JP4314891B2 - エレベーター装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はエレベーター装置に係り、特に機械室が不要なエレベーター装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のエレベーター装置の例が、特許文献1に記載されている。この公報に記載のエレベーター装置では、エレベーターのかごドアの反対側を報釣合おもりが昇降し、この釣合おもり側の頂部に2本の梁を配設している。そして、シーブ部と一体化したモータの二次側を有する薄型の巻上機を、この梁に設けている。これにより、機械室を省く構造となっている。(第6頁、図1)
また非特許文献1には、比較的巻上機容量が小さいエレベーター装置が閲覧可能に表示されている。この画面に表示されたものにおいては、2本のマシンビーム間に2本のサブビームを渡して、井桁状にマシンベースを形成している。そして、円筒状の巻上機を昇降路頂部に吊り下げて、機械室を省いている。
【特許文献1】
特開平9−156855号公報
【非特許文献1】
”エボリューション▲(R)▼”(Evolution▲(R)▼)”、[online]、ティッセン アウフツークスベルケ(Thyssen Aufzugswerke)、[2003年2月3日検索]、インターネット
<URL:http://www.tim.tu-berlin.de/_webneu/pdf/tk_evolution_161101-9bis23.pdf>
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、乗りかごの速度が120m/minを超えるような高速型のエレベーター装置では、巻上機の容量が数十kWに達する。そのため、特許文献1に記載のエレベーター装置では、昇降路壁面と乗りかご間に形成した空間には、薄形の巻上機を設置することが困難になる。
【0004】
また、非特許文献1に表示されるエレベーター装置では、昇降路頂部に巻上機を設置すると、大容量の巻上機の場合には巻上機の占有スペースが過大になり、エレベーター装置の占有面積が大となる。なお、この非特許文献1に示されるエレベーター装置では、軸受にシーブのオーバーハング荷重が負荷されると、強度上重量の大きな乗りかごを吊り下げることは困難である。また、シーブ軸の支持剛性が低いので、振動を発生し易くエレベーター装置の乗り心地が悪化する。
【0005】
本発明は上記従来技術の不具合に鑑みなされたものであり、その目的は、エレベーター装置において、大重量の乗りかごを用いたときの信頼性及び乗り心地性を向上させることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の特徴は、乗りかごを昇降させるワイヤロープが装架されるシーブを有する巻上機を備えるエレベーター装置において、前記乗りかごの上方に略平行に配置された1対のマシンビームと、このマシンビームに略直交して配置された1対のサブビームと、前記サブビームに保持され前記マシンビームの間に配置され一体形成された軸受ハウジングと、を備え、前記シーブが中間部に取付けられたシーブ軸は、前記軸受ハウジングに保持されたシーブ軸軸受により前記シーブの両側で回転支持されることにより、前記巻上機は前記マシンビームの間に配置されたものである。
【0008】
上記のものにおいて、前記シーブに対して平行に反らせ車を配置し、前記ワイヤロープを前記シーブに巻き掛けた後、前記反らせ車で前記ワイヤロープの方向を変えると共に、前記軸受ハウジングに保持された反らせ車軸軸受により前記反らせ車の両側で回転支持されることが望ましい。
【0009】
さらに上記いずれかの特徴において、シーブに装架するワイヤロープが、樹脂製または樹脂で被覆された鋼製であってもよく、乗りかごの速度が120m/min以上であって240m/min以下であるのが好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のいくつかの実施例を図面を用いて説明する。図1は、本発明に係るエレベーター装置に用いる巻上機部分の一実施例の斜視図である。巻上機27は、駆動電動機1と、この電動機1と同軸に配置されたシーブ軸2とを有している。シーブ軸2の中間部にはシーブ4が取付けられている。シーブ軸2は、シーブ軸軸受3a、3bにより、シーブ4の両側部で回転支持されている。シーブ軸2の軸端部には、ブレーキディスク5が固設されている。このブレーキディスク5に当接可能に、ブレーキ装置6がブレーキディスク5の近傍に配置されている。ブレーキ装置6を動作させると、ブレーキ装置6がブレーキディスク5に当接してシーブ軸2にブレーキ力を発生させ、シーブ軸2の回転を停止させる。
【0011】
巻上機27は、シーブ4と平行に配置した第1反らせ車11を有する。第1反らせ車11もシーブ4と同様に、軸受12a、12bにより両持ち構造で回転支持されている。シーブ4と反らせ車11を支持する軸受3a,3b,12a,12bは、図2に詳細を示す一体化された軸受ハウジング10に保持されている。
【0012】
