請求項1に記載の発明は、外箱と内箱と前記外箱と前記内箱との間に設けた断熱材とよりなる断熱箱体と、前記断熱箱体内方に形成される貯蔵室であり上部に配置された冷蔵室と、前記冷蔵室の下方に配置された冷凍室と、前記冷凍室の下方に配置された野菜室と、前記冷凍室と前記野菜室とを区画する仕切り板と、を備える冷蔵庫であって、前記断熱箱体内方の空気を冷却し冷気を生成する冷却器と、前記野菜室を区画して設けられる収容空間であって、前方に配置され上方に開口面を有した前方空間および後方に配置される後方空間と、前記前方空間の開口面より上方に形成された収納物が収納可能な空間と、前記仕切り板と接するように配置され前記仕切り板の下方に突出して風路を形成する風路形成体と、を備え、前記風路形成体の開口部は、前記前方空間の上方の収納物が収納可能な前記空間に臨んで備えられ、前記開口部を通じて、収納物が収納可能な前記空間と前記冷却器との間が前記風路形成体を介して連通され前記冷気が通過することにより、野菜室の前部の前方空間の上方に開口部が配置される。このため、冷却器の冷気が風路形成体を通って逆流させることにより、前方空間の上方の開口部から開口面を通って、冷気が流れてくるため、前方空間が冷気によって冷やされる。したがって、前方空間にペットボトルが収容されていれば、当該ペットボトルが冷却される。また、風路形成体を通って逆流してくる冷気は、前方空間へ向けて流れる。このため、逆流してくる冷気は野菜室の後部の後方空間へは流れにくいので、後方空間に野菜が収容されていれば、当該野菜は過剰に冷却されることがない。これにより、冷却したいペットボトルと、冷却しすぎを抑制したい野菜とを、両立して冷やすことができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、さらに、前記野菜室の内方に配置される容器を備え、前記前方空間は、前記容器内方の前部に配置され、前記容器は、前面部に、冷気を挿通しうる挿通孔を有する前壁を備えることにより、冷気が冷却器に戻る際に、容器の前壁に備えられた挿通孔を通って前方空間に流入することとなり、前方空間にペットボトルが収容されていれば、当該ペットボトルを冷却することができる。また、冷気は、前方空間の上方に配置される開口部に向かって流れるため、この冷気は野菜室後部の後方空間へは流れにくい。したがって、後方空間に野菜が収容されていれば、当該野菜は冷却されすぎることがない。これにより、冷却したいペットボトルと、冷却しすぎを抑制したい野菜とを、両立して冷やすことができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、さらに、前記後方空間の上部に配置されるフルーツ・小物容器を備え、前記開口部は、前記フルーツ・小物容器の前端面よりも前方に配置されることにより、開口部は、フルーツ・小物容器の前端面よりも前方に配置されるので、フルーツ・小物容器に収容される食品などによって開口部が閉塞され、冷気の循環が阻害されるのを防止できることとなり、冷却したいペットボトルと、冷却しすぎを抑制したい野菜とを、両立して冷やすことができる。また、特に、フルーツ・小物類はバナナ、ナス、キュウリなど温暖地で育成され低温障害がおきやすい食材を保存することから、低温の冷気を逆流させることを抑止し過剰な冷えすぎを防止してある。
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、さらに、前記野菜室の内方に配置される容器を備え、前記風路形成体は、側面部に、前記野菜室の内方で前記容器の側面よりも外方に配置される予備開口部を備えることにより、開口部が閉塞された場合でも、風路形成体の側面部に備えられた予備開口部から、最小限の風量の冷気が流入することができることとなり、冷気の循環が阻害されるのを防ぐことができる。また、予備開口部は容器の側面よりも外方に配置されているので、冷気が逆流してきても、容器に収容されている野菜などの食品が冷却されすぎることがない。したがって、冷却したいペットボトルと、冷却しすぎを抑制したい野菜とを、両立して冷やすことができる。
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記風路形成体は、冷気の流れ方向と平行にリブを設けていることにより、冷気の流れを大幅に阻害することなく、フルーツ・小物容器の収納品であるリンゴなどの比較的固い収納品が、フルーツ・小物容器から高さ方向に多少飛び出した状態(すなわち、フルーツ・小物容器の高さより、高さが高い収納品を入れた状態)で、フルーツ・小物容器が野菜室の後方に向かって移動し、リンゴなどの比較的固い収納品が風路形成体に接触した場合にでも、風路形成体の形状を変形させにくくなり、確実に冷気の流れる風路を確保できるので、冷気の循環が阻害されることはない。
