JP4313247B2 - 多重接続方法およびそれを利用した基地局装置 - Google Patents

多重接続方法およびそれを利用した基地局装置 Download PDF

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Description

本発明は、多重接続技術に関し、特に空間の分割によって複数の端末装置を多重接続するための多重接続方法およびそれを利用した無線装置に関する。
ワイヤレス通信において、周波数資源の有効利用を図るべく、周波数分割多重接続(Frequency Division Multiple Access:FDMA)、時間分割多重接続(Time Division Multiple Access:TDMA)、符号分割多重接続(Code Division Multiple Access:CDMA)を含む多重接続技術が、実施されている。近年の携帯電話機の普及等によって、一般に、周波数利用効率の更なる向上が望ましく、その解決策のひとつとして、空間分割多重接続(Space Division Multiple Access:SDMA)やパス分割多重接続(Path Division Multiple Access:PDMA)といわれる新たな多重接続技術が検討されている。
SDMAは、例えば、無線基地局装置が同一周波数におけるひとつのタイムスロットを空間的に複数に分割して、分割した空間ごとに割当てた端末装置との間でデータを伝送する多重接続技術である。それぞれの端末装置に対するデータを伝送するための信号は、一般に、無線基地局装置に設けられたアダプティブアレイアンテナなどの相互干渉除去装置を用いて互いに分離される(例えば、特許文献1参照。)。アダプティブアレイアンテナは、複数のアンテナで受信した信号を、伝搬環境に応じたウエイトベクトルでそれぞれ重み付けして合成し、所望の端末装置に関する信号を出力する。
特開平11−313364号公報
SDMAでは、一般的に、複数の端末装置に対する伝送路特性の相関値が小さいほど、アダプティブアレイアンテナによって複数の端末装置を空間で分離でき、両者間の干渉を小さくできるので、多重される複数の端末装置の伝送特性が良好になる。また、SDMAでは、一般的に、複数の端末装置に対する受信信号の強度が等しいほど、多重される複数の端末装置の伝送特性が良好になる。なぜなら、受信信号の強度は通常端末装置と基地局装置間の距離と関連を有し、受信信号の強度がほぼ等しければ基地局装置から複数の端末装置への距離がほぼ等しくなる。そのため、アダプティブアレイアンテナによって一方の端末装置にビームを向けつつ、他方の端末装置にヌルを向ける制御が互いに可能になる。しかしながら、一方の端末装置が基地局装置の近くに位置し、他方の端末装置が基地局装置の遠くに位置すれば、基地局装置が遠くに位置する端末装置にビームを向けつつ、近くに存在する端末装置にヌルを向けることが困難になる。
すなわち、基地局装置は、前述のような複数の端末装置に対する伝送路特性の相関値、複数の端末装置に対する受信信号の強度の比にもとづいて、複数の端末装置を空間分割で多重接続するか否かを決定する。一方、例えば、携帯電話システムや簡易型携帯電話システムなどの移動通信システムでは、基地局装置は設置されてから数年間にわたって連続して使用される。そのため、基地局装置にハード的な障害や経年変化による特性の悪化が生じる場合もある。そのような場合に、特にSDMAを実行すれば、空間分割で多重接続された端末装置間の干渉が増大し、伝送特性が悪化するので、基地局装置と端末装置間の通信の維持が困難になる。
本発明者はこうした状況を認識して、本発明をなしたものであり、その目的はSDMAを実行可能な基地局装置における特性の悪化によって、基地局装置と端末装置間の通信に及ぼす影響を低減する多重接続方法およびそれを利用した基地局装置を提供することである。
本発明のある態様は、基地局装置である。この装置は、複数の端末装置に対する伝送路特性の関連性を示した値を入力する第1入力部と、入力した伝送路特性の関連性を示した値が空間分割で多重接続するための条件を満たしていれば、複数の端末装置を空間分割で多重接続する設定部と、空間分割で多重接続した複数の端末装置に対する複数の伝送品質をそれぞれ入力する第2入力部と、入力した複数の伝送品質が空間分割での多重接続を解除するための条件を満たしていれば、複数の端末装置の空間分割での多重接続を解除する解除部とを備える。この装置によれば、設定部は、解除部が複数の端末装置の空間分割での多重接続を解除した場合に、入力した伝送路特性の関連性を示した値が空間分割で多重接続するための条件を再び満たしていれば、空間分割で多重接続するための条件を空間分割で多重接続されにくくするような条件に変更してもよい。
「伝送路特性の関連性を示した値」は、複数の伝送路特性が結合している、あるいは関連している程度を示した値であり、相関値等によって示される。
「伝送品質」は、データ伝送が確実になされる程度を示した指標であり、適用される通信システムの特性に応じて、データの誤り率、受信信号強度、干渉量等によって規定される。
「空間分割で多重接続されにくくするような条件」とは、空間分割での多重接続が困難になり、そのほかの多重化要素、例えば時間の分割での多重接続が選択されやすくなるような条件である。
以上の装置により、複数の端末装置の空間分割での多重接続を解除した場合に、所定の条件にもとづいて、空間分割で多重接続するための条件を空間分割で多重接続されにくくするような条件に変更するので、複数の端末装置が空間分割で多重接続されにくくなり、複数の端末装置のデータ伝送品質を維持できる。
第1入力部は、複数の端末装置に対する伝送路特性の関連性を示した値として、複数の端末装置に対する伝送路特性の相関値を入力し、設定部は、入力した相関値が空間分割で多重接続するための条件よりも小さければ、複数の端末装置を空間分割で多重接続し、解除部が複数の端末装置の空間分割での多重接続を解除した場合に、入力した相関値が空間分割で多重接続するための条件よりも再び小さければ、空間分割で多重接続するための条件をさらに小さい値に変更してもよい。第1入力部は、複数の端末装置に対する伝送路特性の関連性を示した値として、複数の端末装置に対する信号強度の比を入力し、設定部は、入力した信号強度の比が空間分割で多重接続するための条件よりも小さければ、複数の端末装置を空間分割で多重接続し、解除部が複数の端末装置の空間分割での多重接続を解除した場合に、入力した信号強度の比が空間分割で多重接続するための条件よりも再び小さければ、空間分割で多重接続するための条件をさらに小さい値に変更してもよい。
