JP4311985B2 - 粉末冶金用バインダー、粉末冶金用混合粉末およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉄粉、銅粉末などの粉末冶金用原料粉末に好適に配合しうる粉末冶金用バインダー、および、粉末冶金用混合粉末、並びに、粉末冶金用混合粉末の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
粉末冶金用混合粉末は、一般に、鉄粉をベースとする金属粉末に、黒鉛、ニッケル、銅、モリブデンなどの合金用粉末を混合した後、さらにバインダーで処理して得られる。バインダー処理を行うことによって、金属粉末と黒鉛などの合金粉末との比重の違いによる成分偏析を防止し、さらには、黒鉛などの飛散を抑制することができる。
【0003】
例えば、特許文献1には、酢酸ビニルホモポリマーやポリエステル樹脂などを溶剤に溶解した溶液タイプのバインダーを原料粉末に混合し、次いで溶剤を揮発除去するバインダー処理方法が開示され、特許文献2には、ステアリン酸亜鉛やワックスなどを原料粉末と溶融混合し冷却するバインダー処理方法などが開示されている。
【0004】
【特許文献1】
特許第1597077号公報
【特許文献2】
特公平6−89364号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
粉末冶金用バインダーには、上述した成分偏析や黒鉛飛散を防止することに加えて、流動性、圧粉密度などの粉末特性に優れる粉末冶金用混合粉末を与え、さらには、例えば、室温から200℃程度の温間成形の温度における耐熱性を有しながら、焼結の際には、容易に熱分解して、残渣を残さず良好な粉末冶金成形品を与えることなどが要求されている。
【0006】
粉末冶金用原料粉末にバインダー処理を行って、上述したバインダー機能を十分に発揮させるためには、まずバインダー成分と原料粉末とを均一に混合する必要がある。このような観点から、バインダーとしては、低粘度の溶液タイプのバインダーが一般的に使用されているが、最終的な粉末冶金製品の物性に与える影響を最小限とするため、溶液タイプのバインダーの溶剤は、製造工程において、混合粉末から揮発させて除去されている。溶剤の揮発除去の容易性やバインダー基材樹脂の溶解性という点から、バインダーの溶剤としては、トルエンやアセトン等の溶剤が使用されている。しかしながら、近年の環境問題へ対応するという観点からも、これらの溶剤の使用量を低減していくことが要望されている。
【0007】
また、溶剤を使用することなく、ワックスなどを原料粉末と溶融混合する方法では、150℃以上の高温に加熱する装置が必要となるため、製造装置が大型化し、さらに、製造コストも高くなるという問題がある。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、溶剤を使用することなく、黒鉛の飛散が抑制され、優れた粉末特性を付与する粉末冶金用バインダー、および、これを用いた粉末冶金用混合粉末、並びに、その製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決することのできた本発明とは、粉末冶金用原料粉末に配合して使用されるバインダーとして、特定の湿気硬化型の常温液状組成物を使用するところに要旨がある。粉末冶金用バインダーとして、常温液状の組成物を使用することによって、粉末冶金用原料粉末へ均一に分散させて、バインダー効果を高めることができる。特に、前記常温液状組成物の25℃における粘度を、5,000mPa・s以下とすれば、原料粉末への分散性を一層高めることができる。また、湿気硬化型の組成物を使用することによって、バインダーが硬化して良好なバインダー性能を発揮することができる。
【0010】
本発明の粉末冶金用バインダーは、イソシアネート基末端ポリ尿素プレポリマーを含有する湿気硬化型の常温液状組成物である。前記イソシアネート基末端ポリ尿素プレポリマーは、プレポリマー分子内に尿素結合を有し、該尿素結合は、特に温間成形における粉体特性の向上に寄与するものと考えられる。また、前記プレポリマーは、プレポリマー分子鎖の末端にイソシアネート基を有し、該イソシアネート基が湿気(例えば、大気中の水分)と反応して硬化する。イソシアネート基と湿気との反応によって、さらに尿素結合が生成されるので、得られる粉末冶金用混合粉末の粉体特性が一層向上する。前記イソシアネート基末端ポリ尿素プレポリマーとしては、ポリアミンとポリイソシアネートとを反応させて得られるイソシアネート基末端ポリ尿素プレポリマーを使用することが好ましい。
