JP4306088B2 - 機器のラグ固定構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、遠隔操作による容器の据付けを容易かつ確実にしかも正確に行い得るようにした機器のラグ固定構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、機器として圧力容器等の容器を作業員が接近できない場所に据付ける際には、クレーンやマニピュレータに吊った容器を遠隔操作により所定位置へ据付けることが行われている。
【0003】
図5は従来のラグを備えた容器を遠隔操作により架台に据付ける場合の作業手順を説明するための正面図、図6は従来のラグ固定構造を用いて容器を架台のラグ受け座に据付けた状態を示す全体正面図、図7は図6のラグ及びラグ受け座の一部を破断して示す拡大図、図8は図7のVIII−VIII方向矢視図である。
【0004】
図5中、aは容器本体、bは容器本体aの外周4個所に容器本体a外方へ突出するよう設けられたラグ、cは据付け時に容器本体aを吊り下げるよう、容器本体a外周に突設させたブラケットであり、容器本体a、ラグb、ブラケットcにより容器dが形成されている。
【0005】
ラグbは基板eを備えており、基板eにはボルトを挿通させて容器dを固定するための複数のボルトカラーfが固設されると共に、容器dの据付け時に容器本体aが下降する際に、後述のガイドピンjが挿通し得るようにしたガイド孔gが穿設されている。
【0006】
床面には、容器dを搭載するための架台hが立設されており、架台hの上面には、容器本体aに固設した各ラグbの基板eが載置されるよう、平板状のラグ受け座iが固設されている。また、ラグ受け座iには、上方へ行くに従い先細りとなる縦向きのガイドピンjが立設されており、架台hの側部には、容器本体aを下降させる際に、容器本体aをラグbを介して案内し得るよう、ラグ受け座iに近接して縦向きのラフガイドkが固設されている。
【0007】
なお、図中、lは容器本体aの外周上部に突設させたブラケットcに固定したワイヤロープmを介して容器dを吊り下げるようにしたクレーンのフック、nは固定ボルト、oはラグ受け座iに穿設した雌ねじである。
【0008】
容器dを遠隔操作により架台hに据付ける際には、図5に示すごとくクレーンのフックlにワイヤロープmを介して容器本体aを吊り下げ、クレーンを走行させて架台hの容器d据付け部直上位置まで容器dを搬送する。
【0009】
次に、フックlを下降させることにより容器dを下降させる。而して、容器dが下降すると、ラグbの基板e先端はラフガイドkによりガイドされ、これにより容器dの円周方向及び水平方向の大体の位置が決まる。
【0010】
また、容器dの水平方向及び円周方向への位置を微調整しつつラフガイドkにガイドさせて更に容器dを下降させると、容器本体aに固設したラグbの基板eに穿設されているガイド孔gが架台hに固設したラグ受け座iに直立させたガイドピンjに嵌合して、以後は容器dはガイドピンjにガイドされつつ下降して、容器dのラグbはラグ受け座i上に支持される(図6、図7、図8参照)。
【0011】
ガイドピンjによりガイドされつつ下降して容器dがラグ受け座iを介し架台h上に支持されたら、ブラケットcからワイヤロープmを外し、マニピュレータ等を遠隔操作し、固定ボルトnをボルトカラーfから基板eに形成した孔を介してラグ受け座iに形成した雌ねじoに螺合させる。以上で遠隔操作による容器dの架台hに対する据付けが終了する。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
従来は、容器dを架台hに据付けるためにラグbをラグ受け座iに載置させる際には、ラグbの部分をガイドするためのラフガイドkが必要となると共に、ラフガイドkで大まかにガイドされて下降してきた容器dを更に正確に位置決めしてガイドするためのガイドピンjが必要となる。
【0013】
従って、従来の容器dでは、据付けのために余分の補助部品が必要となり、架台hの容器d支持部の構造が複雑となってコストアップを招来し、またラフガイドkやガイドピンjに対してラグbを所定状態に位置させるには正確な位置調整が必要となるため、作業手順が多くなって据付け作業が煩雑となり、その結果据付け期間が長期化する虞がある。
