JP4310535B2 - 窓装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、横滑り出し窓、縦滑り出し窓やオーニング窓のように操作ハンドルの回転操作に連動する連結桿が枠内で摺動移動することにより、障子を屋外側に向けて開閉する窓装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来からトイレ、バスルーム、キッチン等の比較的狭い空間での換気を行うために、窓枠内に配置されるガラス窓面(以下、障子という)の上縁寄りの左右位置を中心にその下側面を屋外方向に開放できるようにした窓装置として、横滑り出し窓や、上下方向に複数の障子を配設して構成されるオーニング窓が知られており、また上記横滑り出し窓の構成をそのまま縦方向に置き換えた縦滑り出し窓も一般に知られている。
【0003】
ここで、上記窓装置として代表的な横滑り出し窓の構成を例に説明すると、横滑り出し窓は、屋内側に設けた操作ハンドルを回転させることにより、窓枠の左右縦枠に沿設したリンク機構の屈伸量を同期変化させて、このリンク機構を構成する回動リンクを取り付けた障子の屋外方向への開閉固定位置を調節すると共に、上記操作ハンドルを逆回転させることにより、障子を窓枠内に閉鎖するようになっており、この操作ハンドルによる完全閉鎖をもって施錠状態とする窓装置を構成している。
【0004】
一方、近年になってピッキングによる個人住宅や企業の事務所、倉庫などの建物への侵入窃盗事件が増加しており、これらのピッキング防止対策としては、玄関ドアや入り口ドアに複数の施錠装置を取り付けたり、最新の電子ロック装置を導入するなどが提案されてはいるが、例えば、前記構成の窓装置を採用する住宅では、操作ハンドル近傍の屋外側に位置する障子のガラス窓面を打ち破って、該ハンドルを開放方向に操作すると、屋内に侵入できる惧れがあり、この窓装置に対する防犯性を向上させなければ、玄関ドアや入り口ドアに対するピッキング防止対策をいくら強化しても全体としての防犯性の向上を図ることはできず、住宅あるいは建物全体に対する防犯対策としては未だ完全ではないのが実状であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、叙上の如き実状に鑑み玄関ドア、入り口ドアなどに対するピッキング防止対策と協働して、より防犯性の高い窓装置を提供すべく創案されたものであって、その意図するところは、従来のように、操作ハンドルによる完全閉鎖をもって施錠状態とする窓装置に、操作ハンドルの取付位置から離間した位置に補助施錠機構を付加して、防犯性を向上させると共に、障子が全閉していない不完全閉鎖状態では、上記補助施錠機構が施錠状態に切り換えられないようにして、障子の完全閉鎖操作を操作者に促し、より確実な窓装置の施錠状態を保持することができる窓装置を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
課題を解決するため、本発明が採用した第1の技術的手段は、窓の四周枠を形成する左右または上下枠の対向面に、一対をなす連結桿を当該枠方向摺動自在にそれぞれ沿設し、該各連結桿に併設した屈伸自在なリンク機構の屈伸量を、屋内側に設けた操作部の操作量に応じた同期調整で、窓内に配置される障子を屋外方向に開閉固定位置調節自在とする窓装置において、前記操作部を、上記連結桿を併設した一方の枠の屋内側面部に配設し、当該操作部の操作による完全閉鎖状態を施錠状態とし、前記一方の枠に対向する他方の枠の屋内側面部には、当該他方の枠側に沿設した連結桿の摺動作動を規制・解除する補助施錠機構が配設されており、当該補助施錠機構は出没可能な係止ピンを備えており、障子が全閉した完全閉鎖状態で、他方の枠側に沿設した連結桿の端縁に臨む位置で突出する係止ピンにより、当該連結桿の摺動作動を規制するように構成されていることを特徴とするものである。
【0007】