請求項6に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記風路形成体は、熱伝導性を有する材料で形成されたものである。
請求項7に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記冷却器の少なくとも一部は、前記風路形成体より上方に配置させたものである。
請求項8に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記冷蔵室から前記野菜室へ流れる冷気の前記野菜室への吐出口は、前記野菜室の背部の下方部の右側に設け、前記野菜室から前記冷却器へ流れる冷気の前記野菜室の前記開口部は、前記野菜室の前部の上方
部の左側に設けたものである。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明するが、従来例または先に説明した実施の形態と同一構成については同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における冷蔵庫の正面図である。
図2は、本発明の実施の形態1における冷蔵庫の縦断面図であり、図1におけるA−A線で切断した状態を示している。
図1および図2に示すように、本実施の形態にかかる冷蔵庫100は、観音開き式の扉を上部に備える冷蔵庫100であり、冷蔵庫100の内方と外方とを断熱状態で隔てる断熱箱体101内に複数に区画された貯蔵室を備えている。
冷蔵庫100の内の複数に区画された貯蔵室は、その機能(冷却温度)によって冷蔵室102、製氷室105、製氷室105に併設され冷凍温度から冷蔵温度に設定可能な切換室106、野菜室103、および冷凍室104等と称される。
冷蔵庫100の最上部に位置する冷蔵室102の前面開口部には、例えばウレタンのような発泡断熱材を発泡充填した回転式の断熱扉107が設けられ、棚状の収容空間となっている。
また、冷蔵室102の下方に配置される製氷室105、切換室106、野菜室103、および冷凍室104は引出式の収容空間となされている。そして、それぞれの引出には、前板となる断熱板108が設けられ、これにより冷気の漏れがないように貯蔵室を密閉している。
断熱箱体101は、金属製の外箱と樹脂製の内箱との間に例えば硬質発泡ウレタンなどの断熱材を充填して形成される少なくとも一面が開口した直方体の箱体である。この断熱箱体101は、外方の雰囲気(大気)から断熱箱体101の内方に流入しようとする熱を遮断する機能を有している。
野菜室103は、断熱箱体101の最下部に配置され、主として野菜の冷蔵を目的とし、収容物が凍らない冷蔵温度に維持される貯蔵室である。また、野菜室103は、貯蔵室の中で最も高い温度設定となされている。具体的には、2℃〜7℃で設定される。なお、野菜室103は、特許請求の範囲に記載の「下部貯蔵室」に包含される。
なお、本実施の形態の場合、各貯蔵室の全体レイアウトは、最上部から冷蔵室102、製氷室105および切換室106、冷凍室104、そして最下段に野菜室103の配置構成となっている。
また、冷蔵庫100は、送風機100aによる強制対流作用を利用して冷却する間冷式の冷蔵庫100であり、上記構成要素の他、冷却器200を備えている。
図2に示すように、冷却器200は、断熱箱体101内方の後部で、かつ、野菜室103の上方に配置されている。この冷却器200は、断熱箱体101内方の空気を冷却し、各貯蔵室を冷却するための冷気を生成する。
本実施の形態の場合は、より具体的には冷却器200を冷凍室104の後方の領域に配置されている。
次に、野菜室103の内部を詳細に説明する。
図3は、本発明の実施の形態1における冷蔵庫の野菜室の内部を示す断面図である。
図3に示すように、野菜室103内方には、断熱箱体101の前部に配置される収容空間である前方空間103aと、断熱箱体101の後部に配置される収容空間である後方空間103bと、が区画されて設けられている。そして、野菜室103の内方には容器410およびフルーツ・小物容器420が備えられている。また、野菜室103は、上部に風路形成体450を備えている。なお、野菜室103と冷凍室104とは、断熱性を有する仕切り板460で区画されている。
なお、前方空間103aの上方には、開口面410bを有している。
前方空間103aは、後方空間103bよりも一段下がった状態で配置されている。つまり、前方空間103aと後方空間103bとで構成される収容空間を備える野菜室103の底部は、奥側に向かって上昇する階段状に形成されている。
容器410は、引出の前板である断熱板108に追随して引き出される箱体であり、内方に野菜やペットボトルなどが収容される箱体である。容器410の底部は、容器410を野菜室103内に配置した際、野菜室103底部の内方に沿うように、奥側に向かって上昇する階段状に形成されている。
