JP4311565B2 - ブームの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、トラクタ等の走行車体の前部に装着されるフロントローダ等のブームの製造方法に関するものである。
ローダ作業機等のフロントローダには、走行車体の左右両側に前方突出状に配置される左右一対のブーム本体と、左右一対のブーム本体の中途部を左右に連結するブーム連結体と、左右一対のブーム本体の後端に設けられた左右一対の後ボスと、左右一対のブーム本体の前端に設けられた左右一対の前ボスとを備え、左右一対の前ボスに、ブームに作業具を連結するための枢軸が挿通される左右方向の取付孔が設けられ、左右一対の後ボスに、ブームを走行車体側に連結するための枢軸が挿通される左右方向の取付孔が、設けられたものがある。
この種の従来のフロントローダは、図5及び図6に示すように、前ボス51及び後ボス52が、鋼管により円筒形状に形成され、左右一対のブーム本体53の前端部及び後端部にそれぞれ左右方向に挿通して溶接されていた(例えば特許文献1、特許文献2)。
そして、この種の従来のフロントローダの製造は、まず、前ボス51及び後ボス52を鋼管により円筒形状に形成しておき、これらを、左右一対のブーム本体53の前端部及び後端部に、左右方向に挿通して溶接した後、左右一対のブーム本体53にブーム連結体を溶接して、左右一対のブーム本体をブーム連結体で連結していた。
特開2001−132006号 特開2000−309940公報
従って、従来では、前ボス51及び後ボス52は鋼管により円筒形状に形成したものであるため、前ボス51及び後ボス52を溶接した際に前ボス51及び後ボス52に内径歪みを生じ、左右の前ボス51同士及び左右の後ボス52同士の同軸度の精度が悪くなり、このため、前ボス51及び後ボス52の内径歪みを取るためのリーマ追加工が必要であった。
また、左右一対のブーム本体53にブーム連結体を溶接した際に、残留歪みを生じ、これにより、左右の前ボス51同士及び左右の後ボス52同士の同軸度の精度が悪くなり、左右の前ボス51同士及び左右の後ボス52同士の軸度の精度がでなくなり、ブーム本体53にブーム連結体を溶接した後に、左右の前ボス51及び後ボス52の同軸度を出すための手直し工程が必要であった。
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、ボスの内径歪み取りのリーマ追加工を廃止できると共に、ブーム連結体の溶接後に、左右のボスの同軸度を出すための手直し工程を廃止できるようにしたものである。
この技術的課題を解決するための本発明の技術的手段は、走行車体の左右両側に前方突出状に配置される左右一対のブーム本体と、左右一対のブーム本体の中途部を左右に連結するブーム連結体と、左右一対のブーム本体の端部に設けられた左右一対のボスとを備え、左右一対のボスに、枢軸が挿通される左右方向の取付孔が設けられたブームの製造方法において、
左右方向の取付孔を有するボスを、予め鋳物により形成しておき、左右一対のブーム本体にブーム連結体を溶接して、左右一対のブーム本体をブーム連結体で連結した後に、左右一対のブーム本体の端部に、左右一対のボスを、互いの取付孔が左右に一致するように芯合わせしながら溶接した点にある。
また、本発明の他の技術的手段は、前記ブーム連結体を、丸パイプにより構成し、ブーム連結体の左端側を左側のブーム本体に左右方向に挿通して溶接し、ブーム連結体の右端部を右側のブーム本体の左右方向に挿通して溶接した点にある
本発明によれば、前ボス及び後ボスを溶接した際に、前ボス及び後ボスの取付孔部分に内径歪みを生じるのを防ぐことができ、このため、左右の前ボス同士及び左右の後ボス同士の同軸度の精度が高くなり、前ボス及び後ボスの内径歪みを取るためのリーマ追加工を廃止乃至少なくできる。
また、左右一対のブーム本体にブーム連結体を溶接した際に、残留歪みを生じても、その後に、左右一対の前ボス及び左右一対の後ボスを、ブーム本体に溶接する際に、互いの取付孔が左右に一致するように調整しながら溶接することができ、従って、左右の前ボス同士及び左右の後ボス同士の同軸度の精度がよくなり、ブーム本体にブーム連結体を溶接した後に、従来のような、左右の前ボス及び後ボスの同軸度を出すための手直し工程を廃止乃至少なくできる。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1において、1は、作業車(荷役車両)として例示する、トラクタ(走行車体)2の前部にフロントローダ3を装着してなるトラクタ装着式のローダ作業機である。
