JP4312844B2 - 刻時、メッセージ配送等のためのシステム、方法及びその装置 - Google Patents
刻時、メッセージ配送等のためのシステム、方法及びその装置 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般的には、正弦波システム基準信号を使用した局部タイミング信号の生成によるタイミング信号分配のためのシステム及びその方法に関し、また、多重処理及び多重計算環境におけるメッセージ同報のためのシステム及びその方法にも関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、システム基準信号の生成と分配は多くの計算環境で行なわれる基本的動作である。例えば、多重処理システムにおいて、システム基準信号は典型的に各々個別のプロセッサへ生成・分配される。別の例として、ネットワーク内のマスターノードがネットワーク同期を目的としたシステム基準信号を生成・分配することがある。
【0003】
システム基準信号を生成・分配する従来技術のデジタルシステムにおいて、システム基準信号は典型的にはシステム内で使用される最高の周波数の信号である。システム内の処理要素は分配経路に沿って接続された一連のバッファ増幅器を経由してシステム基準信号を受信する。各々の処理要素はシステム基準信号の周波数で刻時するか、又は、システム基準信号の周波数より低く一定の周波数分周又はダウン変換した周波数tで刻時する。
【0004】
デジタルシステム内の各々の処理要素の動作周波数はシステム設計の際に決定する。システムの製造後、1つ又はそれ以上の処理要素の動作周波数の変更、特に独立した方法での変更は、一般に、困難で、時間がかかり、高価な処理である。処理要素の動作周波数を容易に、また、独立して変更することができるような手段に対する必要性が存在する。
【0005】
処理能力の増大の必要性はさらに高速な周波数で動作するシステムの開発につながった。前述のように、システム基準信号は典型的にはシステム内に分配使用される最も高い周波数の信号である。システム基準信号のシステム全体への分配は動作周波数が増加するにつれ益々困難になる。分配経路に沿ったインピーダンス及び信号反射の複雑な影響は周波数の増加につれて増大し、パルスの減衰及び歪曲を招く。殆ど全てのデジタルシステムにおいて、システム基準信号は方形波パルス列として生成・分配される。パルスの忠実性を保持し最小限の歪曲で信号エッジ遷移を伝播するためには、分配経路に沿って使用する増幅段に例外的に安定な利得と例外的に高い歪率性能が要求される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
システム基準信号の周波数が増加するにつれ、利得と歪率性能条件を満たすには望ましくない高価な要素の使用が必要となる。さらに、システム基準信号が多数の増幅段を通過すると、例えば、従来のクロック分配ツリーの場合にみられるように、パルス歪みの累積が回避できない。各々の増幅段はある程度の信号エッジのジッタを発生し、これによってシステム内の任意の処理要素へのシステム基準信号到着時刻に不確実性が増大する。
【0007】
よって、必要とされることは、前述の問題を低減しつつ同時に各々の処理要素の動作周波数を増大するシステム基準信号の生成・分配である。
【0008】
また、多数の処理要素を特徴とする計算システムは、システム内の各々の処理要素へ共通のメッセージ信号の組の分配が必要とされることが多い。メッセージ信号の共通の組は、例えば、システム全体のリセットが必要なことを表わすために使用することができる。各々の処理要素へのメッセージ信号の共通の組の分配は同報動作として従来から周知である。
【0009】
従来技術において、メッセージ信号の分配は、一般に、
1)専用の相互接続ネットワーク経由、及び
2)専用のハードウェア及び場合によっては各々の処理要素に付属し相互接続ネットワークからメッセージ信号を受信するためとメッセージ信号を送信す
るためだけに用いられる専用のソフトウェア経由、
で実現される。メッセージ信号を1つの処理要素から別の処理要素へ転送するために必要な最大時間は、従来システムにおいては、数msから数百msの範囲であり、システムの規模と使用するメッセージ信号の流れの管理技術によって変化する。このような遅延時間は高速同報動作を実行する可能性を受け入れ不可能に排除するものである。従来技術のメッセージ信号分配システム及びその方法は、個別の処理要素内部のハードウェアを経由して信号を伝播するのにかかる時間(即ち、ns単位)程度の瞬時となるような同報動作を実行することが不可能である。さらに、従来技術においては、メッセージ信号伝送遅延は相互接続ネットワーク上の異なる場所の間で大幅に変化することがある。これは、システム全体のレベルで同時又はほぼ同時に動作を実行するように処理要素を連動させる可能性が排除される。必要とされることは従来技術の前述の制限を克服するための手段である。
【0015】
また、請求項1において、局部ユニットは、出力を有するオフセット発振器と、第1の入力と第2の入力と出力とを有し、第1の入力が前記マスタユニットの出力に接続され、前記第2の入力が前記オフセット発振器の出力に接続され、前記出力が前記局部ユニットの出力に接続された混合器と、を含んでいてもよい(A−9)。このA−9において、局部ユニットは、さらに入力と第1の出力と第2の入力を有する二重化器を含み、この二重化器の入力が前記混合器の出力に接続され、前記二重化器の前記第1の出力が混合器端末処理の入力に接続され、前記二重化器の第2の出力が前記局部ユニットの前記出力に接続されており、前記二重化器がその第1の出力に低周波混合積信号、第2の出力に高周波混合積信号を提供するようにしてもよく(A−10)、或いは、局部ユニットは、さらに、入力と出力とを有する制限器を含み、この制限器の前記入力が前記混合器の前記出力に接続され、前記制限器の前記出力が前記第1の局部タイミング信号を提供するようにしてもよい(A−11)。
【0016】
さらには、A−9において、局部ユニットは、第1の入力と第2の入力と出力とを有し、前記出力が前記オフセット発振器の制御入力に接続された位相周波数検出器と、前記混合器の前記出力に接続された入力と前記位相周波数検出器の前記第1の入力に接続された出力とを有する第1の周波数分周器と、前記マスタユニットの前記出力に接続された入力と前記位相周波数検出器の前記第2の入力に接続された出力とを有する第2の周波数分周器と、を含んでいてもよい(A−12)。このA−12において、位相周波数検出器は、再プログラム可能な論理装置の一部を含んでいてもよく(A−13)、或いは、第1の周波数分周器は、再プログラム可能な論理装置の一部を含んでいてもよく(A−14)、さらには、第2の周波数分周器は、再プログラム可能な論理装置の一部を含んでいてもよい(A−15)。
【0019】
請求項2において、各々の局部ユニットの第1の入力は、拡張可能な受動信号分配手段によりマスタユニットの第1の出力に接続されるようにしてもよい(B−1)。B−1において、拡張可能な受動信号分配手段が、伝送線であってもよい(B−2)。
【0020】
【課題を解決するための手段】
A.請求項1に関して
請求項1記載の発明の正弦波システム基準信号を使用した局部タイミング信号の生成によるタイミング信号分配とメッセージ配送の組み合せのためのシステムは、出力を有し、直角位相の関係にある2つの正弦波システム基準信号を作成するためと前記直角位相の関係にある2つの正弦波システム基準信号内の第1の正弦波システム基準信号の振幅を変調するためのマスタユニットと、入力を有し、前記直角位相の関係にある2つの正弦波システム基準信号内の正弦波システム基準信号を用いた周波数の増加変換により第1の局部タイミング信号を提供するためと、前記第1の正弦波システム基準信号を復調するための第1の局部ユニットと、を含み、前記マスタユニットの前記出力に前記第1の局部ユニットの前記入力が接続されている。
【0021】
請求項1において、入力を有し、2つの正弦波システム基準信号内の正弦波システム基準信号を用いて第2の局部タイミング信号を提供するためと、前記第1の正弦波システム基準信号を復調するための第2の局部ユニットをさらに含み、前記マスタユニットの前記出力に前記第2の局部ユニットの前記入力が接続してあってもよい。
【0035】
B.請求項2に関して
請求項2記載の発明の正弦波システム基準信号を使用した局部タイミング信号の生成によるタイミング信号分配とメッセージ配送の組み合せのための方法は、マスタユニット内で直角位相の関係にある2つの正弦波システム基準信号を生成する段階と、第1の制御信号に従って第1の正弦波システム基準信号の振幅を変調する段階と、局部ユニットで前記変調した第1の正弦波システム基準信号を受信する段階と、前記直角位相の関係にある2つの正弦波システム基準信号内の正弦波システム基準信号を用いた周波数の増加変換により局部タイミング信号を生成する段階と、前記第1の正弦波システム基準信号を復調してメッセージ信号を作成する段階と、を有している。
【0036】
請求項2において、2つの正弦波システム基準信号が第1の正弦波システム基準信号と第2の正弦波システム基準信号とを含み、前記第1,2の正弦波システム基準信号が固定位相関係を維持するようにしてもよい(B−1)。このB−1において、位相関係は直角位相関係であってもよい(B−2)。
【0037】
また、請求項2において、前記メッセージ信号はリセット信号、割り込み信号、データ・ワードのグループからの1つを含んでいてもよい(B−3)。さらに、請求項2において、第2の制御信号に従って2つの正弦波システム基準信号内の第2の正弦波システム基準信号の振幅を変調する段階をさらに含んでいてもよい(B−4)。このB−4において、第1の正弦波システム基準信号の振幅を変調する段階と第2の正弦波システム基準信号の振幅を変調する段階は象限振幅変調に従って実行されるようにしてもよい(B−5)。
【0038】
さらに、請求項2において、変調段階は第1の正弦波システム基準信号の周期に等しい速度で行なわれるようにしてもよい(B−6)。
【0039】
また、請求項2において、復調する段階は、変調した第1の正弦波システム基準信号の整流したものを作成する段階と、変調した第1の正弦波システム基準信号の前記整流したものをこれの周期の一部にわたって積分する段階と、を含んでいてもよい(B−7)。このB−7において、積分段階の間に生成した値に基づいてビットシーケンスを生成する段階をさらに含んでいてもよい(B−8)。
【0040】
C.請求項3に関して
請求項3記載の発明の正弦波システム基準信号を使用した局部タイミング信号の生成によるタイミング信号分配とメッセージ配送の組み合せのための方法は、マスタユニット内部で直角位相の関係にある2つの正弦波システム基準信号を生成し、前記直角位相の関係にある2つの正弦波システム基準信号内の各々の正弦波システム基準信号がこの直角位相の関係にある2つの正弦波システム基準信号内の他の正弦波システム基準信号に対して直角位相の関係を維持する段階と、前記直角位相の関係にある2つの正弦波システム基準信号内の第1の正弦波システム基準信号を、前記直角位相の関係にある2つの正弦波システム基準信号と同期して生成される第1の情報信号に従って、変調する段階と、前記マスタユニットから供給された前記直角位相の関係にある2つの正弦波システム基準信号の内の1つの正弦波システム基準信号と同期して局部ユニット内で第1の局部基準信号を生成し、当該第1の局部基準信号に対する周波数の増加変換により、局部タイミング信号を生成する段階と、前記マスタユニットから供給された前記直角位相の関係にある2つの正弦波システム基準信号と同期して、前記局部ユニット内で前記第1の正弦波システム基準信号を復調する段階と、を有している。
【0044】
D.請求項4に関して
請求項4記載の発明の正弦波システム基準信号を使用した局部タイミング信号の生成によるタイミング信号分配とメッセージ配送の組み合せのための装置は、直角位相の関係にある2つの正弦波システム基準信号をマスタユニット内で生成するための手段と、前記直角位相の関係にある2つの正弦波システム基準信号内の第1の正弦波システム基準信号の振幅を変調するための手段と、前記直角位相の関係にある2つの正弦波システム基準信号内の正弦波システム基準信号を用いた周波数の増加変換により局部ユニット内で局部タイミング信号を生成するための手段と、前記第1の正弦波システム基準信号を復調するための手段と、を備えている。
【0045】
E.請求項5に関して
請求項5記載の発明の正弦波システム基準信号を使用した局部タイミング信号の生成によるタイミング信号分配とメッセージ配送の組み合せのための装置は、マスタユニット内で直角位相の関係にある2つの正弦波システム基準信号を生成し、この直角位相の関係にある2つの正弦波システム基準信号内の各々の正弦波システム基準信号が他の正弦波システム基準信号各々に対して直角位相の関係を維持するための手段と、前記直角位相の関係にある2つの正弦波システム基準信号と同期して生成される第1の情報信号に従って、この直角位相の関係にある2つの正弦波システム基準信号内の第1の正弦波システム基準信号を変調するための手段と、前記マスタユニットから供給された前記直角位相の関係にある2つの正弦波システム基準信号の内の1つの正弦波システム基準信号と同期して局部ユニット内で第1の局部基準信号を生成し、当該第1の局部基準信号に対する周波数の増加変換により、局部タイミング信号を生成するための手段と、前記マスタユニットから供給された前記直角位相の関係にある2つの正弦波システム基準信号と同期して、前記局部ユニット内で前記第1の正弦波システム基準信号を復調するための手段と、を備えている。
【0046】
O.これらの発明の概要
本発明は、位相同期で周波数可変の刻時、メッセージ配送等のためのシステム、方法及びその装置である。本システムは、マスタ刻時ユニット(マスタユニット)と、端末処理を有するシステムバスと、少くとも1つの局部刻時ユニット(局部ユニット)とを含むのが好ましい。マスタ刻時ユニット内部で構成した基準系が水晶周波数基準発振回路の出力に位相固定した第1,2のシステム基準信号を生成する。第1,2のシステム基準信号は正弦波信号で象限位相関係を有する。変調状態マシンは外部供給源からのメッセージ信号を受信し,メッセージ信号をビット列に同期的に変換し、レベル変換を実行して各々のビット列を情報信号に変換する。変調器は情報信号に基づいて第1,2のシステム基準信号に直接搬送波増幅変調を実行し、変調システム基準信号をシステムバスに出力する。システムバスは変調システム基準信号を各々の局部刻時ユニットへ分配する伝送線として実装するのが好ましい。この方法でのシステムバスの実装により、マスタ刻時ユニットから任意の局部刻時ユニットの何れかへ送信した信号の到着時刻の正確な決定ができる。
【0047】
各々の局部刻時ユニット内で、局部基準発振回路が第1,2の変調システム基準信号に位相固定した第1,2の局部基準信号を生成する。さらに、局部タイミング発振回路(LTO)がオフセット信号を生成する。好ましくは、オフセット信号の周波数はシステム基準信号の周波数より高い。混合器と二重化装置が第2の局部基準信号とオフセット信号から周波数増加変換を経由して局部タイミング信号を生成する。つまり、局部タイミング信号の周波数はオフセット信号の周波数とシステム基準信号の周波数の和に等しいのが好ましい。局部タイミング信号は局部タイミング線に出力されて、好ましくは、局部刻時ユニットに関連した1つ又はそれ以上の外部要素へタイミング情報を提供する。
【0048】
第1,2の周波数分周器は、各々周波数を分周した局部タイミング信号と周波数分周した第2の局部基準信号を位相周波数検出器へ提供する。位相周波数検出器はLTOで生成したオフセット信号の周波数を制御する調整信号を出力する。この方法で、周波数分周した局部タイミング信号は周波数分周した第2の局部基準信号に位相固定される。
【0049】
第1の周波数分周器は分周器定数k1を特徴とし、第2の周波数分周器は分周器定数k2を特徴とする。好適な実施の形態において、第1,2の周波数分周器は再設定可能な論理装置、例えば、フィールドプログラマブル・ゲートアレイ(FPGA)を用いて実現する。このような実装により分周器定数k1,k2の選択的な変更を提供し、これによって任意の時刻に局部タイミング信号の周波数のプログラム可能な仕様を容易にする。従って、本発明は、任意の局部刻時ユニットの何れかから出力する周波数を他の局部刻時ユニットの何れからも独立して容易に変更することができるような手段を提供する。