つまり、前方空間103aは容器410内方の前部に配置され、後方空間103bは容器410内方の後部に配置される。そして、容器410の前方空間103aに対応する部分には、大型のペットボトル(例えば、2Lのペットボトル)などの高さが高い対象物が収容される。また、容器410の後方空間103bに対応する部分には、野菜が収容される。
フルーツ・小物容器420は、フルーツ・小物野菜を収容するための容器であり、野菜室103の上部に配置されている。具体的には、フルーツ・小物容器420は、後方空間103bの上部に配置されている。さらに具体的には、フルーツ・小物容器420は、容器410の上部後方に載置され、配置されている。
風路形成体450は、野菜室103内を冷却した冷気が冷却器200に戻るための風路を形成する。風路形成体450には、開口部450aおよび予備開口部450bが設けられている。つまり、風路形成体450は、開口部450aおよび予備開口部450bと冷却器200とを結ぶ風路を形成している。
ここで、この風路形成体450は、熱伝導性を有する材料で形成され、具体的には、樹脂であるポリプロピレン(PP)で成型されている。なお、本実施の形態では、風路形成体450は、樹脂であるポリプロピレン(PP)としたが、熱伝導性を有するものであればよく、例えば、鉄などの金属としてもよい。
また、風路形成体450は、より具体的には、仕切り板460の下面に接するように配置され、仕切り板460の下面と風路形成体450とで囲まれる空間によって風路が形成される。これにより、仕切り板460の下面を風路の一部として利用するので、風路形成体450は、簡易な構成とすることができるとともに、逆流してくる冷気(詳細は後述する)は、冷凍室104の影響を受けて低温に維持されることとなり、容器410の前方空間103aに収容されるペットボトルPを冷却する能力を確保できる。
図4は、本発明の実施の形態1における冷蔵庫の野菜室の内部を示す正面図である。なお、説明の便宜のため、図4では、フルーツ・小物容器420を省略して図示している。
図4に示すように、風路形成体450の前面部451には、開口部450aが設けられている。この開口部450aは、野菜室103内を冷却した冷気が冷却器200に戻るために通過する風路形成体450の入口となる開口である。なお、この開口部450aの横幅は、子供の指が入らない程度の大きさが望ましく、具体的には5mmである。
具体的には、開口部450aは縦長の楕円形状の開口であり、風路形成体450の前面部451に、横方向に複数個設けられている。なお、開口部450aは、冷気が通過する開口であればどのような形状でもよく、また、何個備えられていても構わない。
ここで、冷蔵室102、野菜室103への冷気の流れを説明する。
冷蔵室102へは、冷却器200で生成された冷気を冷蔵室冷却用送風ダクト(図示せず)を介して、送風機を強制送風することにより、室内を所定の温度に冷却している。また、野菜室103へは、冷蔵室102から野菜室103へ冷気を送る連通ダクト(図示せず)を介して、送風機を強制送風することにより、室内を所定の温度に冷却している。この連通ダクトは、冷蔵室102の背部の下方部に設けた開口部(図示せず)と野菜室103の背部の上方部に設けた開口部とを上下に繋ぐ風路である。そして、野菜室103へは野菜室103の背部の下方部に設けた開口部470から流れでる。なお、野菜室103の背部の上方部に設けた開口部と野菜室103の背部の下方部に設けた開口部470とは、野菜室吐出ダクト480により、上下に繋ぐ風路が形成されている。なお、この連通ダクトは、冷蔵庫の中心より右側に配置され、かつ、野菜室103の背部の下方部に設けた開口部470も、冷蔵庫の中心より右側に配置されている。
また、図4に示すように、風路形成体450は、冷蔵庫の左右方向の左側に配置され、かつ、風路形成体450の幅方向(図4の左右方向)の寸法は、野菜室103の左右方向の略1/2となるように設定されている。また、開口部450aは、風路形成体450の幅方向のほぼ全域にわたって形成されている。これにより、野菜室103の背部の下方部の右側に設けた開口部470と、野菜室103の前部の上方部の左側に設けた開口部450aとは、野菜室内において、対角線上の位置に配置されることとなり、野菜室103の左右方向にほぼ均一に冷気がいきわたり、野菜室103の冷却能力を確保できる。
