JP4304709B2 - 可動巻線型リニアモータ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、可動巻線型のリニアモータの構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の可動巻線型のリニアモータは、図5および図6に示すように構成されている。図5は可動巻線型リニアモータの固定部を示しており、固定部1は、平板状のヨーク2a、2bを空隙を介して対向するように、ヨークベース3に固定するとともに、それぞれのヨーク2a、2bの対向する面に、永久磁石4a、4bを、矢印で示すストローク方向に同じピッチ寸法でNS極が交互になるように、かつ、対向するそれぞれの極が異なるように固定して構成している。図6は可動巻線型リニアモータの可動部を示しており、可動部5は、平板状の芯金6の両面に、電気角120°の位相差を持つ3相巻線7a、7bを等間隔に並べて取付けるとともに、前記芯金6ごと樹脂8でモールドし、さらに、図示しない搬送物を支持する搬送物支持体9と一体に固定している。このような構成の可動巻線型リニアモータにおいて、前記3相巻線7a、7bに、所定の位相に同期した3相平衡電流を流すと、3相巻線7a、7bに磁束が発生し、この磁束と固定部のヨーク2a、2bに固定されている永久磁石4a、4bとの電磁作用により、可動部5とともに搬送物支持体9がストローク方向へ移動する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来の可動巻線型リニアモータは、可動部5が、固定部1内においてストローク方向への移動だけしかできず、搬送物支持体9をストローク方向に対して垂直方向に振動しないように移動させることができなかった。また、搬送物支持体9の位置をストローク方向に対して垂直方向に微調整させることができなかった。そのため、これらの動作を付加させる場合は、ストローク方向に対して垂直方向に動作するようにした別のリニアモータを可動部5に取り付ける必要があった。
本発明は、これらの問題を解消するためになされたもので、1台のリニアモータで、搬送物支持体のストローク方向への移動と、搬送物支持体のストローク方向に対する垂直方向の振動の防止と、搬送物支持体のストローク方向に対する垂直方向の位置の微調整を行うことができる可動巻線型リニアモータを提供することを目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために、本発明は、固定部と、可動部とを有し、前記固定部は、複数の永久磁石を有し、2つの平板状のヨークを、空隙を介して対向するように、ヨークベースに固定するとともに、それぞれのヨークの対向する面に、前記永久磁石を、前記可動部のストローク方向に同じピッチ寸法でNS極が交互になるように、かつ、対向するそれぞれの極が異なるように固定して構成され、
前記可動部は、3相巻線を有し、前記3相巻線を、前記2つの平板状のヨーク間に配置される平板状の芯材の両面に、電気角120°の位相差を持たせて等間隔に並べて取付けるとともに、前記芯材ごと樹脂でモールドし、さらに、搬送物支持体と一体に固定して構成された、可動巻線型リニアモータにおいて、前記両ヨークに固定された永久磁石を、隣り合う永久磁石ごとに、ストローク方向に対して垂直の方向に高さをずらして千鳥足状に並設するとともに、単相巻線を、前記永久磁石の高さのずれた範囲の磁束と鎖交し、かつ磁極ピッチの偶数倍の寸法で折り返すように前記3相巻線を囲んで配設したものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図に示す実施例に基づいて説明する。
図1から図4は、本発明の実施例を示す可動巻線型リニアモータの構造図で、図1は固定部の斜視図、図2はヨークの内側からみた側面図、、図3は可動部の斜視図、図4は可動部における3相巻線と単相巻線の関係を示す側面図である。図5および図6と同一のものは、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
本発明の可動巻線型リニアモータは、基本的な構成は従来の可動巻線型リニアモータと同一であるが、固定部1と可動部5が次の点で異なっている。
すなわち、固定部1は、ヨーク2a、2bをストローク方向に対して垂直方向に長くするとともに、両ヨーク2a、2bに固定された永久磁石4a、4bを、隣り合う永久磁石4a、4bごとに交互に上下に長く延ばして千鳥足状に並設した点で異なっている。
また、可動部5は、前記芯金6をストローク方向に対して垂直方向に長くするとともに、前記芯金6に固定した3相巻線7a、7bの外周に単相巻線10a、10bを配置した点で異なっている。
