JP4304073B2 - 改変された抗TNFα抗体 - Google Patents

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Description

(発明の分野)
本発明は、特にヒトに投与され、そしてとりわけ治療に使用するポリペプチドに関する。このポリペプチドは修飾されたポリペプチドであり、この修飾により、ポリペプチドがヒトに投与された際に免疫反応を誘発する傾向が低減するという結果をもたらす。本発明は特に、インビボで使用した時に、非修飾の相当物に比べて免疫原性が低い、または実質的に非免疫原性である、抗TNFα抗体をもたらすヒト腫瘍壊死因子α(TNFα)に対する反応性を有する抗体の修飾に関する。
(発明の背景)
治療用タンパク質に対して望ましくない免疫反応が起こるために、治療用タンパク質の有効性が制限される例が多々ある。いくつかのマウスモノクローナル抗体はヒトの多数の疾病症状において治療剤としての見込みを示すが、ヒト抗マウス抗体(HAMA)反応が著しく誘導するため失敗したケースもある[Schroff, R. W. et al (1985)Cancer Res. 45:879-885;Shawler,D. L. et al (1985)J. Immunol. 135:1530-1535]。モノクローナル抗体については、HAMA反応を低減させようと多数の技術が開発されている[WOA8909622; EPA0239400; EPA0438310; WOA9106667; EPA0699755]。これらの組換えDNA手法は、一般に最終的な抗体コンストラクトにおいてマウス遺伝子情報を低減させる一方、最終コンストラクト中のヒト遺伝子情報を増加させるものである。それにもかかわらず、得られた「ヒト化」抗体は、依然として患者に免疫反応を誘発する場合があった[Issacs J.D. (1990) Sem.Immunol.2:449, 456;Rebello,P.R.et al (1999) Transplantation 68: 1417-1420]。
抗体は、治療剤として投与した際にそれに対して免疫反応が発動し得る唯一の種類のポリペプチド分子ではない。ヒトに由来する、しかも人体内に存在するのと同じアミノ酸配列を有するタンパク質でさえ、人体内で免疫反応を引き起こすことがある。顕著な例としては、とりわけ、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子[Wadhwa, M. et al (1999) Cancer Res. 5: 1353-1361]やインターフェロンアルファ2[Russo, D. et al (1996) Bri. J. Haem. 94: 300-305; Stein, R. et al (1988) New Engl. Med. 318:1409-1413] の治療上の使用が挙げられる。
免疫反応誘導のかぎは、MHCクラスII分子上での提示を介してT細胞活性を刺激し得るペプチド、いわゆる「T細胞エピトープ」がタンパク質内に存在することである。このようなT細胞エピトープは、MHCクラスII分子に結合する能力を備えた任意のアミノ酸残基配列として一般に定義される。暗黙にではあるが、「T細胞エピトープ」は、MHC分子に結合する際、T細胞レセプター(TCR)によって認識され、少なくとも原理的には、TCRと結びつきT細胞応答を促進することによって、これらT細胞の活性化を引き起こし得るエピトープを意味する。
MHCクラスII分子は、ヘルパーT細胞の選択および活性化に中心的な役割を果たす高度に多型的なタンパク質のグループである。ヒトの白血球抗原グループDR(HLA-DR)はこのグループタンパク質で優性なアイソタイプである。しかしながら、アイソタイプHLA-DQおよびHLA-DPも同様の機能を果たす。本発明は、DR、DPまたはDQのMHCクラスIIの状況の中で提示されるT細胞エピトープの検出に適用することができる。ヒト集団では、個体は、2〜4個のDR対立遺伝子、2個のDQおよび2個のDP対立遺伝子を有する。多数のDR分子の構造が解明されており、それらの構造は、ペプチドの疎水性残基(ポケット残基)と結合する多数の疎水性ポケットを有する開放端のペプチド結合溝を指している[Brown et al Nature (1993)364:33;Stern et al(1994) Nature 368:215]。クラスII分子の様々なアロタイプを識別する多型は、ペプチド結合溝内の様々な異なるペプチド結合表面に寄与し、集団レベルで外来タンパク質を認識し病原性有機体への免疫反応を引き起こす能力に関する最大の柔軟性を保証する。
治療のタンパク質に対する免疫反応は、MHCクラスIIペプチド提示経路経由で進行する。ここに外来タンパク質は、DR、DQまたはDPタイプのMHCクラスII分子と連携した提示のために飲み込まれ処理される。MHCクラスII分子は、とりわけマクロファージおよび樹状細胞などの専門的な抗原提示細胞(APC)によって発現される。T細胞表面上の同族のT細胞レセプターによるMHCクラスIIペプチド複合体の結合は、CD4分子などの他のある種のコレセプターの相互結合を伴って、T細胞内での活性化状態を引き起こすことができる。活性化は、サイトカインの放出をもたらし、B細胞などの他のリンパ細胞をさらに活性化して抗体を産生するか、完全な細胞性免疫反応としてTリンパ球を活性化する。
T細胞エピトープ識別はエピトープ除去に向けての最初のステップであるが、しかしながら、エピトープの同定およびエピトープの除去が1つのスキームに一体化されている明らかな事例はこの分野ではほとんどない。例えば、WO98/52976とWO00/34317は、ポリペプチド配列がヒトのMHCクラスII DRアロタイプのサブセットに結合する可能性を識別するための計算によるスレッディング(computational threading)手法を教示する。これらの教示では、予想されたT細胞エピトープは、目的とするタンパク質内で慎重なアミノ酸置換を用いることによって除去される。しかしながら、このスキームおよびエピトープ同定のための他のコンピューター使用に基づく方法[Godkin,A.J.他(1998)、J. Immunol.、161:850〜858; Sturniolo, T. 他 (1999)、Nat. Biotechnol.、17:555〜561] の場合、MHCクラスII分子と結合することができると予測されたペプチドは、必ずしもすべての状況で、特にインビボでは、プロセシング経路または他の現象のためにT細胞エピトープとして機能しないことがある。また、T細胞エピトープの予測に対するコンピューター使用法では、DPまたはDQ制限を有するエピトープを予測することがこれまで一般にはできていない。
コンピューター利用技術のほかに、MHCクラスII分子と結合する合成ペプチドの能力を測定するための様々なインビトロ方法がある。例示的な1つの方法では、明確にされたMHCアロタイプのB細胞株がMHCクラスII結合表面の供給源として使用され、この方法はMHCクラスIIリガンドの同定に適用することができる[Marshall K.W.他(1994)、J.Immunol.、152:4946〜4956;O’Sullivan他(1990)、J.Immunol.、145:1799〜1808;Robadey C.他(1997)、J.Immunol.、159:3238〜3246]。しかしながら、そのような技術は、非常に様々なMHCアロタイプに対する多数の潜在的なエピトープをスクリーニングするためには適合化されず、また、T細胞エピトープとして機能する結合ペプチドの能力を確認することができない。
近年、組換えMHC分子の可溶性複合体を合成ペプチドとの組合せで利用する様々な技術が使用され始めている[Kern,F.他(1998)、Nature Medicine、4:975〜978;Kwok,W.W. 他(2001)、TRENDS in Immunol.、22:583〜588]。これらの試薬および手法は、特定のMHC−ペプチド複合体と結合することができる、ヒト対象または実験動物対象からの末梢血サンプルに由来するT細胞クローンの存在を同定するために使用されており、非常に様々なMHCアロタイプに対する多数の潜在的なエピトープをスクリーニングするためには適合化されていない。
T細胞の活性化の生物学的アッセイは、免疫応答を誘発する試験ペプチド/タンパク質配列の能力を解釈することに対する実用的な選択肢をもたらし得る。この種の方法の例には、細菌タンパク質のスタフィロキナーゼに対するT細胞増殖アッセイ、その後、T細胞株を刺激するために合成ペプチドを使用したエピトープマッピングを使用するPetra他の研究が含まれる[Petra,A.M.他(2002)、J. Immunol.、168:155〜161]。同様に、破傷風毒素タンパク質の合成ペプチドを使用するT細胞増殖アッセイにより、毒素の免疫優勢エピトープ領域が明らかにされている[Reece J.C.他(1993)、J. Immunol.、151:6175〜6184]。WO99/53038には、ヒト免疫細胞の単離されたサブセットを使用して、試験タンパク質におけるT細胞エピトープを決定することができる方法が開示され、この方法は、目的とする合成ペプチドの存在下でのインビトロおよび細胞の培養でそれらの分化、そして培養されたT細胞における何らかの誘導された増殖の測定を容易にする。同じ技術がStickler他[Stickler,M.M.他(2000)、J. Immunotherapy、23:654〜660]によってもまた記載されるが、両方の場合、この方法は、細菌のズブチリシンにおけるT細胞エピトープの検出に適用されている。そのような技術は、所望する免疫細胞サブタイプ(樹状細胞、CD4+および/またはCD8+のT細胞)を得るために、細胞単離技術、および多数のサイトカイン補充物との細胞培養の慎重な適用が要求され、したがって、多数のドナーサンプルを使用する迅速なスループットスクリーニングのためには役に立たない。
