JP4313887B2 - 二成分系現像剤及びそれを用いた画像形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真、静電記録、静電印刷に用いられる静電荷像を現像するためのトナー及びキャリアを有する二成分系現像剤及び二成分系現像剤を用いる画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
昨今のパーソナル・ユーザーを対象としたコンピューター機器の普及に伴い、映像による情報伝達機構として、フルカラーによる映像コミュニケーションが幅広く浸透しつつある。この様な状況下で、出力機器の一つであるプリンターや複写機においても低級機市場を中心にフルカラー化が急速に進んでおり、一般ユーザーにおいてもカラー画像がより身近なものとなりつつある。
【0003】
この様なフルカラーによる出力機器としては一般的に、電子写真方式、熱転写方式、インクリボン方式、インクジェット方式といった数多くの方式がある。一般に電子写真方式は、光導電性物質を用いた感光体上に電気的潜像を形成し、次いで該潜像をトナーを用いて現像し、必要に応じて紙の如き転写材にトナー画像を転写した後、加熱、加圧、加熱加圧或いは溶剤蒸気の如き定着手段により定着し、カラー画像を得るものである。
【0004】
フルカラーの場合は、色材の3原色であるイエロー、マゼンタ、シアンの3色のトナー又はそれに黒色トナーを加えた4色のトナーを用いて色の再現を行うものである。例えば、原稿からの光をトナーの色と補色の関係にある色分解光透過フィルターを通して光導電層上にマゼンタ用の静電潜像を形成する(潜像形成工程)。次いでマゼンタトナーを用いて現像工程、及び転写工程を経てカラートナーは支持体に保持される。次いで、シアントナー、イエロートナー及びブラックトナーについても、前述の工程を順次複数回行い、レジストレーションを合わせつつ、同一支持体上にカラートナーは重ね合わされ、定着によって最終のフルカラー画像が得られる。
【0005】
一般にトナーは、キャリアと混合する二成分系現像剤に使用される場合には、トナーはキャリアとの摩擦によって所要の帯電量及び帯電極性に帯電され、静電引力を利用して静電荷像を現像するものである。従って、良好な可視画像を得るためには、主としてトナーの摩擦帯電性が良好であることが必要である。
【0006】
上記の様な問題に対して、キャリアコア材及びキャリアコート材の選択、キャリアコート材のコート量の最適化、トナーに加える電荷制御剤及び流動性付与剤の検討、及びトナーの母体となるバインダーの改良の如き現像剤を構成する材料において優れた摩擦帯電性を達成すべく多くの研究がなされている。近年、複写機及びプリンターの如き画像形成装置の高精細、高画質化の要求が市場では高まっており、当該技術分野では、カラートナーの粒径を細かくして高画質カラー化を達成しようという試みがなされている。トナーの粒径が細かくなると単位重量当りの表面積が増え、トナーの帯電量が大きくなる傾向にあり、画像濃度薄や耐久劣化が発生しやすくなる。加えて、トナーの帯電量が大きいために、トナー粒子同士の付着力が強く、流動性が低下し、トナー補給の安定性や補給トナーへのトリボ付与に問題が生じやすい。
【0007】
さらに、カラートナーの場合は、磁性体やカーボンブラックの如き黒色の導電性物質を含まないので、帯電をリークする部分がなく一般に帯電量が大きくなる傾向にある。この傾向は、特に負帯電性能の高いポリエステル系バインダーを使用した時に、より顕著である。
【0008】
特にカラートナーにおいては、下記(1)〜(3)に示すような特性が強く望まれている。
【0009】
(1)定着したカラー画像は、光に対して乱反射して、色再現を防げることのないように、トナー粒子の形が判別出来ないほどのほぼ完全溶融に近い状態となることが重要である。
【0010】
(2)カラートナーは、表層のカラートナー層の下にある異なった色調のカラートナー層の色調を妨げない透明性を有することが重要である。
【0011】
(3)各カラートナーは、バランスのとれた色相及び分光反射特性と十分な彩度を有していることが重要である。
【0012】
このような観点から多くの結着樹脂に関する検討がなされており、上記の特性を満足するカラートナーが待望されている。今日当該技術分野においてはポリエステル系樹脂がカラートナー用結着樹脂として多く用いられているが、ポリエステル系樹脂を有するカラートナーは一般に温湿度の影響を受け易く、低湿下での帯電量過大、高湿下での帯電量不足といった問題が起こりやすく、広範な環境においても安定した帯電量を有するカラートナーの開発が待望されている。
【0013】
トナーに電荷を保有せしめるためには、トナーの成分である樹脂の摩擦帯電性を利用することも出来るが、この方法ではトナーの帯電が安定しないので、濃度の立ち上がりが遅く、カブリ易い。そこで、所望の摩擦帯電性をトナーに付与するために帯電制御剤を添加することが行われている。
【0014】
今日、当該技術分野で知られている帯電制御剤としては、負摩擦帯電性帯電制御剤として、モノアゾ染料の金属錯塩、ヒドロキシカルボン酸、ジカルボン酸、芳香族ジオール等の金属錯塩、酸成分を含む樹脂等が知られている。正摩擦帯電性帯電制御剤として、ニグロシン染料、アジン染料、トリフェニルメタン系染顔料、4級アンモニウム塩、4級アンモニウム塩を側鎖に有するポリマー等が知られている。
【0015】
しかしながら、これらの帯電制御剤のほとんどは、有色でありカラートナーには使えないものが多い。そして、カラートナーに適用可能な、無色、白色あるいは淡色のものは、性能的に不十分なものがほとんどである。それらはハイライトの均一性が得られなかったり、耐久試験での画像濃度の変動が大きい等の欠点を有する。
【0016】
この他、改善すべき点として、画像濃度とカブリのバランスが取りにくい、高湿環境で、十分な画像濃度を得にくい、樹脂への分散性が悪い、保存安定性、定着性、耐オフセット性に悪影響を与えるという点が挙げられる。
【0017】
従来、芳香族カルボン酸類の金属錯体、金属塩は特開昭53−127726号公報、特開昭57−111541号公報、特開昭57−124357号公報、特開昭57−104940号公報、特開昭61−69073号公報、特開昭61−73963号公報、特開昭61−267058号公報、特開昭62−105156号公報、特開昭62−145255号公報、特開昭62−163061号公報、特開昭63−208865号公報、特開平3−276166号公報、特開平4−84141号公報、特開平8−160668号公報に提案されている。しかしながら、これらの公報に提案されているのは、摩擦帯電付与という観点からはいずれも優れたものであるが、簡易な現像器構成で環境変動、経時、使用状況に関わらず、安定した現像性の得られるものは少ない。また、高速機において長期耐久時おいても安定した現像性が得られるものも少ない。更に、他の原材料の影響があり、他の原材料への制約が発生するものも多い。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、低湿下で使用しても、高湿下で使用しても高い画像品質が安定して得られ、経時において画像欠陥を生じない二成分系現像剤及びそれを用いた画像形成方法を提供することにある。
【0019】
本発明の目的は、カブリのない鮮明な画像特性を有し、且つ耐久安定性に優れた二成分系現像剤及びそれを用いた画像形成方法を提供することにある。
【0020】
本発明の目的は、流動性に優れ、且つ現像忠実性と転写性に優れた二成分系現像剤及びそれを用いた画像形成方法を提供することにある。
【0021】
本発明の目的は、温湿度の如き環境変動に左右されにくく、つねに安定した摩擦帯電性を有する二成分系現像剤及びそれを用いた画像形成方法を提供することにある。
【0022】
本発明の目的は、クリーニング性が良好であり、感光体へのフィルミング、または汚染の少ない二成分系現像剤及びそれを用いた画像形成方法を提供することにある。
【0023】
本発明の目的は、定着性に優れ、OHP透明性にも優れた二成分系現像剤及びそれを用いた画像形成方法を提供することにある。
【0024】
本発明の目的は退色しにくく、耐光性に優れている二成分系現像剤及びそれを用いた画像形成方法を提供することにある。
【0025】
【課題を解決するための手段】
本発明は、負帯電性トナー及び樹脂コートキャリアを有する二成分系現像剤において、
該トナーは、少なくとも結着樹脂、着色剤及び有機金属化合物を有しており、
該トナーの重量平均粒径(D 4 )が4.0〜12.0μmであり、
該結着樹脂は、ポリエステル樹脂を有し、
該ポリエステル樹脂の酸価が2.0乃至40.0mgKOH/gであって、
該有機金属化合物は、ジルコニウムと、芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸からなるグループから選択される芳香族化合物とが配位又は/及び結合している有機ジルコニウム化合物であり、
該トナーは、外添剤として平均一次粒子径が0.001〜0.2μmの疎水化処理された無機微粉体を有しており、
該無機微粉体が、酸化チタン微粉体又はアルミナ微粉体を有し、
該樹脂コートキャリアは、キャリアコア粒子及び該キャリアコア粒子表面を被覆する少なくとも樹脂を有する被覆材を有し、且つ、20〜70μmの50%粒径を有しており、
該被覆材は、シリコーン樹脂、スチレン系樹脂及びアクリル系樹脂からなるグループから選択される1種以上の樹脂を有していることを特徴とする二成分系現像剤に関する。
【0026】
さらに本発明は、(I)静電潜像を担持するための像担持体を帯電する帯電工程;
(II) 帯電された像担持体に静電潜像を形成する潜像形成工程;
(III)該像担持体の静電潜像を、負帯電性トナー及び樹脂コートキャリアを有する二成分系現像剤の負帯電性トナーにより現像して、トナー画像を形成する現像工程;及び
(IV) 該潜像担持体上に形成されたトナー画像を中間転写体を介して、又は、介さずに転写材に転写する転写工程;
を少なくとも有する画像形成方法において、
該トナーは、少なくとも結着樹脂、着色剤及び有機金属化合物を有しており、
該トナーの重量平均粒径(D 4 )が4.0〜12.0μmであり、
該結着樹脂は、ポリエステル樹脂を有し、
該ポリエステル樹脂の酸価が2.0乃至40.0mgKOH/gであって、
該有機金属化合物は、ジルコニウムと、芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸からなるグループから選択される芳香族化合物とが配位又は/及び結合している有機ジルコニウム化合物であり、
該トナーは、外添剤として平均一次粒子径が0.001〜0.2μmの疎水化処理された無機微粉体を有しており、
該無機微粉体が、酸化チタン微粉体又はアルミナ微粉体を有し、
該樹脂コートキャリアは、キャリアコア粒子及び該キャリアコア粒子表面を被覆する少なくとも樹脂を有する被覆材を有し、且つ、20〜70μmの50%粒径を有しており、
該被覆材は、シリコーン樹脂、スチレン系樹脂及びアクリル系樹脂からなるグループから選択される1種以上の樹脂を有していることを特徴とする画像形成方法に関する。
【0027】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、芳香族ジオール、芳香族モノカルボン酸、芳香族ポリカルボン酸又は/及び芳香族ヒドロキシカルボン酸とジルコニウム化合物とが反応した有機ジルコニウム化合物(例えば、有機ジルコニウム錯化合物又は有機ジルコニウム塩)を用いることにより、帯電の立ち上がりの良さを保持しつつ、高湿環境においても高い帯電量が得られ、低湿環境においても帯電過剰となることのないトナー得ることができることを見い出した。また、本発明で使用する有機ジルコニウム化合物は透明性に優れ、カラートナーにとっても、鮮明な色彩画像が得られるので好ましい。本発明の有機ジルコニウム化合物は、ジルコニウム元素基準でハフニウム元素を20wt%未満で含んでいても良い。
【0028】
有機ジルコニウム化合物としては、
(i)金属元素としてジルコニウムを有し、配位子として芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシカルボン酸又は芳香族ポリカルボン酸を配位しているジルコニウム錯体;
(ii)金属元素としてジルコニウムを有し、配位子として芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシカルボン酸又は芳香族ポリカルボン酸を配位しているジルコニウム錯塩;又は
