JP4308124B2 - レーザビームろう接法及びレーザ照射装置 - Google Patents
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図11は従来の技術の基本原理を説明する図であり、被接合材101に、レーザビーム投射部102及びはんだ材103の先端を臨ませ、はんだ材103の先端にレーザビーム104を照射することで、はんだ材103を溶融させる。
すなわち、ガス噴射手段などを付加することなく、はんだ材(ろう材)を効率よく熱することができる技術が求められている。
前記レーザビームは、前記ろう材の軸線に対して40°〜60°傾斜させ、ろう材の粗面に対して傾斜させて照射させることを特徴とする。
このレーザ照射装置(40)は、レーザビーム(矢印A)を発生させるレーザ発振器(41)と、このレーザ発振器(41)で発生されたレーザビーム(矢印A)が導かれ前記レーザビーム(矢印A)の一部を予熱用レーザビーム(31)として直進させ残部を反射させるハーフミラー(45)と、このハーフミラー(45)により反射されたレーザビーム(矢印C)の一部を通過させ前記ろう材(10)を溶融させるためのレーザビーム(26A)とし残部を反射させ前記ろう材(10)を溶融させるためのレーザビーム(26B)とするハーフミラー(46)とを備えることを特徴とする。
この結果、より接合作業の生産性を高めることができると共にレーザ照射装置の一層の小型化が可能となる。
請求項2に係る発明では、1台のレーザ発振器が発生したレーザビームを、予熱用のレーザビームと、ろう材を溶融する2本のレーザビームとに分流することができる。高価なレーザ発信器が1台で済むためレーザ照射装置の低コスト化を促すことができる。
図1は本発明に係るろう材を対象とする表面処理の原理図であり、細い丸棒状のろう材10に、ブラストノズル11を臨ませ、このブラストノズル11から微細な研磨剤12を高速で吹き付ける。研磨剤12が当たった箇所が窪むため、ろう材10の表面が粗面になる。
なお、6質量%以上のマンガンを含有するとろう材に気泡が残存する可能性があるため、6質量%以下とした。
そのためには、例えば、マスク13、13をろう材10に沿える若しくは被せる。マスク13が不要な研磨剤14を遮断するため、必要な部位に研磨剤12を当てることで、必要な部位だけブラスト処理を施すことができる。
(a)は輪郭曲線の算術平均高さ(以下、算術平均粗さRaという)を説明するグラフであり、粗さの凹凸(山谷)を示す粗さ曲線20から、輪郭曲線のカットオフ値で規定される粗さ曲線用の基準長さlr(以下、基準長さlrという)を切り出し、この基準長さlrにおける粗さ曲線20の平均線21を定める。
そして、原点Oからxだけ離れた位置における高さをZ(x)とし、原点Oからx=lrまでの高さを積分する。この積分値を、算術平均粗さRaと呼ぶ。
以上のRa、Rz及びRSmは公知の粗さ測定装置で測定することができる。粗さ測定装置については説明を省略する。
図4は本発明に係るレーザビームろう接法の原理図であり、ろう材10を、ろう材ガイド23で案内しつつ、被接合材24へ送る。そして、ろう材10の軸線25が被接合材24と交わる点の直前位置にて、ろう材10にレーザビーム26を照射し、ろう材10を溶融させる。27はビーム照射管である。
また、ろう材10の軸線25とレーザビーム26の軸線とのなす角度をθとする。この傾斜角度θについては後述する。
そして、レーザ発振器41で発生させたレーザビームを矢印Aのごとく、ハーフミラー45に導き、一部を矢印Bのごとく直進させて予熱用のレーザビーム31とし、残部を矢印Cのごとく反射させる。
本発明に係る実験例を以下に述べる。なお、本発明は実験例に限定されるものではない。
本発明はろう材の表面を粗面にしたことを特徴とする。粗さの大きさを種々設定してレーザビームの吸収性能、すなわち入熱効率を確認する実験を行った。
ろう材の径:1.6mm
