JP4313521B2 - 情報情報記録媒体、記録装置、記録方法、再生装置、再生方法およびプログラム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は読み書き可能な情報記録媒体に関し、特に画像データおよび音声データなど様々のフォーマットのデータを含むマルチメディアデータが記録される情報記録媒体に関する。さらに、そのような情報記録媒体に情報の記録、再生を行う装置、方法、およびプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、CD−ROM、DVD(Digital Versatile Disc)−ROMなどの光ディスクは、コンピュータの情報記録媒体としての利用に加えて、映画等のオーディオ・ビデオデータ(以下、AVデータと呼ぶ)の情報記録媒体として活用されている。さらに、読み書き可能な情報記録媒体として、DVD−RAMディスク(以下DVD−RAMと略す)が実用化されている。DVD−ROM、DVD−RAMは、映像データ、音声データ等のオブジェクトをMPEG2方式により圧縮し、その圧縮されたデータをプログラムストリーム、もしくはトランスポートストリームの形で記録している。
【0003】
従来のDVD−ROMでは、プログラムチェーン(以下、PGCという。)に含まれるセル情報の順序に従いオブジェクトを構成するセルは再生される。セルは、オブジェクトを制御できる単位データである。また、DVD−RAMにおいては、DVD−ROMのPGCを拡張し、録画時に生成されるオリジナルプログラムチェーンと、ユーザが独自に生成するユーザ定義のプログラムチェーンを持つことができる。これにより、ユーザ独自の再生方法を決定することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来技術では、セル情報の順序に従い、セルが連続して再生される。そのため、複数のセルを重複して再生することができないという問題点があった。つまり、オリジナルの映像データとアフレコした音声データとを重複して再生することや、オリジナルの映像データと解説の映像データとを重複して再生することができなかった。また、PGCにより、セルの再生順序が定められると、その後、その順序を変更するためにはセル情報の順序を変更しなければならず、セルの再生順序の変更が困難であるという問題点もあった。また、複数の再生経路を重複させるというマルチパスを実現できなかった。
【0005】
本発明の主たる目的は、複数のセルを重複して再生でき、セルの再生順序を簡易に変更でき、かつマルチパスを実現する情報記録媒体を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明にかかる情報記録媒体は、オブジェクトと前記オブジェクトの再生を管理する管理情報とを記録する情報記録媒体であって、前記管理情報は前記オブジェクトを構成するセルの再生経路である再生順序を示す情報である再生時間軸情報を有し、前記再生時間軸情報は、前記オブジェクトの再生を開始する時刻情報である再生開始時刻情報と、前記オブジェクトが少なくとも2つ重複して再生されることを示すブロックモードと、前記重複して再生される各オブジェクトを構成する各セルの区間を特定する再生区間特定情報と、前記オブジェクトを識別するためのオブジェクト識別情報を有することを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
(1.DVDレコーダ装置のシステム概要)
図1は、DVDレコーダ装置の外観と関連機器とのインタフェースの一例を説明する図である。図1に示すように、DVDレコーダには光ディスクであるDVDが装填され、ビデオ情報の記録再生を行う。操作は一般的にはリモコンで行われる。DVDレコーダに入力されるビデオ情報にはアナログ信号とデジタル信号の両者があり、アナログ信号としてはアナログ放送があり、ディジタル信号としてデジタル放送がある。一般的にはアナログ放送は、テレビジョン装置に内蔵され受信機により受信、復調され、NTSC等のアナログビデオ信号としてDVDレコーダに入力され、デジタル放送は、受信機であるSTB(Set Top Box)でデジタル信号に復調され、DVDレコーダに入力され記録される。
【0008】
一方、ビデオ情報が記録されたDVDディスクはDVDレコーダにより再生され外部に出力される。出力も入力同様に、アナログ信号とデジタル信号の両者があり、アナログ信号であれば直接テレビジョン装置に入力され、デジタル信号であればSTBを経由し、アナログ信号に変換された後にテレビジョン装置に入力されテレビジョン装置で映像表示される。また、DVDディスクにはDVDレコーダ以外のDVDカムコーダや、パーソナルコンピュータでビデオ情報が記録再生される場合がある。DVDレコーダ外でビデオ情報が記録されたDVDディスクであっても、DVDレコーダに装填されれば、DVDレコーダはこれを再生する。
【0009】
なお、上述したアナログ放送やデジタル放送のビデオ情報には通常、音声情報が付随している。付随している音声情報も同様にDVDレコーダで記録再生される。またビデオ情報は一般的には動画であるが、静止画の場合もある。例えば、DVDカムコーダの写真機能で静止画が記録される場合がそうなる。なお、STBとDVDレコーダの間のデジタルI/FはIEEE1394、ATAPI、SCSI等がありうる。
【0010】
なお、DVDレコーダとテレビジョン装置との間はコンポジットビデオ信号であるNTSと例示したが、輝度信号と色差信号を個別に伝送するコンポーネント信号でも良い。さらには、AV機器とテレビジョン装置の間の映像伝送I/FはアナログI/FをデジタルI/F、例えば、DVIに置きかえる研究開発が進められており、DVDレコーダとテレビジョン装置がデジタルI/Fで接続されることも当然予想される。
【0011】
(2.DVDレコーダ装置の機能概要)
図2は、DVDレコーダ装置の機能を示すブロック図である。ドライブ装置は、DVD−RAMディスク100のデータを読み出す光ピックアップ101、ECC(Error Correcting Code)処理部102、トラックバッファ103、トラックバッファへ103の入出力を切り替えるスイッチ104、エンコーダ部105及びデコーダ部106を備える。図に示すように、DVD−RAMディスク100には、1セクタ=2KBを最小単位としてデータが記録される。また、64セクタ=1ECCブロックとして、ECCブロックを単位としてECC処理部12でエラー訂正処理が施される。
【0012】
なお、1セクタは512Bでも良いし、8KBでも良い。また、ECCブロックも1セクタ、16セクタ、32セクタでも良い。記録できる情報容量の増大に伴い、セクタサイズ及びECCブロックを構成するセクタ数は増大すると予想される。
【0013】
トラックバッファ103は、DVD−RAMディスク100にAVデータをより効率良く記録するため、AVデータを可変ビットレート(VBR)で記録するためのバッファである。DVD−RAM100への読み書きレート(Va)が固定レートであるのに対して、AVデータはその内容(ビデオであれば画像)の持つ複雑さに応じてビットレート(Vb)が変化するため、このビットレートの差を吸収するためのバッファである。
【0014】
このトラックバッファ103を更に有効利用すると、ディスク100上にAVデータを離散配置することが可能になる。図3を用いてこれを説明する。図3(a)は、ディスク上のアドレス空間を示す図である。図3(a)に示す様にAVデータが[a1,a2]の連続領域と[a3,a4]の連続領域に分かれて記録されている場合、a2からa3へシークを行っている間、トラックバッファに蓄積してあるデータをデコーダ部106へ供給することでAVデータの連続再生が可能になる。この時の状態を示したのが図3(b)である。
【0015】
位置a1で読み出しを開始したAVデータは、時刻t1からトラックバッファへ103入力されると共に、トラックバッファ103からデータの出力が開始される。これにより、トラックバッファへの入力レート(Va)とトラックバッファからの出力レート(Vb)のレート差(Va−Vb)の分だけトラックバッファへデータが蓄積されていく。この状態が、検索領域がa2に達するまで、即ち、時刻t2に達するまで継続する。この間にトラックバッファ103に蓄積されたデータ量をB(t2)とすると、時間t2から、領域a3のデータの読み出しを開始する時刻t3までの間、トラックバッファ13に蓄積されているB(t2)を消費してデコーダ16へ供給し続けられれば良い。
【0016】
言い方を変えれば、シーク前に読み出すデータ量([a1,a2])が一定量以上確保されていれば、シークが発生した場合でも、AVデータの連続供給が可能である。AVデータの連続供給が可能な連続領域のサイズはECCブロック数(N_ecc)に換算すると次の式で示される。式において、N_secはECCブロックを構成するセクタ数であり、S_sizeはセクタサイズ、Tjはシーク性能(最大シーク時間)である。
【0017】
N#ecc = Vb*Tj/((N#sec*8*S#size)*(1-Vb/Va))
また、連続領域の中には欠陥セクタが生じる場合がある。この場合も考慮すると連続領域は次の式で示される。式において、dN_eccは容認する欠陥セクタのサイズである。このサイズもECCブロック数で表される。
