第1の発明は、冷蔵庫本体と、
前記冷蔵庫本体に配置された冷蔵室、冷凍室および野菜室と、
前記冷凍室の後方に設けられ、前記冷蔵室、前記冷凍室および前記野菜室に供給する冷気を生成する冷却室と、
前記冷却室からの冷気を前記冷蔵室へと案内する冷蔵室ダクトと、
前記冷却室からの冷気を前記野菜室へと案内する野菜室ダクトとを備え、
前記冷蔵室ダクトには、冷蔵室ダンパが設けられ、
前記野菜室ダクトには、野菜室ダンパが設けられ、
前記冷蔵室ダンパおよび前記野菜室ダンパの開閉により、前記冷蔵室および前記野菜室への冷気供給量がそれぞれ制御されるよう構成され、
前記冷蔵室ダクトおよび前記野菜室ダクトは、前記冷却室に対しそれぞれ異なる位置で別個に独立させて前記冷却室に接続され、
前記野菜室ダクトは、前記冷蔵室から前記冷却室への冷蔵室戻りダクトに重合配置され、前記野菜室ダクトおよび前記冷蔵室戻りダクトは、それぞれ弾性を有する材料で形成されて、前記野菜室ダクトと前記冷蔵室戻りダクトとで前記野菜室ダンパを挟持するよう構成されている。
これにより、冷却室からの冷気は冷蔵室ダクト及び野菜室ダクトに対して互いに独立した形で供給されるようになるので、野菜室ダンパを開閉してもその開閉によって冷蔵室ダクトへ供給される冷気量が影響を受けるようなことがなくなり、冷蔵室への冷気供給量が安定し冷却性能を向上させることができる。
また、野菜室ダンパは冷蔵室戻りダクトを利用して合理的に野菜室ダクトに組み込むことができるとともに、野菜室ダクト及び冷蔵室戻りダクトが持つ弾性力によって気密性を確保でき、仕切板に別途組み込む場合のような気密性確保のためのシール部材等を必要とせず構成を簡素化し生産性を向上させることができる。
第2の発明は、第1の発明において、前記野菜室ダクトは冷却室前方に位置する冷凍室の背面投影面積範囲内で冷却室に接続した構成としてある。
これにより、野菜室ダクトは冷却室上方の冷蔵室と冷凍室との間を仕切る仕切板部分を貫通経由することがなくなってその分だけダクト長さを短く、かつ、通路抵抗を少なくすることができるので、冷気循環量を多くして冷却性能を向上させることができる。
第3の発明は、第1または第2の発明において、前記野菜室ダンパは野菜室ダクトに組み込んで野菜室ダクトとともに冷凍室の背面投影面積範囲内に位置する構成としてある。
これにより、野菜室ダンパは野菜室ダクトを設置するだけで冷蔵庫本体への組み込みができ、野菜室ダクトとは別の場所、例えば冷蔵室と冷凍室との間を仕切る仕切板に別途野菜室ダンパを組み込むような場合に比べその生産性を大幅に向上させることができる。しかも、野菜室ダクトを冷却室前方に位置する冷凍室の背面投影面積範囲内で冷却室に接続した場合には、野菜室ダクトのダクト長さを短く、かつ、通路抵抗を少なくすることができるので、冷気循環量を多くして冷却性能を向上させることもできる。
第4の発明は、第1〜第3の発明において、前記冷却室は冷却器と前記冷却器上方に位置する冷却ファンを備え、野菜室ダンパは前記冷却ファンとオーバ―ラップする高さ位置に設けた構成としてある。
これにより、野菜室ダクトを冷蔵室と冷凍室との間を仕切る冷却室上方の仕切板部分を経由させる長さ分だけ短くして通路抵抗を少なくし冷気循環量を多くして冷却性能を向上
させることができる。またこれと同時に、野菜室から野菜室ダンパまでの距離を冷却器の高さ寸法分離すことができるので、冷気循環停止時に野菜室内の湿度の高い暖冷気が野菜室ダクト内に上昇して野菜室ダクトに達しこれが結露して冷気循環再開時に氷結するのを抑制でき、冷却性能を向上させつつ野菜室ダンパの動作不良を防止して信頼性を確保することもできる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1〜図4は冷蔵庫の全体構成を説明する図、図5〜図12は冷却室から野菜室への冷気供給構成を説明する図、図13〜図23は冷蔵室構成を説明する図、図24〜図31は冷凍室から冷却室に跨る部分の構成を説明する図である。
<1−1.冷蔵庫の全体構成>
まず図1〜図4を用いて冷蔵庫の全体構成を説明する。
図1〜図4において、本実施の形態に係る冷蔵庫は、前方を開口した冷蔵庫本体1を備え、この冷蔵庫本体1は金属製の外箱2と、硬質樹脂製の内箱3と、前記外箱2および内箱3の間に発泡充填された発泡断熱材4とで構成してあり、仕切板5、6等によって複数の貯蔵室が仕切形成してある。また、前記冷蔵庫本体1の各貯蔵室は冷蔵庫本体1と同様の断熱構成を採用した回動式の扉7或いは引出し式の扉8、9、10、11で開閉自在としてある。
冷蔵庫本体1内に形成した貯蔵室は、最上部の冷蔵室14と、冷蔵室14の下に設けた温度帯切り替え可能な切替室15と、切替室15の横に設けた製氷室16と、切替室15および製氷室16と最下部の野菜室17との間に設けた冷凍室18で構成している。そして、前記冷蔵室14には複数の棚板20が設けてあり、その下部には冷却温度帯の異なるパーシャル室21とチルド室22が上下二段に重ねて設けてある。
上記冷蔵室14は、冷蔵保存するための貯蔵室で、凍らない程度の低い温度、具体的には、通常1〜5℃に設定され冷却される。また、冷蔵室内に設けたパーシャル室21は微凍結保存に適した−2〜−3℃に設定され、チルド室22は冷蔵室14よりも低くパーシャル室21よりは高めの1℃前後の温度に設定され冷却される。
野菜室17は、冷蔵室14と同等もしくは若干高く温度設定される貯蔵室で、具体的には、2〜7℃に設定され冷却される。この野菜室17は野菜等の収納食品から発せられる水分により高湿度となるため、局所的に冷えすぎると結露することがある。そのため、比較的高い温度に設定することで冷却量を少なくし、局所的な冷えすぎによる結露発生を抑制している。
冷凍室18は、冷凍温度帯に設定される貯蔵室で、具体的には、通常−22〜−18℃に設定され冷却されるが、冷凍保存状態向上のため、例えば−30℃や−25℃などの低温に設定され冷却されることもある。
