JP4309496B2 - 老化の予防及び/または治療用組成物 - Google Patents

老化の予防及び/または治療用組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は蕎麦種子の成分を有効成分とする老化の予防及び/または治療用組成物に関する。さらに詳しく言えば、蕎麦種子それ自体、蕎麦種子からの抽出物、または蕎麦種子抽出物を分画して得られる画分を含有する老化の予防及び/または治療用組成物に関する。
本発明に係る老化の予防及び/または治療用組成物は、種々の症状で現れる老化現象、特に脳機能老化現象を予防あるいは改善する作用、すなわち(1)痴呆症 、アルツハイマー症候群等の脳の病的障害を予防、治療あるいは改善する作用、(2)学習能力、記憶・思考能力、言語・時空間・抽象的事象等の認知・弁別能力 等の脳の活動機能を活性化し、向上させる作用を有し、更に生体内の過酸化脂質生成抑制、高脂血症や糖尿病の改善、中性脂肪やコレステロールの低下等の作用を有するものであり、老化の予防及び/または治療用組成物として利用することができる。
【0002】
【従来の技術】
高齢化社会が到来し、痴呆症、アルツハイマー症候群等の脳疾患患者の一層の増大が危惧されている。脳疾患に罹患していないまでも、モノ忘れが激しくなった、度忘れすることが多くなった等の事象は人々が日常多く経験するところである。これらは脳疾患の形を取る老化現象の前兆と思われる場合が少くない。
脳疾患をはじめ各種疾病の要因には、一般に生体内で生成される活性酸素種が関与すると言われる。しかし、その関連性は完全に解明されておらず、活性酸素種の生成を完全に抑制し、これを制御する技術も開発されていないことから、脳疾患等に有効、確実な予防、治療技術は現状では存在しないと言わざるを得ない。
【0003】
近年、植物中に存在し、生理活性を有する天然物質についての関心が世界的に高まっており、実用化されている例も少くない。本発明者らは、我国で古来より食されている蕎麦種子に着目して研究を続け、既に蕎麦殻より抽出したエキスあるいはその分画物を有効成分とする過酸化脂質抑制剤、コレステロール低下剤、中性脂肪低下剤及び高脂血症改善剤を発明し、特許出願している(特願平9-25082号)。
【0004】
蕎麦は我国で常食される最もポピュラーな食品の一つで、引越し蕎麦、年越し蕎麦等で親しまれるほか、高血圧症予防、中性脂肪低下等の民間療法的効用も知られている。蕎麦種子の成分としては、ルチン、ケルセチン等のフラボノイド類、プロアントシアニジン等のポリフェノール類等が知られており、そのうちルチンの利用が一般的に知られている。
【0005】
ポリフェノール化合物は植物の二次代謝産物であり、植物界に普遍的かつ多種、多量に存在することが知られ、多彩な生理活性を示すため薬学、植物化学等の分野では以前から注目されてきた。健康食品分野で最近着目されている茶ポリフェノール、特にカテキン類は、抗菌、抗ウイルス、抗突然変異、抗酸化、血圧上昇抑制、血中コレステロール低下、抗う蝕、抗アレルギー、腸内フローラ改善、消臭等の様々な作用を持つことが知られている。
【0006】
蕎麦種子の成分に関する研究報告もなされ、ポリフェノール化合物の生理活性効果に言及した報告も見られるが、蕎麦種子中の成分の脳機能改善効果に着目し、その利用を図った例はこれまで知られていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、食品として長期間利用され、安全性が確認されている蕎麦種子に含まれる生理活性成分を老化現象の予防及び/または治療に利用しようとするものである。すなわち、痴呆、アルツハイマー症候群等、脳の病的障害等を予防、治療、改善する作用、学習能力、記憶・思考能力、言語・時空間・抽象的事象等を認知、弁別する能力等、脳の活動機能の活性化あるいは向上作用を有する、老化現象の予防及び/または治療用組成物の提供を目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
蕎麦種子に含まれるポリフェノール化合物その他の有用成分を効率的に分取し、それらを本発明の課題を解決するための組成物として利用すべく、本発明者らは蕎麦種子の抽出、分離、分取、分画処理等の試験、動物及びヒトへの投与試験等について鋭意検討を重ねた。その結果、蕎麦種子それ自体、蕎麦種子から抽出したエキス、このエキスの分画・精製物等に脳機能改善効果等のあることを確認して、老化現象の予防及び/または治療用組成物に係る本発明を完成した。