【0050】
各々の局部刻時ユニット内部で、コヒーレント受信ユニットが変調システム基準信号を同期的に復調しマスタ刻時ユニット内部の変調器で第1,2のシステム基準信号に符号化されたビット列を復元する。メッセージ組立ユニットは信号方式に従ってビット列をメッセージとデータに復号する。メッセージは同期システムリセット信号、システム割込信号、システムイベント信号を選択的に含む。データセレクタはメッセージを第1又は第2の信号チャンネルのどちらかに出力する。メッセージ組立ユニット内部で、データ信号はデータ・ワードにまとめられ、その各々が同期データチャンネルに出力される。
【0051】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の一形態を図面に基づいて説明する。図1を参照すると、本発明に従って作製したタイミング信号分配及びメッセージ配送のためのシステム10の好適な実施の形態のブロック図が図示してある。好ましくは、システム10はマスタ刻時ユニット12、システムバス14、回線端末処理20、及び、少くとも1つの局部刻時ユニット22を含む。好ましくは、システム10は複数の局部刻時ユニット22を含む。マスタ刻時ユニット12はシステムバス14の第1の線16に接続した第1の出力と、システムバス14の第2の線18に接続した第2の出力と、第1のメッセージ線40経由でメッセージ信号供給源に結合した入力と、リセット線42経由でシステム10の1つ又はそれ以上の外部要素へリセット信号を提供するリセット出力とを有する。メッセージ信号供給源はシステム10外部のコンピュータが望ましい。
【0052】
各々の局部刻時ユニット22はシステムバス14の第1,2の線16,18に接続した第1,2の入力を有する。各々の局部刻時ユニット22は局部タイミング線24経由でシステム10の外部の1つ又はそれ以上の要素へ局部タイミング信号を提供するタイミング出力と、第1のロック指示線240経由で1つ又はそれ以上の外部要素へ第1のロック信号を提供するロック出力と、第1の信号チャンネル320経由で外部要素へ第1の組の信号を提供する第1の信号出力と、第2の信号チャンネル330経由で外部要素へ第2の組の信号を提供する第2の信号出力と、同期データチャンネル340経由で外部要素へデータを提供するデータ出力とを有する。回線端末処理20はシステムバス14の第1の線16と第2の線18に各々接続した第1,2の入力を有する。回線端末処理20はシステムバス14とインピーダンス整合するのが望ましい。別の実施の形態において、システムバス14が2本16,18以上の線を含み、このような線の各々が回線端末処理20で端末処理されることが当業者には理解されよう。
【0053】
マスタ刻時ユニット12内部で、システム基準信号はシステム全体の周波数基準を提供するために生成される。マスタ刻時ユニット12内部の要素は第1のメッセージ線40経由で受信したメッセージ信号に従ってシステム基準信号を選択的に変調する。システムバス14は各々の局部刻時ユニット22へ変調したシステム基準信号を供給する。各々の局部刻時ユニット22内部で、局部タイミング信号が生成され、システム基準信号が復調される。1つ又はそれ以上のシステム10外部の要素は局部タイミング信号、復調したシステム基準信号、及び/又は復調したシステム基準信号から取り出した情報を使用するのが望ましい。本明細書において、外部要素は望ましくは処理ユニット、コンピュータ、又は、コンピュータ・システムに付随する装置である。本発明のシステム10は並列計算システム、例えば、米国特許出願第08/423,560号(発明の名称「スケーラブル、並列、動的再設定可能な計算環境のシステム及び方法」)に記載されているようなシステムの状況内で使用するのが望ましい。
【0054】
本発明の各々の要素の内部構造と機能については、以下に説明する。
【0055】
a.マスタ刻時ユニット
図1を再度参照すると、マスタ刻時ユニット12は校正基準システム(CRS)30、変調器32、変調状態マシン(MSM)34、第1の分配増幅器36、第2の分配増幅器38を含むのが望ましい。CRS30は変調器32の第1,2の搬送波入力に各々接続した第1,2の基準出力、基準線715経由でMSM34に接続した第3の基準出力、マスタ刻時ユニット12のリセット出力を形成するリセット出力とを有する。第1,2の搬送波入力に加えて、変調器32はMSM34の第1,2の変調出力に各々接続した第1,2の変調入力を有する。変調器32はさらに第1の分配増幅器36の入力に接続した第1の出力と、第2の分配増幅器38の入力に接続した第2の出力を有する。前述の接続以外にも、MSM34はマスタ刻時ユニット12の入力を形成する入力も有し、ここでメッセージ信号を受信する。最後に、第1の分配増幅器36はマスタ刻時ユニット12の第1の出力を形成する出力を有し、第2の分配増幅器38はマスタ刻時ユニット12の第2の出力を形成する出力を有する。
【0056】
典型的な実施の形態において、第1,2の分配増幅器36,38はナショナルセミコンダクタLM6181電流フィードバック演算増幅器(ナショナルセミコンダクタ社、カリフォルニア州サンタクララ)を用いて実現している。CRS30は望ましくは第1のシステム基準信号と第2のシステム基準信号をこれらの第1,2の基準出力各々で生成して、システム基準信号を作成する。好適な実施の形態において、第1,2のシステム基準信号は象限位相関係を有する正弦波信号である。つまり、第1,2のシステム基準信号の間の位相差はπ/2である。
【0057】
図2を参照すると、校正基準システム30の第1の好適な実施の形態のブロック図が図示してある。CRS30は望ましくは水晶周波数基準発振回路70、システム象限基準発振回路(QRO)72、第1の位相検出器74、第1のループフィルタ76、第1の電力分割器78、第2の電力分割器80、第1のバッファ増幅器82、第2のバッファ増幅器84、振幅検出ユニット88、校正制御ユニット90を含む。水晶周波数基準発振回路70はオリジナルの周波数基準信号を生成する従来の水晶発振回路が望ましい。オリジナルの周波数基準信号は第1,2のシステム基準信号を位相固定する基本周波数として用い、これについては後述する。システムQRO72は図7との関連で後述するような方法で同相基準信号と直角位相基準信号を生成するのが望ましい。第1の位相検出器74と第1のループフィルタ76はオリジナルの周波数基準信号と直角位相基準信号(さらには同相基準信号も)の間の位相固定を維持するための従来のフェーズ・ロックド・ループ(PLL)を形成する。システムQRO72はオリジナルの周波数基準信号と第2の電力分割器80が提供する直角位相基準信号の第1の省電力信号を受信するように接続される。システムQRO72は第1のループフィルタ76に第1の位相エラー信号を供給するように接続され、フィルタ76は第1の校正線77経由でシステムQRO72へ第1の調整信号を供給するように接続される。好適な実施の形態において、第1の位相検出器74はI型位相検出器、第1のループフィルタ76はローパスフィルタで、両者とも当業者には容易に理解される従来の方法で位相固定を実現するために用いる。システムQRO72はさらに第2の校正線51経由で校正制御ユニット90から校正信号を受信するように接続され、これについては図4を参照して以下で詳細に説明する。
【0058】
第1,2の電力分割器78,80は、望ましくは同相と直角位相基準信号を各々受信するように接続した従来の平衡電力分割回路を含む。第1の電力分割器78は、校正制御ユニット90に同相基準信号の第1の省電力信号を、振幅検出ユニット88に同相基準信号の第2の省電力信号を、第1のバッファ増幅器82に同相基準信号の第3の省電力信号を、各々提供する。同様に、第2の電力分割器80は、振幅検出ユニット88に直角位相基準信号の第2の省電力信号を、また第2のバッファ増幅器84に直角位相基準信号の第3の省電力信号を提供する。好適な実施の形態において、第2の省電力な同相基準信号と第2の省電力な直角位相基準信号は同一のピーク振幅を有し、第3の省電力な同相及び直角位相基準信号も同じである。第1のバッファ増幅器82はCRS30の第1の基準出力を形成する出力を有し、第1のシステム基準信号を出力する。同様に、第2のバッファ増幅器84はCRS30の第2の基準出力を形成する出力を有し第2のシステム基準信号を出力する。前述のように同相及び直角位相基準信号は各々オリジナルの周波数基準信号に位相固定される。第1,2のシステム基準信号は同相及び直角位相基準信号の省電力バージョンであるので、第1,2のシステム基準信号はオリジナルの周波数基準信号にも位相固定される。
【0059】
振幅検出ユニット88は、望ましくは2つの従来の振幅検出器を含み、第1の振幅検出器が同相振幅信号を提供し、第2の振幅検出器が直角位相振幅信号を提供するようにする。本明細書で説明しているシステム10は本質的に交流(AC)結合であることが当業者には理解されよう。別の実施の形態において特定の直流(DC)レベルの維持が必要であれば、1つ又はそれ以上のDCオフセットを検出するための回路を振幅検出ユニット88と類似の方法で、当業者には容易に理解される方法で含めることができる。
【0060】
校正制御ユニット90はCRS30内部で生成した信号を受信して一組の校正信号を生成し、これが第2の校正線51経由でシステムQRO72へ提供される。校正制御ユニット90は望ましくは、周波数入力線91経由でオリジナルの周波数基準信号、第2の固定指示線92経由で第1の位相検出器74から出力する第2の固定信号、電力監視線93経由で第1の省電力の同相基準信号、第1の増幅線96経由の同相増幅信号、第2の増幅線97経由の直角位相増幅信号を受信する。校正制御ユニット90はさらにCRS30のリセット出力を形成する同期電源投入/リセット(POR)信号とCRS30の第3の基準出力を形成する電圧基準信号を出力する。
【0061】
ここで図4を参照すると、校正制御ユニット90の好適な実施の形態のブロック図が図示してある。校正制御ユニット90は、望ましくは、第1の振幅差動増幅器120、第2の振幅差動増幅器124、第1の振幅エラー積分器122、第2の振幅エラー積分器126、DC基準電圧130、第1の制限器132、第1の周波数‐電圧(F‐V)変換器134、第2のF‐V変換器136、周波数差動増幅器138、周波数エラー積分器140、POR積分器142、第1のフリップフロップ144、第2のフリップフロップ146を含む。
【0062】
第1の増幅線96経由で同相振幅信号を受信するように接続された第1の振幅差動増幅器120は、さらにDC基準電圧130の出力へ接続した入力を有する。第1の振幅差動増幅器120は第1の振幅エラー積分器122で受信される振幅エラー信号を出力し、第1の振幅エラー積分器122が第1のレベル調整信号を出力する。同様に、第2の振幅差動増幅器124は第2の振幅線97とDC基準電圧130の出力の両方に接続した入力を有する。第2の振幅差動増幅器124は振幅エラーを出力し、これを第2の振幅エラー積分器で受信して第2のレベル調整信号を出力する。
【0063】
第1のF‐V変換器134は周波数入力線91経由でオリジナルの周波数基準信号を受信し、第1の電圧をこれに応じて出力する。図5を参照すると、第1のF‐V変換器134の好適な実施の形態のブロック図が図示してある。第1のF‐V変換器134は、望ましくは図示した伝送特性を有するハイパスフィルタ150、ピーク検出器152、出力バッファ154、コンデンサ156を含む。ハイパスフィルタ150の禁止帯エッジは望ましくは図5に図示したように定義し、ここでfref は水晶周波数基準発振回路70による周波数出力とする。
【0064】
第2のF‐V変換器136は第1のF‐V変換器134と同一の構造及び伝送特性を有するのが望ましい。第1の制限器132との組み合せで、第2のF‐V変換器136は電力監視線93経由で第1の省電力の同相基準信号を受信し、従来の方法で第2の電圧を出力する。周波数差動増幅器138は、第1,2の電圧の間の電圧エラーを表わす電圧エラー信号を出力し、第1のF‐V変換器134と第2のF‐V変換器136の入力に印加される信号間の電圧で表わされる周波数エラーを生成する。周波数エラー積分器140は周波数差動増幅器138の出力を受信し第2のチューニング信号を出力する。
【0065】
第1のレベル調節信号、第2のレベル調節信号、第2のチューニング信号の各々は校正制御ユニット90から出力されて第2の校正線51経由でシステムQRO72へ供給される。
【0066】
前述のように、校正制御ユニット90はマスタ刻時ユニット12のリセット出力を形成する同期POR信号を出力する。同期POR信号はPOR積分器142、第1のフリップフロップ144、第2のフリップフロップ146経由で生成される。POR積分器142はシステム電源電圧がPOR条件後に所定レベルで安定したことを表わす初期ゲート信号を生成する。図6を参照すると、POR積分器142の好適な実施の形態のブロック図が図示してある。POR積分器142は第1の差動増幅器160、第1のエラー積分器162、第2の差動増幅器164、第2のエラー積分器166、比較器168を含む。第1の差動増幅器160は電気的接地へ接続した第1の入力、システム電源170の電圧出力へ接続した第2の入力、第1のエラー積分器162の入力へ接続した出力を有する。第2の差動増幅器164はシステム電源170の電圧出力へ接続した第1の入力、第1のエラー積分器162の出力へ接続した第2の入力、第2のエラー積分器166の入力へ接続した出力を有する。最後に、比較器168は第1のエラー積分器162の出力へ接続した第1の入力と第2のエラー積分器166の出力へ接続した第2の入力を有する。比較器168は、さらにPOR積分器142の出力を形成する出力も有する。
【0067】
第1の差動増幅器160は、電気的接地に対するシステム電源電圧の上昇を測定し、これが、図6ではV1 で図示してある。第1のエラー積分器162はV1 の積分を出力するので、第2の差動増幅器164はV1 を積分したものに対するシステム電源電圧の上昇を測定し、これが、図6でV2 として図示してある。第2のエラー積分器166は比較器168にV2 の積分を出力する。好適な実施の形態において、第1のエラー積分器162の時定数は第2のエラー積分器166の時定数より大幅に、例えば、10倍程度短い。
【0068】
何れかの時定数の正確な値が回路動作に重要な影響を与えないことが当業者には理解されよう。POR積分器142はそれ自身に関して電源電圧の二重積分を、2つの異なる充電速度で実行する。比較器168は第1,2のエラー積分器162,166の出力を受信して電源電圧が安定したか又は充電を停止したことを表わす初期ゲート信号を出力する。
【0069】
POR積分器142内部の各々の要素は、システム電源170からの電力を受信するのが望ましい。典型的なスイッチング電源は、その平均出力電圧のおよそ50〜70%のところでスイッチング屈曲を示す。スイッチング電源の出力電圧が上昇する速度は、負荷インピーダンスによって僅かに発振し得ることと、この速度は、一般に、スイッチング屈曲点を過ぎると減少すること、が当業者には理解されよう。また、POR積分器142内部の回路動作は、システム電源電圧が最終的な値に達する前に始まることが当業者には理解されよう。本明細書において、回路動作は、システム電源電圧が最終値の約40%に達した時点で始まり、通常の5Vシステム電源では2Vに等しいと仮定する。
【0070】
第1,2の差動増幅器160,164は、システム電力の最初の印加で電圧差の測定を開始し、出力における電圧上昇速度はシステム電源電圧が上昇する速度に明らかに依存している。回路動作が始まるまで、比較器168の出力は低インピーダンス低電圧出力を提供する。望ましくは、比較器168は入力におけるゼロ電圧付近の印加で回路動作開始時のマイナス端子に向かってわずかな重みが加わるようにバイアスしておく。システム電源電圧が回路動作を開始する点まで増加したら、第1,2のエラー積分器162,166により行なわれる積分で初期電源電圧の発振が大幅にダンプされる。第1,2のエラー積分器162,166間の時定数の関係により第1のエラー積分器162の出力は第2のエラー積分器166の出力より非常に速く増加するようになる。第1のエラー積分器162の出力が第2のエラー積分器166の出力より大きくなると比較器168は出力高電位状態になる。比較器168の出力は回路動作が開始した後でシステム電源電圧の増加に続けてゆっくりと増加する。最終的に第1のエラー積分器162の出力はシステム電源電圧の最終値より僅かに低いレベルで飽和する。第2のエラー積分器166の出力は電源電圧が時間的に変化しなくなるまで上昇し続ける。つまり、第2のエラー積分器166の出力が第1のエラー積分器162の飽和出力より大きくなると、比較器168の出力は急激に低電圧状態に切り換り、システム電源電圧が最終値で安定したことを示す。初期ゲート信号を表わす典型的な波形が図6の比較器168の出力に図示してある。
