JP4312525B2 - 遊技機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は遊技機に係り、特には音声による遊技演出を行うとき等に使用されるスピーカの設置場所や構造などに特徴を有する遊技機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、遊技機の一種であるパチンコ機においては、遊技者の興趣向上を目的として多種多様な遊技演出がなされてきた。その中でも、遊技盤の略中央部に図柄表示装置を設置し、その図柄表示装置に複数種類の図柄を変動または停止表示して図柄組み合わせゲームを行うものが現在の主流となりつつある。図柄組み合わせゲームを表示して視覚的な遊技演出を行う場合には、所定の効果音等を発することにより聴覚的な遊技演出も併せて行われる。それゆえ、殆どのパチンコ機には音声発生手段であるスピーカが設けられている。
【0003】
ところで、近年のパチンコ機では、音声を用いた聴覚的な遊技演出の内容が高度化、多様化及び複雑化する傾向にあり、それに付随してスピーカの発する音声についても高音質化等が求められるようになってきている。それゆえ、例えば、パチンコ機の後方にスピーカボックスを設置し、そのスピーカボックスにスピーカを取り付けることにより、スピーカの音質向上を図らんとしたものが従来提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のスピーカユニットにおけるスピーカボックス(エンクロージャ)は密閉された空洞状である。そのため、特許文献1に記載のものは密閉型スピーカユニットと称されている。この種のユニットの場合、スピーカの背面から発生される負の音声が前側に回りこみにくくなる。その結果、スピーカの前面から発生される正の音声と負の音声との干渉が防止され、このことが音質の向上に寄与すると考えられている。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−296212号公報(図3等参照)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に記載の密閉型スピーカユニットにあっては、背面側の空気が密閉されていることから、空気のスティフネス分の影響により振動板であるコーンの動きが抑えられる結果、低音の再生帯域が制限されるという欠点があった。ゆえに、低音がこもりやすく、高音質化を十分に達成することができなかった。
【0006】
また、特許文献1に記載のスピーカユニットの場合、パチンコ機前面に設けた開口部とスピーカボックスとを連通させるために、ダクト等のような余分な管状部材が必要となる。よって、スピーカユニットの部品点数が多くなり、構造も複雑になりやすいという欠点があった。しかも、最近のパチンコ機の機裏側には、多様かつ複雑な遊技演出を行うために各種の制御基板類が既に設置されていて、それらが多くのスペースを占有している。従って、機裏側にて大きなスピーカボックスやダクトを設置するためのスペースを確保することは極めて困難な状況にある。
【0007】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、比較的簡単な構造であって、かつ低音にこもりがなく音質に優れたスピーカを備えた遊技機を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明では、かさ状をした金属製のフレームと、前記フレームの前側開口に配置され前記フレームにより保護されている音声発生部としての振動板と、前記振動板を振動させる磁石を覆うべく前記フレームの背面中央部に取り付けられた金属製の防磁部とを有する横長円形開口形状のスピーカを備えた遊技機において、ユニット上壁、ユニット下壁、一対のユニット側壁及びユニット前壁とからなり遊技機外枠の下部を構成する腰板ユニットにおける前記ユニット前壁をスピーカ設置部とし、そのユニット前壁に開口部を形成し、その開口部に前記音声発生部を臨ませるようにして前記スピーカを設置するとともに前記フレーム前端の四隅を前記ユニット前壁に対してねじ止め固定し、さらに、前記スピーカの後側空間に音遮蔽体または音反射体となりうる他部材を配置しないことにより、前記スピーカの後側空間を開放し、前記フレームは、背面視で前記保護カバーの左右横方向へ遊技球の直径よりも大きく張り出した横方向張出部を有し、前記フレームにおける前記横方向張出部にフレーム内外を連通させる透孔を貫通形成し、かつ前記透孔の開口幅を遊技球の直径よりも小さくなるように設定し、弾性を有するとともに前記スピーカよりも小さいカップ状であってかつ前記防磁部の頭頂部表面の中央部に付された表示に対応した箇所に窓部を有する保護カバーを前記防磁部に対して嵌着することによって、前記フレームの前記透孔を覆わず露出させた状態でかつ前記表示を前記窓部を介して視認可能とした状態で前記防磁部を覆うようにするとともに、前記防磁カバーの開口部にて前記防磁カバーの径方向に突出する保護部を設け、その保護部によって、入力用コネクタをプリント基板上に搭載した構造であって前記フレームの背面側に配設された外部接続用構造部の一部を、前記コネクタを露出させた状態で覆うようにし、前記ユニット前壁の開口部には、複数の外枠側透孔を有する振動体保護部材が前記ユニット前壁の背面側から嵌着され、前記腰板ユニットの前面側には、前記ユニット前壁の前面側を全体的に覆うカバー部材としての腰板カバーが、前記振動体保護部材と間隔をもって装着され、前記腰板カバーには、前記外枠側透孔よりも小さくて当該腰板カバーの内外を連通させる複数のカバー部材側透孔が形成されていることを特徴とする遊技機をその要旨とする。
【0009】
従って、請求項1に記載の発明によると、スピーカの後側空間を開放したことにより、当該空間にある空気が密閉されなくなる。このため、密閉型スピーカユニットとは異なり、空気のスティフネス分の影響により振動板の動きが抑えられるようなことがない。よって、低音の再生帯域が制限されず、低音がこもりにくくなる。また、スピーカ設置部である枠部材に形成された開口部に音声発生部を臨ませるようにしてスピーカを設置したので、正の音声を発生するスピーカ前側と、負の音声を発生するスピーカ後側とを枠部材等によって遮断することができる。このため、バッフル効果を得ることが可能となり、スピーカ後側から発生される負の音声がスピーカ前側に回り込んで正の音声と干渉する、といったことも防止され、高音質化を図ることができる。しかも、スピーカボックスやダクト等を必要としないため、比較的簡単な構造とすることができる。
【0010】
上記のように、スピーカの後側空間を開放するためには、スピーカの後側空間に、音遮蔽体となりうる他部材も、音反射体となりうる他部材も配置しないことが好ましい。その理由は、上記の他部材が存在していると、スピーカが発した音が遮蔽または反射されることにより、低音の再生帯域が制限され、低音がこもりやすくなるからである。一般的な遊技機においては、例えば、制御基板や制御基板を収容している基板ケース等は、一般的に遊技機のスピーカよりも大きな部品であるため、音遮蔽体や音反射体となりうる。従って、このような部品についてはスピーカの後側空間に配置しないほうが好ましい。ただし、制御基板や基板ケース等に比べて明らかに小さい部品(ビスや金具等)については、音を遮蔽したり反射したりする作用は殆どないと考えられるので、ここで言う「音遮蔽体または音反射体となりうる他部材」には該当しないものとする。
【0011】
ここで、スピーカ設置部となりうる「遊技機の枠部材」としては、例えば、外枠や中枠(前枠)等を指し、より具体的には、外枠や中枠(前枠)等において遊技者側と遊技機側とを仕切る(即ち遊技機の内外を仕切る)壁状または板状の部分等を指す。この場合、制御基板や基板ケースが近くに存在していると音質が低下しやすくなることから、それらの部材が近くに存在しないような位置を、スピーカ設置部として選ぶことが好適である。
【0012】
請求項1において、前記スピーカ設置部は、遊技機の枠部材において球受け皿設置部よりも下方の位置であることが好ましく、特には外枠における腰板(幕板)の位置であることがより好ましい。
【0013】