本発明の組成物は脳機能改善作用などを持つ老化現象の予防及び/または治療用組成物として利用でき、同時に生体内の過酸化脂質生成抑制、高脂血症改善、中性脂肪低下、コレステロール低下、糖尿病改善等の作用を有する組成物としても利用することができる。
【0009】
すなわち、本発明は
1)蕎麦種子の成分を有効成分とする老化の予防及び/または治療用組成物、
2)蕎麦の種子、蕎麦種子の抽出物または蕎麦種子抽出物の分画物を含有する前記1記載の老化の予防及び/または治療用組成物、
3)分子量1万以下である蕎麦種子抽出物の分画物を含有する前記2記載の老化の予防及び/または治療用組成物、
4)脳機能改善作用を有する前記1乃至3のいずれかに記載の老化の予防及び/または治療用組成物、
5)痴呆症の予防及び/または改善作用を有する前記1乃至4のいずれかに記載の老化の予防及び/または治療用組成物、
6)アルツハイマー症候群の予防及び/または改善作用を有する前記1乃至4のいずれかに記載の老化の予防及び/または治療用組成物、及び
7)過酸化脂質抑制作用、高脂血症改善作用、中性脂肪低下作用及び/またはコレステロール低下作用を有する前記1乃至6のいずれかに記載の老化の予防及び/または治療用組成物に関する。
【0010】
以下本発明を詳しく説明する。
本発明に係る老化の予防及び/または治療用組成物の有効成分は、蕎麦種子それ自体または必要により適宜粉末化したもの、あるいは蕎麦種子を水、アルコールその他の溶媒で抽出して得たエキス、あるいはこのエキスを更に適宜の手段により分画、精製して得た特定の画分のいずれかを含有するものである。
通常、蕎麦種子は薄膜で被覆された子実、すなわち蕎麦粉を採取する部分の外側を、蕎麦殻と呼ばれる表皮で覆った構造からなるが、本発明で言う蕎麦種子とは、このような構造の種子全体、あるいはその一部(子実、薄膜、あるいは殻等)を指し、必要によりこれらを単独で、あるいは2種以上を併用する。
【0011】
蕎麦種子それ自体を用いる場合は、適宜粉砕、篩別等の処理を施した粉末として用いる。粉砕、篩別処理の前後には、必要により加熱、加圧その他の物理的処理を行ってもよい。粉砕、篩別その他の処理には、通常一般的に使用される機器類を、通常の条件で使用すればよい。
【0012】
蕎麦種子からのエキス抽出に用いる溶媒としては、通常、水系溶媒(水、または酸、塩、塩基、アルコール等の水溶液)、有機溶媒、あるいはこれらの混合物が用いられる。エキス抽出は常圧または加圧下で、常温ないし60℃程度で1〜3時間程度行われるが、必要により70〜150℃程度としてもよく、時間も1時間以下に短縮、あるいは3〜5時間程度に延長してもよい。いずれの条件でも所要の品質の抽出エキスの回収が可能であり、抽出条件は作業性や経済性等を考慮して適宜選択すればよい。抽出処理後、ろ過、遠心分離等適宜の手段で抽出液を回収し、必要により溶媒除去、エキス分の濃縮、乾燥、粉末化等の処理を行う。濃縮エキスの乾燥、粉末化に際し、適宜の賦形剤を使用してもよい。
【0013】
蕎麦種子の抽出エキスを、限外ろ過、逆浸透等の膜処理、または各種クロマトグラフィー処理することにより、目的とする活性画分が得られる。吸着剤としては、スチレン・ジビニルベンゼン系やメタクリル酸系等の吸着剤、親水性ビニルポリマー、修飾デキストランゲル、ポリアクリルアミドゲル、逆相系シリカゲル、イオン交換樹脂等が用いられる。吸着画分は、含水アルコール、アルコール、アセトン等で溶出して回収される。画分の主成分はポリフェノール化合物であるが、これ以外にも生理活性を有する数種類の物質が存在する。
【0014】
一般に分子量の低い物質はより容易に生体内へ吸収されると言われるが、蕎麦種子の抽出エキスを限外ろ過により分子量1万で分画したとき、分子量1万以下の画分に高い脳機能改善活性が認められた。
【0015】
本発明の組成物を老化促進マウスに投与したところ、脳中のプロテインキナーゼC(PKC)の活性向上、学習能力改善等の脳機能改善効果が確認された。更に、本発明の医薬組成物をヒトに投与した場合も、学習能力の改善、向上効果が認められると同時に、イライラ感の減少、不眠の解消、落着き回復等、脳機能に関連すると考えられる諸状態が改善された。その上、活性酸素種による生体内物質の酸化的変性が原因と考えられる、血中の過酸化脂質の低下、SOD(スーパーオキシドジスムターゼ)活性の上昇等が認められた。