「相関値」は、複数の伝送路特性間の直接の相関値であってもよいが、複数の伝送路特性のそれぞれと予め規定された値との相関値を導出し、導出した複数の相関値からさらに導出した値でもよく、複数の伝送路特性間の関連が反映された値であればよい。
「信号強度の比」は、RFでの信号での比であってもよく、また、ベースバンドの信号の比であってもよい。
第1入力部は、複数の端末装置に対する伝送路特性の関連性を示した値として、複数の端末装置に対する複数のドップラー周波数をそれぞれ入力し、設定部は、入力した複数のドップラー周波数のすべてが空間分割で多重接続するための条件よりも小さければ、複数の端末装置を空間分割で多重接続し、解除部が複数の端末装置の空間分割での多重接続を解除した場合に、入力した複数のドップラー周波数のいずれかが空間分割で多重接続するための条件よりも再び小さければ、空間分割で多重接続するための条件をさらに小さい値に変更してもよい。設定部は、解除部が複数の端末装置の空間分割での多重接続を解除した場合に、入力した伝送路特性の関連性を示した値が空間分割で多重接続するための条件を再び満たしていれば、入力した伝送路特性の関連性を示した値と空間分割で多重接続するための条件との差異にもとづいて、空間分割で多重接続するための条件を空間分割で多重接続されにくくするような条件に変更してもよい。
設定部は、空間分割で多重接続するための条件を空間分割で多重接続されにくくするような条件に変更する場合に、空間分割で多重接続するための条件を入力した伝送路特性の関連性を示した値を統計処理した値にもとづいて定めてもよい。複数の端末装置が空間分割で多重接続されている期間を測定する測定部をさらに含み、設定部は、測定した期間があらかじめ定めた期間よりも長くなれば、空間分割で多重接続するための条件を空間分割で多重接続されやすくするような条件に変更してもよい。
「統計処理」は、平均処理などを含む。
第1入力部は、3つ以上の端末装置に対する伝送路特性の関連性を示した複数の値を入力し、設定部は、入力した伝送路特性の関連性を示した複数の値のすべてが空間分割で多重接続するための条件を満たしていれば、3つ以上の端末装置を空間分割で多重接続し、解除部が3つ以上の端末装置の空間分割での多重接続を解除した場合に、入力した伝送路特性の関連性を示した複数の値のいずれかが空間分割で多重接続するための条件を満たしていれば、空間分割で多重接続するための条件を空間分割で多重接続されにくくするような条件に変更してもよい。設定部は、空間分割で多重接続すべき複数の端末装置の数に応じて、空間分割で多重接続するための条件が異なるように設定してもよい。
「複数の端末装置の数に応じて」は、端末装置が1台増加されるごとにという意味であってもよいが、端末装置が複数台増加されるごとにという意味であってもよい。端末装置の台数と何らかの関連があればよい。
本発明の別の態様は、多重接続方法である。この方法は、複数の端末装置に対する伝送路特性の関連性を示した値を入力して、入力した伝送路特性の関連性を示した値が空間分割で多重接続するための条件を満たしていれば、複数の端末装置を空間分割で多重接続するステップと、空間分割で多重接続した複数の端末装置に対する複数の伝送品質をそれぞれ入力して、入力した複数の伝送品質が空間分割での多重接続を解除するための条件を満たしていれば、複数の端末装置の空間分割での多重接続を解除するステップとを備える。この方法において、空間分割で多重接続するステップは、解除するステップが複数の端末装置の空間分割での多重接続を解除した場合に、入力した伝送路特性の関連性を示した値が空間分割で多重接続するための条件を再び満たしていれば、空間分割で多重接続するための条件を空間分割で多重接続されにくくするような条件に変更してもよい。
多重接続するステップは、複数の端末装置に対する伝送路特性の関連性を示した値として、複数の端末装置に対する伝送路特性の相関値を入力し、入力した相関値が空間分割で多重接続するための条件よりも小さければ、複数の端末装置を空間分割で多重接続し、解除部が複数の端末装置の空間分割での多重接続を解除した場合に、入力した相関値が空間分割で多重接続するための条件よりも再び小さければ、空間分割で多重接続するための条件をさらに小さい値に変更してもよい。多重接続するステップは、複数の端末装置に対する伝送路特性の関連性を示した値として、複数の端末装置に対する信号強度の比を入力し、入力した信号強度の比が空間分割で多重接続するための条件よりも小さければ、複数の端末装置を空間分割で多重接続し、解除部が複数の端末装置の空間分割での多重接続を解除した場合に、入力した信号強度の比が空間分割で多重接続するための条件よりも再び小さければ、空間分割で多重接続するための条件をさらに小さい値に変更してもよい。
多重接続するステップは、複数の端末装置に対する伝送路特性の関連性を示した値として、複数の端末装置に対する複数のドップラー周波数をそれぞれ入力し、入力した複数のドップラー周波数のすべてが空間分割で多重接続するための条件よりも小さければ、複数の端末装置を空間分割で多重接続し、解除部が複数の端末装置の空間分割での多重接続を解除した場合に、入力した複数のドップラー周波数のいずれかが空間分割で多重接続するための条件よりも再び小さければ、空間分割で多重接続するための条件をさらに小さい値に変更してもよい。多重接続するステップは、空間分割で多重接続するための条件を空間分割で多重接続されにくくするような条件に変更する場合に、空間分割で多重接続するための条件を入力した伝送路特性の関連性を示した値を統計処理した値にもとづいて定めてもよい。
