JP4304566B2 - 偏光分離素子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は偏光分離素子、特に光学ローパスフィルターとして有用な偏光分離素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
CCD撮像素子等を用いた離散的に画像入力を行う光学系においては、モアレ縞を防止する目的で光学ローパスフィルターが使用されている。このような光学ローパスフィルターは、特開平10-186284号公報にあるように水晶複屈折板とよばれる光軸が板平面に対して傾いた偏光分離素子の働きをする2枚の複屈折板と1/4波長板を組み合わせた基本単位を有する偏光分離素子が多用されている。この基本単位は図1に例示するように、水晶複屈折板(a)で縦方向に常光oと異常光eに分離し、1/4波長板で直線偏光を円偏光に変換し、さらに水晶複屈折板(b)で横方向に常光o'、o''と異常光e'、e''に分離して計4つの光線に分離するものである。
【0003】
ここで1/4波長板としては通常水晶が用いられているが、その厚みは500μm以上と厚くなってしまうという問題があった。これを解決する手段として特開平10-186284号公報には、1/4波長板として複屈折性を有するポリイミド薄膜の利用が開示されているが、ポリイミドは黄色に着色してしまうという問題があった。
【0004】
また、水晶を用いた1/4波長板では可視光波長領域全体にわたって位相差として1/4波長を確保するのは困難という問題がある。1/4波長の位相差が実現されない波長領域では水晶板(b)に入射する光線は楕円偏光となり、水晶板(b)から出射する常光と異常光の強度が等しくならない。図2は、水晶板(b)から出射する常光o'と異常光e'の強度の波長依存性を計算したものである(波長589nmの光に対して1/4波長の位相差を設定した。また、水晶板(b)に入射した光線の強度を100%として示した)。波長によっては強度に10倍以上の差がついてしまっており、このような偏光分離素子では、例えば光学ローパスフィルターに使用した場合、十分なモアレ防止機能が発揮することができなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、偏光分離素子において、薄膜化可能で、色づきがなく、かつ出射強度の波長依存性の低い偏光分離素子を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
検討の結果、上記課題は1/4波長板に変えて旋光子を使用することによって上記課題を解決できることを見いだした。即ち、本発明は2枚の偏光分離機能を有する複屈折板の間に、直線偏光の振動方向を45度回転する旋光子を設けた構造を有する偏光分離素子を提供する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の態様は、入射光を一枚の前記複屈折板で常光と異常光に分離し、前記旋光子で直線偏光の振動方向を45度回転させ、さらにもう一枚の前記複屈折板により、2つの常光と2つの異常光に分離する偏光分離素子である。
【0008】
本発明の偏光分離素子において利用する旋光子としては、図3に例示するようにねじれネマチック配向とよばれる液晶分子の配向状態において、ねじれの角度を45度に設定して固定化された高分子フィルムを使用するのが好ましい。このような高分子フィルムは、液晶ディスプレイに用いられる低分子液晶と異なり流動性がないために、ガラスセルに封じ込める必要がなく、ガラスの厚みが必要無いので薄膜化が容易である。また、このような高分子フィルムで黄色に着色していないものを入手するのは困難ではない。
【0009】
つまり、本発明の偏光分離素子で利用する旋光子は、45度のねじれネマチック液晶配向を固定化した高分子フィルムであって、複屈折板により2つに分離された一方の偏光の振動方向に対して、高分子フィルムの入射面の液晶配向が水平もしくは垂直であり、2枚の複屈折板の光軸が互いに直交していることが好ましい。
【0010】
ねじれネマチック配向と2枚の偏光分離機能を有する複屈折板の光軸との好ましい位置関係を図4に示す。光がz軸と平行に進み、複屈折板(a)の遅相軸がXZ平面に平行であり、複屈折板(b)の遅相軸がYZ平面に平行である場合、旋光子の入射面側の液晶分子配向方向は、x軸と平行もしくはy軸と平行になるように設定すれば良い。旋光子内部における液晶分子のねじれ方向は、入射面からみて、時計回りでも、反時計回りでもよく、入射側面での液晶分子配向方向と出射面側での液晶配向方向となす角度が45度になれば良い。角度としては、45度が最も好ましいが、40〜50度の範囲であれば、本発明の目的とする効果は概ね達成することができる。図4では、複屈折板(a)の遅相軸の方向はx軸と平行、複屈折板(b)の遅相軸の方向はy軸と平行としたが、2枚の複屈折板の位置を入れ替えて、複屈折板(a)の遅相軸がYZ平面に平行で、複屈折板(b)の遅相軸がXZ平面に平行と設定しても、上記の旋光子の2枚の偏光分離機能を有する複屈折板の光軸との好ましい位置関係は変わらず、そのまま利用することができる。
