JP4315001B2 - オーバーコートクリヤー塗料組成物の塗装方法及び塗装物品 - Google Patents

オーバーコートクリヤー塗料組成物の塗装方法及び塗装物品 Download PDF

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Description

本発明は、エアスプレー塗装又は静電塗装によるオーバーコートクリヤー塗料組成物の塗装方法及び塗装物品に関する。
現在、自動車、オ−トバイ、パソコン、携帯電話等の塗装物品においては、高い塗膜性能と外観性が必要とされている。具体的には、高光沢の鏡面の様な外観が求められていると同時に耐候性、耐擦り傷性、汚染性、耐酸性、耐ガソリン性等に優れる塗膜性能も要求されている。従来から、この様な高い塗膜性能と外観性を発現するため、被塗物にベース色と呼ばれる塗料を塗装し、焼付け・硬化させ、ベース色塗膜を形成することにより、カラー処理を施した後、そのベース色塗膜の上にオーバーコートクリヤー塗料を塗装し、焼付け・硬化させる2コート2ベーク方式の塗膜形成方法が用いられている。
一般に、ベ−ス色塗膜は、アクリルメラミン硬化型塗料又はアクリルウレタン硬化型塗料が塗装され、所定の条件で、焼付け・硬化されることにより得られる。しかし、生産ラインによって、焼付け条件(温度、時間)が異なり、また、被塗物を搬送コンベアに吊り掛ける場合、その吊り掛け方法、吊り掛け部位によって、焼付け条件が異なることがあり、焼付け条件が過酷になる場合がある。さらに、休憩時間、昼休み、故障等のコンベアストップにより、被塗物が焼付け炉内で滞留する場合がある。これらの場合、ベース色塗膜はオーバーベークとなる。
ベース色塗膜がオーバーベークとなると、ベース色塗料中に配合されている表面調整剤が、塗膜表面へ移行するために、標準条件で焼付け・硬化した場合と比較してベース色塗膜の表面張力が低下する。そして、表面張力が低下したベース色塗膜の上に通常のオーバーコートクリヤー塗料を塗装すると、はじいた様な濡れ不良が発生する問題点がある。
また、基材へのハジキや膜厚ムラを防止するため、表面張力が25mN/m以下の溶媒を5〜100質量%(全溶媒比)含有する転写用被覆剤を転写する方法が、提案されている(特許文献1参照)。この転写方法は、溶媒の揮発が抑えられる点で有効であり、溶媒の揮発性についてあまり考慮する必要がなく、高い揮発性の溶媒も使用できる特徴がある。しかしながら、エアスプレー塗装や静電塗装の場合、塗装時に溶媒が霧化し易く、被塗物に塗料が塗着しない問題点があり、被塗物に塗着した時のオーバーコートクリヤー塗料の表面張力は低下せず、はじいた様な濡れ不良は解消されないことが通常考えられる。従って、通常、転写方法に使用される塗料組成物をそのままエアスプレー塗装や静電塗装に使用することは考え難く、特許文献1にもエアスプレー塗装や静電塗装に使用することは記載されていない。
また、20℃における表面張力が260μN/cm以下の有機溶剤を含有する文献も多く提案されている(特許文献2、3及び4参照)。これらの公知文献は、光触媒の分散性、保存安定性の付与については記載されているが、濡れ性を改良する方法は開示されていない。
さらに、濡れ不良を防止するため、オーバーコートクリヤー塗料にシリコン系やアクリル系の表面調整剤を配合することは有効な方法として知られている(特許文献5参照)。この場合、オーバーコートクリヤー塗料の表面張力が低下し、ベース色塗膜への濡れ性が改良され、均一で良好な仕上がり外観となる。しかしながら、生産ラインでは、ゴミ、ブツ等の塗膜欠陥が発生した場合には、通常、オーバーコートクリヤー塗料を再塗装(リコート)するので、表面調整剤を配合したオーバーコートクリヤー塗料をリコートする場合は、1回目のオーバーコートクリヤー塗膜の表面張力が低下しているため、サンディング処理を施さないと密着性を確保できず、工程が増加することにより生産性を阻害することになる。
