JP4313070B2 - 既製杭施工における汚泥処理方法および該処理方法により得られる地盤補強構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本願発明は、既製杭施工において発生する建設汚泥を、既製杭が施工される地盤の補強に有効利用することで埋立廃棄処理を必要としない、または最小限に抑えることができる汚泥処理方法および該処理方法により得られる地盤補強構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
プレボーリング工法、中掘工法、回転圧入工法のような既製杭の埋込み施工法は、振動や騒音などの公害を軽減できることから、既製杭の施工方法として広く用いられている。
【0003】
これらの施工法から排出される汚泥は、ベントナイトまたはセメントからなる掘削液、水とセメントからなる杭周固定液、地下水等が混ざっているため、一般的には、廃棄物処理法に規定する産業廃棄物である建設汚泥として取り扱わなければならない。そのため、膨大な廃棄処理費用がかかるだけでなく、近年、これらの産業廃棄物を処分する最終処分場の受入能力が逼迫している。
【0004】
このような課題に対し、特許文献1には、建設汚泥の有効利用法として、建設汚泥にセメント系安定材を混入して加圧した後、5〜100mm程度の大きさに造粒し、それを盛土、人工地盤、管渠の埋戻し材、サンドドレーン工法のドレーン材またはマット材などに有効利用する方法が開示されている。
【0005】
また、特許文献2や特許文献3には、その改良工法として、造粒時の破砕粉を前工程に戻して処理することや、造粒した改良土の表面にアルカリ性イオンの溶出を防ぐ表面処理を施すことが開示されている。
【0006】
【特許文献1】
特開平04−049315号公報
【特許文献2】
特許第3122913号公報
【特許文献3】
特許第3122914号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上述した建設汚泥にセメント系安定材を混入して改良土を造粒する方法は、産業廃棄物である建設汚泥を廃棄せずに有効利用できるというメリットを有するが、造粒の工程において、セメント類の混入の他、加圧、脱水処理、その解砕、分級、さらに改良土の表面処理や破砕粉の処理が必要であり、それなりの処理設備と費用を要する。
【0008】
また、大量処理のためには処理設備も大型化し、建設汚泥が発生する施工場所に設置することができず、建設汚泥の運搬や造粒化した改良土についても新たな施工現場への搬送が必要となり、コスト的には必ずしも経済的であるとは言えない。
【0009】
また、既製杭による埋込み工法では、表層地盤が軟弱な場合、杭基礎の水平抵抗性が不十分となる。
【0010】
本願発明は、このような課題の解決を図ったものであり、既製杭施工において発生する建設汚泥を、既製杭が施工される地盤の補強に用いることで、単に建設汚泥の有効利用だけでなく、全体の施工コストを低減し、かつ地盤補強、杭補強が可能な汚泥処理方法および地盤補強構造を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本願の請求項1に係る汚泥処理方法は、既製杭を埋込み工法により施工する過程で排出される汚泥に硬化性材料を混合してなる改良土を、前記既製杭を埋め込むために掘削した孔(以下、「杭孔」という。)とは別に掘削した孔(以下、「柱孔」という。)に充填することにより、前記既製杭に加え地盤内に前記改良土による柱を築造し、該柱により前記既製杭が埋め込まれた近傍の地盤強度を高めることを特徴とするものである。
【0012】
すなわち、排出される汚泥にセメント等の硬化性材料を混合することで、改良土(ソイルセメント)を製造し、これを用いて既製杭施工現場の地盤内にソイルセメント柱等の形で改良土による柱を築造し、その際、改良土による柱が既製杭施工現場の地盤の強度より高い強度となるようにして、既製杭近傍の地盤強度を高めることができる。
