JP4313530B2 - 大豆加工食品の製造方法および呉汁の加熱脱気装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、豆腐、豆乳、ゆば等の大豆加工食品の製造方法および大豆を摩砕して得られた呉汁の加熱脱気装置に関し、大豆特有の青臭い不快臭を効果的に除去できるようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、豆腐、豆乳、ゆば等の大豆加工食品を製造する場合には、生大豆を加工して液状にする操作が行なわれる。
この操作は、良く洗浄した生大豆を水に1晩程度浸漬し、2倍程度になるまで膨潤させる浸漬工程、膨潤した生大豆に適量の水を加えてすり潰し呉汁を得る摩砕工程、この呉汁を所定の温度に達するまで加熱して熱変性させる加熱工程からなる。加熱工程の前または後には必要に応じて、おからを分離する分離工程を行う。また、飲用豆乳を製造する場合等では浸漬工程を省略することもある。
以上のような各工程を経て得られた呉汁をさらに加工することによって、大豆加工食品を製造する。例えば、呉汁に凝固剤を添加して凝固させれば豆腐が得られる。
【0003】
このような大豆加工食品の製造方法において、加熱工程は、加熱によって大豆に含まれている有害物質を無害化し、また、大豆たんぱく質をほぐして消化吸収されやすい状態にする工程であり、特に重要である(槌屋莞二著、「豆乳」、第121ペ−ジ、食品研究社、1980年)。
この加熱工程は、呉汁を加熱して昇温する昇温工程と、昇温した呉汁を所定時間保持して大豆タンパク質を熱変性させる熱変性工程に分けることができる。しかしながら、通常は使用する加熱装置の機種または運転条件によって、呉汁を昇温しながら熱変性させることが多く、昇温工程と熱変性工程とを分けられない場合が多い。
【0004】
ところで、大豆タンパク質は非常に空気を抱き込みやすい性質がある。そのため、摩砕工程において呉汁が大量の空気を抱き込み、呉汁の中に数多くの気泡が混入すると、最終的な製品に悪影響を及ぼすことがあった。
例えば、気泡が混入した呉汁を使用して豆腐を製造した場合には、完成した豆腐の硬さが不足するとともに、気泡中の酸素によって大豆の成分が酸化するため、青臭い不快臭を発してしまう問題があった。
そこで、このような問題を解決する方法として、脱気装置を使用して呉汁から気泡を除去する技術が知られている。例えば、特開昭52−54069号公報に開示されている、加熱工程を行う前に脱気装置を使用して呉汁から気泡を脱気除去する技術や、特開昭61−195660号公報に開示されている、加熱工程を行った後に脱気工程を行う技術がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、呉汁はスラリー状の液体であるため、特に温度が低い場合には粘度が高くなり気泡の除去が非常に困難になる。したがって、特開昭52−54069号公報に開示されているように、加熱工程を行う前の低温の呉汁に対して脱気工程を施す場合には、気泡の除去が極めて困難となり、複雑な構造の装置を用いて強い吸引力で脱気する必要があった。また、脱気が困難であるため、細かい気泡は除去することができず、この結果、完成した製品には、気泡に起因する青臭い臭気が残ってしまうという問題があった。
また、加熱工程が終了した後の呉汁は、熱変性が進行した大豆タンパク質に、既に発生した臭気が吸着され、定着してしまっている。そのため、特開昭61−195660号公報に開示されているように、加熱工程が終了した後の呉汁から気泡を除去しようとしても、すでに呉汁に臭気が発生してしまっているという問題がある。すなわち、一旦臭気が発生した後は、その後に脱気してもさほど意味がなく、脱臭という点では満足な効果が得られなかった。
【0006】
このように、呉汁を加熱工程の前または後に脱気工程をする従来の技術では、いずれも十分な脱臭効果を得ることができず、品質の良い大豆食品を得ることが不可能であった。
また、呉汁を加熱する機能と呉汁を脱気する機能とを兼ね備えた加熱脱気装置も従来存在しておらず、効率的に品質の良い大豆食品を得る装置の開発が望まれていた。
【0007】
本発明の目的は、呉汁に混入している気泡を除去して大豆特有の青臭い臭気を効果的に除去し、従来にも増して品質の高い大豆加工食品を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の大豆の製造方法は、生大豆を摩砕して呉汁を得る摩砕工程(A)と、得られた呉汁を加熱して熱変性させる加熱工程(B)を含む大豆加工食品の製造方法において、加熱工程(B)において、直線的に配置された大径の配管と、ターンする形状に曲げられた小径の配管とを交互に通過するように、呉汁を流し、加熱工程(B)の途中で、呉汁に混入している気泡を除去する脱気工程(C)を行うことを特徴とする。
上記の製造方法においては、加熱工程(B)と脱気工程(C)を、連続的に行うことが好ましい。
上記加熱工程(B)が、呉汁を所定の中間温度まで昇温する第1の加熱工程と、呉汁をさらに加熱する第2の加熱工程とからなり、脱気工程(C)を、第1の加熱工程と第2の加熱工程との間に行うことが好ましい。
また、加熱工程(B)において呉汁が75〜125℃の温度範囲に達した段階で、脱気工程(C)を行うことが好ましく、さらに、呉汁が75〜100℃の温度範囲に達した段階で、脱気工程(C)を行うことが好ましい。
