造から4’,6-ジヒドロキシオーロンが2’,4,4’-トリヒドロキシカルコンから合成されることが示唆され、その反応に関してはパーオキシダーゼが関わっているともいわれている(Rathmel and Bendall, Biochem. J. 127, 125-132, 1972)が、植物の花弁抽出液などを用いてオーロン類の生合成反応を明瞭に測定した例もなく、植物花弁中でどのような反応が起こっているのかを明らかにした報告もない。また、オーロン類の合成に関わる酵素を精製したという報告もない。
発明の開示
そこで、本発明者らは、オーロン類の生合成系を解明し、植物、特にその花の色を制御する手段を提供しようとするものである。
発明者らはオーロン類を含む金魚草花弁の粗抽出液を用いてカルコン類からオーロン類を合成する反応を測定するアッセイ方法を確立した。この際生じるオーロン類は、従来考えられていた4’6-ジヒドロキシオーロンではなく、オーレウシジンであり、今回測定できた反応はいままで知られていないものであった。また、このアッセイ方法を用いて金魚草の花弁からカルコン類を基質としてオーロン類(オーレウシジン)を合成する酵素(オーレウシジンシンターゼ)を電気泳動的に単一なバンドにまで精製した。この純粋な標品を用いてこの酵素の生化学的性質を明らかにした。また、この酵素の部分アミノ酸配列をも決定した。このアミノ酸配列に基づいて、金魚草の花弁由来のcDNAライブラリーからカルコン類を基質としてオーロン類を合成するオーロン合成酵素の遺伝子を得た。
なお、カルコン類としては、テトラヒドロキシカルコン、ペンタヒドロキシカルコン、ブテイン、2’,4,4’-トリヒドロキシカルコン等が知られている。
一方、得られた遺伝子は、ポリフェノールオキシダーゼの活性中心である銅の結合領域において相同性を有していた。そこで、ポリフェノールオキシダーゼのひとつとして知られているチロシナーゼについてカルコン類からオーロン類を合成する活性を有しているかどうか確認を行ったところ、チロシナーゼもオーロン類を合成する活性を有していることが明らかになった。
従って本発明は、カルコン類を基質としてオーロン類を合成する活性を有する蛋白質をコードする遺伝子を提供する。さらには、カルコン類を基質としてオーロン類を合成する活性を有するポリフェノールオキシダーゼをコードする遺伝子を提供する。さらには、配列番号:2に示すアミノ酸配列を有するカルコン類を基質としてオーロン類を合成する活性を有する蛋白質をコードする遺伝子を提供する。本発明はまた、上記の遺伝子を含んでなるベクターを提供する。
本発明はさらに、上記ベクターにより形質転換された宿主を提供する。この宿主は、微生物、植物細胞、動物細胞等の細胞であってもよく、また植物体であってもよい。
本発明はまた、上記細胞を培養し、又は上記植物を栽培することを特徴とするオーロン合成酵素、例えばオーレウシジンシンターゼの生成方法を提供する。生成した酵素は採取することもでき、また植物体内で色の色調の調節のために機能させることもできる。この場合、植物体内に生成した酵素によりオーロン類が合成され、このオーロン類が植物体、例えば花の色を調製する。
従って、本発明はまた、カルコン類を基質としてオーロン類を合成する活性を有する酵素遺伝子例えばオーレウシジンシンターゼ遺伝子を植物又は植物細胞に導入し、該遺伝子を発現せしめ、生成した酵素により植物体内でオーロン類を合成することを特徴とする植物の花色の調節方法を提供する。本発明はまた、そのようにして花色が調節された植物をも提供する。
本発明はまた、前記の酵素蛋白質を基質色素であるカルコン類に作用させることを特徴とするオーロン類の合成方法を提供する。
本発明はまた、前記遺伝子にコードされている酵素蛋白質を提供する。
【図面の簡単な説明】
図1は、オーロン類及びカルコン類の構造式を示す。
図2は、オーロンの生合成経路を示す。
図3は、SYP8-17を用いた黄色金魚草各器官におけるノザン解析結果を示す。
図4は、SYP8-17を用いた黄色金魚草花弁の各発達段階におけるノザン解析結果を示す。
petal stage1:つぼみ花弁長さ1センチまで
petal stage2:つぼみ花弁長さ1−1.5センチ
petal stage3:つぼみ花弁長さ1.5−2.0センチ
petal stage4:つぼみ花弁長さ2.0−2.5センチ
petal stage5:つぼみ花弁長さ2.5−3.0センチ
petal stage6:開花した花弁3.0センチ以上
図5は、SYP8-17を用いた黄色、ピンク色、白色の各金魚草花弁におけるノザン解析結果を示す。
図6は、オーロン合成酵素SYP-8に対する抗体(抗SYP-8)及びその他の参照抗体(抗band A及び抗β−ガラクトシダーゼ)添加によるオーロン合成酵素の活性阻害様式を示すグラフである。
図7は、抗SYP8-IgG-Sepharose 4B添加時に上清中に残存するSYP8蛋白量を示している。
発明の実施の形態
まず、黄色の金魚草の花弁から、各種クロマトグラフィー法によりオーレウシジンシンターゼを精製する。次に、常法に従ってオーレウシジンシンターゼの部分アミノ酸配列を解析し、それらのアミノ酸配列に対する合成オリゴヌクレオチドを作製する。
一方、同じ金魚草の花弁よりPoly A+RNAを精製し、常法によりcDNAライブラリーを作成する。
黄色の金魚草花弁のcDNAを鋳型に、前述の合成ヌクレオチドを用いてPCRを行い、オーレウシジンシンターゼに特異的なDNA断片を取得する。このDNA断片をベクターにサブクローニングし、プラスミドを作製する。
前述のcDNAライブラリーを前記プラスミドに含まれる挿入DNAを用いてスクリーニングし、クローンを得る。そして、このクローンから得られるプラスミドを分離し、塩基配列を決定する。
酵素活性を有する蛋白質は、その酵素活性に必須の領域と、酵素活性のために必須でない領域を有し、必須でない領域が1又は複数のアミノ酸の除去(欠失)、付加及び/又は他のアミノ酸による置換により修飾されてもその酵素活性が維持されることが知られている。従って、本発明は、配列番号:2に示すアミノ酸配列を有する蛋白質のみならず、配列番号:2に示すアミノ酸配列において、1個〜複数個のアミノ酸配列の除去もしくは欠失、付加、及び/又は他のアミノ酸による置換により修飾されているアミノ酸配列を有し、且つカルコン類を基質としてオーロン類を合成する活性を維持している蛋白質、及び該蛋白質をコードする遺伝子も本発明に含まれる。
さらに、同一の酵素活性を有する蛋白質がアレル変異により異るアミノ酸配列を有する場合があることが知られている。さらにまた、同一又は同等の酵素活性を有する酵素が多数の種にわたって分布しており、それらの酵素が高いアミノ酸配列の相同性を有することが知られている。そして、これらの蛋白質をコードする遺伝子は、本発明の遺伝子とのハイブリダイゼーションにより選択することが可能である。従って本発明は、配列番号:1に示す塩基配列を有する核酸とストリンジエントな条件下でハイブリダイズし、且つカルコン類を基質としてオーロン類を合成する活性を有する蛋白質をコードする遺伝子、及び該遺伝子によりコードされている蛋白質をも包含する。