遊技機の枠部材において球受け皿設置部よりも上方の位置には、遊技盤が位置しており、その遊技盤の近傍には制御基板などの部品が数多く密集した状態で設置されている。一方、球受け皿設置部の下方位置は、遊技盤から相当離間しており、その近傍にはそれほど多くの部品が配置されていない。よって、上記のように当該位置をスピーカ設置部とすれば、スピーカの前側と背側とを確実に遮断することができ、十分なバッフル効果を得ることができる。このため、確実に音質を向上させることができる。また、当該位置にはスペース的な余裕があるため、例えば大型のスピーカを設置することができる。このことも音質の向上を図るうえで確実にプラスに作用する。また、遊技機を遊技島に設置した状態において球受け皿設置部の下方位置は、遊技機の内外を仕切る壁となりうる。よって、このことも音質の向上を図るうえで確実にプラスに作用する。
【0014】
請求項1に記載の発明において、前記スピーカの防磁部は、弾性を有する保護カバーによって覆われている。
【0015】
上記のごとくスピーカの後側空間を開放した構成の場合、遊技球がスピーカにぶつかって衝撃を与え、スピーカをショートさせたり傷付けたりする可能性がある。特に、スピーカ設置部が球受け皿設置部よりも下方の位置にある場合、スピーカ設置部が球受け皿設置部よりも上方の位置にある場合に比べて、遊技球がぶつかる確率は高くなる。また、枠部材を遊技島に取り付ける際には釘打ちを行うが、そのときに金槌がスピーカの背面側を誤って叩くことがあり、やはりスピーカをショートさせたり傷付けたりする可能性がある。
【0016】
そこで請求項1に記載の発明のように、弾性を有する保護カバーによってスピーカの防磁部を覆っておけば、硬質の材料からなる遊技球や金槌がスピーカの防磁部を直撃したとしても、その際の衝撃が緩和される。そのため、スピーカの傷付きを防止することができる。また、弾性に加えて絶縁性を有する保護カバーによってスピーカの防磁部を覆っておけば、鉄などの導電性材料からなる遊技球や金槌がスピーカの防磁部に接触したとしても、その際に遊技球や金槌を介して電気が流れてしまうこともない。そのため、スピーカのショートを防止することができる。なお、「弾性を有する保護カバー」としてはゴム製の保護カバーが最適である。ゴムは好適な弾性及び絶縁性を有するからである。「スピーカの防磁部」とは、振動板を振動させる磁石等の変換器を覆う金属製のカバー部材のことを指す。
【0017】
上記発明において、前記保護カバーは、前記防磁部に配置された外部接続用構造部も覆うように構成されている。
【0018】
従って、上記発明によると、外部接続用構造部はとりわけ衝撃に弱いことから、防磁部とともにこの部分も覆って保護することにより、スピーカのショートや傷付きを効果的に防止することができる。なお、外部接続用構造部とは、スピーカ制御手段からの制御信号や電源をスピーカに入力するためのコネクタ等をいう。
【0019】
上記発明において、前記保護カバーは、前記防磁部の表面に付された表示を視認可能とする窓部を備えている。
【0020】
従って、上記発明によると、保護カバーを取り付けたままの状態であっても、窓部を介して表示を確認することができる。よって、確認のためにいちいち保護カバーを着脱する必要がないほか、保護カバーの外表面にあらたに表示を付す必要もない。なお「表示」とは、識別表示、能力表示等の表示を指す。通常、かかる表示は防磁部の表面に施されている。
【0021】
上記発明において、前記スピーカは振動板とその振動板を保護するフレームとを備え、前記フレームにフレーム内外を連通させる透孔を貫通形成し、かつ前記透孔の開口幅を遊技球の直径よりも小さくなるように設定されている。
【0022】
従って、上記発明によると、フレーム内外を連通させる透孔がフレームに貫通形成されているので、振動板の振動をフレーム外の大気に効率よく伝達することができる。よって、低音にこもりのない高い音質を得ることができる。また、かかる透孔0が存在していたとしても、透孔の開口幅は遊技球の直径よりも小さいので、遊技球が透孔を介してフレーム内に侵入することはない。よって、遊技球の侵入による振動板の破損、音質の低下、その他のトラブルを未然に防止することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化したパチンコ機10及びパチンコ機システムS1の一実施形態を図1〜図7に基づき説明する。図1は実施形態のパチンコ機10の機表側を示す正面図、図2は機裏側を示す背面図である。図3はパチンコ機10におけるスピーカ設置部を示す部分斜視図である。図4はパチンコ機10にて使用されるスピーカ51の背面図、図5はスピーカ51の側面図である。図6はスピーカ設置部の概略断面図である。図7はパチンコ機10を遊技島1に複数台設置してなるパチンコ機システムS1を示す概略正面図である。
