JP4307690B2 - 裏込め材充填用膨張体、裏込め材充填方法及び裏込め材充填用膨張体の注入口 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、シールド工法などでトンネルを構築する際にセグメントと地山との間をシールする為に用いられる裏込め材充填用膨張体や、またはトンネル支保工へ取り付けられる裏込め材充填用膨張体、裏込め材充填方法及び裏込め材充填用膨張体の注入口に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、この種の裏込め材充填用膨張体には、注入口が裏込め材注入時に裏込め材が充填される袋体から抜けないような金属製や樹脂製のフランジ型の注入口が多く用いられている。このフランジ型の注入口の場合、フランジ部が変形しないため、このフランジ部を袋体内に差し込む為に大きな開口が必要であった。
【0003】
【発明が解決しようする課題】
ところが、このように開口を大きく形成するため、袋体の切断する糸が多くなり、袋体の強度が低下するという問題があった。また、トンネル構築時に使用するセグメントや支保工の外観形状はリング状或いはアーチ状である。このため、注入口に金属製や樹脂製のような剛体のフランジ部を用いると、セグメントや支保工と密着しないため、袋体の組み立て高さが嵩高になる。また、セグメントや支保工と密着させるために、フランジ部の形状をこれらセグメントや支保工の曲面形状に合わせて製作すると、製造コストが高価なものとなる。
【0004】
本発明は、前記問題に鑑みなされたものであり、簡単な構造で注入口の抜け止めが確実に且つ容易に行え、また、例えば、トンネル構築時のセグメントや支保工等の接触部材の形状に沿うように膨張する裏込め材充填用膨張体、裏込め材充填方法及び裏込め材充填用膨張体の注入口を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための請求項1の発明は、裏込め材が充填されることにより膨張する袋体と、この袋体に設けられた開口に取り付けられ、前記裏込め材を注入するための注入口とからなる裏込め材充填用膨張体であって、前記注入口が、前記開口に差し込まれた筒状体と、この筒状体の一端に形成され、前記筒状体より大径の異径筒状織物と、この異径筒状織物に設けられた穴とからなる裏込め材充填用膨張体である。
筒状体より大径の異径筒状織物が、袋体内へ開口より差し込まれ、この異径筒状織物に設けられた穴を介して裏込め材が袋体へ注入されていくため、この異径筒状織物が、袋体の内部で膨らみ、袋体から抜け出ることを防止する。また、この異径筒状織物は袋体の膨らむ方向に沿って、密着して膨らんでいくため、注入口の部分で袋体が嵩高くなることがなくなる。
【0006】
請求項2の発明は、前記異径筒状織物が膨らむ時の外径が、前記袋体の内径より大きい請求項1に記載の裏込め材充填用膨張体である。
異径筒状織物の膨らむ時の外径が、袋体の内径より大きいため、袋体の中で、異径筒状織物と袋体が密着し、袋体内でずれることがない。また、袋体の開口から裏込め材が漏れることを防止できる。
【0007】
請求項3の発明は、請求項1に記載の裏込め材充填用膨張体を用いる裏込め材充填方法であって、前記異径筒状織物に裏込め材を注入することにより、前記異径筒状織物を前記袋体の中で膨らませ、前記異径筒状織物が前記開口から抜けなくなるようにして、前記異径筒状織物を経て前記袋体に裏込め材を注入する裏込め材充填方法である。
異径筒状織物が袋体の中で袋体よりも先に膨らみ、袋体の開口から抜けないようになるとともに、裏込め材の漏れの防止が可能となる。
【0008】
請求項4の発明は、請求項2に記載の裏込め材充填用膨張体を用いる裏込め材充填方法であって、前記異径筒状織物に裏込め材を注入することにより、前記異径筒状織物を前記袋体の中で膨らませ、前記異径筒状織物が前記開口から抜けなくなるようにすると共に、前記異径筒状織物を前記袋体の中で固定させてから、前記異径筒状織物を経て前記袋体に裏込め材を注入する裏込め材充填方法である。
