JP4317572B2 - ガス栓 - Google Patents

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Description

本発明は、ガス機器に繋がるガス管路を開閉するガス栓に関する。特には、より高い気密性を維持することができるガス栓に関する。
ガス栓としては、本出願人により出願された特許文献1に係るものがある。
図17は、同文献記載のガス栓の部品構成を示す分解斜視図である。
このガス栓201は、皿小ネジ202、ハンドル203、シール204、ロックピン205、コイルバネ206、本体207、栓体209を備えている。本体207には、図示しないが、テーパ円錐台面状の栓体摺動面が形成されたガス流路や、ガス元管に繋がる入側部、ガス機器に繋がる出側部等が形成されている。さらに本体207には、ガス流路に繋がるハンドル取付部207aが形成されている。該取付部207aの上部には、開口207bが形成されている。本体207内には、該開口207bから挿入される栓体209が回動可能に収められる。
栓体209には、栓体外周面209aを貫通するガス流通孔209cが穿孔されている。栓体209が本体207内に収められると、栓体外周面209aが上記栓体摺動面に接する。これにより、該栓体外周面209aと該栓体摺動面とがメタルコンタクトしてガスがシールされる。ガス流通孔209cがガス流路を連通しているときはガスが流通し、ガス流路から外れているときはガスが遮断される。
栓体209の上側には、コイルバネ206を介してハンドル203が設けられている。ハンドル203は、ロックピン205で本体207の上端部に回動可能に連結される。本体207とハンドル203との連結状態において、コイルバネ206は栓体209を本体207内側に向けて付勢する。ロックピン205は、ハンドル203に挿通されるとともに、その両端が本体開口207bの円周溝207cに係合する。ロックピン205は、皿小ネジ202で抜け止めされる。このようなガス栓201は、ハンドル203を人手で回すと、本体207内で栓体209が回動し、ガス流路が開閉されるようになっている。
特開2000−2361号公報
このようなガス栓の気密性能に関しては、日本工業規格(JIS S 2120「ガス栓」)にガス微小漏れ許容量が規定されている。すなわち、ガス圧22.5kPa時に漏れ量0.02L/h以下がガス微小漏れ許容量であるとされている。上記特許文献1記載の従来のガス栓においても、該規格は満足するものである。しかしながら、近年、住宅設備が高気密化しているため、配管外部へのガスの漏れ量をさらに低減させることが望ましく、この点、更なる改良の余地が残されている。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、簡易な構成でより良好な気密状態を保つことができるガス栓を提供することにある。
上記目的を達成するための、本発明のガス栓は、 内部にガス流路(14)及びテーパ面である栓体摺動面(15)を有するとともに、ハンドル取付部(11)の突出形成された本体(10)と、 前記栓体摺動面(15)と密接に摺動して、メタルタッチによりシールするテーパ外周面(22a)を有し、前記ガス流路(14)を開閉する栓体(20)と、 前記本体(10)のハンドル取付部(11)の端部に回動可能に装着され、且つ、前記栓体(20)とは相対回動不能に係合した、前記栓体(20)を動かすハンドル(50)と、 前記ハンドル(50)と前記栓体(20)との間に配置された、前記栓体(20)を前記本体(10)内に向けて付勢するバネ(30)と、を具備し、 組立て時には、前記栓体(20)のテーパ外周面(22a)が、前記本体(10)のハンドル取付部(11)の内面(11a)を通って前記本体(10)内に挿入されるガス栓であって、 前記栓体(20)の上首部(21)が前記本体(10)のハンドル取付部(11)内に突出しており、 前記上首部(21)の外面(21a)と前記ハンドル取付部(11)の内面(11a)との間にOリング(40)が介装されており、 前記ハンドル取付部(11)の前記内面(11a)にOリング溝(17)が形成されているか、又は、前記栓体(20)の上首部(21)の外面(21a)にOリング溝(17)が形成されていて、該Oリング溝(17)に前記Oリング(40)が嵌め込まれており、 前記Oリング(40)が密接する面(21a、11a)が、前記ガス流路(14)の軸線に対して垂直な円筒面となっていて、前記栓体(20)が前記バネ(30)の付勢力に抗して上方へ移動したときも前記Oリング(40)のシール性が維持されるとともに、 メタルタッチによるシール部付近を外部から密閉の空間としていることを特徴とする。