【0026】
まず、図1等に基づいてパチンコ機10の機表側の構成について述べる。図1、図3等に示されるように、このパチンコ機10は機体の外郭をなす縦長方形状の外枠11(枠部材)を備えている。この外枠11は、外枠11における上辺、右辺及び左辺を構成する外枠本体11Aと、外枠11における下辺を構成する合成樹脂製の腰板ユニット11Bとによって構成されている。外枠11の開口前面側には、各種の遊技用構成部材をセットするための縦長方形状の中枠12(枠部材)が、開閉及び着脱自在に組み付けられている。また、中枠12の前面側には、機内部に配置された遊技盤13を透視保護するためのガラス枠を備えた前枠14(枠部材)と、上球皿15とが、ともに横開き状態で開閉可能に組み付けられている。中枠12の前面側において上球皿15の下方には、下球皿16及び発射装置17などが装着されている。また、遊技盤13のほぼ中央部には図柄表示装置18が配置されている。
【0027】
次に、パチンコ機10の機裏側の構成について述べる。図2に示されるように、中枠12の裏面側には、裏部品を組み付けるための機構セット盤23が配設されている。この機構セット盤23の裏面側における上部左側の箇所には、遊技球B1を貯溜するための球タンク24が設けられている。この球タンク24の下方には、そこから流れ出る遊技球B1を整列状態で流下させるためのタンクレール25が設けられている。斜め右下方向に延びる前記タンクレール25の下端(右端)には、球供給路26が設けられている。この球供給路26の下端部には、球払出装置27が接続されている。また、球タンク24の右側のスペースには、図示しないホールコンピュータとパチンコ機10とを接続するための枠用外部端子板28が配設されている。枠用外部端子板28は、賞球情報、球貸し情報及び球切れ情報をホールコンピュータに対して送信するようになっている。
【0028】
また、図2に示されるように、本実施形態のパチンコ機10は、機構セット盤23の裏面側に、各種の制御基板(主制御基板31A、音声制御基板31B、ランプ制御基板31C、図柄制御基板31D、払出制御基板31E、発射制御基板31Fなど)を収容した基板ケース31を複数備えている。例えば、機構セット盤23の中央部上寄りの位置(具体的には遊技盤13に取り付けられた図柄表示装置18のほぼ裏側の位置)には、図柄制御基板31Dを内部に収容する基板ケース31が配置されている。また、図柄制御基板31Dを収容する基板ケース31の左下側位置には、ランプ制御基板31Cを内部に収容する基板ケース31が配置されている。図2に示されるように、これら基板ケース31は、10cm角以上の外形寸法を有する比較的大きな部品であるとともに、いずれも腰板ユニット11Bの上方に配置されている。
【0029】
図2、図3等に示されるように、外枠11の下部を構成する本実施形態の腰板ユニット11Bは、球受け皿設置部よりも下方の位置にあり、ユニット上壁41、ユニット下壁42、一対のユニット側壁43,44及びユニット前壁45とからなる。スピーカ設置部であるユニット前壁45は、遊技者側とパチンコ機10側とを仕切る(即ちパチンコ機10の内外を仕切る)平壁状の部分である。
【0030】
図3に示されるように、ユニット下壁42における2箇所には、遊技島1に対して外枠11を取り付ける際に釘を打ち付けるためのスリット46が形成されている。また、ユニット下壁42の上面及びユニット前壁45の背面には、腰板ユニット11Bを補強するための略L字状の補強リブ47が一体形成されている。機裏側から見て向かって左側に位置するユニット側壁43の内面、及び、機裏側から見て向かって右側に位置するユニット側壁44の内面には、それぞれ腰板ユニット11Bを補強するための略コ字状の補強金具48が取り付けられている。
【0031】
図1、図3、図6に示されるように、腰板ユニット11Bの前面側には、ユニット前壁45の前面側を全体的に覆うカバー部材である合成樹脂製の腰板カバー81が装着されている。腰板カバー81の前面には装飾が施されている。具体的には、腰板カバー81の前壁82における左右両側部には、略楕円形状の模様が装飾として施されている。そして、このような略楕円形状の模様がある箇所には、腰板カバー81の内外を連通させる多数のカバー部材側透孔83が形成されている。