(iii)金属イオンとしてジルコニウムイオンを有し、酸イオンとして芳香族カルボン酸イオン、芳香族ヒドロキシカルボン酸イオン又は芳香族ポリカルボン酸イオンを有しているカルボン酸ジルコニウム塩
が挙げられる。
【0029】
配位子として、芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ポリカルボン酸を1〜4個キレート形成しているジルコニウム錯体あるいはジルコニウム錯塩が好ましい。これらジルコニウム錯体又は錯塩に、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族カルボン酸又は芳香族ポリカルボン酸のカルボキシアニオンを1〜6個配位させても良い。
【0030】
有機ジルコニウム塩の場合は、芳香族カルボン酸イオン、芳香族ヒドロキシカルボン酸イオン、芳香族ポリカルボン酸イオンを1〜4個有しているものが好ましく、更には1〜3個有しているものが好ましい。キレート形成数の異なる錯体,錯塩あるいは配位子の異なる錯体,錯塩の混合物であってもよい。或いは、酸イオンの数の異なる塩の混合物であってもよい。
【0031】
さらに、有機ジルコニウム化合物は、有機ジルコニウム錯化合物と有機ジルコニウム塩との混合物であっても良い。
【0032】
有機ジルコニウム化合物は、酸価を有する結着樹脂と共に用いると、トナーの構成成分が保有する水分子の持つ極性を利用し、帯電が強調される効果の寄与を大きいものとすることができる。
【0033】
有機ジルコニウム化合物を使用したトナーは、低湿又は高湿環境での帯電量が十分になるだけでなく、長期の耐久での濃度低下も抑えられる。
【0034】
本発明に使用する有機ジルコニウム化合物は、ジルコニウムイオンが八配位をとりやすくカルボキシル基又は水酸基の酸素を配位又は結合し易い。結着樹脂として官能基にカルボキシル基を有するスチレン系樹脂又はポリエステル系樹脂の如き酸価を有する結着樹脂と用いると、結着樹脂中へのなじみがよく分散性に優れ、トナー粒子中からの脱落を防ぎ、帯電均一化と帯電の耐久安定性が得られる。更には、有機ジルコニウム化合物はトナーの透明性への影響が小さく、鮮やかな色彩を表現するカラートナーを形成するのに好ましいものとなる。結着樹脂のカルボキシル基、水酸基のジルコニウムイオンヘの配位を介し、ポリマー鎖の架橋を施すことができるため、結着樹脂をゴム弾性の大きいものとすることができ、離型性に優れ、定着部材の汚れを効果的に防止できる。従って、THF不溶分を結着樹脂が有する程度に架橋しているのが良い。さらに、トナー製造時の溶融混練時に混練物にシェアをかけることができ、顔料、染料の分散を向上させることができ、着色力の高い、色味の鮮明なトナーとすることができる。
【0035】
本発明に使用される芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシカルボン酸又は芳香族ポリカルボン酸のジルコニウム錯体あるいはジルコニウム錯塩又は有機ジルコニウム塩の如き有機ジルコニウム化合物を以下により具体的に説明する。
【0036】
一般式(l)又は(2)に好ましいジルコニウム錯体あるいは錯塩を示す。
【0037】
【化15】
一般式(1)において、Arは置換基としてアルキル基、アリール基、アルアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、水酸基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基、カルボキシル基、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アミド基又はカルバモイル基を有していてもよい芳香族残基を表わし、X及びYは−O−、−CO−O−を表わし、X及びYは同じであっても異なっていてもよく、Lは中性配位子、水、アルコール、アンモニア、アルキルアミン又はピリジンを表わし、C1は1価のカチオン、水素、1価の金属イオン、アンモニウム又はアルキルアンモニウムを表わし、C2は2価のカチオン又は2価の金属イオンを表し、nは2,3又は4を表わし、mは0,2又は4を表わす。各錯体または各錯塩において配位子となる芳香族カルボン酸類、芳香族ジオール類は同じものであっても異なるものであってもよく、またn又は/及びmの数の異なる錯化合物の混合物であっても良い。対イオンのC1及びC2が異なる錯塩の混合物であっても良い。結着樹脂中への錯体又は錯塩の分散性向上の観点あるいは帯電性向上の観点から、芳香族残基(Ar)としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環又はフェナントレン環が好ましく、置換基としてはアルキル基、カルボキシル基又は水酸基が好ましく、Lとしては水が好ましく、C1としては水素、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、アルキルアンモニウムが好ましい。
【0038】
【化16】
一般式(2)において、Arは置換基としてアルキル基、アリール基、アルアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、水酸基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基、カルボキシル基、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アミド基又はカルバモイル基を有していてもよい芳香族残基を表わし、X及びYは−O−、−CO−O−を表わし、X及びYは同じであっても異なっていてもよく、Lは中性配位子、水、アルコール、アンモニア、アルキルアミン又はピリジンを表わし、Aは、アニオン、ハロゲン、水酸イオン、カルボン酸イオン、炭酸イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、シアンイオン又はチオシアンイオンを表わし、Aは相互に異なるイオンを有していても良く、C1は1価のカチオン、水素、1価の金属イオン、アンモニウム又はアルキルアンモニウムを表わし、C2は2価のカチオン又は2価の金属イオンを表し、nは1,2,3又は4を表わし、kは1,2,3,4,5又は6を表わし、mは0,1,2,3又は4を表わす。各錯体または各錯塩において配位子となるアニオンA、芳香族カルボン酸類及び芳香族ジオール類は同じものであっても異なるものであってもよく、またn又は/及びmの数の異なる錯化合物の混合物であっても良い。対イオンのC1及びC2が異なる錯塩の混合物であっても良い。Aが2価のアニオンの場合に、カウンターイオンの係数kは2倍する。結着樹脂中への錯体又は錯塩の分散性向上の観点あるいは帯電性向上の観点から、芳香族残基(Ar)としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環又はフェナントレン環が好ましく、置換基としてはアルキル基、カルボキシル基又は水酸基が好ましく、Lとしては水が好ましく、C1としては水素、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、アルキルアンモニウムが好ましく、Aとしては水酸イオン又はカルボン酸イオンが好ましい。
【0039】
さらに、好ましいジルコニウム錯体又は錯塩を一般式(3),(4),(5),(6),(7)及び(8)に示す。
【0040】
【化17】
一般式(3),(4)及び(5)において、Rは水素、アルキル基、アリール基、アルアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、水酸基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、カルボキシル基、ハロゲン、ニトロ基、アミノ基又はカルバモイル基を表わし、相互に連結して脂肪族環、芳香環あるいは複素環を形成しても良く、この場合この環に置換基Rを有していても良く、置換基Rを1乃至8個持っていてもよく、それぞれ同じであっても、異なっていてもよく、C1は1価のカチオン、水素、アルカリ金属、アンモニウム又はアルキルアンモニウムを表わし、lは1〜8の整数を表わし、nは2,3又は4を表わし、mは0,2又は4を表わし、各錯体または錯塩において配位子となる芳香族カルボン酸類又は芳香族ジオール類は同じものであっても異なるものであってもよく、またn又は/及びmの数の異なる錯化合物の混合物であっても良い。また、対イオンのC1が異なる錯塩の混合物であっても良い。結着樹脂中への錯体又は錯塩の分散性向上の観点あるいは帯電性向上の観点から、置換基Rとしてはアルキル基、アルケニル基、カルボキシル基又は水酸基が好ましく、C1としては水素、ナトリウム、カリウム、アンモニウム又はアルキルアンモニウムが好ましい。
【0041】
特に好ましいのは、一般式(4)で表わされる錯化合物あるいはカウンターイオンを有さない、一般式(3),(4)又は(5)においてn=2の場合のジルコニウム中性錯体であり、優れた環境安定性が得られ、結着樹脂中への分散性にも優れ、良好な耐久性が得られる。
【0042】
【化18】
一般式(6)、(7)及び(8)において、Rは水素、アルキル基、アリール基、アルアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、水酸基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、カルボキシル基、ハロゲン、ニトロ基、アミノ基又はカルバモイル基を表わし、相互に連結して脂肪族環、芳香環あるいは複素環を形成しても良く、この場合この環に置換基Rを有していても良く、置換基Rを1乃至8個持っていてもよく、それぞれ同じであっても、異なっていてもよく、Aは、アニオン、ハロゲン、水酸イオン、カルボン酸イオン、炭酸イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、シアンイオン又はチオシアンイオンを表わし、Aは相互に異なるイオンを有していても良く、C1は1価のカチオン、水素、1価の金属イオン、アンモニウム又はアルキルアンモニウムを表わし、nは1,2,3又は4を表わし、kは1,2,3,4,5又は6を表わし、mは0,1,2,3又は4を表わす。各錯体または各錯塩において配位子となる芳香族カルボン酸類、芳香族ジオール類は同じものであっても異なるものであってもよく、またn又は/及びmの数の異なる錯化合物の混合物であっても良い。カチオンC1又は/及びアニオンAが異なる2種以上の錯化合物の混合物であっても良い。Aが2価のアニオンの場合に、カウンターイオンの係数kは2倍する。
【0043】
結着樹脂中への錯体又は錯塩の分散性の向上の観点あるいは帯電性向上の観点から、置換基Rとしては、アルキル基、アルケニル基、カルボキシル基、水酸基が好ましく、C1としては水素、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、アルキルアンモニウムが好ましく、Aとしては水酸イオン又はカルボン酸イオンが好ましい。
【0044】
特に好ましいのは、一般式(7)で表わされる錯化合物あるいは、カウンターイオンを有さない、一般式においてn=2の場合のジルコニウム中性錯体であり、優れた環境安定性が得られ、結着樹脂中への分散性にも優れ、良好な耐久性が得られる。
【0045】
本発明に用いられるジルコニウム錯体あるいは錯塩は、六配位または八配位の錯化合物で、八配位の中には、配位子が橋かけした複核錯化合物となり示性式上六配位となる錯化合物があり、また、水酸基などの配位子が橋かけし、次々と錯化合物を重合した複核錯化合物などもある。
【0046】
このような錯化合物の構造の代表的なものを、以下の一般化学式(9)〜(29)でその構造を例示する。以下の構造の中には配位子Lを持たないものも包含する。
【0047】
【化19】
【0048】
【化20】
【0049】
【化21】
【0050】
【化22】
【0051】
【化23】
【0052】
芳香族環の水酸基又はカルボキシル基が異なるジルコニウムに配位した構造を有する錯化合物であってもよく、例えば部分構造として式(30)に示されるものである。
【0053】
【化24】
【0054】
具体的構造では式(31)で表わされる。
【0055】
【化25】
【0056】
ここで、pは1以上の整数を表わし、qは2以上の整数を表わし、式(31)ではアニオン配位子、中性配位子及び対カチオンは省略してある。
【0057】
本発明に使用される好ましい芳香族カルボン酸のジルコニウム塩を一般式(32)及び(33)に示す。
【0058】
【化26】
