JP4305018B2 - アルコール化合物の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルコール化合物の製造方法に関する。
【0002】
一般式(2)
Figure 0004305018
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7およびR8はそれぞれ同一または相異なって、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基、水酸基、ニトロ基、アミノ基、カルバモイル基、カルボキシル基、アリール基またはシリル基を表わす。
また、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7およびR8のうち、隣接する二つの基が結合して、それらが結合するベンゼン環と共に、ナフタレン環を形成してもよい。R9、R10、R11およびR12はそれぞれ同一または相異なって、水素原子もしくは炭素数1〜4の低級アルキル基を表わすか、または、炭素数1〜4の低級アルキル基、炭素数1〜4の低級アルコキシ基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基およびハロゲン原子からなる群から選ばれる少なくとも一つで置換されていてもよいフェニル基もしくはナフチル基を表わす。また、R9とR11、R9とR12、R10とR11およびR10とR12のうちのいずれか一組が結合してテトラメチレン基を形成し、残りの組がそれぞれ水素原子を表わす。Qは単結合もしくは炭素数1〜4のアルキレン基を表わす。また、
Figure 0004305018
で示される基で、2,2’−ビナフチル基を表わしてもよい。ここで、・は窒素原子との結合部位を示す。Aは、ハロゲン原子を表わす。)
で示されるコバルト(III)サレン型錯体(以下、コバルト(III)サレン型錯体(2)と略記する。)は、エポキシド等の環状エーテル化合物とフェノール誘導体とを反応させて、アルコール化合物を製造する際の触媒として、有用であることが知られている(例えば非特許文献1参照。)。かかるコバルト(III)サレン型錯体(2)は、一般式(1)
Figure 0004305018
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12およびQは上記と同一の意味を表わす。)
で示されるコバルト(II)サレン型錯体(以下、コバルト(II)サレン型錯体(1)と略記する。)に酸素を作用させることにより調製されるが、かかる方法で調製されたコバルト(III)サレン型錯体を用いると、フェノール誘導体が酸化カップリングしたカップリング体に由来する副生物が多く生成するという問題があった。
【0003】
【非特許文献1】
J.Am.Chem.Soc.1999,121,6086
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このような状況の下、本発明者らは、フェノール誘導体のカップリング体由来の副生物の生成を抑制し、環状エーテル化合物とフェノール誘導体とから、目的とするアルコール化合物を製造する方法について鋭意検討したところ、コバルト(II)サレン型錯体(1)にヨウ素等のハロゲン化剤を作用させて得られるコバルト(III)サレン型錯体(2)を触媒とすることにより、フェノール誘導体のカップリング体に由来する副生物の生成を抑制し、良好にアルコール誘導体を得ることができることを見出し、本発明に至った。
【0005】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、一般式(1)
Figure 0004305018
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7およびR8はそれぞれ同一または相異なって、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基、水酸基、ニトロ基、アミノ基、カルバモイル基、カルボキシル基、アリール基またはシリル基を表わす。
また、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7およびR8のうち、隣接する二つの基が結合して、それらが結合するベンゼン環と共に、ナフタレン環を形成してもよい。R9、R10、R11およびR12はそれぞれ同一または相異なって、水素原子もしくは炭素数1〜4の低級アルキル基を表わすか、または、炭素数1〜4の低級アルキル基、炭素数1〜4の低級アルコキシ基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基およびハロゲン原子からなる群から選ばれる少なくとも一つで置換されていてもよいフェニル基もしくはナフチル基を表わす。また、R9とR11、R9とR12、R10とR11およびR10とR12のうちのいずれか一組が結合してテトラメチレン基を形成し、残りの組がそれぞれ水素原子を表わす。Qは単結合もしくは炭素数1〜4のアルキレン基を表わす。また、
Figure 0004305018
