JP4311773B2 - 繊維害虫卵孵化抑制剤および防虫方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、繊維害虫卵孵化抑制剤およびこれを用いる防虫方法に関し、さらに詳細には、例えば、イガ、コイガ、ヒメマルカツオブシムシ、ヒメカツオブシムシ等の繊維害虫の卵の孵化を抑制することにより、繊維害虫の食害を防ぐ繊維害虫卵孵化抑制剤および防虫方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、衣料等の繊維製品は、繊維害虫の幼虫により食害を受けることが多く、これを防ぐ方法として、パラジクロルベンゼン、ナフタリン、しょうのう、ピレスロイド系化合物等が防虫剤として使用されている。これらの防虫剤は、繊維害虫の幼虫に対して作用し、摂食阻害、忌避、殺虫等の効果を有するとされている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
防虫剤としてのパラジクロルベンゼンやナフタリンは、特有の強い香りを有しており、その香りを抑制されることが求められている。 また、防虫作用を有しながら、今までに防虫剤として知られていなかった物質の提供も求められている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
ところで、本発明者らは繊維害虫用防虫剤の作用機序を明らかにすべく、繊維害虫の幼虫の他、卵および成虫についての作用を詳細に検討していたところ、繊維害虫防虫剤として利用される代表的な化合物には、防虫剤として使用されるより低い使用濃度において卵孵化抑制という全く新しい作用を有することを見出した。そして、このような繊維害虫の卵孵化抑制作用を利用すれば、卵から幼虫への孵化を防ぐことができるので、従来の防虫剤の使用濃度より低い濃度で繊維製品の食害を防止しうる新しい防虫剤となし得る可能性があることに気付いた。
そこで、更に、種々の種類の化合物について広く検索を行った結果、繊維害虫の孵化抑制作用を有する多くの物質を見出し、本発明を完成した。
【0005】
すなわち本発明は、次の群(1)〜(7)、
(1)炭素数15以下の多環式芳香族炭化水素;
(2)炭素数15以下の塩素化芳香族炭化水素;
(3)炭素数15以下の鎖式アルコール;
(4)炭素数5ないし12の鎖式カルボニル化合物;
(5)1個のエステル結合の他に、1個以上の不飽和結合および/または酸 素原子を有する炭素数4ないし15の鎖式エステル;
(6)分子内に3個以上の酸素原子を有する鎖式または環式エーテル;および
(7)分子内に1個以上の酸素原子と、窒素原子、硫黄原子およびハロゲン原子から選ばれた原子の1個または2個以上を含む化合物;
から選ばれた化合物の1種または2種以上を有効成分として含有する繊維害虫卵孵化抑制剤である。
【0006】
また本発明は、繊維製品に、繊維害虫の卵孵化抑制に必要な量の上記繊維害虫卵孵化抑制剤を適用することを特徴とする防虫方法である。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明において、卵孵化抑制作用というのは、卵および/または孵化した直後の若齢幼虫を死滅させることにより、食害を与えるような幼虫に成長することを阻害する作用をいう。
【0008】
本発明において、繊維害虫卵孵化抑制剤として利用される化合物群のうち、炭素数15以下の多環式芳香族炭化水素としては、例えば、置換されていてもよいナフタリン、置換されていてもよいジフェニル、置換されていてもよいジフェニルメタン等を挙げることができる。具体的な例としては、ナフタリン、メチルナフタリン、ジメチルナフタリン、エチルナフタリン、プロピルナフタリン、ジフェニルメタン、フェニルキシリルエタン等を挙げることができる。
【0009】
炭素数15以下の塩素化芳香族炭化水素としては、例えば、置換されていてもよいクロルベンゼン、置換されていてもよいジクロルベンゼン、置換されていてもよいクロルナフタリン、置換されていてもよいジクロルナフタリン等を挙げることができる。具体的な例としては、クロルベンゼン、クロルトルエン、ジクロルベンゼン、ジクロルトルエン、クロルナフタリン、クロルメチルナフタリン、ジクロルナフタリン、ジクロルメチルナフタリン等を挙げることができる。