【0013】
本願の請求項2に係る汚泥処理方法は、既製杭を埋込み工法により施工する際に、杭孔を掘削する初期の段階から硬化性材料を混和した掘削液を先端ビットから吐出させながら掘削を行うことで、施工の過程で排出される汚泥に硬化性材料が混合されているようにし、前記硬化性材料が混合された状態で排出されてくる汚泥を誘導するための流路を、前記既製杭を埋め込むための孔から該孔とは別に掘削した孔に向けて設け、この硬化性材料が混合されている汚泥を改良土として、前記杭孔とは別に掘削した柱孔に充填することにより、前記既製杭に加え地盤内に前記改良土による柱を築造し、該柱により前記既製杭が埋め込まれた近傍の地盤強度を高めることを特徴とするものである。
【0014】
従来の埋込み工法においては、杭周の土砂の強度を高めるため、ある程度の深度まで掘削した段階、あるいはオーガー等の掘削機を引き上げる際に、セメントミルク等の形で硬化性材料を注入することがしばしば行われており、また先端根固め部については、通常、杭周より富配合とした硬化性材料が注入され、攪拌、混合により杭の周囲にソイルセメントが形成される。
【0015】
しかし、従来の工法では、掘削初期の段階では、孔壁の崩壊を防止するためベントナイト等の安定液を使用するが、セメント等の硬化性材料は多く使用しないようにしている。
【0016】
請求項1に係る発明では、汚泥にセメント等の硬化性材料を混合する時期は特に限定しておらず、地上に設置した攪拌混合のための設備を用いて排出された後の汚泥にセメント等の硬化性材料を混合する場合も含めているが、請求項2では上記従来の工法とは異なり杭孔を掘削する初期の段階から硬化性材料を混和した掘削液を先端ビットから吐出させながら掘削を行うことで、汚泥が既に硬化性材料と混合された状態で排出されるようにしたため、地上には攪拌混合のための設備を必要とせず、効率のよい安価な施工が可能となる。
【0017】
なお、請求項2における硬化性材料は、例えばセメントに水等を加えたセメントミルクに必要に応じてベントナイトなどを添加したものであり、オーガー等の掘削機の先端部から吐出することができ、その場合掘削液としての機能も有する。
【0019】
一般に埋め込み工法による既製杭の施工の際には、杭孔から排出されてくる汚泥は液体に近い非常に高い流動性を有するものであり、従来は杭孔周辺に汚泥が溜まらないように釜場と呼ばれる浅い窪みを掘り、杭孔上端から溢れ出す汚泥を釜場に一時的に貯留することで、汚泥が杭施工の障害とならないようにしている。
【0020】
請求項2では杭孔から柱孔まで流路を設けることで、既に掘削時に硬化性材料が混合されて排出されてくる汚泥(改良土)をそのまま柱孔に誘導することができ、したがって掘削孔の周辺に汚泥が溜まり作業の支障となることを防ぐことができ、釜場も不要となるとともに、効率よく既製杭の近傍に改良土による柱が築造できる。
【0021】
なお、請求項1および請求項2に係る汚泥処理方法において、改良土による柱により既製杭近傍の地盤強度を高める意義については、地盤そのものを補強する意義、液状化の恐れのあった軟弱地盤では液状化を防止する意義等があり、さらに地震時において地面に近い地盤の水平変位に対する抵抗性を向上する効果が得られる。
【0022】
既製杭としては、PHC杭、SC杭、PRC杭、PC杭、ST杭、節杭や各種鋼管杭等が挙げられる。
【0023】
硬化性材料としては、セメント、セメント組成物、スラグ系硬化材、石灰系硬化材、その他ソイルセメントを製造するのに用いられている硬化性材料等が挙げられ、中でもセメント系硬化材が一般的であるが、特に限定されない。
【0024】
扱いやすさやコストを考えた場合、セメント系材料が好ましい。その場合に得られるソイルセメント柱は従来のものと同等のものである。
【0025】
