本実施形態のシート処理装置は画像形成装置に装着されており、画像形成装置から排出されるシートの処理を行う。まず、画像形成装置本体について説明する。図1は画像形成装置及びシート処理装置の構成を示す図である。画像形成装置はイメージリーダ200とプリンタ300から構成され、イメージリーダ200には原稿給送装置100が装着されている。原稿給送装置100は、上向きにセットされた原稿を上分離して、先頭頁から順に1枚ずつ左方向へ給紙し、湾曲したパスを介してプラテンガラス102上へ搬送し、原稿を読み取った後に排紙トレイ112へ排出する。スキャナユニット104のランプ103の光が原稿に照射され、その原稿からの反射光がミラー105、106、107、レンズ108を介してイメージセンサ109に導かれることにより読み取りが行われる。
イメージセンサ109により読み取った原稿の画像は画像処理が施されて露光制御部110へ送られる。露光制御部110は画像信号に応じたレーザ光を出力する。このレーザ光は感光ドラム111に照射され、感光ドラム111上に静電潜像が形成される。感光ドラム111上の静電潜像は現像器113により現像され、感光ドラム111上の現像剤はカセット114、115、手差し給紙部125、両面搬送パス124のいずれかから給送されたシートに転写部116で転写される。
現像剤が転写されたシートは定着部117で現像剤の定着処理が施される。定着部117を通過したシートはフラッパ121により一旦パス122に導き、シートの後端がフラッパ121を抜けた後にシートをスイッチバックさせてフラッパ121により排出ローラ118へ導く。これにより、現像剤が転写された面を下向きの状態(フェイスダウン)で排出ローラ118によりプリンタ300から排出される。これを反転排紙と称する。フェイスダウンで排出することにより原稿給送装置100を使用したときやコンピュータから出力された画像をプリントするときなどの様に先頭頁から順に画像形成するときに正しい頁順となる。
尚、手差し給紙部125からOHPシートなどの硬いシートに画像形成を行うときにはパス122に導くことなく、現像剤が転写された面を上向きの状態(フェイスアップ)で排出ローラ118から排出させる。また、片面原稿1枚を複写するときや、両面原稿1枚をシートの両面に複写するとき、片面原稿2枚をシートの両面に複写するときはフェイスアップで排出する。排出ローラ118から排出されたシートはフィニッシャ400へ送り込まれる。フィニッシャ400では綴じ処理等を行う。
又、シートの両面に画像形成する場合には、定着部117を通過したシートをフラッパ121によりパス122に導き、スイッチバックさせて両面搬送パス124へ導く。
原稿の読み取りは図2(a)に示すように、副走査方向に関しては、原稿に向かって右端から左端方向へ原稿を読み取る。読み取った画像は図2(b)のようになり、これを図2(c)のように180度回転した後に、図2(d)のようにシートに画像形成する。そして図2(e)のように画像形成されたシートを反転排紙して奥側を綴じ処理する。つまり、画像の左上を綴じることになる。尚、イメージセンサ109及び露光制御部110の主走査方向は矢印で示す方向である。
図3に上述の装置を制御するブロック図を示す。CPU回路部150はCPUを有し、ROM151に格納されているプログラム及び操作部1の設定に従って、原稿給送装置制御部101、イメージリーダ制御部201、画像信号制御部202、プリンタ制御部301、フィニッシャ制御部401、外部I/F203を司る。それぞれ、原稿給送装置制御部101は原稿給送装置100を、イメージリーダ制御部201はイメージリーダ200を、プリンタ制御部301はプリンタ300を、フィニッシャ制御部401はフィニッシャ400を制御する。RAM152は制御データを一時的に保持する領域や、制御に伴う演算の作業領域として用いられる。外部I/F203はコンピュータ204からのインターフェースであり、プリントデータを画像に展開して画像信号制御部202へ出力する。イメージリーダ制御部201から画像信号制御部202へはイメージセンサ109で読み取られた画像が出力され、画像信号制御部202からプリンタ制御部301へ出力された画像は露光制御部110へ入力される。