上記のように、およびその結果として、基本的に治療上価値があるが本来は免疫原性であるペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質からT細胞エピトープを識別しさらに除去または少なくとも低減することが望ましいであろう。これらの治療的に有益な分子の1つが、腫瘍壊死因子α(TNFα)に対する結合特異性を有するモノクローナル抗体である。本発明の好ましいモノクローナル抗体は、米国特許第6,284,471号に記載される抗体cA2の改変された形態である。抗体cA2は、本明細書中では、本発明の「元の」抗体として示される。
1つ以上のT細胞エピトープが除かれているヒトTNFαに対する結合特異性を有する元のマウス由来モノクローナル抗体の改変された形態を提供することは本発明の目的の1つである。TNFαは、クローン病、慢性関節リウマチおよびエンドトキシン性ショックまたは心臓血管ショックを含む多数の病理学的状態の媒介に関与している。本発明の改変された抗体は、TNFαが病態生理学の重要な成分であるこれらの状態および他の疾患において治療的有用性を有することが期待され得る。
cA2抗体は、TNFαに対する結合特異性を有する唯一の抗体ではない。類似する特異性を有する様々なポリクローナルおよびモノクローナル調製物がこの分野では知られている。例には、EP0212489、EP0218868、EP0288088およびWO91/02078に開示される抗TNFα調製物が含まれる。組換えヒトTNFαに対して特異的な齧歯類(すなわち、ネズミ)モノクローナル抗体のさらなる例が文献に記載されている[例えば、Liang他(1986)、Biochem. Biophys. Res. Comm.、137:847〜854; Meager 他(1987)、Hybridoma、6:305〜311;Fendly 他(1987)、Hybridoma、6:359〜369;Bringman 他(1987)、Hybridoma、6:489〜507;Hirai他(1987)、J. Immunol. Meth.、96:57〜63;Moller 他(1990)、Cytokine、2:162〜169を参照]。これらの抗体のいくつかは、TNFαの作用をインビトロで中和することができ、TNFαに対する免疫アッセイを開発するために使用されているか、または組換えTNFαの精製の際に使用される。一般に、そして抗体cA2とは対照的に、これらの抗体は、ヒトにおけるインビボ診断使用または治療的使用のためには開発されてない。
しかしながら、様々な臨床研究が、ネズミ抗TNFα抗体をヒト対象において使用して行われている。ネズミ抗TNFα抗体を単回投与した14名の重篤な敗血症性ショック患者において、7名で、治療剤であるネズミ抗体の免疫原性のために、この処置に対するヒト抗ネズミ抗体応答が生じた[Exley,A.R.他(1990)、Lancet、335:1275〜1277]。そのような免疫原性は、ネズミ抗TNFα抗体の診断的または治療的投与を受けている患者で、処置を無効にし得る。
この点に関して、Adair他[EP0927758]は、ヒト定常領域配列を有する抗体、および改変されたヒト抗体のフレームワーク配列に相補性決定領域(CDR)が加えられている変化体を含む組換え抗体分子を記載する。そのような抗体およびヒト化抗体は、ヒトTNFαに対する特異性を保持すると主張されており、診断および治療において使用することができる。
抗体cA2の臨床使用が、cA2(これは、実際には、A2と称された最初のネズミモノクローナル抗体のキメラ形態である)を使用してTNFα媒介疾患を処置する方法を詳しく述べるLe他[US5,919,425]によって記載される。同様に、Feldman他[US6,270,766]は、関節炎およびクローン病の処置について、骨髄機能除去剤のメトトレキサートとの混合療法における同じ抗体の使用を記載する。
大規模な臨床試験が、現在、この抗体(これは「インフリキシマブ(infliximab)」という化合物名が与えられ、一部の地域ではREMICADEとして販売されている)を使用して行われている。この抗体は、慢性関節リウマチおよびクローン病の処置においてある程度の治療効力を示しており、米国および欧州ではクローン病の場合としてその使用について当局の承認を受けている。この抗体は組換え技術により製造され、そして上記のように、この抗体は「キメラ」であり、このことは、抗体の定常領域が、ヒト定常領域の遺伝子に由来する配列を含み、したがって、マウス由来のタンパク質配列の寄与が低下していることを意味する。これにもかかわらず、クローン病について処置された患者の13%までが、治療用抗体に対する免疫応答を示した[Mani, R.N.他 (1998)、Arthritis Rheum.、41:1552〜1563;Elliot M.J.他(1994)、Lancet、344:1105〜1110;Targan S.R.他(1997)、N. Engl.J. Med.、337: 1029〜1035;Present D.H.他(1999)、N. Engl. J. Med.、340: 1398〜1405]。
したがって、増強された性質を有し、そして特にタンパク質の生物学的性質の改善を有する抗TNFα抗体類似体が求められている。この点に関して、ヒト対象において免疫応答を誘導する潜在的能力が低下しているか、またはそのような潜在的能力がない抗TNFα抗体を提供することが非常に望ましい。そのようなタンパク質は、ヒト対象の体内で増大した循環時間を示すことが期待され、そして抗TNFα抗体の場合には数多くの適応について事実であるように、慢性的または再発性の疾患状況では特に有益である。本発明は、インビボで増強された性質を示すことが期待される、抗TNFα抗体の改変された形態を提供する。
潜在的なT細胞エピトープ数の減少によって免疫特性が改変されている改変された抗TNFα抗体を提供することは本発明の具体的な目的の1つである。
本発明では、MHCクラスII結合能によって潜在的なT細胞エピトープである、抗TNFα抗体の重鎖および軽鎖の可変領域配列において同定された配列が開示される。
本発明ではさらに、インビトロで培養されたヒト末梢血単核細胞(PBMC)の集団に合成ペプチドとして提示されて、前記PBMC細胞における増殖応答を誘導するとき、それらの能力によって潜在的なT細胞エピトープである、抗TNFα抗体の重鎖および軽鎖の可変領域配列において同定された配列が開示される。そのような情報は、それにより、抗体の前記可変領域に存在するT細胞エピトープのマップの構築を可能にし、そしてT細胞エピトープを分子から除去するために要求される重要な情報を提供する。
キメラ形態[US5,919,425]およびヒト化形態[EU0927758]を含む様々な抗TNFα抗体分子が提供されている場合、これらの教示はどれも、タンパク質の免疫原性的性質に対するT細胞エピトープの重要性を認識しておらず、また本発明のスキームに従った特異的かつ制御された方法で前記性質に直接的な影響を及ぼすためには考えられていない。
(発明の概要および説明)
本発明は、潜在的なT細胞エピトープの数の低減または除去によって免疫の特性は修正されている改変された抗体を提供する。
本発明の好ましいネズミ由来の改変されていない「元の」モノクローナル抗体は、本明細書中では、US6,284,471に記載される抗体cA2として示される。
本発明は、MHCクラスII結合能によって潜在的なT細胞エピトープである、重鎖および軽鎖の両方のcA2可変領域配列において同定された配列を開示する。
本発明はさらに、ヒトにおいて免疫原性である、抗体V領域配列の主要な領域を開示しており、それにより、これらの配列に対する改変を行って、これらの部位の免疫原的有効性を削除するか、または低下させるために要求される重要な情報を提供する。
1つの態様において、本発明は、モノクローナル抗体cA2によって認識される抗原に対する特異性を有する改変された抗体分子で、前記cA2抗体の可変領域内の1つまたは複数のアミノ酸が、この領域に由来するペプチドのMHCクラスII認識を低下させるために置換されている改変された抗体分子を提供する。
別の態様において、本発明は、MHCクラスIIリガンドとして作用しないように、またはT細胞を刺激することができないように前記V領域のペプチドフラグメントを削除するか、または減少させるために、1つまたは複数のアミノ酸置換をcA2抗体のV領域に含む、ヒトにおける免疫原性能力が低下している変異体モノクローナル抗体を提供する。
本発明のさらなる態様において、Vh1/Vk1、Vh1/Vk5、Vh1/Vk8、Vh5/Vk12、Vh8/Vk5から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖V領域および軽鎖V領域の組合せを含む、ヒトにおける免疫原性能力が低下している変異体モノクローナル抗体が提供される。
Vh5/Vk12のV領域ドメインの組合せを特徴とする抗体を提供することが最も好ましい。だが、上記に列挙されるようなV領域組成の他の組合せを考えることができる。