なお、本実施の形態では、野菜室103へは、冷蔵室102を通った冷気が送風されるので、冷却器200から直接送風される冷気と比較した場合、より高い温度の冷気が送風されるが、野菜室103の冷却は、容器410をなめて冷却するので、野菜室103の背部の下方部の右側に設けた開口部470と、野菜室103の前部の上方部の左側に設けた開口部450aとは、野菜室内において、対角線上の位置に配置されることで、野菜室103の背部の下方部の右側に設けた開口部470から送風される冷気が、容器410をなめる(接触する)面積が大きくなり、野菜室103の冷却能力を確保できる。具体的には、冷気は、図4の白抜き点線の矢印に示すように、開口部470から容器410の底面に吹き出し、容器410をなめるように流れ、野菜室を冷却する。
また、図3に示されたように、開口部450aは、前方空間103aの上方であり、かつ、フルーツ・小物容器420の前端面よりも前方に配置されている。
また、図3にも示されたように、風路形成体450の側面部452には、予備開口部450bが設けられている。この予備開口部450bは、開口部450aが閉塞された場合の予備の開口である。また、図4に示されたように、予備開口部450bは、野菜室103の内方で容器410の側面よりも外方に配置されている。より具体的には、予備開口部450bは、冷蔵庫を正面から見て、風路形成体450の左側の側面部に形成されたものである。
具体的には、予備開口部450bは横長の長方形状の開口であり、風路形成体450の側面部452に、前後方向に複数個設けられている。なお、予備開口部450bは、冷気が通過する開口であればどのような形状でもよく、また、何個備えられていても構わない。
また、図4に示すように、容器410は、前面部に備えられる前壁に、冷気を挿通しうる挿通孔である挿通孔部410aを備えている。この挿通孔部410aは、冷気を挿通させ、容器410の前部に配置されるペットボトルなどを冷却するための孔である。
具体的には、挿通孔部410aは縦長の楕円形状の孔であり、容器410の前壁に、横方向に複数個備えられている。なお、挿通孔部410aは、冷気が挿通するものであればどのような形状でもよく、また、何個備えられていても構わない。
次に、風路形成体450について、詳細に説明する。
図6は、本発明の実施の形態1における冷蔵庫の風路形成体の斜視図である。
図6に示すように、風路形成体450は、前面部451と平面部453と側面部452と後面部454とからなる。なお、前面部451は、前方に向かって傾斜している。これにより、リンゴなどの比較的固い収納品が、フルーツ・小物容器420から高さ方向に多少飛び出した状態(すなわち、フルーツ・小物容器420の高さより、高さが高い収納品を入れた状態)で、フルーツ・小物容器420が野菜室103の後方に向かって移動した場合でも、前面部が傾斜していない場合と比べて、よりスムーズにフルーツ・小物容器420を後方に移動できることとなり、リンゴなどの比較的固い収納品の損傷などを低減できる。
また、図6に示すように、風路形成体450は、平面部453の幅方向の中央部近傍に、平面部453に一体に成型された一本のリブ450cを設けている。より具体的には、このリブ450cは、冷気が冷却器200に戻る流れ方向と平行に、すなわち、冷蔵庫の前後方向に対して平行に設けられている。これにより、冷気の流れを大幅に阻害することなく、フルーツ・小物容器420の収納品であるリンゴなどの比較的固い収納品が、フルーツ・小物容器420から高さ方向に多少飛び出した状態(すなわち、フルーツ・小物容器420の高さより、高さが高い収納品を入れた状態)で、フルーツ・小物容器420が野菜室103の後方に向かって移動し、リンゴなどの比較的固い収納品が風路形成体450に接触した場合にでも、風路形成体450の形状を変形させにくくなり、確実に冷気の流れる風路を確保できるので、冷気の循環が阻害されることはない。すなわち、リブ450cは、風路形成体450の強度を向上できる。
このように、本実施の形態では、風路形成体450は、野菜室103の天井面(すなわち、仕切り板460の下面)に設けており、使用者は、風路形成体450が野菜室103の天井面から下方へ突出した状態で設けられていることが認識しにくいので、フルーツ・小物容器420の収納高さより高い収納品を入れてしまうことが多い。よって、風路形成体450は、前面部451は前方に向かって傾斜していること、また、平面部453にリブ450cを設けていることは、風路形成体450が野菜室103の天井面に設けている本実施の形態においては、非常に有用である。
なお、本実施の形態では、風路形成体453に設けたリブ450cは、平面部453に一体に成型されたものとしたが、平面部453と別体にしてもよい。また、なお、本実施の形態では、風路形成体453に設けたリブ450cは一本としたが、二本あるいは三本以上としてもよい。
図5は、本発明の実施の形態1における冷蔵庫の野菜室を冷却する冷気の流れを説明する図である。
