第1の発明は、冷蔵庫本体内に設けた野菜室と、前記野菜室に冷気を供給する冷却室と、前記冷却室の冷気を野菜室に導く野菜室ダクトと、前記野菜室内の冷気を前記冷却室に戻す野菜室戻り通路と、前記野菜室内に設けた野菜収納容器を備えた冷蔵庫であって、前記野菜室の野菜室戻り風路を野菜室の天井面に設けるとともに、前記野菜室戻り風路の冷気吸込み開口を野菜室の手前側開口寄り部分に設け、かつ、この冷気吸込み開口の野菜室戻り風路内側に野菜室の温度を検知する野菜室温度検知手段を備え、前記野菜室戻り風路の前方端に前方から後方に向かって下り傾斜する傾斜面を設け、この傾斜面に冷気吸込み開口を形成するとともに、この開口の上部位置に前記野菜室温度検知手段を配置した構成としてある。
これにより、野菜室温度検知手段は、冷気吸込み開口を介して野菜室に収納した野菜等から輻射される温度を検知するとともに、野菜室温度検知手段と対向しない野菜室の奥まった部分に収納された野菜等の温度はこれを冷却して冷気吸込み開口より吸い込まれ冷却室へと戻り循環する冷気の温度を検知することにより検知することができる。そしてこの冷気吸込み開口へと吸い込まれる冷気は野菜室内の野菜等を冷却した後の冷気であるから、野菜室の奥まった部分に収納された野菜温度を含む野菜室全体の平均化された温度となっている。したがって、野菜室に収納した野菜等の温度を感度よく迅速に検出しつつ野菜室の温度も正確に検知することができ、しかも、野菜室温度検知手段は野菜室の手前側開口部分に位置することになるからその取り付け作業も容易であり、かつ、野菜室戻り風路内に設けた野菜室温度検知手段はセンサカバー等を必要とせず、構成の簡素化も図れ、また野菜室ダンパを閉じているときに冷却室から野菜室戻り風路を介して冷却室の冷気が野菜室戻り風路の冷気吸込み開口より野菜室に逆流することがあっても、この逆流冷気は温度が低いこともあって前記野菜室戻り風路の冷気吸込み開口の下部分を通って野菜室へと流下していき、この逆流冷気の流下によって押し出される比較的温度の高い野菜室内の冷気が野菜室戻り風路の冷気吸込み開口の上部を通って冷却室へと戻るような形となって入れ替わることになるから、前記野菜室戻り風路の冷気吸込み開口の上部位置に設けた野菜室温度検知手段は前記した比較的温度が高くなっている野菜室温度を検知することになり、野菜室戻り風路の冷気吸込み開口に設けたことにより懸念される障害、すなわち冷却室から野菜室に逆流する低温冷気を検知し続けて野菜室温度の検知遅れを招来し野菜室を鈍冷状態に至らしめることを低減できるばかりでなく、冷却室からの低温冷気と入れ違いに冷却室へと流れる野菜室内の冷気の温度を検出することになるから比較的短時間に野菜室ダンパを開いて冷気循環させることができるようになり、野菜を高温劣化等させてしまうことの少ない冷蔵庫とすることができる。
第2の発明は、第1の発明において、野菜室温度検知手段は冷気吸込み開口を介して野菜収納容器の前方収納空間に面するように設けた構成としてある。
これにより、野菜収納容器の前方空間にはペットボトル等の比較的温度の高い食品が収納されることが多いが、このような比較的温度の高い食品が収納された場合にこの食品から輻射される温度を冷気吸込み開口より感度よく検知でき、素早く冷却動作を開始させて効率的な冷却が可能になるとともに、野菜室内の食品を冷却した後の野菜室戻り風路を戻る冷気の温度を検知するので野菜室内の温度を正確に検知することもでき、効果的な冷却が実現できる。
第3の発明は、第1または第2の発明において、野菜室戻り風路は野菜室天井面に風路形成体を着脱自在に取り付けて形成するとともに、野菜室温度検知手段は前記野菜室戻り風路内において前記野菜室天井面から引き出した本体側リード線のコネクタに着脱自在に接続する構成としたものである。