配列番号:1に記載の塩基配列を有する核酸とハイブリダイズし、且つカルコン類を基質としてオーロン類を合成する酵素活性を有する蛋白質をコードする遺伝子としては、配列番号:2に記載のアミノ酸配列をコードする遺伝子を人工的に修飾したものでもよく、また天然由来の遺伝子でもよい。天然由来の遺伝子としては、オーロン合成酵素を有する植物、例えば金魚草、スターチス、アサガオ、ダリア、ムギワラギク、キクイモ等から得られるcDNA又はゲノムDNAが挙げられる。ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーの程度は、例えば5×SSC 50℃、好ましくは2×SSC 50℃、より好ましくは0.2×SSC 50℃である。
酵素活性を有する蛋白質の生来のアミノ酸配列に対して、高い配列同一性(identity)を有するアミノ酸配列を有する蛋白質は、生来の蛋白質と同様の酵素活性を有する場合が多いことはよく知られている。従って本発明は、配列番号:2に示すアミノ酸配列に対して、55%以上、好ましくは、60%以上、好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上、そして特に90%以上のアミノ酸配列の配列同一性を有するアミノ酸配列を有し、且つカルコン類を基質としてオーロン類を合成する活性を有する蛋白質、及びそれをコードする遺伝子をも包含する。
同等の酵素活性を有する複数の酵素は共通のエピトープを有する場合が多いことが知られている。従って本発明は、オーロン合成活性を有する上記種々の蛋白質、特に配列番号:2に示すアミノ酸配列を有する蛋白質に対する抗体と特異的に結合し、且つカルコン類を基質としてオーロン類を合成する酵素活性を有する蛋白質、及びそれをコードする遺伝子をも包含する。
本発明の配列番号:2に示すアミノ酸配列を有する蛋白質をコードする遺伝子は、cDNA又はゲノムDNAとして、金魚草から得ることができる。cDNAのクローニング方法は実施例8〜10に具体的に記載されている。ゲノムDNAを得るには、金魚草から常法に従ってゲノムDNAライブラリーを作製し、それを前記cDNA又はその断片により常法に従ってスクリーニングすることにより得られる。
本発明の、配列番号:2に示すアミノ酸配列に対して修飾されたアミノ酸配列を有する蛋白質をコードする遺伝子は、配列番号:2に示すアミノ酸配列を有する蛋白質をコードするDNA、例えばcDNAの塩基配列を、部位特定変異誘導、PCR法等、遺伝子を操作するため常法に従って修飾することにより作製することができる。
配列番号:1に記載の塩基配列を有する核酸とハイブリダイズし、且つカルコン類を基質としてオーロン類を合成する酵素活性を有する遺伝子の内、天然由来の遺伝子は、オーロン合成酵素活性を有する蛋白質を産生し得る植物から常法に従ってcDNAライブラリー又はゲノムDNAライブラリーを作製し、これらのライブラリーを、例えば配列番号:1に示す塩基配列を有するcDNA又はその断片をプローブとして用いて、スクリーニングすることにより得られる。この際のハイブリダイゼーション条件としては、前記の条件を用いることができる。
また、金魚草より得られたオーロン合成酵素がポリフェノールオキシダーゼの一種であったことより、本発明者らは、他のポリフェノールオキシダーゼも、カルコン類からオーロン類を合成する活性を有していると考え、ポリフェノールオキシダーゼであるアカパンカビ由来でチロシナーゼとして市販されている酵素がオーロン合成活性を有するかどうか検討した。その結果、チロシナーゼがオーロン合成活性を有することが判明した。このことより、ポリフェノールオキシダーゼ活性を有する酵素には、カルコン類を基質としてオーロン類を合成する活性があることが明らかになった。
ポリフェノールオキシダーゼ活性を有する酵素の生理的役割は、いまだに明らかにされてはいないが、主にカテコールオキシダーゼ(酵素番号;1.10.3.1)、ラッカーゼ(酵素番号;1.10.3.2)、チロシナーゼ(酵素番号;1.14.18.1)の3種類に分類され、基質に対する特異性により異なった酵素番号で分類されている。いずれも酵素の反応中心が銅である銅酵素であり、蛋白質の高次構造等が基質特異性の違いをもたらすと考えられている。
このように、ポリフェノールオキシダーゼには、銅との結合領域にあたる保存領域が存在することから、この領域のアミノ酸配列をもとにしたプライマーを作製し、PCR法等の定法に従い、ポリフェノールオキシダーゼ遺伝子を得ることができ(Plant Physiol, vol.107, p1083-1089, 1995, Plant Physiol, vol.109, p525-531, 1995)、このようにして得られた遺伝子からオーロン類を合成する活性を有する蛋白質をコードする遺伝子を得ることができる。
本発明はまた、カルコン類を基質としてオーロン類を合成する活性を有する上記の蛋白質の製造方法を提供する。この方法は、前記の蛋白質をコードするDNAを含んで成るベクターを宿主に導入し、そして該宿主を培養し又は成育せしめ、そして所望により前記蛋白質を採取することを特徴とする。宿主としては宿主細胞でもよく、また植物等の生物体であってもよい。宿主細胞としては、原核細胞、特に細菌細胞、例えば大腸菌(Escherichia coli)、バシルス(Bacillus)属細菌、例えばバシルス・サブチリス(Bacillus subtilis)、バシルス・ブレビス(Bacillus brevis)等、下等真核生物、例えば真菌類、例えば酵母、例えばサッカロミセス(Saccharomyces)属酵母、例えばサッカロミセス・セレビシエー(Saccharomyces cerevisiae)、あるいは糸状菌、例えばアスペルギルス(Aspergillus)属糸状菌、例えばアスペルギルス・オリゼー(Aspergillus oryzae)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)等が挙げられる。
さらに、高等真核生物細胞宿主として、昆虫細胞、例えばカイコの細胞、動物細胞、例えばCHO細胞、ヒト培養細胞、例えばHeLa細胞等が挙げられる。
本発明の遺伝子はまた、生物体、例えば動物、植物等において発現せしめることができる。植物での発現については、さらに具体的に後記する。
本発明のDNAを含んで成るベクター、特に発現ベクターは発現制御領域を含有し、発現制御領域は宿主細胞に依存する。例えば、細菌発現ベクターのプロモーターとしては、trcプロモーター、tacプロモーター、lacプロモーター、T7プロモーター等を使用することができ、酵母発現ベクターのプロモーターとしては、例えば解糖系酵素遺伝子のプロモーター、例えばグリセロアルデヒド3リン酸デヒドロゲナーゼプロモーター、ガラクトキナーゼプロモーター等を使用することができ、また、動物細胞用発現ベクターのプロモーターとしては、ウイルスプロモーターを使用することができる。
培養物から、カルコン類を基質としてオーロン類を合成する活性を有する蛋白質を採取するには、液体クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー等、蛋白質の単離、精製に用いられる常用手段を用いることができる。アフィニティークロマトグラフィーは、本発明のオーロン合成酵素活性を有する蛋白質に対する抗体、例えば抗血清又はモノクローナル抗体との特異的結合を利用して行うことができる。