図4に画像信号制御部202の構成を示す。画像処理部205では画像の補処理や操作部1で設定に応じた編集処理を行う。画像はラインメモリ206、ページメモリ207を介してプリンタ制御部301へ出力される。ハードディスク208はページ順を入れ替えるときなどに必要に応じて用いられる。
図5にフィニッシャ400の構成を示す。プリンタ300から受け取ったシートはパス416を介して排紙ローラ415へ送り込まれ、排紙ローラ415は束排紙ベルト421上へ排出する(図20)。束排紙ベルト421に並行して数ミリ高い位置に低摩擦の中間処理トレイ(不図示)が設けられており、正確にはシートは中間処理トレイ上に載る。紙送りガイド413、414は板状の揺動部材であり、自重で垂れ下がっており、排紙ローラ415により排出されたシートを下方向に押さえつける。排出されたシートは斜めに設けられた中間処理トレイ(束排紙ベルト421)に沿って右下方向に落下する(図21)。扇形の戻しローラ417は左回転することにより、戻しローラ417の円弧に設けられた摩擦部材が束排紙ベルト421上に排出されたシートに当接し、この摩擦部材がシートを右下方向へ移動させ、シートの端部をストッパ板418に突き当てさせる(図22)。ステープルユニット419は奥側に設けられ、束排紙ベルト421上のシートに対してステープル処理する。束排紙ベルト421の長さがシートの積載に十分でない場合があるので、中間処理トレイ積載補助板421Bを束排紙ベルト421に設け、中間処理トレイにおけるシート積載面の長さを稼いでいる。整合板412は手前側と奥側に設けられ、束排紙ベルト421上のシートを整合する(図23)。また、整合板412によりスタックトレイ411上に積載される状態を手前側と奥側に振り分けるオフセット積載をすることができる(図24)。
束排紙ベルト421上のシートは束排紙ベルト421に設けられた束排紙レバー421Aによりスタックトレイ411上に排出される。束排紙レバー421Aは束排紙ベルト421を左回動させることによりシートを左上方向へ押し上げてスタックトレイ411上に排出する(図25)。尚、束排紙レバー421Aは中間処理トレイに設けられた切り欠きの中を移動する。スタックトレイ411はシート積載量に応じて昇降する。また、スタックトレイ411上のシートの上面が紙押さえレバー420の下側に位置するまでスタックトレイ411を下降させた後に上昇させることにより、シートの上面は紙押さえレバー420により押さえられ、次にスタックトレイ411上に排出されるシートによって左方向に押し出されることを防止する。
図6はフィニッシャ400内のセンサ及びモータを説明する図である。モータM1は排紙ローラ415を駆動し、モータM2は戻しローラ417及び束排紙ベルト421を駆動する。束排紙ベルト421はワンウェイクラッチ422を介してモータM2により駆動される。モータM2が逆転するときは戻しローラ417のみが左回転し、正転するときは戻しローラ417が右回転するとともに束排紙ベルト421が左回転する。図7にこの斜視図を示す。モータが黒い矢印方向に回転するとき各部は黒い矢印方向に回転し、モータが白い矢印方向に回転するとき各部は白い矢印方向に回転する。このように戻しローラ417と束排紙ベルト421を1つのモータで駆動するので低コスト化を図ることができる。
また、センサS3により戻しローラ417がホームポジションにあるかどうか検知する。また、センサS2がシートの先端を検知したことに応じて排紙ローラ415を起動し、後述するタイミングで排紙ローラ415を減速した後停止する。また、センサS5は束排紙ベルト421上のシートを検知し、センサS11はスタックトレイ411上のシートを検知する。また、センサS8は束排紙レバー421Aがホームポジションにあるかどうか検知する。図6における戻しローラ417、束排紙レバー421Aの位置がホームポジションである。