これにより、野菜室温度検知手段が野菜室の手前側開口部分に設けてあることによる取り付け作業の容易化に加え、野菜室温度検知手段は本体側リード線のコネクタへの装着によって容易に取り付けることができ、しかも風路形成体を外すことによってその交換も容易に行うことができ、部品点数の削減に加え取り付け工数の削減によってもコストダウンすることができ、より安価に提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における冷蔵庫の正面図、図2は同図1のA−A概略断面図、図3は同実施の形態1における冷蔵庫の冷気ダクト配置構成を示す説明図、図4は同実施の形態1における冷蔵庫の冷蔵室ダクトおよび野菜室ダクトが貫通する仕切板の斜視図、図5は同図4における仕切板の分解斜視図、図6は同図5における仕切板の要部を拡大して示す分解斜視図、図7は同実施の形態1における冷蔵庫の野菜室の内部を示す側断面図、図8は同実施の形態1における野菜室を正面から見た断面図、図9は同実施の形態1における野菜室の仕切板と野菜収納ケースとの関係を示す拡大断面図、図10は同実施の形態1における野菜室の野菜室温度検知手段の取付部を示す拡大断面図、図11は同実施の形態1における野菜室の風路形成体の斜視図、図12は同実施の形態1における冷蔵庫の制御ブロック図、図13は同実施の形態1における冷蔵庫の制御フロー図である。
図1〜図5において、本実施の形態に係る冷蔵庫は、前方を開口した冷蔵庫本体1を備え、この冷蔵庫本体1は金属製の外箱2と、硬質樹脂製の内箱3と、前記外箱2および内箱3の間に発泡充填された発泡断熱材4とから構成されており、仕切板によって複数の貯蔵室が形成されている。また、前記冷蔵庫本体1の各貯蔵室は冷蔵庫本体1と同様の断熱構成を採用した回動式或いは引出し式の扉5、6、7で開閉自在となっている。
冷蔵庫本体1内に形成された貯蔵室は、最上部の冷蔵室8と、冷蔵室8の下に設けられた温度帯切り替え可能な切替室9と、切替室9の横に設けられた製氷室10と、切替室9および製氷室10と最下部の野菜室11との間に設けられた冷凍室12で構成されている。
冷凍室12の背面には冷却室14があり、冷気を生成する冷却器15と、冷気を各室に供給する冷気送風ファン16とを有し、冷却器15下方にはさらに除霜手段17が設置さ
れている。
冷却器15は、圧縮機18と、コンデンサ(図示せず)と、放熱用の放熱パイプ(図示せず)と、キャピラリーチューブ(図示せず)とを環状に接続してなる冷凍サイクルを構成しており、圧縮機18によって圧縮された冷媒の循環によって冷却を行う。
冷却室14によって生成した冷気は、前記冷却室14を形成する区画壁20に設けた冷凍冷気供給口21と冷凍室ダンパ22を介して冷凍室12及び製氷室10とその横の切替室9に供給されるとともに、図3に示す冷蔵室ダクト23及び冷蔵室ダクト23の途中から分岐した野菜室ダクト24を介して冷蔵室8及び野菜室11に供給される。
冷蔵室ダクト23は、冷蔵室8と製氷室10及びその横の切替室9との間を仕切る仕切板25を貫通して冷蔵室8背面に延設されるとともに、仕切板25貫通部分で野菜室ダクト24が分岐されており、野菜室ダクト24は冷凍室12背面の冷却室14横を通って野菜室11の背面に開口24aしている。
冷蔵室ダクト23と野菜室ダクト24の分岐は図6に示す分岐ユニット26によって行われている。この分岐ユニット26は、冷蔵室ダクト部27と野菜室ダクト部28ならびに冷蔵室戻りダクト部29を有し、前記野菜室ダクト部28に野菜室ダンパ30を組み込んでその上方から蓋体31を装着し野菜室ダクト部28を閉塞してユニット化してある。
このユニット化した状態の分岐ユニット26は、図5に示すように前記仕切板25の下板32と上板33との間に挟み込んで下板32と上板33との間に発泡断熱材を充填発泡させ仕切板25の後部に一体化してある。
分岐ユニット26に設けた冷蔵室ダクト部27は、その上端開口部分に冷蔵室ダンパ34を介して冷蔵室背面の冷蔵室ダクト23に接続するとともに、冷蔵室戻りダクト部29は図3に示す冷凍室12背面の野菜室ダクト24横に設けた冷蔵室戻りダクト35に接続してあり、冷却室14で生成された冷気が冷蔵室ダンパ34、冷蔵室ダクト23、冷蔵室8、冷蔵室戻りダクト35を介して循環するようになっている。