上記に列挙されたVh配列およびVk配列の配列は、下記に、そして本明細書中で使用される配列番号の指定もまた示される図8として、項目毎に要約されてすべてが詳しく記載される。
したがって、本発明は、配列番号1/配列番号5、配列番号1/配列番号7、配列番号1/配列番号8、配列番号3/配列番号6、および配列番号4/配列番号7、または上記に列挙された対のそれぞれにおける一方のアミノ酸配列もしくは両方のアミノ酸配列に対して少なくとも70%の類似性を有するアミノ酸の組合せから選択される重鎖可変領域アミノ酸配列および軽鎖可変領域アミノ酸配列を含む、ヒトにおける免疫原能が低下している改変された抗TNFα抗体を提供する。
配列番号1〜8として示される本発明による配列を下記に示す:
Figure 0004304073
まとめると、本発明は下記の事項に関する:
・一文字表記で下記のアミノ酸配列を含む、本明細書中でVh1と名付けられたモノクローナル抗体V領域重鎖:
Figure 0004304073
・一文字表記で下記のアミノ酸配列を含む、本明細書中でVh3と名付けられたモノクローナル抗体V領域重鎖:
Figure 0004304073
・一文字表記で下記のアミノ酸配列を含む、本明細書中でVh5と名付けられたモノクローナル抗体V領域重鎖:
Figure 0004304073
・一文字表記で下記のアミノ酸配列を含む、本明細書中でVh8と名付けられたモノクローナル抗体V領域重鎖:
Figure 0004304073
・一文字表記で下記のアミノ酸配列を含む、本明細書中でVk1と名付けられたモノクローナル抗体V領域軽鎖:
Figure 0004304073
・一文字表記で下記のアミノ酸配列を含む、本明細書中でVk12と名付けられたモノクローナル抗体V領域軽鎖:
Figure 0004304073
・一文字表記で下記のアミノ酸配列を含む、本明細書中でVk5と名付けられたモノクローナル抗体V領域軽鎖:
Figure 0004304073
・一文字表記で下記のアミノ配列酸を含む、本明細書中でVk8と名付けられたモノクローナル抗体V領域軽鎖:
Figure 0004304073
・重鎖V領域配列Vh1および軽鎖配列Vk1を含むモノクローナル抗体;
・重鎖V領域配列Vh1および軽鎖配列Vk5を含むモノクローナル抗体;
・重鎖V領域配列Vh1および軽鎖配列Vk8を含むモノクローナル抗体;
・重鎖V領域配列Vh5および軽鎖配列Vk12を含むモノクローナル抗体;
・重鎖V領域配列Vh8および軽鎖配列Vk5を含むモノクローナル抗体;。
・アミノ酸が、一文字表記を使用して識別され、かつ番号付けが、N末端残基が残基1であるアミノ酸の数字による位置を示す場合、M18L、K19R、V23A、I28T、I51T、I56T、S79N、A80S、V81L、T86N、D87S、R89K、L116Vの置換の群から選択される1つまたは複数の置換を含有するように改変された抗体cA2のアミノ酸配列を含むモノクローナル抗体V領域重鎖;
・アミノ酸が、一文字表記を使用して識別され、かつ番号付けが、N末端残基が残基1であるアミノ酸の数字による位置を示す場合、K3Q、E5V、M18L、K19R、V23A、I28T、S79N、A80S、V81L、T86N、D87S、R89K、G94Aの置換の群から選択される1つまたは複数の置換を含有するように改変された抗体cA2のアミノ酸配列を含むモノクローナル抗体V領域重鎖;
・アミノ酸が、一文字表記を使用して識別され、かつ番号付けが、N末端残基が残基1であるアミノ酸の数字による位置を示す場合、M18L、K19R、V23A、I28T、S79N、A80S、V81L、T86N、D87S、R89K、L116Vの置換の群から選択される1つまたは複数の置換を含有するように改変された抗体cA2のアミノ酸配列を含むモノクローナル抗体V領域重鎖;
・アミノ酸が、一文字表記を使用して識別され、かつ番号付けが、N末端残基が残基1であるアミノ酸の数字による位置を示す場合、K3Q、E5V、M18L、K19R、V23A、I28T、I51T、I56T、E64D、S79N、A80S、V81L、T86N、D87S、R89K、G94A、T115L、L116Vの置換の群から選択される1つまたは複数の置換を含有するように改変された抗体cA2のアミノ酸配列を含むモノクローナル抗体V領域重鎖;。
・アミノ酸が、一文字表記を使用して識別され、かつ番号付けが、N末端残基が残基1であるアミノ酸の数字による位置を示す場合、L3Q、A9D、I10T、L11S、V13A、V19A、Q38H、R39T、I58V、S74T、T77S、V78L、S80A、I83A、D85Tの置換の群から選択される1つまたは複数の置換を含有するように改変された抗体cA2のアミノ酸配列を含むモノクローナル抗体V領域軽鎖;
・アミノ酸が、一文字表記を使用して識別され、かつ番号付けが、N末端残基が残基1であるアミノ酸の数字による位置を示す場合、L3Q、A9D、I10T、L11S、V13A、I58V、S74T、T77S、V78L、S80A、I83A、D85T、L104Vの置換の群から選択される1つまたは複数の置換を含有するように改変された抗体cA2のアミノ酸配列を含むモノクローナル抗体V領域軽鎖;
・アミノ酸が、一文字表記を使用して識別され、かつ番号付けが、N末端残基が残基1であるアミノ酸の数字による位置を示す場合、L3Q、A9D、I10T、L11S、V13A、I58V、S74T、T77S、V78L、S80A、I83A、D85T、S100G、N103K、L104V、V106Iの置換の群から選択される1つまたは複数の置換を含有するように改変された抗体cA2のアミノ酸配列を含むモノクローナル抗体V領域軽鎖;
・アミノ酸が、一文字表記を使用して識別され、かつ番号付けが、N末端残基が残基1であるアミノ酸の数字による位置を示す場合、L3Q、A9D、I10T、L11S、V13A、Q38H、R39T、I58V、S74T、T77S、V78L、S80A、I83A、D85T、S100G、N103K、L104V、V106Iの置換の群から選択される1つまたは複数の置換を含有するように改変された抗体cA2のアミノ酸配列を含むモノクローナル抗体V領域軽鎖;。
・ヒトIgG1定常領域ドメインおよびヒトκ定常領域ドメインをさらに含む、前記による改変された抗体V領域;
・TNFαと結合することができる、前記による改変された抗体;
・それ以外の点では致死濃度のTNFαにおいてインビトロで増殖させたWEHI164細胞に対する保護作用をもたらすことができる、前記による改変された抗体;
・ヒト内皮細胞におけるICAM−1のTNFα刺激による産生をインビトロで阻害することができる、前記による改変された抗体;
・ヒト線維芽細胞におけるIL−6のTNFα刺激による産生をインビトロで阻害することができる、前記による改変された抗体;
・免疫原性領域が、T細胞アッセイを使用してマッピングされ、その後、T細胞アッセイで再び試験されたとき、改変されたタンパク質が、元の(改変されていない)分子よりも小さい刺激指数を誘発するように改変されている1つ以上のV領域ドメインを含む、前記による改変された抗体;。
・モノクローナル抗体cA2の生物学的活性を有し、かつ実質的に非免疫原性であるか、または改変されていないcA2よりも低い免疫原性を有する改変された抗体分子;
・インビボで使用されたとき、抗体cA2と同じ生物学的活性を有する改変された抗体分子;
・免疫原性の前記喪失が、元々の改変されてない分子に由来するT細胞エピトープの1つ以上を除去することによって達成される、前記により示される抗体分子;
・免疫原性の前記喪失が、前記分子に由来するペプチドと結合することができるMHCアロタイプの数の減少によって達成される、前記により示される抗体分子;
・1つのT細胞エピトープが除去されている、前記により示される抗体分子;
・前記元々存在するT細胞エピトープが、MHCクラスII上での提示によりT細胞を刺激または結合する能力を示すMHCクラスIIリガンドまたはペプチド配列である、前記により示される抗体分子;。
・前記ペプチド配列が、図1に示される群から選択される、前記により示される分子;
・元々存在するT細胞エピトープのいずれかにおける1〜9個のアミノ酸残基(好ましくは1個のアミノ酸残基)が変化している、前記により示される分子;
・アミノ酸残基の変化が、特定の位置(1つまたは複数)における、元々存在するアミノ酸残基(1つまたは複数)の、他のアミノ酸残基(1つまたは複数)による置換または付加または欠失である、前記により示される分子;
・必要な場合には、特定のアミノ酸(1つまたは複数)の置換または付加または欠失によることが通常的であるさらにさらなる変化が、前記分子の生物学的活性を回復させるために行われる、前記により示される分子;
・変化が、下記の配列(A)〜配列(H)の隣接残基の列のいずれかまたはすべてに由来する1つ以上の残基において行われ、この場合、前記配列は分子のcA2抗体V領域配列ドメインに由来し、一文字表記を使用した場合には、
Figure 0004304073
である、前記により示される分子;
・上記の配列(A)〜(H)のいずれかに由来する少なくとも9個の連続した残基を含むペプチド分子;
・(A)〜(H)に由来するペプチド配列のいずれかとのアミノ酸同一性が90%を越える上記のペプチド分子;
・上記の(A)〜(H)に由来するペプチド配列のいずれかとのアミノ酸同一性が80%を越える上記のペプチド分子;
・上記の配列(A)〜(H)の1つ以上と同一である配列エレメントまたは実質的に相同的である配列エレメントを含有するペプチド分子;
・MHCクラスIIと結合することができる上記のようなペプチド配列;。