一般式(32)及び(33)において、Arは置換基としてアルキル基、アリール基、アルアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、水酸基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、カルボキシル基、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アミド基又はカルバモイル基を有していてもよい芳香族残基を表わし、A1は1価のアニオン、ハロゲンイオン、水酸イオン、硝酸イオン又はカルボン酸イオンを表わし、A2は2価のアニオン、硫酸イオン、リン酸水素イオン又は炭酸イオンを表わし、nは1,2,3又は4を表わす。各金属塩においてアニオンA1、アニオンA2、酸イオンとなる芳香族カルボン酸類及び芳香族ヒドロキシカルボン酸は同じものであっても異なるものであってもよい。また、nの数が異なる塩の混合物であっても良い。結着樹脂中への金属塩の分散性向上の観点あるいは帯電性向上の観点から、芳香族残基としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環又はフェナントレン環が好ましく、置換基としてはアルキル基、カルボキシル基、水酸基又はアシルオキシ基が好ましい。
【0059】
更に好ましい金属塩は一般式(34)及び(35)で表わせるジルコニウム塩である。
【0060】
【化27】
一般式(34)及び(35)において、Rは水素、アルキル基、アリール基、アルアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、水酸基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシル基、カルボキシル基、ハロゲン、ニトロ基、アミノ基、アミド基又はカルバモイル基を表わし、相互に連結して脂肪族環、芳香環あるいは複素環を形成しても良く、この場合この環に置換基Rを有していても良く、置換基Rを1乃至8個持っていてもよく、それぞれ同じであっても、異なっていてもよく、A1は1価のアニオン、ハロゲンイオン、水酸イオン、硝酸イオン又はカルボン酸イオンを表わし、A2は2価のアニオン、硫酸イオン、リン酸水素イオン又は炭酸イオンを表し、lは1〜8の整数を表わし、nは1、2、3又は4を表わす。各金属塩においてアニオンA1、アニオンA2及び酸イオンとなる芳香族カルボン酸類は同じものであっても異なるものであってもよい。また、nの数が異なる塩の混合物であっても良い。結着樹脂中への金属塩の分散性向上の観点あるいは帯電性向上の観点から、置換基としてはアルキル基、アルケニル基、カルボキシル基、水酸基又はアシルオキシ基が好ましく、優れた環境安定性が得られ、結着樹脂中への分散性にも優れ、優れた耐久性が得られる。
【0061】
更に好ましい金属塩は一般式(36)及び(37)で表わせるジルコニウム塩である。
【0062】
【化28】
一般式(36)及び(37)において、Rは水素、アルキル基、アリール基、アルアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、水酸基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシル基、カルボキシル基、ハロゲン、ニトロ基、アミノ基、アミド基又はカルバモイル基を表わし、相互に連結して脂肪族環、芳香環あるいは複素環を形成しても良く、この場合この環に置換基Rを有していても良く、置換基Rは1から8個持っていてもよく、それぞれ同じであっても、異なっていてもよく、A1は1価のアニオン、ハロゲンイオン、水酸イオン、硝酸イオン又はカルボン酸イオンを表わし、A2は2価のアニオン、硫酸イオン、リン酸水素イオン又は炭酸イオンを表し、lは1〜7の整数を表わし、nは1,2,3又は4を表わす。各金属塩においてアニオンA1、アニオンA2及び酸イオンとなる芳香族カルボン酸類は同じものであっても異なるものであってもよい。また、nの数が異なる塩の混合物であっても良い。結着樹脂中への金属塩の分散性向上の観点あるいは帯電性向上の観点から、置換基としてはアルキル基、アルケニル基、カルボキシル基、水酸基又はアシルオキシ基が好ましく、優れた環境安定性が得られ、結着樹脂中への分散性にも優れ、優れた耐久性が得られる。
【0063】
本発明の有機ジルコニウム化合物は、塩化酸化ジルコニウム、硫酸ジルコニウム、有機酸ジルコニウムなどのジルコニウム化合物を水、アルコール、アルコール水溶液に溶解し、芳香族カルボン酸、芳香族ジオールおよびこれらのアルカリ金属塩を添加するか、あるいは芳香族カルボン酸、芳香族ジオールとアルカリ剤を添加することにより合成される。これらの有機ジルコニウム化合物は、アルコール水溶液などで再結晶し、アルコール洗浄で精製する。また、錯塩の場合は、生成物を鉱酸、アルカリ剤、アミン剤で処理することにより種々のカウンターイオンを持つ錯塩が得られる。本発明においては、ジルコニウム錯塩のカウンターイオンに水素イオン、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオンなど複数種有しているものも含む。
【0064】
以下に、本発明に用いられる有機ジルコニウム化合物の具体例を挙げるが、ここでは、示性式を示す。水分子を2〜4個配位しているものも含まれるが、ここでは水分子の記載を省略する。また、カウンターイオンは複数種有するものも含むが、ここでは一番多いカウンターイオンのみを記載する。
【0065】
【化29】
【0066】
【化30】
【0067】
【化31】
【0068】
【化32】
【0069】
【化33】
【0070】
【化34】
【0071】
【化35】
【0072】
【化36】
【0073】
【化37】
【0074】
【化38】
【0075】
【化39】
【0076】
【化40】
【0077】
【化41】
【0078】
【化42】
【0079】
【化43】
【0080】
【化44】
【0081】
【化45】
【0082】
【化46】
【0083】
【化47】
【0084】
【化48】
【0085】
【化49】
【0086】
【化50】
【0087】
【化51】
【0088】
【化52】
【0089】
【化53】
【0090】
【化54】
【0091】
【化55】
【0092】
【化56】
【0093】
本発明に使用する有機ジルコニウム化合物をトナーに添加する方法としては、トナー粒子の内部に添加する方法とトナー粒子に外添する方法がある。トナー粒子に内添する場合の好ましい添加量としては結着樹脂100重量部に対して0.1〜10重量部、より好ましくは、0.5〜5重量部の範囲で用いられる。また、トナー粒子に外添する場合は、0.01〜5重量部が好ましく、特にメカノケミカル的にトナー粒子表面に固着させるのが好ましい。本発明においては、トナー粒子に内添することが好ましい。
【0094】
本発明に使用する有機ジルコニウム化合物は、従来の技術で述べたような公知の電荷制御剤と組み合わせて使用することもできる。例えば、他の電荷制御剤として有機金属錯体、金属塩又はキレート化合物が挙げられる。具体的には、モノアゾ金属錯体、アセチルアセトン金属錯体、ヒドロキシカルボン酸金属錯体、ポリカルボン酸金属錯体、ポリオール金属錯体などがあげられる。そのほかには、カルボン酸の金属塩、カルボン酸無水物、エステル類などのカルボン酸誘導体や芳香族系化合物の縮合体などもあげられる。またビスフェノール類、カリックスアレーンの如きフェノール誘導体が挙げられる。
【0095】
本発明に使用される結着樹脂の種類としては、スチレン系樹脂、スチレン系共重合樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオール樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、フェノール樹脂、天然変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニール、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、石油系樹脂が挙げられる。
【0096】
本発明において、結着樹脂としては、ポリエステル樹脂を用いることが好ましい。ポリエステル樹脂は、トナーの結着樹脂として用いた場合に、定着性に優れ、カラートナー用に適している。しかしながら、ポリエステル樹脂は、負帯電能が強く、帯電が過大になりやすい。さらに高温高湿環境下では、帯電量が低下しやすい等々の技術課題があるが、上述した通り、特定の有機ジルコニウム化合物を使用することにより、その技術課題は改善され、優れたカラートナーが得られる。
【0097】
ポリエステル樹脂に用いられる2価のアルコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、下記式(A)で表わされるビスフェノール及びその誘導体、及び下記式(B)で示されるジオール類が挙げられる。
【0098】
【化57】
(式中、Rはエチレンまたはプロピレン基であり、x,yはそれぞれ0以上の整数であり、かつ、x+yの平均値は0〜10である。)
【0099】
【化58】
であり、x′,y′は0以上の整数であり、かつ、x′+y′の平均値は0〜10である。)
【0100】
2価の酸成分としては、例えばフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸の如きベンゼンジカルボン酸類、その無水物又はその低級アルキルエステル;こはく酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸のアルキルジカルボン酸類、その無水物又はその低級アルキルエステル;n−ドデセニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸の如きアルケニルもしくはアルキルコハク酸類、その無水物又はその低級アルキルエステル;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸の如き不飽和ジカルボン酸類、その無水物又はその低級アルキルエステルの如きジカルボン酸類及びその誘導体が挙げられる。なお、本発明において、「低級アルキル」とは炭素数8以下のアルキルを言う。
【0101】
ポリエステルの合成には、2価のアルコール成分及び2価の酸成分に加えて、架橋成分としても働く3価以上のアルコール成分及び/又は3価以上の酸成分を併用することが好ましい。
【0102】
3価以上の多価アルコール成分としては、例えばソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン及び1,3,5−トリヒドロキシベンゼンが挙げられる。
【0103】
3価以上の多価カルボン酸成分としては、例えばトリメリット酸、ピロメリット酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、エンポール三量体酸、下記式(C)表わされるテトラカルボン酸、これらの無水物及びこれらの低級アルキルエステルの如き多価カルボン酸類及びその誘導体が挙げられる。
【0104】
【化59】
(式中、Xは炭素数1以上の側鎖を1個以上有する炭素数1〜30のアルキレン基又はアルケニレン基を示す。)
【0105】
本発明において、ポリエステル樹脂の合成に用いられるアルコール成分としては40〜60mol%、好ましくは45〜55mol%、酸成分としては60〜40mol%、好ましくは55〜45mol%であることが好ましい。
【0106】
3価以上のアルコール成分及び酸成分の如き多価の成分は、全成分中の1〜60mol%であることも好ましい。
【0107】
ポリエステル樹脂は、通常一般に知られている縮重合によって得られる。
【0108】
本発明において、ポリエステル樹脂は、酸価が2.0乃至50.0mgKOH/g、好ましくは3.0乃至40.0mgKOH/g、さらに好ましくは5.0乃至30.0mgKOH/gであると、各環境において優れた帯電安定性が得られるので好ましい。
【0109】
ポリエステル樹脂の酸価が2.0mgKOH/gより小さい場合には、トナーはチャージアップ傾向を示し、低温低湿環境下で画像濃度薄を起こしやすい。さらに、有機ジルコニウム化合物の樹脂への分散性が低下しトナー粒子間同士での帯電量に違いが生じやすくなり、長期の耐久で若干カブリが発生しやすくなる。
【0110】
ポリエステル樹脂の酸価が50.0mgKOH/gより大きい場合には、トナーの帯電の経時安定性が低下し、耐久とともに帯電量が低下しやすい。特に高温高湿環境下ではトナー飛散、カブリといった画像欠陥が生じやすくなる。