本発明のオーロン合成酵素活性を有する蛋白質に対する抗血清(ポリクローナル抗体)は、本発明の蛋白質、例えば実施例4において得られる蛋白質を、常用のアジュバントと共に動物、例えばウサギに対して免疫し、次に該動物から血清を得ることにより製造される。モノクローナル抗体は、常法に従って、例えば本発明の蛋白質により、動物、例えばマウスを免疫し、このマウスから得られるBリンパ球、例えば脾臓細胞をマウス等の脊髄腫細胞と融合せしめることによりハイブリドーマを得、これを培養することにより製造することができる。
現在の技術水準をもってすれば、さらに、このcDNAを植物たとえばペチュニア、バラ、カーネーション、キク、トレニア、バーベナ、ガーベラ、タバコ、イチゴ、トルコギキョウ、リンドウ、トレニア、グラジオラス、チューリップなどに、構成的なあるいは誘導型のプロモーターの制御下に連結し、アグロバクテリウムを用いるシステムあるいはパーティクルガン、エレクトロポーレーションを用いるシステムで導入すれば花弁などでオーロン合成酵素遺伝子を発現させることも可能である。
オーロン合成酵素が発現した花弁などではオーロン類が合成され、花弁の色が黄色くなることが予想される。このようにして得られた植物は、従来の品種には存在しない新しい色の花を提供することができる。また、黄色の品種のある植物の中には、カロチノイドを含む植物種(キクやバラ)、あるいはベタレインを含む植物種(サボテン)があるが、これらの黄色とオーロン類の黄色は色調が異なるため、すでに黄色の品種のある植物種の色幅拡大にも有用である。
金魚草で黄色の花を持つものはオーロン合成酵素が存在すると共にカルコンイソメラーゼの酵素活性が欠損している場合がある。カルコンイソメラーゼはオーロン合成酵素と競争的に働くので、カルコンイソメラーゼが存在するとテトラヒドロキシカルコンからナリンゲニンが生じ、これが最終的にアントシアニンやフラボンになるからである。従って、オーロン合成酵素遺伝子を植物で発現させオーロン類を生産させるには、その植物は好ましくはカルコンイソメラーゼを欠損していることが望ましい。
一般に植物遺伝子は人為的にその活性を抑制することが可能であり、特にフラボノイド合成に関わる遺伝子を抑制した例は多く知られている。遺伝子の発現を人為的に抑制するにはアンチセンス法とコサプレッション法があるが、フラボノイド合成系の遺伝子はいずれの方法でも抑制が可能であることがわかっている(van der Krolら、Nature(1988)333, 866-869、Napoliら,Plant Cell(1990)2, 279-289)。同様にしてカルコンイソメラーゼ遺伝子の発現を抑制することは可能である。
カルコンイソメラーゼの遺伝子は既に複数の植物種から得られている。例えばペチュニア、アルファルファ、金魚草、サンゴ、インゲンマメ、ブドウ(Holton et al. Plant Cell(1995), 7, 1071-1083)である。これらのカルコンイソメラーゼのアミノ酸配列を比較すると配列は種を越えてよく保存されている。フラボノイド合成に関わるある遺伝子をクローニングするには他の植物由来のその遺伝子をプローブにすれば容易に得られることを多くの例が示している。あるいは既知の遺伝子あるいはアミノ酸配列を比較して保存された領域を用いてPCRによってもクローニングできる。したがって、カルコンイソメラーゼ遺伝子はどの植物種からでも得ることができる。(Gutterson, Hort. Sci., vol. 30, p964〜p966, 1995)。
また、フラバノン3−ヒドロキシダーゼあるいはジヒドロフラボノール4−リダクターゼの遺伝子発現を抑制する事によっても同様の効果が期待できる。これらの酵素遺伝子も多くの植物種から得られている(Gong et.al, Plant. Mol. Biol., 35, 915-927, 1997)ので、カルコンイソメラーゼの場合と同様な方法を使用する事によりどの植物種からも得る事ができる。
したがって、ある植物種でオーロン類に由来する黄色の花を持つ品種を育種するには、花弁でオーロン合成酵素遺伝子を発現させればよい。好ましくは、カルコンイソメラーゼ遺伝子の発現を抑制し、かつオーロン合成酵素遺伝子を発現させればよい。この場合、これらの遺伝子の発現調節に用いるプロモーターとしては構成的なものでも花弁特異的なものでもよい。これらの技術はさらに好ましくはオーロン類に糖を付加する糖転移酵素遺伝子も併せてその植物へ導入すれば、安定な黄色い花が得られる。これらは現在の技術水準を持ってすれば可能である。
また、ダリアや金魚草ではアントシアニンとオーロン類が共存した場合に花色が褐色になることが知られている。アントシアニンを花で生産している植物にオーロン合成酵素を導入することにより、褐色の花を育種することも可能である。このような花も新しい花の色として産業上重要であろう。
実施例
以下に実施例を示し、発明を詳細に述べる。
実施例1テトラヒドロキシカルコンの調製
ナリンゲニン4gに50%(v/w)水酸化カリウムを20ml加え、完全に溶解した。この溶液を100℃で90秒間保持した後に、直ちに溶液を300mlの氷水で希釈冷却することにより反応を停止した。次にドラフト内でこの溶液に6N塩酸を加え、pHを3以下とし沈殿を生じさせた。生じた黄色沈殿を濾別し、最少量のエタノールに溶解し、氷冷しながら400mlの冷水を少しづつ加えた。一晩放置後、8000回転、30分間の遠心分離により得られた沈殿を水に再懸濁して凍結乾燥した。凍結乾燥後の粗テトラヒドロキシカルコン(THC)の重量は2.7gであった。
粗THCを最少量のメタノールに溶解し、分取用逆相高速液体クロマトグラフィーにてTHCを精製した。島久社のYMC D-ODS-5 S-5 120A(2.0cm x 25cm)を用い、40%(v/v)アセトニトリル、0.03%(v/v)トリフルオロ酢酸水溶液で、4.5ml/分の流速で展開した。THCは約25分、ナリンゲニンは約29分に溶出された。THC画分を集めて凍結乾燥した。同一条件下で再クロマトグラフィーを一回行い、精製THCとした。
実施例2オーレウシジンの調製
金魚草品種バタフライイエローの花弁290gを液体窒素中で粉砕し2Lの0.1%TFAを含む50%アセトニトリルに一晩浸漬した。珪藻土ろ過し、ろ液を減圧濃縮後、HP-20で精製した。黄色色素画分を濃縮し分取HPLCに供した。島久社のYMC D-ODS-5 S-5 120A(2.0cm x 25cm)を用いA溶液に水、B溶液に0.1%TFA,50%アセトニトリルを用いてB20%からB60%までの直線濃度勾配で120分のグラジエント条件でクロマトを行った。この結果、ブラックテアチン-6-グルコシドは40分に、オーレウシジン-6-グルコシドは53分に、テトラヒドロキシカルコン-4-グルコシドは100分に溶出した。得られたオーレウシジン-6-グルコシドをβ-グルコシダーゼで加水分解しオーレウシジンを得た。
実施例3オーロン合成酵素の活性測定方法