【0018】
N#ecc = dN#ecc+Vb*Tj/((N#sec*8*S#size)*(1-Vb/Va))
なお、ここでは、DVD−RAMからデータを読み出す、即ち再生の場合の例を説明したが、DVD−RAMへのデータの書き込み、即ち録画の場合も同様に考えることができる。上述したように、DVD−RAMでは一定量以上のデータが連続記録さえされていればディスク上にAVデータを分散記録しても連続再生/録画が可能である。DVDでは、この連続領域をCDAと呼称する。
【0019】
(3.DVDディスクの概要)
本発明の実施形態における情報記録媒体として記録可能な光ディスクであるDVD−RAMディスクを用いる。図4は、本発明の実施形態における情報記録媒体として記録可能な光ディスクであるDVD−RAMディスク100の外観と物理構造を表した図である。なお、DVD−RAMは一般的にはカートリッジに収納された状態でDVDレコーダに装填される。記録面を保護するのが目的である。但し、記録面の保護が別の構成で行われたり、容認できる場合にはカートリッジに収納せずに、DVDレコーダに直接装填できるようにしても勿論良い。DVD−RAMディスクは相変化方式によりデータを記録する。ディスク上の記録データはセクタ単位で管理され、アクセス用のアドレスが付随する。64個のセクタは誤り訂正の単位となり、誤り訂正コードが付与され、ECCブロックと呼称される。
【0020】
図4(a)は、記録可能な光ディスクであるDVD−RAMディスク100の記録領域を表した図である。DVD−RAMディスク100は、最内周にリードイン領域を、最外周にリードアウト領域を、その間にデータ領域を配置している。リードイン領域は、光ピックアップのアクセス時においてサーボを安定させるために必要な基準信号や他のメディアとの識別信号などが記録されている。リードアウト領域もリードイン領域と同様の基準信号などが記録される。データ領域は、最小のアクセス単位であるセクタ(2kバイトとする)に分割されている。また、DVD−RAMディスク100は、記録・再生時においてZ−CLV(Zone Constant Linear Velocity)と呼ばれる回転制御を実現するために、データ領域が複数のゾーン領域に分割されている。
【0021】
図4(a)は、DVD−RAMディスク100に同心円状に設けられた複数のゾーン領域を示す図である。同図のように、DVD−RAMは、ゾーン0〜ゾーン23の24個のゾーン領域に分割されている。DVD−RAMの回転角速度は、内周側のゾーン程速くなるようにゾーン領域毎に設定され、光ピックアップが1つのゾーン内でアクセスする間は一定に保たれる。これにより、DVD−RAMの記録密度を高めると共に、記録・再生時における回転制御を容易にしている。
【0022】
図4(b)は、図4(a)において同心円状に示したリードイン領域と、リードアウト領域と、ゾーン領域0〜23を横方向に配置した説明図である。リードイン領域とリードアウト領域は、その内部に欠陥管理領域(DMA:Defect Management Area)を有する。欠陥管理領域とは、欠陥が生じたセクタの位置を示す位置情報と、その欠陥セクタを代替するセクタが上記代替領域の何れに存在するかを示す代替位置情報とが記録されている領域をいう。
【0023】
各ゾーン領域はその内部にユーザ領域を有すると共に、境界部に代替領域及び未使用領域を有している。ユーザ領域は、ファイルシステムが記録用領域として利用することができる領域をいう。代替領域は、欠陥セクタが存在する場合に代替使用される領域である。未使用領域は、データ記録に使用されない領域である。未使用領域は、2トラック分程度設けられる。未使用領域を設けているのは、ゾーン内では隣接するトラックの同じ位置にセクタアドレスが記録されているが、Z−CLVではゾーン境界に隣接するトラックではセクタアドレスの記録位置が異なるため、それに起因するセクタアドレス誤判別を防止するためである。
【0024】
このようにゾーン境界にはデータ記録に使用されないセクタが存在する。そのためデータ記録に使用されるセクタのみを連続的に示すように、DVD−RAMは、内周から順に論理セクタ番号(LSN:Logical Sector Number)をユーザ領域の物理セクタに割り当てている。
【0025】
図5は、論理セクタにより構成されるDVD−RAMの論理的なデータ空間を示す。論理的なデータ空間はボリューム空間と呼称され、ユーザデータを記録する。ボリューム領域は、記録データをファイルシステムで管理する。即ち、データを格納する1群のセクタをファイルとして、さらには1群のファイルをディレクトリとして管理するボリューム構造情報がボリューム領域の先頭と終端に記録される。本実施の形態のファイルシステムはUDFと呼称され、ISO13346規格に準拠している。
【0026】
なお、上記1群のセクタはボリューム空間で必ずしも連続的には配置されず、部分的に離散配置される。このため、ファイルシステムは、ファイルを構成するセクタ群のうち、ボリューム空間で連続的に配置される1群のセクタをエクステントとして管理し、ファイルを関連のあるエクステントの集合として管理する。
【0027】
図6は、DVD−RAMに記録されるディレクトリとファイルの構造を示す。ルートの下に、VIDEO_RTディレクトリがあり、この下に、再生用のデータである各種オブジェクトのファイルと、これらの再生順序や各種属性を示す管理情報としてVIDEO Managerファイルが格納される。オブジェクトはMPEG規格に準拠したデータであり、PS_VOB、TS1_VOB、TS2_VOB、AOB、POBがある。
【0028】
PS_VOB、AOB、POBはMPEGのプログラムストリーム(PS)であり、TS1_VOB及びTS2_VOBはトランスポートストリーム(TS)である。プログラムストリームは、パッケージメディアにAV情報を格納することを考慮されたデータ構造を有し、一方、トランスポートストリームは通信メディアを考慮したデータ構造を有する。
【0029】
PS_VOB、TS1_VOB、TS2_VOBは、いずれも映像情報と音声情報を共に有し映像情報が主体となるオブジェクトである。このうち、TS1_VOBは原則、DVDレコーダによりエンコードが行われ、内部のピクチャ構造が詳細に管理されているオブジェクトであり、TS2_VOBはDVDレコーダ外でエンコードされたオブジェクトであり、内部のピクチャ構造等のデータ構造が一部不明なオブジェクトである。
【0030】
典型的には、TS1_VOBは外部から入力されるアナログビデオ信号をDVDレコーダがトランスポートストリームにエンコードしたオブジェクトであり、TS2_VOBは外部から入力されるデジタルビデオ信号をエンコードすることなく直接ディスクに記録したオブジェクトである。
【0031】
AOB、POBはMPEGのプログラムストリームであり、AOBは音声情報が主体となるオブジェクトであり、POBは静止画が主体となるオブジェクトである。上述した、映像情報主体、音声情報主体とは、ビットレートの割り当てが大きいことを意味する。VOBは映画等のアプリケーションに用いられ、AOBは音楽アプリケーションに用いられる。
【0032】
(4.再生されるAV情報の概要)
図7は、DVDディスクに各種AVオブジェクトとして記録されるMPEGデータの構造を示す図である。図7が示すようにビデオストリーム及びオーディオストリームは、それぞれ分割され多重される。MPEG規格においては、多重化後のストリームをシステムストリームと呼称する。DVDの場合、DVD固有の情報が設定されたシステムストリームをVOB(Video Object)と呼称している。分割の単位は、パック・パケットと称され、約2Kbyteのデータ量を有する。
【0033】
ビデオストリームはMPEG規格で符号化されており、可変ビットレートで圧縮されており、動きが激しい等の複雑な映像であればビットレートが高くなっている。MPEG規格では、映像の各ピクチャは、Iピクチャ、Pピクチャ、Bピクチャに種類分けして符号化される。このうち、Iピクチャはフレーム内で完結する空間的な圧縮符号化が施されており、Pピクチャ、Bピクチャはフレーム間の相関を利用した時間的な圧縮符号化が施されている。MPEGでは少なくともIピクチャを含む区間をGOP(Group of Picture)として管理する。GOPは早送り再生等の特殊再生におけるアクセスポイントになる。フレーム内圧縮されたIピクチャを有するためである。一方、音声ストリームの符号化には、DVDの場合、MPEGオーディオであるAAC、MP3に加え、AC3やLPCMの符号化が用いられる。
【0034】
図7が示すように、GOPを構成するビデオ情報とそれに付随する音声情報とを含む多重化後のデータ単位はVOBU(Video Object Unit)と称される。VOBUには、当該動画区間の管理用の情報をヘッダ情報として含ませる場合がある。図7で説明したシステムストリームには、プログラムストリーム(PS)とトランスポートストリーム(TS)がある。前者はパッケージメディアを考慮したデータ構造を有し、後者は通信メディアを考慮したデータ構造を有する。
【0035】