切替室15は、庫内の温度が変更可能な貯蔵室であり、用途に応じて冷蔵温度帯から冷凍温度帯まで切り換えることができるようになっている。
一方、前記冷凍室18の背面には冷却室23が設けてあり、この冷却室23には冷気を生成する冷却器24と、冷気を前記各室に供給する冷却ファン25とが設置してある。そして更に冷却器24の下方にはガラス管ヒータ等で構成した除霜手段26(以下、ガラス管ヒータと称す)が設けてある。
冷却器24は、圧縮機27と、コンデンサ(図示せず)と、放熱用の放熱パイプ(図示せず)と、キャピラリーチューブ(図示せず)とを環状に接続して冷凍サイクルを構成しており、圧縮機27によって圧縮された冷媒の循環によって冷却を行う。
また、冷却ファン25は冷却器24の上方に設けてあり、その下流側に連なる冷蔵室ダクト28、冷凍室ダクト29、野菜室ダクト30を介して冷蔵室14、冷凍室18、野菜室17等に冷気を供給し、これら各室を冷却するようになっている。
以下、上記冷却室23、冷蔵室14、冷凍室18、野菜室17の各室及びその冷却の構成について説明していく。
<1−2.冷却室と冷気供給構成>
図3と図5〜図12を用いて冷却室と冷気供給構成について説明する。
冷却室23は冷凍室18の背面にあって図6に示すよう冷却室形成板31と内箱3とによって形成してあり、冷却室形成板31の上部に冷却ファン25を装着することにより冷却器24上方に冷却ファン25を位置させてある。また、冷却室形成板31の前面側には冷凍室背面板32を装着して冷却ファン25の下流側を覆い冷却室23との間に冷却ファン下流側と連通する冷凍室ダクト29を形成している。
そして、上記冷却ファン25の下流側には冷蔵室14の冷蔵室ダクト28と、野菜室17の野菜室ダクト30が、それぞれ異なる位置で別個に独立した形で接続してある。詳述すると、前記冷却ファン下流側の上部の上面は図4等に示すように冷蔵室14と冷凍室18を仕切る仕切板5に設けた第1冷気供給口33を介して冷蔵室ダクト28につながっており、冷却ファン下流側の上部の側方には図10、図11、図12にも示すように第2冷気供給口34を設けて野菜室ダクト30が接続してある。すなわち、上記冷蔵室ダクト28と野菜室ダクト30は冷却室23に対し、それぞれ異なる位置で別個に独立した形で接続してある。そして、冷却器24で生成した冷気を冷却ファン25によって前記第1冷気供給口33と第2冷気供給口34に別個に独立した形で供給し、冷蔵室ダクト28と野菜室ダクト30へと供給する。
なお、上記冷却器24の下方には図6に示すように冷却器24ガラス管ヒータ26を覆う傘状断面のヒータカバー35が設置してあり、冷却室23の底面には除霜水を外部に排出する排水口36が設けてある。
<1−3.冷蔵室とその冷却構成>
次に図3と図13〜図23を用いて冷蔵室とその冷却構成を説明する。
冷蔵室14は、冷蔵庫本体1の最上部に位置していて図3、図14に示すように複数の棚板20を有しており、背面に前記した冷蔵室ダクト28が設けてある。
冷蔵室ダクト28は図18に示すように発泡スチロールからなるダクト部材28aの冷蔵室側表面を樹脂製のダクトカバー28bで覆って構成してあり、冷蔵室14と冷凍室18との間を仕切る仕切板5の第1冷気供給口33を覆う如く冷蔵室背面に装着して冷却室23と連通させてある。そして、上記第1冷気供給口33には冷蔵室ダンパ37を組み込み、この冷蔵室ダンパ37の開閉によって冷却室23から冷蔵室14への冷気供給量を制御するようになっている。なお、この冷蔵室ダンパ37はダンパ固定枠38によって第1冷気供給口33に固定してある。
上記冷蔵室ダンパ37は冷蔵室14への冷気供給量を制御する冷蔵室用ダンパ部39とパーシャル室21への冷気供給量を制御するパーシャル室用ダンパ部40とを有する二連式ダンパで構成してあり、冷蔵ダンパ駆動用モータユニット41内の冷蔵及びパーシャル用の1つのモータ(図示せず)によって駆動する構成となっている。
一方、上記冷蔵室14の下部に設けたパーシャル室21とチルド室22のうち、上方に位置するチルド室22は、図14、図15に示すように最下段の棚板となる天井板43とその下方に位置するパーシャル室21との間の冷蔵室横幅一杯に形成してあり、チルド室容器44が出し入れ自在に設けてある。そして、上記チルド室22の後方には冷蔵室ダクト28の冷蔵室用ダンパ部39下流側に連通する冷気入口22aが設けてあり、この冷気入口22aから冷気を取り込んで冷却するようになっている。
上記チルド室22は図15に示すように天井板43の後部にスリット状の冷気戻り口(チルド側)45を設けるとともに、チルド室容器44の後方部に前記冷気戻り口(チルド側)45を介して冷蔵室14とつながる冷気戻し通路部(チルド側)46が設けてある。更に、前記チルド室容器44の前端部には図14に示すようにチルド室扉兼把手部47の下方との間に冷蔵室14内とつながる開口部48を設けて、冷蔵室14内の冷気がチルド室容器44から溢れ出るチルド室冷却後の冷気とともにチルド室容器44外周の間隙(図示せず)を通って、前記冷気戻し通路部(チルド側)46へと流れるように構成してある。
また、チルド室22はそのチルド室容器44の下方であるパーシャル室21の天井板部材50に温度調節用ヒータ49を敷設し、下方に位置するパーシャル室21からの冷輻射によりチルド室温度が設定温度より低くなると温度調節用ヒータ49に通電して設定温度に維持するように構成してある。なお、上記温度調節用ヒータ49はチルド室22内の適所に設けたチルド室温度センサ(図示せず)によって制御する構成としてある。
一方、チルド室22の下方に位置するパーシャル室21は、冷蔵庫本体1の内箱内壁面と貯水タンク室形成板(図示せず)と前記チルド室22の底面ともなる天井板部材50とで貯水タンク室横に区画形成してあり、前面開口部分はパーシャル室扉51で開閉自在としてある。そして、パーシャル室21の内部にパーシャル室容器52が出し入れ自在に設けてある。