で示される基で、2,2’−ビナフチル基を表わしてもよい。ここで、・は窒素原子との結合部位を示す。)
で示されるコバルト(II)サレン型錯体にハロゲン化剤を作用させて一般式(2)
Figure 0004305018
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12およびQは上記と同一の意味を表わし、Aはハロゲン原子を表わす。)
で示されるコバルト(III)サレン型錯体を得、次いで、該コバルト(III)サレン型錯体の存在下、環状エーテル化合物とフェノール誘導体を反応させることを特徴とするアルコール化合物の製造方法を提供するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
まず、一般式(1)
Figure 0004305018
で示されるコバルト(II)サレン型錯体(以下、コバルト(II)サレン型錯体(1)と略記する。)について説明する。
【0007】
コバルト(II)サレン型錯体(1)の式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7およびR8はそれぞれ同一または相異なって、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基、水酸基、ニトロ基、アミノ基、カルバモイル基、カルボキシル基、アリール基またはシリル基を表わす。
【0008】
ハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数1〜6の直鎖状、分枝鎖状または環状のアルキル基が挙げられる。アルケニル基としては、例えばビニル基、プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、2−メチル−1−プロペニル基、ペンテンニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基等の炭素数2〜6の直鎖状、分枝鎖状または環状のアルケニル基が挙げられる。アルキニル基としては、例えばエチニル基、プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、ヘキシニル基等の炭素数2〜6の直鎖状または分枝鎖状のアルキニル基が挙げられる。
【0009】
アルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等の炭素数1〜6の直鎖状、分枝鎖状または環状のアルコキシ基が挙げられる。ハロアルキル基としては、上記したアルキル基の一つまたは二つ以上の水素原子が、上記したハロゲン原子で置換されたものが挙げられ、例えばクロロメチル基、クロロエチル基、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基等が挙げられる。ハロアルコキシ基としては、上記したアルコキシ基の一つまたは二つ以上の水素原子が、上記したハロゲン原子で置換されたものが挙げられ、例えばクロロメトキシ基、クロロエトキシ基、フルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基等が挙げられる。
【0010】
無置換のアリール基としては、例えばフェニル基、ナフチル基等が挙げられ、置換アリール基としては、例えばトルイル基、キシリル基、ニトロフェニル基、メトキシフェニル基等の上記したアルキル基、上記したアルコキシ基、ニトロ基等で置換されたアリール基が挙げられる。アラルキル基としては、上記したアルキル基と上記した無置換もしくは置換アリール基とから構成されるもの、例えばベンジル基、トリフェニルメチル基、1−メチル−1−フェニルエチル基等が挙げられる。シリル基としては、例えばトリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリフェニルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基等の上記したアルキル基、上記した無置換もしくは置換アリール基等で三置換されたシリル基が挙げられる。
【0011】
また、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7およびR8のうち、隣接する二つの基が結合して、それらが結合するベンゼン環と共に環を形成して、ナフタレン環を表わす。
【0012】
コバルト(II)サレン型錯体(1)の式中、R9、R10、R11およびR12はそれぞれ同一または相異なって、水素原子もしくは炭素数1〜4の低級アルキル基を表わすか、または、炭素数1〜4の低級アルキル基、炭素数1〜4の低級アルコキシ基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基およびハロゲン原子からなる群から選ばれる少なくとも一つで置換されていてもよいフェニル基もしくはナフチル基を表わす。また、R9とR11、R9とR12、R10とR11およびR10とR12のうちのいずれか一組が結合してテトラメチレン基を形成し、残りの組がそれぞれ水素原子を表わす。
【0013】
