JP4306375B2 - 曲面状面取り部を有するポリエステル化粧板 - Google Patents

曲面状面取り部を有するポリエステル化粧板 Download PDF

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本発明は、各種家具類、キッチン、あるいは、建築内装材等に使用されるポリエステル化粧板に関し、特に、環境を汚染することなく、耐擦傷性に優れると共に曲げ加工時にクラックの発生しない曲面状面取り部を有するポリエステル化粧板およびその製造方法に関するものである。
従来、この種のポリエステル化粧板は、化粧板用基材上に、たとえば、石目や木目等の印刷模様が形成された化粧紙を接着剤を介してロールプレス法にて貼着し、その上から不飽和ポリエステル樹脂を塗布して後に、この面を空気(酸素)遮断用フィルムで被覆し、不飽和ポリエステル樹脂が硬化後に前記空気(酸素)遮断用フィルムを剥離することにより製造される。
一般に、不飽和ポリエステル樹脂は、不飽和酸と飽和多塩基酸を併用して多価アルコールと反応して得られる分子内に不飽和基を有するポリエステルと架橋剤として働くビニルモノマーとの混合物であり、架橋性(重合性)に優れると共に入手し易く安価であるなどの理由から架橋剤としてスチレン単量体が一般的に用いられている(たとえば、特許文献1参照)。
特許文献1記載の発明は、不飽和ポリエステル樹脂中から出てくるスチレンモノマーの影響を受けることなくシリコン樹脂賦型型の耐用回数を向上させることを目的としているが、反応後に未反応物やダイマー、あるいは、トリマーとして残る虞があり、これが各種家具類やキッチン、あるいは、建築内層材等に使用されたポリエステル化粧板から経時的に空気中に放出されて、環境を汚染する可能性があり、このような虞のない不飽和ポリエステル樹脂からなるポリエステル化粧板が要望されるようになってきた。
また、キッチン扉や壁等に用いられるポリエステル化粧板は、曲面状面取り部を有するポリエステル化粧板が意匠性の面から多用されているが、たとえば、鉛筆硬度がHのポリエステル樹脂層を有するポリエステル化粧板の場合、曲げ加工の曲率としては半径8mmが限度であり、これより曲率が小さいとクラックが入る虞があった。また、鉛筆硬度が2H以上のポリエステル樹脂層を有するポリエステル化粧板の場合、半径13mmの曲率の曲げ加工でもクラックが入る虞があった。また、半径12mmより小さい曲率の曲げ加工、たとえば、半径が10〜3mmの曲率の曲げ加工を行なう場合には、鉛筆硬度が1H未満のポリエステル樹脂層からなるポリエステル化粧板を用いる必要があり、曲面状面取り部を有するポリエステル化粧板を製造することはできるが、耐擦傷性において劣るポリエステル化粧板とならざるを得ないものであった。
特開平6−99560号公報
そこで本発明は、半径が3〜10mmの曲率の曲げ加工を行なうことができると共にポリエステル樹脂層の鉛筆硬度が2〜5Hと耐擦傷性に優れ、かつ、環境を汚染することがない曲面状面取り部を有するポリエステル化粧板を提供することである。
本発明者は、上記課題を達成するために、請求項1記載の本発明は、化粧板用基材の上面に、接着剤層、化粧シート層、ポリエステル樹脂層を順に積層した半径が3〜10mmの曲面状面取り部を有するポリエステル化粧板において、前記ポリエステル樹脂層を形成する不飽和ポリエステル樹脂が分子内に不飽和基を有するポリエステルと架橋剤としての(メタ)アクリレート単量体とのみからなり、前記(メタ)アクリレート単量体は40〜50質量%の1分子中に2個の(メタ)アクリロイル基を有する2官能(メタ)アクリレートと、60〜50質量%の1分子中に1個の(メタ)アクリロイル基を有する単官能(メタ)アクリレートおよび/ないし1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する3官能以上の(メタ)アクリレート単量体からなるものであり、前記ポリエステル樹脂層が2〜5Hの鉛筆硬度を有することを特徴とするものである。
請求項1に記載の構成とすることにより、ポリエステル樹脂層の鉛筆硬度が2〜5Hと耐擦傷性に優れると共に半径が3〜10mmの曲率の曲げ加工を行なうことができ、かつ、環境を汚染することがない曲面状面取り部を有するポリエステル化粧板とすることができる。