【0014】
更に、容器dをラグbを介して架台hのラグ受け座iに固定するためには、多数の固定ボルトnを使用する必要があり、このことによってもコストアップ及び据付け期間の長期化を招来する虞がある。
【0015】
更にまた、固定ボルトnはマニュピレータの遠隔操作により雌ねじoに螺合させるようにしているため、固定ボルトnと雌ねじoとの心を正確に合わせるのが難しく、固定ボルトnが雌ねじoに対しかじり、従って、固定ボルトnを容易に着脱できず、機器の据付けが困難となる虞がある。
【0016】
本発明は上述の実情に鑑み、余分な補助部品を不要として構造の簡略化を図ると共に、据付け時の容器の位置調整を容易かつ迅速に行い得るようにし、これにより工期の短縮及びコストダウンを図り得るようにし、また、機器の据付けを容易に行い得るようにした機器のラグ固定構造を提供することを目的としてなしたものである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明においては、
機器は、外側面両側に固設されたラグを備え、ラグ受け座はラグが嵌合されるラグ嵌合溝を備え、
前記ラグは、据付け時における機器の進行方向へ向けて下り傾斜の被案内辺と、該被案内辺の下端に水平に繋がり前記進行方向へ向けて延在する被支持辺と、該被支持辺の前記進行方向先端に繋がり上方へ延在する被位置決め辺とを備え、前記ラグ嵌合溝は、機器が前記進行方向へ搬送されてきた際にラグの被位置決め辺が当接する案内辺と、該案内辺の下方に設けられると共に前記進行方向へ向けて下り勾配に傾斜ししかも前記案内辺に沿い下降してきた機器をラグの被案内辺を介し斜め下方へ案内する案内辺と、ラグが所定状態に嵌合した際にラグの被支持辺を支持する支持辺と、ラグの被位置決め辺を位置決めする位置決め辺とを備えている。
【0018】
また、請求項2の発明は、ラグ受け座のラグ嵌合溝に嵌合したラグをラグ受け座に対し固定するための固定ピンを備えたものである。
【0019】
本発明においては、機器をラグによりラグ受け座に支持させる際には、ラグはラグ嵌合溝に案内されてラグに支持され、また、ラグは固定ピンによりラグ受け座に固定される。
【0020】
本発明によれば、機器を据付ける際にラグをラグ受け座のラグ嵌合溝により案内するようにしているため、従来必要であったラフガイドやガイドピン等の余分な補助部品が不要となって構造の簡略化を図ることができる共に、ラグのラグ受け座に対する固定に固定ピンを使用することにより、固定ボルトが不要となる。このため、据付け時の機器の位置調整を容易かつ迅速に行うことができると共に、据付け工期の短縮及びコストダウンを図ることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0022】
図1は本発明の実施の形態に係る機器のラグ固定構造において、容器を遠隔操作により架台に据付ける際に容器が架台から離れた上方にある状態を示す正面図、図2は図1のII−II方向矢視図、図3は本発明の実施の形態に係る機器のラグ固定構造に用いるラグ及びラグ受け座の拡大正面図、図4は本発明の実施の形態に係る機器のラグ固定構造において、容器が架台に据付けられた状態を示す正面図である。
【0023】
容器本体1aの外周2個所に互に180度離れて位置するよう固定された固定板2には、固定板2から容器1の径方向外方に突出するよう、軸状のラグ3が設けられている。容器本体1aの上部外周に固設したブラケット4には、ワイヤロープ5が掛けられるようになっており、このワイヤロープ5を介してクレーンのフック6には容器本体1aが吊り下げられるようになっている。而して、容器本体1a、固定板2、ラグ3、ブラケット4により容器1が形成されている。
【0024】
容器本体1aが固定される架台7は、床上に立設された4本の支柱8と、各支柱8の上部に水平に掛け渡された梁9と、1組の平行な梁9のそれぞれに梁9の長手方向中間部に位置するよう固定された左右一対の台座状のラグ受け座10とを備えている。
【0025】