【0011】
出射強度の波長依存性を低減する本発明の目的から、本発明で用いる旋光子は可視光領域全体にわたって、振動方向を45度回転させる能力が求められる。図5には、図6に示す構成の旋光子に対して、x軸に平行方向に振動する直線偏光がz方向に進むように入射した時、xy平面においてx軸から45度傾いた状態の直線偏光の強度が2Δnd/λに対してどのように変化するかを計算したものである(入射強度を100%として示した)。Δnは高分子フィルムの複屈折率を表し、dは高分子フィルムの厚みを表し、λは入射光線の波長を表す。2Δnd/λとして、1.9μm、4.0μm、もしくは6μmに設定すると、良い結果が得られることがわかる。2Δnd/λが6μm以上となると、強度の変化はほとんどなくなる。波長として500nmを選ぶと、Δndとして0.475μm、1.00μm、もしくは1.50μmに設定すれば良い。また、波長として600nmを選ぶと、Δndとして0.570μm、1.20μm、もしくは1.80μmに設定すれば良い。人間の視感度を考慮すると中心波長として550nmを考えれば良いので、550nmにおいて、Δndとして0.475〜0.57、1.00〜1.20、1.50〜1.80の範囲に設定すると良い。図4に示すように複屈折板(a)、旋光子、複屈折板(b)を配置した時に、複屈折板(b)から出射する常光o'と異常光e'の強度の波長依存性を計算した結果を図7〜9に示す。図7は波長589nmにおけるΔndを0.56μm、図8は波長589nmにおけるΔndを1.18μm、図9は波長589nmにおけるΔndを1.77μmに設定し、複屈折板(b)に入射した光線の強度を100%として示した。図2に示した水晶製1/4波長板を用いた場合と比較して、明らかに本発明の旋光子を用いたものの方が、波長による常光と異常光の強度の差が小さくなっていることがわかる。また、図7〜9の比較からΔndが大きい方が、波長による常光と異常光の強度の差が小さくなっていることがわかる。
【0012】
本発明の偏光分離素子を用いれば、380〜780nmにおける偏光分離素子により出力される4つの光の強度が、4つの光の平均値に対して±35%以内、好ましくは±16%以内、さらに好ましくは±11%以内を達成することができる。
【0013】
以上のように、出射光強度の波長依存性を小さくする観点からは、Δndは大きい方が好ましいが、Δnが同じ高分子フィルムを用いる場合には、フィルムの厚みdを大きくする必要があるため、厚みも考慮する必要がある。Δnが0.15以上と大きい液晶材料を使用できる場合には、2Δnd/λとして4.0μmもしくは6μmとなるよう設定するのが好ましい。Δnが0.15未満の液晶材料を用いる場合には、2Δnd/λとして1.9μmもしくは4.0μmとなるよう設定するのが好ましい。また、出射光の常光と異常光の強度の波長依存性を小さくする観点からは液晶材料の複屈折率の波長分散も重要である。波長380nmにおける複屈折率Δn(380)を波長589nmにおける複屈折率Δn(589)で除した値、すなわちΔn(380)/Δn(589)は、1.3以下であることが好ましく、1.25以下であることがさらに好ましく、1.15以下であることが特に好ましい。
【0014】
このように、本発明の偏光分離素子はローパスフィルターとして好適に使用することができる。
【0015】
光学素子として利用する観点から、本発明で使用する旋光子の光散乱性は小さい方が好ましい。光散乱性の指標となるヘイズ値で、1.0%以下であることが好ましく、0.7%以下であることがさらに好ましく、0.5%以下であることが特に好ましい。
【0016】
旋光子の厚さとしては、2〜30μmにあることが好ましく、4〜20μmにあることがさらに好ましく、6〜10μmにあることが特に好ましい。2μmより薄いと旋光子の製造が困難になり、30μmより厚いとヘイズが大きくなってしまう傾向がある。
【0017】