【0071】
典型的な実施の形態において、第1の差動増幅器160と第1のエラー積分器162はどちらも、第2の差動増幅器164と第2のエラー積分器166と同様に単一のナショナルセミコンダクタ社製LM3900演算増幅器を用いて実現される。当業者にはPOR積分器142全体を別の実施の形態で単一の集積回路として実現できることが理解されよう。
【0072】
図4を再度参照すると、周波数エラー積分器140はゲート入力で初期ゲート信号を受信するように接続され、これによってシステム電源電圧が安定した後でのみ第2のチューニング信号が生成されるようにしてある。第1,2のフリップフロップ144,146の各々はリセット入力で初期ゲート信号を受信する。第1のフリップフロップ144は第2の固定指示線92経由で第2の固定信号を受信するように接続する。第2のフリップフロップ146は第1のフリップフロップ144の出力を受信するように接続し、第2のフリップフロップ146の出力が同期POR信号を提供する。最後に、第1,2のフリップフロップ144,146の各々は第1の制限器132の出力に接続したクロック入力を有する。
【0073】
初期ゲート信号がシステム電源電圧の安定に続けて低電圧状態へ急激に遷移すると、第1,2のフリップフロップ144,146がリセットされ、低電圧を出力するのが望ましい。第1,2のフリップフロップ144,146はシステムQRO72の周波数で刻時される。水晶周波数基準発振回路70とシステムQRO72の間の位相固定の設定は第2の固定信号が高電圧状態に遷移した時点で表わされるものと本明細書では仮定する。別の実施の形態において、位相固定は低電圧状態への遷移で表わせることが当業者には理解されよう。位相固定が行なわれたことを第2の固定信号が表わすと、第2のフリップフロップ146の出力、即ち、同期POR信号が2回のシステムQRO発振周期の後で高電圧状態に遷移し、CRS30がPOR条件の後で安定したことを表わす。システムの外部にある要素はPOR動作を制御するためのゲート信号として同期POR信号を用いるのが望ましいが、同期POR信号を他の動作にも使用できることは当業者には理解されよう。
【0074】
システムQRO72は同相及び直角位相基準信号を生成し、これが好適な実施の形態では正弦波である。図7を参照すると、システムQRO72の好適な実施の形態のブロック図が図示してある。システムQRO72は望ましくは第1の差動増幅器60、アームストロング型RF発振器62、ベースコモン帰還分岐64を含む。アームストロング型RF発振器62は、望ましくは第1のトランジスタQ1 と、同相バッファ増幅器と、バラクタと、トランスT1 に接続したコンデンサを含む共鳴発振タンクと、複数の抵抗を含む。第1のトランジスタQ1 のベース、バラクタの出力、コンデンサは各々トランスT1 の第1の端子に接続される。第1のトランジスタQ1 のコレクタはシステム電源を提供するのが望ましいピーク電圧基準に抵抗結合する。さらに、第1のトランジスタQ1 のコレクタはトランスT1 の第2の端子に接続し、同相バッファ増幅器の入力へも接続する。同相バッファ増幅器は図2の第1の電力分割器78へ同相基準信号を出力する。
【0075】
ベースコモン帰還分岐64は望ましくは第2のトランジスタQ2 、電流供給原、直角位相バッファ増幅器、複数の抵抗を含む。アームストロング型RF発振器62内部の第1のトランジスタQ1 とベースコモン帰還分岐64内部の第2のトランジスタQ2 のエミッタは電流供給源の入力に接続する。第2のトランジスタQ2 のベースは分圧器に接続し、第2のトランジスタQ2 のコレクタはピーク電圧基準に接続する。直角位相バッファ増幅器は第2のトランジスタQ2 のコレクタに接続し、直角位相バッファ増幅器は図2に示すように第2の電力分割器80へ直角位相基準信号を出力する。
【0076】
システムQRO72は第1のレベル調整信号、第2のレベル調整信号、第2のチューニング信号を第2の校正線51経由で受信する。信号の各々は前述したような方法で校正制御ユニット90により生成される。同相バッファ増幅器は第1のレベル調整信号を受信するように接続する。同様に、直角位相バッファ増幅器は第2のレベル調整信号を受信するように接続する。第1の差動増幅器60は、第1の校正線77経由で第1のチューニング信号、また、第2の校正線51経由で第2のチューニング信号を受信する。第1の差動増幅器60は周波数設定点信号を出力し、これが第1のトランジスタQ1 、コンデンサ、トランスT1 の半分へバラクタ経由で供給される。周波数設定点信号は共鳴発振タンクの共鳴周波数を決定し、これが同相及び直角位相基準信号の周波数を決定する。
【0077】
第1のトランジスタQ1 は、システム電力の印加時にバルクハウゼン発振基準を満たすような充分な利得を提供するのが望ましい。ベースコモン帰還分岐64経由で、アームストロング型RF発振器62はベースコモン増幅器と相互フィードバックを行なう。アームストロング型RF発振器62内部で、第1のトランジスタQ1 は180度のフィードバックを提供し、共振トランスは別の180度フィードバックを提供する。第2のトランジスタQ2 への発振入力はベースではなくエミッタであることが当業者には理解されよう。つまり、アームストロング型RF発振器62内部の第1のトランジスタQ1 とベースコモン帰還分岐64内部の第2のトランジスタQ2 の組み合せがトランスコンダクタンス増幅器として機能する。つまり、第1のトランジスタQ1 のコレクタにおける電圧は第2のトランジスタQ2 のコレクタにおける電圧と直角位相関係を維持する。
【0078】
典型的な実施の形態では、システムQRO72はモトローラMPSH10トランジスタ(モトローラ社、イリノイ州ショーンバーグ)、モトローラMV209バラクタ、アミドン・アンド・アソシエーツ社製フェライトコア(アミドン・アンド・アソシエーツ社、カリフォルニア州サンタアンナ)を用いて実現している。
【0079】
システムQRO72は、別の実施の形態において、他の種類の直角位相発振器を用いて実現できることが当業者には理解されよう。本発明において、システムQRO72は望ましくはシステムQRO72の周波数ダイナミックレンジが2:1以下又はこれと等しくなるような動作周波数範囲内の動作周波数範囲と中心周波数を有することを特徴とする。
【0080】
図2及び図4から図7に図示したCRS30の好適な実施の形態はほぼ1.0GHzまでの周波数、つまり、超高周波数帯(UHF)までの周波数を有する信号を生成するのに有用である。本実施の形態をおよそ300MHz以下の周波数で動作させる場合、CRS30のもっと単純な実現が可能であり、これを図3を参照して説明する。ここで、図3を参照すると、校正基準システム31の第2の実施の形態のブロック図が図示してある。図2と図3では、同一の符号が理解を助けるために用いられている。CRS31の第2の実施の形態は水晶周波数基準発振回路70、システム基準発振器73、第1の位相検出器74、第1のループフィルタ76、第1の電力分割器78、第2の電力分割器80、第1のバッファ増幅器82、第2のバッファ増幅器84、校正制御ユニット90を含む。CRS31の第2の実施の形態において、第1のシステム基準信号は水晶周波数基準発振回路70により出力されるオリジナルの周波数基準信号の第1の電力分割したものから直接供給される。第1の位相検出器74と第1のループフィルタ76はオリジナルの周波数基準信号の第2の電力分割した信号とシステム基準発振器73から出力される直角位相信号の間の位相固定を維持するために用いる。つまり、図3のPLLは所望の直角位相関係を自動的に提供する。第2のシステム基準信号は直角位相信号の電力分割したものから生成する。
【0081】
システムQRO72と同様に、システム基準発振器73は望ましくは動作周波数範囲とこの動作周波数範囲内に中心周波数を有することを特徴とする。システム基準発振器73の周波数ダイナミックレンジは望ましくは2:1以下又はこれと等しい。
【0082】
図1ないし図7を参照すると、CRS30内部の要素は前述の方法で第1,2のシステム基準信号を生成する。好適な実施の形態において、第1,2のシステム基準信号は直角位相関係を有する正弦波信号である。本明細書において、第1,2のシステム基準信号の間の関係を用いてシステム基準信号プロトコルを定義する。ここで、図24を参照すると、好適なシステム基準信号プロトコルを表わす波形図が図示してある。図24において、第1のシステム基準信号は“cos” で表わし、第2のシステム基準信号は“sin” で表わしてある。好適なシステム基準信号プロトコルにおいて、第1,2のシステム基準信号の振幅は、(2^n*Vm)で定義される。本明細書においてはnは2と定義されるので、第1,2のシステム基準信号は4Vmに等しい振幅を有すると定義される。図24において、4Vmは便利のためと理解を助けるためにピーク間の振幅で図示してある。表1を参照して詳細に後述するように、第1,2のシステム基準信号を変調する際に、得られる信号はVmの増加に従いVmと(2^n*Vm)の間の範囲の振幅を有する。つまり、Vmは振幅変調増分である。Vmとnの正確な値は、詳細について後述するように、設計時の選択であることが理解されよう。好適な実施の形態において、4Vmは13.0dBmに等しい。
【0083】
好適なシステム基準信号プロトコルにおいて、複数の部分区間が第1,2のシステム基準信号の各々の単一区間内部に定義される。第1のシステム基準信号において、部分区間は図24に図示した方法でR,S,T,Uで表わす。第2のシステム基準信号では、部分区間はA,B,C,Dで表記する。各々の部分区間は基準信号区間の1/4、即ち、π/2の位相間隔である。第1のシステム基準信号について部分区間R,S,T,Uは図24において第2のシステム基準信号の下に図示してあるが、これは、これらの部分区間が詳細を後述するように第2のシステム基準信号に関連するタイミングイベントを定義するためである。同様に、第2のシステム基準信号の部分区間A,B,C,Dは第1のシステム基準信号に関連するタイミングイベントを定義し、図24で第1のシステム基準信号の上に図示してある。各々の部分間隔に対応する時間間隔は図24では“H”で定義する。好適なシステム基準信号プロトコルは各々の部分区間に従って時間間隔Hが周波数に対する自動適応パラメータであるため考慮している何らかの特定の周波数と無関係に有効になることが当業者には理解されよう。変調器32と各々の局部刻時ユニット22内部の素子が実行する動作は好適なシステム基準信号プロトコルに関して後述する。
【0084】
第1,2のシステム基準信号は協働して各々の局部刻時ユニット22へシステムバス14経由で分配されるシステム全体のタイミング基準を提供する。変調器32、MSM34経由で、本発明ではさらに各々の局部刻時ユニット22へ詳細を後述するような方法でメッセージ信号の分配も提供する。
【0085】
MSM(変調状態マシン)34は、望ましくはメッセージ信号を第1の情報信号と第2の情報信号に変換する状態マシンである。図8を参照すると、MSM34の好適な実施の形態のブロック図が図示してある。MSM34は同相制限器700、直角位相制限器702、FIFOバッファ720、状態マシン論理回路ユニット730、第1のデジタル‐アナログ(D/A)変換器740、第2のD/A変換器742を含む。同相制限器700と直角位相制限器702は各々CRS30から第1,2のシステム基準信号を受信するように接続する。
【0086】
好適な実施の形態において、同相制限器700は第1のシステム基準信号のゼロクロスを検出し、直角位相制限器702は第2のシステム基準信号のゼロクロスを検出する。同相制限器700は図8でICLKと表記した同相クロック信号を従来の方法で状態マシン論理回路ユニット730の第1のクロック入力へ出力する。類似の方法で、直角位相制限器702は図8においてQCLKと表記した直角位相クロック信号を状態マシン論理回路ユニット730の第2のクロック入力へ出力する。同相及び直角位相クロック信号は、図9を参照して詳細に後述するような方法で、状態マシン論理回路ユニット730の実行する動作をシーケンス化する。同相及び直角位相クロック信号は各々第1,2のシステム基準信号と同期しているので、これによってメッセージ信号から第1,2の情報信号への変換が第1,2のシステム基準信号に同期するようにしている。
【0087】
FIFOバッファ720は従来のものが望ましく、従って、FIFO読込回路とFIFO出力回路を含む。FIFOバッファ720はメッセージ線40経由でメッセージ信号を受信するように結合される。メッセージ信号は望ましくはFIFOバッファ720のデータ入力において受信したデータ信号と、FIFOバッファ720の第1のクロック入力で受信したFIFO読込信号を含む。FIFO読込信号は従来の方法でFIFOバッファ720へのデータ信号の読み込みを許可する。図8において、データ信号は8ビットにわたるように図示してある。別の実施の形態においてデータ信号が詳細に後述するような設計時の勘案によってもっと多く又は少ないビット数にわたることができることは当業者に理解されよう。
【0088】
状態マシン論理回路ユニット730は、FIFOバッファ720のデータ出力からのデータ信号を受信するように接続したデータ入力を有する。状態マシン論理回路ユニット730は図8でRCLKと表記したFIFO出力信号をFIFOバッファ720の第2のクロック入力へ供給するように接続したクロック出力も有する。FIFO出力信号は従来の方法でFIFO出力回路を制御し、FIFOバッファ720から状態マシン論理回路ユニット730へのデータ信号転送を制御する。状態マシン論理回路ユニット730はさらに図8でEMT/DVALと表記してあるFIFO状態信号をFIFOバッファ720から受信するように接続した状態入力も有する。FIFO状態信号は望ましくはFIFOバッファ720が空かどうかを表わす。
【0089】
状態マシン論理回路ユニット730はFIFOバッファ720からのデータ信号を読み込み、読み込んだデータ信号を第1,2のビットシーケンスに変換し、第1,2のビットシーケンスを第1,2のD/A変換器740,742各々に出力する。同相と直角位相クロック信号は状態マシン論理回路ユニット730により実行される動作をシーケンス化する。ここで、図9も参照すると、状態マシン論理回路ユニット730の好適な実施の形態のブロック図が図示してある。状態マシン論理回路ユニット730はラッチレジスタ800、マルチプレクサ802、第1の信号ゲート804、第2の信号ゲート806、同相最下位ビット(LSB)フリップフロップ810、同相最上位ビット(MSB)フリップフロップ812、直角位相LSBフリップフロップ814、直角位相MSBフリップフロップ816、シーケンサ820を含む。シーケンサ820は直角位相クロック信号QCLKとFIFO状態信号EMT/DVALを受信して状態マシン論理回路ユニット730内部の他の要素の動作を指示する制御信号を生成する。
【0090】
図9に図示してあるように、シーケンサ820はFIFO出力信号RCLK、ラッチレジスタ800へのデータ信号の読み込みを許可するLCLK信号、マルチプレクサ802入力からマルチプレクサ802出力への信号の転送を制御するINTERLEAVE信号、第1の信号ゲート804と第2の信号ゲート806の動作を制御するIDLE信号、LSBとMSB各々のフリップフロップ810,814,812,816の動作を可能にするENABLE信号を生成する。ENABLEの状態は、図示したようにQCLK,EMT/DVAL,LCLK,IDLEの状態に依存する。図8から分かるように、シーケンサ820内で生成される各々の信号はQCLKに関連する。状態マシン論理回路ユニット730内部で実行される詳細な動作については、ICLK,QCLK,LCLK,RCLK,INTERLEAVE,ENABLE,IDLEの間のタイミング関係に従って後述する。
【0091】