図5に示すように、冷却器200で生成された冷気は、まず、野菜室吐出ダクト480内を通り、開口部470から流れでて、野菜室103内方で容器410の後方の風路W1を通って、容器410の下方に流れる。そして、冷気は、野菜室103内方で容器410の下方の後方から前方に流れる。さらに、冷気は、野菜室103内方で容器410の前方の下方から上方に流れる。このように冷気が流れることで、容器410に収容されている野菜やペットボトルを冷却する。
そして、この容器410の前方の上方に流れてきた冷気は、風路W1のように、容器410前壁の挿通孔部410aを通って、前方空間103aに流入する。これにより、流入した冷気が、容器410の前部の前方空間103aに収容されるペットボトルPを、さらに冷却する。
そして、この冷気は、風路W2のように、前方空間103aの上方に配置される風路形成体450の開口部450aに向かって流れる。このため、容器410の後部の後方空間103bに収容されている野菜へは、この冷気が流れにくい。つまり、収容されている野菜が冷却されすぎることがない。
そして、冷気は、風路W2のように、開口部450aを通過し、風路形成体450を通って、冷却器200に戻る。
ここで、冷蔵庫100は、野菜室103内の温度調節のために、冷気の流れを一時的に停止させることがある。つまり、野菜室103内が冷却されすぎている場合は、冷気の流れを一時的に停止させることで、温度が低下しすぎるのを抑制する。そして、冷気の流れが一時的に停止された際に、冷気が風路W3のように、風路形成体450を通って逆流してくることがある。
このように、冷気が風路形成体450を通って逆流してきた場合、風路W3のように、前方空間103aの上方の開口部450aから、開口面410bを通って、前方空間103aに向けて冷気が流入する。このため、前方空間103aが冷気によって冷却されるので、容器410の前部の前方空間103aに収容されるペットボトルPが、さらに冷却される。
すなわち、本実施の形態においては、容器410の前方空間103aの上方には、特許文献2で用いられていた前方空間の上部を覆うような蓋はなく、容器410の前方空間103aと開口部450aとは、連通している。
また、風路形成体450から逆流してくる冷気は、容器410の前部の前方空間103aに向けて流れるので、容器410の後部の後方空間103bに収容される野菜が冷却されすぎることがない。
また、フルーツ・小物容器420には、フルーツ・小物野菜などの食品が収容されている。ここで、風路形成体450の開口部450aは、フルーツ・小物容器420の前端面よりも前方に配置されている。このため、フルーツ・小物容器420に収容されている小物野菜などによって、開口部450aが閉塞され、冷気の循環が阻害されることを防止することができる。
また、風路形成体450の側面部には、野菜室103の内方で容器410の側面よりも外方に配置された予備開口部450bが備えられている。このため、風路形成体450の開口部450aが閉塞された場合でも、予備開口部450bが閉塞されるのを防ぐことができる。したがって、予備開口部450bから、最小限の風量の冷気が流入することができるため、冷気の循環が阻害されることがない。また、予備開口部450bは容器410の側面よりも外方に配置されているので、冷気が逆流してきても、容器410の後部の後方空間103bに収容されている野菜が冷却されすぎることがない。
また、この風路形成体450は、以下の特徴がある。
風路形成体450は、野菜室103と冷凍室104とを区画する仕切り板460の直下に配置されていることから、風路形成体450を通って逆流してくる冷気は、冷凍室104の影響を受けて低温に維持されることとなり、容器410の前方空間103aに収容されるペットボトルPを冷却する能力を確保できる。
一方、風路形成体450は、樹脂であるポリプロピレンなど熱伝導性を有するもので構成されていることから、風路形成体450を通って送風機100aの運転時に冷却器200へ戻る冷気や送風機100aの停止時に冷却器200から逆流してくる冷気は、風路形成体450を介して、輻射により、容器410の後方空間103bに収容される野菜や、フルーツ・小物容器420に収容されるフルーツ・小物野菜に対して、冷気を入れることなく、冷却し過ぎない程度に、所定の冷却をすることができる。
すなわち、風路形成体450は、ペットボトルPが収容される容器410の前方空間103aに対しては、通過する冷気によって、積極的に冷却する能力を確保できるものであり、一方、野菜が収容される容器410の後方空間103bや、フルーツ・小物野菜が収容されるフルーツ・小物容器420に対しては、通過する冷気によって、輻射を利用して、冷気を入れることなく、冷却し過ぎない程度に、所定の冷却をすることができる。
つまり、風路形成体450は、通過する冷気によって、野菜室における、主として冷却エリア(前方空間103a)と、主として保鮮エリア(103bや420)と、の冷却を同時に実現できるものである。