特開2003−041192号公報 特開2001−354902号公報 特開2002−003785号公報 特開2002−371234号公報 特開2002−069366号公報
本発明は、従来のこのような問題点に着目してなされたもので、オーバーベイクされた下地塗膜にエアスプレー塗装や静電塗装により塗装した場合に、特定のオーバーコートクリヤー塗料組成物を塗装することにより、下地の硬化した塗膜への濡れ性が良好で、密着性に優れたオーバーコートクリヤー塗膜を形成でき、また、オーバーコートクリヤー塗料組成物のリコート塗装時にも、下地のオーバーコートクリヤー塗膜のサンディング処理を施さずに、密着するオーバーコートクリヤー塗膜を安定的に形成できるオーバーコートクリヤー塗料組成物の塗装方法及びその塗装物品を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は、(A)塗膜形成樹脂と、(B)20℃における表面張力が25.0mN/m以下で、かつノルマルブチルアセテートの蒸発速度を1.0としたときの蒸発速度が0.3以下の有機溶剤とを、(A)/(B)の質量比が82/18〜62/38の範囲で、かつ(B)成分がオーバーコートクリヤー塗料組成物の全体量に対して7〜25質量%の範囲で含有するオーバーコートクリヤー塗料組成物を、標準条件よりも過酷な条件で焼付けることにより硬化したオーバーベークされている塗膜又はオーバーコートクリヤー塗料組成物のリコート塗装時の焼付け、硬化された下地のオーバーコートクリヤー塗膜の塗膜上にエアスプレー塗装又は静電塗装することを特徴とするオーバーコートクリヤー塗料組成物の塗装方法を提供する。
また、本発明は、上記オーバーコートクリヤー塗料組成物の塗装方法において、(B)成分の有機溶剤が、ジイソブチルケトンであるオーバーコートクリヤー塗料組成物の塗装方法を提供する。
また、本発明は、上記オーバーコートクリヤー塗料組成物の塗装方法において、塗膜が、被塗物の上にアクリルメラミン硬化型塗料又はアクリルウレタン硬化型塗料のベース色塗料を塗装して、標準条件よりも過酷な条件で焼付けることにより硬化したオーバーベークされているベース色塗膜であるオーバーコートクリヤー塗料組成物の塗装方法を提供する。
また、本発明は、上記オーバーコートクリヤー塗料組成物の塗装方法において、ベース色塗膜が標準条件よりも焼付け温度で20℃以内、焼付け時間で10分間以内の過酷な条件でオーバーベークされているオーバーコートクリヤー塗料組成物の塗装方法を提供する。
また、本発明は、上記オーバーコートクリヤー塗料組成物の塗装方法において、を提供する。
さらに、本発明は、上記の塗装方法により得られたことを特徴とする塗装物品を提供する。
本発明のオーバーコートクリヤー塗料組成物の塗装方法によると、下地塗膜への濡れ性が良好で、オーバーベークした下地塗膜への密着性に優れたオーバーコートクリヤー塗膜を形成できる。また、オーバーコートクリヤー塗料組成物のリコート塗装時にサンディング処理を施さずに、密着するオーバーコートクリヤー塗膜を安定的に形成できる。
本発明に使用されるオーバーコートクリヤー塗料組成物に用いられる(A)成分の塗膜形成樹脂としては、通常、塗料用として使用されている樹脂を制限なく使用できる。その具体例としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、繊維素系樹脂、ポリオレフィン樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂、シリコン樹脂等を1種単独又は2種以上を組み合わせた非架橋のラッカータイプや、例えば、前記樹脂などとアミノ樹脂、ポリイソシアネ−ト化合物、ブロック化ポリイソシアネ−ト化合物、エポキシ化合物等の架橋剤と組み合わせた架橋硬化型樹脂などが挙げられる。また、熱硬化型樹脂だけでなく、紫外線、電子線による放射線硬化型樹脂でもよい。さらに、熱硬化型樹脂と放射線硬化型樹脂とを組み合わせて、熱硬化型と放射線硬化型を併用することもできる。