上記脱気工程(C)は、呉汁の温度が少なくとも3℃以上低下するように呉汁を減圧して、気泡を除去する方法であることが好ましい。
さらに、ターンする形状に曲げられた小径の配管において呉汁に蒸気を吹き込んで呉汁を加熱することが好ましい。
本発明の呉汁の加熱脱気装置は、呉汁を所定の中間温度まで昇温する第1の加熱装置と、この第1の加熱装置で中間温度に達した呉汁を脱気する脱気装置と、この脱気装置で脱気された呉汁をさらに加熱して熱変性を完了させる第2の加熱装置を有し、第1の加熱装置および第2の加熱装置が、呉汁が連続的に流通する送液配管と、前記送液配管内に呉汁を送液する送液ポンプを具備し、送液配管が、直線的に配置された複数の大径の配管とターンする形状に曲げられた小径の配管とが交互に連結されてなることを特徴とする。
上記第1の加熱装置および第2の加熱装置は、前記送液配管内を流通する呉汁に蒸気を混入して加熱する蒸気混入装置を具備してなることが好ましい。
さらに、ターンする形状に曲げられた小径の配管の一部に、呉汁に蒸気を吹き込む蒸気混入装置が接続されていることが好ましい。
上記脱気装置は、呉汁を一時的に貯留する脱気室と、前記脱気室の空気を吸引する吸引装置を具備してなることが好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の製造方法は、生大豆を摩砕して呉汁を得る摩砕工程(A)と、得られた呉汁を加熱して熱変性させる加熱工程(B)を含む製造方法であり、この加熱工程(B)の途中で、呉汁に混入している気泡を除去する脱気工程(C)を行うことを特徴とする。
加熱工程(B)の途中においては、呉汁は加熱されているため粘度が低く、呉汁に混入している気泡を除去しやすい。また、加熱工程(B)の途中では熱変性が充分には進行しておらず、この時点では呉汁の臭気が大豆タンパク質にさほど吸着されていない。そのため、加熱工程(B)の途中で脱気工程(C)を行うと、呉汁から効率的に臭気を除去することができる。したがって、加熱工程の前または後に脱気工程を行う従来の方法では得られなかった高い脱臭効果を得ることができる。また、脱気工程(C)は、加熱操作を一旦中止して行っても、加熱しながら行ってもよい。
【0010】
なお、本発明の製造方法においては、必要に応じて、摩砕工程(A)前に生大豆を水に浸漬して膨潤させる浸漬工程、加熱する前または加熱した後に呉汁を搾っておからを分離する分離工程等を適宜実施することができる。
【0011】
加熱工程(B)の途中とは、呉汁が加熱されて常温よりも高温となっている間のことであり、特に制限はない。
例えば、呉汁を加熱して昇温する昇温工程中や、昇温した呉汁を所定の温度で保持し熱変性させる熱変性工程中に、脱気工程(C)を行うことができる。あるいは、昇温工程と熱変性工程の間等に、脱気工程(C)を行ってもよい。しかしながら、熱変性が進行するにしたがって、呉汁の臭気が大豆タンパク質に吸着してしまうので、脱気工程(C)を呉汁の熱変性が進行する前に完了させることが好ましい。さらには、脱気工程(C)を、呉汁の熱変性が始まる前に完了させることが好ましい。すなわち、この例の場合では、脱気工程(C)を昇温工程の途中または昇温工程と熱変性工程との間で行うことが好ましい。
【0012】
より効果的に脱気工程(C)を行うには、加熱工程(B)を、呉汁を所定の中間温度まで昇温して加熱する第1の加熱工程と、呉汁をさらに加熱する第2の加熱工程で構成し、脱気工程(C)を、前記第1の加熱工程と第2の加熱工程との間に行うことが好ましい。
すなわち、第1の加熱工程で呉汁を中間温度まで加熱し、ついでこの呉汁を脱気する脱気工程(C)を行い、その後、第2の加熱工程によって呉汁を脱気工程後の温度で保持するか、呉汁をさらに所定の最終温度まで昇温するか、または、呉汁を所定の最終温度まで昇温後さらに保持する。
【0013】
ここで中間温度は、好ましくは75〜125℃、より好ましくは75〜100℃、さらに好ましくは80〜100℃の温度範囲に設定する。呉汁の温度が75℃未満の場合には、呉汁の粘度が高く、呉汁の中の微細な気泡を除去することが困難となり、効果的に脱気できない場合がある。一方、呉汁の酵素を失活させるためには呉汁を125℃まで昇温すれば充分であり、中間温度を125℃を超える温度とするとエネルギーコストが増加する。また、呉汁は75℃付近になると粘度が低下する。よって、呉汁の粘度が低く、効率良く脱気が行なえ、大豆タンパク質の熱変性があまり進行しておらず、エネルギー的にも無駄が少ない上記の温度範囲に中間温度を設定することが好ましい。
中間温度をこのように設定し、引き続いて脱気工程(C)を行うことによって、効果的に呉汁を脱気できるため、高い脱臭効果を発現できる。
【0014】
ここで製造する大豆加工食品が豆腐等の凝固食品である場合には、呉汁を100℃を超える温度まで昇温すると呉汁の凝固力が低下するので、中間温度を75〜100℃の範囲に設定することが特に好ましい。
【0015】
脱気工程(C)は、呉汁の温度が少なくとも3℃以上低下するように呉汁を減圧し、気泡を脱気する方法が好ましい。さらには、呉汁の温度が3〜15℃低下するようにすることが好ましい。ここで、呉汁の温度の低下は、脱気室の圧力が低下すると呉汁の沸点が下がって沸騰しやすくなり、沸騰時の呉汁の蒸発量に応じて蒸発潜熱が奪われるために起こる。