1M酢酸ナトリウム緩衝液pH5.0を50μl、水で希釈した粗酵素液350μlにエタノール中での366nmでの吸光度が462であるTHCを5μl加えることにより反応を開始した。30℃で1時間反応をさせた後、1%(v/v)のTFAを含む90%(v/v)アセトニトリル水溶液100μlを加えて反応を停止した後、HPLCにて活性を測定した。粗酵素液としては、後述の実施例4に述べる各精製ステップでの粗酵素液を使用した。
カラムはYMC J’Sphere ODS M80(4.6 x 150mm)を使用し、流速は0.7ml/分とした。溶媒Aを0.1% TFA水溶液、溶媒Bを0.1% TFAを含む90%アセトニトリル水溶液とし、サンプルをカラムに注入後、最初の3分はA:B=7:3を保持し、次の10分で直線濃度勾配でA:B=6:4にし、この濃度を5分間保持し、次の1分でA:B=7:3とした後、この濃度を5分間保った。この条件で、基質のTHCは約20.9分に溶出される。反応産物としては約8.8分に溶出される化合物が検出された。この化合物は後で述べるようにオーレウシジンであった。
この反応によってTHCからオーレウシジンが生じることがわかった。
実施例4オーロン合成酵素の精製
1)酵素の精製
金魚草の黄色く着色し始めた花および萼の間から白い花びらがのぞいているつぼみ32175gを出発材料として酵素精製を行った。花約600gにつき氷冷した緩衝液A(0.01M酢酸ナトリウム、pH5.0)2400ml、120gのPolyvinylpolypyrrolidone(PVPP)を加え、ワーリングブレンダーにて1-1.5分間破砕した。
破砕液を4℃で8000回転、15分間、遠心分離し、得られた上清に硫酸アンモニウムを60%飽和になるように溶解し、攪拌溶解後放置した。4℃で8000回転、15分間、遠心分離し集めた沈殿を最小容量の緩衝液Aに懸濁し、緩衝液Aに対して透析した。透析内液を4℃で8000回転、15分間、遠心分離し、その上清を硫安分画濃縮液とした。硫安分画濃縮液はSP-Sephadex C50クロマトグラフィーを行うまで−20℃で凍結保存した。
2)SP-Sephadex C50
得られた硫安分画濃縮液は3回にわけ以下の操作を行った。透析後の硫安分画濃縮液の電気伝導度を測定し、必要に応じて電気伝導度が4℃で0.8-1mSとなるように、氷冷した脱イオン水で濃縮液を希釈した。緩衝液B(数μMのTHCを含有する緩衝液A)にて十分平衡化したSP-Sephadex C50カラム(6cm×25.5cm;約0.7L)に、硫安分画濃縮液を負荷した。負荷後、緩衝液Bにてカラムを十分洗浄した。緩衝液B(2.0L)と、0.6M NaClを含有する緩衝液B(2.0L)との間の直線濃度勾配によりカラムを洗浄しながら、23mLずつ分画した。活性画分(約1200mL)を集め、濾過滅菌し、Con A Sepharoseクロマトグラフィーを行うまで4℃で保存した。
3)ConA Sepharose
ConA Sepharoseクロマトグラフィーは画分A(1100mLに374,000Uを含む)と画分B(2900mLに831,000Uを含む)の2回に分けおこなった。画分AにMnCl2とCaCl2を各々1mMとなるように溶解し、緩衝液C(1mM MnCl2, 1mM CaCl2, 0.5M NaClを含む緩衝液B)にて平衡化したConA Sepharose(2cm×12cm;約40mL)に負荷した。負荷後、約0.3Lの緩衝液Cにてカラムを洗浄した。カラム素通りおよび洗浄画分(300mL)には、負荷前のそれぞれおよそ50000Uづつ(もとの13%づつ)の活性が含まれていた。
洗浄後、緩衝液C(250mL)と、0.2Mメチル−α-D−グルコシド、0.2Mメチル−α-D−マンノピラノシドを含有する緩衝液C(250mL)との間の直線濃度勾配によりカラムを洗浄しながら、4mLずつ分画し、活性画分(計78mL)を集めた。活性画分を緩衝液D(5mMリン酸カリウム緩衝液(pH5.0),0.3mM CaCl2、3-6μM THC)に対して十分透析した。洗浄画分の活性は2回目のクロマトグラフィー時に残りの画分Bとあわせて再度クロマトグラフィーを行った。
残りの活性画分BにMnCl2とCaCl2を各々1mMとなるように溶解し、緩衝液Cにて平衡化したConA Sepharose(3.6cm×12cm;約120mL)に負荷した。負荷後、約0.3Lの緩衝液Cにてカラムを洗浄した。カラム素通りおよび洗浄画分(300mL)には、活性がほとんど含まれていなかった。洗浄後、緩衝液C(350mL)と、0.2Mメチル−α-D−グルコシド、0.2Mメチル−α-D−マンノピラノシドを含有する緩衝液C(350mL)との間の直線濃度勾配によりカラムを洗浄しながら、8mLずつ分画し、活性画分(計150mL)を集めた。活性画分を緩衝液Dに対して十分透析した後、先のサンプルとあわせ活性画分(計250ml)を得た。
4)Gigapite
緩衝液Dにて平衡化したGigapiteカラム(生化学工業;2cm x 16cm, 50mLのオープンカラム)に透析内液(250mL)を負荷した。サンプル負荷後、カラムを緩衝液D(250mL)で洗浄した。緩衝液D(200mL)と、0.5Mリン酸カリウム緩衝液(pH5.0)(200mL)との間の直線濃度勾配によりカラムを洗浄しながら、4mLずつ分画し、活性画分(計120mL)を集めた。
5)HiLoad 16/60 Superdex 75 pg FPLC
活性画分に{3-[(3-Cholamidopropyl)dimethylammonio]-1-propanesulfonate}(CHAPS)を終濃度0.1%に溶解し、アミコンPM10膜を用いて限外濾過を行い18mlに濃縮した。濃縮した活性画分は6回に分け以下の操作を行った。
FPLCシステムを用いて、氷冷したHiLoad 16/60 Superdex 75 pgカラムを0.07% CHAPS, 0.15M NaClを含有する緩衝液Bで平衡化し、流速0.5ml/minで溶出し、2mlずつ分画した。活性画分(計63mL)を集めた。
6)SP-Sepharose FF FPLC
得られた活性画分を緩衝液E(0.07% CHAPSを含有する緩衝液B)に対して4℃で十分透析した。FPLCシステムを用い2回に分け、以下のクロマトグラフィーを行った。氷冷したSP-Sepharose FFカラム(1 x 16cm)を緩衝液Eで平衡化した。カラムにサンプルを負荷後、A液として緩衝液Eを、B液として0.7M NaClを含む緩衝液Eを用いた。最初の30分で95% A液、5% B液でカラムを洗浄し、その後120分で55% A液、45% B液への直線濃度勾配を行い、その後10分、同じ条件で溶出した。流速0.5ml/minで、1.0mlずつ分画した。活性画分(計27.8ml)を集め、濾過滅菌をして4℃で保存した。
7)Gigapiteカラムクロマトグラフィー
活性画分のうち22mlをGigapite(1 x 14cm)FPLCにてさらに精製した。サンプル22mlを0.07%CHAPSを含む0.005Mリン酸カリウム緩衝液(pH5.0)に対して4℃で一晩透析し、次の条件でFPLCを行い、活性と蛋白バンドの挙動の相関も観察した。A液として0.07% CHAPS,0.3mM CaCl2を含む0.005Mリン酸カリウム緩衝液(pH5.0)を、B液として0.07% CHAPSを含む0.5Mリン酸カリウム緩衝液(pH5.0)を使用し、カラムとバッファーを氷冷して行った。