本発明に使用されるオーバーコートクリヤー塗料組成物に用いられる(B)成分の有機溶剤は、20℃における表面張力が25.0mN/m以下で、かつノルマルブチルアセテートの蒸発速度を1.0としたときの蒸発速度が0.3以下の有機溶剤である。有機溶剤の蒸発速度は、Shell社、Thin Film Evaporometerを用いて、ASTM D3539(vol.6.01)の測定方法により、測定される。
(B)成分の有機溶剤の20℃における表面張力の下限値は、22.0mN/m以上が好ましく、23.0mN/m以上が特に好ましい。(B)成分の有機溶剤のノルマルブチルアセテートの蒸発速度を1.0としたときの蒸発速度は、0.25以下が好ましく、0.22以下が特に好ましい。この蒸発速度の下限値は、0.1以上が好ましく、0.15以上が特に好ましい。
20℃における表面張力が25.0mN/mを超えて、かつノルマルブチルアセテートの蒸発速度を1.0としたときの蒸発速度が0.3以下の有機溶剤のみを用いた場合は、オーバーコートクリヤー塗料組成物の表面張力は低下せず、ベース色塗膜への濡れ性不良は解消されない。
一方、20℃における表面張力が25.0mN/m以下で、かつノルマルブチルアセテートの蒸発速度を1.0としたときの蒸発速度が0.3を超える有機溶剤のみを用いた場合、オーバーコートクリヤー塗料組成物の表面張力は低下するが、用いた有機溶剤の蒸発速度が早く、沸点が低いために、スプレー塗装中や塗装後のセッティング中に有機溶剤が揮発し、オーバーコートクリヤー塗料組成物の表面張力が上昇し、ベース色塗膜への濡れ性は改良されない欠点がある。
(B)成分の有機溶剤の特に好ましい例としては、ジイソブチルケトンが挙げられる。ジイソブチルケトンの20℃における表面張力は、24.6dyne/cmであり、ノルマルブチルアセテートの蒸発速度を1.0としたときの蒸発速度は0.2である。
本発明に使用されるオーバーコートクリヤー塗料組成物における、(A)成分の塗膜形成樹脂と(B)成分の有機溶剤の含有割合は、(A)/(B)の質量比82/18〜62/38の範囲である。
この範囲では、オーバーコートクリヤー塗料組成物の表面張力が低下し、ベース色塗膜への濡れ性が良好で、また、オーバーコートクリヤー塗料組成物のリコート塗装時に下地のオーバーコートクリヤー塗膜にサンディング処理を施さずに、密着するオーバーコートクリヤー塗膜を安定的に形成できる。(A)/(B)の質量比が90/10より大きい場合は、オーバーコートクリヤー塗料組成物の表面張力が低下せず、濡れ性が不良である。(A)/(B)の質量比が50/50より小さい場合は、オーバーコートクリヤー塗料組成物の表面張力が低下し、濡れ性は良好であるが、塗装時の塗料粘度が低下すると同時に溶剤揮発性が低下する。そのため、タレ、たまり等の塗膜欠陥が発生する。
また、(B)成分の有機溶剤の含有割合は、オーバーコートクリヤー塗料組成物の全体量に対して7〜25質量%であり、9〜22質量%が特に好ましい。この範囲では、オーバーコートクリヤー塗料組成物のベース色塗膜への濡れ性がより良好で、また、オーバーコートクリヤー塗料組成物のリコート塗装時に下地のオーバーコートクリヤー塗膜にサンディング処理を施さずに、より密着性の優れたオーバーコートクリヤー塗膜を安定的に形成できる。
本発明に使用されるオーバーコートクリヤー塗料組成物においては、(B)成分の有機溶剤と共に、他の有機溶剤を含有させることができる。
他の有機溶剤としては、芳香族炭化水素系溶剤、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、アルコ−ル系溶剤、エ−テル系溶剤等が使用できる。
好ましい他の有機溶剤としては、例えば、20℃における表面張力が25.0mN/mを超える有機溶剤が挙げられる。