このガス栓は、不測の事態によりガス流路から漏れたガスが栓体の上首部の外面と本体のハンドル取付部の内面との間隙を流れてきても、当該間隙を樹脂シール部材がシールしているため、配管外部へのガス漏れ量を低減することができる。従来のガス栓においては、栓体外面に形成されているテーパ面と本体開口内面に形成されているテーパ面とのメタルコンタクトにより、ガスをシールしていた。本発明のガス栓は、該テーパ面でのシール機能に加えて樹脂シール部材でのシール機能も備えているので、配管外部へのガスの漏れ量をさらに低減することができる。このように、本発明のガス栓においては、樹脂シール部材を介装させるという簡易な構成で、より良好な気密状態を保つことができる。
本発明のガス栓においては、前記栓体が前記付勢手段の付勢力に抗して移動したときも前記上首部の外面と前記ハンドル取付部の内面との間のシール性が維持されるものとすることができる。
このような構成によれば、ガス栓のガス流路内のガス圧が高まったり、ガス栓に外力負荷が掛かるという異常事態が発生し、栓体が付勢手段の付勢力に抗して移動した場合であっても、樹脂シール部材は栓体上首部の外面とハンドル取付部の内面との間隙をシールしているため、配管外部へのガス漏れをほぼ防止することができる。
本発明のガス栓においては、前記樹脂シール部材は、環状のブッシュと、該ブッシュの外面及び内面にそれぞれ嵌め込まれる第1及び第2のOリングとを備え、該第1のOリングが前記ブッシュの外面と前記ハンドル取付部の内面との間をシールし、該第2のOリングが前記ブッシュの内面と前記栓体の外面との間をシールするものとすることができる。
このような構成によれば、ガス栓を組み立てるときは、まず第1及び第2のOリングをブッシュの外面及び内面にそれぞれ嵌め込んでおく。そして、栓体を本体のハンドル取付部から本体内部へ挿入し、該ブッシュを本体のハンドル取付部から栓体の上首部に嵌め込む。このように、第1及び第2のOリングは予めブッシュに嵌め込まれており、本体や栓体に嵌め込む必要が無いので、当該嵌め込み作業の工数を低減することができ、さらに簡易に且つ確実に組立作業を行うことができる。
本発明によれば、上述したように、簡易な構成でより良好な気密状態を保つことができるガス栓を提供することができる。また、本体と栓体の間、又は本体とハンドルの間に樹脂シール部材を介装し、メタルタッチによるシール部付近を外部から密閉の空間としている。このため、水分と共に侵入した異物や、水分の浸入により発生した錆が、栓体摺動部に巻き込まれることを低減することが可能となる。
発明を実施するための形態
以下、本発明のガス栓の一形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の一形態のガス栓の概要を説明するための分解斜視図である。
図2は、同ガス栓の組立斜視図である。
なお、以下の説明では、特に断らない限り、「上下方向」とは図1等において矢印に示す方向を指すものとする。
まず、このガス栓1の概要について説明する。
このガス栓1は、図1に示すように、本体10、栓体20、コイルバネ30、Oリング40、ハンドル50及びピン部60を備えている。本ガス栓1は、本体10内部に栓体20、コイルバネ30、Oリング40が配置され、本体10のハンドル取付部11にハンドル50が取り付けられている。ハンドル50上面には、キャップ61、ブッシュ62及び封印ストッパねじ63を備えたピン部60が取り付けられている。
該ハンドル50は、図2の状態から左回りに90°の範囲(1/4回転分)で回動自在となっている。詳細は後述するが、該ハンドル50の回動は、ピン部60により規制されている。ハンドル50が図2の状態で本ガス栓1は閉となり、同ハンドル50が閉状態から左回りに90°回動した状態で開となる。
本ガス栓1においては、樹脂シール部材であるOリング40が、栓体上首部21の外周面21aとハンドル取付部11の内周面11aとの間をシールする。これによりガス流路14から配管外部へのガスの漏れ量をより一層低減させている。なお、Oリング40の代わりにオイルシールを用いても良い。
次に、ガス栓1の構成部品について順に説明する。
まず、本体10について図3(A)、(B)、(C)を参照して説明する。
図3は、同本体を示す図であり、(A)が上から見た平面図であり、(B)が正面図であり、(C)が(A)のA−A切断線における断面図である。
本体10は、図3(A)〜(C)に示すように、一例として鋳鉄等の金属で構成された筒状体に形成されている。該本体10は、図1に示すハンドル50が取り付けられるハンドル取付部11、ガス元管側に繋がる入側部12、ガス機器側に繋がる出側部13を有している。該取付部11は、本体10周面から突出形成され、該入側部12及び該出側部13は、本体10両端に形成されている。