本発明の曲面状面取り部を有するポリエステル化粧板は、ポリエステル樹脂層の鉛筆硬度が2〜5Hと耐擦傷性に優れると共に半径が3〜10mmの曲率を有する曲面状面取り部にクラックが発生しないという顕著な効果を奏し、さらに、環境を汚染することがないという効果を奏する
上記の本発明について、図面等を用いて以下に詳述する。
図1は本発明にかかる曲面状面取り部を有するポリエステル化粧板の一実施例を示す斜視図、図2は本発明にかかる曲面状面取り部を有するポリエステル化粧板の製造方法を説明する図であり、図中の1は曲面状面取り部を有するポリエステル化粧板、2は化粧板用基材、3は接着剤層、4は化粧シート層、5はポリエステル樹脂層、Rは曲面状面取り部をそれぞれ示す。
図1は本発明にかかる曲面状面取り部を有するポリエステル化粧板の一実施例を示す斜視図であって、曲面状面取り部を有するポリエステル化粧板(以下、ポリエステル化粧板と呼称する)1は対向する両側端部の角部がアール状に削られた半径が3〜10mmの曲率を有する曲面状面取り部Rを有する化粧板用基材2の前記曲面状面取り部Rを介して連接する上面(図1において上側に位置する面)と両側面に接着剤層3、化粧シート層4、ポリエステル樹脂層5を順に積層したものである。
前記化粧板用基材2としては、合板,MDF(中密度繊維板),パーティクルボード等の木質系基材、珪酸カルシウム板,石綿スレート板,セメントスレート板等の無機系基材を適宜選択して用いることができる。
前記化粧シート層4を構成する素材としては、坪量が30〜100g/m2の建材用プリント用紙、純白紙、あるいは、合成樹脂を混抄させた層間強度を強化した薄葉紙、酸化チタン等の不透明顔料を混抄したチタン紙等の紙質系素材、不織布等を用いることができ、その中でも後述するポリエステル樹脂層5を形成する不飽和ポリエステル樹脂の含浸適性や化粧板用基材2の隠蔽の点からチタン紙が最も好ましい。また、前記化粧シート層4は、たとえば、木目柄、石目柄、布目柄、抽象柄等の印刷絵柄層(図示せず)が前記素材上に設けられる層であって、この印刷絵柄層(図示せず)はグラビア印刷法等の周知の印刷手段により印刷インキにより形成される。前記印刷インキは、ビヒクルとしてニトロセルロース系樹脂、酢酸セルロース系樹脂、アルキッド系樹脂等の単独、あるいは、混合した樹脂が用いられ、この樹脂に有機ないし無機系顔料、染料、光輝性顔料等の着色剤、体質顔料、安定剤、可塑剤、溶剤等を適宜混合したものである。
前記化粧板用基材2と前記化粧シート層4とは前記接着剤層3を介してロールプレスにて積層される。前記接着剤層3としては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、酢酸ビニル−尿素系樹脂等のエマルジョン型接着剤が適当であり、塗布量としては前記化粧板用基材2の材質により適宜決めればよいものである。
前記ポリエステル樹脂層5としては、分子内に不飽和基を有するポリエステルと単官能および/ないし多官能アクリレート単量体(架橋剤)、および、重合開始剤、また、必要に応じて重合促進剤等を添加した不飽和ポリエステル樹脂で形成される。分子内に不飽和基を有するポリエステルは不飽和多塩基酸と多価アルコール、あるいは、不飽和多塩基酸と飽和多塩基酸を併用して多価アルコールと反応して得られるものである。
前記不飽和多塩基酸の好ましいものを例示するならば、たとえば、マレイン酸、無水マレイン酸、フタル酸、イタコン酸、無水イタコン酸などのα,β−不飽和二塩基酸やジヒドロムコン酸等のβ,γ−不飽和二塩基酸を挙げることができる。これらの化合物は一種ないし二種以上用いることができる。
また、前記飽和多塩基酸の好ましいものを例示するならば、たとえば、フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、コハク酸、マロン酸、または、これらのジアルキルエステル等を挙げることができ、これらの化合物は一種ないし二種以上用いることができる。