【0032】
また、図6に示されるように、ユニット前壁45には、ユニット前壁45の前面及び背面を連通させる長円形状の開口部52が左右一対で形成されている。各々の開口部52に対しては、複数の外枠側透孔54を有する振動体保護部材53が、ユニット前壁45の背面側から嵌着して固定されている。そして、ユニット前壁45の背面側において前記一対の開口部52に対応する位置には、遊技の状態に応じて各種音声(効果音など)を出力するスピーカ51がそれぞれ配設されている。前記スピーカ51は横長円形の開口形状を有しており(図5等参照)、その前側には振動板(音声発生部)としてのコーン紙55が設けられている。これらのスピーカ51は、コーン紙55がある音声発生部を開口部52に臨ませるようにして設置されるとともに、四隅がユニット前壁45に対してねじ止め固定されている。よって、これらスピーカ51の前側と後側とは、ユニット前壁45によって遮断された状態となっている(図6参照)。また、図2,図3,図6に示されるように、スピーカ51の後側空間56には、音遮蔽体または音反射体となりうる他部材(例えば基板ケース31等)が全く配置されていない。このため、スピーカ51の後側空間56は完全に開放した状態となっている。
【0033】
ここで図4、図5に基づきスピーカ51の構成について述べる。本実施形態のスピーカ51はかさ状をした金属製のフレーム61を備えている。コーン紙55は、そのフレーム61の開口部に配置されるとともに、フレーム61によって保護されている。フレーム61の背面中央部には金属製の防磁カバー62(防磁部)が取り付けられている。その防磁カバー62の内側には、電気信号を振動に変換してコーン紙55を振動させるための電磁コイル(図示略)が収容されている。防磁カバー62の頭頂部表面の略中央部には、識別表示、能力表示等の表示63が付されている(図4参照)。本実施形態では、表示63が防磁カバー62の外表面に対してインクを用いて直接印字されている。表示63は防磁カバー62の外表面に対して刻印されていてもよい。また、表示63を付したシールが防磁カバー62の外表面に対して貼付けられていてもよい。
【0034】
図4、図5に示されるように、フレーム61の背面側において防磁カバー62の近傍には、外部接続用構造部64が配設されている。この外部接続用構造部64は、スピーカ制御手段である音声制御基板からの制御信号や電源をスピーカ51(具体的には前記電磁コイル)に入力するためのコネクタ65をプリント基板66上に搭載した構造となっている。そして、防磁カバー62には弾性及び絶縁性を有する保護カバー71が嵌着され、これにより防磁カバー62が全体的に覆われている。本実施形態の保護カバー71は、弾性体の一種であるゴム(例えばNBRなど)を材料として略カップ状に形成されている。保護カバー71の開口部近傍の位置には外部接続用構造部64を覆うための保護部73が突設されており、この保護部73によってプリント基板66の一部が覆われている。保護カバー71の上面中央部において防磁カバー62の表示63に対応した箇所には、円形状の窓部72が貫通形成されている。このため、保護カバー71の装着時であっても、窓部72を介して表示63が視認できるようになっている(図4等参照)。
【0035】
フレーム61にはフレーム61内外を連通させる複数の透孔67が貫通形成されている。複数の透孔67のうち、防磁カバー62を挟んで外部接続用構造部64の反対側に位置するもの3つは、いずれも細長い形状を呈している。これら3つの透孔67の開口幅Wの寸法は、遊技球B1の通過を許容しないように、遊技球B1の直径よりも小さくなるように(本実施形態では8mm〜10mm程度に)設定されている(図4参照)。
【0036】
図7に示されるように、上記のようなパチンコ機10は、遊技島1の側壁2に複数台横並びにして取り付けられる。そして、このようにすることにより、いわば複数台のパチンコ機10及び遊技島1の側壁2自体が、非常に広大な面積を有するバッフル(いわゆる無限大バッフル)として機能しうるパチンコ機システムS1が構成されている。
【0037】