【0111】
本発明において、カラートナーの保存性と定着性さらには他のカラートナーとの混色性を考慮した場合、ポリエステル樹脂のガラス転移温度は50〜70℃、好ましくは52〜68℃であることが良い。
【0112】
ポリエステル樹脂のガラス転移温度が50℃未満の場合には、定着性には優れるものの、耐オフセット性が低下し、定着ローラーへの汚染や定着ローラーへの巻き付きが発生し好ましくない。さらに定着後の画像表面のグロスが高くなりすぎてしまい画像品位が低下して好ましくない。
【0113】
ポリエステル樹脂のガラス転移温度が70℃よりも高い場合には、定着性が悪化し、複写機本体の設定定着温度を上げざるを得ず、得られた画像は一般にグロスが低く、フルカラートナー用としては混色性が低下する。
【0114】
本発明に用いられるポリエステル樹脂は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によって測定される分子量分布において、数平均分子量(Mn)が好ましくは1,500〜50,000、より好ましくは2,000〜20,000であり、重量平均分子量(Mw)が好ましくは6,000〜100,000、より好ましくは10,000〜90,000であり、Mw/Mnが好ましくは2〜8であることが良い。上記条件を満足しているポリエステル樹脂は熱定着性が良好で、着色剤の分散性が向上し、カラートナーの帯電量の変動が少なくなり、画像品質の信頼性が向上する。
【0115】
ポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)が1,500未満の場合又は重量平均分子量(Mw)が6,000未満の場合には、いずれも定着画像表面の平滑性は高く見た感じの鮮やかさはあるものの、耐久においてオフセットが発生しやすくなり、また、耐保存安定性が低下し、現像器内でのトナー融着及びキャリア表面にトナー成分が付着するトナースペントの発生といった新たな問題も懸念される。さらに、カラートナー粒子の製造時のトナー原料の溶融混練時にシェアーがかかり難く、有彩色の着色剤の分散性が低下し易く、よってトナーの着色力の低下やトナーの帯電量の変動が生じ易い。
【0116】
ポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)が50,000を超える場合又は重量平均分子量(Mw)が100,000を超える場合には、いずれも、耐オフセット性に優れるものの、定着設定温度を高くせざるを得ないし、また、仮に着色剤の分散の程度をコントロールできたとしても、画像部での表面平滑性が低下してしまい、色再現性が低下し易くなってしまう。
【0117】
ポリエステル樹脂のMw/Mnが2未満の場合には、一般に得られるポリエステル樹脂は、分子量自体が小さくなることから、前述の分子量が小さい場合と同様に耐久によるオフセット現象、耐保存安定性の低下、現像器内でのトナー融着及びキャリアのトナースペントが生じ易くなり、またトナーの帯電量のばらつきが生じ易い。
【0118】
ポリエステル樹脂のMw/Mnが8を超える場合には、耐オフセット性に優れるものの、定着設定温度を高くせざるを得ないし、また、仮に着色剤の分散の程度をコントロールできたとしても、画像部での表面平滑性が低下してしまい、色再現性が低下し易くなってしまう。
【0119】
本発明においては、トナーに用いられる着色剤として、特に有彩色の着色剤を用いてカラートナーとすることが好ましい。この有彩色の着色剤としては、従来公知の着色剤が適用できる。シアントナーは、銅フタロシアニン系の有機顔料を含有しており、マゼンタトナーは、キナクリドン系の有機顔料を含有しており、イエロートナーは、ジアリーリド(diarylide)系の有機顔料を含有している場合、良好な帯電性、良好なトナーの流動性、及び良好な分光反射特性が得られるので好ましい。
【0120】
銅フタロシアニン系の有機顔料としては、C.I.ピグメントブルー15,15:1,15:2,15:3及び15:4が挙げられる。さらに式(a)で示される構造を有するフタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1〜5個置換したフタロシアニン顔料が挙げられる。他の置換基のついた銅フタロシアニン系の顔料であっても良い。
【0121】
【化60】
【0122】
その含有量としては、結着樹脂100重量部に対して、好ましくは0.1〜12重量部、より好ましくは0.5〜10重量部、さらに好ましくは1〜8重量部が良い。12重量部を上回るとシアントナーの彩度、明度が低下し、色再現能力が低下する。
【0123】
キナクリドン系の有機顔料としては、C.I.ピグメントレッド122;C.I.ピグメントレッド192,202,206,207,209;及びC.I.ピグメントバイオレット19が好ましい。C.I.ピグメントレッド122をベース顔料として、他の着色剤と併用しても良い。その際用いられる他の着色剤としての顔料としては、C.I.ピグメントレッド1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,21,22,23,30,31,32,37,38,39,40,41,48,49,50,51,52,53,54,55,57,58,60,63,64,68,81,83,87,88,89,90,112,114,123,146,150,163,184,185,238;C.I.ピグメントバイオレット19;C.I.バットレッド1,2,10,13,15,23,29,35が挙げられる。さらに他の着色剤として、キサンテン系染料に代表される様な染料を一部併用しても良い。
【0124】
その含有量は結着樹脂100重量部に対して、0.1〜15重量部であり、好ましくは1〜12重量部、より好ましくは1〜10重量部である。他の染顔料と併用する場合であっても、他の染顔料は、キナクリドン系顔料100重量部に対して50重量部以下、好ましくは25重量部以下が良い。
【0125】
ジアリーリド系の有機顔料としては、C.I.ピグメントイエロー12,13,14,17,81,106,113が好ましく、さらに、C.I.ピグメントイエロー55,63,83,87,90,114,121,124,126,127,136,152,170,171,172,174,176,188であっても良い。
【0126】
さらに、C.I.ピグメントイエロー12,13,14,17,81をベース顔料として、他のイエロー着色剤と併用しても良く、イエロー系の染料と一部併用しても特に何ら構ない。
【0127】
その含有量は、結着樹脂100重量部に対して0.1〜12重量部であり、好ましくは0.5〜10重量部、より好ましくは1〜8重量部が良い。
【0128】
本発明のトナーにおいては、必要に応じて、滑剤としての脂肪酸金属塩(例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミ)、フッ素含有重合体微粉末(例えばポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド及びテトラフルオロエチレン−ビニリデンフルオライド共重合体の微粉末)、或いは、酸化スズ及び酸化亜鉛の如き導電性付与剤を添加しても良い。
【0129】
更に、本発明において、トナーは、離型剤を含有しても良い。例えば、脂肪族炭化水素系ワックス、脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物、エステルワックス、脂肪酸エステルを主成分とするワックス類、飽和直鎖脂肪酸類、不飽和脂肪酸類、飽和アルコール類、多価アルコール類、脂肪酸アミド類、飽和脂肪酸ビスアミド類、不飽和脂肪酸アミド類、芳香族系ビスアミド類が挙げられる。
【0130】
トナーにおける離型剤の含有量としては、結着樹脂100重量部に対し、好ましくは0.1〜20重量部、より好ましくは0.5〜10重量部が良い。
【0131】
離型剤の含有量が20重量部を超える場合には、耐ブロッキング性や耐高温オフセット性が低下しやすく、0.1重量部よりも少ない場合には、離型効果が少ない。
【0132】
これらの離型剤は、通常、結着樹脂を溶剤に溶解し、樹脂溶液温度を上げ、攪拌しながら離型剤を添加混合する方法又は、結着樹脂及び着色剤を少なくとも含有するトナー構成材料の混練時に離型剤を混合する方法により、結着樹脂に含有されるのが好ましい。
【0133】
トナーの製造にあたっては、熱ロール、ニーダー、エクストルーダーの如き熱混練機によってトナー構成材料を良く混練した後、機械的に粉砕し、粉砕粉を分級してトナーを得る方法;又は結着樹脂溶液中に着色剤の如き他のトナー構成材料を分散した後、噴霧乾燥することにより得る方法;が適用できる。
【0134】
本発明において、トナーの重量平均粒径(D4)は、3.0〜15.0μm、好ましくは4.0〜12.0μmが良い。
【0135】
トナーの重量平均粒径(D4)が3.0μm未満の場合には、帯電安定化が達成しづらくなり、耐久において、カブリやトナー飛散が発生しやすくなる。
【0136】
トナーの重量平均粒径(D4)が15.0μmを超える場合には、ハーフトーン部の再現性が大きく低下し、得られた画像はガサついた画像になってしまう。
【0137】
本発明に係るトナーにおいては、流動性向上剤としての機能を有する平均一次粒子径が0.001〜0.2μmの疎水化処理された無機微粉体を外添剤として有している。無機微粉体としては、例えば、ケイ酸微粉体、アルミナ微粉体、酸化チタン微粉体、酸化ジルコニウム微粉体、酸化マグネシウム微粉体、酸化亜鉛の如き金属酸化物の微粉体;チッ化ホウ素微粉体、チッ化アルミニウム微粉体、チッ化炭素微粉体の如きチッ化物;さらにチタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウムが挙げられる。
【0138】
上記の無機微粉体においては、トナーの流動性を高めるばかりでなく、トナーの帯電性を阻害しないことも重要な因子となる。
【0139】
よって本発明のトナーにおいては、外部添加剤が表面疎水化処理されていることが必須であり、流動性の付与と帯電の安定化を同時に満足し得ることが可能となる。
【0140】
すなわち疎水化処理されていることにより、帯電量を左右する因子である水分の影響を除外し、高湿下及び低湿下での帯電量の格差を低減することで環境特性を向上させることが可能になる点と、製造工程の中で疎水化処理を入れることで一次粒子の凝集を防ぐことが可能となり、トナーに均一な帯電付与を行うことが可能になる。
【0141】
本発明においては、特に平均一次粒子径が0.001〜0.2μmの酸化チタン微粉体又はアルミナ微粉体が、流動性が良好で負荷電性トナーの帯電が均一となり、結果としてトナー飛散、カブリが生じにくくなるので好ましい。さらに、トナー粒子表面に埋め込まれにくくなりトナー劣化が生じにくく、多数枚耐久性が向上する。この傾向は、シャープメルト性のカラートナーにおいて、より顕著である。
【0142】
酸化チタン微粉体及びアルミナ微粉体が好ましいのは、シリカ微粉体がそれ自身強いネガ帯電性であるのに対して、酸化チタン微粉体又はアルミナ微粉体は、ほぼ中性の帯電性であり、疎水化処理の程度によっては、目的とする帯電のレベルにコントロールできることからである。
【0143】
本発明に用いられる疎水化処理剤としては、表面改質の目的、たとえば帯電特性のコントロール、さらには高湿下での帯電の安定化および反応性に応じて適宜選択すれば良い。例えばアルキルアルコキシシラン,シロキサン,シラン,シリコーンオイルの如きシラン系有機化合物であり、反応処理温度にて、それ自体が熱分解しないものが良い。
【0144】
特に好ましいものとしては、カップリング剤等の揮発性を有し、疎水性基及び反応性に富んだ結合基の双方を有している下記一般式で示されるアルキルアルコキシシランを用いるのが良い。
【0145】
RmSiYn
[式中、Rはアルコキシ基を示し、mは1〜3の整数を示し、Yはアルキル基,ビニル基,グリシドキシ基,メタクリル基の如き炭化水素基を示し、nは、1〜3の整数を示す]
【0146】
例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン及びn−オクタデシルトリメトキシシランを挙げることができる。
【0147】
より好ましくは、式CaH2a+1−Si−(OCbH2b+1)3[式中、aは4〜12の整数を示し、bは1〜3の整数を示す]で示されるアルキルアルコキシシラン化合物が良い。
【0148】