上記パーシャル室21を構成する天井板部材50には発泡スチロール等からなる断熱材53が組み込んであり、この断熱材53に前記した冷蔵室ダクト28のパーシャル室用ダンパ部40下流側に連通するパーシャル冷気通路54を形成してパーシャル室21内に冷気を供給し冷却する構成としてある。
また、上記パーシャル室21は、図15及び図19〜図21に示すように前記チルド室22と同様、その天井板部材50の後部にスリット状の冷気戻り口(パーシャル側)55を設けるとともに、パーシャル室容器52の後方に空間部を設けて冷気戻り通路部(パーシャル側)56が形成してあり、前記チルド室22後方の冷気戻り通路部(チルド側)46内の冷蔵室冷気とチルド室冷気が冷気戻り通路部(パーシャル側)56へと流れるようにしてある。
そして更に、上記パーシャル室21はその底面ともなる仕切板5の後部に冷気戻り通路部(パーシャル側)56と連通する冷気合流戻り口57を設け、この冷気合流戻り口57に冷蔵室戻りダクト58を接続して、前記冷蔵室14、チルド室22を冷却した冷気がパーシャル室容器52から溢れ出るパーシャル室冷却冷気と合流して冷却室23に戻るように構成してある。
すなわち、冷蔵室14、チルド室22、パーシャル室21の冷気を冷却室23に戻すためのダクト部を、前記チルド室22とパーシャル室21の後方空間を利用して形成した形としてある。
なお、上記冷気戻り口(チルド側)45と冷気戻り口(パーシャル側)55とは上下に対向する位置に設け、冷気戻り口(パーシャル側)55と冷気合流戻り口57は位置ずれした位置に設けてある。
また、上記冷気を冷却室23へと戻す冷蔵室戻りダクト58は図4や図24、図25等に示すように冷却室23の側部(横)に設置し、その下端側部を冷却室23の下部側面に開口させることにより冷却室23に戻すように構成してある。この冷蔵室戻りダクト58はその後面に設けた凹状溝58bを内箱3の背面内壁面に圧接させて当該背面壁内面との間でダクト通路部を形成している。
更にまた、前記パーシャル室21には上記冷気戻り通路部(パーシャル側)56の冷気戻り口(パーシャル側)55と冷気合流戻り口57との間の部分に、図16、図17に示すように冷蔵室14の温度を検出して冷蔵室用ダンパ部39を制御する冷蔵室温度センサ59が設けてある。そして、上記冷蔵室温度センサ59と冷蔵室ダクト28を挟んで反対側の対角部分にパーシャル室21の温度を検知してパーシャル室用ダンパ部40を制御するパーシャル室温度センサ60が設けてある。
更に、前記冷気戻り通路部(パーシャル側)56の冷気戻り口(パーシャル側)55と冷気合流戻り口57との間には図22、図23に示すように冷気の流れに沿う如く脱臭ユニット61が着脱自在に設けてある。
なお、上記脱臭ユニット61および冷蔵室温度センサ59およびパーシャル室温度センサ60は、何れも冷蔵室戻りダクト58を構成するダクトカバー28bの一部に設けた装着部28bb(冷蔵室温度センサ59およびパーシャル室温度センサ60用の装着部は図示せず)に取付けて一体化してある。
また、図14bは、図14aの冷蔵室ダクト28における、A部(冷蔵室ダンパ部)水平断面図と、B部(パーシャル室背面部)水平断面図と、C部(冷蔵室ダクト部)水平断面図とを模式的に示したものである。
図14bにおいて、冷蔵室ダクト28におけるダクト部材28aの長辺Wと短辺Dの比で表されるW/D(以下、アスペクト比と言う)は、A部アスペクト比(=W1/D1)、B部アスペクト比(=W2/D2)、C部アスペクト比(=W3/D3)とすると、A
部アスペクト比<B部アスペクト比<C部アスペクト比の関係を有している。
また、図14cは、冷蔵室ダクト28の水平断面図、図14dは、冷蔵室ダクト28の吐出口を示す説明図である。
図14c、図14dにおいて、ダクト部材28aの冷蔵室側表面を覆うダクトカバー28bの左右両側部には左右に延出して一体形成された延出リブ28cを備えている。
延出リブ28cは奥面側に傾斜した傾斜面を備え、端部はさらに角度を大きくして奥側に延出している。延出リブ28cはユーザーが冷蔵室を前方から見た時に側面吐出口28dが直接見えない程度に延出している。
また、側面吐出口28dの下面は冷気の流れに対して上方となる傾斜面を有している。
<1−4.冷凍室とその冷却構成>
次に図2、図3と図24〜図31を用いて冷凍室とその冷却構成を説明する。
冷凍室18は冷蔵室14の下方で、かつ冷却室23の前方にあって、内部に下段容器62aとその上方に載置した上段容器62bとからなる冷凍室容器62が扉11の引出し開閉によって出し入れ自在なるように設けてある。そして、既に述べた通り冷却室23との間に冷凍室背面板32を配置し、この冷凍室背面板32と冷却室形成板31との間に冷却室23の冷却ファン下流側と連通する冷凍室ダクト29を形成している。
冷凍室背面板32には図24等に示すように上下複数段に亘って冷気吹出し口63が設けてあり、最上部の冷気吹出し口63は製氷室16および切替室15に冷気を供給し、中段の冷気吹出し口63は上記冷凍室容器62の上段容器62bに冷気を供給し、最下段の冷気吹出し口63は下段容器62aに冷気を供給するようになっている。
また、上記冷凍室18は図24等に示すようにその冷凍室背面板32の下部に前記冷却室23の下部に連通する冷凍冷気戻り口64が設けてある。この冷凍冷気戻り口64は図29に示すように冷凍室側口枠部65と冷却室側口枠部66とからなっていて、これらの枠は垂線に対し上部にいくほど後方、すなわち冷却室23側に位置するように傾斜させてある。そして、上記冷凍冷気戻り口64にはその冷凍室側口枠部65にグリル67を装着し、冷却室側口枠部66には冷凍室ダンパ68が設けてある。
冷凍室側口枠部65に設けたグリル67は、冷凍室18から冷却室23へと流れる冷気を整流するもので、その各グリル片69は冷却室側端部が上方に位置するように傾斜させ、かつ、下方のグリル片69になるほど前後長が長くなるようにして冷凍室18内の冷凍室容器62後面に沿う形としてある。