また、分岐ユニット26に設けた野菜室ダクト部28は図3に示す野菜室ダクト24に接続し、冷却室14で生成された冷気が野菜室ダンパ30を介して野菜室11に供給されるようになっている。
なお、上記冷蔵室戻りダクト35及び野菜室ダクト24は、冷蔵庫の中心より右側に配置され、かつ、野菜室11の背部の下方部に設けた開口24aも、冷蔵庫の中心より右側に配置されている。
次に、野菜室11について詳細に説明する。
図7〜図11において、野菜室11は、図7に示すように、冷凍室12との間を区切る断熱性の仕切板36と冷蔵庫本体1の低壁面1aとの間に形成されていて、その底部は奥側に向かって上昇する階段状に形成されており、野菜室扉を引出すことによって引き出される野菜収納容器37およびサブ野菜収納容器38が備えられている。
また、野菜室11の天井面となる仕切板36の下面には図9に示すように着脱自在な風路形成体40が取り付けてあって野菜室戻り風路41が形成されており、この野菜室戻り風路41の後部は冷却室14の下部に開口していて、野菜室11を冷却した後の冷気が冷却室14に戻るように構成されている。
野菜収納容器37は前方収納空間37aと一段上がった後方収納空間37bとが区画されて設けられている。そして、野菜収納容器37にはその後部上方開口部分にサブ野菜収納容器38が載置してあり、野菜収納容器37の前方収納空間37aの上方は開口面42となっている。
野菜収納容器37の前方収納空間37aには、大型のペットボトル(例えば、2Lのペットボトル)などの高さが高い対象物が収容され、野菜収納容器37の後方収納空間37bには野菜が収容される。また、この野菜収納容器37は、図7、図8に示すように、その前壁に冷気が通流する通気孔37cを備えており、この通気孔37cから野菜収納容器37の前方収納空間37aに冷気が流れてペットボトルなどを冷却する。
サブ野菜収納容器38は、野菜収納容器37の上部後方開口にスライドかつ着脱自在に載置され、野菜室11の後方収納空間37b上方に位置して、フルーツ・小物野菜が収容されるものである。
風路形成体40は、熱伝導性を有する材料、例えば、樹脂であるポリプロピレン(PP)で成型されており、図11に示すように、その前面部43には、複数の冷気吸込み開口44が設けられている。この冷気吸込み開口44は、野菜室11内を冷却した冷気が冷却器15に戻るために通過する野菜室戻り風路41の入口となる開口である。
また、上記風路形成体40は、冷蔵庫の左右方向の左側に配置され、かつ、風路形成体40の幅方向(図8の左右方向)の寸法は、野菜室11の左右方向の略1/2となるように設定されている。また、冷気吸込み開口44は、子供の指が入らない程度の大きさの例えば縦長の楕円形状の開口で、風路形成体40の幅方向のほぼ全域にわたって形成されている。これにより、野菜室11の背部下方の右側に設けた野菜室ダクト24の開口24aと、野菜室11の前部の上方部左側に設けた風路形成体40の冷気吸込み開口44とは、野菜室内において、図8に示すように対角線上の位置に配置されることとなり、野菜室11の左右方向にほぼ均一に冷気がいきわたり、野菜室11を効率よく冷却可能としている。
さらに、風路形成体40には図11に示すようにその側面部45に複数の予備開口部45aが設けられている。この予備開口部45aは、サブ野菜収納容器38に収納したフルーツ・小物野菜等で冷気吸込み開口44が閉塞された場合の予備の開口である。この予備開口部45aは、冷蔵庫を正面から見て、風路形成体40の左側の側面部に形成され、野菜室11の内方で野菜収納容器37の側面よりも外方に配置されている。
また、風路形成体40の前面、すなわち冷気吸込み開口44が形成されている前面部43は、図9に示すように前方から後方に向かって下り傾斜させてあり、この傾斜面となっている前面部43に設けられた前記冷気吸込み開口44の野菜室戻り風路41側にサーミスタ等からなる野菜室温度検知手段46が取り付けてある。