20℃における表面張力が25.0mN/mを超える有機溶剤の例としては、塗料用溶剤として、最も汎用に使用されているキシレンに代表される芳香族炭化水素が挙げられる。キシレンの20℃における表面張力は、28.7mN/mである。
また、他の有機溶剤として、20℃における表面張力が25.0mN/m以下で、かつノルマルブチルアセテートの蒸発速度を1.0としたときの蒸発速度が0.3を超える有機溶剤を用いることができる。この有機溶剤の具体例としては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ノルマルブタノールなどが挙げられる。
本発明に使用されるオーバーコートクリヤー塗料組成物は、必要に応じてその他の着色顔料を微量に配合し、濁りクリヤーにすることができる。着色顔料としては従来から塗料用に常用されているものが用いられ、例えば有機系着色顔料としてはアゾレ−キ系顔料、フタロシアニン顔料、インジゴ系顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、キノフタロン系顔料、ジオキサジン系顔料、キナクリドン系顔料等を挙げることができ、無機系着色顔料としては、二酸化チタン、カーボンブラック、黄色酸化鉄、ベンガラ等が挙げられる。
本発明に用いられるオーバーコートクリヤー塗料組成物は、必要に応じて艶消し剤を配合し、艶消しクリヤーにすることができる。代表的な艶消し剤としては、微粉末シリカが挙げられる。シルカの表面処理としては、無処理、有機処理、無機処理、疎水性処理があり、製造方法としては、湿式ゲル法、乾式ゲル法、湿式沈殿法が挙げられる。また、シリカの1次粒子は、1〜10μmの粒径である。また、もう一つの代表的な艶消し剤としては、ポリメタクリル酸メチル樹脂ビーズ、メタクリル酸メチル−EGDM(エチレングリコールジメタクリレート)共重合樹脂ビーズ、ナイロン樹脂ビーズ等の樹脂ビーズが挙げられる。
本発明に使用されるオーバーコートクリヤー塗料組成物は、必要に応じて各種添加剤などを1種以上配合することができる。添加剤としてはベンゾトリアゾール、蓚酸アニリド系等の紫外線吸収剤、ベンゾフェノ−ル系等の酸化防止剤、シリコ−ン系等のレベリング剤、硬化触媒等が挙げられる。
本発明に使用されるオーバーコートクリヤー塗料組成物は、必要に応じて粘性制御剤を配合することができる。粘性制御剤としては、酸化ポリエチレンを主体としたコロイド状分散体であるポリエチレンワックス、脂肪族アミドの潤滑分散体であるポリアミドワックス、架橋性重合体粒子(マイクロゲル)、有機ベントナイト等が挙げられる。上記の粘性制御剤は、1種単独又は2種以上を組み合わせて配合することができる。
本発明に使用されるオーバーコートクリヤー塗料組成物の塗装は、霧化式塗装機を用い、エアスプレ−方式、静電方式等従来から公知の塗装方法により行うことができる。
本発明に使用されるオーバーコートクリヤー塗料組成物が適応される被塗物の素材種類としては、鉄、アルミニウム、マグネシウム又はこれらの合金を含む金属類、ガラス、コンクリ−ト等の無機材料、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリカ−ボネ−ト樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体樹脂等の樹脂および各種FRPなどのプラスチック材料、木材、紙などが挙げられる。なお、これら被塗物に予め適宜なプライマ−やプレコ−ト処理を施すことは任意である。
これらの被塗物の上にベ−ス色塗料が塗装され、所定の条件で、焼付け・硬化される。ベ−ス色塗料としては、アクリルメラミン硬化型塗料又はアクリルウレタン硬化型塗料が好ましく挙げられる。
また、ベース色塗料において、通常、表面調整剤は樹脂成分100質量部に対して0.1〜5質量部含有される。