炭素数1〜4のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられ、炭素数1〜4のアルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基等が挙げられる。ハロアルキル基、ハロアルコキシ基、ハロゲン原子としては、前記したものと同様のものが挙げられる。
【0014】
かかる炭素数1〜4の低級アルキル基、炭素数1〜4の低級アルコキシ基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基およびハロゲン原子からなる群から選ばれる少なくとも一つで置換されていてもよいフェニル基またはナフチル基としては、例えばフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、4−メチルフェニル基、2−メチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、2−メトキシフェニル基、4−クロロフェニル基、2−クロロフェニル基、2−フルオロフェニル基、4−フルオロフェニル基、4−ブロモフェニル基、2−メチル−1−ナフチル基等が挙げられる。
【0015】
Qは単結合もしくは炭素数1〜4のアルキレン基を表わす。また、
Figure 0004305018
で示される基で、2,2’−ビナフチル基を表わしてもよい。ここで、・は窒素原子との結合部位を示す。炭素数1〜4のアルキレン基としては、例えばメチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基等が挙げられる。
【0016】
かかるコバルト(II)サレン型錯体(1)としては、例えばN,N’−ビス(サリチリデン)−1,2−エチレンジアミノコバルト(II)、N,N'−ビス(3,5−ジ−tert−ブチルサリチリデン)−1,2−シクロヘキサンジアミノコバルト(II)、N,N'−ビス(3,5−ジ−tert−ペンチルサリチリデン)−1,2−シクロヘキサンジアミノコバルト(II)、N,N'−ビス(サリチリデン)−1,2−シクロヘキサンジアミノコバルト(II)、N,N'−ビス(3−tert−ブチル−5−メチルサリチリデン)−1,2−シクロヘキサンジアミノコバルト(II)、N,N'−ビス(3−tert−ブチル−5−ニトロサリチリデン)−1,2−シクロヘキサンジアミノコバルト(II)、N,N'−ビス(3−tert−ブチル−5−メトキシサリチリデン)−1,2−シクロヘキサンジアミノコバルト(II)、N,N'−ビス(3−tert−ブチル−5−クロロサリチリデン)−1,2−シクロヘキサンジアミノコバルト(II)、
【0017】
N,N'−ビス(3−tert−ブチルサリチリデン)−1,2−シクロヘキサンジアミノコバルト(II)、N,N'−ビス[5−メチル−3−(1−メチル−1−フェニルエチル)サリチリデン]−1,2−シクロヘキサンジアミノコバルト(II)、N,N'−ビス(3−tert−ブチル−5−トリフェニルメチルサリチリデン)−1,2−シクロヘキサンジアミノコバルト(II)、N,N'−ビス[5−tert−ブチル−3−(1−メチル−1−フェニルエチル)サリチリデン]−1,2−シクロヘキサンジアミノコバルト(II)、N,N'−ビス(3,5−ジ−tert−ブチルサリチリデン)−1,2−ジフェニルエチレンジアミノコバルト(II)、N,N'−ビス(3,5−ジ−tert−ペンチルサリチリデン)−1,2−ジフェニルエチレンジアミノコバルト(II)、N,N'−ビス(3,5−ジ−tert−ブチルサリチリデン)−1,1’−ビナフタレン−2,2’−ジアミノコバルト(II)、N,N'−ビス(3,5−ジ−tert−ペンチルサリチリデン)−1,1’−ビナフタレン−2,2’−ジアミノコバルト(II)等が挙げられる。
【0018】
かかるコバルト(II)サレン型錯体(1)は、例えば市販されているものを用いてもよいし、例えばJ.Am.Chem.Soc.,1991,113,6703、J.Org.Chem.,1991,56,2296等に記載の公知の方法に準じて製造したものを用いてもよい。かかるコバルト(II)サレン型錯体(1)のうち、光学異性体が存在するものは、光学異性体単独を用いてもよいし、光学異性体の任意の混合物を用いてもよい。
【0019】
かかるコバルト(II)サレン型錯体(1)に、ハロゲン化剤を作用させることにより、一般式(2)
Figure 0004305018
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12およびQは上記と同一の意味を表わし、Aはハロゲン原子を表わす。)
で示されるコバルト(III)サレン型錯体(以下、コバルト(III)サレン型錯体(2)と略記する。)を調製することができる。
【0020】