・MHCクラスIIに結合する活性を有する上記のペプチドまたは改変されたペプチドのいずれかを含む医薬品組成物;
・上記および下記に規定されるような、前記に示される改変された分子のいずれかをコードするDNA配列またはDNA分子;
・cA2の生物学的活性を有する改変された分子を含む医薬品組成物;
・場合によっては医薬品として許容される担体、希釈剤または賦形剤と一緒になっている、上記および/または請求項に規定されるような医薬品組成物;
・上記または下記に規定されるような、抗体cA2の生物活性を有する修飾された分子の製造方法であって、以下のステップを含む:(i)ポリペプチドまたはその一部のアミノ酸配列を決定すること;(ii)インビトロ(in vitro)またはインシリコ(in silico)技術を用いるか生物学的アッセイを用いて、ペプチドのMHC分子への結合を測定することを含む任意の方法により、タンパク質のアミノ酸配列内の1つまたは複数の潜在的なT細胞エピトープを識別すること;(iii)インビトロまたはインシリコ技術を用いるか生物学的アッセイを用いて測定されたペプチドのMHC分子への結合により示されるT細胞エピトープの活性を実質的に低減するか除去するように、識別された潜在的なT細胞エピトープ内において1つまたは複数のアミノ酸が修飾(変更)された新規な配列変異体を設計すること;(iv)組換えDNA技術によってそのような配列変異体を構成し、所望の特性を備えた1つまたは複数の変異体を識別するために前記変異体を試験すること;および(v)場合によってはステップ(ii)〜(iv)を繰り返すこと;。
・ステップ(iii)が本来存在するT細胞エピトープのうちのいずれかにおいて1〜9個のアミノ酸残基の置換、付加または欠失により行われる、これに応じた特定の方法;
・変更が、同族体タンパク質配列に関して、および/またはインシリコモデリング技術において行われる、これに応じた特定の方法;
・上記に示されるような13merのT細胞エピトープペプチドの少なくとも9個の連続したアミノ酸残基からなるペプチド配列、およびインビボで使用されたとき、実質的に免疫原性を有しないか、または改変されていない分子よりも低い免疫原性を有し、かつ抗TNFα抗体の生物学的活性を有する抗TNFα抗体を製造するためのその使用。
「実質的に非免疫原性(である)」または「低下した免疫原性能力」に対する参照により、元の抗体と比較して、すなわち、改変されていないネズミモノクローナル抗体またはキメラなモノクローナル抗体と比較して、低下している免疫原性が含まれる。用語「免疫原性」には、宿主動物(特に、この場合、「宿主動物」はヒトである)における液性応答およびT細胞媒介応答を惹起させるか、またはそれらを誘導するか、またはそうでなければ、それらを促進させる能力が含まれる。
本発明の改変された抗体の重要かつ著しい特徴は、改変された抗体が、改変されていない抗体、すなわち、「元の」抗体の機能的活性を保持しているということである。したがって、元の改変されていない抗体の治療効力に関連する有益な技術的特徴のすべてを示す改変された抗体を製造することが特に所望される。このことは、本発明の考えられている有用性に関連し、すなわち、TNFαによって媒介されるヒトにおける数多くの重要な疾患(特に慢性関節リウマチおよびクローン病が含まれる)および数多くの他の臨床的適応において治療効力を有する組成物を提供することに関連する。そのような治療薬は本発明の好ましい実施形態である。
したがって、本発明の改変された抗体は、モノクローナル抗体cA2によって示される親和性に類似する親和性をその標的抗原に対して示す。本発明の抗体は、様々なインビトロアッセイで、TNFαではなく、TNFαを認識して、TNFαの活性を中和することができる。そのようなアッセイには、細胞毒性、有糸分裂誘発、サイトカイン誘導、および接着分子の誘導が含まれる。TNFαの生物学的活性を中和することに加えて、元の分子の治療効力は、抗体依存性細胞性細胞傷害(ADCC)を誘導する抗体の能力によって媒介されることもまた考えられ、そして細胞表面結合形態のTNFαを発現している細胞を殺傷することにおいて効果的である。ADCCの現象は、完全な抗体分子の定常領域ドメインによって媒介され、そのため、本発明では、ADCCの誘導と適合し得る定常領域ドメインを含む完全な抗体分子の製造が考えられる。
TNFαの中和活性を明らかにするインビトロアッセイに関して、数多くのそのようなアッセイが、実験例として本明細書中に記載されており、それらにより、本発明の好ましい抗体がインビトロ能力を有するという証拠が提供される。
「抗体」により、抗原と結合することができ、または抗原と相互作用することができ、またはそうでなければ、抗原と会合することができる免疫グロブリンファミリーのタンパク質が意味される。用語「抗原」は、抗体と相互作用することができる物質を示すために本明細書中では使用され、本発明の関連ではTNFαであることが意味される。本発明のTNFαは腫瘍壊死因子α(TNFα)であり、最も好ましくは、抗体cA2に対する抗原を提示するヒトTNFαまたは任意のTNFαである。そのようなTNFαは可溶性TNFαまたは膜結合型TNFαであり得る。
用語「免疫グロブリン」は、免疫グロブリン遺伝子によって実質的にはコードされる1つ以上のポリペプチドからなるタンパク質を示すために本明細書中では使用される。認識されている免疫グロブリン遺伝子には、κ、λ、α、γ(IgG 1、IgG 2、IgG 3、IgG 4)、σ、εおよびμの各定常領域遺伝子、ならびに現実には、多数の免疫グロブリン可変領域遺伝子が含まれる。免疫グロブリンの1つの自然の形態は、それぞれの対が1つの軽鎖および1つの重鎖を有する2つの同一対を含む四量体である。それぞれの対において、重鎖可変領域および軽鎖可変領域は一緒になって、抗原と相互作用することができる結合表面を提供する。用語Vhは、重鎖可変領域を示すために本明細書中では使用され、用語Vkは、軽鎖可変領域を示すために本明細書中では使用されるが、この場合、多数のモノクローナル抗体と共通して、軽鎖は「カッパ」(κ)タイプの鎖である。
本明細書中で使用される場合、Vhは、長さがおよそ110〜125個のアミノ酸残基であるポリペプチドを意味し、その配列は、Vkとの組合せでヒトTNFαと結合することができる本明細書中の示されたVh鎖のいずれかに対応する。同様に、Vkは、長さがおよそ95〜130個のアミノ酸残基であるポリペプチドを意味し、その配列は、Vhとの組合せでヒトTNFαと結合することができる本明細書中の示されたVk鎖のいずれかに対応する。全長の免疫グロブリン重鎖は、分子量が約50 kDaであり、N末端におけるVh遺伝子およびC末端における定常領域遺伝子の1つ(例えば、γ)によってコードされる。同様に、全長の軽鎖は、分子量が約25 kDaであり、N末端におけるV遺伝子およびC末端におけるκまたはλの定常領域遺伝子によってコードされる。
完全な抗体(四量体)に加えて、免疫グロブリンは、組換えDNA技術またはタンパク質生化学の適用によって得られる多数の他の形態で存在し得る。これらの形態には、例えば、Fv分子、Fab分子、Fab’分子、および(Fab)2分子が含まれ、これらはすべてが、本発明のVh配列またはVk配列のいずれかを含むことができる。さらなる例には、「二重特異性」抗体、すなわち、異なる抗原特異性を有する第二のVk/Vh組合せとの組合せで本発明のVh/Vk組合せを含む抗体を含めることができる。
用語「T細胞エピトープ」は、本発明を理解することにより、MHCクラスIIと結合することができ、かつ/またはT細胞を刺激することができ、かつ/またはMHCクラスIIとの複合体で(必ずしも測定可能なほどT細胞を活性化することなく)T細胞と結合することもできるアミノ酸配列を意味する。
本明細書および添付する特許請求の範囲において「ペプチド」という用語は、2個以上のアミノ酸を含む化合物である。アミノ酸はペプチド結合(以下に定義される)によって互いに連結される。ペプチドの生物学的生産に関わる20個の異なる天然アミノ酸が存在し、これらが任意の数、任意の順序で連結して、ペプチド鎖または環を形成する。ペプチドの生物学的生産で使用される天然アミノ酸はすべてL−配置である。合成ペプチドは、L−アミノ酸、D−アミノ酸またはこれら2種の異なる配置のアミノ酸の様々な組合せを使用して従来の合成方法を用いて調製できる。ペプチドによっては数単位のアミノ酸しか含まないものもある。短いペプチド、例えばアミノ酸単位が10個未満のものは、時に「オリゴペプチド」と呼ばれる。他のペプチドは多数のアミノ酸残基、例えば100個以上を含み「ポリペプチド」と呼ばれる。従来、「ポリペプチド」は3個以上のアミノ酸を含む任意のペプチド鎖と考えられ、「オリゴペプチド」は通常、特に「短い」タイプのポリペプチドと見なされる。したがって、本願では「ポリペプチド」へのどのような言及もオリゴペプチドを含むと理解される。さらに、「ペプチド」へのどのような言及もポリペプチド、オリゴペプチドおよびタンパク質を含む。アミノ酸の個々の異なる配置は異なるポリペプチドまたはタンパク質を形成する。形成することができるポリペプチドの数、したがって異なるタンパク質の数は、実際上無制限である。
「アルファ炭素(Cα)」はペプチド鎖中の炭素水素(CH)部分の炭素原子である。「側鎖」はCαへの吊り下がり(ペンダント)基であり、ペプチドの寸法と比較して著しく変動幅の広い物理的な寸法を有する、単純もしくは複雑な基または部分を含むことができる。
修飾された抗TNFα抗体をもたらす本発明の一般的な方法は、次のステップを含む:
(a)ポリペプチドまたはその一部のアミノ酸配列を決定すること;