図8は、プログラムストリームとトランスポートストリームのデータ構造の概要を説明する図である。プログラムストリームは、伝送及び多重化の最小単位である固定長のパックからなり、パックはさらに、1つ以上のパケットを有する。パックもパケットもヘッダ部とデータ部を有する。MPEGではデータ部をペイロードと称する。DVDの場合はパックの固定長はセクタサイズと整合性をとり2KBになる。パックは複数のパケットを有することができるが、DVDの映像や音声を格納するパックは1パケットのみを有するため、特別な場合を除いて1パック=1パケットになる。
【0036】
一方、トランスポートストリームの伝送及び多重化の単位は固定長のTSパケットからなる。TSパケットのサイズは188Bであり、通信用規格であるATM伝送との整合性をとっている。TSパケットは1つ以上が集まりPESパケットを構成する。PESパケットはプログラムストリームとトランスポートストリームで共通する概念であり、データ構造は共通である。プログラムストリームのパックに格納されるパケットはPESパケットを直接構成し、トランスポートストリームのTSパケットは1つ以上が集まりPESパケットを構成する。
【0037】
また、PESパケットは符号化の最小単位であり、符号化が共通するビデオ情報、オーディオ情報をそれぞれ格納する。即ち、一つのPESパケット内に符号化方式の異なるビデオ情報、オーディオ情報が混在して格納されることはない。但し、同じ符号化方式であればピクチャバウンダリやオーディオフレームのバウンダリは保証せずとも良い。図8に示すように複数のPESパケットで1つのIピクチャを格納したり、1つのPESパケットに複数のピクチャデータを格納するケースもありうる。
【0038】
図9と図10に、トランスポートストリームとプログラムストリームの個別のデータ構造を示す。図9、図10に示すように、TSパケットは、TSパケットヘッダと、適用フィールドと、ペイロード部から構成される。TSパケットヘッダにはPID(Program ID)が格納され、これによりTSパケットが所属するビデオストリームまたはオーディオストリーム等の各種ストリームが識別される。
【0039】
適用フィールドにはPCR(Program Clock Reference)が格納される。PCRはストリームをデコードする機器の基準クロック(STC)の参照値である。機器は典型的にはPCRのタイミングでシステムストリームをデマルチプレクスし、ビデオストリーム等の各種ストリームに再構築する。
【0040】
PESヘッダには、DTS(Decoding Time Stamp)とPTS(Presentation Time Stamp)が格納される。DTSは当該PESパケットに格納されるピクチャオーディオフレームのデコードタイミングを示し、PTSは映像音声出力等のプレゼンテーションタイミングを示す。なお、全てのPESパケットヘッダにPTS、DTSを有する必要はなく、Iピクチャの先頭データが格納開始されるPESパケットのヘッダにPTS、DTSがあれば、デコード及び出力に支障はない。
【0041】
TSパケットの構造の詳細は図11に示される。図11に示すように、適用フィールドにはPCRに加えて、ランダムアクセス表示フラグが格納され、当該フラグにより、対応するペイロード部にビデオ・オーディオのフレーム先頭であってアクセスポイントとなりうるデータを格納するか否かを示す。また、TSパケットのヘッダ部には前述したPIDに加えて、PESパケットの開始を示すユニット開始表示フラグ、適用フィールドが後続するか否かを示す適用フィールド制御情報も格納される。
【0042】
図10には、プログラムストリームを構成するパックの構造を示す。パックはパックヘッダにSCRとStreamIDを有する。SCRはトランスポートストリームのPCRと、StreamIDはPIDと実質同じである。またPESパケットのデータ構造はトランスポートストリームと共通なため、PESヘッダにPTSとDTSが格納される。
【0043】
プログラムストリームとトランスポートストリームの大きな違いの1つに、トランスポートストリームではマルチプログラムが許される点がある。即ち、番組という単位では1つの番組しかプログラムストリームは伝送できないが、トランスポートストリームは複数の番組を同時に伝送することを想定している。このため、トランスポートストリームでは、番組毎に番組を構成するビデオストリームとオーディオストリームが何れかを情報再生装置が識別することが必要になる。
【0044】
図12に、番組を構成するオーディオストリームとビデオストリームの構成情報を伝送するPATテーブル、PMAPテーブルを示す。図12に示すように、番組毎に使用されるビデオストリームとオーディオストリームの組み合わせに関する情報をPMAPテーブルが格納し、番組とPMAPテーブルの組み合わせに関する情報をPATテーブルが格納する。情報再生装置は、PATテーブル、PMAPテーブルにより出力が要求された番組を構成するビデオストリームとオーディオストリームを検出することができる。
【0045】
次に上述してきたプログラムストリームのパックと、トランスポートストリームのTSパケットのディスク上の配置に関して、図13を用いて説明する。図13(a)に示すように、64個のセクタはECCブロックを構成する。プログラムストリームの形式をとるビデオオブジェクト(PS#VOB)を構成するパック(PS Pack)は、図13(b)が示すように、セクタバウンダリで配置される。パックサイズもセクタサイズも2KBだからである。
【0046】
一方、トランスポートストリームの形式をとるビデオオブジェクト(TS1-VOB/TS2#VOB)はカプセル(Capsule)という8KBのサイズを有する単位でECCブロック内に配置される。カプセルは18Bのヘッダ領域を有し、データ領域には6BのATS情報が付加されたTSパケットが43個配置される。ATS情報(Arrival Time Stamp information)は、DVDレコーダにより生成し付加される情報であって、当該パケットがDVDレコーダに外部より伝送されたタイミングを示す。
【0047】
エフェクトデータは、エフェクトオブジェクトと呼ばれる単位を1つのファイルとして記録される。図14に、エフェクトオブジェクトのデータ構造を示す。エフェクトオブジェクトには、エフェクトの種類を特定するエフェクトの種類情報、ブレンドに関する情報を特定するブレンド情報を含む。ブレンド情報は、ブレンドの対象となるオブジェクトの識別情報であるオブジェクトID(Object ID)、ブレンドの対象となるオブジェクトのストリーム識別情報であるストリームID、ブレンド率情報、ブレンド率の時間的変化率を示すブレンド率の時間的変化情報およびブレンド率の位置的変化率を示すブレンド率の位置的変化情報を含む。
【0048】
(5.AV情報の管理情報と再生制御の概要)
図15は、図6が示すところのビデオ管理情報(Video Manager)と称されるファイルのデータ構造を示す図である。ビデオ管理情報は、各種オブジェクトのディスク上の記録位置等の管理情報を示すオブジェクト情報と、オブジェクトの再生順序等を示す再生制御情報とを有する。図15はディスクに記録されるオブジェクトとして、PS−VOB#1〜PS−VOB#n、TS1−VOB#1〜TS1−VOB#n、TS2−VOB#1〜TS2−VOB#nがある場合を示す。
【0049】
図15が示すように、これらオブジェクトの種類に応じて、PS−VOB用の情報テーブルと、TS1−VOB用の情報テーブルと、TS2−VOB用の情報テーブルが個別に存在すると共に、各情報テーブルは各オブジェクト毎のVOB情報を有している。VOB情報は、それぞれ、対応するオブジェクトの一般情報と、オブジェクトの属性情報と、オブジェクトの再生時刻をディスク上のアドレスに変換するためのアクセスマップ、当該アクセスマップの管理情報を有している。一般情報は、対応するオブジェクトの識別情報、オブジェクトの記録時刻等を有し、属性情報は、ビデオストリームのコーディングモードをはじめとするビデオストリーム情報(V_ATR)と、オーディオストリームの本数(AST_Ns)と、オーディオストリームのコーディングモードをはじめとするオーディオストリーム情報(A_ATR)とから構成される。
【0050】
アクセスマップを必要とする理由は2つある。まず1つ目は、再生経路情報がオブジェクトのディスク上での記録位置をセクタアドレス等で直接的に参照するのを避け、オブジェクトの再生時刻で間接的に参照できるようにするためである。RAM媒体の場合、オブジェクトの記録位置が編集等で変更される場合がおこりうるが、再生経路情報がセクタアドレス等で直接的にオブジェクトの記録位置を参照している場合、更新すべき再生経路情報が多くなるためである。一方、再生時刻で間接的に参照している場合は、再生経路情報の更新は不要で、アクセスマップの更新のみ行えば良い。
【0051】
2つ目の理由は、AVストリームが一般に時間軸とデータ(ビット列)軸の二つの基準を有しており、この二つの基準間には完全な相関性がないためである。例えば、ビデオストリームの国際標準規格であるMPEG−2ビデオの場合、可変ビットレート(画質の複雑さに応じてビットレートを変える方式)を用いることが主流になりつつあり、この場合、先頭からのデータ量と再生時間との間に比例関係がないため、時間軸を基準にしたランダムアクセスができない。この問題を解決するため、オブジェクト情報は、時間軸とデータ(ビット列)軸との間の変換を行うためのアクセスマップを有している。図15が示すように再生制御情報は、再生時間軸情報テーブル、ユーザ定義再生経路情報テーブル、オリジナル再生経路情報テーブル、タイトルサーチポインタを有する。