注入口が袋体内で膨張して、安定した状態で固定されるとともに、袋体から確実に抜けなくなるため、裏込め材の注入時に注入口がずれることがなくなるとともに、裏込め材の漏れの防止が可能となる。
【0009】
請求項5の発明は、裏込め材が充填されることにより膨張する袋体の開口に取り付けられる注入口であって、前記袋体の開口に差し込まれる筒状体と、この筒状体の一端に形成された前記筒状体より大径な異径筒状織物で形成された抜け止め部とからなる裏込め材充填用膨張体の注入口である。
抜け止め部となる異径筒状織物が可撓性を有しているため、袋体の膨張形状に沿って膨張が可能となり、袋体が注入口部分で嵩高くなることがない。また、袋体への取付位置の拘束がなくなるとともに、その取付が容易となる。
【0010】
請求項6の発明は、前記異径筒状織物は、仮止めされて塞がれている穴が設けられ、前記仮止めが裏込め材の充填により所定の注入圧力に到達すると解除される請求項5に記載の裏込め材充填用膨張体の注入口である。
異径筒状織物に形成されている穴が仮止めされているため、袋体内へ裏込め材が注入される前に、この異径筒状織物が膨らみ、袋体の開口から確実に抜けなくなる。
【0011】
請求項7の発明は、前記筒状体は、その一端が閉塞されると共に、該一端側に裏込め材充填用の穴が設けられ、前記異径筒状織物が、前記穴を含む前記一端側を覆うように前記筒状体に接合されている請求項5又は6に記載の裏込め材充填用膨張体の注入口である。
注入口の中心に筒状体が位置するようになり、この筒状体が注入口の芯となり、裏込め材注入時にずれることがなくなる。
【0012】
請求項8の発明は、前記筒状体が、可撓性の織物で形成され、前記筒状体は仮止めされて塞がれている穴が設けられ、前記仮止めが裏込め材の充填により所定の注入圧力に到達すると解除される請求項7に記載の裏込め材充填用膨張体の注入口である。
筒状体が可撓性の織物で形成されているため、異径筒状織物と一体に連続的に形成することができる。また、筒状体に形成されている穴が仮止めされているため、先に筒状体が膨らみ、注入口の芯となる。
【0013】
請求項9の発明は、前記筒状体と前記異径筒状織物とは連続的に組成され、前記異径筒状織物を反転させ、前記筒状体に接合されている請求項8に記載の裏込め材充填用膨張体の注入口である。
筒状体と異径筒状織物が一体に連続的に組成され、異径筒状織物が反転して筒状体に接合されているため、筒状体と異径筒状織物の接合強度を高くできる。
【0014】
請求項10の発明は、前記異径筒状織物の中の前記筒状体は、閉塞された一端側に固定されたスカート布が形成され、前記スカート布は、前記筒状体に設けられた前記穴を覆える長さである請求項7〜9のいずれかに記載の裏込め材充填用膨張体の注入口である。
異径筒状織物内の裏込め材の若干の逆流によって、スカート布が筒状体に押しつけられて穴を塞ぎ、裏込め材の逆流を防止する。
【0015】
以下、図面を参照しつつ本発明を具体的に説明する。なお、本発明に係る裏込め材充填用膨張体は、以下に示す実施形態に限定されるものではない。
【0016】
図1は、本発明に係る裏込め材充填用膨張体の第1の実施形態例を示す断面図である。本実施形態に係る裏込め材充填用膨張体1は、裏込め材が充填されて膨張する袋体4と、裏込め材を袋体4に注入する注入口2と、注入口2が差し込まれる開口3とから構成されている。
【0017】
裏込め材が充填されて膨張する袋体4は、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、ビニロン繊維等の合成繊維の糸を軸方向の縦糸と周方向の横糸として使用し、適宜の直径、長さの円筒状に織成されている。そして、その両端が縫製若しくは接着剤により係止されている。この袋体4は、裏込め材の水分は通過するものの、裏込め材の固形成分は通過しない程度の濾過性(通気性)を確保している。そして、任意の位置に裏込め材をこの袋体4に注入する注入口が差し込まれる開口が、袋体4の縦糸のみが切断されてスリット状に形成されている(図2参照)。そのスリットの長さは、筒状体10の周長の半分の長さと略同じか若しくは短く形成されていることが好ましい。