【0010】
炭素数15以下の鎖式アルコールとしては、例えば、脂肪族アルコール、ヒドロキシル基以外に酸素原子を含む脂肪族アルコール、窒素原子を含む脂肪族アルコール、ハロゲン原子を含む脂肪族アルコール等を挙げることができる。具体的な例としては、脂肪族アルコールとして、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール、テトラヒドロリナロール、テトラヒドロミルセノール、ペンテノール、ヘキセノール、オクテノール、ノネノール、ノナジエノール、デセノール、リナロール、ゲラニオール、ネロール、シトロネロール、ミルセノール、ロジノール、ラバンジュロール、デヒドロリナロール、ジヒドロリナロール、ジヒドロミルセノール、ファルネソール、ネロリドール等を、ヒドロキシル基以外に酸素原子を含む脂肪族アルコールとして、メトキシブタノール、メチルメトキシブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ダイアセトンアルコール等を、窒素原子を含む脂肪族アルコールとして、アミノエタノール、アミノプロパノール等を、ハロゲン原子を含む脂肪族アルコールとして、クロロプロパノール、クロロブタノール等を、それぞれ挙げることができる。
【0011】
炭素数5ないし12の鎖式カルボニル化合物としては、脂肪族アルデヒドおよび脂肪族ケトンを挙げることができる。具体的な例としては、脂肪族アルデヒドとして、ペンタナール、ヘキサナール、ヘプタナール、オクタナール、ノナナール、デカナール、ウンデカナール、ドデカナール、ジヒドロシトロネラール、ヒドロキシシトロネラール、メトキシシトロネラール、ペンテナール、ヘキセナール、ヘプテナール、オクテナール、ノネナール、デセナール、ウンデセナール、ドデセナール、ヘキサジエナール、ヘプタジエナール、オクタジエナール、ノナジエナール、デカジエナール、ウンデカジエナール、ドデカジエナール、シトロネラール、シトラール、ベルガマール、シトロネリルオキシアセトアルデヒド、ゲラニルオキシアセトアルデヒド等を、脂肪族ケトンとして、ペンタノン、ヘキサノン、ヘプタノン、オクタノン、ノナノン、デカノン、ウンデカノン、ドデカノン、ジアセチル、アセトニルアセトン、メチルヘプテノン、メチルヘプタジエノン、ジメチルオクテノン等を、それぞれ挙げることができる。
【0012】
1個のエステル結合の他に、1個以上の不飽和結合および/または酸素原子を有する炭素数4ないし15の鎖式エステルとしては、例えば、鎖式ジカルボン酸と鎖式モノアルコールからなるジエステル、鎖式ジアルコールと鎖式モノカルボン酸からなるジエステル、鎖式不飽和アルコールと鎖式カルボン酸からなるエステル、鎖式不飽和カルボン酸と鎖式アルコールからなるエステル、分子内にヒドロキシル基、カルボニル基およびエーテル基(エーテル結合)から選ばれる基の1個または2個以上を有するエステル等を挙げることができる。具体的な例としては、鎖式ジカルボン酸と鎖式モノアルコールからなるジエステルとして、シュウ酸ジメチル、シュウ酸ジエチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジエチル、こはく酸ジメチル、こはく酸ジエチル、グルタル酸ジメチル、グルタル酸ジエチル、アジピン酸ジメチル、アジピン酸ジエチル、ピメリン酸ジメチル、ピメリン酸ジエチル、スベリン酸ジメチル、スベリン酸ジエチル、アゼライン酸ジメチル、アゼライン酸ジエチル、セバシン酸ジメチル、セバシン酸ジエチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル等を、鎖式ジアルコールと鎖式モノカルボン酸からなるジエステルとしては、ジ酢酸エチレングリコール、ジ酢酸プロピレングリコール等を、鎖式不飽和アルコールと鎖式カルボン酸からなるエステルとして、蟻酸ヘキセニル、蟻酸ゲラニル、酢酸アリル、酢酸ヘキセニル、酢酸オクテニル、酢酸ミルセニル、酢酸ジヒドロミルセニル、酢酸リナリル、酢酸シトロネリル、酢酸ゲラニル、酢酸ネリル、プロピオン酸アリル、プロピオン酸ヘキセニル、プロピオン酸シトロネリル、プロピオン酸ゲラニル、プロピオン酸ネリル、酪酸アリル、酪酸ヘキセニル、酪酸リナリル、酪酸ゲラニル、吉草酸ヘキセニル、ヘキサン酸アリル、ヘプタン酸アリル、オクタン酸アリル、ペンチルオキシ酢酸アリル等を、鎖式不飽和カルボン酸と鎖式アルコールからなるエステルとして、クロトン酸エチル、クロトン酸ブチル、アンゲリカ酸メチル等を、分子内にヒドロキシル基、カルボニル基およびエーテル基から選ばれる基の1個または2個以上を有するエステルとして、乳酸メチル、乳酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、メトキシブチルアセテート、メチルメトキシブチルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等を、それぞれ挙げることができる。
【0013】
分子内に3個以上の酸素原子を有する鎖式または環式エーテルとしては、具体的な例として、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリオキサン等を挙げることができる。
【0014】
分子内に1個以上の酸素原子と、窒素原子、硫黄原子およびハロゲン原子から選ばれた原子の1個または2個以上を含む化合物としては、置換されていてもよい鎖式アミド、置換されていてもよい鎖式スルフォキシド、ハロゲン原子を含む脂肪族エーテル等を挙げることができる。具体的な例としては、置換されていてもよい鎖式アミドとして、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、カルバミド酸メチル、カルバミド酸エチル等を、置換されていてもよい鎖式スルフォキシドとして、ジメチルスルフォキシド等を、ハロゲン原子を含む脂肪族エーテルとして、オクタクロロジプロピルエーテル等を、それぞれ挙げることができる。
【0015】
本発明においては、有効成分である上記化合物群に含まれる化合物の二種以上を組み合わせて用いることもできる。この組合せは、同一化合物群に含まれる化合物の組合せであっても、また異なる化合物群に含まれる化合物の組合せであってもよい。これらの化合物の多くは、天然物に含まれている成分であり、香料としても用いられている。また、一般的に穏やかな香りや快い香りをもち、ピレスロイドに比して安価である。
【0016】
上記化合物のうち、ナフタリン、パラジクロルベンゼン、リナロール、シトロネロール、シトラール等は、繊維害虫の幼虫に対して有効であることが知られている化合物である。しかし、これらについても、幼虫に対して防虫効果を奏するために必要な量よりも、有意に少ない量で卵の孵化を抑制しうるのである。
【0017】
例えば、ナフタリンを有効成分とする従来の防虫剤の標準的な使用量は、収納容器容量50lにつき100gであり、これによって5ないし6ケ月持続する。これに対して、卵の孵化抑制を目的とする場合は、上記標準使用量のおよそ六分の一、すなわち約15gで有効である。通常、この条件では、幼虫の食害を十分に抑えることはできない。
すなわち、ナフタリンを有効成分とする場合の本発明の防虫方法は、繊維製品に、収納容器容量50lにつき、15g以上50g以下のナフタリンを適用し、5ないし6ケ月間持続させることを特徴とする防虫方法である。
【0018】
同様に、パラジクロルベンゼンを有効成分とする従来の防虫剤の標準的な使用量は、収納容器容量50lにつき80gであり、これによって4ないし6ケ月持続する。これに対して、卵の孵化抑制を目的とする場合は、上記標準使用量のおよそ四分の一、約20gで有効である。通常、この条件では、幼虫の食害を十分に抑えることはできない。
すなわち、パラジクロルベンゼンを有効成分とする場合の本発明の防虫方法は、繊維製品に、収納容器容量50lにつき、20g以上50g以下のパラジクロルベンゼンを適用し、4ないし6ケ月間持続させることを特徴とする防虫方法である。
【0019】
本発明の繊維害虫卵孵化抑制剤は、有効成分である上記化合物に、必要に応じて酸化防止剤等の任意成分を加え、製剤化することにより調製される。
【0020】