流速0.5ml/minで、100%A液で30分間カラムを洗浄し、その後6秒で95% A液、5% B液に、次の149分54秒で20% A液、80% B液への直線濃度勾配を行い、その後155分まで同じ条件で溶出し、1.0mlずつ分画した。
クロマトグラムと活性測定結果より活性の動きと最も良好な相関が認められた40kDaの蛋白質を含む画分を集めて一次構造解析に供した。
実施例5カラムクロマトグラフィー3種類における活性測定とSDS-PAGE
1)Superdex200 Smart system
サンプル50μlをもちいてSuperdex200 Smart systemによる分画を行った。溶媒として0.07% CHAPS、0.15M NaClを含む0.01M酢酸ナトリウム(pH5.0)を用い、4℃で以下の操作を行った。流速40.0μl/minで40.0μlずつ分画し、ゲル濾過クロマトグラフィーをおこなった。得られたサンプルについて活性測定とSDS-PAGEを行った。酵素活性は分子量43kDa付近に溶出され、サンプルに含まれる蛋白質の中では、40kDa蛋白質の挙動が活性の動きともっともよく相関していた。
2)Alkyl-Sepharose HR5/5 FPLC
サンプル250μlを0.01M酢酸ナトリウム(pH5.0)に対して4℃で一晩透析し、硫酸アンモニウムを終濃度2Mとなるように溶解した。室温にてAlkyl-Sepharose HR5/5 FPLCを行った。A液として2M(NH42SO4を含む0.01M酢酸ナトリウム(pH5.0)を、B液として0.01M酢酸ナトリウム(pH5.0)を用い、最初の10分は100% A液でカラムを洗浄後、次の50分でB液100%への直線濃度勾配を行い、次の5分まで同じ条件で溶出し、0.5mlずつ分画した。
各フラクションのうち400μlをウルトラフリーC3GC(分画分子量10,000、ミリポア社)で40μlにまで濃縮し、そのうちの10μlをSDS-PAGEにて分析し、10μlを活性測定に用いた。サンプルに含まれる蛋白質の中では、40kDaの挙動に活性の動きとの間に最も良好な相関が認められた。
3)Gigapite HR5/5 FPLC
サンプル300μlを0.07% CHAPSを含む0.005Mリン酸カリウム緩衝液(pH5.0)に対して4℃で一晩透析した。次の条件で室温にてGigapite HR5/5 FPLCを行った。
A液として0.07% CHAPS,0.3mM CaCl2を含む0.005Mリン酸カリウム緩衝液(pH5.0)を、B液として0.07% CHAPSを含む0.5Mリン酸カリウム緩衝液(pH5.0)を使用し、最初の5分は、100% A液で、カラムを洗浄し、次の6秒で80% A液、20% B液の、また次の44分54秒で20%A液、80% B液の直線濃度勾配を行い、0.5mlずつ分画した。活性測定とSDS-PAGE電気泳動を、おこなった。サンプルに含まれる蛋白質の中では、40kDaの挙動に活性の動きとの間に最も良好な相関が認められた。
以上Superdex200 Smart system、Alkyl-Sepharose FPLC及びGigapite FPLCにおけるカラムクロマトグラフィーの結果、約40kDaの蛋白質がバンドの動きと活性の動きが良好な相関を示した。
実施例6オーロン合成酵素の性質
精製したオーロン合成酵素を用いて反応させると、THCからもペンタヒドロキシカルコンからもオーレウシジンの精製が確認できた。できた産物がオーレウシジンであることはHPLCによる分析により確認した。
この酵素の分子量はSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動では40kDaで、Superdex200を用いたゲル濾過性では43kDaであることがわかった。このことからオーロン合成酵素はモノマーであることがわかった。1mMの一価の銅イオン、二価の銅イオン、二価の鉄イオン、三価の鉄イオンの存在下で酵素活性は90%以上阻害された。また、ConAセファロースへ結合することより、本酵素は糖を含む酵素である可能性がある。また、過酸化水素を添加すると活性がやや上昇した。
THCを基質として反応したところ、オーレウシジンと思われる産物が生じたが、この産物を多量に集めて構造決定を行った。10mMの過酸化水素を含む1M酢酸ナトリウム緩衝液pH5.0を20ml、酵素液を20ml、水を58ml、THC 10mg(0.5ml)を混合し、30℃で3時間半保持した。反応後、反応液をSep-pak C18に吸着させ、メタノールで溶出した。これをエバポレーターで濃縮後、分取用HPLCで分離精製した。カラムはYMC-D-ODS 5 S-5 120A(2.5 x 25cm)を使用した。溶出は0.03% TFAを含む40%アセトニトリル水溶液を用い、流速は4.5ml/分とした。約17分で溶出されるピークを回収し、乾固したところ約4.9mgの生成物が得られた。1H NMR、マススペクトルでその構造を決定したところ、この化合物はオーレウシジンであった。
実施例7オーロン合成酵素のアミノ酸配列の決定
得られたオーロン合成酵素標品約1nmolを、最終濃度2%のSDSサンプル処理液を加え、非還元条件下で調製用電気泳動装置(バイオファレーシス、アトー社)により電気泳動を行い、分子量41000のポリペプチドを回収した。このポリペプチドをC4カラム(Develosil300C4-HG-5)を用いた逆相HPLCにて分離したところ、1つのピークが検出され、精製したオーロン合成酵素が純粋であることが確認できた。
このポリペプチドをリジルエンドペプチダーゼAP1により消化した。反応のための緩衝液は40mM Tris-HCl(pH9.5)で0.01%のTween20と2M尿素を含んでいた。消化物をBakerbond ODS(4.6mm x 25cm)カラムを用いた逆相HPLCにて分離精製した。すなわち、0.05%トリフルオロ酢酸水溶液をA液、0.05%トリフルオロ酢酸を含む80%アセトニトリルをB液とした時、最初の5分は90%A液、10%B液とした。次の80分で100%B液への直線濃度勾配を行い、ペプチドを分離した。
精製できたペプチドを気相法ペプチドシークエンサーにて構造を決定した。決定した構造を以下に示す。
Figure 0004318321
実施例8金魚草花弁のcDNAライブラリーの作製
花弁のcDNAライブラリーの作製は以下の方法により作製した。黄色の金魚草の新鮮な開花直前の花弁5gからR. McGookinらのMethod in Molecular Biology vol.2(Humana Press Inc.1984)に詳細に示されているチオシアン酸グアニジン/塩化セシウムを用いる方法でRNAを得、オリゴテックスdT30(日本ロシュ)を用いてPolyA+RNAを精製した。このPolyA+RNAを用いて、cDNA synthesis Kit, Uni-XR vector kit(Stratagene)を用いて、λZAPII(Stratagene)をベクターとして、cDNAライブラリーを作製した。作製方法はStratagene社が推奨する方法に従った。得られたライブラリーは1.6×105プラーク形成ユニット(pfu)から成っていた。