野菜室温度検知手段46は図10に示すように収納状態となっている野菜収納容器37上部のサブ野菜収納容器38の手前側開口端38aより若干前方側に位置するように設けてあり、風路形成体40の前面部43に設けられている冷気吸込み開口44から野菜収納容器37の前方収納空間37aに臨むようになっている。また、野菜室温度検知手段46を設けた前面部43の冷気吸込み開口44も、野菜室温度検知手段46と同様、サブ野菜収納容器38の手前側開口端38aよりさらに前方側であって、野菜収納容器37の前方収納空間37a上方に位置している。
さらに、前記野菜室温度検知手段46は、野菜室天井面となる仕切板36に設けた装着凹部36aに着脱自在に嵌合させ、冷気吸込み開口44の上部位置に対応する部分に配置してある。そして、前記野菜室温度検知手段46は、図11に示すようにそのリード線47の端部に設けた端子部48を仕切板36から引き出されたコネクタ49に接続することによって電気的結線が行われている。
図1は本実施の形態の冷蔵庫における制御ブロック図を示し、50は冷蔵室温度検知手段、51は冷凍室温度検知手段で、野菜室温度検知手段46と同様サーミスタで形成してあり、それぞれ冷蔵室8、冷凍室12の適所に設置されている。52は制御部で、マイクロコンピュータ等によって構成してあり、前記冷蔵室温度検知手段50、冷凍室温度検知手段51及び野菜室温度検知手段46からの出力に基づき冷蔵室ダンパ34、冷凍室ダンパ22及び野菜室ダンパ30を制御するとともに、あらかじめ組み込まれた制御ソフトに基づき圧縮機18と冷気送風ファン16を駆動して各室を設定温度に制御する。
以上のように構成された本実施の形態における冷蔵庫について、次に、冷気の流れを中心にその動作を説明する。
食品の出し入れ等により冷蔵室8、冷凍室12、野菜室11のいずれかが設定温度より高くなると、後に詳述するが、圧縮機18と冷気送風ファン16が駆動し、冷却器15で生成された冷気が、冷気送風ファン16により、冷蔵室ダクト23、冷凍冷気供給口21、野菜室ダクト24に供給される。
設定温度以上となっている貯蔵室が、例えば冷蔵室8であれば、冷蔵室ダンパ34が開き、冷却室14からの冷気が冷蔵室ダクト23を介して冷蔵室8に供給され、冷蔵室8を冷却した後、冷蔵室戻りダクト35を介して冷却室14に吸い込まれ、再び冷却器15で冷却されて冷蔵室8に供給される循環を繰り返して冷却を行う。
そして、設定温度以上となっていた冷蔵室8あるいは野菜室11、冷凍室12が設定温度以下まで冷却されれば圧縮機18と冷気送風ファン16が停止し、冷却運転を終える。
次に上記野菜室11を冷却する冷気の流れをさらに詳細に説明する。
図7に示すように、冷却室14で生成された冷気は、まず、野菜室ダクト24内を通り、開口24aから流れでて、野菜室11内方で野菜収納容器37の後方を通って、風路W1のように野菜収納容器37の下方に流れる。そして、冷気は、野菜室11内方で野菜収納容器37の下方の後方から前方に流れる。さらに、冷気は、野菜室11内方で野菜収納容器37の前方の下方から上方に流れる。このように冷気が流れることで、野菜収納容器37に収容されている野菜やペットボトルを冷却する。
そして、この野菜収納容器37の前方の上方に流れてきた冷気は、風路W1のように、野菜収納容器37前壁の通気孔37cを通って、前方収納空間37aに流入する。これにより、流入した冷気が、野菜収納容器37の前部の前方収納空間37aに収容されるペットボトルPを、さらに冷却する。
そして、この冷気は、風路W2のように、前方収納空間37aの上方に配置される風路形成体40の冷気吸込み開口44に向かって流れる。このため、野菜収納容器37の後部の後方収納空間37bに収容されている野菜へは、この冷気が流れにくい。つまり、収容されている野菜が冷却されすぎることがない。
そして、冷気は、風路W2のように、冷気吸込み開口44を通過し、風路形成体40の
野菜室戻り風路41を通って、冷却器15に戻る。
以上のようにして野菜室11の冷却が行われ、野菜室温度が野菜室設定温度まで冷却されると、野菜室温度検知手段46がこれを検知し、制御部52を介して野菜室ダンパ30を閉じ野菜室11の冷却を停止させる。