ここで、図10も参照すると、シーケンサ820の好適なタイミング図が図示してある。図10に図示してあるように、ICLKとQCLKは直角位相方形波信号である。FIFOバッファ720はRCLKで決定される間隔で一組のデータ信号を出力する。FIFOバッファ720が一組の任意のデータ信号を出力すると、LCLKはラッチレジスタ800へのこのデータ信号の組の読み込みを許可する。ラッチレジスタ800へ許可されたデータ信号は次にラッチレジスタ出力に現れ、マルチプレクサ802の入力に供給される。マルチプレクサ802は第1又は第2のデータ信号部分集合をINTERLEAVEの値に従って出力へ転送する。好ましくは、第1,2のデータ信号部分セットの各々は一組のデータ信号のビット数の半分にわたる。本明細書で考察している8ビットのデータ信号の組では、第1のデータ信号部分集合は、任意のデータ信号の組内部の下位4ビットを含み、INTERLEAVEが低電位状態にあるときにマルチプレクサ802出力へ転送されるのが望ましい。第2のデータ信号部分集合は8ビットのデータ信号の組内部の上位4ビットを含みINTERLEAVEが高電位状態にあるときにマルチプレクサ802の出力に転送される。
【0092】
第1の信号ゲート804はマルチプレクサ802の出力を受信するように接続される。即ち、INTERLEAVEの値に従って第1の信号ゲート804は第1のデータ信号部分集合又は第2のデータ信号部分集合の何れかを受信する。第2の信号ゲート806は所定のアイドル符号を受信するように接続されており、この符号は表1を参照して詳細に後述するような信号プランに従って定義される。図9から分かるように、アイドル符号は好適な実施の形態においては0101である。
【0093】
IDLEの状態は、
1)マルチプレクサ802が出力するデータ信号部分集合、又は
2)アイドル符号、
が状態マシン論理回路ユニット730の同相及び直角位相LSB/MSBフリップフロップ810,814,812,816に配送されるかを決定する。好適な実施の形態においては、IDLEが低電位状態のときにデータ信号部分集合が状態マシン論理回路ユニット730の同相及び直角位相LSB/MSBフリップフロップ810,814,812,816へ第1の信号ゲート804経由で配送される。つまり、IDLEが低電位状態のとき、INTERLEAVEが低電位状態にある期間に、第1のデータ信号部分集合が状態マシン論理回路ユニット730の同相及び直角位相LSB/MSBフリップフロップ810,814,812,816へ転送され、第2のデータ信号部分集合はINTERLEAVEが高電位状態にある期間に状態マシン論理回路ユニット730の同相及び直角位相LSB/MSBフリップフロップ810,814,812,816へ転送される。一方、IDLEが高電位状態のとき、アイドル符号が前述のフリップフロップ810,812,814,816へ第2の信号ゲート806経由で転送される。フリップフロップ810,814,812,816は、第1,2のビットシーケンスを図8の第1,2のD/A変換器740,742へ後述するように出力する。
【0094】
第1の信号ゲート804、第2の信号ゲート806の各々は各々フリップフロップ810,812,814,816へ各々接続した第1ないし第4の出力を有する。同相LSB及びMSBフリップフロップ810,812は各々任意のデータ信号部分集合又はアイドル符号何れかの各々第1,2のビットを受信する。同相LSB及びMSBフリップフロップ810,812の各々はLCLKをクロック入力で受信する。同相LSB及び同相MSBフリップフロップ810,812は各々協働で図8の第1のD/A変換器740へ第1のビットシーケンスを提供する出力を有する。同相LSB及びMSBフリップフロップ810,812と同じような方法で、直角位相LSB及びMSBフリップフロップ814,816は各々任意のデータ信号部分集合又はアイドル符号何れかの第3,4のビットを各々受信する。直角位相LSB及びMSBフリップフロップ814,816の各々はクロック入力でQCLKを受信する。直角位相LSB及びMSBフリップフロップ814,816は協働してMSMの第2のD/A変換器742へ第2のビットシーケンスを出力する。つまり、同相LSB及びMSBフリップフロップ810,812による第1のビットシーケンス出力はICLKと同期しており、直角位相LSB及びMSBフリップフロップ814,816による第2のビットシーケンス出力はQCLKと同期する。
【0095】
INTERLEAVEとIDLEが低電位状態にある間、ICLKとQCLKは第1のデータ信号部分集合内部のビットを状態マシン論理回路ユニット730のフリップフロップ810,812,814,816各々に保持することが当業者には理解されよう。従って、INTERLEAVEとIDLEが低電位状態にある間、第1,2のビットシーケンスは第1のデータ信号部分集合内の特定のビットを含む。類似の方法で、INTERLEAVEが高電位状態でIDLEが低電位状態のとき、ICLKとQCLKは状態マシン論理回路ユニット730のフリップフロップ810,812,814,816各々に第2のデータ信号部分集合を保持し、そのため、第1,2のビットシーケンスは第2のデータ信号部分集合内部の特定ビットを含む。
【0096】
IDLEが高電位状態平衡すると、第1,2のビットシーケンスはアイドル符号内部のビットを含む。図9に図示したように、EMT/DVALが低電位から高電位へ遷移することで後述するようにIDLEが高電位状態になっている時間間隔が得られる。FIFOバッファ720がデータ信号を含む間、EMT/DVALはIDLEと同様に低電位状態である。EMT/DVALの高電位状態への遷移は、最後のデータ信号の組がFIFOバッファ720から出力されたことを表わす。このような遷移の後、IDLEは
1)最後のデータ信号の組の第1のデータ信号部分集合から生成された第1,2のビットシーケンスが状態マシン論理回路ユニット730のフリップフロップ810,812,814,816から出力されるまで、また、
2)最後のデータ信号の組の第2のデータ信号部分集合から生成された第1,2のビットシーケンスがフリップフロップ810,812,814,816
から出力されるまで、
低電位状態である。
【0097】
第1,2のビットシーケンスとして第2のデータ信号部分集合が出力された後、IDLEは高電位状態に遷移する。アイドル符号は次にフリップフロップ810,812,814,816で保持される。第1,2のビットシーケンスがアイドル符号を含むと、IDLEは低電位状態に遷移し、ENABLEも低電位状態に遷移させる。好適な実施の形態において、ENABLEはフリップフロップ810,812,814,816の各々のイネーブル入力へ供給されて、さらに、これらのフリップフロップ810,812,814,816への入力を無効にする。図9に図示してあるように、高電位状態から低電位状態へのEMT/DVALの遷移はFIFOバッファ720がまたデータ信号を含むことを表わし、ENABLEがLCLKで高電位状態に移行し、これによってまたフリップフロップ入力を有効にする。
【0098】
第1,2のビットシーケンスが第1のデータ信号部分集合、第2のデータ信号部分集合、又は、アイドル符号から生成されたかどうかとは無関係に、第1,2のビットシーケンスはICLKとQCLKの間の直角位相関係のために図24に図示してある時間間隔Hだけ時間的にオフセットされることが当業者には理解されよう。
【0099】
好適な実施の形態において、第1,2のビットシーケンスの各々は2ビットにわたる。つまり、第1のビットシーケンスは第1の2ビットであり、第2のビットシーケンスは第2の2ビットである。第1,2のビットシーケンスが別の実施の形態において、これより多い又は少ないビットにわたることがあることは当業者には理解されよう。好ましくは、第1,2のビットシーケンスが跨るビット数は変調器32の特性に依存する。これについては後述する。状態マシン論理回路ユニット730は、第1の2ビットを第1のD/A変換器740へ、また、第2の2ビットを第2のD/A変換器742へ出力する。
【0100】
第1,2のD/A変換器740,742の各々は図4の校正制御ユニット90から基準線715経由で出力されるDC電圧基準出力を受信するように接続した基準入力を有する。第1のD/A変換器740は従来のD/Aレベル変換を実行して第1の2ビットを第1の情報信号に変換する。同様に、第2のD/A変換器742は従来のD/Aレベル変換を介して第2の2ビットを第2の情報信号へ変換する。第1,2の情報信号の振幅が各々第1,2の2ビットに従って変化するような好適な方法については詳細に後述する。
【0101】
定義から、「n」ビットにわたるビットシーケンスは0から(2^n−1)の間の値を有する。好適な実施の形態において、各々の情報信号は等しい振幅増分で連続的に等間隔に配置された2^n個の振幅値を有することができる。各々の可能な振幅値はビットシーケンス内の独自のビットパターンに対応する。好適な実施の形態において、第1のビットシーケンスは2ビット(即ち、nが2に等しい)であって、第2のビットシーケンスも同様である。つまり、各々の情報信号は好適な実施の形態で4種類の振幅値を有する。任意の時刻に、各々の情報信号の電圧振幅は2ビットシーケンス<00>,<01>,<10>,又は,<11>のうちの1つに対応する。
【0102】
一般に、MSM34はメッセージ信号を第1,2の情報信号に変換する機能を実行する状態マシンであることが当業者には理解されよう。つまり、MSM34のその他の実施が可能であることが当業者には容易に理解される。
【0103】
変調器32は、MSM34から受信した第1,2の情報信号に従って第1,2のシステム基準信号を各々変調する。好適な実施の形態において、変調器32は第1のシステム基準信号に対して直接搬送波の振幅変調(AM)を実行する利得制御増幅器と第2のシステム基準信号に対して直接搬送波AMを実行する利得制御増幅器とを含む。
【0104】
図11を参照すると、第1のシステム基準信号を変調するための第1の利得制御増幅器1000の好適な実施の形態のブロック図が図示してある。第1の利得制御増幅器1000はバイアスネットワーク1002、基準信号スケーリングネットワーク1004、デカップリングネットワーク1006、情報信号スケーリングネットワーク1008、平衡変調器1010、利得設定抵抗1012、出力ネットワーク1014、レベルシフト/利得ブロック1016を含む。バイアスネットワーク1002と基準信号スケーリングネットワーク1004は正と負の電圧基準に各々接続される。基準信号スケーリングネットワーク1004は第1のシステム基準信号を受信するように接続され、情報信号スケーリングネットワーク1008は第1の情報信号を受信するように接続される。平衡変調器1010はデカップリングネットワーク1006の出力、並びに基準信号スケーリングネットワーク1004の出力する高低の搬送波信号と情報信号スケーリングネットワーク1008の出力する高低の変調信号を受信する。平衡変調器1010は望ましくは第1のシステム基準信号に対して直接搬送波振幅変調(AM)を実行するための従来の平衡変調器である。直接搬送波AMでは、第1のシステム基準信号の振幅は第1のシステム基準信号の周期と等しい速度にある第1の情報信号の振幅に従って符号化される。直接搬送波AMは従来のAMとは明らかに異なり、搬送波信号の振幅が変調信号の周期全体に発生する振幅変化に従って連続的に変調される。
【0105】
平衡変調器1010は変調和信号と変調差信号とをレベルシフト/利得ブロック1016の第1,2の入力へ出力ネットワーク1014で伸縮された通りに出力する。レベルシフト/利得ブロック1016は変調器32の第1の出力を提供する。典型的な実施の形態において、平衡変調器1010はモトローラMC1596平衡変調器であり、レベルシフト/利得ブロック1016はナショナルセミコンダクタLM6264演算増幅器を使用して実現している。
【0106】
好適な実施の形態において、変調器32は第2の情報信号に従って第2のシステム基準信号に対して直接搬送波AMを実行するための第2の利得制御増幅器(図示せず)も含む。第2の利得制御増幅器は第1の利得制御増幅器1000と同一の内部構造を有し、当業者には容易に理解されるような方法で第2のシステム基準信号と第2の情報信号を受信するように結合される。
【0107】
前述のように、第1,2の情報信号は好適な実施の形態において各々4つの振幅値が特徴である。第1,2の変調システム基準信号で有り得る振幅は1Vm,2Vm,3Vm,4Vmである。従って、変調システム基準信号の振幅増分はVmとなる。
【0108】
図25を参照すると、理解を助けるために好適なシステム基準信号変調プロトコルの波形図が図示してある。第1,2の変調システム基準信号に起こり得る振幅は飛び飛びに最大4VmまでのVmの整数倍である。図24と同様に、理解を助けるため複数のVmの各々がピーク間振幅として図示してある。図25に図示した振幅変化のシーケンスは単なる例でしかない。即ち、第1,2の変調システム基準信号の何れかについて、2ビットが対応する振幅変化のシーケンスを作成するような何らかの順序でシーケンス化され得る。
【0109】
好適な実施の形態において、1Vm,2Vm,3Vm,4Vmの値は、0.91dBm,6.93dBm,10.4dBm,13.0dBmの値を各々有する出力比として定義される。これらの出力比は、50Ωのインピーダンスを特徴とするシステムバス14の第1,2の線16,18において、0.25Vrmsの振幅又は0.70Vp ‐ p を有する1Vm、0.50Vrmsの振幅又は1.41Vp ‐ p を有する2Vm、0.75Vrmsの振幅又は2.12Vp ‐ p を有する3Vm、1.00Vrmsの振幅又は2.81Vp ‐ p を有する4Vmに対応する。別の実施の形態において、Vmの正確な値を別に定義することができることが当業者には容易に理解されよう。また、第1,2の変調システム基準信号の生成は各々第1,2のシステム基準信号と完全に同期していることが当業者には理解されよう。
【0110】
好適な実施の形態において、第1の変調システム基準信号は4つの飛び飛びの状態を取ることができる。同様に、第2の変調システム基準信号も4つの飛び飛びの状態を取ることができる。従って、各々の局部刻時ユニット22で状態の組み合せをどのように解釈するかを表わす信号プランを定義するために16の状態の組み合せが利用できることになる。表1を参照すると、本発明の好適な信号プランを定義する一覧が示されている。表1において、16種類の独自の状態の組み合せが定義される。
【0111】
【表1】
【0112】
好適な信号動作の各々については図12及び図13から図23を参照して詳細に以下で説明する。本発明の好適な実施の形態は象限振幅変調16段階変調方式(QAM16)に従って動作することが当業者には理解されよう。別のQAM変調方式、例えば、QAM4,QAM64,又はQAM256を別の実施の形態で使用できることが当業者には理解されよう。さらに信号動作に対する別のQAM状態のマッピング、即ち、別の信号配置を別の実施の形態で定義できることも当業者には理解されよう。
【0113】
使用する特定のQAM変調方式又はQAM状態マッピングとは無関係に、変調器32は通常のシステム動作中は何時でも非ゼロ振幅を有する信号を出力する。つまり、通常のシステム動作中には、システムバス14に電流が連続的に存在する。
【0114】
b.システム全体の信号分配
第1,2の変調システム基準信号は、各々第1,2の分配増幅器36,38経由でシステムバス14の第1,2の線16,18へ供給される。第1,2のシステム基準信号は第1,2の線16,18経由で各々の局部刻時ユニット22へ供給される。回線端末処理20は、当業者には容易に理解される方法でシステムバス14のインピーダンスを整合するように選択する。望ましくは、第1,2の線16,18の各々は従来のプリント配線基板製造工程で製造された集積ワイヤを用いてストリップ線又はマイクロストリップ伝送線を形成するように実現する。第1,2の線16,18が伝送線形状で実現されるのが望ましいので、第1,2の線16,18は各々単位長当たり既知のインピーダンスを特徴とする。本発明は、システムバス14の第1,2の線16,18の何れかに沿って多段増幅段を使用しないことが当業者には理解されよう。つまり、各々の局部刻時ユニット22はマスタ刻時ユニット12へインピーダンス制御により受動的に接続されており、従来のシステム並びに方法ではこれと対照的に1つ又はそれ以上の増幅段が信号分配径路に沿って存在している。システムバス14は前述の方法で実現されるので、図1でマスタ刻時ユニット12から局部刻時ユニット22へ送信された信号の到着時刻は正確に決定することができ、位相精度は波長の小数部に等しくなる。一般に、カスケード式にクロック分配増幅器列を用いてタイミング信号を分配するシステム並びに方法ではこの特徴を共有し得ない。