ハロゲン化剤としては、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等の分子状ハロゲン、例えば塩化水素、臭化水素等のハロゲン化水素、例えばN−クロロスクシンイミド、N−ブロモスクシンイミド等のN−ハロイミド化合物等が挙げられ、分子状ハロゲンが好ましく、なかでもヨウ素が好ましい。ハロゲン化剤の使用量は、コバルト(II)サレン型錯体(1)に対して、通常0.5〜10モル倍、好ましくは1〜2モル倍である。かかるハロゲン化剤は、そのまま用いてもよいし、例えばジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル等のエーテル系溶媒、例えばトルエン等の芳香族炭化水素系溶媒、例えばクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、例えばヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒等の有機溶媒に溶解させて溶液として用いてもよい。
【0021】
ハロゲン化剤を作用させる温度は、通常−50℃〜反応混合物の還流温度の範囲、好ましくは−25〜50℃である。
【0022】
ハロゲン化剤は、通常有機溶媒中で、コバルト(II)サレン型錯体に作用される。ハロゲン化剤に、コバルト(II)サレン型錯体(1)を加えてもよいし、コバルト(II)サレン型錯体(1)にハロゲン化剤を加えてもよい。有機溶媒としては、例えばジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル等のエーテル系溶媒、例えばトルエン等の芳香族炭化水素系溶媒、例えばクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、例えばヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒等が挙げられ、その使用量は特に制限されない。
【0023】
ハロゲン化剤として、例えばヨウ素を用いた場合には、コバルト(III)サレン型錯体(2)の式中、Aがヨウ素原子であるコバルト(III)サレン型錯体(2)が得られ、ハロゲン化剤として、例えば臭素を用いた場合には、コバルト(III)サレン型錯体(2)の式中、Aが臭素原子であるコバルト(III)サレン型錯体(2)が得られる。
【0024】
コバルト(II)サレン型錯体(1)に、ハロゲン化剤を作用させることにより、コバルト(III)サレン型錯体(2)が得られるが、コバルト(III)サレン型錯体(2)を取り出して、後述する環状エーテル化合物とフェノール誘導体の反応に用いてもよいし、コバルト(III)サレン型錯体(2)を取り出すことなく、そのまま後述する反応に用いてもよい。
【0025】
かくして得られるコバルト(III)サレン型錯体(2)としては、例えば塩化N,N’−ビス(サリチリデン)−1,2−エチレンジアミノコバルト(III)、塩化N,N'−ビス(3,5−ジ−tert−ブチルサリチリデン)−1,2−シクロヘキサンジアミノコバルト(III)、塩化N,N'−ビス(3,5−ジ−tert−ペンチルサリチリデン)−1,2−シクロヘキサンジアミノコバルト(III)、塩化N,N'−ビス(サリチリデン)−1,2−シクロヘキサンジアミノコバルト(III)、塩化N,N'−ビス(3−tert−ブチル−5−メチルサリチリデン)−1,2−シクロヘキサンジアミノコバルト(III)、塩化N,N'−ビス(3−tert−ブチル−5−ニトロサリチリデン)−1,2−シクロヘキサンジアミノコバルト(III)、塩化N,N'−ビス(3−tert−ブチル−5−メトキシサリチリデン)−1,2−シクロヘキサンジアミノコバルト(III)、塩化N,N'−ビス(3−tert−ブチル−5−クロロサリチリデン)−1,2−シクロヘキサンジアミノコバルト(III)、
【0026】
塩化N,N'−ビス(3−tert−ブチルサリチリデン)−1,2−シクロヘキサンジアミノコバルト(III)、塩化N,N'−ビス[5−メチル−3−(1−メチル−1−フェニルエチル)サリチリデン]−1,2−シクロヘキサンジアミノコバルト(III)、塩化N,N'−ビス(3−tert−ブチル−5−トリフェニルメチルサリチリデン)−1,2−シクロヘキサンジアミノコバルト(III)、塩化N,N'−ビス[5−tert−ブチル−3−(1−メチル−1−フェニルエチル)サリチリデン]−1,2−シクロヘキサンジアミノコバルト(III)、塩化N,N'−ビス(3,5−ジ−tert−ブチルサリチリデン)−1,2−ジフェニルエチレンジアミノコバルト(III)、塩化N,N'−ビス(3,5−ジ−tert−ペンチルサリチリデン)−1,2−ジフェニルエチレンジアミノコバルト(III)、塩化N,N'−ビス(3,5−ジ−tert−ブチルサリチリデン)−1,1’−ビナフタレン−2,2’−ジアミノコバルト(III)、塩化N,N'−ビス(3,5−ジ−tert−ペンチルサリチリデン)−1,1’−ビナフタレン−2,2’−ジアミノコバルト(III)、
【0027】