図6における戻しローラ417はシートが1枚排出される毎にホームポジションを起点として左方向にちょうど1回転する。戻しローラ417が左回転しているときは上述したように束排紙ベルト421は回転しない。また、束排紙レバー421Aのホームポジションはストッパ板418よりも少し右側である。但し、このまま束排紙ベルト421上のシートを束排紙しようとすると、それぞれホームポジションにある戻しローラ417と束排紙ベルト421を駆動することになり、戻しローラ417と束排紙ベルト421上のシート束とが接触して束排紙の妨げとなってしまう。そこで、戻しローラ417を左方向に1/8回転した後に、右方向に(1+1/8)回転することにより、束排紙レバー421Aの後ろに戻しローラ417が追いかけるような位置関係にする。なおかつ、戻しローラ417を右方向に(1+1/8)回転したときに束排紙ベルト421が左方向に1/2回転する関係になっている。図示するように束排紙ベルト421に2つの束排紙レバー421Aが等間隔に設けられており、1/2回転することにより再びホームポジションで停止することになる。
なお、次に束排紙が行われないときに排紙ローラ415からシートを排出するときには戻しローラ417を左方向に1回転させるが、次に束排出が行われるときに排紙ローラ415からシートを排出するときには戻しローラ417を左方向に1回転したときに停止させずにそのまま更に左方向に1/8回転して、上述したように右方向に回転させる。これにより束排出の際の処理時間を短縮することができる。
また、束排出するときに束排紙ベルト421を1/2回転させるが、そのまま1/2回転させると束排紙レバー421Aがスタックトレイ411に積載されたシート束にぶつかってしまう。なぜなら、スタックトレイ411は束排紙時のシート束の落下に適した距離になるような位置に制御されており、この状態でスタックトレイ411に積載されたシート束の上面は束排紙レバー421Aの軌道上にかかってしまうのである。そこで、束排紙レバー421Aが図8に示す束排紙ベルト421の直線部と略平行(不図示の中間処理トレイと略平行)になったところで束排紙ベルト421(モータM2)を一時停止させ、スタックトレイ411が下降したところで残りの回転を行ってホームポジションで停止する。これにより、束排紙レバー421Aがスタックトレイ411上のシートを巻き込むことを防止し、かつ束排紙ベルト421上にシート束の後端が残ってしまうことを防止できる。この動作は図11、12のモータM5の3番目、4番目に行われる*2の逆転時(下降時)にモータM2が一時停止しているものがこれに相当する。つまり、図11,12の*16で戻しローラ417は左方向に(1+1/8)回転し、*17+*18で戻しローラ417は右方向に(1+1/8)回転するとともに束排紙ベルト421は1/2回転する。
図9は整合板412の駆動機構を説明する図である。整合板412Aは手前側に、整合板412Bは奥側に設けられている。また、モータM3は整合板412Aを駆動し、モータM4は整合板412Bを駆動する。モータが黒い矢印方向に回転するとき各部は黒い矢印方向に回転し、モータが白い矢印方向に回転するとき各部は白い矢印方向に回転する。センサS6は整合板412Aのホームポジション検知のために、センサS7は整合板412Bのホームポジション検知のために設けられている。ステープルユニット419によりステープル処理する場合には、整合板412Bは最も奥側にセットした状態で、シートを整合板412Bに突き当てるべく、束排紙ベルト421上にシートが排出される毎に整合板412Aをシートに押し当てさせる。また、ステープル処理せずにオフセット排紙を行う場合には、整合板412A、412Bのそれぞれをシート幅に応じた距離にセットした状態で、整合板412A、412Bのいずれか一方にシートを突き当てるべく、束排紙ベルト421上にシートが排出される毎に整合板412A、412Bのいずれか他方をシートに押し当てさせる。そしてオフセット排紙時は束排紙を行う毎に整合板412A、412Bの位置を手前側・奥側・手前側・奥側・・・というように交互にシフトさせることにより、スタックトレイ411に積載されるシート束は束毎にオフセット(ずれた)状態になる(図24)。
尚、オフセット排紙するか否かを画像形成装置の操作部でユーザが適宜設定できるようになっており、この設定内容が画像形成装置からフィニッシャ400へ通知されて、これに応じてフィニッシャ400が動作する。