【0115】
システムバス14は単位長当たりのインピーダンスが制御されることを特徴とする。従って、システムバス14の長さを増加させ回線端末処理20の再配置により、1つから数千個の局部刻時ユニット22までの範囲で局部刻時ユニット22を取り付けることができるようにシステムバス14を拡大縮小することができる。局部刻時ユニット22の組が独立した回路基板上に搭載できることが当業者には理解されよう。つまり、多数の局部刻時ユニット22が存在する場合、本発明は従来のインピーダンス制御ネットワーク電力分割回路を用いて物理的に独立したシステムバス14を提供し、これによって第1,2の線16,18を複製してネットワークの電気的性質を変化させることなく基板間の信号経路の変化に対応させるのが望ましい。当業者には第1の分配増幅器36、第2の分配増幅器38を調節してこのようなネットワーク電力分割回路を用いる時に大電力信号を出力するのが望ましいことが理解されよう。
【0116】
c.局部刻時ユニット
図12を参照すると、局部刻時ユニット22の好適な実施の形態のブロック図が図示してある。局部刻時ユニット22は、望ましくは、第1の局部バッファ増幅器232、第2の局部バッファ増幅器234、コヒーレント受信ユニット200、メッセージ組立ユニット250、局部QRO202、第2の位相検出器204、第2のループフィルタ206、局部タイミング発振器(LTO)208、タイミング信号混合器210、タイミング信号フィルタ212、混合器端末処理214、第1の局部制限器216、第2の局部制限器218、第1の基準分割器220、第2の基準分割器222、位相周波数検出器230を含む。
【0117】
第1,2の局部バッファ増幅器232,234は各々システムバス14の第1,2の線16,18へ接続されるので、第1,2の変調システム基準信号を受信する。前述のようなシステムバス14の好適な実施の形態では、各々の局部刻時ユニット22が基本的に、又は、全くと言ってよいほど無反射でシステムバス14への接続を保持し、本発明のシステム10があらゆる個数の局部刻時ユニット22に対応できるようにすることが拡張性の上で必要とされる。従って、第1,2の局部バッファ増幅器232,234は、各々利得1を有する高インピーダンス増幅器が望ましい。好適な実施の形態において、基本的な無反射接続状態は局部刻時ユニット22の連結により得られる並列インピーダンスがシステムバス14のインピーダンスに対して1%以下の時に満たされる。典型的な実施の形態では、第1,2の局部バッファ増幅器232,234の各々はナショナルセミコンダクタLM6261演算増幅器を用いて実現する。当業者には第1,2の局部バッファ増幅器232,234が有利にもシステムバス14の提供する一定の低いレベルから局部的使用のための高いレベルへインピーダンスが変化する局部刻時ユニット22を提供することが理解されよう。別の実施の形態において、基本的に無反射の接続状態は当業者に周知の方法でシステム接地に対する並列トランス結合を用いることでも満たし得る。つまり、第1,2の局部バッファ増幅器232,234はこの別の実施の形態において回線トランスで置き換えられている。
【0118】
局部QRO202、第2の位相検出器204、第2のループフィルタ206は各々第1,2の局部基準信号を生成し、これらが第1,2のシステム基準信号に位相固定されるようにするために用いる。局部QRO202は望ましくは同相出力、直角位相出力、制御入力を有する電圧制御直角移相発振器で周波数ダイナミックレンジが2:1以下又はこれと等しいことを特徴とする。局部QRO202は図7に図示したものと類似の方法で実現するか、又は、従来の方式の直角移相発振器として実現できることが理解されよう。局部QRO202は第1,2の局部基準信号を生成し、第1,2の局部基準信号は各々正弦波で互いに直角位相関係を維持する。局部QRO202の制御入力に受信する電圧は従来の方法で局部QRO202の動作周波数範囲に対する第1,2の局部基準信号の周波数を決定するのが望ましい。約300MHzに制限された周波数で動作するように設計した実施の形態において、第1,2の局部基準信号は図3に図示したのと同様の方法で位相固定及び象限信号の本質的な特徴を用い生成できることが当業者には理解されよう。好適な実施の形態において、第1,2の局部基準信号は単位ゼロ‐ピーク振幅(即ち、1Vのゼロ‐ピーク振幅)を有する。局部QRO202は別のゼロ‐ピーク振幅を有する第1,2の局部基準信号を出力できることが当業者には理解されよう。
【0119】
第2の位相検出器204と第2のループフィルタ206は第2の局部基準信号と第2のシステム基準信号の間で位相固定を維持するためのPLLを形成する。つまり、第2の位相検出器204は第2の局部バッファ増幅器234の出力から第2の変調システム基準信号を受信するように接続され、さらに、局部QRO202の出力する第2の局部基準信号を受信する。第2の位相検出器204は第2のループフィルタ206へ第1の局部位相エラー信号を出力し、第2のループフィルタ206は局部QRO202へ第1の局部チューニング信号を供給するように接続してある。各々のシステム基準信号と各々の局部基準信号の間の位相関係により、第1の局部基準信号と第1のシステム基準信号の間でも位相固定が維持される。好適な実施の形態において、第2の位相検出器204はI型位相検出器であり、第2のループフィルタ206はローパスフィルタであって、両方とも当業者には容易に理解されるような従来の方法で位相固定を実施するために用いている。第2の変調システム基準信号が取り得る振幅は、好適なシステム基準信号変調プロトコルで定義されるように、位相固定に影響しないことが当業者には理解されよう。
【0120】
局部刻時ユニット22により、局部タイミング信号が生成され、局部タイミング線24に出力される。望ましくは、局部タイミング信号は本明細書で説明するシステム10の外部の1つ又はそれ以上の要素に対するクロックとして用いる。局部タイミング信号の生成において、LTO208は第2の局部タイミング信号と混合するオフセット信号を生成し、これについては詳細に後述する。好適な実施の形態において、LTO208は出力と制御入力を有する従来の電圧制御発振器(VCO)である。LTO208は動作周波数範囲とこの動作周波数範囲内の中心周波数を有することが特徴である。好適な実施の形態において、LTO208の周波数ダイナミックレンジは2:1以下又はこれに等しい。LTOの制御入力で受信する電圧は従来の方法でLTOの動作周波数範囲に対するオフセット信号の周波数を決定するのが望ましい。
【0121】
オフセット信号の生成において、LTO208は望ましくは第2の局部基準信号より高い周波数を有する正弦波信号を出力する。LTO208の制御入力は位相周波数検出器230の出力する第2の局部タイミング信号を受信するように接続する。つまり、オフセット信号の正確な周波数は第2の局部タイミング信号により決定されるが、これについては詳細に後述する。タイミング信号混合器210はオフセット信号を受信するように接続してあり、局部QRO202が出力する第2の局部基準信号も受信する。タイミング信号混合器210は望ましくは従来の混合器で、オフセット信号と第2の局部基準信号を混合又は多重化し、これによってタイミング混合信号を作成する。
【0122】
第2の局部基準信号の周波数をflqとし、オフセット信号の周波数をfo と定義すると、タイミング混合信号は(fo +flq)で得られる周波数を有する基本的和信号と、(fo −flq)で得られる周波数を有する基本的差信号とを含むのが望ましい。タイミング信号フィルタ212はタイミング混合信号を受信するように接続したダイプレクサ(二重化器)が望ましい。タイミング信号フィルタ212は基本的和信号を第1の局部制限器216へ転送し、タイミング混合信号内のその他の周波数成分を混合器端末処理214へ転送する。混合器端末処理214は二重化器から受信した周波数成分のエネルギーを吸収するように選択したインピーダンスを含むのが望ましい。基本的和信号は従来のセロダイン増加変換により作成されることが当業者には理解されよう。第1の局部制限器216は基本的和信号のゼロクロスを検出して局部タイミング信号を出力する。望ましくは、局部タイミング信号は基本的和信号が正の方向のゼロクロスを示した時には振幅ゼロから所定の正の振幅へ変化し、基本的和信号が負の方向のゼロクロスを示した時には正の振幅から振幅ゼロへ変化する。従って、局部タイミング信号は好適な実施の形態において方形波である。別の実施の形態において、局部タイミング信号を、正弦波とするか、又は、正弦波から一般に誘導できる何らかの他の種類の波形とすることができることは当業者には理解されよう。
【0123】
局部タイミング信号の周波数は第2の局部基準信号より高い(又は、同様に、第1又は第2のシステム基準信号の何れかより高い)。大半のデジタルシステムにおいて、単一のマスタクロック信号がデジタルシステム全体に渡り分配され、単一のマスタクロック信号がデジタルシステム内で最も周波数が高い信号である。計算能力の増大の必要性はデジタルシステムをさらに高い周波数で動作させる必要性を加速している。特に、分配線のインピーダンスが周波数の増大につれ複雑になるため、信号周波数の増大につれ信号の分配は次第に困難になることは当業者には理解されよう。本発明において、第1,2のシステム基準信号はシステム10において最も周波数が高い信号ではない。実際に、第1,2のシステム基準信号の周波数は任意の局部タイミング信号の何れよりも低い。
【0124】
システム基準信号の周波数は、何れの局部タイミング信号の周波数よりも大幅に低くできることが当業者には理解されよう。つまり、本発明は高い周波数の信号をシステム全体に分配する必要なしに1つ又はそれ以上の高周波局部タイミング信号を生成することができる。
【0125】
本明細書で説明した方法による局部タイミング信号の生成は、超高周波数で動作することができるLTO208を必要とする。この条件が、ナショナルセミコンダクタLMX2325シングルチップ2.5GHzPLLを使用すると典型的な実施の形態で容易に満たし得ることが当業者には理解されよう。
【0126】
第2の局部制限器218、第1の基準分割器220、第2の基準分割器222、位相周波数検出器230は周波数分割した局部タイミング信号と周波数分割した第2の局部基準信号の間の位相固定を維持するために用いる。第1の基準分割器220は局部タイミング信号を受信するように接続され、周波数分割した局部タイミング信号を位相周波数検出器230の第1の入力に提供する。第2の局部制限器218は局部QRO202からの第2の局部基準信号を受信するように接続される。第1の局部制限器216の場合と同様の方法で、第2の局部制限器218は第2の局部基準信号のゼロクロスを検出し、望ましくは、第2の基準分割器222へ方形波を出力する。第2の基準分割器222は周波数分割した第2の局部基準信号を位相周波数検出器230の第2の入力へ出力する。位相周波数検出器230は第2の局部タイミング信号をLTO208へ出力し、これによってオフセット信号の周波数を制御する。位相周波数検出器230はさらに240へ局部刻時ユニットのロック出力で第1のロック信号を出力する。好適な実施の形態において、位相周波数検出器230は従来の回路を用いて実現したIV型(4型)位相周波数検出器である。
【0127】
第1の基準分割器220は、望ましくは、従来の周波数分割回路を含み、第1の分割器定数k1を特徴とする。同様に、第2の基準分割器222は望ましくは従来の周波数分割回路を含み、第2の分割器定数k2を特徴とする。周波数分割した局部タイミング信号と第2の局部基準信号は固定され、
flq/k2=(flq+fo )/k1………(1)
を満たすことが当業者には理解されよう。
【0128】
LTO208は位相周波数検出器230が出力した第2の局部チューニング信号の値に従って、オフセット信号の周波数fo を調節する。しかし、第2の局部チューニング信号の値は(flq/k2)と(flq+fo )/k1との間で求められる。第2の局部基準信号flqの周波数は何れかのシステム基準信号と同一である。
【0129】
k1とk2の値は第1,2の基準分割器220,222各々の内部構造で決定する。位相周波数検出器230は第2の局部チューニング信号の値を式(1)を満たすような方向に調節する。つまり、位相固定が行なわれると、オフセット信号の周波数は次式
fo =flq*{(k1/k2)−1}………(2)
で得られる。
【0130】
オフセット信号の周波数はk1とk2の値に依存するため、(flq+fo )で与えられる局部タイミング信号の周波数も次式
(flq+fo )=flq*(k1/k2)………(3)
に従って、k1とk2の値に依存する。
【0131】
つまり、位相固定が行なわれると、局部タイミング信号の周波数は第1,2の分割器定数をシステム基準信号の周波数倍したものの比に等しくなる。好適な実施の形態において、第1,2の基準分割器220,222は各々再設定可能又は再プログラム可能な論理装置、例えば、フィールド・プログラマブル論理装置(FPGA)等を用いて実施する。このような実施は任意の時刻に当業者には容易に理解されるような方法でk1とk2の値のプログラム可能な仕様を提供する。従って、本発明はシステム10内部の何れかの局部タイミング信号周波数のプログラム可能な仕様を提供する。好適な実施の形態において、個別の局部タイミング信号の何れかの周波数は局部周波数プランに従って決定される。全ての局部タイミング信号の周波数は後述するようにシステム周波数プランにより相関する。
【0132】
前述のように、CRS30は第1,2のシステム基準信号を出力し、その各々は図2の水晶周波数基準発振回路70が出力するオリジナルの周波数基準信号のそれと同一の周波数を有する。好適な実施の形態において、第1,2のシステム基準信号の周波数は所望の周波数を有する水晶周波数基準発振回路70の導入により定義される。局部周波数プランは固定されたシステム基準信号の周波数について局部タイミング信号の周波数を指定する。
【0133】
【表2】
【0134】
表2を参照すると、本発明の好適な局部周波数プランを表わした一覧が示されている。表2に関して、オリジナルの周波数基準信号の周波数、即ち、CRS30の周波数出力は実施の形態の目的では25MHzに定義される。別の周波数、例えば、50MHzを一般性を失うことなく選択できることが当業者には理解されよう。表2において、第1のコラムはCRS30の出力する典型的な25MHz周波数を示す。表2の第2と第3のコラムは各々k1とk2の値を示す。表2の第4のコラムは第1の3つのコラムに対応するオフセット信号の周波数を示し、第5のコラムは前述のセロダイン増加変換により得られた局部タイミング信号の周波数を示す。好適な局部周波数プランにおいて、k2は一定であるがk1は周波数範囲にわたる局部タイミング信号を発生するように変化する。表2に示すように、局部タイミング信号は、k1がシステム電源170から位相周波数検出器230へ4ステップずつ変化すると2MHzの増分で60MHzから90MHzまでの範囲となる。別の局部周波数プランにおいて、k2の値及び/又はk1とk2の値の両方を変化させられることが当業者には理解されよう。
【0135】
本発明は、各々の局部刻時ユニット22が出力する局部タイミング信号の周波数を個別に指定する能力を提供する。つまり、多数の処理要素を特徴とする計算環境において、個別の処理要素自体のレベルより低い独自の周波数で処理要素の部分集合を刻時することができる。さらに、何れかの局部タイミング信号の周波数を任意の時刻にプログラム的に指定することができる。本発明のシステム10は、従って、計算環境内のタイミング変更要求に容易に適合することができる。従来技術のシステム並びに方法はこの特徴を共有していない。
【0136】
第1,2のシステム基準信号の周波数は所望の周波数を有する水晶周波数基準発振回路70の導入により変更できる。つまり、システム全体の速度の更新を実施するには、高い周波数の水晶周波数基準発振回路70を使用する。おそらくコストの観点から望まれるシステム10の低い速度での実施には、低い周波数の水晶周波数基準発振回路70を使用する。
【0137】
【表3】
【0138】