図3(A)に示すように、ハンドル取付部11の上縁部11cには、図の下方左側に略90°の円弧状の切欠き段部11caが形成されている。詳細は後述するが、該段部11caは、図1に示すハンドル50に取り付けられたピン部60の封印ストッパねじ63と当接してハンドル50の回動範囲規制する。
図3(A)に示すように、ハンドル取付部11の上縁部内側11bには、図の上方左側及び下方右側に略90°の円弧状凸部の2つのハンドル係止凸条部16が形成されている。詳細は後述するが、該係止凸条部16は、図5(B)に示すハンドル50の本体係止凸条部52と噛み合ってハンドル50の抜け止めとなる。
図3(C)に示すように、ハンドル取付部11の内周面11aは、円筒面状に形成されている。該内周面11aには、環状の溝17が形成されている。該溝17は、図1に示すOリング40が嵌め込まれるOリング溝である。
図3(C)に示すように、本体10内部において、入側部12と出側部13との間はガス流路14となっている。そして、該流路14は、ハンドル取付部11に連通している。該流路14内には、上記内周面11aと同軸のテーパ円錐台面状の栓体摺動面15が形成されている。詳細は後述するが、該摺動面15は、図4(B)に示す栓体20の外周面22aと密接する。
次に、栓体20について図4(A)、(B)、(C)を参照して説明する。
図4は、同栓体を示す図であり、(A)が上から見た平面図であり、(B)が正面図であり、(C)が(B)のA−A切断線における断面図である。
栓体20は、図4(A)〜(C)に示すように、一例として真鍮等の金属で構成されており、円筒状の上首部21と、同部より小径のテーパ筒状の胴部22を有している。
図4(A)〜(C)に示すように、上首部21の外周面21aは、円筒面に形成されている。詳細は後述するが、該上首部外周面21aは、図3(C)に示すOリング溝17に嵌め込まれた図1に示すOリング40と密接する。
図4(A)に示すように、栓体上首部21の上端面21bには、円弧状凸部のハンドル係合部23が2つ対向形成されている。詳細は後述するが、該係合部23は、図5(D)に示すハンドル50の栓係合部53と噛み合ってハンドル50の回転を栓体20に伝える。
図4(A)、(C)に示すように、該2つの係合部23の間には、凹部24が形成されている。該凹部24には、図1に示すコイルバネ30の下端が挿入される。
図4(B)、(C)に示すように、胴部22の外周面22aは、テーパ面に形成されている。該胴部外周面22aの略中央には、軸線に垂直な方向に貫通するガス流通孔25が形成されている。該孔25は、図3(C)に示す本体10の入側部12と出側部13とを連通する。詳細は後述するが、該孔25周囲の外周面22aは、図3(C)に示す本体10の栓体摺動面15と密接する。
次に、ハンドル50について図5(A)、(B)、(C)、(D)、(E)を参照して説明する。
図5は、同ハンドルを示す図であり、(A)が上から見た平面図であり、(B)が正面図であり、(C)が(B)のA−A切断線における断面図であり、(D)が下から見た平面図であり、(E)が(A)のB−B切断線における断面図である。
ハンドル50は、図5(A)〜(E)に示すように、一例として鋳鉄等の金属で円板状に形成されている。図5(A)、(B)、(C)に示すように、該ハンドル50の上面中央には、棒状の摘み51が一体形成されている。そして、該摘み51の上面には、図4(B)に示す栓体20の流通孔25の位置を識別するマーク51aが形成されている。
図5(B)〜(E)に示すように、ハンドル50の下面には、盤状の本体係止凸条部52が形成されている。この係止凸条部52の両側には、弓形状の切り欠き部52bが形成されている。詳細は後述するが、該係止凸条部52は、図3(A)に示す本体10の2つのハンドル係止凸条部16と噛み合ってハンドル50を回動可能に係合する。
図5(D)、(E)に示すように、さらにハンドル50の下面には、円弧状凸部の栓係合部53が2つ対向形成されている。詳細は後述するが、該栓係合部53は、図4(A)に示す栓体20のハンドル係合部23と噛み合ってハンドル50の回転を栓体20に伝える。
図5(C)〜(E)に示すように、該係合部53の間には、凹部54が形成されている。該凹部54には、図1に示すコイルバネ30の上端が挿入される。