実施例9サブトラクション法による黄色の金魚草で発現している遺伝子の取得
サブトラクションは、ある組織や時期で特異的に発現している遺伝子を取得する方法の一つで、ここではPCR-SelectTM cDNA Subtraction kit(Clontech社)を用いて推奨される方法で行った。黄色金魚草花弁由来cDNAをtester、ピンク色金魚草花弁由来mRNAをdriverとして使用した。最終的はPCRで増幅したDNA断片をTAクローニングキット(Invitogen社)を用いてPCRIITMベクターにサブクローニングし、それぞれの塩基配列を決定した。
これらのうちSYP8と名付けた遺伝子がコードしていると考えられるアミノ酸配列を配列番号7に示した。
Figure 0004318321
このアミノ酸配列のうち、N−末端の25個のアミノ酸から成る配列及びC−末端の4個のアミノ酸から成る配列は実施例7で得られた配列P5、P8、P11と一致した。すなわち、この遺伝子断片はオーロン合成酵素をコードしていることがわかった。
実施例10完全長オーロン合成酵素遺伝子の取得
先に述べた金魚草cDNAライブラリーをDNA断片SYP8を用いてスクリーニングした。ライブラリーのスクリーニングはノンラジオシステムDNA検出キット(ベーリンガー社)を用いる方法で行った。約20万プラークをスクリーニングした結果、多数のポジティブシグナルが得られた。この内から20プラークをランダムに選択し、2次スクリーニングで純粋なプラークを単離し、これらのうち最長のクローンSYP8-17の塩基配列を決定した。
塩基配列は、オリゴヌクレオチドプライマーを合成し、DNA Sequencer model 373A(ABI社)を用いて決定した。塩基配列とその推定アミノ酸配列を配列番号1に示した。このアミノ酸配列を用いてデータベース検索をしたところこの遺伝子はポリフェノールオキシダーゼ遺伝子(GenBank Accession NO.L29451, D45385, Z11702)などと弱い相同性を示したが、この遺伝子は新規であることがわかった。なお、ポリフェノールオキシダーゼと相同性を有する主な領域は、ポリフェノールオキシダーゼの活性中心である銅への結合領域であった。
実施例11オーロン合成酵素遺伝子の発現様式
SYP8-17を用いて、黄色金魚草の各器官、花弁の各発達段階におけるノザン解析を行った。また、黄色、ピンク色、白色の各金魚草花弁におけるノザン解析を行った。方法はMolecular Cloning(Sambrookら、Cold Spring Harbour Laboratory Press, 1989)によった。結果を図3、図4及び図5に示す。オーロン合成酵素遺伝子は花弁で特異的に発現し、しかも、花弁での発現はオーロン類の生合成と並行して発現していた。また、黄色金魚草の花弁に比べオーロン合成活性のごく弱いあるいは検出されなかったピンクと白の金魚草の花弁ではオーロン合成酵素遺伝子のmRNAの蓄積は少ないかほとんど見られなかった。これらの結果は、得られた遺伝子がオーロン類の合成にかかわっていることを示唆している。
実施例12バーベナcDNAライブラリーの作製
バーベナ品種花手鞠バイオレット(サントリー)の新鮮なつぼみ5gから先に述べたようにmRNAを精製し、cDNAライブラリーを作製した。cDNAライブラリーの作製は実施例8で述べたとおりである。得られたライブラリーは0.8×106プラーク形成ユニット(pfu)から成っていた。
実施例13バーベナカルコンイソメラーゼcDNAのクローニング
既に配列の知られている高等植物由来カルコンイソメラーゼのアミノ酸配列を比較し、よく保存されていると思われる領域のアミノ酸配列Phe-Val/Ile-Lys-Phe-Thr-Ala-Ile配列(配列番号:8)、Lys-Trp-Lys-Gly-Lys-Thr/Pro配列(配列番号:9)、His-Ala-Val-Cys-Asn-Glu(配列番号:10)の逆配列をもとに以下のプライマーを合成した。
Figure 0004318321
先に合成したCHI-F1と、CHI-R2、またはCHI-F2とCHI-R2のプライマーの組み合わせで96℃で2分反応させた後、96℃、1分、42℃、1.5分、72℃、3分の反応を30回繰り返し、最後に72℃で7分反応させた。得られたPCR産物を鋳型として再度同条件でPCRを行ったところCHI-F1とCHI-R2プライマーの組み合わせでは約200bpの、CHI-F2とCHI-R2プライマーの組み合わせでは約800,600,400及び150bpのPCR産物が増幅された。
得られたPCR産物はTAクローニングキット(Invitrogen社)を用いてPCRIITMベクターにサブクローニングした。サブクローニングしたDNA断片の塩基配列をDNA Sequencer model 373A(ABI社)を用いて決定した。CHI-F1とCHI-R2、及びCHI-F2とCHI-R2プライマーの各プライマーの組み合わせで得られたPCR産物は、それぞれ222bp及び159bpで長さの異なる同じ配列であった。そこから指定されるアミノ酸配列は他の高等植物由来のカルコンイソメラーゼと高い相同性を示した。
花手鞠カルコンイソメラーゼ222bpを含んだPCRIITMベクターをEcoRIで消化し得られた約230bpのフラグメントを鋳型にしてCHI-F1とCHI-R2プライマーを用いてPCRをおこなった。増幅された約230bpのPCR産物を鋳型に、PCR法を用いて95℃で2分反応させた後、95℃、1分、42℃、1分、72℃、4分の反応を25回繰り返し、最後に72℃で7分反応させ、ジゴキシゲニンでラベルしスクリーニングの際のプローブとして使用した。花手鞠cDNAライブラリーからのスクリーニングはノンラジオシステムDNA検出キット(ベーリンガー社)を用いて推奨される方法で行った。
同様な方法を用いれば他の植物のカルコンイソメラーゼの遺伝子も得ることができる。
実施例14.SYP8抗原の調製
実施例9に記載のSYP8遺伝子は、The QIAexpressionist kit(QIAGEN社)を用いて大腸菌体内で発現させ、精製した。オーロン合成酵素の精製標品の分子量が40〜43kDaであることより、成熟型蛋白はN末端および、C末端のペプチドが切除されていることが予想された。
そこで配列番号2に示したアミノ酸配列のうち61残基目のグリシン残基から416残基目のリジン残基までの領域を発現させるべく、
Figure 0004318321
Figure 0004318321