本願発明では、通常は、従来の技術の項で述べた従来技術のような複雑な処理工程による造粒は考えておらず、排出される汚泥について、必要に応じ脱水処理を施す程度で、そのままセメント等の硬化性材料を加え、掘削した孔に従来の方法で投入することでソイルセメント柱を築造できるので、基本的には施工現場で生じた汚泥は同じ施工現場内で簡単な設備により全て処理し得る。
【0026】
汚泥と硬化性材料との配合割合は特に限定されないが、周辺地盤の強度より高くするために汚泥の含水比に応じて硬化性材料を50〜500kg/m3 添加することが好ましい。
【0027】
本願発明はこのように、建設施工現場(建設汚泥発生現場)において建設汚泥を処理すると同時に、汚泥自体を有効利用して、該現場の地盤強度を高め、液状化を抑止し、あるいは杭基礎の水平変位に対する抵抗性を向上させるものである。
【0028】
しかも、請求項1に係る発明で地上に排出された後の汚泥に硬化性材料を混ぜて改良土を製造する場合でも、汚泥と硬化性材料との混合設備以外は特別の設備を必要とせず、さらに請求項2に係る発明では地上の混合設備も必要とせず、経済性にも優れている。
【0029】
汚泥に対する硬化性材料の混合、練り混ぜ方法としては、請求項1に係る発明で地上に排出された後の汚泥を用いて改良土を製造する場合、タンクに溜めた汚泥をミキサーによりセメント等の硬化性材料と混ぜる方法、汚泥を溜めたタンクに直接硬化性材料を加えて混ぜる方法、発生した汚泥をポンプを用いて柱孔に圧送し、その先端でセメントスラリー等と混合する方法、汚泥をポンプ等を用いて充填しながらセメント等の硬化性材料を添加し、オーガー等を用いて柱孔内で攪拌する方法等が考えられる。なお、請求項2に係る発明の場合は、前述のように既に硬化性材料が混合された状態で杭孔から排出されてくる。
【0030】
改良土による柱の深さは、通常は浅くてよいため、他の特別な要因がなければベントナイト泥水などの掘削液を必要としない深さまでとすることで、安価に施工することができる。
【0031】
既製杭を埋め込むために掘削した孔とは別に掘削する孔(柱孔)の掘削方法は特に限定されるものではないが、既製杭の施工に用いるオーガー等の掘削機を利用することができ、その際、水、ベントナイトやセメントなどからなる掘削液を使用せずに掘削することで、発生土はほとんどの場合、コーン指数が200kN/m2 以上となり、一般発生残土として処理することができる。なお、ここで言うコーン指数は処理土の品質判定に用いられているものであり、地盤工学会基準の「締固めた土のコーン指数試験」(JGS T 716)に準拠したものである。また、ケーシング方法による掘削方法を用いることもできる。
【0033】
建物その他の上部構造の支持は基本的には構造物の形態に応じて、所定位置に配置される杭が支持し、本願発明の汚泥処理を兼ねた改良土の柱の位置や径は必ずしも限定されず、施工性の面や杭基礎の水平変位に対する抵抗性を向上させるといった地盤補強の観点からは既製杭より浅い方が有利である。
【0034】
また、液状化の恐れのある部分は地盤の上層部である場合が多く、杭頭補強の観点からも地盤の上層部が補強されることが効果的である。
【0035】
なお、施工現場の地盤の地質が不均一な場合や傾斜地である場合、構造物の形態が特殊な場合等、施工される杭の長さがその位置によって異なる場合もある。
【0036】
具体的には、請求項1、2に係る汚泥処理方法において、改良土による柱を築造するための柱孔の深さは、1m以上10m以下程度が望ましく、より望ましくは2m以上6m以下である。
【0037】
改良土による柱が1m未満では、汚泥処理の観点からは十分な容積が確保されず、汚泥の利用効率が悪い。また、10mより深い場合、地下水が出やすく、土質によっては掘削液を使用しなければ孔壁が崩壊し、掘削し難くなる場合があり、改良土の充填にも問題を生ずる場合がある。また、掘削液を使用した場合は、前述の通り、一般発生土として処理し難くなる。