図5(A)、(E)に示すように、ハンドル50には、上下に貫通する段付きのピン穴50bが形成されている。該穴50bは、図1に示すブッシュ62及び封印ストッパねじ63が挿入され、キャップ61が嵌め込まれる収納穴50baを備えている。さらに、該収納穴50baの図下側には、同穴50baより小径の貫通穴50bbが形成されている。該貫通穴50bbからは、図8(B)、(C)に示す封印ストッパねじ63のストッパ部63bが図下方に突出する。
次に、キャップ61、ブッシュ62及び封印ストッパねじ63について、図6〜図8を参照して説明する。
図6は、同キャップを示す図であり、(A)が正面図であり、(B)が下から見た平面図である。
キャップ61は、図6(A)、(B)に示すように、樹脂で円板状に形成されている。該キャップ61の下面には、6つの係止爪61aが円周方向に等角度間隔で形成されている。該爪61aは、図7(A)、(B)に示すブッシュ62の上面に形成されている段付き穴62aに係止される。
図7は、ブッシュを示す図であり、(A)が上から見た平面図であり、(B)が(A)のA−A切断線における断面図である。
ブッシュ62は、図7(A)、(B)に示すように、一例として真鍮等の金属で構成された筒状体に形成されている。該ブッシュ62は、上面に上述した段付き穴62aが形成され、外周面におねじ62bが形成され、内周面にめねじ62cが形成されている。詳細は後述するが、該おねじ62bは、図5(E)に示す収納穴50baに形成されているめねじ50bcに螺合される。該めねじ62cは、図8(A)、(B)に示す封印ストッパねじ63の頭部63aの外周面に形成されているおねじ63aaに螺合される。
図8は、封印ストッパねじを示す図であり、(A)が上から見た平面図であり、(B)が正面図であり、(C)が(A)のA−A切断線における断面図である。
封印ストッパねじ63は、図8(A)〜(C)に示すように、一例として真鍮等の金属で構成された段付き筒状体に形成されている。該ねじ63は、頭部63aと該頭部63aより小径のストッパ部63bを有している。該頭部63aには、外周面に上述したおねじ63aaが形成され、上端面に図8(A)、(C)に示す2つの冶具穴63abが形成されている。該穴63abには、二股冶具が差し込まれる。この二股冶具を回すことで、該おねじ63aaを、図7(A)、(B)に示すブッシュ62のめねじ62cに締め付け、緩める。
次に、このようなガス栓1の組立手順及び動作手順について図9〜図11を参照して説明する。
図9(A)は、同ガス栓の閉状態を示す斜視図であり、(B)は、(A)のガス流路と平行な縦断面図である。
図10(A)は、同ガス栓の開状態を示す斜視図であり、(B)は、(A)のガス流路と直交する縦断面図である。
図11(A)は、図10の状態の同ガス栓のガス流路と平行な縦断面図であり、(B)は、(A)のA部を拡大して示す拡大断面図である。
(1)図9(B)に示すように、Oリング40を、本体10のハンドル取付部11内の溝17に嵌め込む。該溝17は、該リング40を強固に挟持できるように、且つ、該リング40の内周が僅かに突出できるように形成されている。
(2)図9(B)に示すように、栓体20をハンドル取付部11内部に挿入し、栓体上首部21の円筒外周面21aをOリング40の内周に密接させる。このとき、Oリング40は、上述したように溝17内で強固に挟持されているため、同栓体20により挿入方向に押し込まれてしまうことはなく、当該溝位置で該円筒外周面21aと密接する。これにより、Oリング40と栓体上首部21の円筒外周面21a及び該溝内周面との間はシールされる。さらに同栓体20を挿入し、胴部22のテーパ外周面22aをテーパ面である栓体摺動面15に密接させる。これにより、栓体胴部22のテーパ外周面22aと該テーパ摺動面15との間は、メタルタッチによりシールされる。
(3)図9(B)に示すように、同栓体20の上面の凹部24内にコイルバネ30の下端を挿入する。次に、同バネ30の上端にハンドル50の凹部54を嵌め込む。そして、同ハンドル50を下方へ押圧して同栓体20との間で同バネ30を縮めつつ、該ハンドル下部をハンドル取付部11の内部に押し込む。このときのハンドル50は、図9(A)に示すように、摘み51の上面のマーク51aがガス流路14と直交する向きで押し込まれる。そして、図11(A)に示すように、同ハンドル50の2つの栓係合部53を栓体20の2つのハンドル係合部23の間に嵌め込んで係合させる。
(4)次に、同ハンドル50を図9(A)に示す右回りに略45°回転させる。これにより、図5(D)に示す同ハンドル50の切り欠き部52bが、図3(A)に示す本体10のハンドル係止凸条部16と位置合わせされる。該切り欠き部52bは該係止凸条部16より若干大きい形状に形成されている。このため、さらに同ハンドル50を下方へ押圧することにより、同係止部16を同切り欠き部52bにて通過させる。こうして、同係止部16は、図11(B)に示す本体係止凸条部上端面52aとハンドル下端面50aとの間に位置決めすることができる。