QESYP8-5’プライマーにはBamHIサイト、QESYP8-3’プライマーにはHindIIIサイトを導入した。合成したQESYP8-5’,QESYP8-3’プライマー各30pmol,SYP8-17遺伝子1ng,1 x cloned pfu DNA polymerase buffer(stratagene)、200μM dNTPs、cloned pfu DNA polymerase 5unit(stratagene)の総量100μlからなる反応液をもちいてPCR反応をおこなった。反応は94℃で45秒間保持した後、94℃、45秒、50℃、45秒、72℃、4分間からなる反応を25サイクル行い、最後に72℃で10分間保持した。得られたPCR産物をTAクローニングキット(Invitorgen社)を用いてpCR2.1・TOPOTMベクターにサブクローニングし、プラスミドpCR・QESYP8とした。pCR・QESYP8をBamHI,HindIIIで処理して得られる約1kbのDNA断片を同じくBamHI,HindIIIで処理したpQE30ベクター(QIAGEN社)に連結し、プラスミドpQESYP8を構築した。pQESYP8を大腸菌M15[pRep4]に形質転換した。大腸菌内でのSYP8蛋白の発現および精製は製造者らの推奨する方法に従った。得られた精製蛋白は、SDS-PAGEによる分析で少量の共雑蛋白が認められたので、以下のとおりさらに精製を行った。蛋白溶液をCentriprep10(アミコン社)を用いて約1mlに濃縮し、蒸留水で透析したのち、凍結乾燥品とした。SDS処理を行った後、Biophoresis(アトー社、4.5%濃縮ゲル、10%分離ゲル、15mA、分画0.8ml)を用いて、共雑蛋白を分離した。得られた最終精製標品をウルトラフリー10(ミリポア社)を用いて濃縮すると同時に、0.1%CHAPSを含むPBS緩衝液(1リットル中に8g NaCl,0.2g KCl,1.44g Na2HPO4,0.24g KH2PO4を溶解し、塩酸でpHを7.4に調整する)に置換した。最終精製標品の蛋白濃度は1.0mg/mlであった。
実施例15.SYP8抗体カラムの作製
実施例14で調製したSYP8抗原(1.0mg/ml)を4回にわたって各0.2mg、ウサギ二羽に免疫した。初回の免疫はフロイント完全アジュバンドを用いて行った。追加免疫時にはフロイント不完全アジュバンドを用いて行った。追加免疫は初回免疫後14日目、42日目、56日目に行った。方法は、新生化学実験講座12巻にしたがった。初回免疫後52日目、66日目、70日目に採血し、得られた血液を37℃で30分保持した後、4℃一晩放置した。凝集した血餅を取り除き、抗血清を得た。抗血清は0.85% NaClで2倍に希釈した後、半量の氷冷したフリーゲン(ヘキストジャパン社)を加え、激しく攪拌した後、1500回転で5分間遠心することで、脱脂し、上澄み液を以後、抗血清として使用した。
脱脂した抗SYP8抗血清(約45ml)を等量の0.15M NaCl溶液にて希釈し、33%飽和となるように硫酸アンモニウムを加え、8000rpmで30分間遠心分離した。沈殿を緩衝液A(0.05M Tris-HCl, pH8.6、0.15M NaCl)にて透析した。透析内液をHi Trap ProteinAカラム(1ml)に供し、IgG画分を精製した。緩衝液Aにて平衡化したHi Trap ProteinAカラムに、透析したサンプルを負荷し、カラムを緩衝液Aで洗浄した後緩衝液B(0.05Mクエン酸緩衝液、pH5.3、0.15M NaCl)、緩衝液C(0.05M酢酸緩衝液、pH4.3、0.15M NaCl)、緩衝液D(0.05Mグリシン緩衝液、pH2.3、0.15M NaCl)を用いて順次溶出した。紫外吸収法およびイムノドットブロット法によりIgGが緩衝液C、緩衝液Dの両画分にあることを確認し、これらを混合してIgG画分とした。これらの蛋白総量は約70mgであった。得られたIgG画分は0.1M NaHCO3、0.5M NaClにて透析後、セントリコン10(アミコン社)にて濃縮し約2mg/mlとした。
CNBr-activated Sepharose 4B、4.5gを45mlの1mM HClに懸濁し、ブフナーロート上で1mM HCl、500mlにて洗浄した。濃縮したIgG溶液に洗浄した樹脂を少しずつ加え懸濁し、4℃で一晩振とうしIgGを固定化した。ブフナーロート上で吸引ろ過することにより樹脂を回収し、0.2M Tris-HCl緩衝液、pH8.5、30mlに再懸濁し4℃で二晩振とうすることにより、樹脂上に残存する活性基を不活性化した。次に樹脂を0.2M酢酸緩衝液pH5.0、Tris-HCl緩衝液、pH8.5、および0.01Mリン酸カリウム緩衝液、pH7.8、0.2M NaClで順次洗浄した。コントロールとして抗bandA IgG,抗β−ガラクトシダーゼIgGもそれぞれ同様にしてSepharose4Bに固定化した。この固定化したSepharose4Bを実施例16でIgG-Sepharose 4B懸濁液(抗SYP8、抗bandA、抗βガタクトシダーゼ)として使用した。なお、樹脂単位重量当たりの反応IgG重量は、3種類ともほぼ同じに設定した。固定化収率は90〜100%であった。
実施例16.免疫沈降実験
一定量の酵素液に、牛血清アルブミン水溶液(終濃度0.1%)および実施例15で作製したIgG-Sepharose 4B懸濁液(抗SYP8,抗bandA,抗βガラクトシダーゼ;樹脂相:液相=2:1v/v)を0,200,500.815μlそれぞれ加え、0.01Mリン酸カリウム緩衝液、pH7.8、0.2M NaClにて全量を1mlとした。混合液を4℃で24時間振とうし、13000rpm,20分間遠心した後、上清を用いてオーロン合成酵素活性を測定した。
オーロン合成酵素活性は、上清に最終濃度0.1% CHAPS,5mM H2O2, 0.1Mクエン酸緩衝液、pH5.4になるよう加えて、総量を395μlにし、30℃で15分間保持した後、THC(A366=600になるようエタノールで溶解したもの)5μlを加えて反応を開始した。30℃で60分間反応させた後、10%THF,90%アセトニトリルを100μl加えて反応を停止した。反応液を実施例3で述べたようにHPLCで分析することにより活性を測定した。
図6に示したように、抗SYP8-IgG-Sepharose 4Bを用いた時には、上清中の酵素活性が、抗SYP8-IgG-Sepharose 4B添加量に依存して、減少した。コントロールとして抗bandA-IgG-Sepharose 4B,抗βガラクトシダーゼ-IgG-Sepharose 4Bを加えた場合はオーロン合成酵素活性には変化がなかった。また、沈殿として回収した樹脂を0.01Mリン酸カリウム緩衝液、0.2M NaClで洗浄し、オーロン合成酵素活性を測定したところ、抗SYP8-IgG-Sepharose 4Bにのみ、強いオーロン合成活性が見られた。
上清をSDS-PAGE、ウエスタンブロッティングにて分析したところ、図7に示したとおりオーロン合成酵素のシグナルは抗SYP8-IgG-Sepharose 4Bの添加量に依存して減少した。一方、コントロールとして抗bandA-IgG-Sepharose 4Bを用いた同様の実験ではオーロン合成酵素遺伝子のシグナルは抗bandA-IgG-Sepharose 4Bの添加量に関わらず、一定であった。
これらの結果より、SYP8遺伝子がオーロン合成酵素をコードしていることが確認された。なお、図7にて抗SYP8-IgG-Sepharose 4Bの添加量に伴って約80kDaのシグナルが検出されるが、実験までの樹脂の保存時間に伴ってこのシグナルが増大することから、これはSepharose 4B樹脂よりはずれたIgGに由来するものと考えられる。
実施例17.