脱気工程(C)を、ある一定の容積を有する脱気室内で行う場合、脱気後の呉汁の温度が脱気前よりも3℃以上低くなるように脱気室の圧力を設定すると、脱気室の内圧を、呉汁が若干沸騰する程度の圧力とすることができ、効率良く脱気できるため好ましい。
このように脱気前後の呉汁の温度差を調節することによって、脱気室の圧力を調節でき、その結果、呉汁を脱気する程度を調節することができる。
脱気工程(C)前後の呉汁の温度差が3℃未満では、呉汁の沸騰が弱く、脱気の効果が十分に得られない場合がある。また、この脱気工程(C)前後の呉汁の温度差が大きいほど脱気の効果は高くなるが、温度差が15℃程度まで大きくなっても、15℃以下の場合と比較して脱気の効果は変わらなくなる。そのため、脱気効果および省エネルギ−の観点から、脱気工程(C)前後の呉汁の温度差は3〜15℃に設定することが好ましい。
【0016】
脱気工程(C)後に行う第2の加熱工程は、設定した中間温度や脱気工程(C)後の呉汁の温度に応じて、呉汁を脱気工程(C)後の温度で保持するか、呉汁をさらに所定の最終温度まで昇温するか、または、呉汁を所定の最終温度まで昇温後さらに保持するか、いずれかの方法を適宜選択して行えばよい。呉汁が最終的に95〜125℃の範囲まで加熱されると、熱変性を完了させることができ好ましい。
例えば、中間温度が95℃未満の比較的低い温度に設定されており、第1の加熱工程では呉汁の熱変性が充分進行していない場合には、第2加熱工程でさらに高温の95〜125℃の最終温度まで呉汁を昇温して、熱変性を進行させることが好ましい。中間温度が125℃程度に比較的高く設定されており、第1の加熱工程で呉汁の熱変性が進行している場合には、第2加熱工程では呉汁を昇温せず、脱気工程(C)後の温度で保持すればよい。
このように第2の加熱工程では、第1の加熱工程で設定された中間温度や、その後の脱気工程(C)での温度低下の程度に応じて加熱、昇温の程度を適宜選択できる。また、目的とする大豆加工食品の種類に応じて決定することもできる。例えば、豆乳等の飲料では、第1の加熱工程で105℃まで加熱後、脱気工程で100℃程度まで温度が低下するようにし、その後第2の加熱工程では120℃に加熱して3〜15分間程度保持する方法が好ましい。
【0017】
本発明の製造方法において、加熱工程(B)と脱気工程(C)は、公知の加熱装置および公知の脱気装置を使用して行うことができる。
加熱装置としては、表面式熱交換器、プレ−ト式熱交換器、二重管式熱交換器、多管式熱交換器、コイル式熱交換器、平板式熱交換器、かきとり式熱交換器等の間接加熱方式の加熱装置や、インジェクション式、インフュージョン式等の呉汁と蒸気を混合して加熱する直接加熱方式の加熱装置が挙げられるが、直接加熱方式の加熱装置を使用すると、呉汁を効率良く加熱でき好ましい。一方、間接加熱式の加熱装置を使用すると、装置の伝熱面に大豆たんぱく質が焦げ付き易いので、運転条件、運転時間には注意する必要がある。
本発明において、望ましい加熱装置は、連続的に流れる呉汁に対して蒸気を連続的に吹き込むことによって呉汁を加熱するインジェクション方式の連続式加熱装置である。このような装置としては、特に、次のようなものが最も望ましい。
【0018】
このような加熱装置においては、呉汁に蒸気を吹き込む部分では、呉汁が流れる配管に、蒸気配管を合流させている。
尚、補足すれば、この場合、呉汁が流れる配管に、単純に蒸気配管を合流させるだけでも良いが、呉汁が流れる配管の内側に、蒸気配管を突出させ、突出させた蒸気配管の先端に蒸気の出口を設けても良い。この場合は、この蒸気出口を、呉汁が流れる方向(呉汁の流れの上流から下流へ向かう方向)に向けて開口させることが望ましい。蒸気出口をこのように呉汁が流れる方向に開口させることによって、蒸気出口に呉汁の動圧が作用し、蒸気出口に対して蒸気を吸引する現象が発生し、蒸気が効率よく呉汁の中に吹き込まれるからである。
【0019】
本発明の望ましい加熱装置では、このように呉汁に蒸気を吹き込む部分においては、呉汁が流れる配管の径(内径)を小さく設計している。
このように呉汁が流れる配管の径を小さくすることによって、呉汁の流速を上昇させ、これによって呉汁の動圧を増加させることで静圧が減少するので、蒸気出口において蒸気を吸引する作用を強くし、蒸気を吹き込む際の効率を向上させるとともに、呉汁を攪拌する効果を得るのである。
【0020】
そして、呉汁が流れる配管は、適宜、例えばU字状に、ターンする構造となっているが(これは装置の設置面積を減少させるためである)、本発明の望ましい加熱装置は、このように呉汁が流れる配管がターンする個所においても、呉汁が流れる配管の径を小さく設計する。
このように、呉汁が流れる配管がターンする場所において、配管の径を小さくすることにより、流れる呉汁の流速が変化し、呉汁が踊るような理想的な攪拌状態となるため、呉汁に含まれる蛋白質成分が、均一に混合されるという特有の効果を奏するのである。
この場合、ターンする部分の径は、呉汁が流れる配管の径に比して、3/4〜1/5の範囲であることが望ましい。
【0021】
また、一般に、呉汁は、強く攪拌しすぎると気泡を抱き込むことがあるため、呉汁が流れる配管の内部においては、呉汁を常にピストンフローの状態で流すことが好ましい。