【0011】
本発明の粉末冶金用混合粉末は、粉末冶金用原料粉末と前記バインダーの硬化物とを含有することを特徴とする。前記バインダー硬化物の含有量は、原料粉末100質量部に対して、0.01〜0.5質量部であることが好ましい。
【0012】
本発明の粉末冶金用混合粉末の製造方法は、粉末冶金用原料粉末に前記バインダーを加えて混合し、前記バインダーを硬化させることを特徴とする。前記バインダーを5〜30分で硬化させることが好ましい。
【0013】
尚、本発明では、バインダーや潤滑剤などで処理されていない金属粉末と他の合金粉末との混合粉末を「粉末冶金用原料粉末(単に『原料粉末』という場合がある)」と称し、バインダーや潤滑剤などで処理した後の金属粉末と他の合金粉末との混合粉末を「粉末冶金用混合粉末(単に『混合粉末』という場合がある)」と称する。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の粉末冶金用バインダーは、粉末冶金用原料粉末に配合して使用されるバインダーであって、前記バインダーとして、イソシアネート基末端ポリ尿素プレポリマーを含有する湿気硬化型の常温液状組成物(以下、「イソシアネート系液状組成物」と称する場合がある)を使用することを特徴とする。前記常温液状組成物とは、例えば、3〜50℃、より好適には10〜30℃の温度範囲で液状の組成物であれば特に限定されない。前記常温液状組成物の25℃における粘度は、15,000mPa・s以下であることが好ましく、より好ましくは10,000mPa・s以下、さらに好ましくは5,000mPa・s以下である。25℃における粘度が15,000mPa・sを超えると、バインダーと原料粉末とを均一に混合することが難しくなる傾向がある。常温液状組成物の粘度は、例えば、B型粘度計を用いて、一定速度(回転数:20rpm)でサンプル中でロータを回転させた時に発生するトルクをトルクセンサーで測定し、粘度を求めることができる。
【0015】
まず、前記イソシアネート基末端ポリ尿素プレポリマーについて説明する。
【0016】
前記イソシアネート基末端ポリ尿素プレポリマーは、分子内に少なくとも2以上の尿素結合を有し、末端にイソシアネート基を有するものであれば特に限定されず、例えば、ポリアミンとポリイソシアネートとをポリイソシアネートのイソシアネート基がポリアミンのアミノ基に対してモル比で過剰になる条件で反応させることにより得られる。イソシアネート基とアミノ基との反応によって、プレポリマー分子内に尿素結合が生成され、得られるプレポリマーの末端には、過剰なイソシアネート基が残存する。
【0017】
前記ポリアミンとしては、アミノ基を複数有するものであれば、特に限定されず、低分子量のポリアミン、或いは、アミノ基を複数有するプレポリマーを挙げることができる。
【0018】
前記低分子量のポリアミンとしては、特に限定されず、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ペンタンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどのアルキルジアミン;ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミンなどのトリアミン;トリレンジアミン、メチレンジアニリン、キシリレンジアミンなどの芳香族アミン;イソホロンジアミン、ピペラジンなどの脂環式またはヘテロ環式アミン;エタノールアミン、ジエタノールアミンなどのアミノアルコール;ヒドラジン、ヒドラジン誘導体などが挙げられ、単独、或いは、2種類以上を混合して使用することができる。
【0019】