45度のねじれネマチック液晶配向を固定化した高分子フィルムは、例えば、高分子液晶材料を用いて作製することができる。まず、高分子液晶材料がネマチック液晶もしくはキラルネマチック材料を呈する温度まで加熱し、液晶状態にて45度のねじれネマチック配向を達成させる。この状態から、急冷することによってガラス化させ、45度のねじれネマチック配向が固定化した高分子フィルムを得ることができる。
【0018】
45度のねじれネマチック液晶配向を固定化した高分子フィルムは、反応性もしくは重合性液晶材料を用いても作製することができる。まず、重合性液晶を45度のねじれネマチック液晶配向させる。その状態で紫外線もしくは電子線等の活性エネルギー線を照射することにより重合性液晶を重合・硬化させ、45度のねじれネマチック配向が固定化した高分子フィルムを得ることができる。
【0019】
いずれにしても、本発明の偏光分離素子において、得られた高分子フィルムは、複屈折板材料と接着剤で貼合しても良いし、例えば、複屈折板材料に配向処理を施して複屈折板材料の上に直接作製しても良い。また、これ以外の光学素子、例えば、赤外線カットフィルターや、さらなる複屈折板を追加して用いても良い。また赤外線カットフィルターに代えて、複屈折板表面に赤外線カット機能を有する薄膜を形成しても良いし、複屈折板表面に反射防止膜を形成するのが好ましい。
【0020】
重合性液晶材料は、液晶の技術分野で反応性の液晶材料もしくは重合性の液晶材料と認識される材料であれば用いることができる。このような材料としては、一般式(I)
【0021】
【化1】
【0022】
[式中、X1は水素原子又はメチル基を表し、sは0〜18の整数を表し、sが0のときtは0を表し、sが1以上のときtは0又は1を表し、6員環A、環B及び環Cはそれぞれ独立的に、1,4-フェニレン基、隣接しないCH基が窒素で置換された1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基、1つ又は隣接しない2つのCH2基が酸素若しくは硫黄原子で置換された1,4-シクロヘキシレン基、又は1,4-シクロヘキセニル基を表し、これらの6員環A、環B及び環Cは、さらに炭素原子数1〜7のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、シアノ基又はハロゲン原子で一つ以上置換されていても良く、Y1、Y2はそれぞれ独立的に単結合、-CH2CH2-、-CH2O-、-OCH2-、-COO-、-OCO-、-C≡C-、-CH=CH-、-CF=CF-、-(CH2)4-、-CH2CH2CH2O-、-OCH2CH2CH2-、-CH=CH-CH2CH2-、-CH2CH2-CH=CH-、-CH=CH-COO-、-OCO-CH=CH-、-CH2CH2-COO-、-CH2CH2-OCO-、-COO-CH2CH2-、-OCO-CH2CH2-を表し、Y3は単結合、-O-、-OCO-、-COO-、-CH=CH-COO-又は式(II)
【0023】
【化2】
【0024】
(式中、X2は水素原子又はメチル基を表し、vは0〜18の整数を表し、vが0のときwは0を表し、vが1以上のときwは0又は1を表す。)を表し、Z1は水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭素原子数1〜20の炭化水素基を表す。但しY3が式(II)を表すときは、Z1は水素原子を表す。]で表される化合物を含有する重合性液晶材料を挙げることができる。具体的な化合物の例としては、以下のような化合物を挙げることができる。
【0025】
【化3】
【0026】
(式中、s、vはそれぞれ独立的に1〜18の整数を表し、Y3、Z1は一般式(I)におけるものと同じ意味を表す)。
【0027】
重合性液晶材料は、40℃以下の温度でもネマチック相を呈するものが好ましく、25℃においてネマチック相を呈するものがさらに好ましい。また、重合性液晶材料の粘度は、40℃以下において500mPa・s以下が好ましく、さらに好ましくは25℃において500mPa・s以下であり、25℃において300mPa・s以下であり、特に好ましくは25℃において200mPa・s以下である。このような重合性液晶材料を用いると、配向欠陥が無く、ヘイズが小さい高分子フィルムを生産性良く製造することができる。
【0028】
偏光分離機能を有する複屈折板も、本発明における旋光子と同様な方法で高分子液晶材料や重合性液晶材料で作製すると、これらの材料は水晶と比較して複屈折率Δnが大きいため、素子全体の厚みを著しく薄くすることでき好ましい。
【0029】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳述するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。ヘイズはNDH2000(日本電色工業株式会社製)を用いてJIS規格K7361に基づいて測定した。また、「%」は、「質量%」を表す。