このように、呉汁を、ピストンフローの状態で流しながら踊るような攪拌状態にし、加熱して脱気を行うことによって、本発明は、更に顕著な効果を得ることができるのである。
【0022】
脱気装置としては、呉汁から気泡を除去できるものであればいかなるものでも良いが、脱気室とこの脱気室内の空気を吸引する吸引装置を備えているものを使用して、脱気室に呉汁を貯留し、脱気室から空気を吸引して内圧を低下させると、簡単な装置で高い脱気効果が得られるので好ましい。その他、液体を旋回させて遠心力を発生させ、この遠心力に対向する浮力によって気泡を旋回の中心部に集め、この中心部より気泡を除去する液体サイクロンや、機械的動力によって同様に液体を旋回させて気泡を除去する遠心分離器等を例示することができる。
【0023】
また、本発明の製造方法においては、加熱工程(B)と脱気工程(C)を回分的に行っても良いし、連続的に行っても良い。
回分的に行う場合は、例えば、呉汁を密閉性のある容器に入れて密閉し、この密閉容器を加熱して第1の加熱工程を行い、呉汁が所定の中間段階の温度に達した段階で、容器の内部を吸引して脱気工程(C)を行い、ついで呉汁をさらに加熱する第2の加熱工程を行う方法が挙げられる。
【0024】
このような回分的な方法によっても、効率的に加熱工程(B)と脱気工程(C)を行うことができるが、これらの工程をより効率的に行うためには、加熱工程(B)および脱気工程(C)を、連続的に行うことが好ましい。
例えば、複数の連続式加熱装置を直列に接続し、各加熱装置の間に連続式脱気装置を設けた呉汁の加熱脱気装置を使用して、この装置に連続的に呉汁を通液することによって、加熱工程(B)と脱気工程(C)を連続的に行うことができる。連続式脱気装置は、加熱装置の間に設ける限りは、1台に限らず2台以上を設置してもよい。加熱工程(B)および脱気工程(C)を連続的に行う場合は、摩砕工程、分離工程等の他の工程も連続的に行うことが好ましい。
このように呉汁を連続的に処理することによって、大規模な大量生産に対応することもできる。
【0025】
図1は本発明の加熱脱気装置1の一形態を示す概略構成図である。この装置1を使用すると、加熱工程(B)および脱気工程(C)を連続的に効率良く行うことができ、好ましい。
加熱脱気装置1は、呉汁を所定の中間温度まで昇温する第1の加熱装置10と、この第1の加熱装置10で中間温度に達した呉汁を脱気する脱気装置20と、この脱気装置20で脱気された呉汁をさらに加熱して熱変性を完了させる第2の加熱装置30を有する。
また、この加熱脱気装置1には、加熱前の呉汁を貯留する呉汁貯留タンク2が備えられている。この呉汁貯留タンク2内の呉汁は、定量送液ポンプ11によって第1の加熱装置10の送液配管12内を送液され、加熱された後、脱気装置20、第2の加熱装置30を順次流通するようになっている。
【0026】
第1の加熱装置10および第2の加熱装置30は、呉汁が連続的に流通する送液配管12、32と、この送液配管12、32内を流通する呉汁に高温の蒸気を混入する蒸気混入装置13、33と、送液配管12、32内に呉汁を送液する送液ポンプ11、31を具備してなる。そのため、第1の加熱装置10内および第2の加熱装置20内の送液配管12、32に、任意の流量の呉汁を送液し、この送液配管12、32内を流通する呉汁に直接蒸気を混入させて加熱することができる。蒸気混入装置13、33へは、蒸気供給ユニット100から分岐管110、120を通じて蒸気が供給される。蒸気混入装置13、33は、送液配管12、32に蒸気を直接混入させることができるものであれば制限はなく、逆止弁等を設けて、呉汁が蒸気混入装置13、33側に流れ込まないようにすることもできる。蒸気の供給量は、調圧弁111、121で制御できるようになっている。
【0027】
脱気装置20は、呉汁を一時的に貯留する脱気室21と、前記脱気室21の空気を吸引する吸引装置を具備している。吸引装置としては水流の動圧によって空気を吸引するエジェクター23や公知の真空ポンプ等が使用される。なお図1中、符号24は水配管であり、水配管の末端25は図示略の水源に接続される。なお、ここで一点破線はエジェクター23駆動用の水の流れを示す。
【0028】
脱気室21内で呉汁は、空気との接触面積が大きい状態にあることが好ましいため、第1の加熱装置10で加熱された呉汁は、脱気室21に入る際にできるだけ空気と広く接触するように導入されることが好ましい。例えば、第1の加熱装置10から脱気室21に接続されている送液配管3の末端が、脱気室21の内壁面に沿うように接続していると、脱気室21に流入した呉汁は脱気室21内を内壁面に沿って旋回するので、接触面積を広くすることができる。その他、脱気室21内の上方から呉汁を脱気室21の内壁面に沿って薄膜状に流下させる方法、脱気室21内の上方から呉汁をカーテン状に落下させる方法、脱気室21内の上方から呉汁を複数の線状に落下させる方法、呉汁を滴下させる方法等を例示できる。ただし、呉汁の粘度が高い場合には、呉汁と空気とが接触する面積を無理に広げる必要はなく、単純に脱気室21内に呉汁を流入させるだけであっても良い。
【0029】
次に加熱脱気装置1を用いて呉汁を加熱脱気する方法を説明する。