トラクタ2は左右一対の前後輪4,5を有する2軸4輪形トラクタで、前部にエンジン、ラジエータ等を覆うボンネット6が設けられている。
フロントローダ3は、トラクタ2に設けられた取付フレーム7に着脱自在に取り付けられるサイドフレーム13と、このサイドフレーム13に基部側が枢支連結されたブーム8と、このブーム8の先端側に取り付けられた作業具としてのバケット9とを有する。
取付フレーム7は、トラクタ2の前部の下部(ボンネット6の後端側の下方側)に、該トラクタ2から左右方向外方突出状に設けられた支持台11と、この支持台11に、該支持台11から上方突出状に設けられたメインフレーム12と、この支持台11の左右方向内端側に固定されていてトラクタ2に取付固定された取付板10とを左右一対備える。従って、メインフレーム12は走行車体2に取り付けられ、サイドフレーム13はブーム8を支持している。
サイドフレーム13は左右一対設けられていて、ボンネット6の左右両側に配置されており、サイドフレーム13は左右方向で同じ側にあるメインフレーム12に取り付けられる。
図1〜図4において、ブーム8は、走行車体2の左右両側に前方突出状に配置される左右一対のブーム本体8L,8Rと、左右一対のブーム本体8L,8Rの中途部を左右に連結するブーム連結体14と、左右一対のブーム本体8L,8Rの前端に設けられた左右一対の前ボス21と、左右一対のブーム本体8L,8Rの後端に設けられた左右一対の後ボス22とを備える。左右一対の前ボス21に、枢軸36が挿通される左右方向の取付孔23が設けられ、左右一対の後ボス22に、枢軸37が挿通される左右方向の取付孔24が設けられている。
左右一対のブーム本体8L,8Rは、その基端側(後端側)が後ボス22を介して左右方向で同じ側にあるサイドフレーム13の上部に枢軸36によって左右方向の軸心回りに回動自在に枢支連結されていて上下揺動自在とされている。
また、左右一対のブーム本体8L,8Rの長手方向中途部と、左右各サイドフレーム13の上下方向中途部とにわたって複動式油圧シリンダからなるブームシリンダ15が介装され、この左右ブームシリンダ15の伸縮によって左右一対のブーム本体8L,8Rが上下に揺動可能とされている。
また、バケット9の背面下部には、ブラケット38が左右一対設けられ、左右方向で同じ側にあるブーム本体8L,8Rの先端側(前端側)が、前ボス21を介して枢軸36により枢支連結され、バケット9のブラケット38とブーム本体8L,8Rの中途部との間には、複動式油圧シリンダからなる一本のバケットシリンダ16がリンク17を介して連結され、このバケットシリンダ16の伸縮によってバケット9が揺動可能(スクイ・ダンプ動作可能)とされている。
前記左右一対のブーム本体8L,8Rは、図1〜図3に示すように、長手方向中央部で屈曲されて上側に凸となる山形状に形成されていると共に、前後の端部から長手方向中央部に行くに従って上下幅が漸次幅広となるように形成されている。
また、左右一対のブーム本体8L,8Rは、長手方向中央部から前側の前ブーム構成体27と、長手方向中央部から後側の後ブーム構成体28と、これら前後のブーム構成体27,28をブーム本体8L,8Rの長手方向中央側で連結する中央連結板29と、左右一対のブーム本体8L,8Rの長手方向中央側の左右両側に配置されたサイドプレート30とから主構成されている。
ブーム連結体14は丸パイプにより構成され、ブーム連結体14の左端側は、左側のブーム本体8Lに左右方向に挿通して溶接され、ブーム連結体14の右端部は、右側のブーム本体8Rの左右方向に挿通して溶接されている。
前ボス21は鋳物により形成されて、取付壁部31とボス部32とを一体に有し、前ボス21の取付壁部31は、ブーム本体8L,8Rの前端部に溶接され、前ボス21のボス部32に取付孔23が形成されている。後ボス22は、鋳物により形成されて、取付壁部33とボス部34とを一体に有し、後ボス22の取付壁部33は、ブーム本体8L,8Rの端部に溶接され、後ボス22のボス部34に取付孔24が形成されている。
次に、ブーム8の製造方法について説明する。左右方向の取付孔23を有する前ボス21と左右方向の取付孔24を有する後ボス22とを、予め鋳物により形成しておき、左右一対のブーム本体8L,8Rにブーム連結体14を溶接して、左右一対のブーム本体8L,8Rをブーム連結体14で連結した後に、左右一対のブーム本体8L,8Rの前端に、左右一対の前ボス21を、互いの取付孔23が左右に一致するように芯合わせしながら溶接すると共に、左右一対のブーム本体8L,8Rの後端に、左右一対の後ボス22を、互いの取付孔24が左右に一致するように芯合わせしながら溶接した。そして、左右一対のブーム本体8L,8Rをブーム連結体14で連結する場合には、ブーム本体8L,8Rに挿通孔39を予め形成しておき、ブーム連結体14を、丸パイプにより構成し、ブーム連結体14の左端側を左側のブーム本体8L,8Rに挿通孔39を介して左右方向に挿通して溶接し、ブーム連結体14の右端部を右側のブーム本体8L,8Rに挿通孔39を介して左右方向に挿通して溶接する。