また、多価アルコールとしては、たとえば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、水添ビスフェノールA、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジオール、水素化ビスフェノールAのエチレンオキサイドないしプロピレンオキサイドないしブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドとの付加物等を挙げることができ、これらは一種ないし二種以上用いることができる。
本発明で使用される分子内に不飽和基を有するポリエステルは、上記した酸成分と上記した多価アルコール成分とを周知の方法で縮合反応させて得られるものであり、酸成分と多価アルコール成分とのモル比は、酸成分/多価アルコール成分=0.9〜1.3が好ましい。また、前記ポリエステルの数平均分子量(Mn)は、1200〜5000の範囲にあるものが好ましい。数平均分子量(Mn)が1200未満の場合は、樹脂硬化塗膜の機械的強度が低く、5000超の場合は、不飽和ポリエステル樹脂組成物の粘度が高くなるために好ましくない。
次に、本発明で使用される架橋剤について説明する。前記架橋剤としては、アクリレート単量体が好適であり、これを例示するならば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の単官能単量体、あるいは、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等の2官能単量体、あるいは、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の3官能以上の単量体を挙げることができる。また、ポリエステル樹脂層5の優れた耐擦傷性を得ること、半径の曲率が小さい曲げ適性を得ること、および、表面平滑性を得ることから、本発明に用いるアクリレート単量体の配合量は不飽和ポリエステルの樹脂分に対して60質量%以下であり、アクリレート単量体としては2官能アクリレートを40〜50質量%と、単官能アクリレートおよび/ないし3官能以上のアクリレート単量体を60〜50質量%からなると共に、二重結合当量、すなわち、重合性の二重結合1個当たりの分子量が50〜180の範囲、好ましく80〜150の範囲の短鎖単量体が適当である。2官能アクリレートの含有量が40質量%未満では、鉛筆硬度が2H未満となるために耐擦傷性に劣り、50質量%超では鉛筆硬度が5H超となるために半径が10〜3mmの曲率からなる小さい曲げ適性に劣る。また、二重結合当量が50未満では鉛筆硬度が2H未満となるために耐擦傷性や表面平滑性に劣り、180超では重合体としたときの密度が粗になるために耐熱性に劣る。
また、不飽和ポリエステル樹脂には、硬化速度を調整するための重合開始剤、重合促進剤、重合禁止剤等の硬化促進調整剤を使用することができる。不飽和ポリエステル樹脂に添加される重合開始剤としては、たとえば、メチルエチルケトンパーオキサイド(MEKPO)、ベンゾイルパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド等の過酸化物、アゾビスイソブチロニトリルのようなラジカル開始剤等の周知のものから適宜選択して用いられる。また、重合促進剤としては、たとえば、ナフテン酸コバルト等のコバルト化合物、バナジウム化合物、マンガン化合物等の金属化合物、ジメチルニトリル等のアミン系化合物などを用いることができる。また、重合禁止剤としては、たとえば、ハイドロキノン、トリハイドロキノン、ベンゾキノン、トリハイドロベンゼン等を用いることができる。なお、上記したそれぞれの硬化促進調整剤は併用して用いてもよいものである。
次に、本発明の曲面状面取り部を有するポリエステル化粧板の製造方法について説明する。最初に、化粧板用基材2の上面に、接着剤層3を介して化粧シート層4をロールプレスにより積層し、次いで前記化粧シート層4上に不飽和ポリエステル樹脂を塗布すると共に前記不飽和ポリエステル樹脂に酸素遮断用フィルムを当接させて一体的に硬化させて後に前記酸素遮断フィルムを剥離してポリエステル樹脂層5を形成した図2(a)に示す層構成の平板状のポリエステル化粧板1’を作製する。