呉汁貯留タンク2に貯留されている呉汁は、定量送液ポンプ11によって第1の加熱装置10内の送液配管12内を流通する。この送液配管12内の呉汁には、蒸気供給装置13から加熱用蒸気が吹き込まれ、呉汁は中間温度まで加熱される。呉汁の温度と圧力はそれぞれ温度計5および圧力計4で確認できるようになっている。また、呉汁の温度は、蒸気供給ユニット100の調節弁111の開度を調節して、蒸気量を増減させることによって調節できる。
【0030】
中間温度に達した呉汁は送液配管3を通って脱気装置20へと送られ、脱気装置20の脱気室21内に流入する。脱気室21内の空気はエジェクター23で吸引されて、脱気室21の内部は減圧され呉汁が脱気される。脱気室21の内圧は圧力計26によって監視することができ、また、脱気室21の内圧が低くなり過ぎないように、バキュームブレーカー27で脱気室21の内圧を制御することもできる。脱気中には、温度計5と温度計7の指示値を注視し、脱気室21の入口側と出口側の温度差、すなわち脱気前後の温度差が所定の値になるよう吸引の程度を調節する。
【0031】
脱気室21を通過した呉汁は、送液配管6内を通って第2の加熱装置30に至る。第2の加熱装置30では第1の加熱装置10の場合と同様に、送液ポンプ31によって呉汁が送液配管32に送液され、送液配管32内の呉汁には、蒸気供給装置33から加熱用蒸気が吹き込まれ、呉汁はさらに加熱される。ここでの呉汁の温度は温度計8で確認できる。また圧力計9と背圧調整弁9aによって呉汁が沸騰しない程度に加熱されるように制御できる。
【0032】
第2の加熱装置30で熱変性が完了した呉汁は、絹ごし豆腐、木綿豆腐、揚物や高野豆腐等の豆腐二次加工品、その他の種々の加工豆腐、豆乳等の飲料、ゆば、凍豆腐等の種々の大豆加工食品に適用することができる。また、これらの大豆加工食品は、人間が食する食品に限られるものではなく、動物の飼料等にも適用できる。
【0033】
次に、前記の図1の加熱脱気装置1の、具体的な態様を説明する。図2及び図3は、本発明の呉汁の加熱脱気装置の他の実施例の外観を示す図である。
図2又は図3においては、図1と共通する要素には、図1と同一の符号を付して、詳細な説明は省略する。尚、図2又は図3においては、図1に示した要素の全てを図示しているわけではなく、一部の要素については図示を省略している。
【0034】
図2において、第1の加熱装置10、脱気装置20、及び第2の加熱装置30は、各々、共通フレーム200に固定されている。
第1の加熱装置10においては、送液配管12は、2インチのステンレス製サニタリーパイプによって構成されている。このような送液配管12は、設置面積を減少させる目的で、適宜ターンを繰り返す形状でフレーム200に配設されており、最終的には脱気装置20に至る。
【0035】
脱気装置20の下流側は、第2の加熱装置30に接続されているが、この第2の加熱装置30の構造には、大きな特徴がある。
即ち、この第2の加熱装置30においては、前記第1の加熱装置10と同様、送液配管32は、直線的な配管34(2インチ管)を備えており、この直線的な配管(例えば34)が、ターンを繰り返す形状でフレーム200に配設されている。そして、送液配管32の下方においてターンする配管35には蒸気混入装置33が接続されており、このターンする配管35の径は直線的な配管34の径よりも小さく設計されているのである。図2の装置の場合は、このターンする配管35の径は10mmである。
また、送液配管32の上方においてターンする配管(例えば36)の径は、同様に、直線的な配管34の径よりも小さく設計されている(10mm)。
【0036】
このように図2に示した第2の加熱装置30においては、呉汁は、大径の直線的な配管(2インチ。例えば36)と、小径のターンする配管(10mm。例えば35、36)とを交互に通過することになるため、呉汁は踊ったように攪拌された状態で流れ、この結果、呉汁に含まれる蛋白質は、均一に加熱され、最終的に得られる製品に好影響を及ぼすのである。なお、この場合、呉汁はピストンフローで流れている。
【0037】
図3に示した装置も、図2と同様であるが、図3の場合は、第1の加熱装置10についても、第2の加熱装置30と同様に、大径の直線的な配管(2.5インチ)と、小径のターンする配管(1インチ)とが組み合わされて設計されている。
【0038】
このような大豆の製造方法によれば、加熱工程(B)の途中で、呉汁に混入している気泡を除去する脱気工程(C)を行うので、呉汁は加熱されているため粘度が低く、呉汁に混入している気泡を除去しやすい。また、加熱工程(B)の途中では熱変性が充分には進行しておらず、呉汁の臭気が大豆タンパク質にはさほど吸着されていない。そのため、加熱工程(B)の途中で脱気工程(C)を行うと、呉汁から効率的に臭気を除去することができる。したがって、加熱工程(B)の前または後に脱気工程(C)を行う従来の方法では得られなかった高い脱臭効果を得ることができる。
また、加熱工程(B)と脱気工程(C)を、連続的に行うことによって、より効率的に大豆加工食品を製造できる。
さらに、加熱工程(B)において呉汁が75〜125℃の温度範囲、好ましくは75〜100℃の温度範囲に達した段階で、脱気工程(C)を行うことによって、エネルギー的に無駄が少ない状態で呉汁を脱気することができる。