多重接続するステップは、3つ以上の端末装置に対する伝送路特性の関連性を示した複数の値を入力し、入力した伝送路特性の関連性を示した複数の値のすべてが空間分割で多重接続するための条件を満たしていれば、3つ以上の端末装置を空間分割で多重接続し、解除部が3つ以上の端末装置の空間分割での多重接続を解除した場合に、入力した伝送路特性の関連性を示した複数の値のいずれかが空間分割で多重接続するための条件を満たしていれば、空間分割で多重接続するための条件を空間分割で多重接続されにくくするような条件に変更してもよい。多重接続するステップは、空間分割で多重接続すべき複数の端末装置の数に応じて、空間分割で多重接続するための条件が異なるように設定してもよい。複数の端末装置が空間分割で多重接続されている期間を測定するステップをさらに含み、多重接続するステップは、測定した期間があらかじめ定めた期間よりも長くなれば、空間分割で多重接続するための条件を空間分割で多重接続されやすくするような条件に変更してもよい。
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
本発明によれば、SDMAを実行可能な基地局装置における特性の悪化によって、基地局装置と端末装置間の通信に及ぼす影響を低減する多重接続方法およびそれを利用した基地局装置を提供できる。
本発明を具体的に説明する前に、概要を述べる。本発明の実施例は、簡易型携帯電話システムのようなTDMA通信にもとづく通信システムであって、さらに複数の端末装置を空間分割多重によって接続する、すなわちSDMA通信も実行可能な通信システムにおける基地局装置に関する。基地局装置は、同一のタイムスロットを空間によって分割した複数のチャネルに対して、複数の端末装置をそれぞれ割り当てる場合、対象となる複数の端末装置間の受信信号の強度の比と相関値をそれぞれのしきい値と比較する。その結果、受信信号の強度の比と相関値がしきい値(以下、それぞれに対応して「強度比用しきい値」と「相関値用しきい値」という)よりも小さくなれば、複数の端末装置に空間分割で多重接続するためのチャネルを割り当てる。また基地局装置は、空間分割多重接続した複数の端末装置のデータ誤り率をそれぞれ測定する。さらに、測定したデータ誤り率がしきい値よりも悪化すれば、空間分割多重接続を解除して、それらの端末装置に対して別のタイムスロットのチャネルを割り当てる。
本実施例に係る基地局装置は、複数の端末装置の空間分割多重接続を解除する際に、空間分割多重接続の解除の原因が、伝送路の特性の変動によるものか、あるいは基地局装置の経年変化等によるものかを調査する。そのために、複数の端末装置の空間分割多重接続を解除する際の受信信号の強度の比と相関値を測定し、それらを強度比用しきい値や相関値用しきい値と比較する。測定値がしきい値よりも大きければ、空間分割多重接続の解除の原因が伝送路の特性の変動によるものと判断するが、測定値がしきい値よりも小さければ、基地局装置の経年変化等によるものと判断する。後者の場合、受信信号の強度の比と相関値からは複数の端末装置を空間分割多重接続できるにもかかわらず、それらのデータ誤り率が悪化しているためである。さらに、後者の場合、基地局装置は、強度比用しきい値や相関値用しきい値を空間分割多重接続されにくくなる値、すなわちさらに小さな値に変更する。
図1は、実施例に係る通信システム100の構成を示す。通信システム100は、基地局装置10、端末装置26、ネットワーク24を含む。基地局装置10は、アンテナ22と総称する第1アンテナ22a、第2アンテナ22b、第nアンテナ22n、無線部12、信号処理部14、モデム部16、ベースバンド部18、制御部20を含み、ネットワーク24と接続している。無線部12は、第1無線部12a、第2無線部12b、第N無線部12nを含み、信号処理部14は、第1信号処理部14a、第2信号処理部14b、第M信号処理部14mを含む。端末装置26は、アンテナ34、無線部32、モデム部30、ベースバンド部28を含む。また、信号として、無線部制御信号318、モデム部制御信号320、ベースバンド部制御信号322を含む。図1の通信システムでは、ひとつの端末装置26が基地局装置10と接続しているが、実際にはひとつのタイムスロットあたりM個の端末装置26と接続可能である。
基地局装置10のベースバンド部18は、ネットワーク24とのインターフェース、端末装置26のベースバンド部28は、端末装置26と接続したPCや、端末装置26内部のアプリケーションとのインターフェースであり、通信システムで伝送の対象となる情報信号の送受信処理を行う。また、誤り訂正や自動再送処理がなされてもよいが、ここでは説明を省略する。
基地局装置10のモデム部16、端末装置26のモデム部30は、変調処理として、π/4シフトQPSK(以下、単にQPSKと示す)等の変調方式によって、送信すべき情報信号を変調する。また、復調処理として、受信信号を復調して、送信された情報信号を再生するが、ここでは、一例としてQPSKに対して遅延検波を行うものとする。なお、変調方式がQPSK以外に16QAM、64QAM等を含む場合には、同期検波を実行するものとする。
信号処理部14は、アダプティブアレイアンテナによる送受信処理に必要な信号処理を行って、複数の端末装置26を空間分割多重接続する。ここで、M個の信号処理部14は、ひとつのタイムスロットで空間分割多重接続できる端末装置26の数に対応する。
基地局装置10の無線部12、端末装置26の無線部32は、信号処理部14、モデム部16、ベースバンド部18、ベースバンド部28、モデム部30で処理されるベースバンドの信号と無線周波数の信号間の周波数変換処理、増幅処理、ADまたはDA変換処理等を行う。
基地局装置10のアンテナ22、端末装置26のアンテナ34は、無線周波数の信号を送受信処理する。アンテナの指向性は任意でよく、アンテナ22のアンテナ数はNとされる。
制御部20は、無線部12、信号処理部14、モデム部16、ベースバンド部18のタイミングやチャネル配置を制御する。
図2は、実施例に係るバーストフォーマットを示しており、これは簡易型携帯電話システムのバーストフォーマットである。バーストの先頭から4シンボルの間に、タイミング同期に使用するためのプリアンブルが、それに続く8シンボルの間に、ユニークワードが配置されている。プリアンブルとユニークワードは、基地局装置10や端末装置26にとって既知であるため、後述するトレーニング信号としても使用できる。本実施例では、説明の簡略化のために図2に示した簡易型携帯電話システムのバーストフォーマットを対象にして説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