(5)同ハンドル50を図9(A)に示す左回りに略45°回転させる。これにより、図11(A)、(B)に示すように、同ハンドル50の本体係止凸条部52は本体10のハンドル係止凸条部16と噛み合うので、同ハンドル50を本体10に係止することができる。
(6)図9(B)に示すように、ブッシュ62の下側から内部に封印ストッパねじ63を挿入して、同ブッシュ62に同ねじ63を螺合して締結する。そして、ハンドル50のピン穴50bに同ブッシュ62を螺合して締結する。そして、同ブッシュ62にキャップ61を係止してピン穴50bをカバーする。以上の手順により、図9(A)に示すようにガス栓1を簡易に且つ確実に組み立てることができる。
図9(A)、(B)に示す状態は、ガス流路14が栓体20により遮断されており、ガス栓1は閉状態である。このガス栓1を開状態とするときは、ハンドル50を図9(A)に示す左回りに略90°回転させる。これにより、図10(A)、(B)に示すように、栓体20のガス流通孔25が本体10の入側部12と出側部13とを連通させてガス流路14を流通させるので、ガス栓1は開状態となる。
ハンドル50を図9(A)に示す状態からさらに右回り、もしくは図10(A)に示す状態からさらに左回りに回転させようとしたとき、図8(B)に示すストッパ部63bが図3(B)に示す切欠き段部11caの両端面11cb、11ccと当接する。このため、同ハンドル50及び栓体20の回動を図9(A)に示す状態と図10(A)に示す状態との間の90°の角度範囲で規制することができる。
ガス栓1の組立が完了した状態では、栓体20がコイルバネ30の弾性力で本体10下方に向けて付勢されている。このため図11(A)、(B)に示すように、該栓体胴部22のテーパ外周面22aは、本体10のテーパ面である栓体摺動面15と密接してメタルタッチによりシールしている。さらに該栓体上首部21の円筒外周面21aは、本体10のOリング溝17に嵌め込まれたOリング40と密接してシールしている。このように、ガス流路14からハンドル取付部11への経路は二重にシールされているので、従来のガス栓と比べてガス流路14から配管外部へのガスの漏れ量をより一層低減させることができる。
また、ガス栓1のガス流路14内のガス圧が高まったり、ガス栓1に外力負荷が掛かるという異常事態が発生し、栓体20がコイルバネ30の弾性力に抗して軸線上方へ移動するおそれがある。このとき、図11(A)、(B)に示すように、軸線に対してテーパ面となっている該栓体胴部22のテーパ外周面22aと本体10のテーパ面である栓体摺動面15とは離間することになる。このため、ガス流路14からハンドル取付部11へガスが漏れ出す。
しかし、該栓体上首部21の円筒外周面21aは軸線に対して垂直面となっているため、該栓体20が上方へ移動してもOリング40とのシール性は維持される。このため、ガス流路14からハンドル取付部11へ漏れ出したガスは該シール面で遮断されるので、配管外部へのガス漏れをほぼ防止することができる。
なお、栓体20が上方へ最大限移動したときでもOリング40とのシール性を維持できるように、Oリング溝17の軸線方向の形成位置もしくは上首部21の軸線方向の寸法を設定する。なお、Oリング溝は栓体20の上首部21の外周面21aに設けても同様の作用効果を得ることができる。
図12は、本発明の別形態のガス栓の概要を説明するための分解斜視図である。
まず、このガス栓2の概要について説明する。
このガス栓2は、図1に示すガス栓1を構成するOリング40の代わりに気密ブッシュ70を備えており、それに伴って本体80及び栓体90が該ガス栓1を構成する本体10及び栓体20と異なる構成となっている。なお、本ガス栓2を構成するコイルバネ30、ハンドル50及びピン部60は該ガス栓1のものと同一構成なため同一番号を付してそれらの説明は省略する。
本ガス栓2は、本体80内部に栓体90、コイルバネ30、気密ブッシュ70が配置され、本体80のハンドル取付部81にハンドル50が取り付けられている。ハンドル50の上面には、ピン部60が取り付けられている。
本ガス栓2においては、樹脂シール部材である気密ブッシュ70が、栓体上首部91の外周面91aとハンドル取付部81の内周面81aとの間をシールする。これによりガス流路14から配管外部へのガスの漏れ量をより一層低減させている。
次に、ガス栓2の構成部品について順に説明する。
まず、本体80について図13(A)、(B)、(C)を参照して説明する。