(b)インビトロまたはインシリコ技術を用いるか生物学的アッセイを用いてペプチドのMHC分子への結合を測定することを含む任意の方法によりタンパク質のアミノ酸配列内の1つまたは複数の潜在的なT細胞エピトープを識別すること;
(c)インビトロまたはインシリコ技術を用いるか生物学的アッセイを用いてペプチドのMHC分子への結合を測定したT細胞エピトープ活性を実質的に低減するか除去するように、識別された潜在的なT細胞エピトープ内の1つまたは複数のアミノ酸を用いて新規な配列変異体を設計する。このような配列変異体は、そのような新しい潜在的なT細胞エピトープが、設計毎に、T細胞エピトープの活性を実質的に低減するか除去するように修飾されないのであれば、配列変化によって新しい潜在的なT細胞エピトープの生成を回避する方法で作成される。そして、(d)組換えDNA技術によってそのような配列変異体を構築し、所望の特性を備えた1つまたは複数の変異体を識別するために前記変異体を試験する。
ステップ(b)による潜在的なT細胞エピトープの識別は従来法によって実行することができる。適当な方法はWO 98/59244;WO 98/52976;WO 00/34317に開示されている。
計算によってT細胞エピトープを識別する別の非常に効果的な方法は、この発明によって好ましい実施形態である実施例1に記述される。分析が、抗TNFα抗体の重鎖可変領域配列および軽鎖可変領域配列の両方について行われている。
T細胞エピトープの検出に好適なさらなる技術的取り組みは、生物学的なT細胞アッセイによるものである。そのような分析が実施例2に記載されており、これも、同様に、本発明による好ましい実施形態である。したがって、本明細書中に包含される生物学的アッセイの好ましい方法は、抗TNFα抗体の重鎖可変領域配列および軽鎖可変領域配列に由来する重複したペプチドを試験すること、あるいは、実施例1によって具体的に示される方法に従って計算することによって得られるペプチドのすべてまたは一部などのV領域由来ペプチドのサブセットを試験することを含む。合成ペプチドが、インビトロで培養されたヒトT細胞における増殖応答を誘発するその能力について試験される。増殖応答は任意の好都合な手段によって測定することができ、しかし、本発明の実施形態で利用されるような広く知られている方法では、3H−チミジン取り込みが使用される。この方法は、健康なドナーから採取されたナイーブヒトT細胞を使用して行うことができ、そしてまた、完全なタンパク質分子ならびに合成ペプチドのインビトロでの免疫原性能力を試験するために使用することができる。そのようなスキームもまた、本発明の好ましい分子の低下した免疫原能を明らかにするために本研究(実施例11)で使用されている。本発明者らは、ナイーブT細胞アッセイの操作において、2.0以上である刺激指数が、誘導された増殖の有用な基準であることを明らかにしている。刺激指数は、従来的には、試験ペプチドに対して測定された増殖スコア(例えば、3H−チミジン取り込みを使用した場合のカウント数/分)を、試験(ポリ)ペプチドと接触させられない細胞で測定された増殖スコアにより除することによって得られる。
実際、数多くの変異体抗TNFα抗体を製造して、所望する免疫特性および機能的特性について試験することができる。考えられた変化により、新しい免疫原性エピトープが導入されないことは、タンパク質配列に対する様々な変更を行ったときには特に重要である。この事象は、実際には、考えられた配列を、任意の好適な手段によって、エピトープの存在について、またはMHCクラスIIリガンドの存在について再び試験することによって避けられる。1つの具体的な手段は、本発明のさらなる実施形態であるが、初回免疫量の試験タンパク質(抗体)の存在下で培養されたPBMC調製物、および同じ試験タンパク質または同時にタンパク質の改変された形態のいずれかでの再度の刺激を伴うインビトロでの免疫学的リコールアッセイの使用である。そのようなスキームは、完全な臨床試験が行われないとき、改変されたタンパク質の低下した免疫学的能力の都合のよい実用的な立証をもたらす。ほとんどの目的のために、変異体タンパク質は組換えDNA技術によって製造されるが、化学合成を含む他の手法も考えられ得る。
特に好ましい実施形態において、本発明の改変された抗体は、本明細書中に示されるVhおよびVk遺伝子の種々の組合せを発現させることによって作製される。本発明による最も好ましい組合せはVh5/Vk12の組合せを含む。他の様々な組合せが製造され、TNFαと結合する際の機能的活性について試験されており、これらの組合せは、Vh1/Vk1、Vh1/Vk5、Vh1/Vk8およびVh8/Vk5を含む。重鎖および軽鎖のそのような組合せはすべてが本発明によって包含される。
したがって、本発明は、配列番号1/配列番号5、配列番号1/配列番号7、配列番号1/配列番号8、配列番号3/配列番号6、および配列番号4/配列番号7、または上記に列挙された対のそれぞれにおける一方のアミノ酸配列または両方のアミノ酸配列に対して少なくとも70%の類似性を有するアミノ酸の組合せから選択される重鎖および軽鎖可変領域アミノ酸配列を含む、ヒトにおいて低下した免疫原性を有する改変された抗TNFα抗体を提供する。
本発明は、少なくとも1つのアミノ酸残基の置換が分子のV領域内の位置で行われて、1つ以上の潜在的なT細胞エピトープの活性の実質的な低下、またはタンパク質からの1つ以上の潜在的なT細胞エピトープの削除を生じさせている抗TNFαモノクローナル抗体に関する。アミノ酸の変更(例えば、置換)が元の分子の非常に免疫原性的な領域内で行われる改変された抗体分子を提供することが最も好ましい。本発明の主要な好ましい実施形態は、結合性を除去するように、またはそうでなければ、ペプチドが結合し得るMHCアロタイプの数を減少させるように、それに対するMHCクラスIIリガンドのいずれかが変化させられる改変された抗体分子を含む。本発明者らは、ヒトにおけるcA2抗体分子の免疫原性領域をいくつか発見し、それらを本明細書中に開示している。特定の状況のもとでは、本明細書中に開示されるそのような領域に対するさらなる配列領域が、例えば、今回の場合の配列と類似する配列を有するタンパク質またはペプチドを発現する病原体が感染した場合には免疫原性エピトープになり得ることが理解される。いずれの場合でも、そのような配列エレメントがMHCクラスIIリガンドとして作用することが重要であり、したがって、原理的には、図1に開示される配列はどれも、本発明の範囲のもとでは免疫原性エピトープであると見なすことができる。
T細胞エピトープを削除する場合、アミノ酸置換が、T細胞エピトープの活性の実質的な低下または削除を達成するために予測されるペプチド配列内の適する位置で行われる。実際、適する位置は、好ましくは、MHCクラスII結合溝内に提供されるポケットの1つにおいて結合するアミノ酸残基に一致する。
ペプチドのいわゆるP1またはP1アンカー位置で溝の第1のポケット内に結合するものを変更することが最も好ましい。ペプチドのP1アンカー残基と、MHCクラスII結合溝第1ポケットとの間の結合相互作用の特性は、ペプチド全体に対する総合的な結合親和性の主な決定要素であると認められる。ペプチドのこの位置での適切な置換は、ポケット内にはより収容されにくい残基のためであり、例えばより親水性の大きな残基への置換である。MHC結合溝内の他のポケット領域内での結合と同等な位置でのペプチド中のアミノ酸残基も考慮され、本発明の範囲に入る。
所与の潜在的T細胞エピトープ内の単一のアミノ酸置換が、エピトープ除去の最も好ましいルートであることが理解される。単一のエピトープ内での置換の組合せも考えられ、例えば、個別に定義されたエピトープが互いに重複する場合には特に適切になものとなり得る。さらに、所与のエピトープ内における単一のアミノ酸置換または単一のエピトープ内における置換の組合せは、MHCクラスII結合溝に関して「ポケットペプチド」と同等な位置でなくともペプチド配列内のどのポイントでされていてもよい。そのような置換はすべて本発明の範囲内に入る。
本発明が改変された抗TNFα抗体に関する限り、そのような改変された抗体またはフラグメントを含有する組成物、および関連する組成物は本発明の範囲内であると見なされるものとする。したがって、本発明では、例えば、Fv、Fab、Fab’およびF(ab’)2フラグメントを含む抗体フラグメントの使用および作製が考えられる。そのようなフラグメントは標準的な方法によって調製することができる[例えば、Coligan他、Current Protocols in Immunology、John Wiley&Sons、1991〜1997]。本発明ではまた、この分野で広く知られている抗体由来分子種の様々な組換え形態が考えられる。そのような化学種には、安定化されたFvフラグメントが含まれ、これには、VhおよびVlドメインを連結するペプチドリンカーを含む単鎖Fv形態(例えば、scFv)、またはVhおよびVlドメインの結合を容易にするために操作されたさらなるシステイン残基を含有する鎖間ジスルフィド連結によって安定化されたFv(dsFv)が含まれる。同等に、他の組成物がこの分野では熟知されており、これは、「ミニボディ」と呼ばれる化学種;および単一の可変ドメイン「dAb」を含むことができる。それでもなお、他の化学種は、改変された抗体V領域ドメインの結合価を増大させるために手段を含むことができる:すなわち、例えば、二量体化ドメイン(例えば、「ロイシンジッパー」)を操作することまたは同様に化学的修飾法によって多数の抗原結合部位を有する化学種。