次に上記野菜室温度検知手段46による野菜室11の温度検知について説明する。
上記野菜室温度検知手段46は、既述したように野菜室戻り風路41の冷気吸込み開口44に設けるとともに、当該冷気吸込み開口44を介して野菜収納容器37の前方収納空間37aに面するように設けてあるから、野菜室11に野菜或いはペットボトル等が収納された際、これらの食品から輻射される温度を冷気吸込み開口44より感度よく検知することができ、素早く冷却を開始させることができる。
特に、上記野菜収納容器37の前方収納空間37aにはペットボトル等の比較的温度の高い食品が収納されることが多いが、このような比較的温度の高い食品が収納された場合に図10の一点鎖線Aで示すようにこの食品から輻射される温度を冷気吸込み開口44より感度よく検知し、制御部52を介して素早く冷却動作を開始させて、冷却開始遅れによる野菜等の劣化を防止することができ、効率的な冷却が可能となる。
加えて、上記野菜室温度検知手段46は冷気吸込み開口44の野菜室戻り風路41内に配置してあるから、野菜収納容器37の周囲を流れて野菜等を冷却した後の冷却室へと吸い込まれる冷気の温度も検知することになる。したがって、輻射熱が届きにくい野菜収納容器37の後ろ下部の奥まった部分に収納された野菜の温度を含め野菜室全体の温度を正確に検知することもできる。
すなわち、冷気吸込み開口44へと吸い込まれる冷気は既に述べたように野菜収納容器37の外周を流れてその中に収納されている野菜を冷却した後の冷気であるから、野菜収納容器37内の奥まった部分に収納されている野菜等の温度を含め野菜室全体の平均化された温度となっている。したがって、冷気吸込み開口44を通過する冷気の温度を検知することによってこのような奥まった部分に収納された野菜等を含む野菜室全体の温度も正確に検知でき、的確な温度制御が可能となる。
また、野菜室温度検知手段46を設けた野菜室戻り風路41の前方端は前方から後方に向かって下り傾斜する傾斜面とし、この傾斜面に冷気吸込み開口44を形成するとともに、この冷気吸込み開口44の上部位置に野菜室温度検知手段46を配置してあるから、野菜室温度検知手段46を野菜室戻り風路41に設けたことによる懸念事項も解消することができる。
すなわち、野菜室11は野菜室ダンパ30を閉じているときに冷却室14から野菜室戻り風路41を介して冷却室14の冷気が野菜室戻り風路41の冷気吸込み開口44より野菜室11に逆流することがあり、この逆流冷気を野菜室温度検知手段46が検知して野菜室11の温度を正確に検知できないばかりか収納された野菜を過冷や鈍冷によって劣化させてしまうことが懸念される。
しかしながら本実施の形態のように、野菜室温度検知手段46を冷気吸込み開口44の上部位置に配置しておけば、冷却室14から冷気の逆流があってもこの逆流冷気は温度が低いこともあって前記野菜室戻り風路41の冷気吸込み開口44の下部分を通って野菜室11へと流下していき、この逆流冷気の流下によって押し出される比較的温度の高い野菜室11内の冷気が野菜室戻り風路41の冷気吸込み開口44の上部を通って冷却室14へ
と戻るような形となって入れ替わることになるから、前記野菜室戻り風路41の冷気吸込み開口44の上部位置に設けた野菜室温度検知手段46は前記下比較的温度が高くなっている野菜室温度を検知することになり、野菜室戻り風路41の冷気吸込み開口44に設けたことにより懸念される障害、すなわち冷却室14から野菜室11に逆流する低温冷気を検知して野菜室温度の検知遅れを招来して野菜室11を鈍冷状態に至らしめることを低減できるのである。しかも逆に冷却室14からの低温冷気と入れ違いに冷却室14へと流れる野菜室11内の冷気の温度を検出することになるから、比較的短時間に野菜室ダンパ30を開いて冷気循環させることができるようになり、野菜を高温劣化等させてしまうことの少ない冷蔵庫とすることができる。