臭化N,N’−ビス(サリチリデン)−1,2−エチレンジアミノコバルト(III)、臭化N,N'−ビス(3,5−ジ−tert−ブチルサリチリデン)−1,2−シクロヘキサンジアミノコバルト(III)、臭化N,N'−ビス(3,5−ジ−tert−ペンチルサリチリデン)−1,2−シクロヘキサンジアミノコバルト(III)、臭化N,N'−ビス(サリチリデン)−1,2−シクロヘキサンジアミノコバルト(III)、臭化N,N'−ビス(3−tert−ブチル−5−メチルサリチリデン)−1,2−シクロヘキサンジアミノコバルト(III)、臭化N,N'−ビス(3−tert−ブチル−5−ニトロサリチリデン)−1,2−シクロヘキサンジアミノコバルト(III)、臭化N,N'−ビス(3−tert−ブチル−5−メトキシサリチリデン)−1,2−シクロヘキサンジアミノコバルト(III)、臭化N,N'−ビス(3−tert−ブチル−5−クロロサリチリデン)−1,2−シクロヘキサンジアミノコバルト(III)、
【0028】
臭化N,N'−ビス(3−tert−ブチルサリチリデン)−1,2−シクロヘキサンジアミノコバルト(III)、臭化N,N'−ビス[5−メチル−3−(1−メチル−1−フェニルエチル)サリチリデン]−1,2−シクロヘキサンジアミノコバルト(III)、臭化N,N'−ビス(3−tert−ブチル−5−トリフェニルメチルサリチリデン)−1,2−シクロヘキサンジアミノコバルト(III)、臭化N,N'−ビス[5−tert−ブチル−3−(1−メチル−1−フェニルエチル)サリチリデン]−1,2−シクロヘキサンジアミノコバルト(III)、臭化N,N'−ビス(3,5−ジ−tert−ブチルサリチリデン)−1,2−ジフェニルエチレンジアミノコバルト(III)、臭化N,N'−ビス(3,5−ジ−tert−ペンチルサリチリデン)−1,2−ジフェニルエチレンジアミノコバルト(III)、臭化N,N'−ビス(3,5−ジ−tert−ブチルサリチリデン)−1,1’−ビナフタレン−2,2’−ジアミノコバルト(III)、臭化N,N'−ビス(3,5−ジ−tert−ペンチルサリチリデン)−1,1’−ビナフタレン−2,2’−ジアミノコバルト(III)、
【0029】
ヨウ化N,N’−ビス(サリチリデン)−1,2−エチレンジアミノコバルト(III)、ヨウ化N,N'−ビス(3,5−ジ−tert−ブチルサリチリデン)−1,2−シクロヘキサンジアミノコバルト(III)、ヨウ化N,N'−ビス(3,5−ジ−tert−ペンチルサリチリデン)−1,2−シクロヘキサンジアミノコバルト(III)、ヨウ化N,N'−ビス(サリチリデン)−1,2−シクロヘキサンジアミノコバルト(III)、ヨウ化N,N'−ビス(3−tert−ブチル−5−メチルサリチリデン)−1,2−シクロヘキサンジアミノコバルト(III)、ヨウ化N,N'−ビス(3−tert−ブチル−5−ニトロサリチリデン)−1,2−シクロヘキサンジアミノコバルト(III)、ヨウ化N,N'−ビス(3−tert−ブチル−5−メトキシサリチリデン)−1,2−シクロヘキサンジアミノコバルト(III)、ヨウ化N,N'−ビス(3−tert−ブチル−5−クロロサリチリデン)−1,2−シクロヘキサンジアミノコバルト(III)、
【0030】
ヨウ化N,N'−ビス(3−tert−ブチルサリチリデン)−1,2−シクロヘキサンジアミノコバルト(III)、ヨウ化N,N'−ビス[5−メチル−3−(1−メチル−1−フェニルエチル)サリチリデン]−1,2−シクロヘキサンジアミノコバルト(III)、ヨウ化N,N'−ビス(3−tert−ブチル−5−トリフェニルメチルサリチリデン)−1,2−シクロヘキサンジアミノコバルト(III)、ヨウ化N,N'−ビス[5−tert−ブチル−3−(1−メチル−1−フェニルエチル)サリチリデン]−1,2−シクロヘキサンジアミノコバルト(III)、ヨウ化N,N'−ビス(3,5−ジ−tert−ブチルサリチリデン)−1,2−ジフェニルエチレンジアミノコバルト(III)、ヨウ化N,N'−ビス(3,5−ジ−tert−ペンチルサリチリデン)−1,2−ジフェニルエチレンジアミノコバルト(III)、ヨウ化N,N'−ビス(3,5−ジ−tert−ブチルサリチリデン)−1,1’−ビナフタレン−2,2’−ジアミノコバルト(III)、ヨウ化N,N'−ビス(3,5−ジ−tert−ペンチルサリチリデン)−1,1’−ビナフタレン−2,2’−ジアミノコバルト(III)等が挙げられる。
【0031】
なお、光学活性なコバルト(II)サレン型錯体(1)を用いた場合には、光学活性なコバルト(III)サレン型錯体(2)が得られる。
【0032】
続いてかくして得られるコバルト(III)サレン型錯体(2)の存在下に、環状エーテル化合物とフェノール誘導体を反応させて、アルコール化合物を製造する方法について説明する。コバルト(II)サレン型錯体にハロゲン化剤を作用させて得られるコバルト(III)サレン型錯体(2)を用いることにより、フェノール誘導体のカップリング体由来の副生物の生成を抑制し、アルコール化合物を得ることができる。
【0033】
環状エーテル化合物としては、フェノール誘導体との反応により、開環反応が起こるものであればよく、例えば下記一般式(3)
Figure 0004305018
(式中、R13はメチル基またはエチル基を表わす。)
で示される環状エ−テル化合物(以下、環状エーテル化合物(3)と略記する。)が挙げられる。環状エーテル化合物の中には、光学異性体が存在するものがあるが、本発明には、光学異性体の単独を用いてもよいし、光学異性体の任意の混合物を用いてもよい。
【0034】
かかる環状エーテル化合物としては、プロピレンオキシド、1,2−エポキシブタン等が挙げられる。
【0035】
また、フェノール誘導体としては、フェノール性の水酸基を有するフェノール類および該フェノール誘導体の水酸基の酸素原子が硫黄原子に代わったチオフェノール類であれば特に制限されず、例えば下記一般式(4)
Figure 0004305018
(式中、Xは酸素原子または硫黄原子を表わし、Yは酸素原子、硫黄原子またはメチレン基を表わし、R14はハロゲン原子またはメチル基を表わし、R15およびR16はそれぞれ同一または相異なって、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基またはトリフルオロメチル基を表わす。)
で示されるフェノ−ル誘導体(以下、フェノール誘導体(4)と略記する。)が挙げられる。
【0036】
ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基および炭素数1〜4のアルコキシ基としては、前記したものと同様のものが挙げられる。
【0037】
かかるフェノール誘導体としては、例えば4−フェノキシフェノール、4−(3−メチルフェノキシ)フェノール、4−(2−フルオロフェノキシ)フェノール、4−(3−フルオロフェノキシ)フェノール、4−(4−フルオロフェノキシ)フェノール、4−(3,5−ジフルオロフェノキシ)フェノール、4−(3,5−ジクロロフェノキシ)フェノール、4−(3−トリフルオロメチルフェノキシ)フェノール、4−(3−メトキシフェノキシ)フェノール、4−ベンジルフェノール、4−フェノキシチオフェノール等が挙げられる。
【0038】
環状エーテル化合物の使用量は、フェノール誘導体に対して、通常2モル倍以上であり、その上限は特にないが、あまり多すぎると経済的に不利になりやすいため、実用的には10モル倍以下である。
【0039】
コバルト(III)サレン型錯体(2)の使用量は、フェノール誘導体に対して、0.1〜10モル%の使用量で十分な触媒活性を示す。もちろん10モル%よりも多量使用してもよいが、使用量が多くなれば、経済的に不利になりやすいため、実用的な使用量は、上記のとおり0.1〜10モル%、好ましくは0.1〜5モル%である。
【0040】
反応温度は、通常−50〜反応混合物の還流温度、好ましくは−25〜50℃である。
【0041】
反応は、コバルト(III)サレン型錯体(2)、)環状エーテル化合物およびフェノール誘導体を接触、混合すればよく、その混合順序は特に制限されない。
【0042】
本反応は、通常有機溶媒の存在下に実施され、有機溶媒としては、例えばヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素系溶媒、例えばトルエン等の芳香族炭化水素系溶媒、例えばジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル等のエーテル系溶媒、例えばクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒等の単独または混合溶媒が挙げられ、その使用量は特に制限されない。
【0043】
反応終了後、例えば水および必要に応じて水に不溶の有機溶媒を加え、抽出処理することにより目的とするアルコール化合物を取り出すことができる。取り出したアルコール化合物は、例えば蒸留、再結晶、カラムクロマトグラフィ等の通常の精製手段により、さらに精製してもよい。水に不溶の有機溶媒としては、例えばトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、例えばヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素系溶媒、例えばクロロホルム、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、例えばジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル等のエーテル系溶媒等が挙げられ、その使用量は特に制限されない。
【0044】
環状エーテル化合物(3)とフェノール誘導体(4)を反応させた場合には、下記一般式(5)
Figure 0004305018
(式中、R13、R14、R15、R16、XおよびYは上記と同一の意味を表わす。)で示されるアルコ−ル化合物が得られる。
【0045】
かくして得られるアルコ−ル誘導体としては、例えば1−(4−フェノキシフェノキシ)−2−プロパノール、1−[4−(3−メチルフェノキシ)フェノキシ]−2−プロパノール、1−[4−(2−フルオロフェノキシ)フェノキシ]−2−プロパノール、1−[4−(3−フルオロフェノキシ)フェノキシ]−2−プロパノール、1−[4−(4−フルオロフェノキシ)フェノキシ]−2−プロパノール、1−[4−(3,5−ジフルオロフェノキシ)フェノキシ]−2−プロパノール、1−[4−(3,5−ジクロロフェノキシ)フェノキシ]−2−プロパノール、1−[4−(3−トリフルオロメチルフェノキシ)]−2−プロパノール、1−[4−(3−メトキシフェノキシ)フェノキシ]−2−プロパノール、1−(4−ベンジルフェノキシ)−2−プロパノール、1−(4−フェニルチオフェノキシ)−2