【0018】
この袋体4に差し込まれ、裏込め材をこの袋体4に注入する注入口2は、可撓性の筒状体10と、この可撓性の筒状体10の一端に一体に形成され、抜け止め部となる異径筒状織物11とで構成されている。
【0019】
可撓性の筒状体10は、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、ビニロン繊維等の合成繊維の糸を軸方向の縦糸と周方向の横糸として使用し、適宜の直径の円筒状に織成されている。そして、その一端側には、膨張時に卵形となるような筒状体10よりも大径の異径筒状織物11が形成されている。本実施形態例にかかる筒状体10は、筒状体10と異径筒状織物11との境界付近で縫製されて閉塞された閉塞部12が形成されている。そして、この閉塞部12の付近で、異径筒状織物11は筒状体10側に折り返されて、筒状体10に縫製若しくは接合され、筒状体10を覆うようにして形成されている。
【0020】
異径筒状織物11は、筒状体10と同種の合成繊維を用いて織成されていることが好ましい。これによって、筒状体10と一体に連続的に形成される。なお、筒状体10及び異径筒状織物11は編物や組物であってもよい。この異径筒状織物11は、膨張時に卵形となるように織成されており、その短径が袋体4の内径と略同じか若しくは大きく形成されていることが好ましい。膨張時に袋体4に密着するため、抜け止め部となるにもかかわらず、嵩高くなることがない。本実施形態例における異径筒状織物11は、筒状体10との境界付近の閉塞部12で筒状体10側に折り返されて、閉塞部12から袋体4の内径と略同じ長さの距離の所に縫製若しくは接着されて接合されている。
【0021】
これら、筒状体10及び異径筒状織物11には、それぞれ、裏込め材注入用の穴13、14が設けられている。これら穴13、14は、縫合若しくは接合されて仮止めされていることが好ましい。
【0022】
この筒状体10及び異径筒状織物11により構成される注入口2は、前述したように、図2に示すスリット状の開口3より、袋体4に差し込まれている。この開口3は、図2に示すように、袋体4の縦糸を切断して形成されている。この開口3のスリット長さは、筒状体10が可撓性であるため、従来のように注入口の大きさに拘束されることなく、小さくすることができ、本実施形態例においては、筒状体10の周長の半分の長さと略同じか若しくは短く形成されていることが好ましい。
【0023】
裏込め材が注入され、筒状体10、異径筒状織物11及び袋体4が膨張した状態を図1に示すが、図に示すように、膨張時においては、異径筒状織物11の短径と袋体4の内径とが同じようになることが好ましい。また、異径筒状織物11の長径は、袋体4の軸方向に延びて形成されていることが好ましい。これによって、注入口2が異径筒状織物11が膨張しているときは袋体4の開口部から抜け出ることがなくなるとともに、嵩高にならない。また、異径筒状織物11と袋体4が密着するため、袋体4の変形に沿って変形できるとともに膨張時に注入口が固定され、筒状体10が裏込め材注入時にずれることがなくなる。
【0024】
次に、図3乃至図7を参照しつつ、この裏込め材充填用膨張体1への裏込め材の充填方法について説明する。
【0025】
先ず、図3に示すように、裏込め材が充填されていない筒状体10及び異径筒状織物11を袋体4に差し込む。この時、筒状体10、異径筒状織物11及び袋体4は、図3の実線で示すように、折り畳まれた状態になっている。この状態の筒状体10に裏込め材を充填する。筒状体10に形成されている穴13は、縫合若しくは接合によって仮止めされており、また一端が閉塞部12で閉塞されているために、図4に示すように、筒状体10は、開口3を押し広げながら膨張して固くなり、注入口2の芯となる。引き続き、筒状体10に裏込め材を注入していくと、筒状体10内がある程度の圧力になり、筒状体10の穴13の仮止めが解除されて、穴13から異径筒状織物11に裏込め材が注入されていく。ここで、筒状体10が注入口2の芯となっているため、袋体4が垂直に位置する場合でも、裏込め材の重みで、異径筒状織物11が垂れ下がることがない。