なお、本実施の形態においては上記のように風路形成体450という具体的な形態に言及して説明したが、上記作用を発揮して効果を奏する概念的な構成について言及すれば、以下のようになる。
すなわち、前方にペットボトル等を収納して上方が開口された前方空間103aと、後方の上段にフルーツ・小物野菜が収容されるフルーツ・小物容器420、後方の下段に野菜等が収納される後方空間103bを配置した野菜室レイアウトにおいて、小物容器420、もしくは後方空間103bの上方位置となる開口部付近に、冷却器200からの冷気を冷却源として作用する輻射冷却板(本実施形態では風路形成体450)を備えることにより、送風機100aの運転時に冷却器200に戻る経路で輻射冷却板の輻射面の裏面を通過する冷気、および、送風機100aの停止時に冷却器200から野菜室103に逆流する経路で輻射冷却板の裏面を通過する冷気によって輻射冷却板が冷却され、野菜が収容される容器410の後方空間103bや、フルーツ・小物野菜が収容されるフルーツ・小物容器420に対して冷却作用を発揮することができる。
加えて、逆流冷気が輻射冷却板の裏面を通過して容器410の前方空間103aに流入するような位置関係に輻射冷却板の前端面が配置されることによって前方空間103aのペットボトルPなどの収納物が冷却促進される効果を併せ持つことができる。
このように、輻射冷却板の裏面を介する冷気の通過を、送風機100aの停止時の逆流現象も取り込んで活用することで、極めて合理的な冷却効率の高い野菜室冷却構成を提供できる。
なお、このように送風機100aの停止時における冷却器200からの逆流現象をうまく活用するためには、本実施の形態の場合のように、野菜室103より上部に冷却器200を配置すると実現し易い。より具体的には高さ方向の配置関係において、輻射冷却板(本実施形態では風路形成体450)の輻射面の配置高さよりも高い高さ位置に少なくとも冷却器200の一部が位置するように冷却器200を配置すると、冷却された空気すなわち冷気の比重は相対的に大きくなるので、送風機100aの停止時にも自然対流で冷気の対流が生じ、これが逆流現象となって輻射冷却板を介して野菜室103内に流入するものである。
そして、輻射面を野菜室103内に臨んで有する輻射冷却板を冷凍室104と野菜室103とを区画する仕切り板460の下部に配置して、輻射冷却板の輻射面と仕切り板460との間に冷気が流通する程度の空間を形成すれば作用が発揮できる。
このような、構成を本実施の形態においては、いわゆるダクトのごとき形態として風路形成体450として具体的な形態を提示している。このため、本発明の趣旨に則れば、本実施の形態の風路形成体450のような実施形態に拘わらず、形態を変えた輻射面を有する輻射冷却板の概念が有効な構成となるものである。
以上のように、本発明によれば、冷却したいペットボトルと、冷却しすぎを抑制したい野菜とを、両立して冷やすことができる。
以上、本発明に係る冷蔵庫について、上記実施の形態を用いて説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。
つまり、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
例えば、本実施の形態では、予備開口部450bは、野菜室103の内方で容器410の側面よりも外方に配置されていることとした。しかし、予備開口部450bは、さらに、野菜室103の内方でフルーツ・小物容器420の側面よりも外方に配置されていることにしてもよい。これにより、予備開口部450bの食品による閉塞をさらに防ぐことができる。
また、本実施の形態では、風路形成体450は、冷蔵庫の左右方向の左側に配置され、かつ、風路形成体450の幅方向の寸法は、野菜室103の左右方向の略1/2となるように設定されているものとしたが、風路形成体450の幅方向の寸法は、フルーツ・小物容器420の幅方向と略同一とし、風路形成体450の側面部に下方方向にフランジを設けて、フルーツ・小物容器420の上面の開口を塞いでもよい。これにより、フルーツ・小物容器420のエリアに風がより流れにくくなることとなり、フルーツ・小物容器420内の食品の乾燥をより防ぐことができる。なお、この場合、野菜室を均一に冷却する点からいえば、風路形成体450の幅方向の右側半分には、開口部450aを設けないことが望ましい。
また、フルーツ・小物容器420の上端部を風路形成体450の近傍まで伸ばすことにより、フルーツ・小物容器420の上面の開口を塞いでもよい。これにより、フルーツ・小物容器420のエリアに風がより流れにくくなることとなり、フルーツ・小物容器420内の食品の乾燥をより防ぐことができる。