図3は、実施例に係るチャネル配置を示す。実施例に係るチャネル配置を示す。ここでは、SDMAによる空間分割の多重度を4としており、この多重度「4」が図1のM個の信号処理部14に対応する。さらに図3は、TDMAによる時間分割の多重度、すなわちタイムスロット数を3としており、その中にチャネル(1,1)からチャネル(3,4)の合計12チャネルを配置している。ひとつのチャネルにはひとつの端末装置が割当てられている。また、図3は、上り回線あるいは下り回線のいずれかを示している。さらに、周波数軸方向などに多重化されていてもよい。
図4は、第1無線部12aの構成を示す。第1無線部12aは、スイッチ部36、受信部38、送信部40を含む。さらに、受信部38は、周波数変換部42、直交検波部44、AGC(Automatic Gain Control)46、AD変換部48を含み、送信部40は、増幅部50、周波数変換部52、直交変調部54、DA変換部56を含む。また、信号として、デジタル受信信号300と総称される第1デジタル受信信号300a、デジタル送信信号302と総称される第1デジタル送信信号302aを含む。
スイッチ部36は、無線部制御信号318の指示にもとづいて、受信部38と送信部40に対する信号の入出力を切りかえる。
受信部38の周波数変換部42と送信部40の周波数変換部52は、無線周波数の信号とひとつまたは複数の中間周波数の信号間の周波数変換を行う。
直交検波部44は、中間周波数の信号から直交検波によって、ベースバンドのアナログ信号を生成する。なお、一般的にベースバンドの信号は同相成分と直交成分のふたつの成分を含んでいるので、ふたつの信号線によって示されるべきであるが、ここでは図の明瞭性からベースバンド信号をひとつの信号線によって示す。以下も同様である。一方、直交変調部54は、ベースバンドのアナログ信号から直交変調によって、中間周波数の信号を生成する。
AGC46は、ベースバンドのアナログ信号の振幅をAD変換部48のダイナミックレンジ内の振幅にするために、利得を自動的に制御する。
AD変換部48は、ベースバンドのアナログ信号をデジタル信号に変換し、DA変換部56は、ベースバンドのデジタル信号をアナログ信号に変換する。ここで、AD変換部48から出力されるデジタル信号をデジタル受信信号300、DA変換部56に入力されるデジタル信号をデジタル送信信号302とする。
増幅部50は、送信すべき無線周波数の信号を増幅する。
図5は、第1信号処理部14aの構成を示す。第1信号処理部14aは、参照信号生成部72、受信ウエイトベクトル計算部70、合成部68、受信応答ベクトル計算部200、送信ウエイトベクトル計算部76、分離部74を含む。さらに、合成部68は、乗算部78と総称される第1乗算部78a、第2乗算部78b、第N乗算部78n、加算部80を含み、分離部74は、乗算部82と総称される第1乗算部82a、第2乗算部82b、第N乗算部82nを含む。
また、信号として、合成信号304、分離前信号306、受信ウエイトベクトル308と総称される第1受信ウエイトベクトル308a、第2受信ウエイトベクトル308b、第N受信ウエイトベクトル308n、送信ウエイトベクトル310と総称される第1送信ウエイトベクトル310a、第2送信ウエイトベクトル310b、第N送信ウエイトベクトル310n、参照信号312、入力制御信号314と総称される第1入力制御信号314a、出力制御信号316と総称される第1出力制御信号316a、受信応答ベクトル402を含む。
参照信号生成部72は、図2に示したプリアンブル信号を記憶しており、トレーニング期間中は、記憶したプリアンブル信号を参照信号312として出力し、トレーニング終了後は、合成信号304を判定して判定した信号を参照信号312として出力する。なお、トレーニング終了の判定は、第1入力制御信号314aによって通知されるものとする。
受信ウエイトベクトル計算部70は、デジタル受信信号300の重み付けに必要な受信ウエイトベクトル308を、RLS(Recursive Least Squares)アルゴリズムやLMS(Least Mean Squares)アルゴリズムなどの適応アルゴリズムによって計算する。なお、適応アルゴリズムの演算は、デジタル受信信号300、合成信号304、参照信号312にもとづいてなされる。例えば、LMSアルゴリズムは次のように示される。
Figure 0004313247
ここで、Wは受信ウエイトベクトル308、μは忘却係数、uは、デジタル受信信号300、eは符号間干渉を示した誤差、すなわち合成信号304と参照信号312との間の誤差を示す。
乗算部78は、デジタル受信信号300を受信ウエイトベクトル308で重み付けする。加算部80は、乗算部78からの出力を加算して、合成信号304を出力する。
受信応答ベクトル計算部200は、送信信号に対する受信信号の受信応答特性として受信応答ベクトル402を計算する。受信応答ベクトル計算部200は、デジタル受信信号300と参照信号312の間における第1の相関行列を計算する。なお、参照信号312は第1信号処理部14a内からだけではなく、図示しない信号線によって、他の端末装置26に対応する第2信号処理部14b、第M信号処理部14mなどからも入力されるものとする。説明の便宜のため端末装置26の数を2とし、第1の端末装置26に対応する参照信号はS1(t)、第2の端末装置26に対応する参照信号はS2(t)と示す。さらに、基地局装置10のアンテナ22の数を2とすれば、第1デジタル受信信号300aに相当するx1(t)、第2デジタル受信信号300bに相当するx2(t)は、次の式で示される。
Figure 0004313247
ここで、hijは、第i番目の端末装置26から第jアンテナ22jまでの応答特性であり、また雑音は無視する。第1の相関行列R1は、Eをアンサンブル平均として、次の式で示される。
Figure 0004313247