別の態様において、本発明は、改変された抗TNFα抗体の実体をコードする核酸に関する。
さらなる態様において、本発明は、改変された抗TNFα抗体を使用してヒトを治療的に処置するための方法に関する。
次に、本発明は、下記の実施例により、限定されることなく例示される。実施例では、下記の図面が参照される。
図1は、潜在的なヒトMHCクラスII結合活性を有する抗TNFα抗体cA2のV領域ドメインに由来するペプチド配列の表を示す。図1Aは重鎖由来配列に関する。図1Bは軽鎖由来配列に関する。
図2は、本発明の抗TNFα抗体(Vh5/Vk12)を使用したときのインビトロでのWEHI細胞のTNFα誘導による殺傷の中和を明らかにするグラフを示す。
図3は、本発明の抗TNFα抗体(Vh5/Vk12)を使用したときのインビトロでのヒト臍静脈内皮細胞におけるICAM−1発現のTNFα刺激による産生の中和を明らかにするグラフを示す。
図4は、インビトロアッセイにおいて、TNFαへの結合について陽性コントロール抗体(インフリキシマブ)と競合する本発明の抗TNFα抗体(Vh5/Vk12)の能力を明らかにするグラフを示す。
図5は、インビトロナイーブT細胞増殖アッセイにおける合成ペプチドに対する増殖応答を表す一連のヒストグラムを示す。データは、ドナー個体#4由来のPBMCにより記録された応答に関し、1μMおよび5μMの両方の濃度でペプチドCA1〜CA75のそれぞれについて示される。グラフではそれぞれ、ペプチド識別番号に対する刺激指数(SI)がプロットされる。SI=CPM(試験ペプチド)/CPM(非処理コントロール)。ペプチド配列および方法は実施例2に詳しく記載される。
図6は、インビトロナイーブT細胞増殖アッセイにおける13 merのペプチドP1〜P15のそれぞれに対して記録された増殖応答を示す。パネルAはドナー#2由来のPBMCにおける応答を示し、パネルBはドナー#4由来のPBMCにおける応答を示す。結果は、1μMおよび5μMの両方の濃度で与えられたペプチドについて示される。両方のパネルについて、SI>2.0である応答が陽性(+)として示され、SI<2.0である結果が陰性(−)として示される。
図7は、本発明の改変された抗体(Vh5/Vk12)によってTNFαが検出されるプレートELISAの結果を示す。結合曲線は、492nmでの光学濃度(OD492)に対する抗体濃度のプロットである。
図8は、本発明の抗TNFα抗体の改変された可変領域ドメインのアミノ酸配列を示す。配列は、一文字表記を使用して示される。
図9は、本発明の抗TNFα抗体(Vh5/Vk12)を使用したときのインビトロでのヒトHS27線維芽細胞におけるIL−6発現のTNFα刺激による産生の中和を明らかにするグラフを示す。陰性コントロール(210G12)はTNFα非結合抗体であり、陽性コントロール(インフリキシマブ)はTNFα中和性である。
図10は、種々の濃度の改変された抗体(Vh5/Vk12)または免疫原性の元の抗体(インフリキシマブ)が存在するもとで培養されたナイーブヒトPBMCを使用する免疫原性アッセイの結果を示すプロットである。グラフは応答性ドナーPBMCの結果(パネルA)および非応答性ドナーPBMCの結果(パネルB)を示す。SI=刺激指数。
実施例1
コンピューター利用手段による抗TNFαのVHおよびVLのタンパク質配列における潜在的なMHCクラスIIリガンドの同定
MHCクラスII結合リガンドとして作用する潜在的能力を有するペプチド配列を分析するためのスキームが以前に詳しく記載されている[WO 02/069232]。この手順を使用するソフトウエアツールが開発され、抗TNFα抗体のV領域ドメインの分析に適用されている。簡単に記載すると、このソフトウエアは、ヒト集団における非常に多数のアロタイプ変異体の範囲を取り扱うために作られたモデルMHCクラスII分子のライブラリー;理論的および既知の骨格立体配座を包含するために作られたペプチド骨格構造のライブラリーを含む多数の要素から組み立てた。これらの要素を使用して、大きなデータセットを、それぞれのモデルMHCアロタイプの結合溝の中にそれぞれの骨格立体配座をドッキングしたことの結果に基づいて作製した。このデータセットにはまた、所与の位置におけるすべての可能なアミノ酸に対する最も良い側鎖立体配座が包含された。(最適な立体配座における)ペプチド側鎖とMHCタンパク質との原子間距離がこのデータセットに保存される。目的とするタンパク質に由来する試験ペプチドが、側鎖のその配列をすべての骨格に加え、その後、データセットを最適な側鎖立体配座について検索し、したがって「ペプチドスコア」をそれぞれの骨格について計算することによって分析される。最良のスコアが表示のために選択され、このプロセスを、利用可能なMHCモデル構造のそれぞれについて繰り返す。このアルゴリズムは、抗TNFα抗体cA2のV領域ドメインを分析するために適用されている。この分析により、多数の13 merのペプチド配列が、それらが1つ以上のアロタイプに対する予測されるMHCクラスIIリガンドであることによって潜在的なT細胞エピトープであることが同定される。これらのペプチドを図1A(重鎖由来ペプチド)および図1B(軽鎖由来ペプチド)に示す。
実施例2
合成ペプチドおよびナイーブヒトPBMCインビトロ増殖アッセイを使用するT細胞エピトープの同定
MHCペプチドとT細胞受容体(TCR)との相互作用は、T細胞認識の抗原特異性に対する構造的基礎を提供する。T細胞増殖アッセイでは、MHCに対するペプチドの結合およびTCRによるMHC/ペプチド複合体の認識を試験する。本実施例のインビトロT細胞増殖アッセイでは、抗原提示細胞(APC)およびT細胞を含有する末梢血単核細胞(PBMC)を刺激することが伴う。刺激は、合成ペプチド抗原および一部の実験では完全タンパク質抗原を使用してインビトロで行われる。刺激されたT細胞の増殖を、3H−チミジン(3H−Thy)を使用して測定し、取り込まれた3H−Thyの存在を、洗浄固定処理細胞のシンチレーション計数を使用して評価する。
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12時間未満のヒト保存血に由来する軟膜をNational Blood Service (Addenbrooks Hospital、Cambridge、英国)から得た。フィコール−パークをAmersham Pharmacia Biotech(Amersham、英国)から得た。L−グルタミン、50μg/mlのストレプマイシン、10μg/mlのゲンタマイシンおよび0.1%のヒト血清アルブミンを含有する初代ヒトリンパ球培養用無血清AIM V培地をGibco−BRL(Paisley、英国)から得た。合成ペプチドをEurosequence(Groningen、オランダ)およびBabraham Technix(Cambridge、英国)から得た。赤血球および白血球を、軟膜の穏やかな遠心分離によって血漿および血小板から分離した。上相(血漿および血小板を含有する)を除き、捨てた。赤血球および白血球をリン酸塩緩衝化生理的食塩水(PBS)に1:1で希釈し、その後、15mlのフィコール−パーク(Amersham Pharmacia、Amersham、英国)に重層した。遠心分離を製造者の推奨条件に従って行い、PBMCを血清+PBS/フィコールパークの境界から集めた。PBMCをPBSと混合し(1:1)、遠心分離によって集めた。上清を除き、捨てて、PBMCペレットを50mlのPBSに再懸濁した。細胞を遠心分離によって再びペレット化し、PBSの上清を捨てた。細胞を、50mlのAIM V培地を使用して再懸濁し、この時点で計数し、そして生存性を、トリパンブルー色素排除を使用して評価した。細胞を遠心分離によって再び集め、上清を捨てた。細胞を3x107/mlの密度で極低温保存のために再懸濁した。保存培地は90%(v/v)熱不活化ABヒト血清(Sigma、Poole、英国)および10%(v/v)DMSO(Sigma、Poole、英国)であった。細胞を、調節された冷凍用容器(Sigma)に移し、−70℃で一晩置いた。使用のために必要なときには、細胞は37℃での水浴で急速解凍し、その後、10mlの予熱されたAIM V培地に移した。
PBMCを96ウエル平底プレートにおいて2x105個/ウエルのPBMCの密度でタンパク質およびペプチド抗原により刺激した。PBMCを37℃で7日間インキュベーションし、その後、3H−Thy(Amersham−Pharmacia、Amersham、英国)でパルス処理した。本研究のために、抗体cA2の重鎖および軽鎖の両方のV領域ドメイン全体に広がる合成ペプチド(15 mer)を製造した。各ペプチドは、12残基が配列においてそれぞれの連続するペプチドと重なった。すなわち、各ペプチドは、その次のペプチドから見ると、3残基が配列において増大した。ペプチド配列および識別番号を表1に示す。各ペプチドは、20名のナイーブドナーから単離されたPBMCに対して個々にスクリーニングされた。免疫原性であることが以前に示されているC32(PKYVKQNTLKLAT)およびC49(KVVDQIKKISKPVQH)の2つのコントロールペプチドならびに強力な非リコール抗原のKLHをそれぞれのドナーアッセイにおいて使用した。ペプチドはDMSOに10mMの最終濃度に溶解し、その後、これらのストック溶液をAIM V培地に1/500で希釈した(20μMの最終濃度)。ペプチドを平底96ウエルプレートに加えて、100μlにおいて2μMおよび10μMの最終濃度にした。解凍されたPBMCの生存性をトリパンブルー色素排除によって評価し、その後、細胞を2x106細胞/mlの密度で再懸濁し、100μl(2x105個のPBMC/ウエル)を、ペプチドを含有する各ウエルに移した。三連でのウエル培養をそれぞれのペプチド濃度でアッセイした。プレートを、5%CO2の加湿雰囲気下、37℃で7日間インキュベーションした。細胞を1μCi/ウエルの3H−チミジンで18〜21時間パルス処理し、その後、フィルターマット上に集めた。CPM値を、Wallacマイクロプレートベータトッププレートカウンター(Perkin Elmer)を使用して求めた。結果は刺激指数(SI)として表された:この場合、SI=CPM(試験ペプチド)/CPM(非処理コントロール)。