【0026】
また、異径筒状織物11に形成されている穴14も、仮止めされているため、図5に示すように、裏込め材が充填されることで膨張する。これによって、異径筒状織物11は抜け止め部となって、袋体4の開口3から抜けなくなる。さらに、裏込め材が注入されていくと、異径筒状織物11がある程度の圧力となり、穴14の仮止めが解除されて、穴14から袋体4に裏込め材が注入されていく。この時、前述のように、異径筒状織物11の短径と袋体4の内径が略同じか若しくは異径筒状織物11の短径が袋体4の内径より大きく形成されているため、異径筒状織物11と袋体4とが密着するため、裏込め材の袋体4からの漏れを防止できるとともに、筒状体10と異径筒状織物11とからなる注入口2は、袋体4の開口3からずれることがなくなり、裏込め材の注入を安定した状態で続けることができる。
【0027】
袋体4に裏込め材が注入されると、図6に示すように袋体4が膨らむ。そして、袋体4がある程度の圧力になってくると、袋体4の周方向の横糸は最短距離の周長になろうとする。この時、開口3は袋体4の縦糸のみを切断してスリット状に形成されたものであるため、筒状体10を挟む方向に力が作用するようになる。ここで、裏込め材の注入を停止し、裏込め材を注入するポンプを逆転すると、筒状体10内の圧力が下がり、筒状体10は、可撓性であるため、挟む方向に作用する力に抗すことができずに締めつけられて、図7に示すように開口3で閉じて裏込め材の逆流を防止することができる。
【0028】
このように、本実施形態例に係る裏込め材充填用膨張体は、裏込め材が注入された時に、先ず、筒状体10が膨らみ、次に袋体4の内部の異径筒状織物11が膨らむことで、袋体4からの抜け止めになるとともに、袋体4の内径に密接し、袋体4の変形に沿って変形するため嵩高にならず、開口3からの裏込め材の漏れを防止することができるものである。また、筒状体10は可撓性であるため、筒状体10からの裏込め材の注入を停止し、裏込め材を注入するポンプを逆転すると、筒状体10内の圧力が下がることによって、図7に示すように、開口3が閉じて、袋体4に締めつけられた状態となり、特に逆流を防止するような弁等を設けることなく、裏込め材の逆流が防止される。
【0029】
次に、本発明に係る裏込め材充填用膨張体の第2の実施形態例を図8を参照しつつ説明する。本実施形態例に係る裏込め材充填用膨張体は、第1の実施形態例に係る裏込め材充填用膨張体の可撓性の筒状体10の内部に、例えば、金属製若しくは樹脂性の筒体15が挿入されたものである。これによって、裏込め材の注入口部分に芯が形成されることとなる。なお、筒状体10と、筒体15とは、例えば、金属製のワイヤーバンド等の固定具17で簡単に固定しておくのが好ましい。以下、その他の構成等は第1の実施形態例と同様であるので、同一の符号を付して、重複部分の説明は割愛する。
【0030】
この筒体15は、図8に示すように、一端が閉塞され、可撓性の筒状体10に設けられている穴13と相応する位置に穴が設けられている。この場合、筒状体10に設けられている穴13は、特に仮止めされている必要はない。挿入されている筒体15が注入口2の芯となるからである。また、図示していないが、この筒体15は、その一端側が閉塞されていないものを使用することもできる。この場合、筒状体10の穴13の下側に筒体15の一端が位置するように筒体15を挿入させる。この時、筒状体10の穴13は仮止めされていることが好ましい。これによって、前述の第1の実施形態例同様に、先に筒状体10が膨らみ、注入口2の芯を形成できるからである。
【0031】
この筒体15を、裏込め材を袋体4に注入した後に、可撓性の筒状体10から抜くと、図7に示すように、筒状体10が閉じて、裏込め材の逆流を防止することができる。ここで、筒体15を筒状体10から抜く時は裏込め材を注入するポンプを逆転して、ポンプ内の圧力及び筒体15の内部の圧力を下げてから抜くことが好ましい。これによって、筒体15が抜けやすくなるとともに、筒体15を抜く時に袋体4内部の裏込め材を漏らさずに筒体15を抜くことができる。