【0016】
従って、本発明による老化の予防及び/または治療用組成物は脳機能改善作用、すなわち、痴呆症、アルツハイマー症候群等、脳の病的障害を予防・治療・改善する効果、及び学習能力、記憶・思考能力、言語・時空間・抽象的事象等を認知、弁別する能力等、脳の活動機能の活性化・向上作用が期待でき、同時に生体内の過酸化脂質の生成抑制、SOD活性の上昇等の効果をも期待することができる。
【0017】
本発明の組成物は、前記のとおり活性酸素種により生じる生体内物質の酸化的変性を抑えるため、生体内での過酸化脂質の生成が引金となると考えられる高脂血症や糖尿病等を改善し、中性脂肪やコレステロール等を低下させる効果をも有する。また、食品や化粧品中の脂質の酸化を抑え、これを安定化することも可能である。
【0018】
本発明の組成物には慢性、急性毒性ともに全く認められず、安全に使用することができる。
【0019】
本発明の組成物は経口または非経口で用いられる。投与量は年齢、体重、症状、目的の治療効果、投与方法等により変動があるが、経口的使用の場合は通常、成人一人あたり一回につき、100〜600mgが適当である。一般に、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、シロップ剤等の形で投与されるが、必要により注射剤、塗布剤等で用いる場合もある。更に、造粒、錠剤化あるいはシロップ剤、塗布剤等調製の際、必要により適宜の補助資材(澱粉類、デキストリン、甘味料類、色素、香料等)を使用することもできる。
【0020】
【実施例】
以下に本発明に係る老化の予防及び/または治療用組成物の製造例、試験例等を掲げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの範囲内に限定されるものではない。下記の説明中の%は、特に記載がない限り重量%を表す。
製造例1:蕎麦種子粉砕物、抽出エキス、エキス分画物試料の製造
蕎麦種子(北海道産)を水洗、乾燥した後、以下の試料1〜6を調製した。
(1)試料1:蕎麦種子全体を40メッシュ以下に粉砕、篩別した粉末、
(2)試料2:(1)の粉末1kgに水20リットルを加え、加圧下120℃、1時間撹拌抽出処理した後、抽出液を減圧下で濃縮、乾固したエキス(収量264.6g) 、
(3)試料3:(2)のエキス50gを水1リットルに溶解、限外ろ過膜(アドバンテックウルトラフィルターQ100,分画分子量1万)で適宜水を加えつつ分画した膜不通過部分(分子量1万以上の画分)の減圧濃縮物(収量19.8g)、
(4)試料4:(3)の方法で分画した膜通過部分(分子量1万以下の画分)の減圧濃縮物(収量29.2g)、
(5)試料5:(2)のエキス50gを水100mlに溶解し、セファデックスLH−20(ファルマシア社製,修飾デキストランゲル)に吸着させた後、吸着成分を水で溶出し凍結乾燥した水溶出画分(収量29.4g)、
(6)試料6:(5)のデキストランゲル吸着成分を50%アセトン水溶液で溶出し凍結乾燥したアセトン溶出画分(収量18.6g)。
【0021】
製造例1で得た各試料についてポリフェノール含有量をフォリン・デニス法ににしたがって測定した。フォリン・デニス法は、試料水溶液にフォリン試薬を加えて700nmの吸光度を測定し、カテキンを用いた検量線を用いてポリフェノール量を求めるものである。結果を表1に示す。
【0022】
【表1】
Figure 0004309496
【0023】
試験例1:マウスの脳中プロテインキナーゼC(PKC)の活性化試験
8週齢ddY系雄マウスを下記の7試験区(1群5匹)に分け、製造例1の試料1〜6を配合した飼料で14日間飼育(期間中、飼料及び水は自由摂取)の後、各試験区とも15日目に解剖して脳の摘出及び血液採取を行い、脳中のPKC量、血液中の過酸化脂質量とSOD活性等を下記の方法で測定した。
【0024】
試験区(1):コントロール(通常食,日本クレア社製のマウス等用飼料CE−2 )、
試験区(2):通常食に対して試料1(蕎麦種子粉末)5%添加、
試験区(3):通常食に対して試料2(抽出エキス)0.75%添加、