また、脱気工程(C)を、呉汁の温度が少なくとも3℃以上低下するように呉汁を減圧して、気泡を除去することによって、少ないエネルギーで高い脱気効果を得ることができる。
【0039】
また、このような加熱脱気装置1は、呉汁を所定の中間温度まで昇温する第1の加熱装置10と、この第1の加熱装置10で中間温度に達した呉汁を脱気する脱気装置20と、この脱気装置20で脱気された呉汁をさらに加熱して熱変性を完了させる第2の加熱装置30を有しているので、呉汁が適度に加熱され、かつ熱変性する前の、好適なタイミングで呉汁を脱気することができ、臭気が抑制された呉汁を得ることができる。よって、連続的かつ効果的に呉汁を加熱脱気でき、第1の加熱装置の上流に脱気装置が設けられた場合や、第2の加熱装置の下流に脱気装置が設けられた場合よりも、簡単な装置で効果的に微細な気泡までも除去でき、得られる脱臭効果も非常に高い。
また、呉汁を一時的に貯留する脱気室21と、前記脱気室21の空気を吸引する吸引装置を具備してなる脱気装置20を使用することによって、簡単な装置で高い脱気効果を得ることができる。
【0040】
【実施例】
以下に本発明を実施例を示して具体的に説明する。
[実施例1]
図1及び図2に示す呉汁の加熱脱気装置1を使用して、呉汁を加熱脱気して豆乳を製造した。以下にその製造方法を示す。
(1)浸漬工程
米国産大豆(IOM:三井物産社輸入)60kgを洗穀し、流水に12時間浸漬して膨潤させた。
(2)摩砕工程
浸漬工程で得られた膨潤大豆と170kgの水をグラインダー(長沢機械製作所社製)に供給し、大豆を摩砕し、呉汁(生呉)約220kgを得た。
(3)加熱脱気工程
摩砕工程で得られた呉汁(生呉)を、図1の加熱脱気装置1に通液し、次の運転条件によって加熱工程および脱気工程を実施した。
図1の呉汁貯留タンク2に温度11℃の呉汁(生呉)を貯留し、第1の加熱装置10に通液し、中間温度70℃(第1の加熱装置における温度、温度計5の指示値)まで、4分30秒かけて加熱した。ついで加熱した呉汁を脱気装置20に送り、脱気装置のエジェクター23を稼動し、脱気室21内の空気を吸引して呉汁の脱気を行った。この時の温度計7の指示値、すなわち脱気後の温度は65℃であり、脱気前後の温度差は5℃であった。また、この時の脱気室21の内圧(圧力計26の指示値)は−0.076MPaであった。これらの値を表1に示す。
脱気装置20で脱気を終えた呉汁を、第2の加熱温度に通液し、最終温度100℃(第2の加熱装置における温度、温度計8の指示値)まで5分30秒かけて加熱および保持し、呉汁を脱気するとともに熱変性完了した。
(4)分離工程
加熱脱気工程で得られた呉汁(煮呉)を、直ちに絞り機(荒井鉄工所社製)によって豆乳とおからに分離し、冷却し、約190kgの豆乳を得た。得られた豆乳の固形分は約13.0%(重量)であった。
得られた呉汁の風味を、20歳から40歳までの男女20人からなるパネラーにより、次の評価方法によって官能的に試験した。
各パネラーが試料を以下の4段階で評価し、パネラー全員の評価を平均し、各試料の評価点を算出した。
0点 風味良好
1点 風味やや良(やや大豆臭あり)
2点 風味やや不良(やや大豆臭が強い)
3点 風味不良(大豆臭が強く飲用に不適)
算出された評価点をさらに4段階にして、×、△、○、◎で示した。
◎ 0.5点未満
○ 0.5点以上、1.5点未満
△ 1.5点以上、2.5点未満
× 2.5点以上、3.0点未満
評価結果を表1に示す。
【0041】
[実施例2〜9]
中間温度(温度計5の指示値)を変化させ、脱気前後の温度差、脱気室の内圧(圧力計26の指示値)、最終温度(温度計8の指示値)を表1に示す値とした以外は実施例1と同様にして豆乳を製造し、同様に評価した。
評価結果を表1に示す。
【0042】
[比較例1]
加熱脱気装置として、脱気装置20、第1の加熱装置10、第2の加熱装置30の順序で接続され、接続順序が異なる以外は実施例1で使用したものと同じ加熱脱気装置を使用して、豆乳を製造した。得られた豆乳を実施例1と同様に評価した。結果を表2に示す。
なおこの場合の、脱気前後の呉汁の温度、脱気室の内圧、中間温度、最終温度も表2に示す。
【0043】
[比較例2]
加熱脱気装置として、第1の加熱装置10、第2の加熱装置30、脱気装置20の順序で接続され、接続順序が異なる以外は実施例1で使用したものと同じ加熱脱気装置を使用して、豆乳を製造した。得られた豆乳を実施例1と同様に評価した。評価結果を表3に示す。
なおこの場合の、中間温度、最終温度、脱気後の呉汁の温度、脱気室の内圧も表3に示す。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】
【表3】
【0047】
表1〜3から明らかなとおり、本実施例で製造した各試料は、いずれも比較例1および2の各試料に比して風味が良好であり、その中でも、中間温度を75℃以上の温度に設定した試料は、特に風味が良好であった。また、中間温度を80℃以上の範囲に設定した場合は、特に評価が高かった。
この結果、本実施例の方法においては、比較例で示した従来の技術よりも遥かに品質が高い大豆加工食品を得られることが判明し、また、特に加熱工程で呉汁が75℃以上、好ましくは80℃以上の温度範囲に達した段階で脱気工程を行えば、最も良好な結果が得られることが判明した。