ナイーブT細胞増殖アッセイを使用するcA2のV領域配列におけるT細胞エピトープのマッピングにより、いくつかの免疫原性領域が同定された。個々のドナーにおいて著しい刺激指数を有するペプチドには、例えば、特に、CA34(SI=2.22)およびCA52(SI=2.09)が含まれる。
このマップは、相補性決定領域(CDR)を囲む配列領域が、下記の配列を有する15個の異なる13 merペプチド(P1〜P15)のさらなるサブセットを使用してVhおよびVk配列について精密化された:
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P1〜P7のペプチドはVh鎖配列に由来し、P8〜P15のペプチドはVk鎖配列に由来する。P1〜P15のペプチドは、以前のような多数の異なるMHCアロタイプを包含する10個のナイーブPBMC調製物のさらなるパネルにおけるインビトロ増殖応答を誘発するその能力についてスクリーニングされた。合成ペプチドおよびドナーパネルの両方のセットから得られるナイーブT細胞増殖アッセイの結果は、抗体のVhおよびVk鎖のエピトープマップを作製するためにまとめることができる。一般に、そのようなマップの編集では、1.95を越えるSIが陽性の応答として採用される。1名の応答性ドナーについてすべての15 merペプチドに対するSIを示す代表的なヒストグラムを、添付された図5に示す。P1〜P15の13 merペプチドに対する例示的な結果を図6として示す。
実施例3
抗TNFα抗体のVhおよびVk遺伝子の構築
抗体の配列は米国特許第5,656,272号に由来した。可変ドメイン重鎖(Vh)遺伝子および可変ドメイン軽鎖(Vk)遺伝子を遺伝子合成によって作製した。簡単に記載すると、一連の合成オリゴヌクレオチドを設計し、合成した。これらの遺伝子を、リガーゼ連鎖反応(LCR)を使用して組み立てた。LCRでは、相補性末端を特徴とするオリゴヌクレオチドにより、アニーリング、それに続く、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用する増幅およびフィルインが可能になった。PCRは、プライマーとして作用させるための両側のオリゴヌクレオチドを増大させた濃度で添加することによって行った。PCR産物を、5’および3’の免疫グロブリン遺伝子隣接領域を含有するベクターからのさらなるPCR、そして、完全な抗体を発現させるための発現ベクターへのサブクローン化によって全長の抗体遺伝子に組み立てた。組み立てられたVh遺伝子およびVk遺伝子は、T細胞エピトープが除去されている多数の変異体抗体配列の変異誘発および構築のためのテンプレートとして使用した。
Vh遺伝子を組み立てる場合、表2に詳しく記載されるOL373〜OL391のオリゴヌクレオチドを使用した。Vk遺伝子を組み立てる場合、表3に詳しく記載されるOL392〜OL410のオリゴヌクレオチドを使用した。両方の遺伝子について、LCRは、20μlのリン酸化オリゴヌクレオチドを、1μlのPfu DNAリガーゼ(Stratagene、Amsterdam、オランダ)、10μlの10X反応緩衝液(酵素とともに供給されたもの)および69μlの水と混合することによって行った。反応混合物は、95℃で2分間のインキュベーション、それに続く、95℃30秒間の25サイクル、それに続く、60℃への徐々に行われる冷却、その後、60℃で20分間のインキュベーション、および60℃で3時間の最終インキュベーションのためにサーマルサイクラーに入れた。典型的には、2%アガロースゲル電気泳動を使用する、このLCRのサンプルの分析は、正しいサイズのちょうど視認可能なかすかなバンドを伴うスミア物をもたらした。これらのオリゴヌクレオチドは、すべての場合、MWG−Biotech(Ebersberg、ドイツ)から得られ、T4DNAキナーゼ(Roche、Lewes、英国)および供給者の推奨プロトコルを使用してインビトロでリン酸化した。LCR後、5μlの反応液が、組み立てられたフラグメントを増幅するためにPCR混合物に移した。OL373およびOL382のオリゴヌクレオチドを、Vhの反応を行うために使用し、OL392およびOL401のオリゴヌクレオチドを、Vkの反応を行うために使用した。PCRは、Taq DNAポリメラーゼ(Roche、Lewes、英国)を使用して50μlの総体積で15サイクルにわたって行った。反応液を1%アガロースゲルで泳動し、所望するバンドを取り出し、そしてQiagen社(Crawley、英国)のDNA抽出キットを使用して精製した。生成物を配列分析のためにpGemT−easyベクター(Promega、Southampton、英国)に直接クローン化した。数個のクローンを、正しいクローンが得られるまで配列決定した。上記記載のように作製された可変領域カセットを含有する全長の免疫グロブリン遺伝子を、重複PCRを使用して組み立てた。簡単に記載すると、ベクターM13−VHPCR1およびベクターM13−VKPCR1[Orlandi他(1989)、PANS、89:3833〜7]のDNAを、ネズミ重鎖免疫グロブリンプロモーターを有し、かつリーダーシグナルペプチドをコードする5’隣接配列と、スプライス部位およびイントロン配列を含む3’隣接配列とを含むそれぞれのVh鎖およびVk鎖についてさらなる2つの重なるPCRフラグメントを作製するためのテンプレートとして使用した。それぞれのVhおよびVkについてそのようにして作製されたDNAフラグメントを、全長のDNA配列を得るために要求される両側のプライマーを使用するPCRにおいて組み合わせた。これらの「連結」反応で使用されたプライマーは、Vh遺伝子についてはOL411/OL413およびOL414/OL415のオリゴヌクレオチドであり、これに対して、Vk遺伝子についてはOL411/OL412およびOL411/OL401のオリゴヌクレオチドを使用した。
5’および3’隣接配列に関して完全な重鎖遺伝子を、ヒトIgG1定常領域ドメイン[Takahashi他(1982)、Cell、29:671]および哺乳動物細胞における選択のためのgpt遺伝子を含む発現ベクターpSVgpt[Reichmann他(1988)、Nature、332:323]にクローン化した。5’および3’隣接配列に関して完全な軽鎖遺伝子を、gpt遺伝子がヒグロマイシン耐性のための遺伝子(hyg)によって置き換えられ、かつヒトκ定常領域ドメイン[Heiter他(1980)、Cell、22:197]を含む発現ベクターpSVhyg[Reichmann他、同上]にクローン化した。両方のベクターについて、完全に組み立てられたVhまたはVk遺伝子を、ゲル電気泳動によって精製されたHindIII/BamHIフラグメントとしてサブクローン化し、そして広く知られている手順および試薬系を使用して処理した。
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実施例4
改変された抗体のVhおよびVk遺伝子の構築
L3Q、A9D、I10T、L11S、V13A、I58V、S74T、T77S、V78L、S80A、I83A、D85TおよびL104Vの変異を含有するVk1と名付けられた改変型Vk遺伝子を遺伝子合成によって構築した。表4には、Vk1の組立てで使用されたオリゴヌクレオチドが列挙される。これらのオリゴヌクレオチドは、前記のような遺伝子合成反応において、OL393、OL394、OL395、OL400、OL401、OL403、OL405、OL407およびOL408(上記の表3を参照のこと)と一緒に使用された。遺伝子をpGEM−Teasyベクター(Promega)にクローン化し、数個のクローンを、正しいクローンが得られるまで配列決定した。全長の免疫グロブリン遺伝子の組立ておよび発現ベクターへのサブクローン化は、OL411およびOL469のオリゴヌクレオチドがVk遺伝子に対する連結反応で使用されたことを除いて、実施例3の通りであった。
さらなる変異が、さらなる変異体Vk遺伝子を作製するためにVk遺伝子に導入された。これらの変異は、V19A、Q38H、R39T、S100G、N103K、V106Iを含んでいた。変異誘発は、表5に列挙されるオリゴヌクレオチドを使用するPCRによって行った。OL768およびOL769、OL770およびOL771を、OL411およびOL401(上記参照)と組み合わせて重複PCRにおいて使用した。OL648は、OL411との組合せで1回のPCRで使用した。PCR産物をpGEM−T Easy(Promega)にクローン化し、正しいクローンを配列決定によって確認した。
変異体Vh遺伝子もまた、変異誘発を使用して野生型の配列から構築された。K3Q、E5V、M18L、K19R、V23A、I28T、I51T、I56T、E64D、S79N、A80S、V81L、T86N、D87S、R89K、G94A、T115LおよびL116Vの置換を含む変異体Vh遺伝子を構築した。これらの変異は、表6に列挙されるオリゴヌクレオチドを使用して導入された。簡単に記載すると、オリゴヌクレオチドの各セットを、OL411およびOL415との組合せで重複PCRにおいて使用した。PCR産物をpGEM−T Easy(Promega)にクローン化し、正しいクローンを配列決定によって確認した。