ラグ3の詳細は、図3に示されており、その軸方向へ見た形状は長辺が傾斜した六角形状に形成されている。すなわち、ラグ3は、容器1の据付け時にクレーンのフック6に吊った容器1を一対のラグ受け座10ヘ向けて水平移動させる際に、容器1の進行方向イ最先端側となるよう、進行方向イに対し直角に被位置決め辺3aが形成されており、被位置決め辺3aの下端には、容器1の進行方向イに対し反対方向へ水平に延在するよう、被支持辺3bが繋がっている。
【0026】
被位置決め辺3aの上端及び被支持辺3bの被位置決め辺3a側とは反対側の端部には、容器1の進行方向イに対し反対方向へ向けて斜め上方へ延在する被案内辺3c,3dが繋がっている。
【0027】
被案内辺3c,3dは被案内辺3cが上方に位置し、被案内辺3dが下方に位置して互に平行に配置されていると共に、被案内辺3cの上端には、容器1の進行方向イに対し反対方向へ向けて、被支持辺3bと平行になるよう水平辺3eが形成され、被案内辺3dの上端には、位置決め辺3aと平行に垂直辺3fが形成されている。また、水平辺3eにおける容器1の進行方向イに対し反対方向の端部と垂直辺3fの上端は互に繋がっており、ラグ3には、上端が被案内辺3cに開口し、下端が被案内辺3d、被支持辺3bに開口するピン孔3gが穿設されている。
【0028】
ラグ受け座10の詳細も図3に示されており、ラグ受け座10には、容器1の据付け時にクレーンに吊った容器1をラグ受け座10ヘ向けて水平移動させる際に、容器1の進行方向イに向かって斜め下方へ延在すると共に上端がラグ3を導入し得るよう開口したラグ嵌合溝11が設けられている。ラグ嵌合溝11における容器1の進行方向イ先端側には、容器1の進行方向イに対し直角に位置決め辺11aが形成されており、位置決め辺11aの下端には、容器1の進行方向イに対し反対方向へ向けて水平に延在する支持辺11bが繋がっている。
【0029】
位置決め辺11aの上端及び支持辺11bの位置決め辺11a側とは反対側の端部には、容器1の進行方向イに対し反対方向へ向けて斜め上方へ延在する案内辺11c,11dが繋がっている。
【0030】
案内辺11c,11dは、案内辺11cが上方に位置し、案内辺11dが下方に位置するよう、平行に配置され、案内辺11cの容器1における進行方向イに対し反対側の端部には、容器1がその据付け時に進行方向イへ水平に移動してきた際に、ラグ3の被位置決め辺3aが当接してラグ嵌合溝11に円滑に導入されるよう、容器1の進行方向イに対し直角に案内辺11eが繋がっている。
【0031】
ラグ受け座10には、上端がラグ受け座10の水平な上辺10aに開口し、下端が案内辺11cにおいてラグ嵌合溝11に開口するピン孔11fが穿設されており、容器1を架台7に据付けることにより、ラグ3が所定の状態にラグ受け座10のラグ嵌合溝11に嵌合した際には、固定ピン12を挿通させてラグ3をラグ受け座10に固定し得るよう、ピン孔11fと3gは連通するようになっている。
【0032】
次に本発明の図示例において、容器1を架台7に据付ける手順について説明する。
図1に示すように、容器1はワイヤロープ5によりクレーンのフック6に吊下げられ、架台7上方所定位置、すなわち容器1のラグ3がラグ受け座10の真上よりもラグ嵌合溝11の開口側へずれた位置まで搬送される(図1参照)。
【0033】
次いで、クレーンのウインチを作動させて容器1を下降させる。而して、ラグ3の被位置決め辺3aがラグ受け座10の案内辺11eと略同一高さになるまで容器1が下降したら、容器1を図3の矢印に示す進行方向イへ水平移動させる。このため、ラグ3の被位置決め辺3aはラグ受け座10の案内辺11eに当接する。
【0034】
ラグ3の被位置決め辺3aがラグ受け座10の案内辺11eに当接したら、図3の矢印ロに示すように、再び容器1を下降させる。このため、容器1のラグ3はラグ受け座10の案内辺11eに案内されつつ下降し、ラグ3の被案内辺3dが、ラグ受け座10におけるラグ嵌合溝11の案内辺11dに当接する。
【0035】