ここで、整合板412と戻しローラ417の駆動のタイミングについて説明する。前述したように、戻しローラ417はシート排出方向にシートを移動させ、整合板412はシート排出方向に対して直角方向にシートを移動させるように作用する。このように、戻しローラ417と整合板412は異なる方向に作用するため、両者の動作が重なるとシートに悪影響を及ぼす。そこで、図11、12のM2(戻しローラ417)の*16の動作を完了させたところで、M4(整合板412)の*14の動作を開始させる。これにより、戻しローラ417がシートに接触していない状態で整合板412を動作させることができ、シートへの悪影響を防止できる。
図10はスタックトレイ411の昇降機構を説明する図である。モータM5はスタックトレイ411を昇降させるとともに紙押さえレバー420を駆動する。センサS13はスタックトレイ411が上限に達したことを検知し、センサS12はスタックトレイ411が下限に達したことを検知する。また、フラグ423はスタックトレイ411上に積載されたシートが当接することにより内側へ押し込まれ、センサS10が押し込まれたフラグ423を検知することによりシートの高さを検知できる。モータが黒い矢印方向に回転するとき各部は黒い矢印方向に回転し、モータが白い矢印方向に回転するとき各部は白い矢印方向に回転する。紙押さえレバー420はスタックトレイ411が下降するときはスタックトレイ411から待避し、スタックトレイ411が上昇するときはスタックトレイ411上空に突出して、スタックトレイ411上のシートを押さえつける。
前述したように束排紙時にスタックトレイ411を下降させるのは、束排紙レバー421Aがスタックトレイ411上のシートに接触しないようにするためと、紙押さえレバー420を新たに束排紙されたシート束の上部に位置させるためである。スタックトレイ411を下降させた後に上昇させることにより新たに束排紙されたシート束の上部を紙押さえレバー420により押さえつけることができる。
図11に原稿2枚の2部複写を行い、フィニッシャ400でオフセット排紙(綴じ処理なし)を行った時の各部の動作タイミングチャートを示す。図12に原稿2枚の2部複写を行い、フィニッシャ400で綴じ処理を行ったときの各部の動作タイミングチャートを示す。モータのタイミングチャートの黒帯は正転を、斜線帯は逆転を示す。*1の数字はハイフンを挟んで左側が何部目かを右側が原稿何枚目かを示す。*2ではスタックトレイのシート高さを検知するセンサS10がオフするまで逆転(下降)する。*3では束排紙レバーのホームポジションを検知するセンサS8がオンするまで正転し、*4では戻しローラのホームポジションを検知するセンサS3がオンするまで逆転する。*5ではスタックトレイのシート高さを検知するセンサS10がオンするまで正転(上昇)する。*8では整合板のホームポジションを検知するセンサS6がオンするまで逆転(外側へ駆動)する。*9では整合板のホームポジションを検知するセンサS7がオンするまで逆転(外側へ駆動)する。*10では整合板412を待機位置まで移動させるよう正転(内側へ駆動)する。*14,15では整合板412をシート幅まで内側へ移動させた後に待機位置まで復帰させるように逆転及び正転させる。*16では束排出の際に戻しローラが417とシート束が干渉するのを防止するために、戻しローラ417がホームポジションに到達してから引き続き(一時停止することなく)1/8回転逆転駆動する。*18ではセンサ束排紙レバーのホームポジションを検知するセンサS8がオンするまで正転する。*19では戻しローラ417がオフしてから所定時間後にオンする。