なお、ここでは省略したが、大豆の種類、摩砕条件、呉汁の濃度、加熱の前の分離工程の有無、脱気条件等を種々変更して同様に試験を行ったが、ほぼ同様の結果が得られた。
【0048】
[実施例10〜18]
中間温度(温度計5の指示値)を94℃とし、脱気後の呉汁の温度(温度計7の指示値)を表4に示す温度とした以外は実施例1と同様にして、脱気の程度が異なる豆乳を製造した。得られた豆乳を実施例1と同様に評価した。評価結果を表4に示す。なおこの場合の、脱気室21の内圧(圧力計26の指示値)、最終温度(温度計8の指示値)も表4に示す。
【0049】
【表4】
【0050】
表4から明らかなとおり、脱気前後の温度差が3℃以上である場合に、風味がより良好となり、温度差が4℃以上であれば特に良好であった。
この結果、本実施例の方法においては、脱気後の呉汁の温度が脱気前より少なくとも3℃、好ましくは4℃以上低くなる圧力で脱気室を吸引すれば、最も良好な結果が得られることが判明した。
なお、ここでは省略したが、大豆の種類、摩砕条件、呉汁の濃度、加熱の前の分離工程の有無、脱気条件等を種々変更して同様に試験を行ったが、ほぼ同様の結果が得られた。
【0051】
[実施例19]
図1及び図3に示す呉汁の加熱脱気装置1を使用して得られた呉汁で木綿豆腐を製造した。以下にその製造方法を示す。
(1)浸漬工程
米国産大豆(IOM:三井物産社輸入)60kgを洗浄し、流水に12時間浸漬して膨潤させた。
(2)摩砕工程
浸漬工程で得られた膨潤大豆と570kgの水とをグラインダ−(長沢機械製作所社製)に供給し、摩砕し、呉汁(生呉)約620kgを得た。
(3)加熱脱気工程
摩砕工程で得られた呉汁(生呉)を、図1の加熱脱気装置1に通液し、次の運転条件によって加熱工程および脱気工程を実施した。
図1の呉汁貯留タンク2に温度11℃の呉汁(生呉)を貯留し、第1の加熱装置10に通液し、4分30秒かけて中間温度94℃(温度計5の指示値)まで加熱した。
脱気装置20のエジェクター23を稼動し、脱気室21内の空気を吸引して呉汁の脱気を行った。この時、温度計7の指示値は89℃であり、脱気前後の温度差は5℃であった。また、この時の脱気室21の内圧(圧力計26の指示値)は−0.035MPaであった。
脱気装置20で脱気を終えた呉汁を、第2の加熱装置30に通液し、89℃から最終温度100℃(温度計9の指示値)に5分30秒かけて加熱および保持した。
(4)分離工程
加熱工程を終了した呉汁(煮呉)を、直ちに絞り機(荒井鉄工所社製)にかけ、豆乳とおからに分離し、約600kgの豆乳を得た。得られた豆乳の固形分は約4.5%(重量)であった。
(5)凝固工程
前記豆乳100kgを70〜75℃に冷却した後、ぬるま湯に懸濁させた硫酸カルシウム(富田製薬社製)を豆乳の固形分あたり7.8%の濃度で添加混合し、10分間放置した。
得られた凝固物を軽く崩した後、型箱に移し、20分間圧搾し、豆腐約80kgを得た。この豆腐を水に晒して冷却し、カットして木綿豆腐を得た。木綿豆腐の水分は87%(重量)であった。
(6)木綿豆腐の評価
得られた木綿豆腐は硬さが良好であり、また、大豆特有の青臭い不快臭が皆無であって、極めて風味が良好な製品であった。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の大豆加工食品の製造方法によれば、加熱工程(B)の途中で、呉汁に混入している気泡を除去する脱気工程(C)を行うので、呉汁は加熱されているため粘度が低く、呉汁に混入している気泡を除去しやすい。また、加熱工程(B)の途中では熱変性が充分には進行しておらず、呉汁の臭気が大豆タンパク質にさほど吸着されていない。そのため、加熱工程(B)の途中で脱気工程(C)を行うと、呉汁から効率的に臭気を除去することができる。したがって、加熱工程(B)の前または後に脱気工程(C)を行う従来の方法では得られなかった高い脱臭効果を得ることができる。
また、加熱工程(B)と脱気工程(C)を、連続的に行うことによって、より効率的に大豆加工食品を製造できる。
さらに、加熱工程(B)において呉汁が75〜125℃の温度範囲、好ましくは75〜100℃の温度範囲に達した段階で、脱気工程(C)を行うことによって、エネルギー的に無駄が少ない状態で呉汁を脱気することができる。
また、脱気工程(C)を、呉汁の温度が少なくとも3℃以上低下するように呉汁を減圧して、気泡を除去することによって、少ないエネルギーで高い脱気効果を得ることができる。
加熱工程(B)においては、呉汁を、大径の配管と小径の配管とに交互に通過するように流すことによって、呉汁を強く混合し、攪拌することができる。また、一般に、呉汁は、強く攪拌しすぎると気泡を抱き込むことがあるが、このようにすれば、呉汁が流れる配管の内部において呉汁を常にピストンフローの状態で流すことができるため、適度な攪拌効果を得ることができる。
また、特に、加熱工程(B)において、直線的に配置された大径の配管と、ターンする形状に曲げられた小径の配管とを交互に通過するように、呉汁を流すことによって、流れる呉汁の流速が変化し、呉汁が踊るような理想的な攪拌状態となるため、呉汁に含まれる蛋白質成分が、均一に混合されるという特有の効果を奏する。
更に、ターンする形状に曲げられた小径の配管において呉汁に蒸気を吹き込んで呉汁を加熱することによって、呉汁の流速を上昇させ、呉汁の動圧を増加させ、蒸気出口において蒸気を吸引する作用を強くし、蒸気を吹き込む際の効率を向上させるとともに、呉汁を攪拌する効果を得るのである。