実施例10で述べたように、アミノ酸レベルで、オーロン合成酵素はポリフェノールオキシダーゼと弱い相同性を示し、その相同性を有する主な領域は、銅への結合領域であった。よって、オーロン合成酵素もまた銅酵素であることが予想されたので、オーレウシジンシンターゼの原子吸光分析を行った。測定装置として島津AA-6700Fを用い、測定モードはファーネス測定で324.8nmの波長で行った。
1000ppmの銅標準液(和光純薬)を濃硝酸で1000倍希釈したものを用いて検量線(検量範囲:0〜9ppb)を作成した。原子吸光分析では、共存する有機物質が測定を妨害することがあるため、本測定に先立ち、マッシュルームチロシナーゼ(銅イオンを含む酵素)を用い、0.1%CHAPSを含む酢酸バッファー中でも銅の原子吸光測定が可能であることをあらかじめ確認した。次にオーレウシジンシンターゼ純品(200μl)を0.1%CHAPSを含む酢酸バッファー(pH6.0)に対して十分透析した。いくつかの既知量の標準蛋白質をSDS-PAGEにて分析し、得られた銀染色のバンドの濃さをイメージスキャナーで数値化し、バンドの濃さからタンパク質を求めるための検量線を作成した。オーレウシジンシンターゼ純品の一部を同一条件下でSDS-PAGEにかけ、その銀染色のバンドの濃さをイメージスキャナーで数値化し、すでに作成した検量線からタンパク濃度を見積もった。その100μlに濃硝酸(1.38N)を0.5μl加え、測定した結果、銅が検出された。よって、この酵素が銅酵素であることが明らかになった。
実施例18.チロシナーゼのオーロン合成活性について
チロシナーゼ(Sigma社catalog no. T7755:0.04mg/ml,10μL)、0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.5,335μL)、9%CHAPS(20μL)、ミリQ水(20μL)を混合後、30℃で10分間インキュベートし、テトラヒドロキシカルコン(THC, 4.3mM in ethanol, 15μL)を加えて直ちに攪拌し、30℃で30分間反応させた。反応後、反応液に反応停止液(90%アセトニトリルを含む10%トリフルオロ酢酸水溶液)を100μL加えて反応を停止し、HPLC分析した。分析は、実施例3と同様に行った。コントロールにはチロシナーゼの代わりに水を用いた。
チロシナーゼを加えたものでは、基質のTHCが約15.9分に溶出し、反応産物であるオーレウシジンが約12.5分に溶出した。一方、チロシナーゼの代わりに水を加えたものでは、基質のTHCは約16分に溶出されたが、オーレウシジンは溶出されなかった。
また、基質としてTHCの代わりにペンタヒドロキシカルコン(PHC)を、まだ緩衝液として0.116Mクエン酸リン酸ナトリウム緩衝液(pH5.4)を用い、上と同じ条件下で反応させた。同様に、コントロールにはチロシナーゼの代わりに水を用いた。
チロシナーゼを加えたものでは、基質のPHCが約14.7分に溶出し反応産物であるオーレウシジンが約12.5分に生成した。一方、チロシナーゼの代わりに水を加えたものでは、基質のPHCは約14.6分に溶出されたが、オーレウシジンは検出されなかった。
従って、チロシナーゼもオーロンを合成する活性を有することが判明した。
産業上の利用可能性
以上に述べたように本発明において、テトラヒドキシカルコンからオーロンの一種であるオーレウシジンを合成する反応を初めて測定し、その反応を触媒するオーレウシジンシンターゼを単離精製し、そのアミノ酸配列を決定し、その遺伝子をクローニングした。ここでは、酵素の起源としては金魚草を用いたが、他のオーロン類を含む植物からも同様な方法でオーロン類を合成する酵素を精製し、その遺伝子を得ることができる。
あるいは、同じ反応を触媒する酵素の遺伝子は互いに塩基配列が相同で、ハイブリダイズすることが知られているので、金魚草から得たcDNAをもとに他の起源のオーロン類を合成する酵素の遺伝子を得ることができる。
また、ポリフェノールオキシダーゼからも、カルコン類を基質としてオーロン類を合成する活性を有する蛋白質をコードする遺伝子を得ることができる。
目的の遺伝子を植物に導入することは現在では広く行われており、本発明により、従来黄色い花を持たない植物種における、黄色い花の育種が可能となった。さらに黄色い花を持つ植物種においても、その色調を変えることができる。
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Claims (14)

  1. 配列番号2記載のアミノ酸配列、あるいはそのアミノ酸配列に対して1個若しくは数個のアミノ酸の欠失、置換及び/又は付加により修飾されたアミノ酸配列を有し、且つテトラヒドロキシカルコンとペンタヒドロキシカルコンを基質として、それぞれ、オーレウシジンとブラクテアチンを合成する活性を有する蛋白質をコードする遺伝子。
  2. 配列番号1記載の塩基配列を有する核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることができ、且つテトラヒドロキシカルコンとペンタヒドロキシカルコンを基質として、それぞれ、オーレウシジンとブラクテアチンを合成する活性を有する蛋白質をコードする遺伝子。
  3. 配列番号2記載のアミノ酸配列に対して90%以上の配列同一性を有し、且つテトラヒドロキシカルコンとペンタヒドロキシカルコンを基質として、それぞれ、オーレウシジンとブラクテアチンを合成する活性を有する蛋白質をコードする遺伝子。
  4. 請求項1〜のいずれか1項に記載の遺伝子を含ベクター。
  5. 請求項に記載のベクターにより形質転換されたヒト以外の宿主。
  6. 前記宿主が微生物又は動物細胞である請求項5に記載の宿主。
  7. 前記宿主が植物細胞又は植物体である請求項5に記載の宿主。
  8. 請求項1〜のいずれか1項に記載の遺伝子によりコードされる蛋白質。
  9. 請求項に記載の宿主を培養し、又は成育させ、そして該宿主からテトラヒドロキシカルコンとペンタヒドロキシカルコンを基質として、それぞれ、オーレウシジンとブラクテアチンを合成する活性を有する蛋白質を採取又は精製することを特徴とする、該蛋白質の製造方法。
  10. オーレウシジンの合成方法であって、請求項8に記載の蛋白質をテトラヒドロキシカルコンに作用せしめることを特徴とする方法。
  11. 植物体内におけるオーレウシジンの合成方法であって、請求項1〜のいずれか1項に記載の遺伝子で植物又は植物細胞を形質転換し、該遺伝子を発現せしめ、そして生成した蛋白質により植物体内にオーレウシジンを合成することを特徴とする方法。
  12. ブラクテアチンの合成方法であって、請求項8に記載の蛋白質をペンタヒドロキシカルコンに作用せしめることを特徴とする方法。
  13. 植物体内におけるブラクテアチンの合成方法であって、請求項1〜のいずれか1項に記載の遺伝子で植物又は植物細胞を形質転換し、該遺伝子を発現せしめ、そして生成した蛋白質により植物体内にブラクテアチンを合成することを特徴とする方法。
  14. 請求項1〜のいずれか1項に記載の遺伝子が導入されている植物しくはその子孫又はそれらの組織。
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