本発明が採用した第2の技術的手段は、前記係止ピンは、屋内側で枠の延設方向に摺動するスライドノッチの操作で出没可能であり、前記補助施錠機構は、障子が全閉しない不完全閉鎖状態では、スライドノッチの操作とこれに連繋する係止ピンの突出作動が不可となるように装着されていることを特徴とするものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の窓装置の実施の形態を、添付図面に基づいて詳細に説明する。
図1ないし図3において、1は横滑り出し窓として構成した窓装置であって、該窓装置1は、左右の縦枠2、2´と上枠3、下枠4を方形状に枠組みして窓枠5を形成し、四周枠部6内にガラス製の窓面7を嵌設してなる障子8を窓枠5に屋外方向に開閉固定位置自在に装着して窓装置1が構成されている。
【0010】
上記左右縦枠2、2´の対向面には、一対をなす連結桿9、9が上下方向摺動自在にそれぞれ沿設されており、該各連結桿9、9に併設した屈伸自在なリンク機構10の屈伸量を、屋内側に設けた操作部11の操作量に応じて同期調整することにより、上記窓枠5内に配置される障子8を、その上縁寄りの左右位置を中心として開閉するようになっている。
【0011】
上記縦枠2、2´は、一方の縦枠2の屋内側面部2aに、回転ハンドル12とベベルギヤ機構(図示せず)を内装した操作部11を配設し、かつ他方の縦枠2´の屋内側面部2bには、図4に示すように、上下方向に摺動するスライドノッチ13と、該スライドノッチ13の操作で出没する係止ピン14をケース15の内外に装着して構成された補助施錠機構16が取り付けられており、上記障子8の完全閉鎖状態で、図5に示すように、他方の縦枠2´側に沿設した連結桿9の端縁9aの最上昇位置Xの下方に臨んで突出する係止ピン14により、該連結桿9の上下摺動を規制する構成となっている。なお、17は補助施錠機構16のケース15内でスライドノッチ13と係止ピン14を連動連結する中継アーム部である。
【0012】
また、上記回転ハンドル12の回転操作力は、下枠4に沿って延設された伝動軸18を介して、一方の縦枠2に設けたリンク機構10から他方の縦枠2´側に設けたリンク機構10に伝達され、上記伝動軸18の両端部に軸設したスイングアーム19、19を同期して上下回動することにより、当該スイングアーム19、19の回動先端に連結したリンク機構10の第1リンクアーム20、20を介して各連結桿9、9を上下方向に摺動移動すると共に、上記各連結桿9、9の上端には、図視で逆「く」の字状に案内溝21aを穿設した連結ブラケット21がそれぞれ固着されており、障子8を形成する四周枠部6の左右両側に固設した回動プラケット22、22の係止ピン22a、22aを、上記案内溝21a、21aに挿通し、更に、縦枠2、2´側に固定した誘導ブラケット23、23のくの字状の案内溝23a、23aに遊嵌させるようになっている。
【0013】
そして、上記回動ブラケット22、22に先端側24aを枢支した第2リンクアーム24の回動基端側24bを、縦枠2、2´に固定した支持ブラケット25、25にそれぞれ枢支して、図6に示すように、障子8を四周枠部6の上縁寄りの左右位置を中心として屋外方向に開閉固定位置自在とするリンク機構10が構成されている。
【0014】
なお、26、26は障子8を形成する四周枠部6の左右両側にそれぞれ固定されたストッパであり、該ストッパ26、26は、障子8が完全閉鎖状態に至った時点で、その先端に曲成した係止部26a、26aをスイングアーム19、19側に一体形成した湾曲係合部19a、19aに係合させて、回転ハンドル12による操作部11の過度の操作を防止する目的で設けられている。
【0015】
叙上の如き構成において、図7に示すように、閉鎖状態にある窓装置1の障子8に対して操作部11の回転ハンドル12を反時計方向に回転操作すると、当該操作部11に内装した図示しないベベルギヤ機構を介して伝動軸18が回動を開始し、両側の縦枠2、2´に設けたリンク機構10、10の各スイングアーム19、19が同期して下方向に回動する。
【0016】