図13にフィニッシャ400における排紙ローラ415の駆動制御のフローチャートを示す。図6に示すようにフィニッシャ400をコンパクトに提供しようとすると、排紙ローラ415とセンサS2の距離は短くなる。一方、排紙ローラ415が束排紙ベルト421上に排出するときの積載性を考慮すると、シートの排出中は排紙ローラ415により勢いよく蹴り出し、シートの後端が排紙ローラ415を抜ける時点では排紙ローラ415を減速することによってシートが束排紙ベルト421を飛び越えてしまうことを防止するのが望ましい。通常、後端を基準に減速する際にはシートの後端を検知したことに応じて減速する手法が採用されるが、上記のように排紙ローラ415とセンサS2の距離が短い場合には、シートが束排紙ベルト421を飛び越えることを防止できたとしても、積載性を向上させるのには十分といえない場合がある。そこで、コンパクトなフィニッシャでよりよい積載性を得るために次のような制御を行う。
フィニッシャ400(フィニッシャ制御部401)は画像形成装置(CPU回路部150)からそれぞれのシートのサイズ情報を受信している。まず、排紙ローラ415が排紙するべきシートのサイズが定型サイズであるか判別する(S101)。定型サイズであるときには、センサS2がオン(シートの先端が通過)したことに応じて(S102)、排紙ローラ415の駆動(モータM1)をオンして(S103)、シートサイズに応じた量排紙ローラ415を回転させたかどうか判断する(S104)。モータM1はステップモータであり、その回転量はフィニッシャ制御部401が常に管理している。シートサイズに応じた量回転したことに応じて排紙ローラ415を減速させ(S105)、停止させる(S106)。ステップS104での回転量は、ステップS106で排紙ローラ415が停止する直前にシートの後端が抜けるよう、シートサイズ及び排紙ローラ415の減速時間を考慮して設定されている。これにより、排出されたシートが束排紙ベルト421上で飛びすぎてしまうことがない。
一方、ステップS101で定型サイズでない、すなわちフリーサイズのシートであると判別したときには、センサS2がオン(シートの先端が通過)したことに応じて(S107)、排紙ローラ415の駆動をオンする(S108)。そして、センサS2がオフ(シートの後端が通過)したことに応じて(S109)、排紙ローラ415を減速させ(S110)、停止させる(S111)。但し、図6に示すセンサS2の位置だと、ステップS110で十分に減速される前にシートの後端が抜けてしまう。このタイミングは積載性としては十分でないがシートが束排紙ベルト421を飛び越えてしまうことはない。センサS2をもっと上流側に配置すれば積載性は向上するが、センサS2はシートジャム検知にも用いるので上流側に移動させることはできない。センサS2の位置はそのままでもう一つセンサを増やせばよいがコスト高になってしまう。このように低コストで可能な限り性能を向上させるために、パス416にはセンサを一つだけ設け、図13のような制御を行っている。
図14にフィニッシャ400における中間処理トレイの制御、特に束排紙ベルト421による束排紙の制御に関するフローチャートを示す。まず、画像形成動作前の初期動作として束排紙ベルト421(中間トレイ)にシートがあるかどうかセンサS5に基づいて判別する(S121)。束排紙ベルト421上にシートがある場合、そのシートが第2原図シートであるかどうか判別する(S122)。第2原図シートは製図等に用いられる薄くて腰のないシートである。図1の手差し給紙部125を使用する設定が画像形成装置側でなされると、画像形成装置の操作部の画面が図15(b)の状態になり、この画面でマテリアルキーを押すと図15(c)の状態になる。この画面で第2原図キーを押すことにより、手差し給紙部125から第2原図シートが給送されるとみなされ、画像形成装置からフィニッシャ400へシートを渡す際に画像形成装置からフィニッシャ400にシートに対応づけてマテリアル情報および給紙部情報を通知する。これによりフィニッシャ400は束排紙ベルト421上のシートは第2原図シートであるかどうか判別できる。なお、図15(a)は複写モードにおける通常待機時の操作部の画面であり、操作部で設定された画像形成部数などが表示される。