試験区(4):通常食に対して試料3(分子量1万以上の画分)0.75%添加、
試験区(5):通常食に対して試料4(分子量1万以下の画分)0.75%添加、
試験区(6):通常食に対して試料5(ゲル吸着成分,水溶出部)0.75%添加、
試験区(7):通常食に対して試料6(ゲル吸着成分,アセトン溶出部)0.75%添 加。
【0025】
脳のPKC活性の測定方法:
MPBS緩衝液を加えてホモジナイズした試料(マウスの脳)につき、PKC測定用キット(PIERCE社製,Pierce Colorimetric PKC AssayKit,SpinZyme Format)を用いて測定した。
結果を図1に示す(図中の縦軸のUは単位を表す。)。試験区(2)、(3)、(4) 、(6)、すなわち蕎麦種子粉末、蕎麦種子抽出エキス、分子量1万以下のエキス 分画物、エキスの修飾デキストランゲル吸着成分のアセトン水溶液溶出部(ポリフェノール化合物を多く含む画分)を投与した試験区ではコントロールに比べて、脳中のPKC量が上昇していることが観察された。一方、分子量1万以上のエキス分画物、エキスの修飾デキストランゲル吸着物の水溶出部(ポリフェノール化合物の少い画分)ではコントロールと大きな差異は認められなかった。
【0026】
試験例2:老化促進マウス(SAM)を用いた学習能力改善試験
15週齢の、雌性老化促進モデルマウスSAM−P/8(生後8ケ月齢で、神経細胞の脱落に起因する、著しい学習・記憶障害を示すマウス)をコントロール群(通常食)、蕎麦種子抽出エキス群(通常食に0.5%のエキス添加)の2試験 区(1試験区4匹)に分け8週間飼育(餌料及び水は自由摂取)した。
学習能力改善効果の判定は、八方放射状迷路を用いる試験法によった。この方法は、透明(内外から観察可能)な八本の通路を放射状に設け、各通路末端に餌を置き、試験開始15時間前から絶食させたマウスを放射状通路の中心、すなわち各通路の入口が集中する場所に置いて、マウスが八方向通路末端それぞれに置かれた餌を食べ切るまでの時間、及び誤った通路(すなわち、既に餌を食べ終り、餌の存在しない通路)への侵入回数(誤回答回数)を測定するものである。八方向放射状迷路は一定環境の室内に常設しておき、全ての試験をそこで行った。試験は各試験区の試料投与0日目に開始し、以後所定の日をおいて試験を行った。結果を表2及び表3に示す。
【0027】
【表2】
Figure 0004309496
【0028】
【表3】
Figure 0004309496
【0029】
表2及び表3から明かなように、放射状八方迷路試験では蕎麦種子エキス群の正回答時間、誤回答回数は、コントロール群に比し良好な傾向にあり、蕎麦種子エキスに記憶能力改善効果のあることを窺わせるものである。
【0030】
製造例2:ヒト試験用試料の調製
蕎麦種子(北海道産)の40メッシュ以下粉砕物5kgに水100リットルを加え、加圧下、150℃で30分間撹拌抽出を行った。抽出液をろ過、減圧濃縮して得たエキス濃縮物に、固形分50%となるようにデキストリンを加えて凍結乾燥し、乾燥粉末2102.7gを得て、これを1カプセル当り250mgのハードカプセルに充填してヒト試験用試料とした。
【0031】
試験例3:ヒトへの投与による学習能力向上等の試験
ヒト試験は31名の健常なボランティア(年齢20〜35歳の女子11名、年齢22〜69歳の男子20名)を対象とし、製造例2で得た250mg入りカプセルを各人に1日4個ずつ、朝、夕の2回に分けて(原則として食後)14日間投与した。試料の投与直前、及び14日間の投与終了後に被検者各人の記憶能力試験を行い、また採血を行って血液中の過酸化脂質量及びSOD活性を測定した。試験法及び測定法は以下の通りである。
【0032】
記憶能力試験法:
(1)単語記憶:被検者に27個の単語を2秒おきに読上げて記憶させ、全単語の 読上げ終了3分後に、記憶している単語を用紙に記入させる。
(2)数列記憶:数字、アルファベットが混在する15ケタの数列を15秒間掲示 して記憶させ、記憶した数列を用紙に記入させる。
【0033】
過酸化脂質量測定法:
チオバルビツール酸(TBA)法によった。この方法は、試料(血液)に硫酸酸性下でリンタングステン酸溶液を加えて生じた沈殿(タンパクと過酸化脂質)を遠心分離、洗浄して類似呈色物質を除き、過酸化脂質を含む沈殿をTBAと共に酸性条件下で加熱して得た赤色の反応生成物のブタノール抽出物を515nmの光で励起し、波長553nm付近の蛍光強度を測定するものであり、八木法、蛍光法などとも呼ばれている。