巻上機27は、エレベーター装置の乗りかごの上方に平行に配置した2本のマシンビーム13、14間に配置される。マシンビーム13、14の上面には、マシンビーム13、14に直交するようにサブビーム28、29が配置されている。サブビーム28、29は、マシンビーム13、14に直交する横はり7a、8aと、この横はり7a、8aを軸受ハウジング10に支持し、横はり7a、8aの長さ方向に複数箇所に配置されたリブ7b、8bとを有している。
【0013】
巻上機27およびマシンビーム13の配置を、図3に示す。図3は、エレベーター装置の正面図である。乗りかご20が昇降する昇降路26の頂部には、巻上機27が配置されている。乗りかご20の上部には、この乗りかご20を昇降させるワイヤロープ17を装架するためのかご上プーリ21が取付けられている。ワイヤロープ17の反対端側にはカウンタウェイトプーリ23が装架されており、カウンタウェイトプーリ23にはカウンターウェイト22が取付けられている。ワイヤロープ17は、樹脂製あるいは樹脂を被覆した鋼製である。
【0014】
ワイヤロープ17の一端は、マシンビーム14上に設けられた第1のロープエンド24に固定されている。ワイヤロープ17の他端は、第1のロープエンド24から離して設けられた第2のロープエンド25に固定されている。ワイヤロープ17は、第1のロープエンド24からかご上プーリ21、シーブ4、第1反らせ車11の順に装架されている。
【0015】
第1反らせ車11と間隔を置いて、第2反らせ車16が配置されている。第2反らせ車16を回転支持する軸受15a、15bを取付けた軸が、マシンビーム13、14に保持されている。第1反らせ車11に装架されたワイヤロープ17は、第2反らせ車12、カウンターウェイト上部のカウンターウェイトプーリ23に順に装架され、第2のロープエンド25に達する。ワイヤロープ17をこのように各プーリ及びシーブに装架したので、駆動電動機1が回転するとワイヤロープ17が駆動され、乗りかご20及びカウンターウェイト22が昇降路26内を上下方向に120m/min以上であって240m/min以下の速度で昇降する。
【0016】
本実施例によれば、乗りかご20及びカウンターウェイト22を吊り下げるワイヤロープ17に、柔軟性の高い樹脂製ロープあるいは樹脂被覆されたロープを使用したので、シーブ4の直径を通常ワイヤ用シーブに対して大幅に小さくしてもワイヤロープ17の寿命が短縮しない。その結果、電動機1に低トルクで高速型のものを用いることができ、巻上機27を大幅に小型化できる。
【0017】
また本実施例によれば、シーブ軸2を支持する複数個の軸受3a,3bをシーブ4を挟んで配置してシーブ軸2を両持ち構造としたので、大荷重を高い剛性で支えることができる。このとき、マシンビーム13、14およびサブビーム7、8は吊り下げ荷重により変形する。ビーム7、8、13、14のたわみにより軸受3a,3bのアライメントに狂いが生じないように、シーブ4を支持する2つの軸受3a,3bのハウジング10を一体的に形成した。このように軸受ハウジングを一体形成したので、現地で軸受3a,3bのアライメントを調整する必要がない。また、軸受ハウジング10がサブビーム7,8を補強しているので、巻上機27の剛性がさらに向上する。
【0018】
昇降路26の頂部で巻上機27が占有するスペースを縮小するため、マシンビーム13、14と昇降路26の頂部との間に形成される隙間が小さい。ワイヤロープ17のシーブ4への巻き掛け角度は所定角度以上必要であるから、第1反らせ車11をシーブ4に平行に配置して、小さな隙間に対応させている。すなわち、ワイヤロープ17をシーブ4に一旦巻き掛け、第1反らせ車11でワイヤロープ17の方向を変えている。それから、第2反らせ車16へと巻き掛けて、シーブ4へのワイヤロープ17巻き掛け角度を確保している。それとともに、巻上機27の設置スペース高さを抑制している。
【0019】
シーブ4と第1反らせ車11との間には、両者を分離させる力が発生するが、シーブ4と第1反らせ車11を支持する軸受3a,3bの軸受ハウジング10が一体的に形成されているので、分離力は軸受ハウジング10の内力となる。したがって、マシンビーム13、14やサブビーム7、8には、分離力が作用しない。
【0020】
高速型エレベーターの巻上機は容量が大きいので、クレーンで機械室に搬入して設置するのが通例である。本実施例によれば、低トルク型の電動機1を使用できるので、巻上機27の質量を小さくでき、巻上機27を昇降路26を経由して搬入することができる。このとき、昇降路26の無駄なスペースを削減するために、巻上機27の設置スペースの高さ方向寸法を小さくしている。そのため、巻上機27をマシンビーム13、14よりも高く吊り上げることが困難である。
【0021】
本実施例ではこの不具合を解消するために、サブビーム7、8と巻上機27とを分離可能な構造にしている。サブビーム7、8と巻上機27とを別々に昇降路26の頂部まで吊り上げ、その後昇降路26の頂部で組み立てることにより、巻上機27をマシンビーム13、14より高くまで吊り上げなくとも組み立てることができる。
【0022】
本発明に係るエレベーター装置の他の実施例を、図4にしめす。図4は、エレベーター装置の正面図である。本実施例が図3に示した実施例と相違するのは、シーブ4をカウンターウェイト22の上方近傍に配置するとともに、乗りかご20の上部に2個の乗りかご上プーリ21a,21bを配置して第1、第2反らせ車を省いたことにある。ワイヤロープ17は、第1のロープエンド24から順にかご上プーリ21a、21b、シーブ4、カウンターウェイトプーリ23に装架されて第2のロープエンド25へと導かれている。