ステップS122で第2原図シートでないと判断したときは束排紙ベルト421を駆動して束排紙して(S123)、画像形成装置にスタンバイ信号を出力する(S126)。また、第2原図シートであると判断したときは画像形成装置に中間処理トレイオーバーフロー信号を出力する(S124)。中間処理トレイオーバーフロー信号を受信した画像形成装置は操作部に「中間処理トレイのシートを取り除いてください。」と表示する。そして、束排紙ベルト421(中間トレイ)上からシートがなくなるまで待機し(S125)、シートがなくなると画像形成装置にスタンバイ信号を出力する(S126)。また、ステップ121で束排紙ベルト421上にシートがない場合には画像形成装置にスタンバイ信号を出力する(S126)。フィニッシャ400からのスタンバイ信号に応じて画像形成装置はシートに画像形成を開始する。
ステップS126でスタンバイ信号を出力した後、変数S、N、Tのそれぞれを0にする(S127)。変数S、Nは中間処理トレイに過積載されない様に監視するための変数である。変数Tは主にOHPシートを排出する際にOHPに帯びた静電気によりスタックトレイ411上のシートに悪影響を及ぼさない様にするための変数である。次に、画像形成装置から排出されるシートのマテリアルの種類情報を受信して、第2原図であるか否か判別する(S128)。
ステップS128で第2原図でないと判別した場合は、以下の処理を行う。画像形成装置から受け取ったシートを束排紙ベルト421上に排出し(S129)、後述する変数Sに対する重み付けカウントを行う(S130)。そして、次に受け取るシートのサイズ情報を画像形成装置から受信して、既に束排紙ベルト421に積載されたシートの幅と次に受け取るシートの幅が異なるか否か判別する(S131)。両者の幅が異ならない場合は、次に現在受け取り中のシートに対する画像形成ジョブの設定がノンステープルモードであるか否か判別する(S132)。ノンステープルモードであるときには、ステップS129で束排紙ベルト421上に排出したシートが手差し給紙部125から給紙されたものであるかどうか判別する(S133)。手差し給紙部125から給紙されたシートである場合は変数Tに1加えて(S134)、変数Tが5になったかどうか判別する(S135)。変数Tが5になった、すなわち手差し給紙部125からシートが連続して5枚給送された場合には、束排紙ベルト421を駆動して束排紙を行って(S136)、ジョブが終了していなければ(S156)ステップS129へ戻る。なお、ステップS133で手差し給紙部125から給紙されたシートでない場合には変数Tを0にして(S137)、後述するステップS138へ進む。また、ステップS135で変数Tが5になっていない場合も、後述するステップS138へ進む。
手差し給紙部125はOHPシートを含む様々な種類のシートを給紙することができるように設計されている。OHPシートは通常の紙に比べて静電気を帯びやすい。従って通常の紙では30枚まとめて束排出ベルト421からスタックトレイ411へ束排紙してもスタックトレイ411上のシートに悪影響を及ぼさなかったとしても、OHPシートばかりを30枚まとめて束排紙すると、その重量と静電気の相乗効果によりスタックトレイ411上のシートをずらしてしまう恐れがある。そこで、OHPシートが給紙される可能性のある手差し給紙部125から給紙されたシートが5枚連続したときは、束排紙を行ってそれを防止している。
ステップS131で束排紙ベルト421に積載されたシートの幅と次に受け取るシートの幅が異なる場合は、ステップS136へ進み束排紙を行う。また、ステップS132でノンステープルモードでない、すなわちステープルモードであるときには、変数Sが60以上になったかどうか判別する(S138)。変数Sが60以上でない、すなわち60未満のときには画像形成装置からのジョブ区切り信号に基づいて区切り目であるかどうか判別する(S140)。ジョブの区切り目であるときにはステップS136へ進み束排紙する。また、ステップS138で変数Sが60以上であると判別した場合は現在のステープルを禁止にして(S139)、ステップ136へ進み束排紙する。