−プロパノール、1−フェノキシ−2−ブタノール、1−(4−クロロフェノキシ)−2−ブタノール、1−(2−ブロモフェノキシ)−2−ブタノール、1−(4−ブロモフェノキシ)−2−ブタノール、1−(2−メチルフェノキシ)−2−ブタノール、1−(3−メチルフェノキシ)−2−ブタノール、1−(4−メチルフェノキシ)−2−ブタノール、1−(4−メトキシフェノキシ)−2−ブタノール、1−(4−フェノキシフェノキシ)−2−ブタノール、1−(4−ニトロフェノキシ)−2−ブタノール、1−(2,3−ジフルオロ−6−ニトロフェノキシ)−2−ブタノール、1−フェニルチオ−2−ブタノール、1−(2−ブロモ−4−メチルフェニルチオ)−2−ブタノール、1−(4−クロロフェニルチオ)−2−ブタノール、1−(4−メトキシフェニルチオ)−2−ブタノール、1−(4−フェノキシフェニルチオ)−2−ブタノール等が挙げられる。
【0046】
なお、コバルト(III)サレン型錯体(2)に代えて、該コバルト(III)サレン型錯体(2)にルイス酸を作用せしめてなるコバルト(III)サレン型錯体を用いることにより、フェノール誘導体と環状エーテル化合物との反応を促進させることができる。
【0047】
ルイス酸としては、例えばハロゲン化アルミニウム、ハロゲン化ジアルキルアルミニウム、トリアルコキシアルミニウム、ハロゲン化チタン、テトラアルコキシチタニウム、ハロゲン化ホウ素、ハロゲン化亜鉛等が挙げられる。ハロゲン化アルミニウムとしては、例えば塩化アルミニウム、臭化アルミニウム等が、ハロゲン化ジアルキルアルミニウムとしては、例えば塩化ジエチルアルミニウム、臭化ジエチルアルミニウム、塩化ジイソプロピルアルミニウム等が、トリアルコキシアルミニウムとしては、例えばトリエトキシアルミニウム、トリイソプロポキシアルミニウム、トリ−tert−ブトキシアルミニウム等が挙げられる。ハロゲン化チタンとしては、例えば四塩化チタン等が、テトラアルコキシチタニウムとしては、例えばテトライソプロポキシチタニウム等が、ハロゲン化ホウ素としては、例えばフッ化ホウ素、塩化ホウ素、臭化ホウ素等が、ハロゲン化亜鉛としては、例えば塩化亜鉛、臭化亜鉛等が挙げられる。
【0048】
かかるルイス酸はそのまま用いてもよいし、有機溶媒の溶液として用いてもよい。例えば空気や水分等に対して不安定で取扱いに注意を要するルイス酸は、有機溶媒の溶液として用いることが好ましい。有機溶媒としては、ルイス酸に対して不活性であれば特に制限されず、例えばヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素系溶媒、例えばジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル等のエーテル系溶媒等が挙げられる。また、三フッ化ホウ素・ジエチルエーテル錯化合物等のルイス酸の錯化合物を用いてもよい。
【0049】
ルイス酸の使用量は、特に制限されないが、コバルト(III)サレン型錯体(2)に対して、通常0.2〜10モル倍、好ましくは0.5〜5モル倍である。
【0050】
コバルト(III)サレン型錯体(2)にルイス酸を作用せしめるとは、その両者を無溶媒もしくは有機溶媒中で接触させればよく、その作用温度は、通常−50℃〜混合液の還流温度、好ましくは−25〜50℃である。有機溶媒としては、コバルト(II)サレン型錯体(1)にハロゲン化剤を作用せしめた際に用いたのと同様の有機溶媒が挙げられる。なお、系中に、例えば水が存在すると、ルイス酸が分解しやすいため、用いる試剤、溶媒等は予め脱水処理しておくか、例えばモレキュラーシーブス等の脱水剤を共存させておくことが好ましい。
【0051】
コバルト(III)サレン型錯体(2)にルイス酸を作用せしめて得られる溶液を、そのまま環状エーテル化合物とフェノール誘導体との反応に用いてもよいし、例えば前記溶液を濃縮処理等して、錯体を取り出し用いてもよい。
【0052】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。
【0053】
実施例1
窒素置換した2Lセパラブルフラスコに、(R,R)−N,N'−ビス(3,5−ジ−tert−ブチルサリチリデン)−1,2−シクロヘキサンジアミノコバルト(II)7.9gおよびtert−ブチルメチルエーテル170gを仕込み、室温でヨウ素1.7gを加えて、1時間攪拌、反応させ、ヨウ化(R,R)−N,N'−ビス(3,5−ジ−tert−ブチルサリチリデン)−1,2−シクロヘキサンジアミノコバルト(III)を調製した。これに、チタンテトライソプロポキシド14.8gを室温で加え、10分撹拌した後、内温を−5℃まで冷却した。これにプロピレンオキシド341.1gを滴下した後、4−フェノキシフェノール243.0gをtert−ブチルメチルエーテル183gに溶解した液を、反応液の内温を−5〜0℃に保温しながら2時間かけて滴下した。滴下後に内温を−5〜0℃に保って4時間攪拌した後、反応液を高速液体クロマトグラフィ(以下、LCと略記する。)により分析したところ、1−(4−フェノキシフェノキシ)−2−プロパノールが98.8%(LC面積百分率)、光学異性体過剰率が98.9%ee(LC面積百分率)で生成していた。4−フェノキシフェノールがカップリングし、さらにプロピレンオキシドが反応した副生物が0.1%(LC面積百分率。対1−(4−フェノキシフェノキシ)−2−プロパノール)で生成していることを確認した。