ここで一般式におけるaが4より小さいと、処理は容易となるが良好な疎水性が得られにくい。aが13より大きいと疎水性は十分になるが、微粉体同士の合一が多くなり流動性付与能が低下してしまう傾向を示す。
【0149】
bは3より大きいと反応性が低下して良好な疎水化が得られにくい。
【0150】
したがって本発明において、aは好ましくは4〜12、より好ましくは4〜8であり、bは好ましくは1〜3、より好ましくは1〜2が良い。
【0151】
その処理量は、酸化チタン微粉体もしくはアルミナ微粉体100重量部に対して1〜50重量部、好ましくは3〜45重量部とし、疎水化度を30〜90%、好ましくは40〜80%にすれば良い。
【0152】
すなわち、疎水化度は30%より小さいと、高湿下での長期放置による帯電量低下が大きく、ハード側での帯電促進の機構が必要となり、装置の複雑化は避けられない。疎水化度が90%を超えると、酸化チタン微粉体もしくはアルミナ微粉体自身の帯電コントロールが難しくなり、結果として低湿下でトナーがチャージアップしやすく好ましくない。
【0153】
さらに本発明における酸化チタン微粉体もしくはアルミナ微粉体は、流動性付与の点から平均一次粒子径は、好ましくは0.001〜0.2μm、より好ましくは0.005〜0.1μmが良い。
【0154】
平均一次粒子径が0.2μmより大きいと、流動性が低下し、トナーの帯電が不均一となりやすく、結果として、トナーの飛散,カブリ等が生じやすく、高画質な画像を生成しにくくなる。平均一次粒子径が0.001μmより小さいと、着色剤含有樹脂粒子表面に処理アルミナ微粉体が埋め込まれやすくなり、トナー劣化が早く生じやすく、耐久性が低下しやすい。この傾向はシャープメルト性のカラートナーに適用した場合、より顕著である。平均一次粒子径が0.001μmより小さいと、どうしても無機微粉体そのものの活性が高く、粒子同士が凝集しやすくなり、目的とする高流動性が得られにくくなる。
【0155】
本発明において、酸化チタン微粉体もしくはアルミナ微粉体の処理方法は、溶液中で微粉体を機械的に一次粒径となるように分散しながら、カップリング剤を加水分解させて処理する方法が効果的であるが、特に何ら限定するものではない。気相法にて処理しても特に何ら問題はない。
【0156】
本発明に好適な処理酸化チタン微粉体もしくは処理アルミナ微粉体の含有量は、トナー粒子100重量部に対して0.2〜5.0重量部、好ましくは0.3〜3.0重量部、より好ましくは0.5〜2.5重量部である。
【0157】
処理量が0.2重量部より少ないと、トナーの流動性が低下しやすく、5重量部より多い時には、無機微粉体がトナー粒子から離脱しやすい。離脱した処理無機微粉体は、キャリア表面を汚染しやすくキャリア自身の帯電付与能を低下させたりして好ましくなく、また遊離した処理微粉体は現像時に感光体表面上に飛びやすく、クリーニング不良の原因にもなりやすい。さらにカラートナーとして用いる場合、処理無機微粉体が多く含有されていると、OHPの投影像にかげりが生じ、鮮明なものが得られなくなってしまう。
【0158】
さらに本発明においては、処理無機微粉体のBET比表面積が100m2/g以上、好ましくは130m2/g以上であることが好ましい。
【0159】
BET比表面積が100m2/gより小さい場合、高流動性が得られにくい。さらに、処理前の未処理の段階では非常に高いBET比表面積値を示していたにもかかわらず、疎水化処理の工程で大きくBET比表面積値を低下させてしまい、結果的にBET比表面積が100m2/gより小さくなってしまったものは、無機微粉体が溶液中で均一に分散されずに凝集体になったまま処理剤と反応してしまったケースや、もしくは処理剤自体が自己縮合し、一部オイル状となって無機微粉体または無機微粉体の凝集体表面に付着してしまったケースがこれに相当し、目的とする均一表面処理無機微粉体が得られにくい。
【0160】
本発明の二成分系現像剤に使用される樹脂コートキャリアとしては、キャリアコアの表面を少なくとも樹脂を含有する被覆材でコートしたものである。このキャリアコアとしては、例えば表面酸化または未酸化の鉄、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、クロム及び希土類の如き磁性金属、それらの磁性合金、それらの磁性酸化物及びそれらの磁性フェライトからなるグループから選択される磁性粒子が挙げられる。
【0161】
特に好ましいキャリアコアの形態としては、Cu,Zn及びFe成分を主成分とするCu−Zn−Fe系フェライト、Mn,Mg及びFe成分を主成分とするMn−Mg−Fe系フェライトが挙げられる。
【0162】
さらには、樹脂中に磁性粉が分散されたバインダー型のキャリアコアも用いることができる。
【0163】
この樹脂コートキャリアにおいて、キャリアコアの表面を少なくとも樹脂を有する被覆材で被覆する方法としては、被覆材を溶剤中に溶解もしくは懸濁せしめて塗布しキャリアコアに付着せしめる方法、あるいは単に粉体状態で混合する方法が適用できる。
【0164】
キャリアコアの被覆材としては、ポリテトラフルオロエチレン、モノクロロトリフルオロエチレン重合体、ポリフッ化ビニリデン、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド、ポリビニルブチラール、アミノアクリレート樹脂が挙げられる。これらは、単独或は複数で用いるのが適当である。
【0165】
これらの中でもスチレン−メタクリル酸メチル共重合体、含フッ素樹脂とスチレン系共重合体との混合物及びシリコーン樹脂が好ましく用いられ、特に、シリコーン樹脂は、本発明で用いているカラートナーの負帯電安定性、環境安定性、キャリアにトナー汚染が生じにくい点で優れており好ましい。
【0166】
含フッ素樹脂とスチレン系共重合体との混合物としては、例えば、ポリフッ化ビニリデンとスチレン−メタクリル酸メチル共重合体との混合物、ポリテトラフルオロエチレンとスチレン−メタクリル酸メチル共重合体との混合物、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体(共重合重量比10:90〜90:10)とスチレン−アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体(共重合重量比20:80〜80:20)との混合物、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン(共重合重量比10:90〜90:10)とスチレン−アクリル酸2−エチルヘキシル−メタクリル酸メチル共重合体(共重合重量比20〜60:5〜30:10:50)との混合物が挙げられる。
【0167】
シリコーン樹脂としては、含窒素シリコーン樹脂、及び含窒素シランカップリング剤とシリコーン樹脂とが反応することにより生成された変性シリコーン樹脂が挙げられる。
【0168】
上記材料の処理量は、適宜決定すれば良いが、樹脂コートキャリアに対し好ましくは0.01〜5重量%、より好ましくは0.1〜1重量%が良い。
【0169】
本発明に用いられる樹脂コートキャリアは、50%粒径が20〜70μmであることが良い。
【0170】
キャリアの50%粒径が20μm未満の場合には、二成分系現像剤のパッキングが強まり、トナーとキャリアとの混合性が低下し、トナーの帯電性が安定しにくくなり、さらにキャリアの感光体ドラム表面への付着が生じやすくなる。
【0171】
キャリアの50%粒径が70μmを超える場合には、トナーとの接触機会が減ることから、低帯電量のトナーが混在し、カブリが発生しやすくなる。さらにトナー飛散が生じやすい傾向にあるため二成分系現像剤中のトナー濃度の設定を低めにする必要があり、高画像濃度の画像形成ができなくなることがある。
【0172】
本発明に用いられるトナーは、前述の如く、特定の有機ジルコニウム化合物を含有していることで、帯電の立ち上がりの良さを保持しつつ、高湿環境においても高い帯電量が得られ、低湿環境においても帯電過剰となることがないことから、上記の50%粒径が20〜70μmの樹脂コートキャリアと組み合わせて二成分系現像剤とした場合に、特に効果的である。
【0173】
すなわち、50%粒径が70μm以下の小さい樹脂コートキャリアは、トナーとの接触機会が増え各トナーに対して均一に帯電させることができるものの、キャリアは、現像器中でストレスを受けやすく、耐久と共に徐々にトナーによって汚染される傾向にある。その結果、長期耐久によって、トナーの帯電量低下や帯電量分布のブロード化が起り、飛散及びカブリが生じ易くなるという、キャリアの粒径に基づく特有の問題点を有している。
【0174】
しかしながら、本発明で用いている上述した特定の有機ジルコニウム化合物を有するトナーにおいては、耐久によるキャリアに対するトナーの汚染の発生がほとんど生じず、長期の耐久によって初期と同様な高い帯電量と帯電の立ち上がりの良さを維持することができる。
【0175】
上記磁性コートキャリアは粒径分布がシャープな場合、本発明のトナーに対し好ましい摩擦帯電性が得られ、さらに電子写真特性を向上させる効果がある。
【0176】
トナーとキャリアとを混合して二成分系現像剤を調製する場合、その混合比率は現像剤中のトナー濃度として、2重量%〜15重量%、好ましくは3重量%〜13重量%、より好ましくは4重量%〜10重量%にすると良好な結果が得られる。トナー濃度が2重量%未満では画像濃度が低くなりやすく、15重量%を超える場合ではカブリや機内飛散が生じやすく、現像剤の耐用寿命が短くなる傾向にある。
【0177】
次に、本発明の二成分系現像剤を適用した画像形成方法として電子写真法によりフルカラー画像を形成する方法を図1を参照しながら説明する。
【0178】
図1は、電子写真法によりフルカラーの画像を形成するための画像形成装置の一例を示す概略構成図である。図1の画像形成装置は、フルカラー複写機又フルカラープリンタとして使用される。フルカラー複写機の場合は、図1に示すように、上部にデジタルカラー画像リーダ部、下部にデジタルカラー画像プリンタ部を有する。
【0179】
画像リーダ部において、原稿30を原稿台ガラス31上に載せ、露光ランプ32により露光走査することにより、原稿30からの反射光像をレンズ33によりフルカラーセンサ34に集光し、カラー色分解画像信号を得る。カラー色分解画像信号は、増幅回路(図示せず)を経てビデオ処理ユニット(図示せず)にて処理を施され、デジタル画像プリンタ部に送出される。
【0180】
画像プリンタ部において、像担持体である感光ドラム1は、たとえば有機光導電体を有する感光層を有し、矢印方向に回転自在に担持されている。感光ドラム1の回りには、前露光ランプ11、コロナ帯電器2、レーザ露光光学系3、電位センサ12、色の異なる4個の現像器4Y、4C、4M、4B、ドラム上光量検知手段13、転写装置5およびクリーニング器6が配置されている。
【0181】
レーザ露光光学系において、リーダ部からの画像信号は、レーザ出力部(図示せず)にてイメージスキャン露光の光信号に変換され、変換されたレーザ光がポリゴンミラー3aで反射され、レンズ3bおよびミラー3cを介して、感光ドラム1の面上に投影される。
【0182】
プリンタ部は、画像形成時、感光ドラム1を矢印方向に回転させ、前露光ランプ11で除電した後に感光ドラム1を帯電器2により一様にマイナス帯電させて、各分解色ごとに光像Eを照射し、感光ドラム1上に静電荷像を形成する。
【0183】
次に、所定の現像器を作動させて感光ドラム1上の静電荷像を現像し、感光ドラム1上にトナーによるトナー画像を形成する。現像器4Y、4C、4M、4Bは、それぞれの偏心カム24Y、24C、24M、24Bの動作により、各分解色に応じて択一的に感光ドラム1に接近して、現像を行なう。
【0184】
転写装置は、転写ドラム5a、転写帯電器5b、記録材を静電吸着するための吸着帯電器5cおよびこれと対向する吸着ローラ5g、そして内側帯電器5d、外側帯電器5e、分解帯電器5hを有している。転写ドラム5aは、回転駆動可能に軸支され、その周面の開口域に転写材を担持する転写材担持体である転写シート5fが、円筒上に一体的に調節されている。転写シート5fにはポリカーボネートフィルムの如き樹脂フィルムが使用される。
【0185】
転写材はカセット7a、7bまたは7cから転写シート搬送系を通って転写ドラム5aに搬送され、転写ドラム5a上に担持される。転写ドラム5a上に担持された転写材は、転写ドラム5aの回転にともない感光ドラム1と対向した転写位置に繰り返し搬送され、転写位置を通過する過程で転写帯電器5bの作用により、転写材上に感光ドラム1上のトナー画像が転写される。
【0186】