一方、ステップS128で第2原図シートであると判別したときには、画像形成装置から受け取ったシートを束排紙ベルト421上に排出し(S141)、変数Nに1加える(S142)。そして、変数Sに対する重み付けカウントを行い(S143)、変数Nが15になったかどうか判別する(S144)。変数Nが15になっていない場合は、変数Sが60以上になったかどうか判別する(S145)。変数Sが60以上になっていない場合には画像形成装置からのジョブ区切り信号に基づいて区切り目であるかどうか判別する(S146)。ジョブの区切り目でないときにはステップS141へ戻る。また、ジョブの区切り目であるときには、画像形成装置に中間処理トレイオーバーフロー信号を出力して(S147)、前述したように画像形成装置は中間処理トレイ上のシートを取り除いてもらうよう表示を行う。
第2原図シートは腰が弱く、束排紙に適していないので、束排紙は行わずにユーザに中間処理トレイから取り除いてもらう。このとき画像形成装置側でこれを促すための表示を起動させる信号として中間処理トレイオーバーフロー信号を用いている。ステップ147の後、束排紙ベルト421(中間処理トレイ)上からシートが取り除かれるまで(S148)、画像形成装置に対して中間処理トレイシート有信号を出力する(S149)。中間トレイオーバーフロー信号を受信して、中間トレイシート有信号を受信している間、画像形成装置は次の画像形成ジョブを開始しない。
また、ステップS144で変数Nが15になったとき、及びステップS145で変数Sが60以上となったときは、中間処理トレイが限界の積載量に達したとして画像形成装置に中間処理トレイオーバーフロー信号を出力し(S150)、ステップS148へ進む。このときも画像形成装置は中間処理トレイ上のシートを取り除いてもらうよう表示を行う。
なお、ステップS129以降の処理に進んだ場合(第2原図以外のシートの場合)には整合板412をシートサイズに応じて整合動作させ、戻しローラ417を左方向に回転させるが、ステップS141以降の処理に進んだ場合(第2原図シートの場合)には、シート積載を妨害しない位置に整合板412を待避させて、整合動作させないようにするとともに、戻しローラ417も駆動しない。第2原図シートを排出したときの束排紙ベルト421上の様子を図26に示す。
図16はステップS130、S143における重み付けカウントのフローチャートである。画像形成装置から受信した各シートのサイズ情報に基づいて、シート長(搬送方向の長さ)が297mm以下であるときには(S151)、変数Sに2を加える(S152)。また、シート長が297mmより長く、364mm以下のときには変数Sに3を加える(S154)。また、シート長が364mmより長いときには変数Sに4を加える(S155)。このようにシート長に応じてカウント値に重み付けを行うことにより、束排紙を行うときには束排紙に適した枚数までの中間処理トレイへの積載を可能にし、束排紙を行わないときには中間処理トレイ上でシートが散乱しない程度の積載を可能にしている。
図17はフィニッシャ400におけるスタックトレイ411の制御のフローチャートである。フィニッシャ400は図11、12に示されるように電源オン後はスタックトレイ用紙高さセンサS10がオン状態になるように制御される。そして、画像形成装置から受け取ったシートを束排紙(S161)した後に、スタックトレイ411を下降させ(S162)、スタックトレイ411が下限に達したか否かを下限センサS12(図10参照)により検知する(S163)。スタックトレイ411が下限に達していない、すなわち下限センサS12がオンになっていないときは、高さセンサS10がオフになった(図18参照)かどうか検知する(S164)。高さセンサS10がオフになっていないときはステップS162へ戻る。また、ステップ164で高さセンサS10がオフになったときには、高さセンサS10がオンになる(図19参照)までスタックトレイ411を上昇させ(S165、166)、高さセンサS10がオンになってから所定量上昇するまで引き続きスタックトレイ411を上昇させ(S167、S168)、停止させる(S169)。尚、スタックトレイ411を昇降させるモータM5は直流モータであり、直流モータの軸に設けられたエンコーダからのパルス数を入力することにより、フィニッシャ制御部401はスタックトレイ411の昇降量を監視することができる。