【0030】
(実施例1)
厚み1.1mmで2cm角の正方形ガラス基板の片面に、厚み約100nmのポリビニルアルコール薄膜を形成しラビング処理して、ポリビニルアルコール配向膜を形成したガラス基板を作製した。このようにしてポリビニルアルコール配向膜を形成したガラス基板2枚を、配向膜が内側になるようにして、お互いに平行を保つように対向させてセルを作製した。このとき、2枚の基板の間隙は19.6μmとなるよう、ラビング方向はお互いに45度の角度をなすように設定した。
【0031】
次に、以下の重合性液晶組成物(A)を調製した。
【0032】
【化4】
【0033】
この重合性液晶組成物(A)は、室温(25℃)でネマチック液晶相を呈した。ネマチック相−等方性液体相転移温度は52℃であった。また、589nmで測定したne(異常光の屈折率)は1.664で、no(常光の屈折率)は1.505、複屈折率(Δn)は0.159であった。粘度は178mPa・sであった。この重合性液晶組成物(A)99質量部に、光重合開始剤TPO(チバスペシャリティケミカルズ社製)0.1質量部からなる重合性液晶組成物(A')を調製した。さらにこの組成物を孔径1μmのフッ素樹脂製メンブランフィルターで濾過した。この濾過した重合性液晶組成物(A')を作製したセルに室温にて注入した。注入後、1時間室温で暗所に放置してから、セルを偏光顕微鏡で観察したところ、45度のねじれネマチック液晶配向状態が得られており、配向欠陥も無いことが確かめられた。このセルに、40mW/cm2の紫外線を12秒照射して重合性液晶組成物を硬化させることにより、45度のねじれネマチック液晶配向状態が固定化された高分子フィルムを得た。さらに得られた高分子フィルムから2枚のガラス基板を剥離した後、100℃で20時間エージングを行った。このようにして得られた高分子フィルムは、厚みが19.6μmで45度のねじれネマチック液晶配向をしており、波長589nmにおけるΔnは0.090であり、色つきが無いものであった。従って、Δndは1.76μmと計算される。また、ヘイズを測定したところ0.7%であった。偏光分離距離が3.5μmの水晶複屈折板2枚と、得られた高分子フィルムを、図4と同じ位置関係を保つようにして、光硬化接着剤「V300」(アーデル社製)を貼合して、本発明の偏光分離素子を得た。得られた偏光分離素子を偏光顕微鏡を用いて観察したところ、可視光全域にわたって、入射光線を4つに、ほぼ均等な強度で分割することを確かめることができた。
【0034】
(実施例2)
1. 重合性液晶材料を用いた偏光分離機能を有する複屈折板の作製
厚み1.1mmで2cm角の正方形ガラス基板の片面に、厚み約100nmのポリビニルアルコール薄膜を形成しラビング処理して、ポリビニルアルコール配向膜を形成したガラス基板(1)を作製した。次に、厚み1.1mmで2cm角の正方形ガラス基板の片面に、ポリイミド剤「AL-1051」(JSR社製)を用いて厚み約100nmのポリイミド薄膜を形成しラブング処理して、ポリイミド配向膜を形成したガラス基板(2)を作製した。このようにして得られた2種のガラス基板2枚を、配向膜が内側になるようにして、お互いに平行を保つように対向させてセルを作製した。このとき、2枚の基板の間隙は80μmとなるよう、ラビング方向はお互いに反平行(アンチパラレル)になるように設定した。これに実施例1で調製・濾過した重合性液晶組成物(A')を室温にて注入した。これを、図10に示すように半径6cmの円形磁極で、N極とS極が向かい合うように、又基板の法線と磁場のなす角度が45度になるように電磁石を配置して得られる5000Gの磁場に120秒間おいた後、この状態で40mW/cm2の紫外線を12秒照射して重合性液晶組成物を硬化させ、光軸(遅相軸)がフィルム厚み方向に45度傾いた偏光分離機能を有する高分子製複屈折板を得た。この高分子製複屈折板から、ガラス基板(1)のみを剥離して、ガラス基板上に坦持された高分子複屈折板を作製した。得られた高分子製複屈折板の偏光分離距離は5.5μmであった。
【0035】
2. 2枚の高分子製複屈折板の間隙への高分子製旋光子の作製