一方、冷却室側口枠部66に設けた冷凍室ダンパ68は、冷凍室18に供給される冷気を開閉制御するもので、図31に示すように耐熱性樹脂、例えばポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS樹脂)で形成したダンパ枠体70に同様の耐熱性樹脂で形成した複数のフラップ71、この例では三つのフラップ71を設けて構成してある。そして、上記冷凍室ダンパ68は各複数のフラップ71の冷却室側端部を軸支して図29に示すように冷凍室18とは反対の冷却室23側に開くように構成してあり、ダンパ枠体70の一端部に固定した冷凍ダンパ駆動用モータユニット72によって駆動する構成としてある。なお、図31において複数のフラップ71は実線の図番付与線のものが閉じたとき、破線図番付与線のものが開いた時を示している。
また、上記冷凍室ダンパ68は図25に示すように冷却室側口枠部66に設けた爪片73に冷凍ダンパ駆動用モータユニット72を固定した状態のダンパ枠体70を弾着係合させることにより冷却室形成板31に装着しユニット化してあり、冷却室側口枠部66の傾斜に沿って冷蔵室ダンパ37の冷却室側が冷凍室側より下方に位置するように傾斜させて設けてある。
さらに、冷凍室ダンパ68は図29から理解できるように各複数のフラップ71に沿って冷却室23へと流れる冷気が冷却器24の下端縁に流れるように設けてある。この例では冷凍室ダンパ68はその上部(ダンパ枠体70の上片部分)が冷却器24の下端縁より上方に位置し、かつ、その下部(ダンパ枠体70の下辺部分)が冷却器24の下端より下方に位置する如く設けることによって冷気を冷却器24の下端縁より下方部分に流れるようにしてある。
さらに加えて、上記冷凍室ダンパ68はその下部(ダンパ枠体70の下辺部分)がガラス管ヒータ26より上方に位置するように設け、除霜時にガラス管ヒータ26で熱せられた暖冷気が確実に触れるように設定してある。
その一方で、冷凍室ダンパ68を支持している冷却室側口枠部66の下辺66aは二重壁とし、その下面を円弧状にして冷却室23に突き出す形(冷却室23の底面23aよりガラス管ヒータ26側に突き出す形)としてガラス管ヒータ26からの輻射熱が直接照射するのを防止する構成とし、かつ、更に二重壁部分の間隙部分66bは冷凍室18に面して開放させて冷凍室冷気で冷却し過度に昇温するのを抑制する構成としてある。
更にまた、前記冷凍室ダンパ68は図25に示すようにその冷凍ダンパ駆動用モータユニット72がガラス管ヒータ26の長手方向において、ガラス管ヒータ26のヒータ部26aと対向しないようヒータ部26aから外方にずれた場所に位置するように配置してある。そしてこの例では上記冷凍ダンパ駆動用モータユニット72を冷却室23横の冷蔵室戻りダクト58側に位置させることによって、冷凍ダンパ駆動用モータユニット72がヒータ部26aの外方に位置する形をとりつつ、冷凍室ダンパ68の複数のフラップ71部分が冷却器24の中心線寄り部分に位置するようにしてある。
なお、冷凍室ダンパ68は冷凍冷気戻り口64のみに設けられており、冷却室23から冷気吹出し口63に至る冷気吐出通路にはダンパを備えず、冷却室23と冷凍室18とは連通状態に保たれている。
<1−5.野菜室とその冷却構成>
次に図3、図4と図8〜図12を用いて野菜室とその冷却構成について説明する。
野菜室17は、図3に示すように冷凍室18下方の冷蔵庫本体1最下部に位置していて、冷凍室18と同様野菜室容器17aが扉10の引出し開閉によって出し入れ自在なるように設けてある。この野菜室17に冷気を供給する野菜室ダクト30は、図8、図9に示すように冷却室23横の冷蔵室戻りダクト58前面に重合させて配置してあり、その上部は図4及び図10に示すように前記冷却室23に設けた第2冷気供給口34に接続してある。
この第2冷気供給口34は既述した通り冷蔵室14への冷気供給口となる第1冷気供給口33とは別個に独立した形で形成してある。すなわち、第2冷気供給口34は冷却室23の上方に位置する冷蔵室14と冷凍室18とを仕切る仕切板5より下方、即ち冷凍室18の背面投影面積内であって、前記冷却ファン25と略同じ高さ位置の冷却ファン下流側部分に設けてある。そして、この第2冷気供給口34に接続した野菜室ダクト30の下端
は野菜室17の上部に開口していて、野菜室17に冷気を供給するようになっている。
上記野菜室ダクト30はその上端部の側部を開口74させて第2冷気供給口34に突き合わせ接続してあり、この接続部近傍、具体的には冷却ファン25と略同じ高さ位置範囲に野菜室ダンパ75を組み込んである。
またこの野菜室ダンパ75は図8に示すように冷蔵室戻りダクト58の前面に形成した野菜室ダクト通路部となる凹状溝58bに嵌め込み、この状態の冷蔵室戻りダクト58の凹状溝58b前面に野菜室ダクト30を嵌め込み装着することにより冷蔵室戻りダクト58と野菜室ダクト30との間で挟持固定してある。そして、上記野菜室ダクト30および冷蔵室戻りダクト58は発泡スチロール等の弾性力を有する材料で形成してあり、その弾性力によって両者間の気密性を確保すると同時に野菜室ダンパ75の気密性も確保する構成としてある。
なお、野菜室ダンパ75は野菜ダンパ駆動用モータユニット76によって駆動されるダンパ片75aが野菜室ダクト30を流れる冷気と逆の方向、この例では上向きに開くように構成してある。これは前記した冷蔵室ダクト28のダンパ開き方向とは反対の方向である。
また、野菜室17を冷却した後の冷気はその天井面に設けた野菜室戻りダクト(図示せず)を介して冷却室23に戻すようになっている。
以上のように構成した冷蔵庫について、以下、冷気の流れを中心にその動作と作用効果を説明する。
まず、本発明の特徴部分である冷蔵室と野菜室の冷却について説明する。
冷蔵庫は、冷蔵室14の温度が設定温度より高くなると、圧縮機27と冷却ファン25を駆動し、冷却器24で生成された冷気を、冷却ファン25の下流側に供給する。
冷却ファン25の下流側に供給された冷気は、冷却ファン下流側の上部上面に開口する第1冷気供給口33より冷蔵室ダンパ37を介して冷蔵室ダクト28に供給され、冷蔵室ダクト28の左右両側面部に開口させた冷気吹出し口(図示せず)から冷蔵室14に吹き出し冷蔵室14内を冷却する。