表3を参照すると、本発明の好適なシステム周波数プランが示されている。好適なシステム周波数プランは第1,2のシステム基準信号の周波数の変更を提供し、システム基準信号の周波数における単位増分が一定の局部タイミング信号周波数増分を発生させる。表3において、第1のコラムはCRS30が出力する周波数を示し、第2,3のコラムはk1とk2の値を示し、第4のコラムは第1の3つのコラムの値に対応するLTO周波数を示し、第5のコラムは得られる局部タイミング信号の周波数を表わす。表3に示すようにシステム基準信号の周波数の1MHzの増加各々で局部タイミング信号の周波数では4MHzの増加が発生し、k1とk2の値もそれに併せて変更される。
【0139】
第1,2の基準分割器220,222に加えて、位相周波数検出器230も望ましくは再設定可能な論理装置を用いて実現する。再設定可能な論理装置内の論理の再設定は完了するまで所定量の時間がかかる。一般に、再設定可能な論理回路で生成する信号は再設定の開始以後所定の時間間隔が経過するまで有効であることが保証できない。実際には、所定の時間間隔が経過するまでに1つ又はそれ以上の信号が有効になることがある。再設定可能な論理回路を用いた位相周波数検出器230の実施により、システム10の外部の要素で第1のロック信号がゲート信号として用いられて、
1)再設定が完了したことと、
2)局部タイミング信号が有効であること
を表わすようにできる。この方法によるゲート信号の生成は、外部要素の幾つか又は全部が再設定可能な論理装置内部に実施されている場合に特に有用である。典型的な実施の形態において、第1,2の基準分割器220,222、位相周波数検出器230は単一のジリンクスXC4013FPGA(ジリンクス社、カリフォルニア州サンノゼ)内部の再設定可能な論理回路を用いて実施している。別の種類の再設定可能な論理装置を用いて第1,2の基準分割器220,222、位相周波数検出器230を、例えば、消去可能なプログラマブル論理装置(EPLD)として実施できることが当業者には理解されよう。
【0140】
コヒーレント受信ユニット200は第1,2のシステム基準信号を復調し復調に基づいて一組のメッセージを生成する。図13を参照すると、コヒーレント受信ユニット200の好適な実施の形態のブロック図が図示してある。コヒーレント受信ユニット200は、望ましくは、第1の混合器400、第1のゲート積分回路412、第1のADCU420、第1の最上位ビット(MSB)フリップフロップ426、第1の最下位ビット(LSB)フリップフロップ428、第2の混合器402、第2のゲート積分回路413、第2のADCU421、第2のMSBフリップフロップ427、第2のLSBフリップフロップ429、第3のF‐V変換器440、ゲートシーケンスジェネレータ410を含む。
【0141】
混合器400は第1の局部バッファ増幅器232の出力から第1の変調システム基準信号を受信するように接続され、局部QRO202の出力する第1の局部基準信号も受信する。第1の局部基準信号は望ましくは単位振幅を有する。混合器400は第1の変調システム基準信号と第1の局部基準信号を混合又は多重化し、第1の整流信号を出力する。第1の局部基準信号は第1の変調システム基準信号に位相固定され、第1の整流信号は全波整流した第1の変調システム基準信号である。さらに、第1の局部基準信号は好適な実施の形態では単位振幅を有しているので、第1の整流信号は第1の変調システム基準信号に等しいピーク振幅を有する方形化正弦波である。第2の混合器402は第2の変調システム基準信号と第2の局部基準信号を受信するように接続される。第2の混合器402は混合器400の場合と同様の方法で全波整流した第2の変調システム基準信号である第2の整流信号を生成する。
【0142】
第1のゲート積分回路412と第1のADCU420は、第1の整流信号を復調して本来図1のMSM34が出力した第1の情報信号に対応する同相2ビットの第1のMSBと第1のLSBを作成する。第1のMSBフリップフロップ426は第1のMSBをラッチし、第1のLSBフリップフロップ428は第1のLSBをラッチする。同様に、第1のゲート積分回路412と第2のADCU421は第2の整流信号を復調して本来MSM34が生成した第2の情報信号に対応する直角位相2ビットの第2のMSBと第2のLSBを作成する。第2のMSBフリップフロップ427は第2のMSBをラッチし、第2のLSBフリップフロップ429は第2のLSBをラッチする。
【0143】
第1,2の変調システム基準信号が復調される方法はシステム基準信号復調プロトコルを定義する。図26を参照すると、好適なシステム基準信号復調プロトコルを表わす波形図が理解を助けるために図示してある。図26に図示してあるように第1の整流信号は「両バンプ」又は全波整流型の、第1の変調システム基準信号(又は、同様に、第1のシステム基準信号又は第1の局部基準信号の何れか)と同期して生成された信号である。以下で詳細に説明するように第1の整流信号に適用された積分とA/D変換に基づいて、同相2ビットが生成される。同相2ビット内のビット値は望ましくは第1の整流信号の積分に対応する。第2の整流信号は第2の変調システム基準信号と同期して生成した「両バンプ」信号で、ここから同相2ビットの場合と類似の方法で直角位相2ビットが生成される。第1,2の変調システム基準信号が復調される詳細な方法については以下で説明する。
【0144】
ゲートシーケンスジェネレータ410は第1,2のゲート積分回路412,413,第1,2のADCU420,421、及び、フリップフロップ426,427,428,429の各々の動作をシーケンス化してシステム基準信号復調プロトコルに従って前述の復調を容易にする。図14を参照すると、ゲートシーケンスジェネレータ410の好適な実施の形態のブロック図が図示してある。ゲートシーケンスジェネレータ410は望ましくは象限ゼロクロス検出器(QZCD)466、第1ないし第4の復号器ゲート471,473,475,477、フリップフロップツリー488を含む。
【0145】
QZCD466は同相比較器460と直角位相比較器462を含み、その各々は電気的接地に接続した入力を有する。同相比較器460、直角位相比較器462は各々第1,2の局部基準信号を受信するようにも接続する。同相比較器460、直角位相比較器462は本明細書で前述した方法で信号ゼロクロスを検出して方形波信号を生成し、これは当業者には容易に理解されよう。同相比較器460は第1の出力に同相方形波信号を、また、第2の出力に相補型同相方形波信号を出力する。図14において、同相方形波信号はCと表記し、相補型同相方形波信号はCBARと表記してある。同相比較器460の場合と類似の方法で、直角位相比較器462は直角位相方形波信号と相補型直角位相方形波信号を第1,2の出力各々に生成する。直角位相及び相補型直角位相方形波信号は各々、図14においてS,SBARと表記される。第1ないし第4の復号器ゲート471,473,475,477は従来の方法でC,CBAR,S,SBARを受信して復号し、第1ないし第4のストローブパルスを各々生成する。図14において、第1ないし第4のストローブパルスは各々DRN,ASN,BTN,CUNと表記してある。
【0146】
図24を再度参照すると、部分区間R,S,T,Uが第1のシステム基準信号の単一の区間で定義され、部分区間A,B,C,Dが第2のシステム基準信号の単一の区間で定義される。各々の部分区間はπ/2の位相間隔に対応する。ここで、図15も参照すると、ゲートシーケンスジェネレータ410が生成する信号の好適なタイミング図が図示してある。図15は第1の局部基準信号、第2の局部基準信号、ゲートシーケンスジェネレータ410内部で生成される信号の間のタイミングと位相関係を表わす。図15に図示してあるように、第1のストローブパルスは部分区間Dの間又は等価に部分区間Rの間、低電位状態にあり、それ以外では高電位状態である。つまり、第1のストローブパルスは部分区間DとRに正確に対応するアクティブローパルスである。同様に第2のストローブパルスは部分区間AとSに正確に対応するアクティブローパルスである。第3のストローブパルスは部分区間BとTに正確に対応するアクティブローパルスであり、第4のストローブパルスは部分区間CとUに正確に対応するアクティブローパルスである。ストローブパルスの何れか又は全部が別の実施の形態でアクティブハイパルスにできることは当業者には理解されよう。つまり、第1ないし第4のストローブパルスは特定の時刻においてどのπ/2部分区間に局部基準信号が位置しているかを正確に表わす。第1ないし第4のストローブパルスは、図2の変調器32が第1,2のシステム基準信号に印加した情報信号と時間的に整列している。
【0147】
第1ないし第4のストローブパルスは各々第1ないし第4の分配線481,492,493,494経由でフリップフロップツリー488へ印加される。フリップフロップツリー488は望ましくは一組のSRフリップフロップを含み、これがフリップフロップ470,472,474,476,480,480,484,486を含み、各々が第1の入力と第2の入力と出力とを有する。フリップフロップツリー488内部の各々のフリップフロップ470,472,474,476,480,482,484,486は望ましくは図14に図示してある方法で一組の分配線481,482,483,484に接続する。
【0148】
好適な実施の形態において、フリップフロップツリー488は同相リセットフリップフロップ470の出力で同相リセット信号を出力し、同相ゲートフリップフロップ472の出力で同相ゲート信号を出力し、同相イネーブルフリップフロップ474の出力で同相イネーブル信号を出力し、同相アドバンスフリップフロップの出力で同相アドバンス信号を出力し、直角位相ゲートフリップフロップ482の出力で直角位相リセット信号を出力し、直角位相ゲートフリップフロップ484の出力で直角位相ゲート信号を出力し、直角位相イネーブルフリップフロップ486の出力で直角位相イネーブル信号を出力し、直角位相アドバンスフリップフロップ486の出力で直角位相アドバンス信号を出力する。フリップフロップツリー488内部の各々のフリップフロップ470,472,474,476,480,482,484,486はゲートシーケンスジェネレータ410の出力を形成する。
【0149】
前述のように、ゲートシーケンスジェネレータ410はコヒーレント受信ユニット200内部の復調動作をシーケンス化する。第1の整流信号の復調に対する同相リセット、ゲート、イネーブル、アドバンス信号の詳細な適用を図13及び図15を参照して検討する。第1の局部基準信号の位相Dの始めにおいて、同相リセット信号と同相イネーブル信号が低電位状態から高電位状態に遷移する。本明細書では、従来の2進法表記に対応して、低電位状態は“0”と称し、高電位状態は“1”と称する。第1のゲート積分回路412は同相リセット信号をリセット入力で受信する。つまり、位相Dの間、同相リセット信号が第1のゲート積分回路412に印加され、第1のゲート積分回路412の出力は“0”に遷移する。この“0”が第1のADCU420を通って伝播するが、これは第1のADCU420が同相イネーブル信号を受信するためである。第1の局部基準信号が位相Dから位相Aに遷移すると、同相リセット信号は“0”に遷移し同相ゲート信号が“0”から“1”に遷移する。図15に図示したように、同相ゲート信号が高電位の期間は第2の局部基準信号が正側、又は、等価に位相S及びTである期間に対応する。つまり、位相SとTは第1のゲート積分回路412の積分ゲートに対応する。位相SとTの間、第1のゲート積分回路412は第1の整流信号を積分し、これによって第1の平均信号を生成する。位相Tの終わりで、第1の平均信号は望ましくは第1の整流信号の振幅に等しい信号を有し、これの周期の半分又はπ/2にわたる方形正弦波の積分で伸縮される。別の実施の形態において、第1のゲート積分回路412はさらなる伸縮を例えば、1/π又は2/πの倍率で第1の整流信号の振幅に適用するための従来の回路を含み得ることが当業者には理解されよう。
【0150】
好適な実施の形態において、第3のF‐V変換器440は第2の局部基準信号の周波数又は等価な第1,2のシステム基準信号の周波数に依存する大きさを有する一組の復調基準電圧を出力する。第3のF‐V変換器440は望ましくは図5の第1のF‐V変換器134について示したのと類似の内部構造を有する。第1のADCU420は復調基準電圧を受信し、第1の平均信号を復調基準電圧と比較して、第1のMSBと第1のLSBとを含む同相2ビットを生成する。
【0151】
図16を参照すると、第1のADCU420の好適な実施の形態のブロック図が図示してある。第1のADCU420は望ましくは第1ないし第4の比較器450,452,454,456、順位エンコーダ458を含む。第1ないし第4の比較器450,452,454,456の各々は第1の平均線414経由で第1のゲート積分回路412の出力に接続した第1の入力を有する。第1ないし第4の比較器450,452,454,456は復調基準線445へ接続した第2の入力を有し、第1の比較器450が(1Vm *π/2)の電圧を受信し、第2の比較器452が(2Vm *π/2)の電圧を受信し、第3の比較器454が(3Vm *π/2)の電圧を受信し第4の比較器456が(4Vm *π/2)の電圧を受信する。第1ないし第4の比較器450,452,454,456の各々はさらに順位エンコーダ458の対応する入力に接続した出力を有する。順位エンコーダ458はさらに同相イネーブル信号を受信するように接続したイネーブル入力と、第1のMSBフリップフロップ426と第1のLSBフリップフロップ428の入力に各々接続したMSB出力及びLSB出力を有する。順位エンコーダ458のMSB出力は第1のADCU420のMSB出力を形成し、順位エンコーダ458のLSB出力は第1のADCU420のLSB出力を形成する。
【0152】
動作において、第1ないし第4の比較器450,452,454,456の各々は第1の平均信号を受信し、第1の平均信号を復調基準線445経由で受信した対応する電圧と比較する。任意の比較器450,452,454,456では電圧が等しいと出力に“1”を生成し、電圧が等しくないと“0”を生成する。つまり、第1の平均信号が(1Vm *π/2)に等しい場合、第1の比較器450は1を出力する。同様に、第1の平均信号が(2Vm *π/2)、(3Vm *π/2)、(4Vm *π/2)に等しい場合、第2、第3、又は、第4の比較器452,454,456が各々1を出力する。順位エンコーダ458は第1ないし第4の比較器450,452,454,456の各々の出力を受信して好適な信号プランに従って対応する同相2ビットを生成し、これによって図1の変調器32が第1のシステム基準信号に符号化した2ビットを復元する。
【0153】
表1を再度参照すると、本発明の好適な信号プランにおいて、第1の平均信号が(1Vm *π/2)に等しい場合、順位エンコーダ458は同相2ビットを<00>として生成する。ここで、2ビットのフォーマットは<MSB,LSB>と定義する。同様に、第1の平均信号が(2Vm *π/2)、(3Vm *π/2)、又は(4Vm *π/2)に等しい場合、順位エンコーダ458は各々同相2ビットを<01>,<10>,又は,<11>として生成する。部分区間T又は等価に部分区間Bの終りに、同相イネーブル信号が“0”に遷移し、第1のMSBフリップフロップ426に第1のMSBをラッチさせ、第1のLSBフリップフロップ428に第1のLSBをラッチさせる。
【0154】
第1のゲート積分回路412が第1の整流信号に、例えば、1/π又は2/πの倍率でさらなる伸縮を適用するための回路を含む場合に正しく同相2ビットが生成されるように第3のF‐V変換器440と第1のADCU420を変更する方法は当業者には容易に理解されよう。同相リセット、ゲート、イネーブル信号は第1の整流信号の復調により同相2ビットの生成に用いる。第2のADCU421が第1のADCU420と同一の内部構造を有し、第3のF‐V変換器440、第2のMSBフリップフロップ427、第2のLSBフリップフロップ429へ図13に図示した方法で接続されることは当業者には理解されよう。さらに、第2の整流信号の復調は第1の整流信号について前述したのと類似の方法で行ない、図15に図示した直角位相信号に従ってシーケンス化されて直角位相2ビットを生成することが当業者には容易に理解されよう。直角位相2ビットは同相2ビットより1部分区間又は時間間隔Hだけ遅く生成されることも当業者には理解されよう。
【0155】