受信応答ベクトル計算部200は、参照信号間の第2の相関行列R2を計算し、これは次の式で示される。
Figure 0004313247
受信応答ベクトル計算部200は、第2の相関行列R2の逆行列を計算する。
最終的に受信応答ベクトル計算部200は、第2の相関行列R2の逆行列と第1の相関行列R1を乗算し、次の式のように受信応答ベクトル402を計算する。また、計算した受信応答ベクトル402は、第1出力制御信号316aによって出力される。
Figure 0004313247
送信ウエイトベクトル計算部76は、分離前信号306の重み付けに必要な送信ウエイトベクトル310を、受信応答特性である受信ウエイトベクトル308や受信応答ベクトル402から推定する。送信ウエイトベクトル310の推定方法は、任意とするが、最も簡易な方法として、受信ウエイトベクトル308や受信応答ベクトル402をそのまま使用すればよい。あるいは、受信処理と送信処理の時間差で生じる伝搬環境のドップラー周波数変動を考慮して、従来の技術によって、受信ウエイトベクトル308あるいは受信応答ベクトル402を補正してもよい。なお、送信ウエイトベクトル310の推定には、受信ウエイトベクトル308と受信応答ベクトル402のどちらかのみを使用してもよいが、ここでは、通常は受信ウエイトベクトル308を使用し、受信ウエイトベクトル308に含まれる誤差が大きいと判断された場合に、受信応答ベクトル402を使用する。
乗算部82は、分離前信号306を送信ウエイトベクトル310で重み付けし、デジタル送信信号302を出力する。
この構成は、ハードウエア的には、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSIで実現でき、ソフトウエア的にはメモリのロードされた予約管理機能のあるプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、ソフトウエアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
図6は、制御部20の構成を示す。制御部20は、相関計算部214、チャネル配置部216、しきい値管理部218、チャネル管理部220、強度比計算部222、誤り率計算部224を含む。
相関計算部214は、出力制御信号316を入力し、複数の端末装置に対する伝送路特性の関連性を示した値として、複数の端末装置に対する伝送路特性、すなわち出力制御信号316に含められた受信応答ベクトル402の相関値を計算する。なお、ここでの複数の端末装置とは、図3の同一のタイムスロットで空間分割多重接続される端末装置である。そのため、相関計算部214は、複数の端末装置の受信応答ベクトル402間の相関値を計算する。例えば、複数の端末装置が「2」台である場合は、第1出力制御信号316aに含められた受信応答ベクトル402と第2出力制御信号316bに含められた受信応答ベクトル402との間の相関値を計算する。また例えば、複数の端末装置が「3」台である場合は、第1出力制御信号316aに含められた受信応答ベクトル402と第2出力制御信号316bに含められた受信応答ベクトル402との間の相関値、第2出力制御信号316bに含められた受信応答ベクトル402と図示しない第3出力制御信号316cに含められた受信応答ベクトル402との間の相関値、第1出力制御信号316aに含められた受信応答ベクトル402と図示しない第3出力制御信号316cに含められた受信応答ベクトル402との間の相関値のように、「3」台の端末装置のうちのふたつの可能な組み合わせに対する相関値を計算する。「4」台以上の端末装置の場合も同様である。
強度比計算部222は、出力制御信号316を入力し、複数の端末装置に対する伝送路特性の関連性を示した値として、複数の端末装置に対する信号強度の比を計算する。ここでは、ひとつの出力制御信号316に含められた受信応答ベクトル402の大きさを計算して、当該ひとつの端末装置に対する信号強度を計算する。さらに、別の端末装置に対する信号強度も計算して、計算したこれらの信号強度から、複数の端末装置に対する信号強度の比を計算する。ここで、複数の端末装置が「3」台以上である場合、前述のごとく、「3」台の端末装置のうちのふたつの可能な組み合わせに対する強度の比を計算する。
誤り率計算部224は、モデム部制御信号320を入力し、モデム部制御信号320に含められた復調されたデータより、当該データの伝送品質、ここでは誤り率を計算する。さらに、空間分割多重接続した複数の端末装置に対する複数の誤り率をそれぞれ計算する。なお、誤り率計算部224は、主として既に空間分割多重接続された端末装置に対する誤り率を測定する。また、誤り率には、ビット誤り率(BER)やフレーム誤り率(FER)があるが、ここでは一例としてFERとする。
チャネル配置部216は、複数の端末装置に対するチャネルの割り当てを実行するが、ここでは、本発明に関連したひとつのタイムスロットの中での空間分割多重接続するための複数のチャネルの配置に関して説明する。チャネル配置部216は、複数の端末装置に対して、空間分割多重接続するために複数のチャネルを割り当てる動作(以下、「設定動作」という)と空間分割多重接続した複数の端末装置に対して空間分割多重接続を解除する動作(以下、「解除動作」という)を行う。
設定動作として、チャネル配置部216は、複数の端末装置に対する伝送路特性の関連性を示した値として、相関計算部214から複数の相関値を入力し、強度比計算部222から複数の強度の比を入力する。入力した相関値と強度の比が、空間分割多重接続するための条件を満たしていれば、すなわち、入力した相関値が相関値用しきい値よりも小さく、入力した信号強度の比が強度比用しきい値よりも小さければ、複数の端末装置に対する空間分割多重接続を決定する。ここで、相関値に対する条件と強度の比に対する条件は、論理積であってもよく、論理和であってもよい。なお、「3」台以上の端末装置が空間分割多重接続の対象である場合、入力した複数の相関値のすべてが相関値用しきい値よりも小さく、入力した複数の信号強度の比のすべてが強度比用しきい値よりも小さければ、複数の端末装置に対する空間分割多重接続を決定する。ここで、空間分割多重接続すべき複数の端末装置の数に応じて、相関値用しきい値が異なった値になるように設定してもよい。以上の相関値用しきい値と強度比用しきい値はしきい値管理部218に記憶されている。