トナー画像は、図1に示す如く、感光体から中間転写体を介さずに直接転写材へ転写されても良く、また、感光体上のトナー画像を中間転写体へ転写(一次転写)し、中間転写体からトナー画像を転写材へ転写(二次転写)しても良い。
【0187】
上記の画像形成工程を、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(B)について繰り返し、転写ドラム5上の転写材上に4色のトナー画像を重ねたカラー画像が得られる。
【0188】
このようにして4色のトナー画像が転写された転写材は、分離爪8a、分離押上げコロ8bおよび分離帯電器5hの作用により、転写ドラム5aから分離して加熱加圧定着器9に送られ、そこで加熱加圧定着することによりトナーの混色、発色および転写材への固定が行なわれて、フルカラーの定着画像とされたのちトレイ10に排紙され、フルカラー画像の形成が終了する。他方、感光ドラム1は、表面の残留トナーをクリーニング器6で清掃して除去された後、再度、画像形成工程に供せられる。クリーニング部材としては、ブレード以外にファーブラシ又は不織布、あるいはそれらの併用等を用いてもよい。
【0189】
転写ドラム5aに対しては、転写シート5fを介して対向された電極ローラ14とファーブラシ15、およびオイル除去ローラ16とバックアップブラシ17が設置されており、転写ドラム5aの転写シート5f上の付着粉体や、転写シート5f上の付着オイルを除去するために、清掃が行なわれる。このような清掃は、画像形成の前または後に行ない、また、ジャム、つまり紙詰まり発生時には随時行なう。
【0190】
所望のタイミングで偏心カム25を動作させ、転写ドラム5aと一体化している29カムフォロワ5iを作動させることにより、転写シート5fと感光ドラム1との間のギャップを任意に設定可能な構成としている。たとえば、スタンバイ中、または電源オフ時には転写ドラム5aと感光ドラム1の間隔を離すことができる。
【0191】
上記画像形成装置によって、フルカラー画像が形成される。上記画像形成装置においては、単色モード又は多色モードによって、単色の定着画像又は多色の定着画像を形成することができる。
【0192】
上記の画像形成装置における現像装置4の構成について図2を用いて詳細に説明する。
【0193】
現像装置4は、現像容器46を有しており、現像容器46の内部は、隔壁47によって現像室(第1室)R1と撹拌室(第2室)R2とに区画され、撹拌室R2の上方には隔壁47を隔ててトナー貯蔵室R3が形成されている。現像室R1及び撹拌室R2内には二成分系現像剤49が収容されており、トナー貯蔵室R3内には補給用トナー(非磁性トナー)48が収容されている。なお、トナー貯蔵室R3には補給口40が設けられ、補給口40を経て消費されたトナーに見合った量の補給用トナー48が撹拌室R2内に落下補給される。
【0194】
この補給用トナー48の撹拌室R2内への補給は、現像室R1内に設けられている光ATR検知部材50によって現像室R1内の二成分系現像剤49のトナー濃度が所定の濃度よりも低下したことを検知した場合に行なわれる。この光ATR検知部材50は、現像室R1内の現像剤49と接触する位置に設けられており、接触する面には、透光性を有する材料による検知窓が設けられていて、この検知窓を通して照明し、現像剤49からの反射光量によって現像剤49のトナー濃度を検知するようになっている。
【0195】
現像室R1内には搬送スクリュー43が設けられており、この搬送スクリュー43の回転駆動によって現像室R1内の現像剤49は、現像スリーブ41の長手方向に向けて搬送される。同様に、貯蔵室R2内には搬送スクリュー44が設けられ、搬送スクリュー44の回転によって、補給口40から撹拌室R2内に落下した補給用トナー48を現像スリーブ41の長手方向に沿って搬送する。
【0196】
現像剤49は、非磁性トナーと磁性キャリアとを有した二成分系現像剤である。
【0197】
現像容器46の感光ドラム1に近接する部位には開口部が設けられ、該開口部から現像スリーブ41が外部に突出し、現像スリーブ41と感光ドラム1との間には間隙が設けられている。非磁性材にて形成される現像スリーブ41には、バイアスを印加するためのバイアス印加手段53が配置されている。
【0198】
現像時に、バイアス印加手段から印加するバイアス電圧は、直流電圧或いは直流電圧に交流電圧を重畳したものを用いることができるが、ハーフトーンのドット均一性が高まることから、直流電圧に交流電圧を重畳したものが好ましい。
【0199】
さらに、交流電圧は、非連続の交流成分であることが、ハーフトーンのドット均一性を高めることができることに加えて、現像性を高めることができ、且つキャリア付着を抑制することができることから好ましい。
【0200】
現像時に、直流電圧に交流電圧を重畳したバイアス電圧を印加して現像を行なう場合には、二成分系現像剤による磁気ブラシに微細な振動が付与されることから、多数枚耐久によってキャリア表面にトナーによる汚染が生じ易い傾向にあるが、本発明においては、上述した特定の有機ジルコニウム化合物を有するトナーを用いていることから、耐久によるキャリアに対するトナーの汚染の発生がほとんど生じず、多数枚耐久後まで良好な現像を行なうことができる。
【0201】
好ましいバイアス電圧としては、直流電圧が100〜1,200V、好ましくは200〜1,000Vであることが良く、交流電圧は、波形が矩形波又はパルス波であり、周波数が500〜24,000Hz、好ましくは1,000〜20,000Hzであり、交流成分のピーク−ピーク(Vpp)が500〜3,000、好ましくは800〜2,500Vであることが良い。これらの交流電圧は、非連続の交流成分(すなわち、所定の波数毎にブランク部を有する交流成分)であることが好ましい。
【0202】
現像スリーブ41内に固定された磁界発生手段としてのマグネットローラ、即ち磁石42は、上述したように、現像磁極S2とその下流に位置する磁極N2と、現像剤49を搬送するための磁極N3、S1、N1とを有する。磁石42は、現像磁極S2が感光ドラム1に対向するように現像スリーブ41内に配置されている。現像磁極S2は、現像スリーブ41と感光ドラム1との間の現像部の近傍に磁界を形成し、該磁界によって磁気ブラシが形成される。
【0203】
現像スリーブ41の上方に配置され、現像スリーブ41上の現像剤49の層厚を規制する規制ブレード45は、磁性材料で作製される磁性ブレード45の端部と現像スリーブ41面との距離は300〜1000μm、好ましくは400〜900μmである。この距離が300μmより小さいと、磁性キャリアがこの間に詰まり現像剤層にムラを生じやすいと共に、良好な現像を行うのに必要な現像剤を塗布することが出来ず、濃度の薄いムラの多い現像画像しか得られないという問題点がある。現像剤中に混在している不用粒子による不均一塗布(いわゆるブレードづまり)を防止するためには400μm以上が好ましい。1000μmより大きいと現像スリーブ41上へ塗布される現像剤量が増加し所定の現像剤層厚の規制が行えず、感光ドラム1への磁性キャリア粒子の付着が多くなると共に現像剤の循環,磁性ブレード45による現像規制が弱まりトナーのトリボが不足しカブリやすくなるという問題点がある。
【0204】
この磁性キャリア粒子層は、スリーブ41が矢印方向に回転駆動されても磁気力,重力に基づく拘束力とスリーブ41の移動方向への搬送力との釣合によってスリーブ表面から離れるに従って動きが遅くなる。もちろん重力の影響により落下するものもある。
【0205】
従って磁極N1とN2の配設位置と磁性キャリア粒子の流動性及び磁気特性を適宜選択する事により磁性キャリア粒子層はスリーブに近い程磁極N1方向に搬送し移動層を形成する。この磁性キャリア粒子の移動により現像スリーブ41の回転に伴なって現像領域へ現像剤は搬送され現像に供される。51は、上流側トナー飛散抑制部であり、52は下流側トナー飛散抑制部であり、この上流側トナー飛散抑制部51及び下流側トナー飛散抑制部52によってトナー飛散の発生を抑えている。
【0206】
次に、各物性の測定方法について以下に説明する。
【0207】
トナーの粒度分布の測定
測定装置としては、コールターカウンターTA−II或いはコールターマルチサイザー(コールター社製)を用いる。電解液は、1級塩化ナトリウムを用いて、約1%NaCl水溶液を調製する。例えば、ISOTON R−II(コールターサイエンティフィックジャパン社製)が使用できる。測定方法としては、前記電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩)を、0.1〜5ml加え、更に測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い、前記測定装置により、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、トナー粒子の体積及び個数各チャンネルごとに測定して、トナーの体積分布と個数分布とを算出する。それから、トナー粒子の体積分布から求めた重量基準のトナーの重量平均粒径(D4)(各チャンネルの中央値をチャンネル毎の代表値とする)を求める。
【0208】
チャンネルとしては、2.00〜2.52μm;2.52〜3.17μm;3.17〜4.00μm;4.00〜5.04μm;5.04〜6.35μm;6.35〜8.00μm;8.00〜10.08μm;10.08〜12.70μm;12.70〜16.00μm;16.00〜20.20μm;20.20〜25.40μm;25.40〜32.00μm;32.00〜40.30μmの13チャンネルを用いる。
【0209】
ポリエステル樹脂のガラス転移温度の測定方法
本発明においては、示差熱分析測定装置(DSC測定装置)、DSC−7(パーキンエルマー社製)を用い測定する。
【0210】
測定試料は5〜20mg、好ましくは10mgを精密に秤量する。
【0211】
これをアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを用い、測定温度範囲30℃〜200℃の間で、昇温速度10℃/minで常温常湿下で測定を行う。
【0212】
この昇温過程で、温度40〜100℃の範囲におけるメインピークの吸熱ピークが得られる。
【0213】
このとき、吸熱ピークが出る前と出た後でのベースラインの中間点の線と示差熱曲線との交点を、本発明におけるガラス転移温度Tgとする。
【0214】
ポリエステル樹脂の分子量の測定方法
ポリエステル樹脂のMn、Mw及びMw/Mnはゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定する。40℃のヒートチャンバ中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに、溶媒としてテトラハイドロフラン(THF)を毎分1mlの流速で流し、THF試料溶液を約100μl注入して測定する。試料の分子量測定にあたっては、試料の有する分子量分布を、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数との関係から算出する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、例えば、東ソー社製あるいは、昭和電工社製の分子量が102〜107程度のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。検出器にはR1(屈折率)検出器を用いる。カラムとしては、市販のポリスチレンジェルカラムを複数本組み合わて使用するのが良い。
【0215】
例えば、昭和電工社製のShodex GPC KF−801,802,803,804,805,806,807,800Pの組み合わせや、東ソー社製のTSKgelG1000H(HXL)、G2000H(HXL)、G3000H(HXL)、G4000H(HXL)、G5000H(HXL)、G6000H(HXL)、G7000H(HXL)、TSKguardcolumnの組み合わせを挙げることができる。
【0216】
試料は以下のようにして作製する。
【0217】
試料をTHF中に入れ、数時間放置した後、十分振とうしTHFと良く混ぜ(試料の合一体がなくなるまで)、更に12時間以上静置する。このときTHF中への放置時間が24時間以上となるようにする。その後、サンプル処理フィルター(ポアサイズ0.45〜0.5μm、例えば、マイショリディスクH−25−5 東ソー社製、エキクロディスク25CR、ゲルマン サイエンス ジャパン社製などが使用できる)を通過させたものを、GPCの試料とする。試料濃度は、樹脂成分が0.5〜5mg/mlとなるように調整する。
【0218】
酸価の測定方法