【0052】
図16が示すように、再生時間軸情報は、1つ以上の再生経路を定める情報であり、各再生時間軸に付随する管理情報である再生時間軸一般情報、一つの再生経路においてオブジェクトを再生する順序の情報である再生開始点情報およびセル情報を含む。ここで、再生時間軸とは、再生開始時刻を基準とした、再生経路毎の時間軸である。
【0053】
再生時間軸一般情報には、時間軸が単独(シングルパス)で再生されるか、重複(マルチパス)で再生されるかを示すブロックタイプ、重複して再生される時間軸を特定するブロックモード、再生時間軸情報の固有の名称情報、再生時間軸情報を作成した日時に関する情報、時間軸の長さの情報、時間の精度の情報(27MHzや90kHzなど)、時間軸の開始値の情報、NPT(Normal Play Time)の開始値の情報を含む。これらの情報が再生時間軸情報毎に設定可能となることで、作成する時間軸毎にタイトルを作成したり、再生時間軸の作成日時を記録したり、配置するオブジェクトの時間精度などが設定可能となる。
【0054】
再生開始点情報には、セルを再生する時刻の情報である再生開始時刻情報、セルの属するオブジェクトの識別情報であるオブジェクトID(Object ID)およびセルの識別情報であるセルIDを含む。ここで、セルとは、オブジェクトの再生開始時刻と再生終了時刻で特定されるオブジェクトの再生区間を示す。セル情報は、セルの属性を示す属性情報とオブジェクトの再生される区間を特定する再生区間特定情報として、区間の開始位置を表した開始時刻情報(Start#PTM)、および区間の終了位置を表した終了時刻情報(End#PTM)を含む。再生開始時刻と再生終了時刻は前述したアクセスマップにより、オブジェクトの実際のディスク上の開始位置情報と終了位置情報に変換される。
【0055】
図17において、再生時間軸#1が設けられ、シングルパスが実現されている。そして、VOB1のセル1の部分が再生開始点#1から再生され、VOB2のセル2の部分が再生開始点#2から再生されている。図17で示すような所望の時刻に再生を実現する、各種パラメータについて図18を用いて詳述する。
【0056】
再生時間軸#1はシングルパスであるので、これに対応する再生時間軸情報#1のブロックタイプには、“S”が指定され、ブロックモードには“―”と指定される。再生開始点#1に対応する再生開始点情報#1には、再生開始時刻情報としてT1が指定され、オブジェクトIDとしてVOB1が指定され、セルIDとして、セル1が指定される。再生開始点#2に対応する再生開始点情報#2には、再生開始時刻情報としてT2が指定され、オブジェクトIDとしてVOB2が指定され、セルIDとして、セル2が指定される。以上に述べたパラメータの設定によりVOB1、VOB2を所望の時刻に再生できる。
【0057】
また、図19において、再生時間軸#2、#3が設けられ、マルチパスが実現されている。そして、再生時間軸#2上において、VOB3のセル3の部分が再生開始点#3から再生され、VOB3のセル4の部分が再生開始点#4に再生される。再生時間軸#3上において、VOB3のセル3の部分が再生開始点#5から再生され、VOB4のセル6の部分が再生開始点#6から再生され、VOB3のセル5の部分が再生開始点#7に再生される。
【0058】
図19で示すような所望の時刻に再生を実現する、各種パラメータについて図20を用いて、詳述する。再生時間軸#2と再生時間軸#3とはマルチパスであるので、再生時間軸#2に対応する再生時間軸情報#2のブロックタイプには、“M”と指定され、ブロックモードには“先”と指定される。また、再生時間軸#3に対応する再生時間軸情報#3のブロックタイプには、“M”と指定され、ブロックモードには“後”と指定される。
【0059】
再生時間軸情報#2には、再生開始点#3,4に対応する再生開始点情報#3、4が含まれる。再生開始点情報#3には、再生開始時刻情報としてT3が指定され、オブジェクトIDとしてVOB3が指定され、セルIDとして、セル3が指定される。再生開始点情報#4には、再生開始時刻情報としてT4が指定され、オブジェクトIDとしてVOB3が指定され、セルIDとして、セル4が指定される。
【0060】
再生時間軸情報#3には、再生開始点#5、6、7に対応する再生開始点情報#5、6、7が含まれる。再生開始点情報#5には、再生開始時刻情報としてT5が指定され、オブジェクトIDとしてVOB3が指定され、セルIDとして、セル3が指定される。再生開始点情報#6には、再生開始時刻情報としてT6が指定され、オブジェクトIDとしてVOB4が指定され、セルIDとして、セル6が指定される。再生開始点情報#7には、再生開始時刻情報としてT7が指定され、オブジェクトIDとしてVOB3が指定され、セルIDとして、セル5が指定される。以上に述べたパラメータの設定により、VOB3、4の所望のセルを所望の時刻に再生でき、かつ、再生時間軸#2、3のマルチパスを実現できる。
【0061】
さらに、図21において、再生時間軸#4が設けられ、シングルパスが実現されている。VOB5のセル7の部分が再生開始点#8から再生され、VOB6のセル8の部分が再生開始点#9から再生され、および、VOB6のセル8の部分が再生開始点#10に再生されている。VOB5のセル7の部分とVOB6のセル8の部分が時刻T8から時刻T9までの間と時刻T10からT11までの間、重複再生されている。図21で示すような重複再生を実現する、各種パラメータについて図22を用いて詳述する。
【0062】
再生時間軸#4はシングルパスであるので、再生時間軸情報#4のブロックタイプには、“S”と指定され、ブロックモードには“―”と指定される。再生開始点情報#8には、再生開始時刻情報としてT8が指定され、オブジェクトIDとしてVOB5が指定され、セルIDとして、セル7が指定される。再生開始点情報#9には、再生開始時刻情報としてT8が指定され、オブジェクトIDとしてVOB6が指定され、セルIDとして、セル8が指定される。再生開始点情報#10には、再生開始時刻情報としてT10が指定され、オブジェクトIDとしてVOB6が指定され、セルIDとして、セル8が指定される。以上に述べたパラメータの設定によりVOB5、6のシングルパスでの重複再生が行われる。
【0063】
複数のセルが重複再生される際の処理は、データの種類や再生機器の性能により様々である。例えば、オーディオストリームを含む動画オブジェクトであるVOB5と、VOB5が記録された日時と異なった日時にアフレコしたオーディオストリームのオブジェクトであるVOB6のそれぞれのセルが重複して再生できる。また、VOB5およびVOB6共に動画オブジェクトで、ユーザー操作により再生するVOB5とVOB6とを切り替えることができれば、簡単にマルチアングルやマルチビューを行える。この際、情報再生装置は2つのセルを重複して再生する必要はなく、一方のセルだけを再生し、表示するデータが切り替わったときに、その再生時間経過時点の他方のセルを再生すれば良い。情報再生装置に十分な性能があり複数の動画データを重複して再生できるならば、子画面表示することも可能である。
【0064】
また、図23(a)において、再生時間軸#5が設けられ、シングルパスが実現されている。そして、VOB7のセル9の部分が再生開始点#11から再生され、VOB8のセル10の部分が再生開始点#12から再生されている。そして、セル9とセル10の重複部分において、エフェクトオーディオ9のセル11の部分が再生されている。図23で示すような所望の時刻に重複再生とエフェクトとを実現する、各種パラメータについて図24を用いて詳述する。
【0065】
再生時間軸#5はシングルパスであるので、再生時間軸情報#5のブロックタイプには、“S”が指定され、ブロックモードには“―”と指定される。再生開始点#11に対応する再生開始点情報#11には、再生開始時刻情報としてT12が指定され、オブジェクトIDとしてVOB7が指定され、セルIDとしてセル9が指定される。再生開始点#12に対応する再生開始点情報#12には、再生開始時刻情報としてT13が指定され、オブジェクトIDとしてVOB8が指定され、セルIDとしてセル10が指定される。さらに、再生開始点#13に対応する再生開始点情報#13には、再生開始時刻情報としてT13が指定され、オブジェクトIDとしてエフェクトオブジェクト9が指定され、セルIDとして、セル11が指定される。ここでエフェクトオブジェクトのデータ構造のパラメータを設定することにより、セル9とセル10にエフェクトの効果を実行できる。
【0066】