前記可動部5においては、3相巻線7a、7bは、前記永久磁石4a、4bの高さのずれのない範囲の磁束と鎖交するように、等間隔で並べられており、また、前記単相巻線10a、10bは、前記永久磁石4a、4bの高さのずれた範囲の磁束と鎖交し、かつ磁極ピッチの偶数倍の寸法で折り返すように前記3相巻線7a、7bを囲んで配設されている。なお、3相巻線7a7bと単相巻線10a、10bは、前記芯金6ごと樹脂8でモールドされている。
このような構成において、固定部1の永久磁石4a、4bによる磁束分布は、永久磁石4a、4bの高さのずれのない範囲では、従来の可動巻線型リニアモータと同様であり、可動部5の3相巻線7a、7bに、所定の位相に同期した3相平衡電流を流すと、3相巻線7a、7bに磁束が発生し、この磁束と前記永久磁石4a、4bの高さのずれのない範囲の磁束による電磁作用により、可動部5が搬送物支持体9とともにストローク方向へ移動する。
固定部1の永久磁石4a、4bの高さのずれた範囲の磁束分布は、図2の磁極配列をみればわかるように、ストローク方向に対して垂直方向に、上がN極、下がS極となる。可動部5に3相巻線7a、7bを囲むように配置された単相巻線10a、10bに直流電流を流すと、単相巻線10a、10bに磁束が発生し、固定部1の永久磁石4a、4bの高さのずれた範囲の磁束との電磁作用により、ストローク方向に対して垂直方向に力を発生する。これにより、搬送物支持体9に対して、ストローク方向に対する垂直方向に力が作用するので、搬送物支持体のストローク方向に対する垂直方向の振動を防止することができる。また、搬送物支持体9の可動時の位置をストローク方向に対して垂直方向に微調整して、適切な位置にすることができる。
なお、この場合、単相巻線10a、10bが永久磁石4a、4bの高さ寸法のずれのない範囲の磁束と鎖交して発生するストローク方向の力は、単相巻線10a、10bが磁極ピッチの偶数倍で折り返しているので、左右で打ち消し合い零となり、搬送物支持体9のストローク方向への動作に悪影響を与えることはない。
【0006】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、前記両ヨークにストローク方向に異なる磁極で交互に固定された永久磁石を、隣り合う永久磁石ごとに交互に上下に長く延ばして千鳥足状に並設するとともに、前記可動部の3相巻線の外周に単相巻線を配置したので、
▲1▼搬送物支持体のストローク方向への移動、
▲2▼搬送物支持体のストローク方向に対する垂直方向の振動防止、
▲3▼搬送物支持体のストローク方向に対する垂直方向への位置の微調整
を1台の可動巻線型リニアモータで行うことができる大きな効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例における可動巻線型リニアモータの固定部を示す斜視図である。
【図2】 図1の固定部におけるヨークと永久磁石の関係を示す側面図である。
【図3】 本発明の実施例における可動巻線型リニアモータの可動部を示す斜視図である。
【図4】 図3の可動部における3相巻線と単相巻線の関係を示す側面図である。
【図5】 従来の可動巻線型リニアモータの固定部を示す斜視図である。
【図6】 従来の可動巻線型リニアモータの可動部を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 固定部、
2a,2b ヨーク、
3 ヨークベース、
4a、4b 永久磁石、
5 可動部、
6 芯金、
7a、7b 3相巻線、
8 樹脂、
9 搬送物支持体、
10a、10b 単相巻線

Claims (1)

  1. 固定部と、可動部とを有し、
    前記固定部は、
    複数の永久磁石を有し、
    2つの平板状のヨークを、空隙を介して対向するように、ヨークベースに固定するとともに、それぞれのヨークの対向する面に、前記永久磁石を、前記可動部のストローク方向に同じピッチ寸法でNS極が交互になるように、かつ、対向するそれぞれの極が異なるように固定して構成され、
    前記可動部は、
    3相巻線を有し、
    前記3相巻線を、前記2つの平板状のヨーク間に配置される平板状の芯材の両面に、電気角120°の位相差を持たせて等間隔に並べて取付けるとともに、前記芯材ごと樹脂でモールドし、さらに、搬送物支持体と一体に固定して構成された、可動巻線型リニアモータにおいて、
    前記両ヨークに固定された永久磁石を、隣り合う永久磁石ごとに、ストローク方向に対して垂直の方向に高さをずらして千鳥足状に並設するとともに、単相巻線を、前記永久磁石の高さのずれた範囲の磁束と鎖交し、かつ磁極ピッチの偶数倍の寸法で折り返すように前記3相巻線を囲んで配設したことを特徴とする可動巻線型リニアモータ。
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