前記アミノ基を複数有するプレポリマーとしては、例えば、ポリオキシプロピレンやポリオキシエチレンの末端をアミン変性したポリオキシアルキレンポリアミン;ジアミンと、尿素またはホスゲンとを反応させて得られるアミノ基末端ポリ尿素プレポリマー;ジアミンとジカルボン酸又は酸クロライドとの反応により得られるアミノ基末端ポリアミドプレポリマー;ジアミンとカーボネートとの反応により得られるアミノ基末端ポリウレタンプレポリマー;ポリアミノアミドプレポリマーなどが挙げられ、好ましくは、ポリオキシアルキレンポリアミンを挙げることができる。前記ポリオキシアルキレンポリアミンとしては、例えば、平均分子量が1000〜6000、より好ましくは2000〜4000のものを好適に使用することができる。
【0020】
ポリアミンと反応させるポリイソシアネートとしては、特に限定されず、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,5−ナフチレンジイソシアネート(NDI)、3,3’−ビトリレン−4,4’−ジイソシアネート(TODI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、パラフェニレンジイソシアネート(PPDI)等の芳香族ジイソシアネート;4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水素添加MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)等の脂環式ジイソシアネート又は脂肪族ジイソシアネート;或いは、上記ポリイソシアネートのビュレット変性体、トリメチロールプロパン変性体、イソシアヌレート変性体等が挙げられ、単独、或いは、2種類以上を混合して使用してもよい。
【0021】
本発明で使用するイソシアネート基末端ポリ尿素プレポリマーは、例えば、上述したポリアミンとポリイソシアネートとを反応することにより得ることができるが、その反応温度は、ポリアミンとポリイソシアネートとの組合わせに応じて適宜設定すればよく、例えば10〜80℃で行えばよい。ただし、組合せによっては、激しく反応することがあるので、低温(0〜10℃)で反応を行うことも好ましい態様である。
【0022】
また、前記イソシアネート基末端ポリ尿素プレポリマーとして、尿素樹脂とポリイソシアネートとを、ポリイソシアネートのイソシアネート基が尿素樹脂の活性水素を有する官能基に対してモル比で過剰になる条件で反応させることにより得られるものを使用することも好ましい態様である。例えば、尿素とホルムアルデヒドとの反応によって得られる尿素樹脂は、複数の尿素結合と末端にアミノ基や水酸基などの活性水素を有する官能基を有している。かかる活性水素を有する官能基と過剰のポリイソシアネートとを反応させることにより、分子内に少なくとも2以上の尿素結合を有し、末端にイソシアネート基を有するイソシアネート基末端ポリ尿素プレポリマーが得られる。
【0023】
前記イソシアネート基末端ポリ尿素プレポリマーの尿素結合(−NHCONH−)の含有率は、特に限定されないが、プレポリマー全質量中の0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上であって、15質量%以下、より好ましくは10質量%以下であることが好ましい態様である。尿素結合の含有率が0.5質量%未満になると、得られる混合粉末の温間成形での流動性や抜き圧が低下する虞があり、尿素結合の含有率が15質量%を超えると、接着力が不足する傾向があるからである。
【0024】
前記イソシアネート基末端ポリ尿素プレポリマーは、プレポリマー分子内に尿素結合の他に、ビュレット結合、ウレタン結合、アロハネート結合などを有していてもよい。例えば、ポリオールとポリアミンとを併用してポリイソシアネートと反応させるようにすれば、尿素結合の他に、ウレタン結合やアロハネート結合を有するイソシアネート基末端ポリ尿素プレポリマーが得られる。ポリオールを併用する場合のポリオールの使用量は、特に限定されないが、ポリアミン100質量部に対して、0〜90質量部、より好ましくは、3〜70質量部使用することが好ましい。90質量部を超えると、得られる混合粉末の温間成形時の抜き圧や流動性が低下する虞があるからである。また、前記イソシアネート基末端ポリ尿素プレポリマー中のビュレット結合やアロハネート結合の含有率は、特に限定されないが、尿素結合の1官能基に対して0〜0.5官能基であることが好ましい。
【0025】