その後に、前記ポリエステル化粧板1’の前記化粧板用基材2の両側端部の前記化粧板用基材2の前記接着剤層3に連接する部位を切削加工することにより前記化粧板用基材2の両側端部に曲面状面取り部Rを形成した図2(b)に示す加工途中のポリエステル化粧板1”を作製する。その後に、前記ポリエステル化粧板1”の前記化粧板用基材2の切削面に、図示はしないが、たとえば、エチレン−酢酸ビニル共重合体や湿気硬化型ウレタン樹脂等のホットメルト接着剤を塗布し、前記化粧板用基材2を切削加工して前記化粧板用基材2から切り離された前記接着剤層3、前記化粧シート層4、前記ポリエステル樹脂層5からなる部位(符号Aで示す部位)を遠赤外線ヒーターで60〜70℃に加熱すると共に前記曲面状面取り部Rの形状に予め合わせて配置された加工ロールにより前記曲面状面取り部Rに沿わせて接着することにより図1に示す本発明の曲面状面取り部を有するポリエステル化粧板1を得ることができる。なお、前記切削加工は、通常、前記化粧板用基材2の薄皮が前記接着剤層5に一枚残る状態で行なわれるものである。
なお、前記酸素遮断用フィルムとしては、不飽和ポリエステル樹脂を確実に硬化させると共に、硬化したポリエステル樹脂層5の表面を平滑にして光沢をもたせるために用いられるものであり、これに用いるフィルムとしては、酸素遮断性に優れ、硬化したポリエステル樹脂層5と離型可能な材質であれば特に限定されるものではないが、ポリエステル樹脂層5の表面平滑性を得るためには平均表面粗さ(Ra)として0.001〜0.03μmのフィルムで賦型するのが適当であり、これを考慮すると平均表面粗さ(Ra)が概ね0.02μm程度である二軸延伸ポリエステルフィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム)が好適である。なお、平均表面粗さ(Ra)は、JIS−B−0601に準じ測定した値である。また、前記酸素遮断用フィルムは必要に応じて一方の面ないし両面に離型処理を施してもよいものである。この理由としては、本発明においては、架橋剤としてアクリレート単量体を用いるために、前記酸素遮断用フィルムと前記ポリエステル樹脂層5との濡れがよくなり、剥離し難くなる虞があるからである。前記離型処理としては、たとえば、アクリルメラミン樹脂を塗布して乾燥・焼付けすればよいものである。
なお、図示はしないが、本発明の曲面状面取り部を有するポリエステル化粧板は、図1において、たとえば、曲面状面取り部の一方の側に把手が取付けられると共に、他方の曲面状面取り部の裏面側などに蝶番が取付けられてキッチン扉として使用されるものである。また、今までの説明においては、曲面状面取り部を両側端部に設けた例を挙げて説明したが、いずれか一方の側端部に設けたものであってもよいものである。
次に、本発明について、以下に実施例を挙げてさらに詳しく説明する。
18mm厚さのパーティクルボード〔永大産業(株)製〕の一方の面全面に酢酸ビニル−尿素系接着剤(酢酸ビニル系接着剤:尿素系接着剤=50:50)〔アイカ工業(株)製〕をロールコート法にてウエット状態で10g/尺2塗布し、予め一方の面にアクリル系インキで石目柄をグラビア印刷した80g/m2のチタン紙を石目柄が表出するようにラミネートロールにてウエットラミネートし、その後にホットプレス機(プレス温度100℃、プレス圧1kg/cm2、プレス時間40秒)にてプレスすると共に冷却して後に、前記チタン紙上に表1のAの配合の不飽和ポリエステル樹脂組成物を300g/m2塗布し、この上に100μm厚さの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム〔帝人(株)製〕を被覆し、ゴムロールで圧延、脱泡し、さらに40℃で2時間加熱して不飽和ポリエステル樹脂組成物を硬化させた後に前記二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離して図2(a)に示すポリエステル化粧板を作製した。
18mm厚さのパーティクルボードに代えて6mm厚さのダイライト〔大建工業(株)製:商品名〕を用いた以外は実施例1と同様にして図2(a)に示すポリエステル化粧板を作製した。
〔比較例1〕
不飽和ポリエステル樹脂組成物を表1のBの配合のものを用いた以外は実施例1と同様にして図2(a)に示すポリエステル化粧板を作製した。
〔比較例2〕