【0054】
比較例1
2体積%酸素含有窒素で置換した1Lオートクレーブに、(R,R)−N,N'−ビス(3,5−ジ−tert−ブチルサリチリデン)−1,2−シクロヘキサンジアミノコバルト(II)1.5gおよび4−フェノキシフェノール0.47gを仕込み、tert−ブチルメチルエーテル50mLを加えた後、内温25℃で2体積%酸素含有窒素を流通しながら5時間撹拌した。該溶液に、チタンテトライソプロポキシド0.71gを室温で加え、10分撹拌した後、内温を5℃まで冷却した。これに4−フェノキシフェノール46.6gを仕込み、プロピレンオキシド65.3gを同温で滴下、反応液の内温を5℃に保温しながら4時間攪拌した後、反応液を高速液体クロマトグラフィ(以下、LCと略記する。)により分析したところ、1−(4−フェノキシフェノキシ)−2−プロパノールが94.7%(LC面積百分率)、光学異性体過剰率が97.5%ee(LC面積百分率)で生成していた。また、4−フェノキシフェノールがカップリングし、さらにプロピレンオキシドが反応した副生物が2.0%(LC面積百分率。対1−(4−フェノキシフェノキシ)−2−プロパノール)で生成していることを確認した。
【0055】
【発明の効果】
本発明によれば、コバルト(II)サレン型錯体にハロゲン化剤を作用させて得られるコバルト(III)サレン型錯体を用いることにより、環状エーテル化合物とフェノール誘導体とから、フェノール誘導体のカップリング体由来の副生物の生成を抑制し、目的とするアルコール化合物を有利に得ることができる。

Claims (2)

  1. 一般式(1)
    Figure 0004305018
    (式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7およびR8はそれぞれ同一または相異なって、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基、水酸基、ニトロ基、アミノ基、カルバモイル基、カルボキシル基、アリール基またはシリル基を表わす。また、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7およびR8のうち、隣接する二つの基が結合して、それらが結合するベンゼン環と共に、ナフタレン環を形成してもよい。R9、R10、R11およびR12はそれぞれ同一または相異なって、水素原子もしくは炭素数1〜4の低級アルキル基を表わすか、または、炭素数1〜4の低級アルキル基、炭素数1〜4の低級アルコキシ基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基およびハロゲン原子からなる群から選ばれる少なくとも一つで置換されていてもよいフェニル基もしくはナフチル基を表わす。また、R9とR11、R9とR12、R10とR11およびR10とR12のうちのいずれか一組が結合してテトラメチレン基を形成し、残りの組がそれぞれ水素原子を表わす。Qは単結合もしくは炭素数1〜4のアルキレン基を表わす。また、
    Figure 0004305018
    で示される基で、2,2’−ビナフチル基を表わしてもよい。ここで、・は窒素原子との結合部位を示す。)
    で示されるコバルト(II)サレン型錯体にハロゲン化剤を作用させて一般式(2)
    Figure 0004305018
    (式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12およびQは上記と同一の意味を表わし、Aはハロゲン原子を表わす。)
    で示されるコバルト(III)サレン型錯体を得、次いで、該コバルト(III)サレン型錯体の存在下、環状エーテル化合物とフェノール誘導体を反応させることを特徴とするアルコール化合物の製造方法。
  2. 環状エーテル化合物が、一般式(3)
    Figure 0004305018
    (式中、R13はメチル基またはエチル基を表わす。)
    で示される環状エ−テル化合物であり、フェノール誘導体が、一般式(4)
    Figure 0004305018
    (式中、Xは酸素原子または硫黄原子を表わし、Yは酸素原子、硫黄原子またはメチレン基を表わし、R14はハロゲン原子またはメチル基を表わし、R15およびR16はそれぞれ同一または相異なって、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基またはトリフルオロメチル基を表わす。)
    で示されるフェノ−ル誘導体であり、アルコール化合物が、一般式(5)
    Figure 0004305018
    (式中、R13、R14、R15、R16、XおよびYは上記と同一の意味を表わす。)で示されるアルコ−ル化合物である請求項1に記載のアルコール化合物の製造方法。
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