また、上記野菜室温度検知手段46を設けた冷気吸込み開口44は野菜室戻り風路41を構成する風路形成体40の前方端、すなわち、野菜室11の手前側開口寄り部分に設け、かつ、この冷気吸込み開口44に野菜室11の温度を検知する野菜室温度検知手段46を配置しているので、野菜室温度検知手段46の取り付け作業ば容易に行え、しかも野菜室温度検知手段46を風路形成体40が保護することになるのでセンサカバー等を必要とせず、構成の簡素化も図れる。
特に、この実施の形態では、野菜室戻り風路41を形成する風路形成体40は着脱自在とするとともに、野菜室温度検知手段46は前記野菜室戻り風路41内において前記野菜室天井面から引き出した本体側のリード線47のコネクタ49に着脱自在に接続してあるから、野菜室温度検知手段46が野菜室11の手前側開口部分に設けてあることによる取り付け作業の容易化に加え、野菜室温度検知手段46は本体側のリード線47のコネクタ49への装着によって容易に取り付けることができ、しかも風路形成体40を外すことによってその交換も容易に行うことができ、部品点数の削減に加え取り付け工数の削減によってもコストダウンすることができ、より安価に提供することができる。
なお、上記野菜室11を冷却する冷気の制御について、本実施の形態における制御も図13により説明しておく。
この実施の形態では、まず冷蔵室8の温度が設定温度以上になっているか否かをステップ71で検出し、設定温度以上になっているとステップ72で圧縮機18と冷気送風ファン16を駆動し、かつ、ステップ73で冷蔵室ダンパ34とともに野菜室ダンパ30も開く。
これにより、冷却室14で生成された冷気は冷蔵室8とともに野菜室11にも供給され、冷蔵室8及び野菜室11を冷却する。
そして、ステップ74で野菜室11の温度が野菜室11の設定温度以下になるか否かを判断し、設定温度以下になるまで上記冷却動作を繰り返し、設定以下になればステップ75に移行して野菜室ダンパ30を閉じ野菜室11の冷却を停止する。
この時、冷却室14からの冷気は野菜室11とともに冷蔵室にも流れているので、野菜室11に供給される冷気は少ないものとなる。したがって、野菜室温度が設定温度に達したことを野菜室温度検知手段46で検知して野菜室ダンパ30を閉じた時に野菜室11に流れ込んでいる冷気の量は少なくでき、野菜室11内に過剰な冷気が入り込んで野菜等を過冷することを防止できる。
また、前記冷蔵室8の温度が設定温度以上となって冷蔵室8、野菜室11の冷却を開始する時、野菜室温度が野菜室設定温度以下であって冷却の必要がないときには、野菜室温度検知手段46がこれを検知し野菜室ダンパ30を閉じて野菜室11の冷却を停止するの
で、野菜室11を冷やしすぎることもない。
次に上記した如く野菜室11の冷却を停止した後、冷却を続けている冷蔵室8も冷蔵室設定温度に達すると、ステップ76でこれを検知し、ステップ77に移行して冷蔵室ダンパ34も閉じ冷却運転を停止する。
また、冷却開始のステップ71で冷蔵室8の温度が設定温度以下の場合、ステップ78に移行し、野菜室11が所定時間所定温度以上になっていないかを確認し、なっていればステップ79で圧縮機18と冷気送風ファン16を駆動するとともに、ステップ80で野菜室ダンパ30を開き、野菜室11を強制的に冷却する。したがって、野菜室ダンパ30を冷蔵室温度で開くようにした場合に懸念される野菜等の劣化問題を解消し安心感のある冷却が可能となる。
すなわち、例えば、野菜等の出し入れを行い、冷蔵室8の食品出し入れを長く行わなかったような場合、冷蔵室8は冷蔵室設定温度以下に維持されているのに野菜室11だけが比較的高い温度になってこれが長時間続き、野菜等が劣化する等の問題が発生する可能性がある。
しかしながら、本実施の形態の冷蔵庫では野菜室11の温度が所定温度以上、例えば15℃以上であって、これが所定時間以上、例えば20分以上続けば、野菜室を単独で強制的に冷却するようになるので、高温雰囲気下に長時間保存されて野菜等が劣化する問題を未然に防止することができる。