空間分割多重接続された複数の端末装置に対する誤り率は誤り率計算部224によって測定され、測定結果はチャネル管理部220に記憶される。図7は、チャネル管理部220で記憶したデータのデータ構造を示す。ここでは、すべてのタイムスロットにおいて、ふたつの端末装置を空間分割多重接続しているものとし、それぞれの誤り率を図中に「PS1 FER」と「PS2 FER」として示した。また図示のごとく、相関値と強度比も記憶されているものとする。
図6に戻る。解除動作として、チャネル配置部216は、空間分割多重接続した複数の端末装置に対する複数の伝送品質として、誤り率計算部224から複数の誤り率を入力する。入力した誤り率が空間分割多重接続を解除するための条件を満たしていれば、すなわちしきい値よりも悪化していれば、複数の端末装置の空間分割多重接続の解除を決定する。さらに、チャネル配置部216は空間分割多重接続の解除を決定した場合に、相関計算部214から複数の相関値を再び入力し、強度比計算部222から複数の信号強度の比を再び入力する。入力した相関値、信号強度の比が相関値用しきい値、強度比用しきい値よりも再び小さければ、相関値用しきい値、強度比用しきい値をさらに小さい値、すなわち設定動作において空間分割多重接続が決定されにくくなるような値に変更する。以上のような場合に、チャネル配置部216は基地局装置の経年変化等によるものと判断する。なお、空間分割多重接続の解除の対象となる端末装置の台数が「3」台以上である場合に、入力した複数の相関値のいずれかが相関値用しきい値よりも小さく、入力した複数の信号強度の比のいずれかが強度比用しきい値よりも小さければ、相関値用しきい値、強度比用しきい値をさらに小さい値に変更する。
ここで、相関値用しきい値、強度比用しきい値の変更に関して具体的に説明する。前述のごとく、チャネル配置部216は空間分割多重接続の解除を決定した場合に、相関計算部214から複数の相関値を再び入力し、強度比計算部222から複数の信号強度の比を再び入力する。さらに、チャネル配置部216は、入力した相関値と信号強度の比をチャネル管理部220に記憶している。相関値用しきい値、強度比用しきい値を変更する場合に、チャネル配置部216は、チャネル管理部220からこれまで記憶した相関値用しきい値と強度比用しきい値を取得し、これらを統計処理、例えば平均する。平均した相関値用しきい値と平均した強度比用しきい値が現在の相関値用しきい値と強度比用しきい値よりも小さければ、チャネル配置部216は、平均した相関値用しきい値と平均した強度比用しきい値を新たな相関値用しきい値と強度比用しきい値に設定する。すなわち、チャネル配置部216は、相関値用しきい値と強度比用しきい値を変更する場合に、これまでに空間分割多重接続を解除した場合の相関値と信号強度の比を平均した値にもとづいて、相関値用しきい値と強度比用しきい値を定める。このように、統計処理したしきい値にもとづいて新たなしきい値を定めるので、雑音の影響を低減できる。
図8は、基地局装置10による空間分割多重接続の手順示すフローチャートである。図6の相関計算部214が相関値を計算し、強度比計算部222が信号強度の比を計算する(S10)。チャネル配置部216は、接続対象の端末装置の数が3以上でなければ(S12のN)、しきい値管理部218から多重数2用の相関値用しきい値と強度比用しきい値を取得する(S14)。接続対象の端末装置の数が3以上であり(S12のY)、端末装置の数が4でなければ(S16のN)、しきい値管理部218から多重数3用の相関値用しきい値と強度比用しきい値を取得する(S18)。一方、接続対象の端末装置の数が4であれば(S16のY)、しきい値管理部218から多重数4用の相関値用しきい値と強度比用しきい値を取得する(S20)。計算した相関値のすべてが相関値用しきい値よりも小さく、計算した信号強度の比のすべてが強度比用しきい値よりも小さければ(S22のY)、チャネル配置部216は空間分割多重接続を実行する(S24)。一方、計算した相関値のいずれかが相関値用しきい値よりも小さくなく、あるいは計算した信号強度の比のいずれかが強度比用しきい値よりも小さくなければ(S22のN)、チャネル配置部216は空間分割多重接続を実行しない(S26)。
図9は、基地局装置10による空間分割多重接続の解除の手順示すフローチャートである。図6の誤り率計算部224は誤り率を計算する。チャネル配置部216は、計算した誤り率がしきい値よりも悪化していると判定すれば(S30)、空間分割多重接続を解除する(S32)。チャネル配置部216は、相関計算部214から相関値を取得し、強度比計算部222から信号強度の比を取得する(S34)。チャネル配置部216は、取得した相関値が相関値用しきい値よりも小さければ(S36のY)、チャネル管理部220に記憶した相関値の平均値にもとづいて、相関値用しきい値を変更する(S38)。一方、取得した相関値が相関値用しきい値よりも小さくなければ(S36のN)、何もしない。また、チャネル配置部216は、取得した信号強度の比が強度比用しきい値よりも小さければ(S40のY)、チャネル管理部220に記憶した信号強度の比の平均値にもとづいて、強度比用しきい値を変更する(S42)。一方、取得した信号強度の比が強度比用しきい値よりも小さくなければ(S40のN)、何もしない。
図10は、基地局装置10による空間分割多重接続のためのしきい値を設定する手順を示すフローチャートである。図9で説明したように、所定の条件にもとづいて、相関値用しきい値や強度用しきい値は、空間分割多重接続されにくくするような値に変更される。しかしながら、相関値用しきい値や強度用しきい値が変更されてから所定の期間が経過しても、空間分割多重接続した複数の端末装置の誤り率が悪化しなければ、再び相関値用しきい値や強度用しきい値を元の値に戻せる可能性がある。すなわち、誤り率の悪化が基地局装置の経年変化等でなかったと事後に判明する場合である。その際は、相関値用しきい値や強度用しきい値を元の値に戻すように動作する。チャネル配置部216は、複数の端末装置が空間分割多重接続されている期間を測定する。測定した期間があらかじめ定めた期間よりも長くなれば、しきい値管理部218に記憶した相関値用しきい値と強度比用しきい値を空間分割多重接続されやすくするような値、すなわちより大きな値に変更する。