【0039】
上述のように、一般的には改良土の柱の深さは既製杭の深さよりかなり浅い場合が多く、仮に既製杭の埋設過程で排出された汚泥を全て発生現場内で利用するためには、改良土の柱の径を大きくするか、本数を増やすか、またはその両方とする必要がある。汚泥の一部を発生現場外で利用する場合も基本的には同様である。
【0040】
また、施工面では多数の孔を掘削するより大きい径の浅い孔を掘削する方が容易であるとともに、地盤補強効果も得られる。
【0041】
この柱孔の径としては、400mm以上1200mm以下が望ましい。杭径や杭長に応じて決まる発生汚泥の量にも関連するが、一般的に400mm未満では1本当たりの汚泥を処理できる容積が小さく、同一量の汚泥を処理するため、かつ地盤補強のために必要な本数が増え、極端に効率が悪くなる。
【0042】
一方、1200mmより大きくなると、従来の一般的な既製杭用機械での掘削が困難となる。ただし、掘削深さが浅く、バックホウなどを利用できる場合にはより大きな径の掘削も考えられるが、改良土の充填作業性や他の建設工事への影響の点から著しく大きな径にすることは好ましくない。
【0043】
本願の請求項3に係る地盤補強構造は、複数の既製杭が施工された地盤内に、前記既製杭を埋め込むために孔を掘削した際に発生する汚泥に硬化性材料あるいは硬化性材料を含む掘削液を混合した改良土からなる柱が、前記既製杭の近傍や既製杭間に上述の条件で適宜混在する形で分散配置されていることを特徴とするものである。なお、ここでいう近傍について具体的な数値を挙げるとすると、地盤補強や地震時の水平抵抗力の向上を考えた場合、既製杭と柱の外周間の距離が2m以内であることが望ましい。
【0044】
分散配置の形態は特に限定されないが、地盤をできるだけ均一に補強するためにある程度均等に分散させる場合と、杭頭部の補強効果を向上させるためにできるだけ既製杭に近づけて配置する場合とが考えられる。
【0045】
請求項4は、請求項6に係る地盤補強構造において、前記既製杭と前記改良土からなる柱が、既製杭を施工した地盤内に壁状に分散配置されている場合を限定したものである。
【0046】
従来のソイルセメント柱による地盤改良形式としては、ソイルセメント柱に杭的な機能も期待して杭形式の配置とする場合、1列または複数列の壁状の配置とする場合、内側の地盤の取り囲む壁状の配置とする場合、格子状の壁配置とする場合等があり、また各柱を分散させる場合と、一部をオーバーラップさせる場合とがある。
【0047】
しかし、何れもソイルセメント柱のみか、あるいは既製杭を補強するためにその周囲にソイルセメントを配したものである。本願発明では埋込み杭としての既製杭と改良土による柱が混在しており、請求項7はこれらを壁状に配置する場合を限定したものである。なと、改良土による柱が連続して一列に並べ場合は、各々をつなげて壁にすることもできる。
【0048】
請求項5は、請求項3または4に係る地盤補強構造において、前記改良土による柱が近傍にある既製杭より短くかつ太いものである場合を限定したものである。
【0049】
【発明の実施の形態】
図1は、本願の請求項1に係る汚泥処理方法の基本概念を示したもので、軟弱層Aを貫通するようにコンクリート既製杭5等の埋込み杭が施工され、この埋込み施工の際に排出されるベントナイト泥水等の掘削液が混入した汚泥にセメント等の硬化性材料を混合し、それを施工現場内に、杭孔1とは別に掘削した杭孔1に比べて太径で短い柱孔6に充填することで、汚泥を施工現場外に出さずに処理することができる。
【0050】
一方、柱孔6は浅いため、掘削液を使用しないで掘削することができ、この柱孔6の掘削で排出される土砂は一般発生土8としてそのまま再利用することができる。
【0051】
なお、埋込み杭施工の際に排出される汚泥は、全て同じ施工現場の場内で有効利用の形で処理するのが理想であるが、種々の条件により一部を施工現場外に搬出して処理することもあり得る。また、逆に、汚泥が不足した場合は一般発生土8の一部を利用することもあり得る。