また、ベース色塗料は、通常、顔料として金属顔料及び/又は着色顔料が用いられ、顔料は、樹脂成分100質量部に対して1〜80質量部含有される。
ベース色塗膜は、オーバーベークされたとき、特に有効に本発明の効果が発揮される。オーバーベークが、標準焼付け条件よりも焼付け温度で20℃以内、焼付け時間で10分間以内の条件であれば、標準焼付け条件と同じ塗膜の濡れ性、タレ性、リコート性を得ることができる。
本発明においては、オーバーコートクリヤー塗料組成物を、硬化した塗膜上にエアスプレー塗装又は静電塗装するが、形成される塗膜の膜厚は、特に制限ないが、乾燥膜厚で10〜200μmが好ましい。また、塗装された塗膜の焼付け条件は、焼付け温度が80〜200℃の範囲が好ましく、焼付け時間が5分〜1時間の範囲が好ましい。
エアスプレー塗装は、種々のエアスプレー塗装が適用できる。また、静電塗装は、種々の静電塗装が適用できるが、例えば、「リアクトガン」等と言われるエアー静電スプレー塗装、又は通称「μμ(マイクロマイクロ)ベル」、「μ(マイクロ)ベル」、或いは「メタベル」等と言われる回転霧化式の静電塗装機が挙げられる。また、2〜3ステージ塗装が挙げられ、エアー静電スプレー塗装と、回転霧化式の静電塗装機等とを組み合わせた塗装方法等により塗膜を形成することもできる。
エアスプレー又は回転式静電塗装機等を用いる場合、塗装時の塗料粘度は、フォードカップ#4で10〜40秒(20℃)であることが好ましく、より好ましくは10〜20秒(20℃)である。
以下、本発明を実施例および比較例によりさらに具体的に説明する。しかし、本発明の範囲はこれらの例になんら限定されるものではない。なお、各例中、特に断らない限り、部は質量部を表し、%は質量%を表す。
(実施例1)
<オーバーコートクリヤー塗料組成物1の製造>
ハイウレタン6500クリヤ−(*1)57.6部、スミジュ−ルN−75(*2)10部を順次、加えて攪拌する。次に、ジイソブチルケトン(*3)20部を加えて攪拌する。最後にキシレン(*4)22.4部を加えて撹拌して、オーバーコートクリヤー塗料組成物1を調製した。
なお、使用した各成分(*1)〜(*4)の詳細を以下に示す。
(*1)ハイウレタン6500クリヤ−:水酸基を含有するアクリル樹脂系クリヤー塗料、日本油脂BASFコーティング(株)製、加熱残分50%(含有溶剤としてキシレンと、酢酸イソブチルの混合溶剤50%)、商品名。なお、酢酸イソブチルの表面張力は、23.7mN/m、ノルマルブチルアセテートの蒸発速度を1.0としたときの蒸発速度は1.5である。
(*2)スミジュ−ルN−75:ポリイソシアネ−ト化合物、住化バイエルウレタン(株)製、加熱残分75%、(含有溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートとキシレンの混合溶剤25%)、有効NCO基含有率16.5%、商品名。
(*3)ジイソブチルケトン:20℃における表面張力は、24.6mN/m、ノルマルブチルアセテートの蒸発速度を1.0としたときの蒸発速度は0.2である。
(*4)キシレン:20℃における表面張力は、28.7mN/m、ノルマルブチルアセテートの蒸発速度を1.0としたときの蒸発速度は0.7である。
<ベース色試験板の作成>
厚さ0.8mm、70mm×150mmのPB―137Tリン酸亜鉛処理ダル鋼板を用いた。この鋼板上にアクリルメラミン樹脂系白色ソリッド塗料(商品名「ベルコートNo.5100白色」日本油脂BASFコーティングス(株)製)を乾燥膜厚40μmとなるようにエアスプレーで塗装し、塗装板を得た。その塗装板を室温にて10分間放置した後、160℃で30分間焼き付け、試験板を得た。尚、この焼付け条件は、140℃で20分間の標準焼付け条件に対して、焼付け温度で20℃高く、焼付け時間で10分間長いオーバーベークな条件である。
<外観評価用試験板の作成>