前記ポリオールとしては、ヒドロキシル基を複数有するものであれば特に限定されず、低分子量のポリオールや高分子量のポリオールなどを挙げることができる。低分子量のポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール等のジオール;グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオールなどのトリオールが挙げられる。
【0026】
高分子量のポリオールとしては、ポリオキシエチレングリコール(PEG)、ポリオキシプロピレングリコール(PPG)等のポリエーテルポリオール;ポリエチレンアジぺート(PEA)、ポリブチレンアジペート(PBA)、ポリヘキサメチレンアジペート(PHMA)などの縮合系ポリエステルポリオール;ポリ−ε−カプロラクトン(PCL)のようなラクトン系ポリエステルポリオール;ポリヘキサメチレンカーボネートなどのポリカーボネートポリオール;及びアクリルポリオールなどが挙げられる。
【0027】
尚、本発明において、プレポリマーとは、高分子量化する前の前駆体であって例えば、平均分子量が40,000以下、好ましくは20,000以下、さらに好ましくは10,000以下であって、平均分子量が400以上、好ましくは500以上、さらに好ましくは700以上の比較的低分子量のものであれば、特に限定されず、例えば、上記ポリイソシアネート、ポリアミン、ポリオールなどの構成単位の3量体〜30量体以下、より好ましくは3量体〜20量体以下、さらに好ましくは10量体以下程度のものを挙げることができる。平均分子量が40,000を超える場合には、プレポリマーの粘度が高くなって取扱いが難しくなる虞がある。平均分子量が400より小さくなると鉄粉と黒鉛の結合力が低下する傾向があるからである。
【0028】
前記イソシアネート基末端ポリ尿素プレポリマーを含有する湿気硬化型の液状組成物は、さらに、硬化促進用の触媒を含有していてもよい。硬化時間を調整することができるからである。前記触媒としては、例えば、トリエチルアミンなどの3級モノアミン類;N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’’,N’’−ペンタメチルジエチレントリアミン等の3級ポリアミン類;1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン(DBU)、トリエチレンジアミン等の3級環状ジアミン類;ジブチルチンジラウリレート、ジブチルチンジアセテートなどの錫系触媒などが挙げられ、好ましくは3級アミンである。3級アミンは、速硬化性と貯蔵安定性とに優れるからである。
【0029】
本発明の粉末冶金用バインダーは、上記常温液状組成物の他に必要に応じて、潤滑剤を含有していてもよい。前記潤滑剤としては、特に限定されるものではないが、金属石鹸、ステアリン酸リチウム、脂肪酸アミド、炭化水素系ワックス、架橋(メタ)アクリル酸アルキルエステル樹脂などを挙げることができる。
【0030】
本発明の粉末冶金用混合粉末は、粉末冶金用原料粉末と上述した本発明のバインダーの硬化物とを含有する。前記粉末冶金用原料粉末とは、例えば、鉄を主成分とする金属粉末、および、必要に応じて他の合金用粉末を含むものであれば、特に限定されない。鉄を主成分とする金属粉末には、例えば、アトマイズ鉄粉または還元鉄粉などの純鉄粉や、予め他の元素と合金化した部分合金化粉や完全合金化粉などが挙げられる。
【0031】
鉄を主成分とする金属粉末に混合する他の合金粉末も、所望の物性に応じて適宜選択することができ、例えば、銅、ニッケル、クロム、モリブデンなどの合金元素や、黒鉛や硫化マンガンなどの無機成分の粉末などが挙げられる。このような合金粉末は、鉄を主成分とする金属粉末100質量部に対して5質量部以下、より好ましくは3質量部以下使用することが好ましい。5質量部を超えると、成形体強度を低下させるなどの悪影響が生じる場合があるからである。一方、所望の物性を得るという観点から、他の合金粉末の添加量は、0.2質量部以上であることが好ましい。
【0032】
前記バインダーの硬化物は、上述したバインダーを硬化させることにより得られるものであれば特に限定されず、例えば、上述したバインダーと原料粉末とを混合して、硬化させることにより、鉄粉を主成分とする金属粉末や合金粉末(黒鉛)などの表面に存在し、両者を固着して成分の偏析や黒鉛の飛散などを抑制する。
【0033】