【0052】
図2〜図6は、本願の請求項1に係る汚泥処理方法の具体的な一実施形態における施工手順を示したものであり、以下の手順で施工を行う。
【0053】
オーガー2で杭孔1を掘削し、その際に排出される掘削液を含んだ汚泥3をタンク4に貯留する(図2参照)。
【0054】
コンクリート杭などの既製杭5を杭孔1に沈設して行く。その際にも汚泥3が排出され、タンク4に貯留する(図3参照)。
【0055】
埋設した既製杭5の近傍に杭孔1より径が大きく、浅い柱孔6をオーガー7で掘削する(図4参照)。このオーガー7は、図2の杭孔1を掘削するオーガー2を転用すればよく、必要に応じアタッチメント等を替える。
【0056】
柱孔6の掘削は、掘削液を使用しないで行うことで、排出される土砂は一般発生土8として、再利用することができる。なお、図4は既製杭5を杭孔1に沈設した後に柱孔6の掘削を行うことを示すものではなく、状況によって一部同時進行もあり得る。
【0057】
タンク4に貯留した汚泥3に、セメント等の硬化性材料を混合し、改良土9としてのソイルセメントを柱孔6に充填する(図5参照)。
【0058】
柱孔6内で改良土9が硬化することで、既製杭5の近傍やこれらの間に地盤補強効果を有するソイルセメント柱10が形成される(図6参照)。また、ソイルセメント柱10は少なくとも既製杭5の近傍に配置されることで、既製杭5の頭部における水平抵抗力を増すことができ、その他地震時における地盤の液状化防止効果も期待できる。
【0059】
図7〜図9は、本願の請求項2に係る汚泥処理方法の一実施形態における施工手順を示したものであり、以下の手順で施工を行う。
【0060】
掘削する杭孔1の近傍に、オーガー7であらかじめソイルセメント柱孔6を掘削する(図7参照)。掘削液等を使用しない場合、掘削排土は一般発生土8として処理することができる。
【0061】
硬化性材料を混合した掘削液(硬化性材料+水、必要に応じてベントナイト添加)をオーガー2の先端ビット2a部分等から吐出しながら杭孔1を掘削するとともに、柱孔1から柱孔6に向けて溝21を形成し、杭孔1からオーバーフローした硬化性材料を含む汚泥3を、流路としての溝21を通して柱孔6に流し込む(図8参照)。
【0062】
杭孔1に既製杭5を建て込み、オーバーフローした硬化性材料を含む汚泥3を、同様に流路としての溝21を通して柱孔6に流し込む(図9参照)。
【0063】
図10は、上述した図7〜9の実施形態における施工手順をフローチャートとして示したものである。ただし、図10に示したフローチャートはあくまで一具体例であり、本願の発明の趣旨から逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0064】
図10のフローチャートにおける掘削液、根固め液、杭周固定液は、それぞれセメント等の硬化性材料と水に必要に応じベントナイト等を添加したものであり、通常は根固め液については硬化性材料の添加量を多くする。
【0065】
セメントミルク等の硬化性材料の量は、ソイルセメントとして硬化したものが周辺地盤より高強度となるように決定される。
【0066】
図11は、本願発明の地盤補強構造の一実施形態における既製杭とソイルセメント柱の配置例を示したものである。
【0067】
図11(a) の例では、上部構造物11を支持する埋込み杭としての既製杭5の近傍や間にソイルセメント柱10を格子状の壁状に並べ、格子壁構造的に地盤を補強しつつ、既製杭5の頭部における水平抵抗力を高めている。
【0068】
図11(b) の例では、上部構造物11を支持する埋込み杭としての既製杭5の近傍や間にソイルセメント柱10を壁状に並べ、壁構造的に地盤を補強しつつ、既製杭5の頭部における水平抵抗力を高めている。
【0069】