【0032】
次に、本発明に係る裏込め材充填用膨張体の第3の実施形態例を図9を参照しつつ説明する。本実施形態に係る裏込め材充填用膨張体は、可撓性の筒状体10の一端に異径筒状織物11が一体に袋状に形成され、その異径筒状織物11が前述の第1乃至第3の実施形態例に係る裏込め材充填用膨張体と異なり、注入口2の筒状体10内に、筒体15が挿入されたものである。筒体15の挿入深さは特に制限はなく、袋体4内に入れたときに注入口2の芯となるように、挿入されていればよく、筒状体10とは、固定具17で簡単に固定するのが好ましい。なお、図示していないが、この筒体15を挿入しなくても、注入口として使用することができる。
【0033】
次に、本発明に係る裏込め材充填用膨張体の第4の実施形態例を図10を参照しつつ説明する。図10に示すように、本実施形態例に係る裏込め材充填用膨張体は、前述の第2の実施形態例の筒状体10に形成された穴13を覆うように閉塞部12付近よりスカート布16が形成されているものである。以下、その他の構成等は第1及び第2の実施形態例と同様であるので、同一の符号を付して、重複部分の説明は割愛する。
【0034】
本実施形態例においては、裏込め材を筒体15が挿入された筒状体10から注入すると、注入された裏込め材は、穴13からこのスカート布16を広げるようにして異径筒状織物11に注入される。裏込め材が注入され、異径筒状織物11及び袋体4が膨らんだ後、裏込め材の注入を停止し、裏込め材を注入するポンプを逆転すると、裏込め材は逆流するので、スカート布16は、筒状体10に押しつけられて、穴13を塞ぐような圧力のみが作用し、穴13を塞ぐことになる。これによって、裏込め材の逆流を確実に防止することが可能となる。
【0035】
次に、本発明に係る裏込め材充填用膨張体の第5の実施形態例を図11を参照しつつ説明する。図11に示すように、本実施形態例に係る裏込め材充填用膨張体は、前述の第3の実施形態例の筒体15が袋体4の内部にまで差し込まれたものでなく、筒状体10が筒体15の一端に接合されて、一端に異径筒状織物11が形成されているものである。この場合においても、袋体4内に差し込まれ、抜け止め部となる異径筒状織物11が可撓性を有しているため、袋体4の変形に沿って変形して、抜け止め部となる。このため、抜け止め部を、袋体4が使用される場所の形態にあわせて抜け止め部を形成する必要がなくなる。なお、異径筒状織物11は、図示のように袋体4の内径と略同じ大きさであることが好ましいが、袋体4に形成された開口3よりも大きくなるようであれば、その大きさに特に制限はない。
【0036】
本発明の裏込め材充填用膨張体1は、以上のように構成されており、注入口2の抜け止め部が可撓性の織物で形成されいるため、袋体4の形状にあわせて、注入口4の抜け止め部を別途形成する必要がなく、例えば、図12に示すように、トンネル支保工20と地山30との空間を埋めるような裏込め材充填用膨張体1として使用した場合であっても、抜け止め部が可撓性を有した織物で形成されているため、嵩高くなることがない。また、袋体4の変形に沿って抜け止め部が変形するため、地山30と支保工20との間に隙間ができない。また、その設置場所が拘束されることもないため、袋体の任意の場所に適宜設置することができる。また、図12に示す以外にも、例えば、シール工法によるトンネル構築時のセグメントと地山との空間を埋める膨張体や、エアジャッキ等として使用することができる。
【0037】
また、裏込め材注入用のポンプ等と接続される筒状体には、可撓性を有した、例えば、織物を使用することが、袋体内部で膨らみ、抜け止め部となる異径筒状織物と一体に連続的に形成でき、簡単な構造で、抜け止めや、裏込め材の逆流防止が可能となるため、好ましいが、本発明では、異径筒状織物に接合されて、裏込め材を袋体内へ確実に注入できるものであれば、可撓性の有無は特に限定されない。なお、可撓性を有する筒状体としては軟質塩化ビニル樹脂等から形成されたものも使用できる。