また、上記冷却ファン25の下流側に供給された冷気は、冷却ファン下流側の上部側面に開口する第2冷気供給口34より野菜室ダンパ75を介して冷蔵室ダクト28にも供給され、冷蔵室ダクト28の下端開口から野菜室17に供給され野菜室17内を冷却する。
そして、冷蔵室より冷却温度が高く設定されている野菜室17の温度が設定温度になると野菜室ダンパ75が閉じ、野菜室17への冷気供給を停止し野菜室を設定温度に保つ。
この時、この冷蔵庫では、上記野菜室17に冷気を供給する第2冷気供給口34と冷蔵室14に冷気を供給する第1冷気供給口33とを、冷却室23に対し別個に独立して設けて、冷却室23から直接各ダクトへと冷気が独立して供給されるようにしてあるから、野菜室ダンパ75が閉じても冷蔵室ダクト28へと供給される冷気量は変化せず、野菜室ダンパ75が開いているときと同じ量が供給されることになる。
したがって、冷蔵室14の冷却は野菜室17に冷気を供給しているときと同じレベルで行うことができ、野菜室ダンパ75の開閉に影響されることなく安定的に行うことができ
る。
なお、この実施の形態では、上記第1冷気供給口33は冷却ファン下流側の上部上面、第2冷気供給口34は冷却ファン下流側の上部側面、というように、異なる面に開口させることによって、それぞれ別個に独立して冷却室23に開口するように構成したが、同じ面、例えば冷却ファン下流側の上部上面に第1冷気供給口33と第2冷気供給口34を独立させて設けてもよく、この場合は互いの空気供給口に供給される冷気が他方のダンパの開閉によって影響されない程度に離しておけばよい。
また、上記野菜室ダクト30は冷却室23の冷却ファン下流側に直接接続して冷却室23の前方に位置する冷凍室18の背面投影面積範囲内で冷却室に接続した形としてあるから、野菜室ダクト30は冷却室23上方の冷蔵室14と冷凍室18との間を仕切る仕切板5部分を貫通経由することがなくなってその分だけダクト長さを短く、かつ、通路抵抗を少なくすることができる。
その結果、野菜室ダクト30や冷蔵室ダクト28等を介して循環させる冷蔵庫全体の冷気循環量を増加、すなわち、冷却ファン25によって循環させる冷蔵庫全体の冷気循環量を増加することができる。したがって冷気循環量が増加した分だけ冷却性能を向上させることができる。
また、上記野菜室ダンパ75は冷却室23の冷却ファン25とオーバ―ラップする高さ位置に設けてあるから、前記した冷却性能向上効果を生かしつつ動作不良を防止して冷蔵庫の信頼性を確保することができる。
すなわち、野菜室17は比較的高い温度に設定され湿度も高い状態となっているため、野菜室ダンパ75が閉じて冷気循環が停止している時、この湿度の高い暖冷気が野菜室17内から野菜室ダクト30内へと逆流する場合がある。この湿度の高い暖冷気が野菜室ダンパ75に触れると湿気が結露し、この結露した結露水が野菜室17の冷却再開時、野菜室17へと供給される冷気によって氷結し野菜室ダンパ75が開閉不良となる場合がある。
しかしながら、この冷蔵庫では野菜室ダンパ75を冷却ファン25とオーバ―ラップする高さ位置に設けてあるあるから、その分野菜室17から野菜室ダンパ75までの距離を取って冷却器24の高さ寸法分だけ上方へと離すことができ、冷気循環停止時に野菜室17内の湿度の高い暖冷気が野菜室ダクト30内に上昇して野菜室ダンパ75に達しこれが結露するのを抑制することができる。
したがって、野菜室17への冷気循環再開時に野菜室ダンパ75が氷結して動作不良を起こすのを防止でき、信頼性を確保することができる。
つまり、この実施の形態のように、野菜室ダクト30は冷却室23前方に位置する冷凍室18の背面投影面積範囲内で冷却室23に接続し、かつ、野菜室ダンパ75は冷却ファン25とオーバ―ラップする高さ位置に組み込むことによって、冷却性能を向上させつつ野菜室ダンパ75の動作不良を抑制して信頼性を確保することができる。
また、前記野菜室ダンパ75は上記野菜室ダクト30に設けてあるから、野菜室ダクト30とは別の場所、例えば従来のように冷蔵室14と冷凍室18との間を仕切る仕切板5に別途野菜室ダンパを組み込むような場合に比べ野菜室ダンパ75の組み込みが容易になり、生産性が大幅に向上する。
すなわち、この野菜室ダンパ75は冷蔵庫本体1外で別途野菜室ダクト30に組み込んでおいてこの野菜室ダクト30を冷却室23の横に組み込むだけで冷蔵庫本体1への組み込みができ、容易に冷蔵庫本体1へ組み込むことができる。しかも、冷却室23前面の冷凍室背面板32を着脱するだけで野菜室ダクト30ごと着脱することができるので、メンテナンスも容易になり、利便性も向上する。
更にこの実施の形態では、上記野菜室ダクト30は冷蔵室14から冷却室23への冷蔵室戻りダクト58に重合配置し、上記野菜室ダクト30と冷蔵室戻りダクト58は発泡スチロール等の弾性を有する材料で形成して、当該野菜室ダクト30と冷蔵室戻りダクト58とで野菜室ダンパ75を挟持した構成としてあるから、生産性が更に向上する利点がある。
詳述すると、野菜室ダンパ75は野菜室ダクト30と冷蔵室戻りダクト58とで挟持しているから、まず冷蔵庫本体1外で野菜室ダクト30と冷蔵室戻りダクト58とを組み付けて野菜室ダンパ75を組み込んでおき、この野菜室ダンパ75を組み込んだ野菜室ダクト30と冷蔵室戻りダクト58とのセット物を冷却室23の横に組み込むだけで野菜室ダクト30の冷蔵庫本体1への組み込みができ、生産性が向上するのである。
しかも、上記野菜室ダクト30および冷蔵室戻りダクト58は何れも発泡スチロールで形成していてこれが弾性力を有するので、この野菜室ダクト30及び冷蔵室戻りダクト58が持つ弾性力によってシール部材等を用いることなく野菜室ダンパ75を気密状態で組み込むことができる。したがって、従来のように野菜室ダンパを仕切板に組み込む場合のように別途気密性確保のためのシール部材等を用いる必要がなくなり、構成の簡素化と工程の短縮が可能となり、更なる生産性の向上を実現することができる。