本発明の繊維害虫卵孵化抑制剤の剤形としては、例えば、多孔質担体や昇華性固体等に含浸担持させた固形製剤、不織布等に含浸させたシート状製剤、成分をそのままあるいは適当な溶剤に溶解もしくは可溶化させた液体製剤、この液体製剤をゲル化させたゲル状剤、スプレー状製剤等が挙げられる。また、上記液体製剤は、液芯型揮散剤としてもよい。
【0021】
本発明の繊維害虫卵孵化抑制剤の具体的な使用方法としては、タンス、衣装函等の密閉容器内で用いるほか、例えば、繊維製品のそばに置く方法、クローゼット等の入口に置く方法、有効成分を含浸したカーテンやカバーでクローゼットの入口や繊維製品を被う方法、繊維製品や収納容器の表面に液状またはスプレー状の製剤を散布する方法等が挙げられる。
【0022】
なお、上記化合物のうち、比較的蒸気圧の大きいものは、蒸発しやすいため、防虫剤の置かれた位置から離れたところまで作用を及ぼすことができる。しかし、無駄に使われるおそれもあるため、例えばタンス用防虫剤のような密閉性の高い場所での使用に適している。これに対して、上記化合物のうち、比較的蒸気圧の小さいものは、蒸発しにくいので、防虫剤の近傍にしか作用が及ばないが、無駄に使われるおそれは小さい。従って、例えば防虫シートのように、密閉性の低い場所で、繊維製品に近接して使う用途に適している。このように使用目的に会わせて、適当な蒸気圧の化合物を用いることが望ましい。
【0023】
【作用】
従来、繊維害虫の防虫・防除が、繊維害虫の幼虫に対する摂食阻害作用、忌避作用、殺虫作用を中心に考えられてきたのに対して、本発明は、卵の孵化抑制という新しい視点からその防除を図るものである。
【0024】
本発明の有効成分の中には、繊維害虫の幼虫に対して有効とされるものも含まれているが、これらについては、幼虫に対して必要な量より少ない量で、卵の孵化を抑制しうることが確認されており、特に、パラジクロルベンゼンとナフタリンについては、適当な使用量を特定することが可能であるため、従来の幼虫に作用する防虫剤とは区別される。
【0025】
【発明の効果】
本発明の繊維害虫卵孵化抑制剤は、従来の防虫剤のように繊維害虫の幼虫に対する薬理効果が出るまで使用する必要がないので、より広範な化合物を有効に使用することができ、しかもより少ない量で効果を発揮することができる。そのため、天然物に含まれている成分、臭いの穏やかな成分、快い香りの成分を使用することが可能になる。
【0026】
【実施例】
次に実施例を挙げ、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に何ら制約されるものではない。
【0027】
実施例1〜48
卵孵化基礎試験:
直径4cmの金属製のかごの中に、所定量の試験物質を含浸させた濾紙を入れ、これを内容積0.5リットルのガラス製ふた付き容器のほぼ中央に置き、その底部に産卵後1日のイガの卵20個をのせた1辺2.5cmの正方形のサージを置いた。温度25℃、相対湿度60%RHの条件下に12日間保持した後容器のふたを開け、孵化した卵の数を数えて、孵化率を算出した。孵化していた場合には、孵化直後の若齢幼虫の生死を判別し、これより卵の通算の生存率を算出した。その試験結果を表1に示す。
【0028】
【表1】
【0029】
実施例49
卵孵化接触基礎試験:
直径4.5cmのシャーレの中に、5mgの試験物質を含浸させた1辺2.5cmの正方形のサージを入れ、その上に産卵後1日のイガの卵20個をのせた。25℃、60%RHの条件下に12日間保存した後、卵孵化基礎試験と同様にして、孵化率および生存率を算出した。試験物質の含浸は、試験物質をアセトンに溶解して含浸したのち、室温に放置してアセトンを除いて行った。試験結果を表2に示す。
【0030】
【表2】
【0031】
実施例50
卵孵化実用試験:
所定量の試験物質を含浸させた濾紙を片面ポリエチレン片面ポリエステルのフィルムに包み、防虫剤とした。市販のプラスチック製引き出しタイプの衣裳ケースの中に、約80%の容量の羊毛製の衣類を入れ、その上に1辺4cmの正方形の試験用サージと防虫剤を置いた。衣裳ケースの外寸は、巾43cm、奥行き64cm、高さ23cmであり、正面引き出し上部と外枠の間に5mmの隙間がある。衣裳ケースを25℃、60%RHの恒温恒湿室に入れて、7日間保った後、産卵後1日のイガの卵50個を衣裳ケース内のサージの上に置いた。さらに12日間同温湿度に保持した後、衣裳ケースを開け、孵化した卵の数を数えて、孵化率を算出した。孵化していた場合には、孵化直後の若齢幼虫の生死を判別し、これより卵の通算の生存率を算出した。その試験結果を表3に示す。