例えば、エフェクトの種類としてブレンドを指定する。さらに、オブジェクトIDとしてVOB7を指定し、VOB7のストリームIDとして音声ストリームを意味する“A”を指定し、VOB7のブレンド率情報として20を指定する。さらに、VOB7のブレンド率の時間的変化情報として−を指定し、VOB7のブレンド率の位置的変化情報として−を指定する。オブジェクトIDとしてVOB8を指定し、VOB8のストリームIDとして音声ストリームを意味する“A”を指定し、VOB8のブレンド率情報として80を指定する。さらに、VOB8のブレンド率の時間的変化情報として―を指定し、VOB8のブレンド率の位置的変化情報として−を指定する。すると、VOB7が音声ストリームを含む動画オブジェクトであり、その音声ストリームの出力を全体の20%とし、VOB8がアフレコした音声ストリームのオブジェクトであり、その出力を全体の80%と設定でき、アフレコの音声ストリームを主に出力しながら、オリジナルの音声ストリームを従に出力することができる。
【0067】
エフェクトの種類をフェードイン・フェードアウトとして、セル9とセル10のブレンド率の時間的変化情報のパラメータを指定することによりフェードイン・フェードアウトの効果を作り出すことが可能である。さらに、エフェクトの種類をワイプとして、ブレンド率の時間的変化情報と共にブレンド率の位置的変化情報のパラメータを指定することによりワイプエフェクトを作り出すことも可能である。また、これ以外のエフェクトを作り出すことも可能である。
【0068】
再生時間軸上に再生開始点情報を設定しオブジェクトを配置する際に、いくつかの制限を設けることにより、再生不可能なプレイリストが生成されるのを防止する。図25(a)に示すように、再生時間軸上でオブジェクトが配置されていない空白区間がある場合、空白区間を切り取り、以降のオブジェクトの再生開始時刻情報を修正し、連続してオブジェクトが存在するように変更することにより、再生不可能なプレイリストが生成されるのを防止する。或いは、空白区間は何もないオブジェクトを埋めることにより、管理情報的には空白区間が存在しないようにする。
【0069】
また、同時再生されるオブジェクトを配置する際にもいくつかの制限を設ける必要がある。再生機器の性能が十分で複数のデータを同時再生可能であったとしても、無限個のオブジェクトを同時再生可能なわけではない。そのため、図25(b)に示されるように、動画オブジェクトや音声オブジェクト、或いはその他のオブジェクトを同時に処理できる性能によって、再生時間軸上の同じ時間帯に配置できるオブジェクト数を限定する必要がある。
【0070】
また、図26(a)で示すように、1つの再生経路を定める情報には、DVDレコーダがオブジェクト記録時に記録された全てのオブジェクトを示すように自動生成するオリジナル定義再生経路情報と、ユーザが自由に再生シーケンスを定義できるユーザ定義再生経路情報の2種類がある。これらを、DVDではPGC情報(Program Chain Information)と統一的呼称され、ユーザ定義再生経路情報はU−PGC情報、オリジナル再生経路情報はO−PGC情報と呼称される。O−PGC情報、U−PGC情報はそれぞれ、オブジェクトの再生区間であるセルを示す情報であるセル情報をテーブル形式で列挙する情報である。O−PGC情報で示されるオブジェクトの再生区間はオリジナルセル(O−CELL)と呼称され、U−PGC情報で示されるオブジェクトの再生区間はユーザセル(U−CELL)と呼称される。図26(b)が示すように、PGC情報により示されるセル群は、テーブルのエントリー順序に従って順次再生される一連の再生シーケンスを構成する。
【0071】
図27は、オブジェクト、セル、PGC、アクセスマップの関係を具体的に説明する図である。図27に示すように、オリジナルPGC情報e50は少なくとも1つのセル情報e60、e61、e62、e63を含む。セル情報e60…は再生するオブジェクトを指定し、かつ、そのオブジェクトタイプ、オブジェクトの再生区間を指定する。PGC情報e50におけるセル情報の記録順序は、各セルが指定するオブジェクトが再生されるときの再生順序を示す。一のセル情報e60には、それが指定するオブジェクトの種類を示す属性情報(Type)e60aと、オブジェクトの識別情報であるオブジェクトID(Object ID)e60bと、時間軸上でのオブジェクト内の開始時刻情報(Start#PTM)e60cと、時間軸上でのオブジェクト内の終了時刻情報(End#PTM)e60dとが含まれる。
【0072】
データ再生時は、PCG情報e50内のセル情報e60が順次読み出され、各セルにより指定されるオブジェクトが、セルにより指定される再生区間分再生されることになる。アクセスマップe80cは、セル情報が示す開始時刻情報と終了時刻情報とをオブジェクトのディスク上での位置情報に変換する。
【0073】
上述したマップ情報であるが、オブジェクトの記録時に共に生成され記録される。マップを生成するためには、オブジェクトのデータ内のピクチャ構造を解析する必要がある。具体的には図8で示すIピクチャの位置の検出と、図9、図10に示す当該Iピクチャの再生時刻であるPTS等のタイムスタンプ情報の検出が必要になる。
【0074】
ここで、PS−VOBとTS1−VOBとTS2−VOBのマップ情報を生成する際に生じる問題について以下説明する。PS−VOB、TS−VOB1は、図1で説明したように主として、受信されたアナログ放送をDVDレコーダがMPEGストリームにエンコードすることにより生成される。このため、Iピクチャや各種タイムスタンプの情報は自らが生成しており、DVDレコーダにとってストリーム内部のデータ構造は明確であり、マップ情報の生成に何の問題も生じない。
【0075】
次に、TS2−VOBであるが、図1で説明したように主として、受信されたデジタル放送をDVDレコーダがエンコードすることなく直接ディスクに記録する。このため、PS−VOBのようにIピクチャの位置とタイムスタンプ情報を自ら生成するわけではないため、DVDレコーダにとってストリーム内部のデータ構造は明確ではなく、記録するデジタルストリームからこれら情報を検出することが必要になる。
【0076】
このため、DVDレコーダは、TS2−VOBのマップ情報については下記のようにIピクチャとタイムスタンプを検出する。まず、Iピクチャの検出は、図11に示すTSパケットの適用フィールドのランダムアクセス表示情報を検出することにより行う。また、タイムスタンプの検出については、PESヘッダのPTSを検出することにより行う。タイムスタンプについては、PTSの代わりに、適用フィールドのPCRや、TSパケットがDVDレコーダに伝送されてきた到着タイミングであるATSで代用することもある。いずれにせよ、DVDレコーダはMPEGストリームのビデオ層のデータ構造を解析することなく、その上位層であるシステム層の情報により、Iピクチャの位置を検出する。これは、マップ情報を生成するためにビデオ層の解析まで行うのはシステムの負荷が大きいためである。
【0077】
また、システム層の検出が不可能な場合もありうるが、この場合は、マップ情報が生成できないため、有効なマップ情報が無いことを示すことが必要になる。DVDレコーダでは図15(b)に示すマップ管理情報によりこれらが示される。図15(b)に示すようにマップ管理情報は、マップ有効性情報と自己エンコーディングフラグとを有する。自己エンコーディングフラグは、DVDレコーダ自らがエンコードしたオブジェクトであることを示し、内部のピクチャ構造が明確であり、マップ情報のタイムスタンプ情報やIピクチャの位置情報等が正確であることを示している。また、マップ有効性情報は、有効なアクセスマップがある無いかを示す。
【0078】
なお、システム層の検出が不可能な例としては、適用フィールドが設定されていない場合や、そもそもMPEGトランスポートストリームで無いデジタルストリームの場合が考えうる。デジタル放送が世界各国で各種方式が成立しうるため、DVDレコーダがマップを生成できないオブジェクトを記録するケースも当然予想される。例えば、日本のデジタル放送を想定したDVDレコーダを米国で使用し、米国のデジタル放送を記録した場合、マップを生成できないオブジェクトを記録するケースが出てくる。
【0079】
但し、DVDレコーダはマップ情報が生成されないオブジェクトについても、先頭から順次再生することは可能である。この場合、記録されたデジタルストリームをデジタルI/Fを介して、当該ストリームに対応したSTBに出力することでこれを映像再生することができる。
【0080】
(6.再生機能の基本動作)
次に、図28を用いて上記光ディスクを再生するDVDレコーダプレーヤの再生動作について説明する。図28に示すように、プレーヤは、光ディスク100からデータを読み出す光ピックアップ201と、読み出したデータのエラー訂正等を行うECC処理部202と、エラー訂正後の読み出しデータを一時的に格納するトラックバッファ203と、動画オブジェクト(PS_VOB)等のプログラムストリームを再生するPSデコーダ205と、ディジタル放送オブジェクト(TS1_VOB)のトランスポートストリームを再生するTSデコーダ206と、オーディオ・オブジェクト(AOB)を再生するオーディオデコーダ207と、静止画オブジェクト(POB)をデコードする静止画デコーダ208と、各デコーダ205、206…へのデータ入力を切り換える切換え手段210と、プレーヤの各部を制御する制御部211とを備える。
【0081】
光ディスク100上に記録されているデータは、光ピックアップ201から読み出され、ECC処理部202を通してトラックバッファ203に格納される。トラックバッファ203に格納されたデータは、PSデコーダ205、TSデコーダ206、オーディオデコーダ207、静止画デコーダ208の何れかに入力されデコードおよび出力される。このとき、制御部211は読み出すべきデータを再生時間軸情報、再生経路情報(PGC)が示す再生シーケンスに基づき決定する。