図13は、同本体を示す図であり、(A)が上から見た平面図であり、(B)が正面図であり、(C)が(A)のA−A切断線における断面図である。
本体80は、図13(A)〜(C)に示すように、一例として真鍮等の金属で構成された筒状体に形成されている。該本体80は、図12に示すハンドル50が取り付けられるハンドル取付部81、ガス元管側に繋がる入側部82、ガス機器側に繋がる出側部83を有している。該取付部81は、本体80周面から突出形成され、該入側部82及び該出側部83は、本体80両端に形成されている。
図13(A)に示すように、ハンドル取付部81の上縁部81cには、図の下方左側に略90°の円弧状の切欠き段部81caが形成されている。詳細は後述するが、該段部81caは、図12に示すハンドル50に取り付けられたピン部60と当接してハンドル50の回動範囲規制する。
図13(A)に示すように、ハンドル取付部81の上縁部内側81bには、図の上方左側及び下方右側に略90°の円弧状凸部の2つのハンドル係止凸条部86が形成されている。詳細は後述するが、該係止凸条部86は、図5(B)に示すハンドル50の本体係止凸条部52と噛み合ってハンドル50の抜け止めとなる。
図13(C)に示すように、ハンドル取付部81の内周面81aは、軸線方向に対し垂直面として形成されている。詳細は後述するが、該内周面81aは、図15(B)に示す気密ブッシュ70のOリング71と密接する。
図13(C)に示すように、本体80内部において、入側部82と出側部83との間はガス流路84となっている。そして、該流路84は、ハンドル取付部81に連通している。該流路84内には、上記内周面81aと同軸のテーパ円錐台面状の栓体摺動面85が形成されている。詳細は後述するが、該摺動面85は、図14(B)に示す栓体90の外周面92aと密接する。
次に、栓体90について図14(A)、(B)、(C)を参照して説明する。
図14は、同栓体を示す図であり、(A)が上から見た平面図であり、(B)が正面図であり、(C)が(B)のA−A切断線における断面図である。
栓体90は、図14(A)〜(C)に示すように、一例として真鍮等の金属で構成されており、円筒状の上首部91と、同部より大径のテーパ筒状の胴部92を有している。
図14(A)〜(C)に示すように、上首部91の外周面91aは、円筒面に形成されている。詳細は後述するが、該上首部外周面91aは、図15(C)に示す気密ブッシュ70のOリング72と密接する。
図14(A)に示すように、栓体上首部91の上端面91bには、円弧状凸部のハンドル係合部93が2つ対向形成されている。詳細は後述するが、該係合部93は、図5(D)に示すハンドル50の栓係合部53と噛み合ってハンドル50の回転を栓体20に伝える。
図14(A)、(C)に示すように、該2つの係合部93の間には、凹部94が形成されている。該凹部94には、図12に示すコイルバネ30の下端が挿入される
図14(B)、(C)に示すように、胴部92の外周面92aは、テーパ面に形成されている。該胴部外周面92aの略中央には、軸線に垂直な方向に貫通するガス流通孔95が穿設されている。該孔95は、図13(C)に示す本体80の入側部82と出側部83とを連通する。詳細は後述するが、該孔95周囲の外周面92aは、図13(C)に示す本体80の栓体摺動面85と密接する。
次に、気密ブッシュ70について図15(A)、(B)、(C)を参照して説明する。
図15は、同ブッシュを示す図であり、(A)が平面図であり、(B)が正面図であり、(C)が(B)のA−A切断線における断面図である。
気密ブッシュ70は、図15(A)〜(C)及び図12示すように、一例として真鍮等の金属もしくは樹脂で構成された環状体のブッシュ75を備えている。そして、該ブッシュ75の外周面及び内周面には、Oリング71、72が嵌め込まれる環状のOリング溝73、74がそれぞれ形成されている。
次に、このようなガス栓2の組立手順及び動作手順について図16等を参照して説明する。
図16(A)は、同ガス栓の開状態のガス流路と平行な縦断面図であり、(B)は、(A)のA部を拡大して示す拡大断面図である。
(1)図16(A)に示すように、栓体90をハンドル取付部81内部に挿入し、栓体胴部92のテーパ外周面92aをテーパ面である栓体摺動面85に密接させる。これにより、栓体胴部92のテーパ外周面92aと該テーパ摺動面85との間は、メタルタッチによりシールされる。
(2)図15(C)に示すように、ブッシュ75のOリング溝73、74にOリング71、72をそれぞれ嵌め込んで気密ブッシュ70とする。該溝73、74は、該Oリング71、72を強固に挟持できるように、且つ、該Oリング71の外周及び該Oリング72の内周がそれぞれ僅かに突出できるように形成されている。