ベース色試験板を垂直に支持した。この試験板の上にオーバーコートクリヤー塗料組成物1を乾燥膜厚40μmとなるように塗装時の塗料粘度がフォードカップ#4で15秒(20℃)で、エアスプレー又は回転霧化式静電塗装機で塗装し、それぞれの塗装板を得た。これらの塗装板を垂直のまま、室温にて10分間放置した後、120℃で20分間加熱し、試験板を得た。
<リコート密着性試験板の作成>
ベース色試験板の上にオーバーコートクリヤー塗料組成物1を乾燥膜厚40μmとなるように塗装時の塗料粘度がフォードカップ#4で15秒(20℃)で、エアスプレー又は回転霧化式静電塗装機で塗装し、それぞれの塗装板を得た。それらの塗装板を室温にて10分間放置した後、120℃で20分間加熱し、焼付け塗装板を得た。焼付け塗装板における硬化したオーバーコートクリヤー塗膜に全く何も処理を施さない(サンディング処理なし。ワイピング処理入りなし。ノータッチ)まま、そのオーバーコートクリヤー塗膜上に、オーバーコートクリヤー塗料組成物1を乾燥膜厚40μmとなるように再度、塗装時の塗料粘度がフォードカップ#4で15秒(20℃)で、エアスプレー又は回転霧化式静電塗装機で塗装し、それぞれの塗装板を得た。それらの塗装板を室温にて10分間放置した後、120℃で20分間加熱し、試験板を得た。
(実施例2〜5及び比較例1〜16)
<オーバーコートクリヤー塗料組成物2〜8の製造>
混合物の割合を表1及び表2に示した通りとする以外は、塗料組成物1と同様にオーバーコートクリヤー塗料組成物2〜8を調製した。
なお、使用した各成分の詳細を以下に示す。
(*5)メチルイソブチルケトン:20℃における表面張力は、23.6mN/m、ノルマルブチルアセテートの蒸発速度を1.0としたときの蒸発速度は1.4である。
(*6)n−ブタノール:20℃における表面張力は、24.6mN/m、ノルマルブチルアセテートの蒸発速度を1.0としたときの蒸発速度は0.5である。
(*7)プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート:20℃における表面張力は、26.4mN/m、ノルマルブチルアセテートの蒸発速度を1.0としたときの蒸発速度は0.4である。
<オーバーコートクリヤー塗料組成物9の製造>
ハイウレタン6500クリヤー57.6部、ポリイソシアネ−ト化合物(スミジュ−ルN−75)10部を順次、加えて攪拌する。次に、表面調整剤BYK306(*8)を0.5部加えて攪拌する。次にジイソブチルケトン2部とキシレン39.9部を加えて撹拌し、オーバーコートクリヤー塗料組成物9を調製した。
(*8)BYK306:シリコン系表面調整剤、Byk Chemie社製、商品名。
<オーバーコートクリヤー塗料組成物10の製造>
ハイウレタン6500クリヤー57.6部、ポリイソシアネ−ト化合物(スミジュ−ルN−75)10部を順次、加えて攪拌する。次に、表面調整剤モダフロー(*9)を0.5部加えて攪拌する。次にジイソブチルケトン2部とキシレン39.9部を加えて撹拌し、オーバーコートクリヤー塗料組成物10とした。
(*9)モダフロー:アクリル系表面調整剤、モンサント社製、商品名。
<オーバーコートクリヤー塗料組成物11の製造>
ベルコートHS−1クリヤー(*10)60部に、ジイソブチルケトン20部を加えて撹拌する。次に、キシレン20部を加えて撹拌して、オーバーコートクリヤー塗料組成物11を調製した。
(*10)ベルコートHS−1クリヤー:水酸基を含有するアクリル樹脂と硬化成分としてメラミン樹脂を混合したアクリルメラミン硬化型クリヤー塗料、日本油脂BASFコーティング(株)製、加熱残分60%(含有溶剤としてキシレンと、酢酸イソブチルの混合溶剤50%)、商品名。
<オーバーコートクリヤー塗料組成物12〜19の製造>
混合物の割合を表3及び表4に示した通りとする以外は、塗料組成物11と同様にオーバーコートクリヤー塗料組成物12〜19を調製した。
<オーバーコートクリヤー塗料組成物20の製造>