【0082】
また、制御部211は、図27が示す再生時間軸情報、再生経路情報(PGC)により、再生開始時刻、報再生するセルのタイプ、対応するオブジェクト、オブジェクトの開始時刻、終了時刻を獲得することができる。制御部211はこれに基づき、特定されるオブジェクトの区間のデータを、適合するデコーダに入力する。
【0083】
図29のフローチャートを用いて、上記再生処理の動作を詳述する。図29において、再生がスタートしてから、ステップS300で、ビデオ管理情報を入手する。ステップS301で、VOB情報、再生時間軸情報などを読み込み、ステップS302で、再生時間軸(タイトル)を表示する。ステップS303で、ユーザが少なくとも1つの再生時間軸(タイトル)を選択したか判断する。ステップS304で、選択された再生時間軸のデータを記録媒体から読みとり、コンテンツの再生を開始する。
【0084】
ステップS305で、再生開始点情報の再生開始時刻情報で指定される時刻に該当するかをモニターしている。再生開始時刻情報に該当する時刻でない場合には、ステップS306に行き、再生は待機される。ステップS305で再生開始時刻情報で指定される時刻に該当する場合には、ステップS307に行き、コンテンツの再生を開始する。ステップS308で、選択された再生時間軸の再生が完了したか判断される。再生が完了していない場合には、ステップS305の手前の処理にジャンプする。再生が完了した場合には、上記再生動作が終了する。
【0085】
また、本実施形態のプレーヤは、さらに、AVストリームを外部に供給するためのディジタルインタフェース204を有している。これにより、AVストリームをIEEE1394やIEC958などの通信プロトコルを介して外部に供給することも可能である。これは、特に、自らがエンコードしていないTS2−VOBについては、プレーヤ内部に該当するデコーダが存在しないケースもありうるため、デコードすることなく、直接、ディジタルインタフェース204を通じて外部のSTBに出力し、そのSTBで再生させることができる。
【0086】
外部にデジタルデータを直接出力する際には、制御部211は図15(b)のマップ管理情報に基づき、ランダムアクセス再生が可能かを否か判断する。アクセスポイント情報フラグが有効であれば、アクセスマップはIピクチャの位置情報を有する。このため、制御部211は外部機器から早送り再生等の要求があればこれに応じて、Iピクチャを含むデジタルデータをデジタルI/Fを介して外部機器に出力することができる。また、タイムアクセス情報フラグが有効であれば、タイムアクセスが可能である。このため制御部211は、外部の機器からのタイムアクセスの要求に応じて、指定された再生時刻に相当するピクチャデータを含むデジタルデータをデジタルI/Fを介して外部機器に出力することができる。
【0087】
(7.記録機能の基本動作)
次に、図30を用いて上記光ディスクに対して記録、再生を行う本発明に係るDVDレコーダの構成および動作について説明する。図30に示すように、DVDレコーダは、ユーザへの表示およびユーザからの要求を受け付けるユーザインターフェース部222、DVDレコーダ全体の管理および制御を司るシステム制御部212、VHFおよびUHFを受信するアナログ放送チューナ213、アナログ信号をディジタル信号に変換しMPEGプログラムストリームにエンコードするエンコーダ214、ディジタル衛星放送を受信するデジタル放送チューナ215、ディジタル衛星で送られるMPEGトランスポートストリームを解析する解析部216、テレビおよびスピーカなどの表示部217、AVストリームをデコードするデコーダ218とを備える。
【0088】
デコーダ218は、図15に示した第1及び第2のデコーダ等からなる。さらに、DVDレコーダは、デジタルインターフェース部219と、書きこみデータを一時的に格納するトラックバッファ220と、DVD−RAM100にデータを書き込むドライブ221とを備える。デジタルインターフェース部219はIEEE1394等の通信プロトコルにより外部機器にデータを出力するインタフェースである。このように構成されるDVDレコーダにおいては、ユーザインターフェース部222が最初にユーザからの要求を受ける。ユーザインターフェース部222はユーザからの要求をシステム制御部212に伝え、システム制御部212はユーザからの要求を解釈および各モジュールへ処理要求を行う。
【0089】
次にユーザからアナログ放送の録画要求があった場合で、PS−VOBが記録される場合で以下、具体的に説明する。システム制御部212はアナログ放送チューナ213への受信とエンコーダ部214へのエンコードを要求する。エンコーダ部214はアナログ放送チューナ213から送られるAVデータをビデオエンコード、オーディオエンコードおよびシステムエンコードしてトラックバッファ220に送出する。エンコーダ部214は、エンコード開始直後に、エンコードしているMPEGプログラムストリームの再生開始時刻(PS_VOB_V_S_PTM)をシステム制御部212に送り、続いてTマップを作成するための情報として動画オブジェクトユニット(VOBU)の時間長およびサイズ情報をエンコード処理と平行してシステム制御部212に送る。
【0090】
次にシステム制御部212は、ドライブ221に対して記録要求を出し、ドライブ221はトラックバッファ220に蓄積されているデータを取り出しDVD−RAMディスク100に記録する。この時、システム制御部212はファイルシステムのアロケーション情報からディスク100上のどこに記録するかをあわせてドライブ221に指示する。
【0091】
録画終了はユーザからのストップ要求によって指示される。ユーザからの録画停止要求は、ユーザインターフェース部222を通してシステム制御部212に伝えられ、システム制御部212はアナログ放送チューナ213とエンコーダ部214に対して停止要求を出す。エンコーダ部214はシステム制御部212からのエンコード停止要求を受けエンコード処理を止め、最後にエンコードを行ったMPEGプログラムストリームの再生終了時刻(PS_VOB_V_E_PTM)をシステム制御部212に送る。システム制御部212は、エンコード処理終了後、エンコーダ214から受け取った情報に基づき動画オブジェクト情報(PS_VOBI)、再生時間軸情報を生成する。
【0092】
次に、この動画オブジェクト情報(PS_VOBI)に対応するセル情報を生成するが、この時重要なのは、セル情報内の属性情報を「PS_VOB」にすることである。前述した通り、セル情報内の情報は、動画オブジェクト(PS_VOB)には依存しない形で構成されており、動画オブジェクト(PS_VOB)に依存する情報は全て動画オブジェクト情報(PS_VOBI)の中に隠蔽された形になっている。従って、セル情報の属性情報の認識を誤ると、正常な再生ができなくなり、場合によってはシステムダウンが起こる場合もある。
【0093】
最後にシステム制御部212は、ドライブ221に対してトラックバッファ220に蓄積されているデータの記録終了と、動画オブジェクト情報(PS_VOBI)およびセル情報、再生時間軸情報の記録を要求し、ドライブ221がトラックバッファ220の残りデータと、動画オブジェクト情報(PS_VOBI)と、セル情報とをDVD−RAMディスク100に記録し、録画処理を終了する。なお、アナログ放送をTS1−VOBにエンコードしても勿論良い。また、エンコードすることなく記録されるTS2−VOBの場合は、エンコード動作を当然回避する。
【0094】
解析部216は、最初にMPEGトランスポートストリームからディジタル放送オブジェクト情報(TS2_VOBI)の生成に必要な情報として、開始時刻情報(D_VOB_V_S_PTM)を抽出してシステム制御部212に送る。次に、MPEGトランスポートストリーム中のオブジェクトユニット(VOBU)を決定し、Tマップ生成に必要なオブジェクトユニットの時間長とサイズとをシステム制御部212に送る。なお、オブジェクトユニット(VOBU)の決定は、前述したようにTSパケットヘッダ中の適用フィールド(adaptation field)内のランダムアクセスインジケータ(randam#access#indicator)をもとに検出することにより可能である。
【0095】
次にシステム制御部212は、ドライブ221に対して記録要求を出力し、ドライブ221はトラックバッファ220に蓄積されているデータを取り出しDVD−RAMディスク100に記録する。この時、システム制御部212はファイルシステムのアロケーション情報からディスク上のどこに記録するかをあわせてドライブ221に指示する。
【0096】
録画終了はユーザからのストップ要求によって指示される。ユーザからの録画停止要求は、ユーザインターフェース部222を通してシステム制御部212に伝えられ、システム制御部212はディジタルチューナ215と解析部216に停止要求を出す。解析部216はシステム制御部212からの解析停止要求を受け解析処理を止め、最後に解析を行ったMPEGトランスポートストリームの動画オブジェクトユニット(VOBU)の最後の表示終了時刻(D_VOB_V_E_PTM) をシステム制御部212に送る。