従って、本実施形態によれば以下のような効果を得ることができる。
【0038】
(1)本実施形態においてスピーカ51の後側空間56には、制御基板や基板ケース31等のような部材、つまり音遮蔽体・音反射体となりうる他部材は、全く配置されていない。その結果、スピーカ51の後側空間56が開放された状態となり、当該後側空間56にある空気が密閉されなくなる。このため、密閉型スピーカユニットとは異なり、空気のスティフネス分の影響によりコーン紙55の動きが抑えられるようなことがない。よって、低音の再生帯域が制限されず、低音がこもりにくくなる結果、高音質化を図ることができる。
【0039】
また、本実施形態では、スピーカ設置部であるユニット前壁45に形成された開口部52に音声発生部を臨ませるようにしてスピーカ51を設置している。ゆえに、正の音声を発生するスピーカ前側と、負の音声を発生するスピーカ後側とを、ユニット前壁45等によって遮断することができる。このため、バッフル効果を得ることが可能となり、スピーカ後側から発生される負の音声がスピーカ前側に回り込んで正の音声と干渉する、といったことも防止され、高音質化を図ることができる。従って、本実施形態のパチンコ機10によれば、高度、多様かつ複雑な聴覚的遊技演出を実現することができ、かかる聴覚的遊技演出を通じて遊技者の興趣を確実に向上させることができる。
【0040】
しかも、スピーカボックスやダクト等を必要としないため、比較的簡単な構造とすることができ、ひいては装置全体の低コスト化にも貢献する。
【0041】
(2)本実施形態では、パチンコ機10を遊技島1の側壁2に複数台横並びにして取り付けた構造のパチンコ機システムS1が構成されている。このため、同じ遊技島1に属する複数台のパチンコ機10及び当該遊技島1の側壁2自体が、非常に広大な面積を有するバッフル(いわゆる無限大バッフル)として機能しうる。従って、スピーカ51の後側から発生される負の音声が前側に回りこみ、スピーカ51の前側から発生される正の音声と干渉する、といったことが確実に防止される。ゆえに、低音にこもりのない非常に高品質な音声を得ることができる。特に本実施形態では、外枠11において球受け皿設置部よりも下方の位置(即ち腰板ユニット11Bの位置)をスピーカ設置部としているので、例えば外枠11における上部位置をスピーカ設置部としたような場合に比べて、スピーカ51の前側と背側とを遮断する効果が高い。また、当該位置にはスペース的な余裕があるため、比較的大型のスピーカ51を設置することができる。例えば、小型のスピーカの場合には大音量を得るために出力を上げると音が歪んでしまうが、大型のスピーカ51であれば、歪みを生じることなく大音量・高音質の音を得ることが可能である。
【0042】
(3)スピーカ51の金属製防磁カバー62の全体及び外部接続用構造部64の一部は、弾性を有するゴム製の保護カバー71によって覆われているため、遊技球B1や金槌による直撃を受けたとしても、その際の衝撃が緩和される。このため、スピーカ51の傷付きを未然に防止することができる。勿論、保護カバー71はゴム製であるため、遊技球B1や金槌の直撃を受けたとしても、弾性変形する程度にとどまり特に破損が生じるようなことはない。しかも、ゴム製の保護カバー71は弾性に加えて絶縁性を有している、よって、保護カバー71によってスピーカ51の防磁カバー62を覆っておけば、鉄などの導電性材料からなる遊技球B1や金槌がスピーカ51の防磁カバー62に接触したとしても、その際に遊技球B1や金槌を介して電気が流れてしまうこともない。そのため、スピーカ51のショートを防止することもできる。なお、ゴム製の保護カバー71には、安価であるというメリットや、防磁カバー62に対する装着作業が容易であるというメリットがある。
【0043】
(4)本実施形態の保護カバー71は窓部72を有している。それゆえ、保護カバー71を取り付けたままの状態であっても、その窓部72を介して表示63を確認することができる。よって、スピーカ51の品番や能力等を確認するために、いちいち保護カバー71を着脱する必要がないほか、保護カバー71の外表面にあらたに表示63を付す必要もない。従って、このような構成の保護カバー71であれば、保護カバー71の着脱等に伴う作業性の低下といった不具合も特に生じない。
【0044】