加えて上記野菜室ダンパ75は野菜室ダクト30と冷蔵室戻りダクト58とによって弾性支持されることになるので、開閉動作時等に生じがちな微振動による騒音発生を抑制することができ、静穏性の高い冷蔵庫とすることができる。
次に冷蔵室の冷却及び冷気戻り動作について説明する。
冷蔵室14は既述した通り冷蔵室ダクト28を介して冷気が供給され冷却される。この時、前記冷蔵室ダクト28に供給された冷気の一部が冷蔵室14下部に設けたパーシャル室21とチルド室22にも供給され各室が冷却される。
上記各室の冷却において、前記冷蔵室14は冷蔵室温度センサ59からの出力に基づき動作する冷蔵室用ダンパ部39の開閉によって制御され、設定温度に維持される。
また、チルド室22は冷蔵室14とともに前記冷蔵室用ダンパ部39の開閉によって冷却が制御され、下方に位置するパーシャル室21からの冷輻射によって冷蔵室14よりは低めの温度に維持される。
この時、チルド室22はパーシャル室21からの冷輻射が強くて設定温度を下回る、すなわち冷えすぎ状態となることがあるが、このような場合にはチルド室温度センサ(図示せず)からの出力に基づきチルド室底面に敷設した温度調節用ヒータ49が発熱しチルド室22を設定温度に維持する。
更に、パーシャル室21はパーシャル室温度センサ60からの出力に基づき動作するパーシャル室用ダンパ部40の開閉によって冷却が制御され、設定温度に維持される。
このようにこの冷蔵庫は冷蔵室14の下部に設けたチルド室22とパーシャル室21をそれぞれ異なる温度帯で冷却制御することができ、使い勝手が向上する。
しかも、この冷蔵庫では前記したように野菜室17の冷却を制御すべくその野菜室ダンパ75を開閉しても冷蔵室14に供給される冷気量が変化せず一定の安定したものとなるので、高い制御精度を必要とするチルド室22やパーシャル室21の温度精度を要望通り高いものとすることができ、これによって各室での食材の保存品質を高めることができる。
なお、この実施の形態ではチルド室22とパーシャル室21の二室を設けたものを例示したが、これはいずれか一室のみであってもよいものである。
また、冷蔵室ダクト28におけるダクト部材28aの長辺Wと短辺Dの比で表されるW/D(以下、アスペクト比と言う)は、A部アスペクト比(=W1/D1)、B部アスペクト比(=W2/D2)、C部アスペクト比(=W3/D3)とすると、A部アスペクト比<B部アスペクト比<C部アスペクト比の関係を有しているので、冷蔵室ダクトのアスペクト比を適切に設定できるため、実効内容積を大きくでき、冷蔵室ダクトの意匠性を損なうことなく冷却性能を確保することができる。
また、ダクト部材28aの冷蔵室側表面を覆うダクトカバー28bの左右両側部には左右に延出して一体形成された延出リブ28cを備えているので、前方から直接、冷蔵室ダクトの前面側部の側面吐出口28dが見えず、冷蔵室内の意匠性を高めることができる。
また、側面吐出口28dの下面は冷気の流れに対して上方となる傾斜面を有しているので、下方から上方へ流れる冷気の風路抵抗を低減することができ、さらに冷蔵室の冷却性能を高めることができる。
次に上記冷蔵室14、チルド室22、パーシャル室21を冷却した後の冷気の冷却室23への戻り動作について説明する。
冷蔵室14を冷却した冷気は、まずチルド室22天井面後方の冷気戻り口(チルド側)45およびチルド室扉兼把手部47下方の開口部48とチルド室容器44外周部の間隙を介してチルド室22後方の冷気戻り通路部(チルド側)46へと流れる。
チルド室22後方の冷気戻り通路部(チルド側)46へと流れた冷気は、パーシャル室21の天井板部材50に設けた冷気戻り口(パーシャル側)55よりパーシャル室21後方の冷気戻り通路部(パーシャル側)56へと流れる。
そして、パーシャル室21後方の冷気戻り通路部(パーシャル側)56へと流れた冷気は、パーシャル室21の底面となる仕切板5に設けた冷気合流戻り口57より冷蔵室戻りダクト58を介して冷却室23へと戻る。
この時、チルド室22を冷却した冷気はチルド室容器44から溢れ出てチルド室22内の冷気戻り通路部(チルド側)46で前記冷蔵室14からの冷気と合流し、パーシャル室21の天井板部材50に設けた冷蔵冷気戻り口(パーシャル側)55よりパーシャル室21後方の冷気戻り通路部(パーシャル側)56を通り、冷気合流戻り口57より冷蔵室戻りダクト58を介して冷却室23へと戻る。
また、パーシャル室21の冷気はパーシャル室容器52から溢れ出てパーシャル室21後方の冷気戻り通路部(パーシャル側)56へと流れ、前記冷蔵室14およびチルド室2
2からの冷気と合流して冷気合流戻り口57より冷蔵室戻りダクト58を介して冷却室23へと戻る。
このようにこの冷蔵庫は、冷蔵室14内のチルド室22およびパーシャル室21の後方に設けた冷気戻り通路部(チルド側)46及び冷気戻り通路部(パーシャル側)56と冷気戻り口(チルド側)45および冷気戻り口(パーシャル側)55を介して冷蔵室14の冷気及びチルド室22とパーシャル室21の各冷気を冷却室23に戻すことができる。したがって、これら各室の冷気を冷却室23へと戻すダクト部を冷蔵室ダクト28に沿って冷蔵室14内に別途設ける必要がなくなる。よってその分冷蔵室14の内容積を増加させることができ、より多くの食材を冷却保存できるようになる。
また、上記冷蔵室14からチルド室22を経由して冷気合流戻り口57へと流れる冷気戻り通路部(パーシャル側)56内の冷気の主流は、冷気戻り口(パーシャル側)55と冷気合流戻り口57とを結ぶ線上となる。この冷気はチルド室冷気及びパーシャル室冷気を含むがその大部分は冷蔵室冷気であり、この冷蔵庫では上記主流冷気が流れる前記冷気戻り口(パーシャル側)55と冷気合流戻り口57との間に冷蔵室温度センサ59を設けているので、冷蔵室14の温度を正確に検出することができる。したがって、冷蔵室14の温度を精度良く設定温度に制御することができる。