【0034】
SOD活性測定法:
NBT還元法によった。この方法は、キサンチンにキサンチンオキシダーゼを作用させて生成するスーパーオキシドアニオンが、ニトロブルーテトラゾリウムを還元して形成するジホルマザンを測定するもので、試料中にSODあるいはSOD様活性が存在すると、ジホルマザン形成が減少するので、その程度を阻害率としてSOD活性を求めるものである。
記憶能力試験、血液中の過酸化脂質量及びSOD活性測定の結果を表4及び表5に示す。
【0035】
【表4】
Figure 0004309496
【0036】
【表5】
Figure 0004309496
【0037】
以上の結果から明かなように、記憶能力試験では単語記憶、数列記憶ともに投与前に比べ投与後が優れており、能力改善効果が認められる。この記憶能力改善効果を裏付けるように、投与後の血液中過酸化脂質量は投与前に比して低下し、同じくSOD活性は上昇し活性が高まっている。従って、本試験例は本発明組成物に脳機能改善作用のあることを示している。
【0038】
試験例4:ヒトへの投与による感情面等の安定化効果試験
健常なボランティア8名(14〜68歳の女子6名、34歳及び40歳の男子2名)に、試験例2で得た250mg入りカプセルを各人に1日4個ずつ、朝、夕の2回に分けて2ケ月間投与し、投与前後の感情・心情面の状態変化(例えば、落着き・安心/不安感・圧迫/切迫感・高揚/抑鬱感・虚脱感・焦燥/イライラ感等の有無)、身体面の状態変化(例えば、不眠/寝付けない・頭痛/頭が重い等の有無)を各人に自己評価させ、記録させた。その結果をまとめて以下に示す。
【0039】
[ボランティアの自己評価]
(1)男子(34歳,コンピュータ関係の業務)
仕事が過密で、神経的にイライラすることが多かった。カプセル服用を開始した後、次第に気持ちが落着いて仕事のみならず、何事にも気持を集中できるようになった。
(2)男子(40歳,品質管理)
夜半、熟睡中に目が醒め、音楽を聞かないと寝付けないことが多かった。カプセルの服用後はそのようなこともなく、安眠、熟睡できるようになった。
(3)女子(45、51、58歳,いずれも主婦)
長年、不眠症で悩んでいたが、カプセル服用を始めてからは良く眠れるようになり、不眠症が解消したと大変に喜んでいる。
【0040】
(4)女子(14歳,学生)
受験を前にして気持がイラつき、勉強が手につかないことも多かった。カプセルを飲み始めてからは気持に落着を取り戻し、今では進んでカプセルを飲むようになった。
(5)女子(21歳,無職)
数年の間拒食症・過食症を繰返し、両親を心配させていた。カプセル服用後は少しづつ落着きが出て、自動車運転免許を取れる状態にまでなり、両親も非常に安心している。
(6)女子(68歳,無職)
イライラすることが多く、物事の判断も感情に左右され勝ちだったのが、カプセルを飲み始めてからそのようなことも無くなり、物事を公平に見られるようになった。このカプセルは、今後の人生をより豊かに過ごすために、不可欠のものと信じている。
【0041】
以上に示したように、ヒトに本発明の組成物を投与することにより、落着き・集中力等の獲得、維持、イライラ感の解消、不眠症の解消等の諸効果が確認された。これらの効果は、本発明に係る組成物の、ヒトの脳及び神経系への作用に基くものと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の組成物を含む各種試料のPKC活性測定結果を示す。

Claims (5)

  1. 蕎麦種子の成分を有効成分とする脳機能改善用組成物。
  2. 脳機能改善が、痴呆症の予防及び/または改善である請求項1に記載の脳機能改善用組成物。
  3. 脳機能改善が、アルツハイマー症候群の予防及び/または改善である請求項1に記載の脳機能改善用組成物。
  4. 蕎麦の種子、蕎麦種子の抽出物または蕎麦種子抽出物の分画物を含有する請求項1〜3のいずれかに記載の脳機能改善用組成物。
  5. 分子量1万以下である蕎麦種子抽出物の分画物を含有する請求項記載の脳機能改善用組成物。
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