そして、このスイングアーム19、19の回動作動に連繋してリンク機構10、10の連結桿9、9が下方向に移動すると同時に、当該連結桿9、9の上端に固着した連結ブラケット21も下方向に移動し、その案内溝21a、21aと、縦枠2、2´側に固定した誘導ブラケット23、23の案内溝23a、23aに遊嵌される係止ピン22a、22aを介して、回動ブラケット22、22が下方向に移動すると、上記回動ブラケット22、22に枢支した第2リンクアーム24、24が、縦枠2、2´側に設けた支持ブラケット25、25を回動支点として、障子8を四周枠部6とともに屋外方向に開放することになる。
【0017】
この時、上記障子8の屋外側への開放量は、リンク機構10、10の屈伸量、すなわち操作部11の回転ハンドル12の回転量に応じた同期調整で調整され、任意の屋外側開放位置に障子8を開閉固定位置自在に設定することができる。また、上記回転ハンドル12を時計方向に回転操作すると、開放された障子8は前記リンク機構10、10を介して閉鎖方向に移動し、ストッパ26、26がをスイングアーム19、19側に一体形成した湾曲係合部19a、19aに係合した時点で、障子8が完全閉鎖状態となる。
【0018】
上記完全閉鎖状態に至った障子8に対して、補助施錠機構16のスライドノッチ13をロック方向(図で下方向)に操作すると、該補助施錠機構16のケース15から係止ピン14が突出して、他方の縦枠2´側に沿設した連結桿9の端縁9aの最上昇位置Xに臨む下方で該連結桿9の上下摺動が規制され、この規制状態は、一方の縦枠2側に沿設した連結桿9に対しても伝動軸18を介してなされるため、窓装置1は全体として図7(a)に示す施錠状態に保持されることになる。このように完全閉鎖状態で施錠がなされた窓装置1では、建物外部から操作ハンドル近傍の屋外側に位置する障子8を打ち破って、回転ハンドル12を開放方向に操作しても、上記補助施錠機構16が施錠状態にあるので、屋内に侵入することはできない。
【0019】
一方、上記のような窓装置1の閉作動において、図7(b)に示すように、障子8が全閉しない不完全閉鎖状態では、スイングアーム19、第1リンクアーム20を介して連結桿9の端縁9aが、その完全閉鎖状態における最上昇位置Xよりも下方に位置することになり、この状態で補助施錠機構16のスライドノッチ13をロック方向(図で下方向)に操作しても、該補助施錠機構16の係止ピン14は端縁9a近傍の連結桿9に衝接して突出作動が不可となり、上記スライドノッチ13はロック位置まで操作完了させることができない。
【0020】
したがって、この「ロック位置まで完全に操作できない」スライドノッチ13の操作状態が、これを実際に操作する操作者に対して、障子8が不完全閉鎖状態であることを認識させることになり、補助施錠機構16は本来の施錠機能の他に、当該操作者に完全閉鎖を促す報知機能として兼用することができる。
【0021】
図8および図9は、本発明の他の実施例を示すものであって、前記実施例の障子8を縦方向に複数枚(実施例では3枚)並設し、単一の操作部11の回転ハンドル12を正逆回転操作することで各障子8を同時に開閉するオーニング窓として構成した場合を示すものであって、当該構成においては、連結桿9を最下の障子8から最上の障子8に至る間で、窓枠5´の左右両側にそれぞれ延設することで構成され、本願発明の補助施錠機構16は、前記実施例と同様に方の縦枠2´の屋内側面部2bに配設されて機能するものである。
【0022】
また、前記実施例では横滑り出し窓の構成を示したが、これに限定されるものではなく、同実施例におけるリンク機構10、操作部11、補助施錠機構16等を上下枠3、4にそれぞれ配置することにより、縦滑り出し窓として構成できることは詳述するまでもない。
【0023】
【発明の効果】