ガラス基板上に坦持された高分子複屈折板の、高分子膜面にエポキシ接着剤「アラルダイト」(チバガイギー社製)を厚み5μmで塗布し、80℃で20時間加熱して硬化させた。次に、硬化膜面を図11に示すように、高分子複屈折板の遅相軸方向と平行にラビングした高分子複屈折板(a)、遅相軸方向に対して45度の角度をなすようにラビングした高分子複屈折板(b)を用意した。この2種の高分子製複屈折板を、硬化膜面が内側になるよう、お互いに平行を保つように対向させてセルを作製した。このとき、2枚の基板の間隙は6.2μmとなるよう、ラビング方向は45度の角度をなすように設定した。これに実施例1で調製・濾過した重合性液晶組成物(A')を室温にて注入した。注入後、1時間室温で暗所に放置してから、セルを偏光顕微鏡で観察したところ、45度のねじれネマチック液晶配向状態が得られており、配向欠陥も無いことが確かめられた。このセルに、40mW/cm2の紫外線を12秒照射して重合性液晶組成物を硬化させることにより、2枚の高分子複屈折板の間隙に、45度のねじれネマチック液晶配向が固定化された高分子フィルムを作製した。さらに、外側にあるガラス基板2枚も注意深く剥離した。得られた偏光分離素子は、図4に示した位置関係を保っているものである。このようにして得られた本発明の偏光分離素子を偏光顕微鏡を用いて観察したところ、可視光全域にわたって、入射光線を4つにほぼ均等な強度で分割することを確かめることができた。得られた本発明の偏光分離素子の総厚みは、約180μmであった。
【0036】
【発明の効果】
本発明の旋光子を有する偏光分離素子は、薄膜化可能で、色づきがなく、かつ出射強度の波長依存性を低減可能である。従って、光学ローパスフィルター等への応用に適している。
【図面の簡単な説明】
【図1】 2枚の水晶複屈折板と1枚の1/4波長板を用いた偏光分離素子の配置例
【図2】 水晶製1/4波長板を使用した場合の水晶板(b)からの出射光強度(常光、異常光)の波長依存性
【図3】 45度のねじれネマチック液晶配向状態の模式図
【図4】 2枚の複屈折板と1枚の45度のねじれネマチック液晶配向を固定化した高分子フィルムをもちいた偏光分離素子の配置例
【図5】 45度のねじれネマチック液晶配向を固定化した高分子フィルムからの偏光の振動方向が45度回転した出射光強度と2Δnd/λの関係
【図6】 図5のグラフを計算するのに用いた配置
【図7】 45度のねじれネマチック液晶配向を固定化した高分子フィルムを用いた場合の複屈折板(b)からの出射光強度(常光、異常光)の波長依存性
(波長589nmにおけるΔndを0.56μmに設定)
【図8】 45度のねじれネマチック液晶配向を固定化した高分子フィルムを用いた場合の複屈折板(b)からの出射光強度(常光、異常光)の波長依存性
(波長589nmにおけるΔndを1.18μmに設定)
【図9】 45度のねじれネマチック液晶配向を固定化した高分子フィルムを用いた場合の複屈折板(b)からの出射光強度(常光、異常光)の波長依存性
(波長589nmにおけるΔndを1.77μmに設定)
【図10】 重合性液晶材料を用いて偏光分離機能を有する複屈折板を作製する際の磁場印加の配置図
【図11】 高分子複屈折板上に形成した硬化膜面のラビング方向
Claims (6)
- 2枚の偏光分離機能を有する複屈折板の間に、直線偏光の振動方向を45度回転する旋光子を設けた構造を有し、前記旋光子が45度のねじれネマチック液晶配向を固定化した高分子フィルムであって、前記複屈折板により2つに分離された一方の偏光の振動方向に対して、前記高分子フィルムの入射面の液晶配向が水平もしくは垂直であり、2枚の前記複屈折板の光軸が互いに直交し、波長550nmにおいて、高分子フィルムの複屈折率Δnと厚みd(μm)の積が0.475〜0.57、1.00〜1.20、1.50〜1.80(μm)である偏光分離素子を用いたローパスフィルター。
- 入射光を一枚の前記複屈折板で常光と異常光に分離し、前記旋光子で直線偏光の振動方向を45度回転させ、さらにもう一枚の前記複屈折板により、2つの常光と2つの異常光に分離する請求項1記載のローパスフィルター。
- 高分子フィルムのヘイズが1.0%以下である請求項1もしくは2記載のローパスフィルター。
- 高分子フィルムが、高分子液晶材料が液晶を呈する温度まで昇温させた状態で45度のねじれネマチック配向を達成し、その後、急冷することによって45度のねじれネマチック配向を固定化したものである請求項1〜3のいずれかに記載のローパスフィルター。
- 高分子フィルムが、重合性液晶材料を45度のねじれネマチック配向させ、その状態で紫外線もしくは電子線照射により配向を固定化して得られた高分子である請求項1〜4のいずれかに記載のローパスフィルター。
- 偏光分離素子機能を有する複屈折板が、高分子フィルムである請求項1〜5のいずれかに記載のローパスフィルター。
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