なお、この野菜室11を単独で強制冷却させるときの冷却開始温度及び冷却時間は、野菜室の容量や想定される野菜等の収納量に応じて適宜設定すればよく、これを適切に設定することによって野菜室単独冷却時に懸念される過剰冷気による過冷却も極小化することができる。
また、本実施の形態で示した冷蔵庫は、野菜室11内に収納した野菜等を冷やしすぎることなくペットボトル等を効率よく冷却できる利点がある。すなわち、本実施の形態における野菜室戻り風路41は仕切板36の下面に設けて冷却室14の下部に開口する構成としてあることもあって前記した如く野菜室冷却のための冷気の流れを停止しているときに、冷却室14内の冷気が図7の風路W3で示すように、風路形成体40の野菜室戻り風路41を通って逆流してくることがある。
このように、冷気が風路形成体40を通って逆流してきた場合、この実施の形態の冷蔵庫では風路W3の冷気は野菜収納容器37の前方収納空間37aに向けて流入するようになる。したがって、前方収納空間37aが冷気によって冷却されるようになり、野菜収納容器37の前部の前方収納空間37aに収容されるペットボトルPを効率よく冷却することができる。
また、風路形成体40から逆流してくる冷気は、野菜収納容器37の前部の前方収納空間37aに向けて流れるので、野菜収納容器37の後部の後方収納空間37bに収容される野菜が冷却されすぎることもない。
さらにまた、この風路形成体40は、樹脂であるポリプロピレンなど熱伝導性を有するもので構成されていることから、風路形成体40を通って冷気送風ファン16の運転時に冷却器15へ戻る冷気や冷気送風ファン16の停止時に冷却器15から逆流してくる冷気は、風路形成体40を介して、輻射により、野菜収納容器37の後方収納空間37bに収容される野菜や、サブ野菜収納容器38に収容されるフルーツ・小物野菜に対して、冷気
を入れることなく、冷却し過ぎない程度に、所定の冷却をすることができ、さらに効果的な冷却が可能となる。
以上、本発明に係る冷蔵庫について、上記実施の形態を用いて説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。つまり、本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
例えば、風路形成体40は、冷蔵庫の左右方向の左側に配置され、かつ、風路形成体40の幅方向の寸法は、野菜室11の左右方向の略1/2となるように設定されているものとしたが、風路形成体40の幅方向の寸法は、サブ野菜収納容器38の幅方向と略同一とし、風路形成体40の側面部に下方方向にフランジを設けて、サブ野菜収納容器38の上面の開口を塞いでもよい。これにより、サブ野菜収納容器38のエリアに風がより流れにくくなることとなり、サブ野菜収納容器38内の食品の乾燥をより防ぐことができる。なお、この場合、野菜室を均一に冷却する点からいえば、風路形成体40の幅方向の右側半分には、予備開口部45aを設けないことが望ましい。
また、野菜室の冷却制御に当たって、前記実施の形態では、野菜室11の冷却開始を冷蔵室8の冷却開始に連動させて行わせる(野菜室ダンパ30を冷蔵室ダンパ34に連動させて開く)ことにより冷気を冷蔵室8とで分配して野菜室11の過冷を防止するようにしたものを例示したが、これは冷凍室12の冷却開始と連動させて(野菜室ダンパ30を冷凍室ダンパ22に連動させて開く)冷凍室12とで分配させるようにしてもよいものであり、野菜室以外の貯蔵室であればどのような貯蔵室と分配させるようにしてもよいものである。また、野菜室11の冷却開始を冷蔵室8の冷却開始温度で行わせる(冷蔵室温度検知手段50の出力により野菜室ダンパ30と冷蔵室ダンパ34を開く)ようにしたが、これは野菜室11の温度に基づいて冷却開始させるようにしこれに連動して野菜室以外の貯蔵室の冷却を開始させる(野菜室温度検知手段46からの出力により野菜室ダンパ30と冷蔵室ダンパ34を開く)ようにしてもよいものであり、野菜室温度に基づいて冷却を開始させることにより野菜室11を無駄なくより効率的に冷却することができるようになる。