予め一方の面にアクリル系インキで石目柄をグラビア印刷した80g/m2のチタン紙に表2の配合の熱硬化性樹脂組成物を乾燥時含浸量が120g/m2となるように含浸させて後に乾燥させて熱硬化性樹脂含浸紙を作製した。この含浸紙を厚さ18mmのパーティクルボードに石目柄が表出するように重ね、鏡面仕上げのジュラルミン板を用いて、加圧加熱成型(圧力20kg/cm2、130℃、15分)を行なってジアリルフタレート化粧板を作製した。
〔比較例3〕
予め一方の面にアクリル系インキで石目柄をグラビア印刷した80g/m2のチタン紙に速乾性メラミン樹脂〔日産化学工業(株)製:サントップM−700(商品名)〕を用いて作成した樹脂溶液を乾燥時含浸量が108g/m2となるように含浸させて後に乾燥させてメラミン樹脂含浸紙を作製した。この含浸紙を厚さ18mmのパーティクルボードに石目柄が表出するように重ね、鏡面仕上げのジュラルミン板を用いて、加圧加熱成型(圧力20kg/cm2、130℃、15分)を行なって低圧メラミン化粧板を作製した。
上記で作製した実施例1、2、および、比較例1〜3のポリエステル化粧板、ジアリルフタレート化粧板、低圧メラミン化粧板をダイレクトポストフォーム機〔ホマッグ社製〕にて半径が3mm、10mm、13mmの曲面状(アール状)となるようにそれぞれ切削加工して図2(b)に示す曲面状面取り部を設けると同時に該曲面状面取り部にエチレン−酢酸ビニル共重合体系ホットメルト接着剤〔ノーテープ工業(株)製〕を塗布し、前記化粧板用基材から切り離された部位〔図2(b)上、符号Aで示す部位〕を遠赤外線ヒーターで、たとえばポリエステル化粧板にあっては60〜70℃に加熱するなど、化粧板の種類により適宜の温度に加熱すると共に該部位を前記曲面状面取り部に沿わせて接着し、その際のポリエステル樹脂層へのクラックの発生を目視にて評価し、クラックの発生が全くないレベルものを良好として○印で示し、クラックの発生はあるものの実用上問題ないレベルのものを可として△印で示し、クラックの発生が顕著で商品とならないレベルのものを×印で示すと共に、実施例1、2、および、比較例1〜3の表面樹脂層の鉛筆硬度を評価し、その評価結果を表3に纏めて示した。
表2からも明らかなように、実施例1、2のポリエステル化粧板は、比較例1〜3と比較して、半径の小さい曲率においてもクラックが発生することがなく、かつ、鉛筆硬度の評価において耐擦傷性に優れるという極めて顕著な効果を示した。なお、曲げ加工適性を考慮すると2〜4Hの鉛筆硬度のものが扱い易い。また、本発明のポリエステル化粧板は、架橋剤にアクリレート単量体を用いるものであり、従来の架橋剤としてスチレンモノマーを用いたポリエステル化粧板に比べてスチレンモノマーに起因する環境を汚染する虞の全くないものとすることができる。
本発明にかかる曲面状面取り部を有するポリエステル化粧板の一実施例を示す斜視図である。 本発明にかかる曲面状面取り部を有するポリエステル化粧板の製造方法を説明する図である。
符号の説明
1 曲面状面取り部を有するポリエステル化粧板
2 化粧板用基材
3 接着剤層
4 化粧シート層
5 ポリエステル樹脂層
R 曲面状面取り部

Claims (1)

  1. 化粧板用基材の上面に、接着剤層、化粧シート層、ポリエステル樹脂層を順に積層した半径が3〜10mmの曲面状面取り部を有するポリエステル化粧板において、前記ポリエステル樹脂層を形成する不飽和ポリエステル樹脂が分子内に不飽和基を有するポリエステルと架橋剤としての(メタ)アクリレート単量体とのみからなり、前記(メタ)アクリレート単量体は40〜50質量%の1分子中に2個の(メタ)アクリロイル基を有する2官能(メタ)アクリレートと、60〜50質量%の1分子中に1個の(メタ)アクリロイル基を有する単官能(メタ)アクリレートおよび/ないし1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する3官能以上の(メタ)アクリレート単量体からなるものであり、前記ポリエステル樹脂層が2〜5Hの鉛筆硬度を有することを特徴とする曲面状面取り部を有するポリエステル化粧板。
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