また、パーシャル室温度センサ60は前記パーシャル室21内の冷気戻り通路部(パーシャル側)56の冷気流れが主流となる冷気戻り口(パーシャル側)55と冷気合流戻り口57との線上以外の部分、この例では冷蔵室温度センサ59とは冷蔵室ダクト28を挟んで反対側の対角部分に設けてあるので、パーシャル室21の温度も正確に検出し、精度よく制御することができる。すなわち、上記冷蔵室温度センサ59と冷蔵室ダクト28を挟んで反対側の対角部分は冷蔵室冷気が少なくその大部分はパーシャル室21内の冷気であってこれが漂っている形となっているので、パーシャル室21内の温度も正確に検出でき、精度の高い温度制御ができるのである。
一方、チルド室22は既述した通りパーシャル室21からの冷輻射を受けて冷蔵室温度よりも低めの温度に冷却されているが、パーシャル室21の冷却温度を変更するとその影響を受けてチルド室22の温度が変化しがちである。
しかしながらこの冷蔵庫では、チルド室温度センサからの出力に基づきチルド室22底面の温度調節用ヒータ49をオン/オフさせて設定温度に制御することができ、このチルド室22の温度制御も精度よく行うことができる。
このチルド室22の温度制御は前記冷蔵室14やパーシャル室21と同様にダンパを設けて冷気供給を開閉することによって行うようにすることもできるが、この場合はダンパ設置スペースを必要として大型化し冷蔵室容積を減じてしまう。しかしながらこの実施の形態のようにヒータ方式とすればダンパを設けるためのスペースや通路構成を必要とせず簡単かつ冷蔵室容積を減じることなくチルド室温度の制御が可能となり、効果的である。
また、上記冷蔵室温度センサ59やパーシャル室温度センサ60は冷蔵室ダクト28のダクトカバー28bに取付けてあるから、ダクトカバー28bの冷蔵室内への装着によって所定位置に組み込むことができる。したがって、ダクトカバー28bと各センサとを別々に組み込む場合に比べその作業性は大幅に向上し、生産性を高めることができる。
また、上記ダクトカバー28bには脱臭ユニット61も装着してあるから、この脱臭ユニット61の組み込みも容易になり、生産性をさらに向上させることができる。そして、上記脱臭ユニット61を設けていることにより冷蔵室内の食材から移った冷気中の臭気を
除去することができ、衛生的な冷蔵庫とすることができる。
さらに、前記冷蔵室14内での冷気戻り通路を構成する冷気戻り口(チルド側)45、冷気戻り口(パーシャル側)55と冷気合流戻り口57とは位置ずれさせて設けているので、冷気戻り口(チルド側)45或いは冷気戻り口(パーシャル側)55から冷気戻り口(チルド側)45を介して食材等の屑が落下するようなことがあっても、これが冷気合流戻り口57上に落ちてこれを詰まらせたり開口面積を減じたりするのを防止でき、長期間に亘って良好な冷気戻り性能を維持することができる。
最後に冷凍室の冷却及び冷気戻り動作について説明する。
冷凍室18は冷却ファン下流側からの冷気が冷凍室背面板32の冷気吹出し口63から供給され冷却される。冷気吹出し口63のうち最上段左側の冷気吹出し口63からの冷気は製氷室16に供給され、最上段右側の冷気吹出し口63からの冷気は切替室15に供給され、各室を冷却する。そして、上記冷凍室18および製氷室16および切替室15を冷却した冷気は冷凍室18の下部に設けた冷凍冷気戻り口64から冷却室23へと戻る。
ここで、この冷蔵庫は、上記冷凍室18の冷凍冷気戻り口64に冷凍室ダンパ68を設けているので、冷凍室18へ供給される冷気を開閉制御することができ、冷凍室18が設定温度になっているのにもかかわらず冷蔵室14温度が高くて圧縮機27および冷却ファン25が駆動し冷気が冷凍室18へ供給されて過度に冷却されるのを防止することができ、良好な冷凍保存を実現することができる。
そしてこの冷蔵庫では、特に上記冷凍室ダンパ68は冷凍室18の冷気吹出し口63側ではなく冷凍室下部の冷凍冷気戻り口64側に設けてあるので、構成の簡素化を図りつつ安定したダンパ動作を得ることができ、冷凍室18の温度制御精度を向上させ信頼性を高めることができる。
すなわち、冷凍室18は冷却室23の前面に隣り合わせに設けられていて、その上部に設けた冷気吹出し口63が冷却室23の冷却ファン下流側と連通している。そのため、冷却器24の除霜運転時、除霜した後の高湿の暖冷気がそのドラフトで冷却室23を上昇して冷気吹出し口63まで達する。したがって、この冷気吹出し口63側に冷凍室ダンパ68を設けていると、前記高温高湿の暖冷気が冷凍室ダンパ68に触れて結露し、除霜運転終了後の冷却運転再開時に結氷して動作不良を起こす恐れがある。そのため、この結氷を防止するために冷凍室ダンパ68に結氷防止専用のヒータを設けなくてはならなく構成が複雑化する。
しかしながら、この実施の形態のように、冷凍室ダンパ68を冷却室下部の冷凍冷気戻り口64に設けておけば、除霜時に発生する高湿の暖冷気はその大部分がドラフトで冷凍冷気戻り口64より上方で発生する形となってそのまま上昇するので、冷凍室ダンパ68に触れる暖冷気はごく少量かつ湿度も少ないものとなってそれが結露して生じる結氷も軽微なものとなる。しかもこの結氷は除霜のためのガラス管ヒータ26による余熱で防止することができる。したがって、冷凍室ダンパ68の動作は安定したものとすることができ、しかも除霜用のガラス管ヒータ26を利用しているので除霜専用のヒータ等を必要とせず構成も簡素なものとすることができる。つまり、温度制御精度を向上させると同時に信頼性を向上させることができるのである。
また、上記冷凍室ダンパ68は複数のフラップ71の組み合わせで構成しているので、各複数のフラップ71が開いたときの前後幅寸法は一枚ダンパで構成した場合に比べ大幅に小さくすることができる。したがって、冷凍室ダンパ68自体をコンパクト化できると
同時に、これを設けるスペースも大幅に縮小して、その分冷凍室18内の容積を増加させることができる。
加えて、上記冷凍室ダンパ68の各複数のフラップ71は冷却室23側に向かって開くように設けてあるから、この点からも冷凍室18内の容積を増加させることができる。すなわち、前記各複数のフラップ71を冷凍室18側に向かって開くようにすると、前記各複数のフラップ71が冷凍室18側に突出する形となってその分冷凍室容器62を前方に位置させなければならなくなり、冷凍室容器62の容積、つまり冷凍室18の容積が少なくせざるを得なくなるが、この実施の形態のようにすればこのようなことは解消でき、冷凍室容積を増加させることができるのである。
また、冷凍室ダンパ68を装着した冷凍冷気戻り口64の冷却室側口枠部66を垂線に対し上部にいくほど後方、すなわち冷却室23側に位置するように傾斜させて、当該冷却室側口枠部66に装着した冷蔵室ダンパ37の冷却室側が冷凍室側に対し下方に位置する如く傾斜させてあるから、冷却器24の除霜運転時に冷却室23内に生じた暖冷気が触れてこれが結露するようなことがあっても、この結露水は冷却室23側に流下し、排水口36より外部へ排水される。したがって、上記結露水が冷凍室18側に流下し、冷凍室18内で氷結し氷塊となって障害を引き起こすようなことを防止できる。
なお、通常この除霜運転時には冷凍室ダンパ68を閉じており、冷却室23内の暖冷気が冷凍室18内に入り込まないようにしてある。
また、上記冷凍室ダンパ68は冷却室23下部のガラス管ヒータ26と近接しているため除霜運転時に温度上昇することになるが、この冷凍室ダンパ68を構成するダンパ枠体70ならびに複数のフラップ71等は耐熱性の材料で形成してあるから、熱変形等を防止でき、長期間に亘って良好なダンパ作用を確保することができる。
特にこの実施の形態では、冷凍室ダンパ68はその下部(ダンパ枠体70の下辺部分)をガラス管ヒータ26の真横ではなくそれよりも上方に位置するように設けてあるから、その分ガラス管ヒータ26から離れる形となって輻射熱線による直接的な熱影響を低減することができ、温度上昇を抑制することができる。その一方でガラス管ヒータ26により熱せられた湿気の少ない暖冷気は確実に冷凍室ダンパ68に触れ、冷凍室ダンパ68に着霜があったとしてもこれを確実に除霜し、ダンパ動作を良好なものとすることができる。
加えて更に、上記ガラス管ヒータ26との距離が短くなる冷凍室ダンパ68の下部を支持する冷却室側口枠部66の下辺66aは、冷却室23に突き出す形(冷却室23の底面23aよりガラス管ヒータ26側に突き出す形)としてあるから、ガラス管ヒータ26からの輻射熱線が直接冷凍室ダンパ68のダンパ枠下辺に照射するのを防止でき、極端な温度上昇を防止することができる。しかも、上記冷却室側口枠部66の下辺66aは二重壁としてその間隙部分66bは冷凍室18に面して開放した形としてあるから、冷凍室18内の冷気による冷却作用が加わって極端な昇温を防止でき、良好な動作を保証することができる。
なお、上記ガラス管ヒータ26からの輻射熱線の照射による直接的な熱影響は、図30に示すようにガラス管ヒータ26上方のヒータカバー35に遮熱板77を設ける、或いはヒータカバー35の冷凍室ダンパ68側を延長させて遮熱板部とすることによって遮断することができ、更に確実に冷凍室ダンパ68の温度上昇を抑制することができる。
また前記冷凍室ダンパ68は、図25に示すように冷凍ダンパ駆動用モータユニット72がガラス管ヒータ26のヒータ部26aと対向しない位置、この例では冷却室23横の
冷蔵室戻りダクト58及び野菜室ダクト30側に設けてあるから、冷凍ダンパ駆動用モータユニット72に対するガラス管ヒータ26からの輻射熱線の照射による直接的な熱影響を和らげることができる。これにより、複数の歯車等を内蔵していて精密部品となっている冷凍ダンパ駆動用モータユニット72も極端な温度上昇を防止でき、安定した動作を保証することができる。
そしてこのように冷凍ダンパ駆動用モータユニット72がヒータ部26aの外方に位置する形を維持しつつ、冷凍室ダンパ68はその冷凍ダンパ駆動用モータユニット72が冷却室23横に位置する冷蔵室戻りダクト58側に位置するようにして設けてあるから、冷気を開閉する複数のフラップ71部分が冷却器24の中心線寄り部分に位置するようになり、冷却室23へ戻る冷気を効率よく冷却器24に触れさせることができるようになる。これにより、冷却器24は冷却器自体が持つ本来の冷却性能を十二分に発揮可能となり、冷却性能を大きく向上させることができる。
しかも上記冷凍室ダンパ68はその上部(ダンパ枠体70の上片部分)を冷却器24の下端縁より上方に位置させ、かつ、その下部(ダンパ枠体70の下辺66a部分)が冷却器24の下端より下方に位置する如く設けてあるから、冷却室23へと戻る冷気は確実に冷却器24の下端面より下方部分に流れるようにすることができる。したがって、冷気はその大部分が冷却器24の下端面から上方へと流れるようになり、冷却器全体を有効に活用した冷却が可能となって、更にその冷却性能を向上させることができる。
また、上記冷凍室ダンパ68は冷凍室背面板32に設けた冷却室側口枠部66に弾着係合させてユニット化してあるから、冷凍室18への組み込みも冷凍室背面板32を装着することによって容易に行うことができ、生産性を向上させることができる。
一方、前記冷凍冷気戻り口64にはその冷凍室ダンパ68の冷凍室18側にグリル67を装着して、その各グリル片69を冷却室側端部が上方に位置するように傾斜させて設けてあるから、冷凍室容器62を引き出した時、各グリル片69の間からその奥に位置するガラス管ヒータ26等が見えるのを防止でき、使用者に違和感等を与えることをなくすことができる。
また、上記グリル67のグリル片69は下方のグリル片69ほど前後長が長くなるようにして冷凍室18内の冷凍室容器62後面に沿う形としてあるから、冷凍室18内での冷気の流れをスムーズなものとすることができ、冷却性能を向上させることができる。
以上、本発明に係る冷蔵庫について、上記実施の形態を用いて説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。つまり、本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。