【0097】
システム制御部212は、ディジタル放送の受信処理終了後、解析部216から受け取った情報に基づき、ディジタル放送オブジェクト情報(D_VOBI)を生成する。次に、このディジタル放送オブジェクト情報(D_VOBI)に対応するセル情報を生成するが、この時、セル情報内の属性情報として「D_VOB」を設定する。また、再生時間軸情報も生成する。
【0098】
最後にシステム制御部212は、ドライブ221に対してトラックバッファ220に蓄積されているデータの記録終了と、ディジタル放送オブジェクト情報、セル情報および再生時間軸情報の記録を要求する。ドライブ221は、トラックバッファ220の残りデータと、ディジタル放送オブジェクト情報(D_VOBI)、セル情報、再生時間軸情報をDVD−RAMディスク100に記録し、録画処理を終了する。
【0099】
以上、ユーザからの録画開始および終了要求をもとに動作を説明したが、例えば、VTRで使用されているタイマー録画の場合では、ユーザの代わりにシステム制御部が自動的に録画開始および終了要求を発行するだけであって、本質的にDVDレコーダの動作が異なるものではない。
【0100】
(DVDレコーダの再生)
次にDVDレコーダにおける再生動作について説明する。まず、ユーザインターフェース部222がユーザからの要求を受ける。ユーザインターフェース部222はユーザからの要求をシステム制御部212に伝え、システム制御部212はユーザからの要求の解釈および各モジュールへの処理要求を行う。ユーザからの要求がPGCの再生であった場合、システム制御部212はPGC情報およびセル情報を解析してどのオブジェクトの再生かを解析する。なお、以下では、1つの動画オブジェクト(M_VOB)と、1つのセル情報とから構成されるオリジナルPGCの場合を説明する。
【0101】
システム制御部212は最初にPGC情報内のセル情報内の属性情報を解析する。属性情報が「M_VOB」であった場合、再生するAVストリームがMPEGプログラムストリームとして記録されたAVストリームであることが分かる。次にシステム制御部212は、セル情報のIDから対応する動画オブジェクト情報(M_VOBI)を、テーブル(M_AVFIT)から探し出す。次に、セル情報の開始および終了位置情報と、動画オブジェクト情報の開始時刻情報(M_VOB_V_S_PTM)及び終了時刻情報(M_VOB_V_E_PTM)と、Tマップとから、再生するAVデータの開始および終了アドレスを求める。
【0102】
次に、システム制御部212はドライブ221に対して、DVD−RAMディスク100からの読み出し要求を、読み出しアドレスと共に送る。ドライブ221は、システム制御部212に指示されたアドレスからAVデータを読み出し、トラックバッファ220に格納する。次に、システム制御部212は、デコーダ218に対して、MPEGプログラムストリームのデコード要求を行う。デコーダ218はトラックバッファ220に格納されているAVデータを読み出し、デコード処理を行う。デコードされたAVデータは表示装置217を通して出力される。
【0103】
ドライブ221はシステム制御部212から指示された全データの読み出し終了後、システム制御部212に読み出し終了を報告し、システム制御部212は、デコーダ218に対して再生終了要求を出す。デコーダ218はトラックバッファ220が空になるまでデータの再生を行い、トラックバッファ220が空になり、全てのデータのデコードおよび再生が終了した後、システム制御部212に再生終了を報告を行い、再生処理が終了する。
【0104】
以上、1つの動画オブジェクト(M_VOB)、1つのセル情報から構成されるオリジナルPGCを例に説明を行ったが、オリジナルPGCが、1つのディジタル放送オブジェクト(D_VOB)のみを含む場合、複数の動画オブジェクトを含む場合、複数のディジタル放送オブジェクトを含む場合、もしくは、動画オブジェクトとディジタル放送オブジェクトとが混在する場合でも、同様の処理を行うことでAVストリームの再生が可能である。また、オリジナルPGCが複数セルを含む場合や、ユーザ定義PGCの場合も同様である。
【0105】
また、オーディオ・オブジェクト(AOB)や、静止画オブジェクト(S_VOBS)などのAVストリームもデコーダ218内の構成が異なるだけであり、他のモジュールや、動作処理は基本的に同じである。この場合、デコーダ218は、PSデコーダ205、TSデコーダ206、オーディオデコーダ207、静止画デコーダ208で構成できる。
【0106】
次に、デコーダ218が全てのAVストリームの再生機能を持たない場合の例について説明する。例えば、デコーダ218がMPEGトランスポートストリームの再生機能を有していない場合、前述したようにデコーダ218を通しての再生が不可能であるので、この場合、ディジタルインターフェース部219を介して外部機器にデータを供給し、外部機器にてデータの再生を行う。
【0107】
システム制御部212は、ユーザから再生要求されたPGC情報内のセル情報が、システムがサポートしていないディジタル放送オブジェクト(D_VOB)であることを検出した場合、デコーダ218に対する再生要求の代わりに、ディジタルインターフェース部219に対してデータの外部出力要求を行う。ディジタルインターフェース部219はトラックバッファ220に蓄積されているAVデータを接続しているディジタルインターフェースの通信プロトコルに従いデータの転送を行う。なお、上述した処理以外は動画オブジェクト(M_VOB)の再生時と同様である。また、デコーダ218が再生対象のAVストリームに対応しているか否かは、システム制御部212が自身で判断しても良いし、システム制御部212からデコーダ218に問い合わせるようにしても良い。
【0108】
(DVDプレーヤ)
次に、図31を用いて上記光ディスクを再生する本発明にかかるDVDプレーヤの構成について説明する。本DVDプレーヤは前述のプレーヤモデルを実現するものである。図31に示すように、DVDプレーヤは、ユーザへの表示およびユーザからの要求を受け付けるユーザインターフェース部3101、DVDプレーヤの構成要素全体の管理および制御を司るシステム制御部3102、テレビおよびスピーカ等からなる表示部3103、MPEGストリームをデコードするデコーダ3104、IEEE1394などに接続するディジタルインターフェース部3105、DVD−RAM100から読み出したデータを一時的に蓄積するトラックバッファ3106、DVD−RAM100からデータを読み出すドライブ3107を備える。このように構成されるDVDプレーヤは、前述したDVDレコーダと同様の再生動作を行う。
【0109】
なお、本実施形態では、DVD−RAMを例に説明をしたが、他のメディアにおいても同様のことが言え、本発明はDVD−RAMや光ディスクにのみ制限されるものではない。
【0110】
また、本実施形態では、デコーダがサポートしていないAVストリームの場合にディジタルインターフェースを介して再生を行うとしたが、デコーダがサポートしているAVストリームであっても、ユーザの要求によってディジタルインターフェースを介して外部機器に出力するようにしても良い。また、本実施形態では、オーディオデータおよび静止画データをMPEGストリームでない独自のデータであるとして説明したが、これらのデータがMPEGシステムストリームの構成で記録されても良い。本実施形態ではエフェクトオブジェクトを用いて、エフェクトを実行したが、セル情報を用いてエフェクトを実行しても良い。
【0111】
図32にセル情報のデータ構造を示す。セル情報には、セルの一般情報、開始時刻情報(Start_PTM)、終了時刻情報(End_PTM)、セルの任意の位置を指定するセルエントリポイント情報、セル内のエントリポイント毎のエフェクト情報およびセル内のエントリポイント毎のブレンド情報が含まれる。セルの一般情報には、セルの属性情報が含まれる。セル内のエントリポイント毎のエフェクト情報は、エフェクトの種類、エフェクトの方向およびエフェクトの効果持続範囲を含む。
【0112】
また、セル内のエントリポイント毎のブレンド情報は、ブレンドの対象となるセルの識別情報であるセルID、ブレンドの対象となるセルのストリームの識別情報であるストリームID、ブレンド率情報、ブレンド率の時間的変化を示すブレンド率の時間的変化情報、ブレンド率の位置的変化を示す位置的変化情報とを含む。エフェクト情報、ブレンド情報に含まれるパラメータを指定することにより、エフェクトを実現できる。
【0113】
例えば、図22で示すVOB7が音声ストリームを含む動画セルであり、その音声ストリームの出力を全体の20%とし、VOB8がアフレコした音声ストリームのオブジェクトであり、その出力を全体の80%するには、図22のパラメータに加え、図33のパラメータを指定する。即ち、セル7には、セルエントリポイント情報としてセル7の先端部の位置にENT1を指定する。また、エフェクトの種類としてブレンドを指定し、エフェクトの方向として後を指定し、エフェクトの効果持続範囲としてT11−T8を指定する。さらに、ブレンド率情報として20を指定し、ブレンド率の時間的変化情報として―を指定し、ブレンド率の位置的変化情報として―を指定する。また、ブレンドの対象となるセルIDとしてセル7および8を指定し、ブレンドの対象となるセルのストリームID情報として共にAを指定する。