前記バインダー硬化物の含有量は、特に限定されるものではないが、粉末冶金用原料粉末100質量部に対して、0.01質量部以上、好ましくは0.03質量部以上、0.5質量部以下、より好ましくは0.2質量部以下であることが好ましい。0.01質量部未満では、十分なバインダー性能が得られないために合金成分の偏析が生じたり、黒鉛が飛散しやすくなるからである。また、0.5質量部超では、得られる混合粉末の粉末特性が低下するからである。尚、本発明の粉末冶金用混合粉末は、さらに、潤滑剤などを含んでいてもよい。前記潤滑剤としては、上述したのと同一のものを挙げることができる。
【0034】
本発明の粉末冶金用混合粉末の製造方法は、上述した原料粉末に本発明のバインダーを加えて混合し、前記バインダーを硬化させることを特徴とする。前記バインダーと原料粉末との混合は、例えば、ミキサー、ハイスピードミキサー、ナウターミキサー、V型混合機、ダブルコーンブレンダーなどの混合装置を用いて、原料粉末とバインダーとを撹拌することにより行うことが好ましい。
【0035】
湿気硬化型の常温液状組成物のバインダーの場合、原料粉末とバインダーとを加えて混合し、5〜30分間撹拌することによって、大気中の湿気によって、バインダーが硬化する。尚、湿気硬化型の常温液状組成物を使用する場合、大気中に存在する水分を利用して硬化させる態様であれば特に限定されないが、例えばさらに、水を少量積極的に添加して、バインダーを硬化させる態様であってもよい。
【0036】
また、バインダーの原料粉末への分散性を向上するために、加温して常温液状組成物の粘度を、5,000mPa・s以下、より好ましくは1,000mPa・s以下に調整しておくことも好ましい態様である。
【0037】
バインダーと原料粉末との混合温度は、特に限定されないが、例えば、10℃以上、より好ましくは30℃以上、さらに好ましくは40℃以上であって、80℃以下、より好ましくは60℃以下である。混合温度を10℃以上とすることによって、常温液状組成物を低粘度化して原料粉末への分散性を向上させるとともに、混合中に該常温液状組成物を硬化させることができる。また、上記混合温度の上限は、特に限定されるものではないが、加熱設備の簡便性から80℃以下としておくことが好ましい。特に、上記原料粉末とバインダーとを40℃以上に加熱しながら混合し、前記バインダーの硬化を促進することも好ましい態様である。
【0038】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって、具体的に説明するが、本発明は、下記実施例によって限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲の変更、実施の態様は、いずれも本発明の範囲内に含まれる。
【0039】
[バインダーの貯蔵安定性]
貯蔵安定性は、バインダーを40℃で1週間保存したときの粘度上昇率(%)で示した。尚、粘度の測定温度は25℃である。
【0040】
[粉末冶金用混合粉末の評価方法]
(1)黒鉛飛散率(%)
図1に示すように、ニューミリポアフィルター1(網目12μm)を取付けた漏斗状ガラス管2(内径:16mm、高さ:106mm)に、試料粉末P(25g)を入れて、下方からN2ガスを0.8リットル/分の速度で20分間流し、次式より黒鉛飛散率(%)を求めた。
【0041】
黒鉛飛散率(%)=[1−(N2ガス流通後の試料粉末の黒鉛量(g)/N2ガス流通前の試料粉末の黒鉛量(g))]×100
尚、試料粉末の黒鉛量は、試料粉末の炭素分を定量分析することにより求めた。
(2)流動性(sec/50g)
JIS Z 2502(金属粉の流動度試験法)に準じ、2.63mmφのオリフィスを50gの混合粉末が流れ出るまでの時間を混合粉末の流動性(sec/50g)とした。
(3)限界流出径
内径114mmφで高さが150mmの円筒状で、底に排出径を変えることができる排出孔を設けた容器に、2kgの混合粉末を入れ、10分間保持した後、混合粉末を排出できる最小径を限界流出径とした。限界流出径が小さいほど、流動性に優れる。
(4)圧粉体密度(g/cm3)
圧力:5t/cm2 (490.3MPa)、成形温度:25℃(常温成形)及び130℃(温間成形)、直径:11.3mm、高さ:10mmの成形体を作製し、JSPM標準1−64(金属粉の圧縮性試験法)に準じて測定した。