ろう材の材質:Siが3.5質量%で残部が銅。96.5Cu−3.5Siと表記する。
表面処理:ブラスト処理
粗さ:次表に示す。
レーザの種類:YAGレーザ
最大出力:4kW
レーザ出力を低めに設定し、大気中に置いたろう材にレーザビームを照射する。1/30秒以内に1.6mm径の全断面が溶解すれば「ろう材が溶解した」と判断する。
レーザ出力を段階的に増加して実験を行い、ろう材が溶解したときのレーザ出力を記録する。
1.6mm径で96.5Cu−3.5Siのろう材で且つ表面処理を施さないろう材で実験した。表面処理を施さないため、算術平均粗さRaは0.1μm、最大高さ粗さは1μm、平均長さは230μmであった。このようなろう材を溶解するのに必要なレーザ出力は150Wであった。このレーザ出力を100%と表記する。
1.6mm径で96.5Cu−3.5Siのろう材で且つ表面処理を施したろう材で実験した。表面処理を施したので、算術平均粗さRaは0.5μm、最大高さ粗さは4μm、平均長さは50μmになった。このようなろう材を溶解するのに必要なレーザ出力は比較例1に比較して65%で十分であった。
粗さを徐々に大きくして必要なレーザ出力を調べた。実施例3の必要レーザ出力が最小であり、実施例3より粗さを大きくした実施例4〜6では必要レーザ出力が大きくなった。
1.6mm径で96.5Cu−3.5Siのろう材で且つ表面処理を施したろう材で実験した。粗さを大きくしたので、算術平均粗さRaは5.5μm、最大高さ粗さは40μm、平均長さは180μmになった。このようなろう材を溶解するのに必要なレーザ出力は85%まで増加した。
(a)は比較例1の説明図であり、平滑なろう材10へレーザビーム26を照射すると点P1で反射する。
(b)は実施例の説明図であり、凹凸(山谷)のあるろう材10へレーザビーム26を照射すると、点P1で反射し、この反射光が点P2で反射し、さらに点P3で反射する。
以上のことから、ろう材に付与する粗さには好適範囲が存在することが分かった。
(a)は算術平均粗さRaと必要レーザ出力の関係を示すグラフであるが、横軸で0〜0.5μmの範囲では、必要レーザ出力が急激に変化した。また、横軸で4.5μmを超える範囲では、必要レーザ出力が急増する。逆に、横軸で0.5μm〜4.5μmの範囲では、70%以下のレーザ出力に安定的に抑えることができる。
ろう材に付与する粗さを、最大高さ粗さRzで表す場合は(b)から4μm〜30μmの範囲に設定すればよく、平均長さRSmで表す場合は(c)から50μm〜150μmの範囲に設定すればよい。
また、請求項1での粗面は、ブラスト処理の他、ヤスリなどでも形成可能であるから、処理方法は任意である。
Claims (2)
- レーザビームを照射することでろう材を溶かして被接合材を接合し、
前記ろう材として、表面の算術平均高さRaが0.5μm〜4.5μmの範囲になるように粗面処理したろう材を使用するレーザビームろう接法であって、
前記レーザビームは、前記ろう材の軸線に対して40°〜60°傾斜させ、ろう材の粗面に対して傾斜させて照射させることを特徴とするレーザビームろう接法。 - 請求項1記載のレーザビームろう接法を使用するためのレーザ照射装置(40)であって、
このレーザ照射装置(40)は、レーザビーム(矢印A)を発生させるレーザ発振器(41)と、このレーザ発振器(41)で発生されたレーザビーム(矢印A)が導かれ前記レーザビーム(矢印A)の一部を予熱用レーザビーム(31)として直進させ残部を反射させるハーフミラー(45)と、このハーフミラー(45)により反射されたレーザビーム(矢印C)の一部を通過させ前記ろう材(10)を溶融させるためのレーザビーム(26A)とし残部を反射させ前記ろう材(10)を溶融させるためのレーザビーム(26B)とするハーフミラー(46)とを備えることを特徴とするレーザ照射装置。
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