サンプル2〜10gを200〜300mlの三角フラスコに秤量し、メタノール:トルエン=30:70の混合溶媒約50mlを加えて樹脂を溶解する。溶解性が悪いようであれば少量のアセトンを加えてもよい。0.1%のブロムチモールブルーとフェノールレッドの混合指示薬を用い、あらかじめ標定されたN/10苛性カリ〜アルコール溶液で滴定し、アルコールカリ液の消費量から次の計算で酸価を求める。
【0219】
酸価=KOH(ml数)×N×56.1/試料重量
(ただしNはN/10KOHのファクター)
【0220】
トナーの摩擦帯電量の測定方法
図3は摩擦帯電量を測定する装置の説明図である。底に500メッシュのスクリーン63のある金属製の測定容器62に、複写機又はプリンターの現像スリーブ上から採取した二成分系現像剤を約0.5〜1.5g入れ金属製のフタ64をする。この時の測定容器62全体の重量を秤りW1(g)とする。次に吸引機61(測定容器62と接する部分は少なくとも絶縁体)において、吸引口67から吸引し風量調節弁66を調整して真空計65の圧力を250mmAqとする。この状態で充分、好ましくは2分間吸引を行いトナーを吸引除去する。この時の電位計69の電位をV(ボルト)とする。ここで68はコンデンサーであり容量をC(mF)とする。また、吸引後の測定容器全体の重量を秤りW2(g)とする。この試料の摩擦帯電量(mC/kg)は下式の如く算出される。
【0221】
試料の摩擦帯電量(mC/kg)=C×V/(W1−W2)
(但し、測定条件は23℃,60%RHとする。)
【0222】
無機微粉体の平均一次粒子径の測定方法
トナー粒子に外添する前の無機微粉体の平均一次粒子径を測定する場合には、無機微粉体を透過電子顕微鏡で観察し、視野中の3万乃至5万倍に拡大した300個の0.001μm以上の一次粒子の長径を測定して平均一次粒子径を求める。なお、5万倍の拡大倍率によって、サンプリングした粒子の粒径測定ができない程度小さい場合には、拡大写真を測定サンプル実測粒径が5mm以上になるようにさらに拡大して測定を行う。
【0223】
トナー粒子上に存在している無機微粉体の平均一次粒子径を測定する場合には、トナー粒子表面を走査電子顕微鏡で観察し、視野中の3万乃至5万倍に拡大した300個の無機微粉体をXMAにより定性し、その一次粒子の長径を測定して平均一次粒径を求める。
【0224】
無機微粉体のBET比表面積の測定方法
無機微粉体のBET比表面積の測定方法は、QUANTACHROME社製比表面積計オートソープ1を使用し以下の通り行う。
【0225】
測定サンプル約0.1gをセル中に秤取し温度40℃,真空度1.0×10-3mmHg以下で12時間以上脱気処理を行う。その後、液体窒素により冷却した状態で窒素ガスを吸着し多点法により値を求める。
【0226】
キャリアの50%粒径の測定方法
キャリアをマイクロトラック粒度分析計SRAタイプ(日機装株式会社製)を使用し、0.7〜700μmのレンジ設定で測定を行い、キャリアの体積分布基準の50%粒径を求める。
【0227】
【実施例】
以下、実施例をもって本発明を更に詳しく説明するが、本発明は何らこれに限定されるものではない。
【0228】
はじめに本発明に用いる無機微粉体について述べる。
【0229】
(無機微粉体の合成例1)
3リットルの2M重炭酸アンモニウム溶液に、0.2Mアンモニウムアルミニウム明バン溶液2リットルを、液温を35℃に保ちながら1時間に0.8リットルの速度で滴下し、攪拌しながら反応させ、こうして生成させたNH4AlCO3(OH)2結晶を、濾過,乾燥後、約900℃で焼成し、γアルミナ微粉体を入手した。なお、アルミナ微粉体の結晶形態はX線回折によってγであることを確認した。
【0230】
次に、トルエン中で上記アルミナ微粉体を均一分散せしめた後、シラン系カップリング処理剤であるイソブチルトリメトキシシランをアルミナ微粉体100重量部に対して固型分で30重量部になる様に粒子が合一しないように滴下混合し、加水分解反応せしめた。その後、濾過,乾燥し、溶剤を除去した後、180℃で2時間焼き付けし、その後充分に解砕処理して、目的とする表面疎水化処理無機微粉体1を得た。この処理無機微粉体1の平均一次粒子径は0.005μmであり、BET比表面積は210m2/gであり、メタノール疎水化度は66%であった。
【0231】
(無機微粉体の合成例2)
AlCl3を気相中にて比較的高温で処理して焼結させ、γタイプの親水性アルミナ微粉体を得た後、これを、イソブチルトリメトキシシランの量を15重量部に減らしたことを除いてあとは合成例1と同様にして表面疎水化処理して処理無機微粉体2を得た。
【0232】
(無機微粉体の合成例3)
硫酸法によって得られたアナターゼ型の酸化チタン(平均一次粒子径=0.03μm,BET=145m2/g)100重量部に対して、固形分で18重量部になる様、イソブチルトリメトキシシランを滴下混合して表面疎水化処理した。あとはほぼ合成例1と同様にして、表面疎水化処理無機微粉体3を得た。
【0233】
(無機処理微粉体の合成例4)
BET260m2/gの市販のシリカ微粉体100重量部に対して、ヘキサメチルジシラザン20重量部を常法に従って表面処理せしめ、表面疎水化処理無機微粉体4を得た。
【0234】
(無機微粉体の合成例5)
比較的高温で焼結させた一次粒子径0.3μmのルチル型の親水性酸化チタン100重量部に対して、n−ブチルトリメトキシシラン10重量部で表面処理して、処理無機微粉体5を得た。
【0235】
(無機微粉体の合成例6)
処理無機微粉体の合成例3で用いたアナターゼ型の酸化チタンを表面処理せずにそのまま未処理微粉体6として用いた。
【0236】
上記無機微粉体1〜6の物性値を表1にまとめて示す。
【0237】
【表1】
【0238】
実施例1
・ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
プロパン 30mol%
・ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
プロパン 70mol%
・テレフタル酸 30mol%
・フマール酸 70mol%
・トリメリット酸 0.05mol%
上記原料の縮合反応によって得られるポリエステル樹脂1 100重量部
(物性値は表2参照)
銅フタロシアニン系顔料 4重量部
(C.I.Pigment Blue15:3)
ジルコニウム化合物(38) 4重量部
【0239】
上記材料をヘンシェルミキサーにより十分予備混合を行い、二軸式押出し機で溶融混練し、冷却後ハンマーミルを用いて約1〜2mm程度に粗粉砕し、次いでエアージェット方式による微粉砕機で微粉砕した。更に得られた微粉砕物を分級して重量平均粒径約6.5μmの着色剤含有樹脂粒子(カラートナー粒子)を得た。
【0240】
この着色剤含有樹脂粒子100重量部と合成例1の疎水化処理無機微粉体1の1.2重量部とをヘンシェルミキサーで混合し、シアントナーAとした。このシアントナーAは、重量平均粒径が6.5μmであった。着色剤含有樹脂粒子上の処理微粉体をSEMにて観察してみると、均一にほぼ一次粒子の状態でトナー表面に付着している様子を確認した。
【0241】
このシアントナーA6.0重量部に対し、スチレン−メタクリル酸メチル(共重合体重量比65:35)を約0.35重量%コーティングした50%粒径50μmのCu−Zn−Fe系フェライトキャリア(キャリアA)を、総量100重量部になるように混合し二成分系現像剤とした。二成分系現像剤中のトナー濃度は6.0重量%である。
【0242】
この二成分系現像剤を、図1に示す市販の普通紙フルカラー複写機(カラーレーザーコピア800)のシアン現像装置4Cに用いて複写試験を行った。なお、このカラーレーザーコピア800での現像時に印加する現像バイアス電圧として、周波数が12,000Hz、ピーク−ピーク(Vpp)が2,000Vの矩形波を2波毎に500マイクロ秒(2,000Hz相当)のブランク部を有する交流電圧を所定の直流電圧に重畳したものである。
【0243】
この複写試験において、初期画像を得たが、色調は彩度のすぐれた、あざやかなものであった。
【0244】
常温常湿環境(23℃/65%RH)下で5.0万枚の耐久後でもカブリのないオリジナルを忠実に再現するシアン色画像が得られ、色再現性に優れており、耐久安定性が良好であった。さらに、耐久後の感光体ドラム融着が生じていなかった。また、複写機内での搬送、現像剤濃度検知も良好で安定した画像濃度が得られた。
【0245】
定着温度設定170℃にして5.0万枚の繰り返し複写でも定着ローラーへのオフセットはまったく生じず、定着性が良好であった。なお、定着ローラーへのオフセットの発生状況は、繰り返し複写後の定着ローラーの表面を目視により観察することによって行った。
【0246】
低温低湿下(15℃/10%RH)、高温高湿下(32.5℃/85%RH)の各環境下で帯電量測定を行ったが、きわめて環境依存性が少ないものであり、帯電安定性が良好であった。耐久の詳細は表4に示した。
【0247】
さらにトランスペアレンシーフィルムに形成したカラー画像をオーバーヘッドプロジェクター(OHP)に投影したOHP画像の透明性も良好なものであった。評価結果を表4に示す。
【0248】
実施例2
実施例1において、銅フタロシアニン系顔料のかわりにキナクリドン系の有彩色顔料(C.I.Pigment Red 122)を5重量部用いることを除いてあとはほぼ同様にして、重量平均径6.6μmのマゼンタトナーBを得た。
【0249】
同様に現像剤を調製し評価したところ、良好な結果が得られた。詳細を表4に示した。
【0250】
実施例3
実施例1において、銅フタロシアニン系顔料のかわりにジアリーリド系のイエロー顔料(C.I.Pigment Yellow 17)を3.5重量部用いることを除いてあとはほぼ同様にして、重量平均径6.5μmのイエロートナーCを得た。
【0251】
同様に現像剤を調製し評価したところ、良好な結果が得られた。詳細を表4に示した。
【0252】
実施例4〜8、参考例9、参考例10、実施例11、参考例12〜15
表3記載の処方で実施例1と同様にしてトナーDからトナーOまでを試作し、同様の評価をした結果を表4に示した。参考例15のトナーOについては、疎水性アルミナ微粉体の外添量を0.5重量部とし、二成分系現像剤のトナー濃度を8.0重量%にした。
【0253】
実施例16
実施例1で用いたトナーA6.0重量部に対して、アクリル変性のシリコーン樹脂にアミノプロピルトリメトキシシランをカップリング剤として加えたコート剤をキャリアコアに対して0.3重量%コーティングした50%粒径50μmのCu−Zn−Fe系フェライトキャリア(キャリアB)94重量部を混合し、二成分系現像剤とした。この二成分系現像剤を用いることを除いては実施例1とほぼ同様にして評価した。
【0254】
比較例1〜3
実施例1で用いたジルコニウム化合物(38)のかわりに、下記の亜鉛系の化合物(172)、鉄系の化合物(173)及びクロム系の化合物(174)を各々用いたことを除いてあとは同様にトナーP〜Rを製造し、同様の評価をした。結果を表4に示した。
【0255】
【化61】
【0256】
比較例4〜5
表3記載の処方で実施例1とほぼ同様にしてトナーS〜Tまでを製造し、同様の評価をした結果を表4に示した。
【0257】
比較例6
実施例1で用いたキャリアAに代えて、スチレン−メタクリル酸メチル(共重合体重量比65:35)を約0.15重量%コーティングした50%粒径72μmのCu−Zn−Fe系フェライトキャリア(キャリアC)を用い、トナー濃度が4.0重量%の二成分系現像剤を製造した。この二成分系現像剤を用いることを除いては、実施例1と同様にして評価した。
【0258】
比較例7
実施例1で用いたキャリアAに代えて、スチレン−メタクリル酸メチル(共重合体重量比65:35)を約0.50重量%コーティングした50%粒径19μmのCu−Zn−Fe系フェライトキャリア(キャリアD)を用い、トナー濃度が8.0重量%の二成分系現像剤を製造した。この二成分系現像剤を用いることを除いては、実施例1と同様にして評価した。
【0259】
比較例8
実施例1で用いたキャリアAに代えて、コーティングをしていない50%粒径50μmのCu−Zn−Fe系フェライトキャリア(キャリアE)を用い、トナー濃度が6.0重量%の二成分系現像剤を製造した。この二成分系現像剤を用いることを除いては、実施例1と同様にして評価した。
【0260】
実施例1〜16及び比較例1〜8における画像濃度、トナー飛散抑制、ハーフトーン再現性、カブリ抑制及びOHP画像の透明性の評価方法及び評価基準を以下に示す。
【0261】
(1)画像濃度