(5)本実施形態のスピーカ51では、フレーム61内外を連通させる透孔67がフレーム61に貫通形成されているので、コーン紙55の振動をフレーム61外の大気に効率よく伝達することができる。よって、低音にこもりのない高品質な音声を得ることができる。また、かかる透孔67が存在していたとしても、透孔67の開口幅Wは遊技球B1の直径よりも小さいので、遊技球B1が透孔67を介してフレーム61内に侵入することはない。よって、遊技球B1の侵入によるコーン紙55の破損、音質の低下、その他のトラブルを未然に防止することができる。
【0045】
なお、本発明の実施形態は以下のように変更してもよい。
【0046】
・上記実施形態では、外枠11において球受け皿設置部よりも下方の位置をスピーカ設置部としたが、これに限定されることはなく例えば球受け皿設置部よりも上方の位置をスピーカ設置部とすることも可能である。具体的には、前枠14の上側部分における背面側などにスペース的な余裕があれば、そこをスピーカ設置部としてもよい。あるいは、外枠11や前枠14以外の枠部材である中枠12をスピーカ設置部としてもよい。
【0047】
・上記実施形態の保護カバー71は、金属製防磁カバー62の全体及び外部接続用構造部64の一部を覆うものであったが、金属製防磁カバー62の全体及び外部接続用構造部64の全体を覆うものとしてもよい。また、保護カバー71は必ずしも金属製防磁カバー62に対して嵌着していなくてもよく、金属製防磁カバー62の外側を覆うような状態で配置されていれば足りる。
【0048】
・上記実施形態ではゴム製の保護カバー71を用いていたが、これに代えて例えば樹脂製の保護カバー71を用いるようにしてもよい。
【0049】
・上記実施形態では保護カバー71に窓部72を設けていたが、例えば透明な材料を用いて保護カバー71を形成すれば、窓部72を特に設けなくても表示63を視認可能とすることができる。勿論、窓部72は必須構成ではないため、これを省略することも可能である。
【0050】
・スピーカ51のフレーム61に貫通形成される透孔67は、上記実施形態にて示した形状のみに限定されることはなく、遊技球B1の通過を許容しないものであれば任意の形状とすることができる。また、フレーム61全体をメッシュ状に形成してもよい。
【0051】
・上記実施形態では、振動板としてコーン紙55を備えるスピーカ51(即ちコーン形スピーカ)を用いていたが、これに代えて紙以外の材料(例えば高分子、金属、布、セラミックなど)からなるコーンを備えたスピーカを用いてもよい。また、コーンの数や形状も任意に変更することが可能である。さらに、コーン形スピーカに代えて、例えば、ホーン形スピーカ、ドーム形スピーカ、平面形・平板形スピーカ、静電形スピーカ、圧電形スピーカなどを使用することも許容される。
【0052】
次に、特許請求の範囲に記載された技術的思想のほかに、前述した実施形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
【0053】
(1)前側に音声発生部を有するスピーカを備えた遊技機において、遊技機の枠部材において球受け皿設置部よりも下方の位置をスピーカ設置部とし、そのスピーカ設置部に開口部を形成し、その開口部に前記音声発生部を臨ませるようにして前記スピーカを設置し、前記スピーカの後側空間を開放したことを特徴とする遊技機。
【0054】
(2)ユニット上壁、ユニット下壁、一対のユニット側壁及びユニット前壁とからなり遊技機外枠の下部を構成する腰板ユニットの内部に、前側に音声発生部を有する遊技機用スピーカを取り付けたものにおいて、前記ユニット前壁の背面側をスピーカ設置部とし、そのスピーカ設置部に開口部を形成し、その開口部に前記音声発生部を臨ませるようにして前記スピーカを設置し、前記スピーカの後側空間を開放したことを特徴とする遊技機用スピーカ付き腰板ユニット。
【0055】
(3)ユニット上壁、ユニット下壁、一対のユニット側壁及びユニット前壁とからなり遊技機外枠の下部を構成する腰板ユニットの内部に、前側に音声発生部を有する略長円形開口形状の遊技機用スピーカを取り付けたものにおいて、前記ユニット前壁の背面側をスピーカ設置部とし、そのスピーカ設置部における左右両側部に開口部をそれぞれ形成し、それらの開口部に前記音声発生部を臨ませるようにして前記スピーカをそれぞれ設置し、前記スピーカの後側空間を開放したことを特徴とする遊技機用スピーカ付き腰板ユニット。