ステップS163でスタックトレイ411が下限に達した、すなわち下限センサS12がオンになったときには、スタッカオーバーフロー信号を画像形成装置へ出力し(S170)、スタックトレイ411の動作を停止させる(S171)。この信号を受信した画像形成装置はその操作部に「スタックトレイの紙を取り除いてください。」と表示する。そして、次の束排紙すべきジョブがあるかどうか判別し(S172)、ある場合は引き続き束排紙を行う(S173)。次の束排紙すべきジョブがない場合は、高さセンサS10がオフになるまで待機し(S174)、オフになったらスタッカオーバーフロー信号をオフにする(S175)。このように、スタックトレイ411の下降中に下限に達した場合はステップS165、S167の上昇動作を行わずに、下限検知時点ですでに停止できない状態になっているジョブ(例えばコンピュータ204から受けたジョブなど)に対応したいくつかの束分の束排紙処理を行う。
ここで、束排紙に適したスタックトレイ411の位置について説明する。束排紙ベルト421からスタックトレイ411上の積載面までの距離が離れすぎていると、スタックトレイ411上のシート束の積載性が悪い。また、排紙ローラ415に排出されている間のシートの先端は図27に示すような軌道をたどるため、上記距離が近すぎると、スタックトレイ411の積載面のうち、傾斜のきつい部分にシートの先端が突き当てられることになり、排紙ローラ415の搬送中にジャムが発生してしまう恐れがある。従って、ステップS162〜S169における下降および上昇制御により、束排紙ベルト421とスタックトレイ411上の積載面の距離をジャムになりにくくかつ積載性が良好になる距離にしている。
本形態ではスタックトレイ411上のシートの上面を高さセンサS10により検知するようにしているため、スタックトレイ411の下降中にシート上面が検知できないと、束排紙ベルト421とスタックトレイ411上の積載面との正確な距離を制御することができなくなる。そこで、束排紙されたシート枚数などから束の厚さを推測して制御してもよいが、シートの厚さはさまざまであり、推測したとおりの束の厚さにならない場合がある。仮に推測よりも厚い束が排出された場合には、前述したように束排紙ベルト421とスタックトレイ411の積載面の距離が近くなり、ジャムが発生する可能性が出てくる。このため、スタックトレイ411の下降中に下限に達すると、ステップS170〜S173の制御によりスタックトレイ411の上昇動作は行わずに残りの束排紙を行う。これによって、束排紙ベルト421とスタックトレイ411上の積載面との距離が若干大き目になって、スタックトレイ411上の積載性が悪くなる可能性があるが、ジャムの発生を防止できるうえ、この時点で束排紙されるシート束は最後のほうの束なので、多少積載性が悪くても大きな影響がでない。
なお、フィニッシャ400はコンパクトかつ低コストなフィニッシャを提供するために、束排紙ベルト421をやや短めにしてある。そして、A4RやA3サイズ等の長いシートを処理するときには、束排紙ベルト421上に収まらなかった部分をスタッカトレイ411上で支えている(図28)。
また、画像形成装置がステープルモードで画像形成ジョブを開始するときに、スタックトレイ411上にシートが積載されていることがセンサS11により検知されている場合、画像形成装置は操作部に「スタッ
クトレイからシートを取り除いてください。」と表示する。これは、ステープル処理されたシート束をスタックトレイ411に積載するとステープル部分が重なり合って積載性があまりよくないため、できるだけスタックトレイ411にシートが積載されていない状態で画像形成ジョブを開始したいためである。しかしながら、画像形成装置は複写モードだけでなくプリンタモードでも使用されるので、ユーザがその場にいないことも考慮して、シートが取り除かれなくても画像形成ジョブ(ステープル処理、束排紙処理も含む)を開始する。
また、画像形成装置がステープルモードで連続して30部の画像形成ジョブを完了した時点で、一旦画像形成ジョブを中断し、操作部に「スタックトレイからシートを取り除いてください。」と表示するとともに、スタックトレイ411からシートが取り除かれてセンサS11がオフになるまでは画像形成ジョブの再開を待機する。