【0023】
本実施例によれば、かご上プーリは1個増えるものの、反らせ車が2個とも不要になり、製造コストが低減される。また、ロープの屈曲回数が減少するので、ロープが長寿命化する。さらに、ロープの掛け代えが容易になる。
【0024】
本発明に係るエレベーター装置のさらに他の実施例を、図5に示す。図5は、エレベーター装置の正面図である。本実施例が図3に示した実施例と相違するのは、かご上プーリ及びカウンターウェイトプーリを省いてワイヤロープ17の端部が接続される第1、第2の固定金具27、28を乗りかご20及びカウンターウェイト22の上面部に設けたことにある。ワイヤロープ17の一端を乗りかご20上の第1の固定金具27に固定し、シーブ4、第1反らせ車11、第2反らせ車16の順に装架し、カウンターウェイト上の第2の固定金具28に他端を固定する。
【0025】
図4に示した実施例では2:1ローピングであるのに対し、本実施例では1:1ローピングにしている。巻上機27や第1、第2反らせ車11、16には、図4に示した実施例のものの約2倍の荷重が作用する。しかしながら、ワイヤロープ17の長さが約半分で済み、ワイヤロープ17のばね定数が大きくなるので、より長い揚程まで対応できる。
【0026】
本発明に係るエレベーター装置のさらに他の実施例を、図6に示す。図6は、エレベーター装置に用いる巻上機部の斜視図である。本実施例が図1に示した実施例と相違するのは、マシンビーム13、14を軸受ハウジングに兼用したことにある。マシンビーム13、14を軸受ハウジングとしても使用するので、マシンビーム13、14の相対位置が変化しないように、サブビーム18、19をマシンビーム13、14に略直交するように溶接する。
【0027】
巻上機のシーブ4と第1反らせ車11を、マシンビーム13、14とサブビーム18、19に囲まれた空間内に配置し、電動機1とブレーキディスク5とを、空間の外に配置する。本実施例によれば、マシンビーム13、14とサブビーム18、19とを巻上機27と一体化しているので、軸受ハウジングとマシンビームとの兼用が可能になり、製造コストを削減することができる。
【0028】
【発明の効果】
本発明によれば、エレベーター装置においてマシンビームとサブビーム間にシーブ軸を保持する軸受ハウジングを配置するか、またはマシンビームが軸受ハウジングを兼用しているので、重量が大きな乗りかごを高い剛性で吊り下げることができ、エレベーター装置の信頼性及び乗り心地性を向上できる。また、大容量の小形巻上機を有する機械室のない高速型のエレベーター装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るエレベーター装置の一実施例の斜視図である。
【図2】図1に示したエレベーター装置に用いる軸受ハウジングの斜視図である。
【図3】図1に示したエレベーター装置の正面図である。
【図4】本発明に係るエレベーター装置の他の実施例の正面図である。
【図5】本発明に係るエレベーター装置のさらに他の実施例の正面図である。
【図6】本発明に係るエレベーター装置のさらに他の実施例の斜視図である。
【符号の説明】
1…駆動電動機、2…シーブ軸、3a,3b…シーブ軸軸受、4…シーブ、5…ブレーキディスク、6…ブレーキ装置、7…サブビーム、7a…横はり、7b…リブ、8…サブビーム、8a…横はり、8b…リブ、10…軸受ハウジング、11…第1反らせ車、12a,12b…第1反らせ車軸軸受、13…マシンビーム、14…マシンビーム、15a,15b…第2反らせ車軸軸受、16…第2反らせ車、17…ワイヤロープ、18…サブビーム、19…サブビーム、20…乗りかご、21,21a,21b…かご上プーリ、22…カウンターウェイト、23…カウンターウェイトプーリ、24…第1のロープエンド、25…第2のロープエンド、26…昇降路、27…第1のロープ固定金具、28…第2のロープ固定金具。
Claims (4)
- 乗りかごを昇降させるワイヤロープが装架されるシーブを有する巻上機を備えるエレベーター装置において、前記乗りかごの上方に略平行に配置された1対のマシンビームと、このマシンビームに略直交して配置された1対のサブビームと、前記サブビームに保持され前記マシンビームの間に配置され一体形成された軸受ハウジングと、を備え、前記シーブが中間部に取付けられたシーブ軸は、前記軸受ハウジングに保持されたシーブ軸軸受により前記シーブの両側で回転支持されることにより、前記巻上機は前記マシンビームの間に配置されたことを特徴とするエレベーター装置。
- 請求項1に記載のものにおいて、前記シーブに対して平行に反らせ車を配置し、前記ワイヤロープを前記シーブに巻き掛けた後、前記反らせ車で前記ワイヤロープの方向を変えると共に、前記軸受ハウジングに保持された反らせ車軸軸受により前記反らせ車の両側で回転支持されることを特徴とするエレベーター装置。
- 請求項1に記載のものにおいて、前記ワイヤロープは樹脂製または樹脂で被覆された鋼製であることを特徴とするエレベーター装置。
- 請求項1に記載のものにおいて、前記乗りかごの速度が、120m/min以上であって240m/min以下であることを特徴とするエレベーター装置。
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