(3)図16(A)に示すように、気密ブッシュ70をハンドル取付部81内部に挿入し、該取付部81の円筒内周面81aと栓体上首部91の円筒外周面91aとの間に嵌め込む。そして、Oリング71の外周を該円筒内周面81aに密接させると共にOリング72の内周を該円筒外周面91aに密接させる。このとき、Oリング71、72は、上述したように溝73、74内で強固に挟持されているため、気密ブッシュ70の挿入時に該Oリング71、72が該溝73、74から外れてしまうことはない。これにより、Oリング71、72と該円筒内周面81a及び該円筒外周面91aとの間はシールされる。ここで、以降の(4)〜(6)の手順はガス栓1で説明した手順(3)〜(6)と同一であるため、簡略に説明する。
(4)図16(A)に示すように、同栓体90の上面の凹部94内にコイルバネ30の下端を挿入する。次に、同バネ30の上端にハンドル50の凹部54を嵌め込む。そして、同ハンドル50を下方へ押圧して同栓体90との間で同バネ30を縮めつつ、該ハンドル下部をハンドル取付部81の内部に押し込む。そして、同ハンドル50の2つの栓係合部53を栓体90の2つのハンドル係合部93の間に嵌め込んで係合させる。
(5)次に、同ハンドル50を図12に示す右回りに略45°回転させ、さらに同ハンドル50を下方へ押圧することにより、図16(B)に示すハンドル係止凸条部86を本体係止凸条部上端面52aとハンドル下端面50aとの間に位置決めする。
(6)同ハンドル50を図12に示す左回りに略45°回転させ、図16(B)に示すように、同ハンドル50の本体係止凸条部52と本体80のハンドル係止凸条部86を噛み合わせ、同ハンドル50を同本体80に係止する。以上の手順により、ガス栓2を簡易に且つ確実に組み立てることができる。
上記手順が完了した状態は、ガス流路84が栓体90により遮断されており、ガス栓2は閉状態である。このガス栓2を開状態とするときは、ハンドル50を図12に示す左回りに略90°回転させる。これにより、図16(A)に示すように、栓体90のガス流通孔95が本体80の入側部82と出側部83とを連通させてガス流路84を流通させるので、ガス栓2は開状態となる。
ガス栓2の組立が完了した状態では、栓体90がコイルバネ30の弾性力で本体80下方に向けて付勢されている。このため図16(A)、(B)に示すように、該栓体胴部92のテーパ外周面92aは、本体80のテーパ面である栓体摺動面85と密接してメタルシールしている。さらに該栓体上首部91の円筒外周面91aとハンドル取付部81の円筒内周面81aは、気密ブッシュ70のOリング71、72とそれぞれ密接してシールしている。このように、ガス流路84からハンドル取付部81への経路は二重にシールされているので、従来のガス栓と比べてガス流路84から配管外部へのガスの漏れ量をより一層低減させることができる。
また、ガス栓2のガス流路84内のガス圧が高まったり、ガス栓2に外力負荷が掛かるという異常事態が発生し、栓体90がコイルバネ30の弾性力に抗して軸線上方へ移動するおそれがある。このとき、図16(A)、(B)に示すように、軸線に対してテーパ面となっている該栓体胴部92のテーパ外周面92aと本体80のテーパ面である栓体摺動面85とは離間することになる。このため、ガス流路84からハンドル取付部81へガスが漏れ出す。
しかし、該栓体上首部91の円筒外周面91aと該ハンドル取付部81の円筒内周面81aは軸線に対して垂直面となっているため、該栓体90が上方へ移動しても気密ブッシュ70のOリング71、72とのシール性は維持される。このため、ガス流路84からハンドル取付部81へ漏れ出したガスは該シール面で遮断されるので、配管外部へのガス漏れをほぼ防止することができる。
さらに、ガス流路84からハンドル取付部81へ漏れ出したガス、もしくは上方へ移動した栓体90が気密ブッシュ70を上方へ押し上げるおそれがある。しかし、同ブッシュ70上面がハンドル50の本体係止凸条部52下端面と当接して該移動が阻止されるので、Oリング71、72のシール性は維持される。したがって、ガス流路84からハンドル取付部81へ漏れ出したガスは該シール面で遮断されるので、配管外部へのガス漏れをほぼ防止することができる。
なお、Oリング71、72の代わりにオイルシールを用いても良い。また、ブッシュ75とOリング71、72の機能を兼ね備えた気密ブッシュを弾性部材により一体成形しても良い。また、Oリング72は、栓体上首部91の円筒外周面91aと栓体胴部92のテーパ外周面92aとの間の面(栓体90の肩(段)部分)に接するように配置しても良い。