これを要するに本発明は、窓の四周枠を形成する左右または上下枠の対向面に、一対をなす連結桿を当該枠方向摺動自在にそれぞれ沿設し、該各連結桿に併設した屈伸自在なリンク機構の屈伸量を、屋内側に設けた操作部の操作量に応じた同期調整で、窓内に配置される障子を屋外方向に開閉固定位置調節自在とすると共に、上記連結桿を併設した一方の枠の屋内側面部に操作部を配設し、かつこれに対向する他方の枠の屋内側面部には、当該枠側に沿設した連結桿の摺動作動を規制・解除する補助施錠機構が配設されているから、
▲1▼建物外部からの侵入者が、操作ハンドル近傍の屋外側に位置する障子を打ち破って、一方の縦枠に設けた操作部の回転ハンドルを開放方向に操作しようとしても、他方の縦枠に設けた補助施錠機構が施錠状態にあるので、屋内への侵入を防止することができる。
また上記補助施錠機構は、屋内側で枠の延設方向に摺動するスライドノッチと、該スライドノッチの操作で出没する係止ピンで構成され、障子が全閉した完全閉鎖状態で、他方の枠側に沿設した連結桿の端縁に臨む位置で突出する係止ピンにより、当該連結桿の摺動作動を規制するように構成され、更に、障子が全閉しない不完全閉鎖状態では、スライドノッチの操作とこれに連繋する係止ピンの突出作動が不可となるように装着されているから、
▲2▼補助施錠機構本来の施錠機能に加えて、障子が全閉していない不完全閉鎖状態では、上記補助施錠機構が施錠状態に切り換えられないことを、「ロック位置まで完全に操作できない」スライドノッチの操作状態をもって、これを実際に操作する操作者に対し、障子が不完全閉鎖状態であることを明示的に認識させることができ、操作者に対して窓装置の完全閉鎖を促す報知機能として補助施錠機構を兼用し得て、より一層防犯性を向上させることができる、という極めて有用な新規的効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】窓装置の全体斜視図である。
【図2】屋内側から見た窓装置の全体正面図である。
【図3】閉鎖状態の開閉装置の縦断面図である。
【図4】(a)は補助施錠機構の正面図、(b)は同平面図、(c)は左側面図、(d)は施錠解除時の内部構造を示す作用説明図、(e)は施錠時の内部構造を示す作用説明図である。
【図5】窓装置の要部拡大横断面図である。
【図6】開放時における窓装置の縦断面図である。
【図7】(a)は窓装置の完全閉鎖状態を示す縦断面図、(b)は窓装置の不完全閉鎖状態を示す縦断面図である。
【図8】窓装置の他の構成を示す全体斜視図である。
【図9】他の構成における屋内側から見た窓装置の全体正面図である。
【符号の説明】
1 窓装置
2 左縦枠
2´ 右縦枠
2a 屋内側面部
2b 屋内側面部
5 窓枠
8 障子
9 連結桿
9a 端縁
10 リンク機構
11 操作部
13 スライドノッチ
14 係止ピン
16 補助施錠機構

Claims (2)

  1. 窓の四周枠を形成する左右または上下枠の対向面に、一対をなす連結桿を当該枠方向摺動自在にそれぞれ沿設し、該各連結桿に併設した屈伸自在なリンク機構の屈伸量を、屋内側に設けた操作部の操作量に応じた同期調整で、窓内に配置される障子を屋外方向に開閉固定位置調節自在とする窓装置において、
    前記操作部を、上記連結桿を併設した一方の枠の屋内側面部に配設し、当該操作部の操作による完全閉鎖状態を施錠状態とし、
    前記一方の枠に対向する他方の枠の屋内側面部には、当該他方の枠側に沿設した連結桿の摺動作動を規制・解除する補助施錠機構が配設されており、当該補助施錠機構は出没可能な係止ピンを備えており、障子が全閉した完全閉鎖状態で、他方の枠側に沿設した連結桿の端縁に臨む位置で突出する係止ピンにより、当該連結桿の摺動作動を規制するように構成されていることを特徴とする窓装置。
  2. 前記係止ピンは、屋内側で枠の延設方向に摺動するスライドノッチの操作で出没可能であり、前記補助施錠機構は、障子が全閉しない不完全閉鎖状態では、スライドノッチの操作とこれに連繋する係止ピンの突出作動が不可となるように装着されていることを特徴とする請求項1に記載の窓装置。
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