【0038】
【発明の効果】
請求項1の裏込め材充填用膨張体によると、筒状体より大径の異径筒状織物が、袋体内へ開口より差し込まれ、この異径筒状織物に設けられた穴を介して裏込め材が袋体へ注入されていくため、この異径筒状織物が、袋体の内部で膨らみ、袋体から抜け出ることを防止する。また、この異径筒状織物は袋体の膨らむ方向に沿って、密着して膨らんでいくため、注入口の部分で袋体が嵩高くなることがなくなり、抜け止め部を接触部材に沿った形状に加工する必要がなくなり、コストを低減できる。また、抜け止め部が可撓性を有している異径筒状織物であるため、その取り付け位置に拘束されることなくなり、袋体の任意の位置に適宜設置することができる。
【0039】
請求項2の裏込め材充填方法によると、異径筒状織物の膨らむ時の外径が、袋体の内径より大きいため、袋体の中で、異径筒状織物と袋体が密着し、袋体の開口から裏込め材が漏れることを防止することができる。
【0040】
請求項3の裏込め材充填方法によると、異径筒状織物が袋体の中で袋体よりも先に膨らみ、袋体の開口から抜けないようになるとともに、裏込め材の漏れを防止することが可能となる。
【0041】
請求項4の裏込め材充填方法によると、注入口が袋体内で安定した状態で固定されるとともに、確実に袋体からの抜けなくなるため、裏込め材の注入時に注入口がずれることがなくなる。このため、裏込め材を安定した状態で袋体内に注入していくことができる。
【0042】
請求項5の裏込め材充填用膨張体の注入口によると、抜け止め部となる異径筒状織物が可撓性を有しているため、袋体の膨張形状に沿って膨張が可能となり、袋体が注入口部分で嵩高くなることがない。このため、例えば、トンネル支保工用の裏込め材充填用膨張体として使用した場合、支保工と地山との間に隙間が生じることがなくなる。
【0043】
請求項6の裏込め材充填用膨張体の注入口によると、異径筒状織物に形成されている穴が仮止めされているため、袋体内へ裏込め材が注入される前に、この異径筒状織物が膨らみ、袋体の開口から確実に抜けなくなる。このため、抜け止め部を別途形成して取り付ける必要がなくなる。
【0044】
請求項7の裏込め材充填用膨張体の注入口によると、注入口の中心に筒状体が位置するようになり、この筒状体が注入口の芯となり、袋体に安定した状態で固定され、裏込め材注入時にずれることがなくなる。
【0045】
請求項8の裏込め材充填用膨張体の注入口によると、筒状体が可撓性の織物で形成されているため、異径筒状織物と一体に連続的に形成することができる。また、筒状体に形成されている穴が仮止めされているため、先に筒状体が膨らみ、注入口の芯となる。このため、注入口を織物で一体に形成でき、裏込め材注入時の圧力によって、筒状体と異径筒状織物とが分離することがなくなる。
【0046】
請求項9の裏込め材充填用膨張体の注入口によると、筒状体と異径筒状織物が一体に連続的に組成され、異径筒状織物が反転して筒状体に接合されているため、筒状体と異径筒状織物の接合強度を高くできる。また、筒状体は可撓性織物で形成されているため、裏込め材の注入を止めたときに袋体の周方向の横糸が最短周長になろうとする力に抗することができず締めつけられるので、裏込め材の逆流を防止することができる。このため、裏込め材の逆流を防止するために、特に、逆止弁を設ける必要がなくなる。
【0047】
請求項10の裏込め材充填用膨張体の注入口によると、裏込め材の若干の逆流により、スカート布が筒状体に押しつけられて穴を塞ぎ、裏込め材の逆流を防止することができる。このため、簡単な構造で、裏込め材の逆流を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る裏込め材充填用膨張体の第1の実施形態例を示す断面図である。
【図2】本発明に係る裏込め材充填用膨張体の開口を示す図である。
【図3】本発明に係る裏込め材充填用膨張体の作動を説明するための図であり、裏込め材が充填されていない状態を示す図である。