画像濃度は、常温常湿、高温高湿及び低温低湿の各環境下における5万枚の耐久複写において、初期及び耐久後の画像濃度をマクベス反射濃度計(マクベス社製)を用いて測定した。
【0262】
(2)トナー飛散抑制
高温高湿下における5万枚の耐久複写後の複写機内の状態を観察し、以下の基準で評価した。
A:トナー飛散は発生していない。
B:現像器周辺にわずかな汚染が見られる。
C:現像器周辺に汚染が見られる。
D:現像器周辺が、飛散したトナーによりひどく汚染されている。
【0263】
(3)ハーフトーン再現性
ハーフトーンの再現性は、低温低湿下において、写真画像を複写し、それを目視で評価した。評価基準を以下に示す。
A:写真画像を、忠実に再現できる。
B:滑らかさにやや欠けるが、写真画像を良く再現できる。
C:写真画像の再現において、滑らかさに欠ける。
D:写真画像の再現ができない。
【0264】
(4)カブリ抑制
カブリ抑制は、低温低湿下における5000枚複写後のプリントアウト画像の白地部分の白色度をリフレクトメーター(東京電色社製)により測定し、その白色度と転写紙の白色度の差から、カブリ濃度(%)を算出し、評価した。評価基準を以下に示す。
A:非常に良好(1.0%未満)
B:良好(1.0%以上、2.0%未満)
C:普通(2.0%以上、3.0%未満)
D:悪い(3.0%以上)
【0265】
(5)OHP画像の透明性
OHP画像の透明性については、市販のオーバーヘッドプロジェクターを用いて、トランスペアレンシーフィルムに形成したカラー画像を投影して、以下の評価基準に基づいて評価した。
A:透明性に優れ、明暗ムラも無く、色再現性も優れる。(良)
B:若干明暗ムラがあるものの、実用上問題ない。(可)
C:明暗ムラがあり、色再現性に乏しい。(悪い)
【0266】
【表2】
【0267】
【表3】
【0268】
【表4】
【0269】
【発明の効果】
本発明によれば、温湿度の如き環境変動に左右されずに、経時においても高品質のカラー画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のトナーを用いる画像形成装置の一例を示す概略断面図である。
【図2】図1で示す画像形成装置における現像装置の拡大図である。
【図3】トナー及び外添剤の摩擦帯電量を測定するための装置の概略図である。
【符号の説明】
51 吸引機
52 測定容器
53 スクリーン
54 フタ
55 真空計
56 風量調節弁
57 吸引口
58 コンデンサー
59 電位計
Claims (46)
- 負帯電性トナー及び樹脂コートキャリアを有する二成分系現像剤において、
該トナーは、少なくとも結着樹脂、着色剤及び有機金属化合物を有しており、
該トナーの重量平均粒径(D 4 )が4.0〜12.0μmであり、
該結着樹脂は、ポリエステル樹脂を有し、
該ポリエステル樹脂の酸価が2.0乃至40.0mgKOH/gであって、
該有機金属化合物は、ジルコニウムと、芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸からなるグループから選択される芳香族化合物とが配位又は/及び結合している有機ジルコニウム化合物であり、
該トナーは、外添剤として平均一次粒子径が0.001〜0.2μmの疎水化処理された無機微粉体を有しており、
該無機微粉体が、酸化チタン微粉体又はアルミナ微粉体を有し、
該樹脂コートキャリアは、キャリアコア粒子及び該キャリアコア粒子表面を被覆する少なくとも樹脂を有する被覆材を有し、且つ、20〜70μmの50%粒径を有しており、
該被覆材は、シリコーン樹脂、スチレン系樹脂及びアクリル系樹脂からなるグループから選択される1種以上の樹脂を有していることを特徴とする二成分系現像剤。 - 有機ジルコニウム化合物が、芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシカルボン酸又は芳香族ジカルボン酸を配位しているジルコニウム錯体である請求項1に記載の二成分系現像剤。
- 有機ジルコニウム化合物が、芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシカルボン酸又は芳香族ジカルボン酸を配位しているジルコニウム錯塩である請求項1に記載の二成分系現像剤。
- 有機ジルコニウム化合物が、下記式(1)で示される構造を有している請求項1に記載の二成分系現像剤。
- 有機ジルコニウム化合物が、下記式(2)で示される構造を有している請求項1に記載の二成分系現像剤。
- 有機ジルコニウム化合物は、下記式(3),(4)又は(5)で示される構造を有している請求項1に記載の二成分系現像剤。
- 有機ジルコニウム化合物は、下記式(6),(7)又は(8)で示される構造を有している請求項1に記載の二成分系現像剤。
- 有機ジルコニウム化合物が結着樹脂100重量部当り0.1〜10重量部トナー粒子に内添されている請求項1乃至7のいずれかに記載の二成分系現像剤。
- 有機ジルコニウム化合物が結着樹脂100重量部当り0.5〜5重量部トナー粒子に内添されている請求項1乃至7のいずれかに記載の二成分系現像剤。
- 該ポリエステル樹脂は、50乃至70℃のガラス転移温度を有している請求項1乃至9のいずれかに記載の二成分系現像剤。
- 該ポリエステル樹脂は、52乃至68℃のガラス転移温度を有している請求項1乃至9のいずれかに記載の二成分系現像剤。
- 該ポリエステル樹脂は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によって測定される分子量分布において、1,500乃至50,000の数平均分子量(Mn)、6,000乃至100,000の重量平均分子量(Mw)及び2乃至8のMw/Mnを有している請求項1乃至9のいずれかに記載の二成分系現像剤。
- 該ポリエステル樹脂は、GPCによって測定される分子量分布において、2,000乃至20,000のMn、10,000乃至90,000のMw及び2乃至8のMw/Mnを有している請求項1乃至9のいずれかに記載の二成分系現像剤。
- 該トナーは、有彩色の着色剤を有するカラートナーである請求項1に記載の二成分系現像剤。
- 該トナーは、有彩色の着色剤を有するカラートナーである請求項2に記載の二成分系現像剤。
- 該トナーは、有彩色の着色剤を有するカラートナーである請求項3に記載の二成分系現像剤。
- 該無機微粉体は、シラン系化合物で疎水化処理されている請求項1乃至16のいずれかに記載の二成分系現像剤。
- 該無機微粉体は、0.005乃至0.1μmの平均一次粒子径を有している請求項1乃至17のいずれかに記載の二成分系現像剤。
- 該トナーは、該無機微粉体をトナー粒子100重量部に対して、0.2乃至5.0重量部有している請求項1乃至18のいずれかに記載の二成分系現像剤。
- 該トナーは、該無機微粉体をトナー粒子100重量部に対して、0.3乃至3.0重量部有している請求項1乃至18のいずれかに記載の二成分系現像剤。
- 該被覆材の被覆量が樹脂コートキャリアに対して0.1乃至30重量%である請求項20に記載の二成分系現像剤。
- 該二成分系現像剤は、2乃至15重量%のトナー濃度を有している請求項1乃至21のいずれかに記載の二成分系現像剤。
- 該二成分系現像剤は、3乃至13重量%のトナー濃度を有している請求項1乃至21のいずれかに記載の二成分系現像剤。
- (I)静電潜像を担持するための像担持体を帯電する帯電工程;
(II) 帯電された像担持体に静電潜像を形成する潜像形成工程;
(III)該像担持体の静電潜像を、負帯電性トナー及び樹脂コートキャリアを有する二成分系現像剤の負帯電性トナーにより現像して、トナー画像を形成する現像工程;及び
(IV) 該潜像担持体上に形成されたトナー画像を中間転写体を介して、又は、介さずに転写材に転写する転写工程;
を少なくとも有する画像形成方法において、
該トナーは、少なくとも結着樹脂、着色剤及び有機金属化合物を有しており、
該トナーの重量平均粒径(D 4 )が4.0〜12.0μmであり、
該結着樹脂は、ポリエステル樹脂を有し、
該ポリエステル樹脂の酸価が2.0乃至40.0mgKOH/gであって、
該有機金属化合物は、ジルコニウムと、芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸からなるグループから選択される芳香族化合物とが配位又は/及び結合している有機ジルコニウム化合物であり、
該トナーは、外添剤として平均一次粒子径が0.001〜0.2μmの疎水化処理された無機微粉体を有しており、
該無機微粉体が、酸化チタン微粉体又はアルミナ微粉体を有し、
該樹脂コートキャリアは、キャリアコア粒子及び該キャリアコア粒子表面を被覆する少なくとも樹脂を有する被覆材を有し、且つ、20〜70μmの50%粒径を有しており、
該被覆材は、シリコーン樹脂、スチレン系樹脂及びアクリル系樹脂からなるグループから選択される1種以上の樹脂を有していることを特徴とする画像形成方法。 - 有機ジルコニウム化合物が、芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシカルボン酸又は芳香族ジカルボン酸を配位しているジルコニウム錯体である請求項24に記載の画像形成方法。
- 有機ジルコニウム化合物が、芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシカルボン酸又は芳香族ジカルボン酸を配位しているジルコニウム錯塩である請求項24に記載の画像形成方法。
- 有機ジルコニウム化合物が、下記式(1)で示される構造を有している請求項24に記載の画像形成方法。
- 有機ジルコニウム化合物が、下記式(2)で示される構造を有している請求項24に記載の画像形成方法。
- 有機ジルコニウム化合物は、下記式(3),(4)又は(5)で示される構造を有している請求項24に記載の画像形成方法。
- 有機ジルコニウム化合物は、下記式(6),(7)又は(8)で示される構造を有している請求項24に記載の画像形成方法。
- 有機ジルコニウム化合物が結着樹脂100重量部当り0.1〜10重量部トナー粒子に内添されている請求項24乃至30のいずれかに記載の画像形成方法。
- 有機ジルコニウム化合物が結着樹脂100重量部当り0.5〜5重量部トナー粒子に内添されている請求項24乃至30のいずれかに記載の画像形成方法。
- 該ポリエステル樹脂は、50乃至70℃のガラス転移温度を有している請求項24乃至32のいずれかに記載の画像形成方法。
- 該ポリエステル樹脂は、52乃至68℃のガラス転移温度を有している請求項24乃至32のいずれかに記載の画像形成方法。
- 該ポリエステル樹脂は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によって測定される分子量分布において、1,500乃至50,000の数平均分子量(Mn)、6,000乃至100,000の重量平均分子量(Mw)及び2乃至8のMw/Mnを有している請求項24乃至32のいずれかに記載の画像形成方法。
- 該ポリエステル樹脂は、GPCによって測定される分子量分布において、2,000乃至20,000のMn、10,000乃至90,000のMw及び2乃至8のMw/Mnを有している請求項24乃至32のいずれかに記載の画像形成方法。
- 該トナーは、有彩色の着色剤を有するカラートナーである請求項24に記載の画像形成方法。
- 該トナーは、有彩色の着色剤を有するカラートナーである請求項25に記載の画像形成方法。
- 該トナーは、有彩色の着色剤を有するカラートナーである請求項26に記載の画像形成方法。
- 該無機微粉体は、シラン系化合物で疎水化処理されている請求項24乃至39のいずれかに記載の画像形成方法。
- 該無機微粉体は、0.005乃至0.1μmの平均一次粒子径を有している請求項24乃至40のいずれかに記載の画像形成方法。
- 該トナーは、該無機微粉体をトナー粒子100重量部に対して、0.2乃至5.0重量部有している請求項24乃至41のいずれかに記載の画像形成方法。
- 該トナーは、該無機微粉体をトナー粒子100重量部に対して、0.3乃至3.0重量部有している請求項24乃至41のいずれかに記載の画像形成方法。
- 該被覆材の被覆量が樹脂コートキャリアに対して0.1乃至30重量%である請求項43に記載の画像形成方法。
- 該二成分系現像剤は、2乃至15重量%のトナー濃度を有している請求項24乃至44のいずれかに記載の画像形成方法。
- 該二成分系現像剤は、3乃至13重量%のトナー濃度を有している請求項24乃至44のいずれかに記載の画像形成方法。
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