次に、又、容器1を下降させると、ラグ3は被案内辺3dがラグ嵌合溝11の案内辺11dに対し当接して図3の矢印ハのように斜め下方へ摺動し、ラグ3は、ラグ受け座10のラグ嵌合溝11に嵌合する。而して、ラグ3がラグ嵌合溝11に嵌合してその被位置決め辺3aがラグ嵌合溝11の位置決め辺11aに当接し、被支持辺3bがラグ嵌合溝11の支持辺11bにより支持されたら固定ピン12をラグ受け座10のピン孔11fからラグ3のピン孔3gに挿通させ、ラグ3をラグ受け座10に固定する。このように、ラグ3をラグ受け座10に固定すれば、遠隔操作による容器1の架台7に対する据付けは終了する(図4参照)。
【0036】
本発明の図示例によれば、容器1を架台7に据付ける際に、ラグ3をラグ受け座10のラグ嵌合溝11により案内するようにしているため、従来必要であったラフガイドやガイドピン等の余分な補助部品が不要となって構造の簡略化を図ることができると共に、容器1の架台7に対する固定にピン12を使用することにより、固定ボルトが不要となる。このため、据付け時における容器1の位置調整を容易かつ迅速に行うことができると共に、据付け工期の短縮及びコストダウンを図ることができる。
【0037】
なお、本発明の図示例においては、機器が容器の場合について説明したが、容器に限らず種々の機器に適用することができること、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更を加え得ること等は勿論である。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、据付け時に機器の位置調整を容易かつ迅速に行うことができると共に、据付け工期の短縮及びコストダウンを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る機器のラグ固定構造において、容器を遠隔操作で架台に据付ける際に容器が架台から離れた上方にある状態を示す正面図である。
【図2】図1のII−II方向矢視図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るラグ固定構造において、ラグをラグ受け座に支持させる際の作業手順を示すラグ及びラグ受け座の拡大正面図である。
【図4】容器が架台に固定された状態を示す正面図である。
【図5】従来のラグを備えた容器を遠隔操作により架台のラグ受け座に据付ける場合の作業手順を説明するための正面図である。
【図6】従来のラグ固定構造を用いて容器を架台に据付けた状態を示す全体正面図である。
【図7】図6のラグ及びラグ受け座の一部破断の拡大図である。
【図8】図7のVIII−VIII方向矢視図である。
【符号の説明】
1a 容器本体(機器)
3 ラグ
3a 被位置決め辺
3b 被支持辺
3d 被案内辺
10 ラグ受け座
11 ラグ嵌合溝
11a 位置決め辺
11b 支持辺
11d,11e 案内辺
12 固定ピン
イ 進行方向
Claims (2)
- 機器は、外側面両側に固設されたラグを備え、ラグ受け座はラグが嵌合されるラグ嵌合溝を備え、
前記ラグは、据付け時における機器の進行方向へ向けて下り傾斜の被案内辺と、該被案内辺の下端に水平に繋がり前記進行方向へ向けて延在する被支持辺と、該被支持辺の前記進行方向先端に繋がり上方へ延在する被位置決め辺とを備え、
前記ラグ嵌合溝は、機器が前記進行方向へ搬送されてきた際にラグの被位置決め辺が当接する案内辺と、該案内辺の下方に設けられると共に前記進行方向へ向けて下り勾配に傾斜ししかも前記案内辺に沿い下降してきた機器をラグの被案内辺を介し斜め下方へ案内する案内辺と、ラグが所定状態に嵌合した際にラグの被支持辺を支持する支持辺と、ラグの被位置決め辺を位置決めする位置決め辺とを備えた
ことを特徴とする機器のラグ固定構造。 - ラグ受け座のラグ嵌合溝に嵌合したラグをラグ受け座に対し固定するための固定ピンを備えた請求項1に記載の機器のラグ固定構造。
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JP2000118105A JP4306088B2 (ja) | 2000-04-19 | 2000-04-19 | 機器のラグ固定構造 |
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2000
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