チャネル配置部216は、前述のごとく相関値用しきい値あるいは強度比用しきい値を変更する(S50)。チャネル配置部216は、タイマーをスタートさせる(S52)。タイマーが一定期間経過すれば(S54のY)、チャネル配置部216は、変更した相関値用しきい値あるいは強度比用しきい値を元に戻す(S56)。一方、タイマーが一定期間経過しなければ(S54のN)、変更した相関値用しきい値あるいは強度比用しきい値はそのままである。なお、タイマーが一定期間経過する前に、さらに相関値用しきい値あるいは強度比用しきい値を変更した場合、そこから新たにタイマーをスタートしてもよい。また、タイマーは、相関値用しきい値あるいは強度比用しきい値を変更してから、新たなタイムスロットで複数の端末装置が空間分割多重接続された時点からスタートされてもよい。
本発明の実施例によれば、複数の端末装置の空間分割多重接続を解除した際に、所定の条件にもとづいて空間分割多重接続するためのしきい値を変更するので、空間分割多重接続の解除の原因が、基地局装置の経年変化等である場合に、複数の端末装置を空間分割多重接続させにくくでき、複数の端末装置との間のデータの伝送品質を維持できる。空間分割多重接続をするためのしきい値を変更する際に、統計処理した値を使用するので、雑音等の影響を低減できて適正なしきい値を設定できる。また、空間分割多重接続をするためのしきい値を変更した後でも、所定の条件にもとづいてしきい値を元に戻すので、しきい値を最適な値に収束できる。また、基地局装置ごとの個体差を反映したしきい値を設定できる。
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
本発明の実施例において、通信システム100は、簡易型携帯電話システムを対象とした。しかしこれに限らず例えば、無線LAN(Local Area Network)などであってもよい。本変形例によれば、様々な通信システムに対して本発明を適用可能になる。つまり、複数の端末装置を空間分割多重接続する通信システムであればよい。
本発明の実施例において、複数の端末装置に対する伝送路特性の関連性を示した値として、相関計算部214が相関値を計算し、強度比計算部222が信号強度の比を計算した。例えば、これに限らず例えば、図示しないドップラー周波数測定部を設け、当該ドップラー周波数測定部が、複数の端末装置に対する複数のドップラー周波数をそれぞれ測定してもよい。さらに、チャネル配置部216は、入力した複数のドップラー周波数のすべてが空間分割で多重接続するための条件、すなわちドップラー用しきい値よりも小さければ、複数の端末装置の空間分割多重接続を決定してもよい。また、チャネル配置部216が複数の端末装置の空間分割での多重接続を解除した場合に、ドップラー周波数測定部から複数のドップラー周波数を再び入力し、これらのうちのいずれかがドップラー用しきい値よりも小さければ、ドップラー用しきい値をさらに小さい値に変更するように決定してもよい。本変形例によれば、ある程度高速に移動している端末装置を空間分割多重接続の候補から除外できるので、そのほかの端末装置のデータ伝送品質を維持できる。つまり、空間分割多重接続している端末装置のデータ伝送品質に影響を及ぼすパラメータにもとづいて、空間分割多重接続の設定と解除を決定すればよい。
本発明の実施例において、チャネル配置部216は、相関値用しきい値、強度比用しきい値をさらに小さい値、すなわち設定動作において空間分割多重接続が決定されにくくなるような値に変更する際に、入力した相関値、信号強度の比と相関値用しきい値、強度比用しきい値を比較した。これに限らず例えば、相関値を統計処理した値、信号強度の比を統計処理した値、すなわち伝送路特性の関連性を示した値を統計処理した値と相関値用しきい値、強度比用しきい値を比較してもよい。本変形例によれば、当該比較においても雑音等の影響を低減できる。つまり、伝送路特性の関連性を示した値であればよい。
本発明の実施例において、誤り率計算部224が上り回線の誤り率を計算して、チャネル配置部216に報告した。しかしながらこれに限らず例えば、端末装置26が下り回線の誤り率を計算し、計算した誤り率をチャネル配置部216に報告しても良い。本変形例によれば、下り回線の誤り率にもとづいて、空間分割多重接続の解除を決定できる。つまり、チャネル配置部216が伝送品質が取得できれば良い。
実施例に係る通信システムを示す構成図である。 実施例に係るバーストフォーマットを示す図である。 実施例に係るチャネル配置を示す図である。 図1の第1無線部の構成を示す図である。 図1の第1信号処理部の構成を示す図である。 図1の制御部の構成を示す図である。 図6のチャネル管理部で記憶したデータのデータ構造を示す図である。 図1の基地局装置による空間分割多重接続の手順示すフローチャートである。 図1の基地局装置による空間分割多重接続の解除の手順示すフローチャートである。 図1の基地局装置による空間分割多重接続のためのしきい値を設定する手順を示すフローチャートである。
符号の説明
10 基地局装置、 12 無線部、 14 信号処理部、 16 モデム部、 18 ベースバンド部、 20 制御部、 22 アンテナ、 24 ネットワーク、 26 端末装置、 28 ベースバンド部、 30 モデム部、 32 無線部、 34 アンテナ、 36 スイッチ部、 38 受信部、 40 送信部、 42 周波数変換部、 44 直交検波部、 46 AGC、 48 AD変換部、 50 増幅部、 52 周波数変換部、 54 直交変調部、 56 DA変換部、 68 合成部、 70 受信ウエイトベクトル計算部、 72 参照信号生成部、 74 分離部、 76 送信ウエイトベクトル計算部、 78 乗算部、 80 加算部、 82 乗算部、 100 通信システム、 200 受信応答ベクトル計算部、 214 相関計算部、 216 チャネル配置部、 218 しきい値管理部、 220 チャネル管理部、 222 強度比計算部、 224 誤り率計算部、 300 デジタル受信信号、 302 デジタル送信信号、 304 合成信号、 306 分離前信号、 308 受信ウエイトベクトル、 310 送信ウエイトベクトル、 312 参照信号、 314 入力制御信号、 316 出力制御信号、 318 無線部制御信号、 320 モデム部制御信号、 322 ベースバンド部制御信号、 402 受信応答ベクトル。