【0056】
(4)バッフルの部分が、同じ遊技島に属する他の遊技機及び当該遊技島の側壁であることを特徴とする遊技機用スピーカシステム。
【0057】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1〜6に記載の発明によれば、比較的簡単な構造であって、かつ低音にこもりがなく音質に優れたスピーカを備えた遊技機を提供することができる。請求項7に記載の発明によれば、比較的簡単な構造であって、かつ低音にこもりがなく音質に優れたスピーカを備えた遊技機システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を具体化した実施形態のパチンコ機の機表側を示す正面図。
【図2】実施形態のパチンコ機の機裏側を示す背面図。
【図3】実施形態のパチンコ機におけるスピーカ設置部を示す部分斜視図。
【図4】実施形態のパチンコ機にて使用されるスピーカの背面図。
【図5】実施形態のパチンコ機にて使用されるスピーカの側面図。
【図6】実施形態のパチンコ機におけるスピーカ設置部の概略断面図。
【図7】実施形態のパチンコ機を遊技島に複数台設置してなる遊技機システムを示す概略正面図。
【符号の説明】
1…遊技島
10…遊技機としてのパチンコ機
11…枠部材としての外枠
45…スピーカ設置部としてのユニット前壁
51…スピーカ
52…開口部
55…振動板としてのコーン紙
56…スピーカの後側空間
61…フレーム
62…防磁部としての防磁カバー
63…表示
64…外部接続用構造部
67…透孔
71…保護カバー
72…窓部
B1…遊技球
W…開口幅
S1…遊技機システムとしてのパチンコ機システム

Claims (1)

  1. かさ状をした金属製のフレームと、前記フレームの前側開口に配置され前記フレームにより保護されている音声発生部としての振動板と、前記振動板を振動させる磁石を覆うべく前記フレームの背面中央部に取り付けられた金属製の防磁部とを有する横長円形開口形状のスピーカを備えた遊技機において、
    ユニット上壁、ユニット下壁、一対のユニット側壁及びユニット前壁とからなり遊技機外枠の下部を構成する腰板ユニットにおける前記ユニット前壁をスピーカ設置部とし、そのユニット前壁に開口部を形成し、
    その開口部に前記音声発生部を臨ませるようにして前記スピーカを設置するとともに前記フレーム前端の四隅を前記ユニット前壁に対してねじ止め固定し、さらに、前記スピーカの後側空間に音遮蔽体または音反射体となりうる他部材を配置しないことにより、前記スピーカの後側空間を開放し、
    前記フレームは、背面視で前記保護カバーの左右横方向へ遊技球の直径よりも大きく張り出した横方向張出部を有し、前記フレームにおける前記横方向張出部にフレーム内外を連通させる透孔を貫通形成し、かつ前記透孔の開口幅を遊技球の直径よりも小さくなるように設定し、
    弾性を有するとともに前記スピーカよりも小さいカップ状であってかつ前記防磁部の頭頂部表面の中央部に付された表示に対応した箇所に窓部を有する保護カバーを前記防磁部に対して嵌着することによって、前記フレームの前記透孔を覆わず露出させた状態でかつ前記表示を前記窓部を介して視認可能とした状態で前記防磁部を覆うようにするとともに、
    前記防磁カバーの開口部にて前記防磁カバーの径方向に突出する保護部を設け、その保護部によって、入力用コネクタをプリント基板上に搭載した構造であって前記フレームの背面側に配設された外部接続用構造部の一部を、前記コネクタを露出させた状態で覆うようにし、
    前記ユニット前壁の開口部には、複数の外枠側透孔を有する振動体保護部材が前記ユニット前壁の背面側から嵌着され、前記腰板ユニットの前面側には、前記ユニット前壁の前面側を全体的に覆うカバー部材としての腰板カバーが、前記振動体保護部材と間隔をもって装着され、前記腰板カバーには、前記外枠側透孔よりも小さくて当該腰板カバーの内外を連通させる複数のカバー部材側透孔が形成されている
    とを特徴とする遊技機。
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