ベルコートHS−1クリヤー60部に、表面調整剤BYK306を0.5部加えて撹拌する。次に、ジイソブチルケトン2部とキシレン37.5部を加えて撹拌して、オーバーコートクリヤー塗料組成物20を調製した。
<オーバーコートクリヤー塗料組成物21の製造>
ベルコートHS−1クリヤー60部に、表面調整剤モダフローを0.5部加えて撹拌する。次に、ジイソブチルケトン2部とキシレン37.5部を加えて撹拌して、オーバーコートクリヤー塗料組成物21を調製した。
得られたオーバーコートクリヤー塗料組成物2〜21を用いて、実施例1と同様に、各種試験板を作成した。

Figure 0004315001
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Figure 0004315001
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上記実施例及び比較例で得られた各種試験板を用いて、下記の塗膜性能評価方法に従い、塗膜性能の評価を行い、その結果を表5〜表6に示した。
(1)濡れ性
外観評価用試験板を目視し、ハジキ、ドローバックの現象の有無を観察した。試験板の全ての部位(中央部、エッジ部)において、ハジキ、ドローバックの現象が無いものを合格と判定した。
(2)タレ性
外観評価用試験板を目視し、タレ、タマリ現象の有無を観察した。試験板の全ての部位(中央部、エッジ部)において、タレ、タマリ現象が無いものを合格と判定した。
(3)リコート密着性
リコート密着性試験板を用いて、密着性の評価を行った。
密着性は、カッターナイフにて素地に達するようにカット線を入れ、1mm×1mmの正方形100個を描き、その表面にセロハンテープを貼り付け、それを急激に剥離した後の塗面状態を観察し、次に示す基準に従って評価した。碁盤目塗膜の剥離が全く認められないものを合格と判定した。
Figure 0004315001
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本発明のオーバーコートクリヤー塗料組成物の塗装方法及び塗装物品は、自動車塗装分野などの種々の塗装分野に利用できる。

Claims (5)

  1. (A)塗膜形成樹脂と、(B)20℃における表面張力が25.0mN/m以下で、かつノルマルブチルアセテートの蒸発速度を1.0としたときの蒸発速度が0.3以下の有機溶剤とを、(A)/(B)の質量比が82/18〜62/38の範囲で、かつ(B)成分がオーバーコートクリヤー塗料組成物の全体量に対して7〜25質量%の範囲で含有するオーバーコートクリヤー塗料組成物を、標準条件よりも過酷な条件で焼付けることにより硬化したオーバーベークされている塗膜又はオーバーコートクリヤー塗料組成物のリコート塗装時の焼付け、硬化された下地のオーバーコートクリヤー塗膜の塗膜上にエアスプレー塗装又は静電塗装することを特徴とするオーバーコートクリヤー塗料組成物の塗装方法。
  2. (B)成分の有機溶剤が、ジイソブチルケトンである請求項1記載のオーバーコートクリヤー塗料組成物の塗装方法。
  3. 塗膜が、被塗物の上にアクリルメラミン硬化型塗料又はアクリルウレタン硬化型塗料のベース色塗料を塗装して、標準条件よりも過酷な条件で焼付けることにより硬化したオーバーベークされているベース色塗膜である請求項1又は2に記載のオーバーコートクリヤー塗料組成物の塗装方法。
  4. ベース色塗膜が標準条件よりも焼付け温度で20℃以内、焼付け時間で10分間以内の過酷な条件でオーバーベークされている請求項3に記載のオーバーコートクリヤー塗料組成物の塗装方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のオーバーコートクリヤー塗料組成物の塗装方法により得られたことを特徴とする塗装物品。
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