上記実施の形態によれば、前ボス21は鋳物により形成されて、取付壁部31とボス部32とを一体に有し、前ボス21の取付壁部31が、ブーム本体8L,8Rの前端部に溶接され、前ボス21のボス部32に取付孔23が形成されているので、また、後ボス22は、鋳物により形成されて、取付壁部33とボス部34とを一体に有し、後ボス22の取付壁部33は、ブーム本体8L,8Rの端部に溶接され、後ボス22のボス部34に取付孔24が形成されているので、前ボス21及び後ボス22を溶接した際に、前ボス21及び後ボス22の取付孔23,24部分に内径歪みを生じるのを防ぐことができ、このため、左右の前ボス21同士及び左右の後ボス22同士の同軸度の精度が高くなり、前ボス21及び後ボス22の内径歪みを取るためのリーマ追加工が不要になった。
また、左右一対のブーム本体8L,8Rをブーム連結体14で連結した後に、左右一対のブーム本体8L,8Rの前端に、左右一対の前ボス21を、互いの取付孔23が左右に一致するように芯合わせしながら溶接すると共に、左右一対のブーム本体8L,8Rの後端に、左右一対の後ボス22を、互いの取付孔24が左右に一致するように芯合わせしながら溶接するので、左右一対のブーム本体8L,8Rにブーム連結体14を溶接した際に、残留歪みを生じても、その後に、左右一対の前ボス21及び左右一対の後ボス22を、ブーム本体8L,8Rに溶接する際に、互いの取付孔23,24が左右に一致するように調整しながら溶接することができ、従って、左右の前ボス21同士及び左右の後ボス22同士の同軸度の精度がよくなり、ブーム本体8L,8Rにブーム連結体14を溶接した後に、従来のような、左右の前ボス21及び後ボス22の同軸度を出すための手直し工程を不用又は少なくすることができる。
さらに、前ボス21及び後ボス34を鋳物により形成することにより、外見的に力強く見せることができて、体裁をよいものになし得る。
なお、前記実施の形態では、前ボス21と後ボス22とを鋳物により形成して、ブーム本体8L,8Rに、前ボス21及び後ボス22を溶接しているが、これに代え、前ボス21又は後ボス22の一方のみを鋳物により形成して、ブーム本体8L,8Rに溶接するようにし、前ボス21又は後ボス22の他方を従来と同様に鋼管により形成して、ブーム本体8L,8Rに溶接するようにしてもよい。
本発明の一実施の形態を示すローダ作業機の側面図である。 ブームの側面図である。 ブームの前側の平面図である。 ブームの後側の平面図である。 従来例を示すブームの後端部の平面図である。 同ブームの後端部の側面図である。
1 作業機
2 トラクタ(走行車体)
8 ブーム
8L ブーム本体
8R ブーム本体
14 ブーム連結体
21 前ボス
22 後ボス
23 取付孔
24 取付孔
36 枢軸
37 枢軸

Claims (2)

  1. 走行車体(2)の左右両側に前方突出状に配置される左右一対のブーム本体(8L,8R)と、左右一対のブーム本体(8L,8R)の中途部を左右に連結するブーム連結体(14)と、左右一対のブーム本体(8L,8R)の端部に設けられた左右一対のボス(21,22)とを備え、左右一対のボス(21,22)に、枢軸(36,37)が挿通される左右方向の取付孔(23,24)が設けられたブームの製造方法において、
    左右方向の取付孔(23,24)を有するボス(21,22)を、予め鋳物により形成しておき、左右一対のブーム本体(8L,8R)にブーム連結体(14)を溶接して、左右一対のブーム本体(8L,8R)をブーム連結体(14)で連結した後に、左右一対のブーム本体(8L,8R)の端部に、左右一対のボス(21,22)を、互いの取付孔(23,24)が左右に一致するように芯合わせしながら溶接したことを特徴とするブームの製造方法。
  2. 前記ブーム連結体(14)を、丸パイプにより構成し、ブーム連結体(14)の左端側を左側のブーム本体(8L,8R)に左右方向に挿通して溶接し、ブーム連結体(14)の右端部を右側のブーム本体(8L,8R)の左右方向に挿通して溶接したことを特徴とする請求項1に記載のブームの製造方法。
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