Claims (9)

  1. 複数の端末装置に対する伝送路特性の関連性を示した値を入力する第1入力部と、
    前記入力した伝送路特性の関連性を示した値が空間分割で多重接続するための条件を満たしていれば、前記複数の端末装置を空間分割で多重接続する設定部と、
    前記空間分割で多重接続した複数の端末装置に対する複数の伝送品質をそれぞれ入力する第2入力部と、
    前記入力した複数の伝送品質が空間分割での多重接続を解除するための条件を満たしていれば、前記複数の端末装置の空間分割での多重接続を解除する解除部とを備え、
    前記設定部は、前記解除部が前記複数の端末装置の空間分割での多重接続を解除した場合に、入力した伝送路特性の関連性を示した値が前記空間分割で多重接続するための条件を再び満たしていれば、前記空間分割で多重接続するための条件を空間分割で多重接続されにくくするような条件に変更することを特徴とする基地局装置。
  2. 前記第1入力部は、前記複数の端末装置に対する伝送路特性の関連性を示した値として、前記複数の端末装置に対する伝送路特性の相関値を入力し、
    前記設定部は、前記入力した相関値が空間分割で多重接続するための条件よりも小さければ、前記複数の端末装置を空間分割で多重接続し、前記解除部が前記複数の端末装置の空間分割での多重接続を解除した場合に、入力した相関値が前記空間分割で多重接続するための条件よりも再び小さければ、前記空間分割で多重接続するための条件をさらに小さい値に変更することを特徴とする請求項1に記載の基地局装置。
  3. 前記第1入力部は、前記複数の端末装置に対する伝送路特性の関連性を示した値として、前記複数の端末装置に対する信号強度の比を入力し、
    前記設定部は、前記入力した信号強度の比が空間分割で多重接続するための条件よりも小さければ、前記複数の端末装置を空間分割で多重接続し、前記解除部が前記複数の端末装置の空間分割での多重接続を解除した場合に、入力した信号強度の比が前記空間分割で多重接続するための条件よりも再び小さければ、前記空間分割で多重接続するための条件をさらに小さい値に変更することを特徴とする請求項1に記載の基地局装置。
  4. 前記第1入力部は、前記複数の端末装置に対する伝送路特性の関連性を示した値として、前記複数の端末装置に対する複数のドップラー周波数をそれぞれ入力し、
    前記設定部は、前記入力した複数のドップラー周波数のすべてが空間分割で多重接続するための条件よりも小さければ、前記複数の端末装置を空間分割で多重接続し、前記解除部が前記複数の端末装置の空間分割での多重接続を解除した場合に、入力した複数のドップラー周波数のいずれかが前記空間分割で多重接続するための条件よりも再び小さければ、前記空間分割で多重接続するための条件をさらに小さい値に変更することを特徴とする請求項1に記載の基地局装置。
  5. 前記設定部は、前記空間分割で多重接続するための条件を空間分割で多重接続されにくくするような条件に変更する場合に、前記空間分割で多重接続するための条件を入力した伝送路特性の関連性を示した値を統計処理した値にもとづいて定めることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の基地局装置。
  6. 前記第1入力部は、3つ以上の端末装置に対する伝送路特性の関連性を示した複数の値を入力し、
    前記設定部は、前記入力した伝送路特性の関連性を示した複数の値のすべてが空間分割で多重接続するための条件を満たしていれば、前記3つ以上の端末装置を空間分割で多重接続し、前記解除部が前記3つ以上の端末装置の空間分割での多重接続を解除した場合に、入力した伝送路特性の関連性を示した複数の値のいずれかが前記空間分割で多重接続するための条件を満たしていれば、前記空間分割で多重接続するための条件を空間分割で多重接続されにくくするような条件に変更することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の基地局装置。
  7. 前記設定部は、空間分割で多重接続すべき複数の端末装置の数に応じて、空間分割で多重接続するための条件が異なるように設定することを特徴とする請求項6に記載の基地局装置。
  8. 前記複数の端末装置が空間分割で多重接続されている期間を測定する測定部をさらに含み、
    前記設定部は、前記測定した期間があらかじめ定めた期間よりも長くなれば、前記空間分割で多重接続するための条件を空間分割で多重接続されやすくするような条件に変更することを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の基地局装置。
  9. 複数の端末装置に対する伝送路特性の関連性を示した値を入力して、前記入力した伝送路特性の関連性を示した値が空間分割で多重接続するための条件を満たしていれば、前記複数の端末装置を空間分割で多重接続するステップと、
    前記空間分割で多重接続した複数の端末装置に対する複数の伝送品質をそれぞれ入力して、前記入力した複数の伝送品質が空間分割での多重接続を解除するための条件を満たしていれば、前記複数の端末装置の空間分割での多重接続を解除するステップとを備え、
    前記空間分割で多重接続するステップは、前記解除するステップが前記複数の端末装置の空間分割での多重接続を解除した場合に、入力した伝送路特性の関連性を示した値が前記空間分割で多重接続するための条件を再び満たしていれば、前記空間分割で多重接続するための条件を空間分割で多重接続されにくくするような条件に変更することを特徴とする多重接続方法。
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