【0032】
【表3】
【0033】
実施例51
ナフタリンの卵孵化実用試験:
実施例50と同様の衣裳ケースの中に、約80%の容量の羊毛製の衣類を入れ、その上に、産卵後1日のイガの卵50個を載せた1辺4cmの正方形の試験用サージと、ナフタリンを有効成分とする市販防虫剤「ネオパース」(エステー化学株式会社製、1包4g)6包(24g)を置いた。衣裳ケースを25℃、60%RHの恒温恒湿室に入れて、12日間保った後、衣裳ケースを開け、孵化した卵の数を数えて、孵化率を算出した。その結果、孵化率は0%であった。
【0034】
実施例52
パラジクロルベンゼンの卵孵化実用試験:
実施例51の試験において、ナフタリンを有効成分とする市販防虫剤「ネオパース」に替えて、パラジクロルベンゼンを有効成分とする市販防虫剤「ネオパラエース」(エステー化学株式会社製、1包8g)3包(24g)を用い、その他は同様にして、孵化率を求めた。その結果、孵化率は0%であった。
【0035】
参考例1
幼虫食害基礎試験:
実施例19と同様の試験において、イガの卵をのせたサージに替えて、試験物質を含浸した濾紙をガラス製容器の底部に置き、中央に置いた金属製かごの中に羊毛と一緒にイガの幼虫10頭を入れて、同様の条件に7日間保持した。また、同条件で試験物質を含浸した濾紙を除いた試験区(対照区)を設けた。試験は、実験区、対照区とも5連で行い、実験区での羊毛の食害量の平均を対照区での食害量の平均で除した値を食害率とし、実験区でのイガ幼虫の生死を判別し、生存率を求めた。その試験結果を表4に示す。
【0036】
【表4】
以 上
Claims (2)
- 次の群(1)〜(7)、
(1)プロピルナフタリン、ジフェニルおよびジフェニルメタンよりなる群から選ばれた炭素数15以下の多環式芳香族炭化水素;
(2)クロルベンゼンおよびクロルナフタリンよりなる群から選ばれた炭素数15以下の塩素化芳香族炭化水素;
(3)ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ドデカノール、テトラヒドロリナロール、テトラヒドロミルセノール、リナロール、ゲラニオール、ネロール、シトロネロール、ジヒドロリナロール、メトキシブタノール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、アミノエタノールおよびクロロブタノールよりなる群から選ばれた炭素数15以下の鎖式アルコール;
(4)ヘキサナール、シトロネラール、オクタノン、ウンデカノンおよびメチルヘプテノンよりなる群から選ばれた炭素数5ないし12の鎖式カルボニル化合物;
(5)マロン酸ジエチル、アジピン酸ジエチル、酢酸シトロネリル、酢酸ネリル、ヘキサン酸アリル、ヘプタン酸アリル、クロトン酸エチル、乳酸エチルおよびプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートよりなる群から選ばれた1個のエステル結合の他に、1個以上の不飽和結合および/または酸素原子を有する炭素数4ないし15の鎖式エステル;
(6)ジエチレングリコールジエチルエーテルおよびトリオキサンよりなる群から選ばれた分子内に3個以上の酸素原子を有する鎖式または環式エーテル;および
(7)N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルフォキシドおよびオクタクロロジプロピルエーテルよりなる群から選ばれた分子内に1個以上の酸素原子と、窒素原子、硫黄原子およびハロゲン原子から選ばれた原子の1個または2個以上を含む化合物;
から選ばれた化合物の1種または2種以上を有効成分として含有する繊維害虫卵孵化抑制剤。 - 繊維製品に、繊維害虫の卵孵化抑制に必要な量の請求項1記載の繊維害虫卵孵化抑制剤を適用することを特徴とする防虫方法。
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