前述のように、同相2ビットと直角位相2ビットは各々マスタ刻時ユニット12内部で第1,2のシステム基準信号に適用した変調に基づいて生成される。本明細書において、前述の2ビットが生成される方法は望ましくは図26に図示したシステム基準信号復調プロトコルで定義される。
【0156】
本発明を用いて1つ又はそれ以上の局部タイミング信号及び/又はメッセージ信号を外部要素に提供する場合、外部信号を本明細書で説明した回路で交換できる。これにより本発明のシステム10への外部雑音、例えば、電気的接地径路を介した高速デジタル信号の交差結合等の何らかの結合が発生することがある。本発明のシステム10では、コヒーレント受信の処理が実質的に前述の同期受信の使用と2ビット復元処理の信号積分によって雑音結合状態を緩和している。つまり、情報の復元は本明細書で説明した本質的に雑音を排除する回路の状況内で行なわれる。
【0157】
MAU(メッセージ組立ユニット)250は、メッセージ線310経由でコヒーレント受信ユニット200が生成した同相2ビット、直角位相2ビット、同相と直角位相のアドバンス信号を受信し、これに応答してメッセージを生成し、データを組み立てる。メッセージは信号プランに従って生成され、本明細書では表1の好適な信号プランによって信号プランが与えられることが当業者には理解されよう。図17を参照すると、MAU250の好適な実施の形態のブロック図が図示してある。MAU250は望ましくはタイミング同期ユニット(TSU)500、信号マップメモリ540、同期システムリセットユニット(SSRU)560、システム割込(SI)状態マシン570、システムイベント(SE)状態マシン580、同期データチャンネル(SDC)状態マシン590、データ組立(DA)メモリ595、データセレクタ598を含む。
【0158】
TSU(タイミング同期ユニット)500はメッセージ線310へ接続され、同相2ビット、直角位相2ビット、同相アドバンス信号、直角位相アドバンス信号を受信する。TSU500はコヒーレント受信ユニット200から受信した各々の同相2ビット/直角位相2ビットの対を一時的に整列する。ここで、図18を参照すると、TSU500の好適な実施の形態のブロック図が図示してある。TSU500は望ましくは第1ないし第4の同期フリップフロップ670,671,672,673と出力増幅器675を含む。出力増幅器675は直角位相アドバンス信号を受信するように接続する。出力増幅器675は、クロック線640経由でSI状態マシン570、SE状態マシン580、SDC状態マシン590、DAメモリ595へ直角位相アドバンス信号を転送する出力を有する。SI,SE,SDC状態マシン570,580,590とDAメモリ595の各々における直角位相アドバンス信号の仕様は図20から図23を参照して以下で詳細に説明する。
【0159】
第1の同期フリップフロップ670は同相2ビットのMSB、即ち、第1のMSBを受信するように接続する。第2の同期フリップフロップ671は同相2ビットのLSBを受信するように接続される。同様に、第3,4の同期フリップフロップ672、673は各々直角位相2ビットのMSBとLSBを受信するように接続される。第1ないし第4の同期フリップフロップ670,671,672,673は同相アドバンス信号を受信するように接続したイネーブル入力を有する。同相アドバンス信号は第1ないし第4の同期フリップフロップ670,671,672,673の組に同相予備直角位相2ビットの読み込みを指示する。図15を再度参照すると、同相アドバンス信号は部分区間Tから部分区間Uへの第1の局部基準信号のゼロクロス遷移に応じて“1”から“0”へ遷移する。つまり、同相アドバンス信号は、本明細書で時間間隔Hとして定義する単一の部分区間の持続では高電位である。好適な実施の形態において、第1ないし第4の同期フリップフロップ670,671,672,673は同相アドバンス信号における低電位から高電位へ、又は、立上りエッジ遷移に応じて、入力に存在する信号をラッチする。図15から分るように、コヒーレント受信ユニット200内部の同相2ビットのラッチとTSU500内部の同相2ビットのラッチの間には3Hに等しい時間的遅延がある。同様に、コヒーレント受信ユニット200内部の直角位相2ビットのラッチとTSU500内部の2ビットのラッチの間には2Hに等しい時間的遅延がある。同相と直角位相2ビットのラッチはHだけ遅延が異なるため、TSU500はコヒーレント受信ユニット200から受信した各々の同相/直角位相2ビット対各々の間の位相差を排除する。第1ないし第4の同期フリップフロップ671,672,673,674は一時的に整列した同相/直角位相2ビット対をアドレス線600経由で信号マップメモリ540へ出力する。
【0160】
信号マップメモリ540は、各々の一時的に整列した同相2ビット/直角位相2ビットの対を受信してこれに応じた状態制御信号を生成する。信号マップメモリ540はさらにチャンネル選択信号を出力する。図19を参照すると、信号マップメモリ540の好適な実施の形態のブロック図が図示してある。信号マップメモリ540は望ましくは第1のメモリ680、第2のメモリ681、第3のメモリ682、第4のメモリ683、チャンネル選択メモリ684を含む。信号マップメモリ540内部で、アドレス線600は第1ないし第4のアドレス選択線660,661,662,663に分割される。第1ないし第4のメモリ680,681,682,683の各々は第1ないし第4の入力が各々第1ないし第4のアドレス選択線660,661,662,663に接続してある。第1ないし第4のメモリ680,681,682,683は望ましくは第4のアドレス選択線663で同相2ビットのMSB、第3のアドレス選択線662で同相2ビットのLSB、第2のアドレス選択線661で直角位相2ビットのMSB、第1のアドレス選択線660で直角位相2ビットのLSBを受信する。
【0161】
第1ないし第4のメモリ680,681,682,683の各々は状態制御信号をSSRU560、SI状態マシン570、SE状態マシン580、SDC状態マシン590へ各々提供する一組の出力を有する。同相と直角位相2ビットの各々のMSBとLSBの値に基づいて、第1ないし第4のメモリ680,681,682,683の各々が参照テーブルとして機能し、特定の組の状態制御信号をこれらの出力の組に転送する。好適な実施の形態において、第1のメモリ680はリセット信号を出力する。第2のメモリ681はSIトグル信号、SIクリア信号、SIセット信号を出力する。第3のメモリ682はSEトグル、SEクリア、SEセット信号を出力する。最後に、第4のメモリ683はSDCイネーブル信号、第1のSDC信号、第2のSDC信号、第3のSDC信号を出力する。第1ないし第4のメモリ680,681,682,683が出力する状態制御信号は、望ましくは、MAU250内部のSSRU560と状態マシン570,580,590の動作を指示して表1の好適な信号プランで指定した機能を実現する。
【0162】
684は望ましくは図17のデータセレクタ598の動作を制御するチャンネル選択信号を格納し出力するためのメモリで、これについては詳細に後述する。
【0163】
好適な実施の形態において、信号マップメモリ540内部の各々のメモリ680,681,682,683は再設定可能な又は再プログラム可能な論理装置例えば、FPGAを用いてROM形式で実現する。このような実現で各々のメモリの出力においてこれの同相及び直角位相2ビットのLSBとMSBの状態制御信号へのマッピングの柔軟性のある指定を提供する。つまり、信号マップメモリ540内部の1つ又はそれ以上のメモリ680,681,682,683を再プログラミングする又は再設定することにより、第1のメモリ680、第2のメモリ681、第3のメモリ682、及び/又は第4のメモリ683の各々による状態制御信号の出力、並びにチャンネル選択メモリ684の出力するチャンネル選択信号を選択的に変更できる。好適な実施の形態において、信号マップメモリ540内部の第1ないし第4のメモリ680,681,682,683は、状態制御信号がSSRU560、SI状態マシン570、SE状態マシン580、SDC状態マシン590を制御して表1の好適な信号プランで定義した機能を実行するように設定する。信号マップメモリ540内部の1つ又はそれ以上のメモリ680,681,682,683を選択的に再設定して表1に定義した以外の機能を実現できることが当業者には理解されよう。
【0164】
好適な実施の形態において、信号マップメモリ540で出力するリセット信号はシステム全体のリセットが必要かどうかを表わす。システム全体のリセットが必要な場合、SSRU560はSSR信号を出力し、これが、表1の「SSR発行」で表わしてある。図20を参照すると、SSRU560の好適な実施の形態のブロック図が図示してある。SSRU560は第1のフリップフロップ900、第2のフリップフロップ902を含む。SSRU560は第1のフリップフロップ900のイネーブル入力で信号マップメモリ540が出力したリセット信号を受信するように接続する。第1,2のフリップフロップ900,902の各々はクロック線640に接続したクロック入力を有する。第1のフリップフロップ900は高電位状態信号に接続した入力を有し、第2のフリップフロップ902は第1のフリップフロップ900の出力に接続した入力を有する。第1のフリップフロップ900の出力はSSRU560の出力を形成し、ここにおいてSSR信号が作成される。最後に、第1のフリップフロップ900は第2のフリップフロップ902の出力に接続したリセット入力を有する。リセット信号が高電位状態に遷移した場合、SSR信号は2つのシステム基準信号区間にわたり、即ち、8Hの時間間隔にわたって直角位相アドバンス信号で同期しているので、高電位状態に保持される。SSR信号はSI状態マシン570、SE状態マシン580、SDC状態マシン590、データセレクタ598の各々へSSR線650経由で転送される。
【0165】
信号マップメモリ540が出力するSIトグル、SIリセット、SIセット信号は、表1に示した「トグルSI」、「SIをLにセット」、「SIをHにセット」機能に従ってシステム割込信号SIをトグルし、リセットし、又は、セットすることを各々指定する。SI状態マシン570はSI信号を出力する。図21を参照すると、SI状態マシン570の好適な実施の形態のブロック図が図示してある。SI状態マシン570は第1のJ‐Kフリップフロップ910を含み、セット入力でSIセット信号、J入力とK入力の各々でSIトグル信号、OR機能経由のリセット入力でSSR信号とSIクリア信号の各々を受信するように接続してある。第1のJ‐Kフリップフロップ910はさらにクロック線640に接続したクロック入力と、SI状態マシン570の出力を形成し、SI信号が作成される出力を有する。好適な実施の形態において、SIセット、SIトグル、SIクリア信号は第1のJ‐Kフリップフロップ910に適用されて当業者には良く理解される方法でSI信号のセット、トグル、リセットを行なう。
【0166】
信号マップメモリ540から出力されるSEトグル、SEリセット、SEセット信号は、表1に示した「SEトグル」、「SEをLにセット」、「SEをHにセット」機能に従って、システムイベント信号SEを各々トグル、リセット、又はセットすることを指定する。SE状態マシン580はSE信号を出力する。図22を参照すると、SE状態マシン580の好適な実施の形態のブロック図が図示してある。SE状態マシン580の構造と接続は望ましくはSDC状態マシン590のそれと同一で、SIセット、SIクリア、SIトグル信号が図示したようにSEセット、SEクリア、SEトグル信号に置き換えられる点で異なる。SE信号が生成される方法は当業者には容易に理解されよう。
【0167】
図17を再度参照すると、データセレクタ598はSSR信号、SI信号、SE信号の各々を受信するように接続される。データセレクタ598はさらにチャンネル選択メモリ684が出力するチャンネル選択信号を受信するように接続した制御入力を有する。データセレクタ598は望ましくは一組の従来のデータセレクタを用いて実現する。チャンネル選択信号に基づき、データセレクタ598はSSR,SI,SE信号を第1の信号チャンネル320又は第2の信号チャンネル330へ転送する。つまり、本発明は複数の信号を複数の宛先へ選択的同期的に転送することを容易にする。別の実施の形態において、さらに多く又は少ない信号チャンネル320,330を使用できることが当業者には理解されよう。第1の信号チャンネル320に転送した場合、SSR,SE,SI信号は第1の組の外部要素へ信号を送るための手段を提供する。類似の方法で、第2の信号チャンネルへ転送した場合、SSR,SE,SI信号は第2の組の外部要素へ信号を送るための手段を提供する。外部要素の各々の組はSSR,SI,SE信号を異なるように解釈できることが当業者には理解されよう。
【0168】
SDC状態マシン590は信号マップメモリ540が出力する第1ないし第3のSDC信号がDAメモリ595内部でデータ・ワードにまとめられ同期データチャンネル340へ出力されるデータ組み立て動作を制御する。図23を参照すると、SDC状態マシン590とDAメモリ595の好適な実施の形態のブロック図が図示してある。SDC状態マシン590は多段バッファ930、シーケンスカウンタ940を含む。多段バッファ930はさらに直角位相アドバンス信号をクロック線640経由で受信するように接続してある。好適な実施の形態において、多段バッファ930は3つの段を形成するように接続したDフリップフロップを含む。任意の段の内部で、各々のDフリップフロップは後続段の対応するDフリップフロップの入力に接続した出力を有する。さらに、多段バッファ930内の各々のDフリップフロップはDAメモリ595の入力に接続した出力を有する。各々の段のフリップフロップは直角位相アドバンス信号に従いSDCイネーブル信号でイネーブルになる。多段バッファ930がイネーブルになると、各々の直角位相アドバンス信号パルスが第2段から第3段への第1ないし第3のSDC信号の第1のグループと、第1段から第2段への第1ないし第3のSDC信号の第2のグループと、信号マップメモリ540から第1段へ出力される第1ないし第3のSDC信号の第3のグループを出力することが当業者には理解されよう。つまり、第1ないし第3のSDC信号の任意の組が1つの段から次の段へ直角位相アドバンス信号に従って、転送される。
【0169】
シーケンスカウンタ940はDAメモリ595へ定期的なイネーブル信号を出力する。シーケンスカウンタ940は直角位相アドバンス信号とSDCイネーブル信号を受信するように接続される。シーケンスカウンタ940は望ましくは2進シーケンスを出力するように接続されたフリップフロップを含み、DAメモリ595の読み込みが定期的な多数の直角位相アドバンス信号パルスに従って、イネーブルになるようにする。Sで定義された段数を有する多段バッファ930の場合、シーケンスカウンタ940は望ましくは定期的なイネーブル信号を出力してDAメモリ595の読み込みが各々の(S+1)番目の直角位相アドバンス信号パルスの度にイネーブルになるようにする。
【0170】
DAメモリ595は直角位相アドバンス信号、定期的イネーブル信号、及び、多段バッファ930から出力される信号を受信するように接続した従来のレジスタを含むのが望ましい。定期的イネーブル信号が高電位状態に遷移すると、DAメモリ595は多段バッファ930内の各々の段の出力を読み込む。好適な実施の形態において、多段バッファ930は9ビットを出力し、これがデータビット8ビットとパリティビット1ビットへ図23に図示した方法でまとめられる。DAメモリ595は、さらに多く又は少なくビットを出力するように実現できることが当業者には理解されよう。DAメモリ595は読み込んだデータビットとパリティビットを同期データチャンネル340へ出力する。別の実施の形態において、DAメモリ595は1つ又はそれ以上のビットをさらなる同期データチャンネル(図示せず)へ出力できることがさらに当業者には理解されよう。このような実施の形態はビットの部分集合を同時に出力して、同期データチャンネルを分離するか、又はデータセレクタ又は再プログラム可能な論理回路を経由して任意の同期データチャンネルを選択できる。
【0171】
信号マップメモリ540、SDC状態マシン590、DAメモリ595経由で、本発明はデータがマスタ刻時ユニット12から各々の局部刻時ユニット22へ同期的に転送されるデータ同報動作を容易にしている。データが変調器32によりシステム基準信号に符号化されるため、本発明は、従来技術では不可能な高速データ同報動作を容易に行なえることが当業者には理解されよう。