本発明の一形態のガス栓の概要を説明するための分解斜視図である。 図1のガス栓の組立斜視図である。 本体単体の図であり、(A)は上から見た平面図であり、(B)は正面図であり、(C)は(A)のA−A切断線における断面図である。 栓体単体を示す図であり、(A)は上から見た平面図であり、(B)は正面図であり、(C)は(B)のA−A切断線における断面図である。 ハンドル単体を示す図であり、(A)は上から見た平面図であり、(B)は正面図であり、(C)は(B)のA−A切断線における断面図であり、(D)は下から見た平面図であり、(E)は(A)のB−B切断線における断面図である。 キャップ単体を示す図であり、(A)は正面図であり、(B)は下から見た平面図である。 ブッシュ単体を示す図であり、(A)は上から見た平面図であり、(B)は(A)のA−A切断線における断面図である。 封印ストッパねじ単体を示す図であり、(A)は上から見た平面図であり、(B)は正面図であり、(C)は(A)のA−A切断線における断面図である。 (A)は、同ガス栓の閉状態を示す斜視図であり、(B)は、(A)のガス流路と平行な縦断面図である。 (A)は、同ガス栓の開状態を示す斜視図であり、(B)は、(A)のガス流路と直交する縦断面図である。 (A)は、図10の状態の同ガス栓のガス流路と平行な縦断面図であり、(B)は、(A)のA部を拡大して示す拡大断面図である。 本発明の別形態のガス栓の概要を説明するための分解斜視図である。 本体単体を示す図であり、(A)は上から見た平面図であり、(B)は正面図であり、(C)は(A)のA−A切断線における断面図である。 栓体単体を示す図であり、(A)は上から見た平面図であり、(B)は正面図であり、(C)は(B)のA−A切断線における断面図である。 ブッシュ単体を示す図であり、(A)は平面図であり、(B)は正面図であり、(C)は(B)のA−A切断線における断面図である。 (A)は、同ガス栓の開状態のガス流路と平行な縦断面図であり、(B)は、(A)のA部を拡大して示す拡大断面図である。 従来のガス栓の部品構成を示す分解斜視図である。
符号の説明
1、2・・・ガス栓、10、80・・・本体、11、81・・・ハンドル取付部、11a、81a、・・・円筒内周面、14、84・・・ガス流路、15、85・・・栓体摺動面、17、73、74・・・Oリング溝、20、90・・・栓体、21、91・・・栓体上首部、21a、91a・・・円筒外周面、22・・・栓体胴部、22a、92a・・・テーパ外周面、30・・・コイルバネ、40、71、72・・・Oリング、50・・・ハンドル、60・・・ピン部、70・・・気密ブッシュ、75・・・ブッシュ

Claims (1)

  1. 内部にガス流路(14)及びテーパ面である栓体摺動面(15)を有するとともに、ハンドル取付部(11)の突出形成された本体(10)と、
    前記栓体摺動面(15)と密接に摺動して、メタルタッチによりシールするテーパ外周面(22a)を有し、前記ガス流路(14)を開閉する栓体(20)と、
    前記本体(10)のハンドル取付部(11)の端部に回動可能に装着され、且つ、前記栓体(20)とは相対回動不能に係合した、前記栓体(20)を動かすハンドル(50)と、
    前記ハンドル(50)と前記栓体(20)との間に配置された、前記栓体(20)を前記本体(10)内に向けて付勢するバネ(30)と、を具備し、
    組立て時には、前記栓体(20)のテーパ外周面(22a)が、前記本体(10)のハンドル取付部(11)の内面(11a)を通って前記本体(10)内に挿入されるガス栓であって、
    前記栓体(20)の上首部(21)が前記本体(10)のハンドル取付部(11)内に突出しており、
    前記上首部(21)の外面(21a)と前記ハンドル取付部(11)の内面(11a)との間にOリング(40)が介装されており、
    前記ハンドル取付部(11)の前記内面(11a)にOリング溝(17)が形成されているか、又は、前記栓体(20)の上首部(21)の外面(21a)にOリング溝(17)が形成されていて、該Oリング溝(17)に前記Oリング(40)が嵌め込まれており、
    前記Oリング(40)が密接する面(21a、11a)が、前記ガス流路(14)の軸線に対して垂直な円筒面となっていて、前記栓体(20)が前記バネ(30)の付勢力に抗して上方へ移動したときも前記Oリング(40)のシール性が維持されるとともに、
    メタルタッチによるシール部付近を外部から密閉の空間としていることを特徴とするガス栓。
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