(5)抜き圧(MPa)
圧粉体密度を測定する際に、成形体を金型から抜き出す際の力を、金型と圧粉体(成形体)との接触面積で除した値(MPa)を示した。
【0042】
[粉末冶金用バインダーの調製]
バインダー1
ポリオキシプロピレンジアミン(分子量2000)100質量部にヘキサメチレンジイソシアネート18質量部を反応させ、更に4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート30質量部を添加して、イソシアネート基末端ポリ尿素プレポリマーを含有する常温液状組成物(粘度:3500mPa・s/25℃、貯蔵安定性:10%)を調製した。
【0043】
バインダー2
ポリオキシプロピレンジアミン(分子量4000)100質量部にトルエンジイソシアネート9質量部、ヘキサメチレンジイソシアネート8質量部を反応させ、更に、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート40質量部を添加して、イソシアネート基末端ポリ尿素プレポリマーを含有する常温液状組成物(粘度:3000mPa・s/25℃、貯蔵安定性:10%)を調製した。
【0044】
バインダー3
ポリオキシプロピレンジオール(分子量2000)10質量部とポリオキシプロピレンジアミン(分子量2000)80質量部にヘキサメチレンジイソシアネート20質量部を反応させ、更に4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート25質量部を添加して、イソシアネート基末端ポリ尿素プレポリマーを含有する常温液状組成物(粘度:2500mPa・s/25℃、貯蔵安定性:2%)を調製した。
【0045】
バインダー4
α−シアノアクリル酸エチル100質量部に蟻酸1質量部を添加して、シアノアクリレートを含有する常温液状組成物(粘度:100mPa・s以下/25℃、貯蔵安定性:50%)を調製した。
【0046】
バインダー5
嫌気性重合モノマーとして、テトラエチレングリコールジメタクリレートを使用し、テトラエチレングリコールジメタクリレート100質量部、アクリル酸ブチル30質量部、アクリル酸1質量部、N,N−ジメチルアニリン1質量部を混合し、さらに、クメンハイドロパーオキサイド2質量部をバインダーの使用直前に添加して、シアノアクリレートを含有する常温液状の組成物(粘度3000mPa・s/25℃、貯蔵安定性:2%)を調製した。
【0047】
バインダー6
ポリオキシプロピレングリコール(分子量2000)100質量部に4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート40質量部を添加して、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを含有する常温液状の組成物(粘度2500mPa・s/25℃、貯蔵安定性:5%)を調製した。
【0048】
バインダー7
スチレンブタジエンゴム(JSR社製:品名PR2000C)をトルエンに溶解して、8質量%のトルエン溶液を調製した。
【0049】
バインダー8
ロジンエステル(荒川化学社製ペンセルKK)をトルエンに溶解して、8質量%のトルエン溶液を調製した。
【0050】
[粉末冶金用混合粉末の調製]
(1)粉末冶金用混合粉末1〜4、6(湿気硬化型)
純鉄粉((株)神戸製鋼所:商品名「アトメル300M」)100質量部、市販されている銅粉末2質量部、および、黒鉛粉末0.8質量部とを、羽付きミキサーによって高速撹拌をしつつ、上記バインダー1〜4、6を0.1質量部(固形分)添加し、約5分間強撹拌して混合した。その後、緩やかな撹拌に切り替えて、さらに50℃に加熱して20分間撹拌し、バインダーを硬化させて、粉末冶金用混合粉末1〜4、6を得た。ミキサーの回転数の時間変化パターンを図2に示した。
(2)粉末冶金用混合粉末5(嫌気性硬化型)
粉末冶金用バインダーとして、上記バインダー5を用いて、50℃に加熱して20分間撹拌する際に、減圧して酸素を除去してバインダーを硬化させた以外は上記混合粉末1〜4および6と同様の方法により、粉末冶金用混合粉末5を得た。
(3)粉末冶金用混合粉末7、8(溶剤型)