【0053】
また、本発明の加熱脱気装置によれば、呉汁を所定の中間温度まで昇温する第1の加熱装置と、この第1の加熱装置で中間温度に達した呉汁を脱気する脱気装置と、この脱気装置で脱気された呉汁をさらに加熱して熱変性を完了させる第2の加熱装置を有しているので、呉汁が適度に加熱され、かつ熱変性する前の、好適なタイミングで呉汁を脱気することができ、臭気が抑制された呉汁を得ることができる。よって連続的かつ効果的に呉汁を加熱脱気でき、第1の加熱装置の上流に脱気装置が設けられた場合や、第2の加熱装置の下流に脱気装置が設けられた場合よりも、簡単な装置で効果的に微細な気泡までも除去でき、得られる脱臭効果も非常に高い。
送液配管が、大径の配管と小径の配管とが交互に連結されてなることにより、呉汁を強く混合し、攪拌することができる。また、一般に、呉汁は、強く攪拌しすぎると気泡を抱き込むことがあるが、このようにすれば、呉汁が流れる配管の内部において呉汁を常にピストンフローの状態で流すことができるため、適度な攪拌効果を得ることができる。
直線的に配置された複数の大径の配管の間に、ターンする形状に曲げられた小径の配管が介在して構成されることによって、流れる呉汁の流速が変化し、呉汁が踊るような理想的な攪拌状態となるため、呉汁に含まれる蛋白質成分が、均一に混合されるという特有の効果を奏する。
更に、ターンする形状に曲げられた小径の配管の一部に、呉汁に蒸気を吹き込む蒸気混入装置が接続されることによって、呉汁の流速を上昇させ、呉汁の動圧を増加させ、蒸気出口において蒸気を吸引する作用を強くし、蒸気を吹き込む際の効率を向上させるとともに、呉汁を攪拌する効果を得ることができる。
また、呉汁を一時的に貯留する脱気室と、前記脱気室の空気を吸引する吸引装置を具備してなる脱気装置を使用することによって、簡単な装置で高い脱気効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の呉汁の加熱脱気装置の一実施例を示す概略構成図である。
【図2】図2は、本発明の呉汁の加熱脱気装置の他の実施例の外観を示す図である。
【図3】図3は、本発明の呉汁の加熱脱気装置の他の実施例の外観を示す図である。
Claims (11)
- 生大豆を摩砕して呉汁を得る摩砕工程(A)と、得られた呉汁を加熱して熱変性させる加熱工程(B)を含む大豆加工食品の製造方法において、
加熱工程(B)において、直線的に配置された大径の配管と、ターンする形状に曲げられた小径の配管とを交互に通過するように、呉汁を流し、
加熱工程(B)の途中で、呉汁に混入している気泡を除去する脱気工程(C)を行うことを特徴とする大豆加工食品の製造方法。 - 加熱工程(B)と脱気工程(C)を、連続的に行うことを特徴とする請求項1に記載の大豆加工食品の製造方法。
- 加熱工程(B)が、呉汁を所定の中間温度まで昇温して加熱する第1の加熱工程と、呉汁をさらに加熱する第2の加熱工程とからなり、
脱気工程(C)を、第1の加熱工程と第2の加熱工程との間に行うことを特徴とする請求項1または2に記載の大豆加工食品の製造方法。 - 加熱工程(B)において呉汁が75〜125℃の温度範囲に達した段階で、脱気工程(C)を行うことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の大豆加工食品の製造方法。
- 加熱工程(B)において呉汁が75〜100℃の温度範囲に達した段階で、脱気工程(C)を行うことを特徴とする請求項4に記載の大豆加工食品の製造方法。
- 脱気工程(C)が、呉汁の温度が少なくとも3℃以上低下するように呉汁を減圧して、気泡を除去する方法であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載の大豆加工食品の製造方法。
- ターンする形状に曲げられた小径の配管において呉汁に蒸気を吹き込んで呉汁を加熱する請求項1ないし6のいずれか一項に記載の大豆加工食品の製造方法。
- 呉汁を所定の中間温度まで昇温する第1の加熱装置と、この第1の加熱装置で中間温度に達した呉汁を脱気する脱気装置と、この脱気装置で脱気された呉汁をさらに加熱して熱変性を完了させる第2の加熱装置を有し、
第1の加熱装置および第2の加熱装置が、呉汁が連続的に流通する送液配管と、前記送液配管内に呉汁を送液する送液ポンプを具備し、
送液配管が、直線的に配置された複数の大径の配管とターンする形状に曲げられた小径の配管とが交互に連結されてなることを特徴とする呉汁の加熱脱気装置。 - 第1の加熱装置および第2の加熱装置が、前記送液配管内を流通する呉汁に蒸気を混入して加熱する蒸気混入装置を具備することを特徴とする請求項8に記載の呉汁の加熱脱気装置。
- ターンする形状に曲げられた小径の配管の一部に、呉汁に蒸気を吹き込む蒸気混入装置が接続される請求項9に記載の呉汁の加熱脱気装置。
- 脱気装置が、呉汁を貯留する脱気室と、この脱気室の空気を吸引する吸引装置を具備してなることを特徴とする請求項8ないし10のいずれか一項に記載の呉汁の加熱脱気装置。
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