【0172】
一般に、SI,SE,SDC状態マシン570,580,590がシステム割り込み、システムリセット、同期データ演算を各々実行する状態マシンであることが当業者には理解されよう。従って、SI,SE,SDC状態マシン570,580,590の別の実施の形態が可能であることが当業者には容易に理解されよう。
【0173】
d.方法段階
図27を参照すると、好適なマスタ時刻基準ユニット12の動作の流れ図が図示してある。好適なマスタ刻時ユニット12の動作はステップ2000でCRS30による第1,2のシステム基準信号の生成から始まり、第1,2のシステム基準信号は前述した方法でオリジナルの周波数基準信号と位相固定している。好適な実施の形態において、第1,2のシステム基準信号は直角位相関係を有する正弦波信号である。次に、ステップ2002では、MSM34が入力で受信したメッセージ信号に従ってビットシーケンスと情報信号を生成する。前述したように、MSM34は第1,2のシステム基準信号を用いてビットシーケンスと情報信号を同期的に生成する。ステップ2002に続けて、変調器32はステップ2004でMSM34が生成した情報信号に基づいて第1,2のシステム基準信号を同期的に変調する。ステップ2004では、変調は望ましくは直接搬送波AMである。ステップ2004の後、ステップ2006で第1,2の変調システム基準信号は各々が第1,2の分配増幅器36,38とシステムバス14の線16、18を経由して各々の局部刻時ユニット22に分配され、この後、好適な方法は終了する。図27に図示した好適なマスタ刻時ユニット12の動作は理解を助けるため単一シーケンスとして説明した。前述のステップの各々が通常のシステム動作中に各々他のステップに対して連続的同期的に実行されることが当業者には理解されよう。
【0174】
図28を参照すると、好適な局部刻時ユニット22の動作の流れ図が図示してある。好適な局部刻時ユニット22の動作はステップ2010で局部QRO202による第1,2の局部基準信号の生成から始まり、局部基準信号は前述のように第2の位相検出器204と第2のループフィルタ206により変調システム基準信号に対して位相同期している。
【0175】
局部刻時ユニット22の各々は局部タイミング信号を同時的に生成し、ステップ2010の後、第1,2の変調システム基準信号を復調する。局部タイミング信号の生成において、LTO208はステップ2012でオフセット信号を生成する。次に、ステップ2014でタイミング信号混合器210とタイミング信号フィルタが周波数増加変換により、前述したような方法で、局部タイミング信号を生成する。局部タイミング信号は周波数の増加変換により生成されるので、局部タイミング信号の周波数は第1,2のシステム基準信号の周波数より高くなる。ステップ2014の後、第1,2の基準分割器220,222は周波数分割した局部タイミング信号と周波数分割した第2の局部基準信号をステップ2016で各々生成する。周波数分割した局部タイミング信号と第2の局部基準信号はステップ2018で位相固定される。再プログラム可能な又は再設定可能な基準分割器220,222を位相固定に関連して使用することで周波数範囲内での局部タイミング信号の周波数のプログラム可能な仕様が容易に行なえる。
【0176】
第1,2の変調システム基準信号の復調において、コヒーレント受信ユニット200はステップ2020で第1,2の変調システム基準信号の復調を同期的に行ない、これによってマスタ刻時ユニット12内部の変調器32により第1,2のシステム基準信号に符号化されたビットシーケンスを復元する。次に、MAU250はステップ2022で信号プランに従いコヒーレント受信ユニット200により出力されたビットシーケンスを同期的に復号し、これによってメッセージ及び/又はデータを作成する。ステップ2022の後、MAU250はステップ1024で第1,2の信号チャンネル320,330にメッセージを同期的に出力する。MAU250はさらにステップ2026で1つ又はそれ以上のワードにデータをまとめ、その後でMAU250はステップ2028においてデータ・ワードの各々を同期データチャンネル340へ出力する。ステップ2018,2028の後、好適な方法は終了する。図28に図示した好適な局部刻時ユニットの動作は理解を助けるため非反復的シーケンスとして説明した。図28に図示したステップの各々が通常のシステム動作中に互いに連続的かつ同期的に実行されることが当業者には理解されよう。
【0177】
e.結論
基準タイミング信号を生成・分配する殆ど全ての従来技術のシステム並びに方法とは対照的に、本発明は、方形波信号の代わりに正弦波信号を生成して分配するものである。方形波信号の生成・分配は、高速低歪方形波信号を確実に生成するには滑らかに変化する正弦波信号に比べて多くの電流と非常に大きな利得が必要とされることから、高い周波数では特に困難であることが当業者には理解されよう。さらに、分配径路に沿ったパルス反射は、その大きさが信号立上り時間の微分に比例するため方形波信号では非常に重大である。つまり、本発明は方形波信号の生成とシステム全体への分配に関連した問題を有利に回避する。一般に、本発明は、方形波信号に基づく従来技術のシステム並びに方法より大幅に高い周波数の信号を確実に生成してシステム全体に分配することができる。
【0178】
第1,2の変調システム基準信号は、各々単一の分配増幅器36,38と望ましくは従来のストリップ線又はマイクロストリップ伝送線(即ち、金属と接地面)技術で実現したインピーダンス制御システムバス14とを用いて局部刻時ユニット22に分配する。各々の局部刻時ユニット22内部で、単一の高インピーダンス局部バッファ増幅器232,234が任意に変調したシステム基準信号を受信するように接続され、これによって、局部刻時ユニット22を基本的に無反射的な方法でシステムバス14に接続するようにしている。本発明のシステム10は、システムバス14の長さを増加させ回線端末処理20を再配置することでさらに多くの局部刻時ユニット22に対応するように拡張することができる。
【0179】
本発明は、各々の局部刻時ユニット22内部で周波数増加変換を用いてシステム基準信号より高い周波数を有する局部タイミング信号を生成する。従来技術のタイミング信号分配のためのシステム並びに方法では、これと対照的に、システム基準信号が、
1)直接使用される、
2)周波数分周される、又は
3)減少変換して局所的に使用するタイミング信号を生成する、の何れかである。つまり、本発明では、高周波局部使用タイミング信号を作成するために高周波システム基準信号を生成しシステム全体に分配する必要がない。むしろ、システム基準信号は従来技術のシステム並びに方法とは対照的に任意の局部タイミング信号に比べて大幅に周波数を低くできる。さらに、本発明は、各々が互いに独立でありながら同期しており、また、同期可能な並列に多数の増加変換した局部タイミング信号を生成し特別の同期回路を各々の局部刻時ユニット22内に必要としない手段を教示している。さらに、POR環境以外で、本明細書に説明したタイミング信号分配とメッセージ配送の組み合せのためのシステム10は、システム10内部の何れかの境界を横断する何らかの同期回路を必要としない。従来技術のシステム並びに方法は同様の利点を共有しない。
【0180】
好適な実施の形態において、本発明は、各々の局部刻時ユニット22内部の再プログラミング可能又は再設定可能な周波数分周器により、局部タイミング信号周波数を任意の時刻に個別にプログラム的に指定することができる。従来技術のタイミング信号生成のためのシステム並びに方法はこの利点を共有しない。
【0181】
本発明は、位相固定を使用することで、デジタル雑音に対して非常に感受性が低い。PLLは数百万のQ値を特徴とするフィルタと等価であり、これによって雑音存在下に信号を正確に追跡することができる。
【0182】
本発明が、位相固定と併せて象限信号を使用する方法は、システム基準信号の同期的周波数非依存の復調を容易にする。これによって、システム全体に同期的又はほぼ同期的に信号送信及びデータ送信動作を実行するための手段を提供する。従来技術のシステム並びに方法はこの方法で動作することができない。
【0183】
本発明は、幾つかの好適な実施の形態を参照して説明したが、各種の変更を提供できることが当業者には理解されよう。例えば、本発明を変更して1GHz以上の周波数で動作するようにもできる。別の例として、本発明を変更して非直角位相関係又は非正弦波波形を有する信号を用いて動作させることができる。さらに、別の例として、本発明の1つ又はそれ以上の部分を集積回路に組み込むことができる。好適な実施の形態の変化及び変更は本発明により提供されるものであって、特許請求の範囲によってのみ制限される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明により構成した位相同期で周波数可変の刻時及びメッセージ配送システムの好適な実施の形態を示すブロック図である。
【図2】本発明の校正基準システムの第1の好適な実施の形態を示すブロック図である。
【図3】本発明の校正基準システムの第2の実施の形態を示すブロック図である。
【図4】本発明の校正制御ユニットの好適な実施の形態を示すブロック図である。
【図5】本発明の第1のF‐Vの好適な実施の形態を示すブロック図である。
【図6】本発明のPOR積分器の好適な実施の形態を示すブロック図である。
【図7】本発明のシステムQROの好適な実施の形態を示すブロック図である。
【図8】本発明の変調状態マシンの好適な実施の形態を示すブロック図である。
【図9】変調状態マシン内部の状態マシン論理ユニットの好適な実施の形態を示すブロック図である。
【図10】本発明のシーケンサの好適な例を示すタイミング図である。
【図11】本発明の第1の利得制御増幅器を示すブロック図である。
【図12】本発明の局部刻時ユニットの好適な実施の形態を示すブロック図である。
【図13】本発明のコヒーレント受信ユニットを示すブロック図である。
【図14】本発明のゲートシーケンス発生器の好適な実施の形態を示すブロック図である。
【図15】ゲートシーケンス発生器で生成する信号の好適な例を示すタイミング図である。
【図16】第1のADCUの好適な実施の形態を示すブロック図である。
【図17】本発明のメッセージ組立ユニットの好適な実施の形態を示すブロック図である。
【図18】本発明のタイミング同期ユニットの好適な実施の形態を示すブロック図である。
【図19】本発明の信号マップメモリの好適な実施の形態を示すブロック図である。
【図20】本発明の同期システムリセットユニットの好適な実施の形態を示すブロック図である。
【図21】本発明のシステム割込状態マシンの好適な実施の形態を示すブロック図である。
【図22】本発明のシステムイベント状態マシンの好適な実施の形態を示すブロック図である。
【図23】本発明の同期データチャンネル状態マシンとデータ組立メモリの好適な実施の形態を示すブロック図である。
【図24】本発明の好適なシステム基準信号プロトコルを示す波形図である。
【図25】好適なシステム基準信号変調プロトコルを示す波形図である。
【図26】好適なシステム基準信号復調プロトコルを示す波形図である。
【図27】本発明の好適なマスタ刻時ユニットの動作を示す流れ図である。
【図28】本発明の好適な局部刻時ユニットの動作を示す流れ図である。
【符号の説明】
10 システム
12 マスタユニット
22 局部ユニット
32 変調器
62 アームストロング型RF発振器
70 発振器
72 発振器
73 発振器
210 混合器
220 周波数分周器
230 位相周波数検出器
250 メッセージ組立ユニット
Q1 第1のトランジスタ
Q2 第2のトランジスタ
T1 トランス
Claims (5)
- 出力を有し、直角位相の関係にある2つの正弦波システム基準信号を作成するためと前記直角位相の関係にある2つの正弦波システム基準信号内の第1の正弦波システム基準信号の振幅を変調するためのマスタユニットと、
入力を有し、前記直角位相の関係にある2つの正弦波システム基準信号内の正弦波システム基準信号を用いた周波数の増加変換により第1の局部タイミング信号を提供するためと、前記第1の正弦波システム基準信号を復調するための第1の局部ユニットと、
を含み、
前記マスタユニットの前記出力に前記第1の局部ユニットの前記入力が接続してあることを特徴とする、正弦波システム基準信号を使用した局部タイミング信号の生成によるタイミング信号分配とメッセージ配送の組み合せのためのシステム。 - マスタユニット内で直角位相の関係にある2つの正弦波システム基準信号を生成する段階と、
第1の制御信号に従って第1の正弦波システム基準信号の振幅を変調する段階と、
局部ユニットで前記変調した第1の正弦波システム基準信号を受信する段階と、
前記直角位相の関係にある2つの正弦波システム基準信号内の正弦波システム基準信号を用いた周波数の増加変換により局部タイミング信号を生成する段階と、
前記第1の正弦波システム基準信号を復調してメッセージ信号を作成する段階と、
を有することを特徴とする、正弦波システム基準信号を使用した局部タイミング信号の生成によるタイミング信号分配とメッセージ配送の組み合せのための方法。 - マスタユニット内部で直角位相の関係にある2つの正弦波システム基準信号を生成し、前記直角位相の関係にある2つの正弦波システム基準信号内の各々の正弦波システム基準信号がこの直角位相の関係にある2つの正弦波システム基準信号内の他の正弦波システム基準信号に対して直角位相の関係を維持する段階と、
前記直角位相の関係にある2つの正弦波システム基準信号内の第1の正弦波システム基準信号を、前記直角位相の関係にある2つの正弦波システム基準信号と同期して生成される第1の情報信号に従って、変調する段階と、
前記マスタユニットから供給された前記直角位相の関係にある2つの正弦波システム基準信号の内の1つの正弦波システム基準信号と同期して局部ユニット内で第1の局部基準信号を生成し、当該第1の局部基準信号に対する周波数の増加変換により、局部タイミング信号を生成する段階と、
前記マスタユニットから供給された前記直角位相の関係にある2つの正弦波システム基準信号と同期して、前記局部ユニット内で前記第1の正弦波システム基準信号を復調する段階と、
を有することを特徴とする、正弦波システム基準信号を使用した局部タイミング信号の生成によるタイミング信号分配とメッセージ配送の組み合せのための方法。 - 直角位相の関係にある2つの正弦波システム基準信号をマスタユニット内で生成するための手段と、
前記直角位相の関係にある2つの正弦波システム基準信号内の第1の正弦波システム基準信号の振幅を変調するための手段と、
前記直角位相の関係にある2つの正弦波システム基準信号内の正弦波システム基準信号を用いた周波数の増加変換により局部ユニット内で局部タイミング信号を生成するための手段と、
前記第1の正弦波システム基準信号を復調するための手段と、
を備えることを特徴とする、正弦波システム基準信号を使用した局部タイミング信号の生成によるタイミング信号分配とメッセージ配送の組み合せのための装置。 - マスタユニット内で直角位相の関係にある2つの正弦波システム基準信号を生成し、この直角位相の関係にある2つの正弦波システム基準信号内の各々の正弦波システム基準信号が他の正弦波システム基準信号各々に対して直角位相の関係を維持するための手段と、
前記直角位相の関係にある2つの正弦波システム基準信号と同期して生成される第1の情報信号に従って、この直角位相の関係にある2つの正弦波システム基準信号内の第1の正弦波システム基準信号を変調するための手段と、
前記マスタユニットから供給された前記直角位相の関係にある2つの正弦波システム基準信号の内の1つの正弦波システム基準信号と同期して局部ユニット内で第1の局部基準信号を生成し、当該第1の局部基準信号に対する周波数の増加変換により、局部タイミング信号を生成するための手段と、
前記マスタユニットから供給された前記直角位相の関係にある2つの正弦波システム基準信号と同期して、前記局部ユニット内で前記第1の正弦波システム基準信号を復調するための手段と、
を備えることを特徴とする、正弦波システム基準信号を使用した局部タイミング信号の生成によるタイミング信号分配とメッセージ配送の組み合せのための装置。
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