図11(c) の例では、上部構造物11を支持する埋込み杭としての既製杭5の間にソイルセメント柱10を杭状に並べ、杭構造的に地盤を補強しつつ、既製杭5の頭部における水平抵抗力を高めている。
【0070】
その他、ソイルセメント柱10の配置は地盤補強、液状化防止、杭頭における水平抵抗力の増大等の観点から種々の配置が考えられる。
【0071】
【発明の効果】
本願発明の汚泥処理方法では、既製杭埋込み工法による建設施工現場において建設汚泥を処理すると同時に、汚泥自体をソイルセメント柱等の形で改良土として有効利用し、既製杭とソイルセメント柱からなる地盤補強構造を築造することにより、地盤強度を高め、液状化を抑止し、あるいは杭基礎の水平変形に対する抵抗性を向上させることができる。
【0072】
汚泥処理や再利用のための複雑な工程や特別の設備を必要とせず、特に請求項2の場合は地上部に攪拌混合のための設備等も必要とせず、経済性にも優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本願発明の既製杭施工における汚泥処理方法の基本概念を示す断面図である。
【図2】 本願の請求項1に係る発明の一実施形態における施工手順を示す断面図である。
【図3】 図2に続く施工手順を示す断面図である。
【図4】 図3に続く施工手順を示す断面図である。
【図5】 図4に続く施工手順を示す断面図である。
【図6】 図5に続く施工手順を示す断面図である。
【図7】 本願の請求項2に係る発明の一実施形態における施工手順の概要を示す断面図である。
【図8】 図7に続く施工手順を示す断面図である。
【図9】 図8に続く施工手順を示す断面図である。
【図10】 図7〜9の実施形態における施工手順の具体例を示すフローチャートである。
【図11】 本願発明の地盤補強構造の一実施形態における既製杭とソイルセメント柱の配置例を示す平面図である。
【符号の説明】
A…軟弱層、B…支持層、
1…杭孔、2…オーガー、2a…先端ビット、3…汚泥、4…タンク、5…既製杭、6…柱孔、7…オーガー、8…一般発生土、9…改良土、10…柱、11…上部構造物、21…溝
Claims (5)
- 既製杭を埋込み工法により施工する過程で排出される汚泥に硬化性材料を混合してなる改良土を、前記既製杭を埋め込むために掘削した孔とは別に掘削した孔に充填することにより、前記既製杭に加え地盤内に前記改良土による柱を築造し、該柱により前記既製杭が埋め込まれた近傍の地盤強度を高めることを特徴とする既製杭施工における汚泥処理方法。
- 既製杭を埋込み工法により施工する際に、既製杭を埋め込むための孔を掘削する初期の段階から硬化性材料を混和した掘削液を先端ビットから吐出させながら掘削を行うことで、施工の過程で排出される汚泥に硬化性材料が混合されているようにし、前記硬化性材料が混合された状態で排出されてくる汚泥を誘導するための流路を、前記既製杭を埋め込むための孔から該孔とは別に掘削した孔に向けて設け、この硬化性材料が混合されている汚泥を改良土として、前記既製杭を埋め込むために掘削した孔とは別に掘削した孔に充填することにより、前記既製杭に加え地盤内に前記改良土による柱を築造し、該柱により前記既製杭が埋め込まれた近傍の地盤強度を高めることを特徴とする既製杭施工における汚泥処理方法。
- 複数の既製杭が施工された地盤内に、前記既製杭を埋め込むために孔を掘削した際に発生する汚泥に硬化性材料あるいは硬化性材料を含む掘削液を混合した改良土からなる柱が、前記既製杭の近傍に混在する形で分散配置されていることを特徴とする地盤補強構造。
- 前記既製杭と前記改良土からなる柱が、既製杭を施工した地盤内に壁状に分散配置されている請求項3記載の地盤補強構造。
- 前記改良土による柱は近傍にある前記既製杭より短くかつ太いものである請求項3または4記載の地盤補強構造。
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