粉末冶金用バインダーとして、上記バインダー7および8を用いて、50℃に加熱して20分間撹拌する際に、減圧してトルエンを除去した以外は、上記混合粉末1〜4及び6と同様の方法により、粉末冶金用混合粉末7、8を得た。
【0051】
得られた混合粉末1〜8を1日放置後、一部をサンプリングして、黒鉛飛散率を測定した。その後、前記混合粉末1〜8に潤滑剤を添加して、常温成形用の混合粉末、および、温間成形用混合粉末をそれぞれ調製し、粉末特性(流動度、圧粉密度、抜き圧等)の測定用試料とした。常温成形用混合粉末の場合は、潤滑剤としてエチレンビスステアリルアミドを純鉄粉100質量部に対して、0.8質量部となるように添加し、温間成形用混合粉末の場合は、潤滑剤として、エチレンビスステアリルアミド、ステアリン酸リチウムをそれぞれ、純鉄粉に対して0.3質量部、0.5質量部添加した。
【0052】
粉末特性(常温及び温間)の測定結果を表1に示した。
【0053】
【表1】
【0054】
表1から、本発明の実施例であるバインダー1〜3はそれぞれ、十分なバインダー機能を有していることが分かる。特に、本発明のバインダーを使用した混合粉末1〜3の限界流出径は小さく、従来の溶剤型のバインダーを使用した混合粉末7,8に比べて流動特性に優れることが分かる。また、混合粉末1〜3の黒鉛飛散率が、混合粉末7および8の黒鉛飛散率と比べて、やや高くなっているが、黒鉛飛散率が12%以下は、実用上問題のないレベルである。
【0055】
混合粉末1〜3の130℃の流動度は、24.5〜25.2であり、混合粉末6〜8の28.4〜31.8に比べて低く、温間成形時の流動性に優れることが分かる。また、混合粉末1〜3の130℃における抜き圧は、8.8〜10.2であり、混合粉末6〜8の15.2〜19.5に比べて低く、温間成形性に優れることが分かる。
【0056】
イソシアネート基末端ポリ尿素プレポリマー系バインダーを使用した混合粉末1とイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー系バインダーを使用した混合粉末6とを比較すると、混合粉末1は、130℃における抜き圧や流動性に優れていることから、プレポリマー中の尿素結合が温間時の成形性や流動性を向上させる効果があるものと考えられる。
【0057】
【発明の効果】
本発明の粉末冶金用バインダーを使用すれば、環境破壊につながる溶剤を使用することがなく、成分偏析や黒鉛などの飛散を効果的に防止でき、優れた粉末特性を有する混合粉末が得られる。特に、本発明のバインダーを使用して得られる混合粉末は、温間成形用として好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】黒鉛飛散率の測定装置の概略断面図である。
【図2】本発明の製法を例示するフロー図である。
【符号の説明】
1:ニューミリポアフィルター、2:漏斗状ガラス管、P:試料粉末
Claims (9)
- 粉末冶金用原料粉末に配合して使用されるバインダーであって、前記バインダーは、イソシアネート基末端ポリ尿素プレポリマーを含有する湿気硬化型の常温液状組成物であることを特徴とする粉末冶金用バインダー。
- 前記プレポリマーは、ポリアミンとポリイソシアネートとを反応させて得られるイソシアネート基末端ポリ尿素プレポリマーである請求項1に記載の粉末冶金用バインダー。
- 前記ポリアミンは、ポリオキシアルキレンポリアミンである請求項2に記載の粉末冶金用バインダー。
- 前記ポリアミンは、ポリオキシプロピレンジアミンである請求項2に記載の粉末冶金用バインダー。
- 前記常温液状組成物の粘度は、25℃で5,000mPa・s以下である請求項1〜4のいずれかに記載の粉末冶金用バインダー。
- 粉末冶金用原料粉末と請求項1〜5のいずれかに記載のバインダーの硬化物とを含有する粉末冶金用混合粉末。
- 前記バインダー硬化物の含有量は、前記原料粉末100質量部に対して、0.01〜0.5質量部である請求項6に記載の粉末冶金用混合粉末。
- 粉末冶金用原料粉末に請求項1〜5のいずれかに記載の粉末冶金用バインダーを加えて混合し、前記バインダーを硬化させることを特徴とする粉末冶金用混合粉末の製造方法。
- 前記バインダーを5〜30分で硬化させる請求項8に記載の製造方法。
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