【図4】本発明に係る裏込め材充填用膨張体の作動を説明するための図であり、筒状体に裏込め材が充填された状態を示す図である。
【図5】本発明に係る裏込め材充填用膨張体の作動を説明するための図であり、抜け止め部となる異径筒状織物に裏込め材が充填された状態を示す図である。
【図6】本発明に係る裏込め材充填用膨張体の作動を説明するための図であり、袋体に裏込め材が充填された状態を示す図である。
【図7】本発明に係る裏込め材充填用膨張体の開口が閉じた状態を示す図である。
【図8】本発明に係る裏込め材充填用膨張体の第2の実施形態例を示す断面図である。
【図9】本発明に係る裏込め材充填用膨張体の第3の実施形態例を示す断面図である。
【図10】本発明に係る裏込め材充填用膨張体の第4の実施形態例を示す断面図である。
【図11】本発明に係る裏込め材充填用膨張体の第4の実施形態例を示す断面図である。
【図12】本発明に係る裏込め材充填用膨張体のトンネル支保工への適用例を示す図である。
【符号の説明】
1 裏込め材充填用膨張体
2 注入口
3 開口
4 袋体
10 筒状体
11 異径筒状織物
12 閉塞部
13 穴
14 穴
15 筒体
16 スカート布
17 固定具
20 支保工
30 地山
Claims (10)
- 裏込め材が充填されることにより膨張する袋体と、この袋体に設けられた開口に取り付けられ、前記裏込め材を注入するための注入口とからなる裏込め材充填用膨張体であって、
前記注入口が、前記開口に差し込まれた筒状体と、この筒状体の一端に形成され、前記筒状体より大径の異径筒状織物と、この異径筒状織物に設けられた穴とからなる裏込め材充填用膨張体。 - 前記異径筒状織物が膨らむ時の外径が、前記袋体の内径より大きい請求項1に記載の裏込め材充填用膨張体。
- 請求項1に記載の裏込め材充填用膨張体を用いる裏込め材充填方法であって、
前記異径筒状織物に裏込め材を注入することにより、前記異径筒状織物を前記袋体の中で膨らませ、前記異径筒状織物が前記開口から抜けなくなるようにして、前記異径筒状織物を経て前記袋体に裏込め材を注入する裏込め材充填方法。 - 請求項2に記載の裏込め材充填用膨張体を用いる裏込め材充填方法であって、前記異径筒状織物に裏込め材を注入することにより、前記異径筒状織物を前記袋体の中で膨らませ、前記異径筒状織物が前記開口から抜けなくなるようにすると共に、前記異径筒状織物を前記袋体の中で固定させてから、前記異径筒状織物を経て前記袋体に裏込め材を注入する裏込め材充填方法。
- 裏込め材が充填されることにより膨張する袋体の開口に取り付けられる注入口であって、前記袋体の開口に差し込まれる筒状体と、この筒状体の一端に形成された前記筒状体より大径な異径筒状織物で形成された抜け止め部とからなる裏込め材充填用膨張体の注入口。
- 前記異径筒状織物は、仮止めされて塞がれている穴が設けられ、前記仮止めが裏込め材の充填により所定の注入圧力に到達すると解除される請求項5に記載の裏込め材充填用膨張体の注入口。
- 前記筒状体は、その一端が閉塞されると共に、該一端側に裏込め材充填用の穴が設けられ、前記異径筒状織物が、前記穴を含む前記一端側を覆うように前記筒状体に接合されている請求項5又は6に記載の裏込め材充填用膨張体の注入口。
- 前記筒状体が、可撓性の織物で形成され、前記筒状体は仮止めされて塞がれている穴が設けられ、前記仮止めが裏込め材の充填により所定の注入圧力に到達すると解除される請求項7に記載の裏込め材充填用膨張体の注入口。
- 前記筒状体と前記異径筒状織物とは連続的に組成され、前記異径筒状織物を反転させ、前記筒状体に接合されている請求項8に記載の裏込め材充填用膨張体の注入口。
- 前記異径筒状織物の中の前記筒状体は、閉塞された一端側に固定されたスカート布が形成され、前記スカート布は、前記筒状体に設けられた前記穴を覆える長さである請求項7〜9のいずれかに記載の裏込め材充填用膨張体の注入口。
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