【0114】
セル8には、セルエントリポイント情報としてセル8の先端部にENT1を指定する。また、エフェクトの種類としてブレンドを指定し、エフェクトの方向として後を指定し、エフェクトの効果持続範囲としてT9−T8を指定する。さらに、ブレンド率情報として80を指定し、ブレンド率の時間的変化情報として―を指定し、ブレンド率の位置的変化情報として―を指定する。また、ブレンドの対象となるセルIDとしてセル7および8を指定し、ブレンドの対象となるセルのストリームIDとして共にAを指定する。すると、また、エフェクトの種類をフェードイン・フェードアウトとして、セル7とセル8とのブレンド率の時間的変化情報のパラメータを用いてフェードイン・フェードアウトの効果を作り出すことが可能である。さらに、エフェクトの種類をワイプとして、ブレンド率の時間的変化情報とブレンド率の位置的変化情報のパラメータを用いて、ワイプなどのエフェクトを作り出すことも可能である。
【0115】
本実施の形態では、再生開始点情報は、再生開始時刻情報、オブジェクトの識別情報およびセルの識別情報を含み、セル情報に、開始時刻情報と終了時刻情報を含んでいるが、図34(a)に示すように、再生開始点情報に再生開始時刻情報、オブジェクトの識別情報、開始時刻情報および終了時刻情報を含めても良い。この場合、オブジェクトの属性に応じた再生開始点情報を設けたり、さらに属性情報を加えることにより、属性の異なるオブジェクトを指定できる。再生機器はセルのデータタイプを判定することにより、データにアクセスする前にデータの属性を特定することができる。
【0116】
また、本実施の形態では、セル情報には、属性情報、開始時刻情報および終了時刻情報を含めたが、さらに、図34(b)で示すように、オブジェクトID含めても良い。また、図34(c)で示すように、オブジェクトIDの識別情報、開始時刻情報と終了時刻情報を用いず、オブジェクトIDと表示時間情報を用いても良い。すると、図35で示すように、静止画データやデータ放送など時間的に意味を持たないセルを指定できる。本実施の形態は、セルを時刻で特定したが、アドレス情報で特定しても良い。
【0117】
さらに、本発明の情報記録媒体を用いた記録方法、或いは再生方法のプログラムは、CD−ROM、CD―R、CD−RW、DVD−ROM、DVD―R、DVD−RAM、SDカード、スマートメディア等のパッケージメディアの記録媒体で配布されても、或いはネットワーク、通信手段による伝送媒体により配布されても構わない。
【0118】
【発明の効果】
本発明により、セル単位で、所望の時刻において、セルを再生できる。また、マルチパスを実現できる。さらに、指定した複数のセルを重複して再生したり、エフェクト再生を組み合わせることができる。また、異なるセルで用いられるVOBに対して、異なるエフェクト再生を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】DVDレコーダ装置の外観と関連機器とのインターフェースを示す図
【図2】DVDレコーダのドライブ装置のブロック図
【図3】ディスク上のアドレス空間及びトラックバッファ内データ蓄積量を示す図
【図4】ディスクの記録領域を示す図
【図5】DVD−RAMの論理的なデータ空間を示す図
【図6】ディレクトリとファイルの構造を示す図
【図7】各種AVオブジェクトとして記録されるMPEGデータの構造図
【図8】MPEGプログラムストリームとトランスポートストリームを示す図
【図9】トランスポートストリームのデータ構造図
【図10】プログラムストリームのデータ構造図
【図11】TSパケットの構造図
【図12】PATテーブル、PMAPテーブルを示す図
【図13】ECCブロックの構造図
【図14】エフェクトオブジェクトの構造図
【図15】オブジェクト情報から派生した各ストリーム管理情報を示す図
【図16】再生時間軸情報のデータ構造図
【図17】本発明の1実施の形態を示す図
【図18】図17を実現する再生時間軸情報のパラメータを示す図
【図19】本発明の他の実施の形態を示す図
【図20】図19を実現する再生時間軸情報のパラメータを示す図
【図21】本発明の他の実施の形態を示す図
【図22】図21を実現する再生時間軸情報のパラメータを示す図
【図23】本発明の他の実施の形態を示す図
【図24】図21を実現する再生時間軸情報のパラメータを示す図
【図25】パラメータを指定する際の注意点を示す図
【図26】PGC情報のデータ構造図
【図27】オブジェクト、オブジェクト情報及びPGC情報の関係を説明した図
【図28】DVDプレーヤモデルのブロック図
【図29】再生動作を説明するフロチャート
【図30】本発明に係るDVDレコーダのブロック図
【図31】本発明に係るDVDプレーヤのブロック図
【図32】本発明の他の実施の形態を示す図
【図33】本発明の他の実施の形態を示す図
【図34】本発明の他の実施の形態を示す図
【図35】本発明の他の実施の形態を示す図
【符号の説明】
100 DVD−RAM(光ディスク)
101,201 光ピックアップ
205 PSデコーダ
206 TSデコーダ
207 オーディオデコーダ
208 静止画デコーダ
211 制御部
212 システム制御部
216 解析部
218 デコーダ
219 ディジタルインターフェース部
Claims (14)
- オブジェクトと前記オブジェクトの再生を管理する管理情報とを記録する情報記録媒体であって、
前記管理情報は前記オブジェクトを構成するセルの再生経路である再生順序を示す情報である再生時間軸情報を有し、
前記再生時間軸情報は、前記オブジェクトの再生を開始する時刻情報である再生開始時刻情報と、前記オブジェクトが少なくとも2つ重複して再生されることを示すブロックモードと、前記重複して再生される各オブジェクトを構成する各セルの区間を特定する再生区間特定情報と、前記オブジェクトを識別するためのオブジェクト識別情報を有する
ことを特徴とする情報記録媒体。 - 前記再生区間特定情報は、開始時刻情報と終了時刻情報とからなる請求項1記載の情報記録媒体。
- 前記セルは、動画データ、静止画データ、ディジタル放送データ、または、オーディオデータ、エフェクトデータのうち、何れか一つからなる請求項1記載の情報記録媒体。
- 前記重複して再生されるオブジェクトは互いに非同期で再生されることを特徴とする請求項1記載の情報記録媒体。
- 重複して再生されるオブジェクトは互いに非同期で再生されるとは、
一方の再生されるオブジェクトの再生中に他方の再生されるオブジェクトが任意の時刻に再生を開始すること
である請求項1記載の情報記録媒体。 - 前記再生時間軸情報はさらに、
重複して再生されるオブジェクトのうち少なくとも1つのオブジェクトは同一の再生時間に複数の再生経路が存在するマルチアングル再生であることを示すブロックタイプを含む、ことを特徴とする請求項1記載の情報記録媒体。 - 請求項1記載の情報記録媒体はさらにエフェクトデータを記録し、
前記エフェクトデータは、
重複して再生されるオブジェクトのうち少なくとも1つのオブジェクトに対応づけられ、対応付けたオブジェクトに対するエフェクト再生を定義する、
ことを特徴とする請求項1記載の情報記録媒体。 - 重複して再生されるオブジェクトが第1の音声データと第2の音声データである場合、
前記再生時間軸情報はさらにエフェクトデータを有し、
前記エフェクトデータは、前記第1の音声データと前期第2の音声データの合成比率を定義する、
ことを特徴とする請求項1記載の情報記録媒体。 - 記録装置であって、アナログ放送入力、デジタル放送入力、及びデジタルインターフェイス入力の何れかに基づき、オブジェクト及び再生時間軸情報を生成して、生成したオブジェクト及び再生時間軸情報を記録媒体に書き込むことで、請求項1〜8の何れかに記載の情報記録媒体を得る記録装置。
- 記録方法であって、コンピュータにおけるアナログ放送入力、デジタル放送入力、及びデジタルインターフェイス入力の何れかに基づき、オブジェクト及び再生時間軸情報を生成して、生成したオブジェクト及び再生時間軸情報を記録媒体に書き込むことで、請求項1〜8の何れかに記載の情報記録媒体を得る記録方法。
- プログラムであって、コンピュータにおけるアナログ放送入力、デジタル放送入力、及びデジタルインターフェイス入力の何れかに基づき、オブジェクト及び再生時間軸情報を生成して、生成したオブジェクト及び再生時間軸情報を記録媒体に書き込むことで、請求項1〜8の何れかに記載の情報記録媒体を得るプログラム。
- 再生装置であって、請求項1〜8の何れかに記載された情報記録媒体からオブジェクト及び再生時間軸情報を読み出して、再生時間軸情報に基づきオブジェクトを再生する再生装置。
- 再生方法であって、請求項1〜8の何れかに記載された情報記録媒体からオブジェクト及び再生時間軸情報を読み出して、再生時間軸情報に基づきオブジェクトを再生する再生方法。
- プログラムであって、請求項1〜8の何れかに記載された情報記録媒体から再生時間軸情報及びオブジェクトを読み出して、再生時間軸情報に基づきオブジェクトを再生する制御をコンピュータに実行させるプログラム。
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