VhまたはVkドメインを、以前のようにHindIII−BamHIフラグメントとして発現ベクターにサブクローン化し、変異体抗体を、実施例5に詳しく記載される方法に従って発現させた。
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実施例5
抗TNFα抗体の発現、精製および定量
重鎖および軽鎖発現ベクターを、European Collection of Animal Cell Cultures(ECACC)から得られるNS/0(免疫グロブリン非産生マウス骨髄腫)に、エレクトロポレーションを使用して同時トランスフェクションした。gpt遺伝子を発現するコロニーを、10%(v/v)ウシ胎児血清および抗生物質(すべて、Gibco(Paisley、英国)から得られる)ならびに0.8μg/mlのミコフェノール酸および250μg/mlのキサンチン(Sigma、Poole、英国)が補充されたダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)において選択した。
トランスフェクションされた細胞クローンによるヒト抗体の産生をヒトIgGに対するELISAによって測定した[Tempest他(1991)、BioTechnology、9、266]。抗体を分泌する細胞株を拡大培養し、抗体をプロテインAアフィニティークロマトグラフィーにより精製した[Harlow E.、Lane D.、Antibodies a Laboratory Manual、309頁;Cold Spring Harbor Laboratory Press(1988)、NY、米国]。
精製された抗体の濃度を、目的とする抗体のヒトκ定常領域を検出するELISAを使用して求めた。標準濃度曲線を治療用抗体インフリキシマブ(Schering−Plough Ltd、英国)の市販調製物について求め、この標準を使用して、試験抗体調製物の濃度を計算した。アッセイは96ウエルプレートで行い、すべての測定は二連で行った。
アッセイのために、プレート(Dynatech Immulon2)を、炭酸塩/重炭酸塩コーティング緩衝液(pH9.6)(Sigma、Poole、英国)に1:250で希釈された100μl/ウエルのヒツジ抗ヒトκ抗体(The Binding Site、Birmingham、英国)を使用してコーティング処理した。コーティング処理を37℃で1時間行い、ウエルをPBST(0.05%ツイーン20を含むPBS)で3回洗浄した。ウエルを100μLのPBSTで満たし、コントロールおよび試験抗体に対する希釈物を加えた。陰性コントロールはPBSTのみが使用され、抗体は加えられなかった。標準調製物(インフリキシマブ)を1:1000(v/v)で希釈し、2倍希釈系列をプレートに加えた。2倍希釈系列は試験抗体調製物についてもまた加えられた。プレートを室温で1時間インキュベーションし、ウエルを前述のように洗浄した。結合した抗体を、ペルオキシダーゼコンジュゲート化ヒツジ抗ヒトIgGγ鎖特異的試薬(The Binding Site、Birmingham、英国)を使用して検出した。この二次抗体はPBSTに1:1000で希釈され、100μlがプレートの各ウエルに加えられた。プレートを室温でさらに1時間インキュベーションし、前述のように洗浄した。検出は、100ul/ウエルの「Sigmafast」ペルオキシダーゼ基質(Sigma、Poole、英国)を使用して達成され、発色を、40ul/ウエルの1M硫酸を加えることにより停止させた。光学濃度を、プレート読み取り装置を492nmで使用して読み取った。抗体濃度対A492の標準曲線をコントロール抗体についてプロットし、試験抗体の濃度を標準との比較によって求めた。
実施例6
改変型抗体を使用するTNFα中和によるインビトロでのTNFα感受性細胞の保護
インビトロで増殖させた細胞株に対するTNFαの致死的作用を中和する抗TNFα抗体の能力を、Gallowayにより提供されるスキーム[Galloway 他、1991、J. Immunol. Meth.、140:37〜43]を使用して試験した。アッセイでは、ネズミ線維芽細胞の細胞株WEHI164(TNFαの致死的作用に対して非常に感受性である系統)が使用される。
アッセイのために、細胞を、一定の致死濃度のTNFαおよびある範囲の種々の抗体濃度の存在下で一晩増殖させた。翌日、細胞の代謝活性を生存の目安として測定した。TNFαを中和する抗体は細胞に対する保護作用をもたらし、それにより、より大きな代謝活性がアッセイで測定される。
WEHI164をEuropean Collection of Animal Cell Cultures(ECACC#.8702250)から得て、Glutamax(Gibco、Paisley、英国)、10%ウシ胎児血清(Perbio、Chester、英国)を含み、かつ抗生物質−抗カビ剤(Gibco)を含有するDMEM培地で増殖させた。アッセイ前日に、細胞は、その後のアッセイ期間中における活発な増殖を確実するために継代培養される。アッセイは、すべての処理について二連で、96ウエルプレートで行われた。プレートは、コントロール抗体および試験抗体の希釈物、ならびに抗体を含まない陰性コントロールを含有するように準備した。典型的には、抗体の2倍希釈系列を、50μlの体積で、10μg/mlの抗体濃度から始めてプレートに配置した。4μg/mlのアクチノマイシンを含有する培地における50μg/mlでのTNFα(PeproTech EC Ltd.、London、英国)のストック溶液を調製し、処理ウエルに加えた。プレートを軽くたたくことによってTNFα溶液を混合し、プレートを室温で少なくとも2時間インキュベーションし、その後、調製された溶液を、細胞を含有するアッセイプレートに移した。
アッセイプレートは、2.5x104個の細胞をウエルあたり50μlで播種し、37℃、5%CO2で、少なくとも1時間インキュベーションすることによって準備した。この後、50μlのTNFα/抗体混合物またはコントロール調製物を、様々な処理物を希釈するために使用されたプレートから移した。細胞および処理混合物を、プレートを軽くたたくことによって混合し、プレートを、5%CO2を含有する加湿雰囲気中、37℃で一晩インキュベーションした。翌日、それぞれのウエルにおける細胞の代謝活性を、「CellTiter 96 Aqueous One Solution Cell Proliferation Assay」(Promega、Southampton、英国)を使用して評価した。アッセイ溶液を加えた後、プレートをさらに90分間インキュベーションし、それぞれのウエルにおける溶液の吸光度を、プレート読み取り装置を492nmで使用して読み取った。吸光度図は抗体濃度に対してプロットされる。すべてのアッセイにおいて、陽性のコントロール調製物は、このアッセイでは著しいTNFαの中和を0.1μg/ml未満の濃度で一貫して明らかにする治療用抗体インフリキシマブ(Schering−Plough Ltd、英国)のサンプルであった。同様に、本発明の改変された抗体は、陽性のコントロール調製物と同等なこのアッセイでの保護作用を一貫して明らかにした。図2には、このアッセイから得られるプロットの一例が示される。
実施例7
インビトロでのヒト内皮細胞によるICAM−1のTNFα刺激された産生の中和
膜結合型ICAM−1のヒト臍静脈内皮(HUVE)細胞におけるTNFα刺激による産生を中和する抗TNFα抗体の能力をインビトロアッセイで試験した。簡単に記載すると、HUVE細胞を、TNFαおよび様々な濃度の試験抗体またはコントロール抗体の存在下、96ウエルプレートで増殖させる。続いて、膜結合型ICAM−1の定量的相対発現を、細胞溶解、および市販のICAM−1検出システムを使用する酵素結合免疫吸収アッセイ(ELISA)によって評価する。
アッセイのために、平行した2組の96ウエルプレートを準備する。「アッセイプレート」と名付けられた一方には細胞を播種し、「調製プレート」と名付けられたもう一方を使用して、TNFα溶液ならびに試験抗体溶液およびコントロール抗体溶液の希釈物を調製する。調製プレートの内容物は最終的にはアッセイプレートに移す。すべてのアッセイは二連で行う。
アッセイプレートについては、HUVE細胞(Cambrex Bio Science、Wokingham、英国)を、50μlの体積で、5x104細胞/ウエルの密度で播種した。細胞を、5%CO2、37℃で少なくとも2時間のインキュベーションによってプレートに接着させた。
調製プレートについては、2倍希釈系列の試験抗体および陽性コントロール抗体をプレートに二連で加えた。抗体に対する開始濃度は、100μl/ウエルの最終体積で、20μg/mlであった。陰性コントロールには抗体が加えられなかった。培地における40ng/mlのTNFα(PeproTech EC Ltd、London、英国)の溶液を調製し、ウエルあたり100μlを調製プレートでの処理ウエルのそれぞれに加えた。プレートは、軽くたたくことによって混合され、室温で45分間インキュベーションされた。このインキュベーションの後、調製プレートの各ウエルからの50μlをアッセイプレートにおけるその対応するウエルに加えた。アッセイプレートを、5%CO2を含有する加湿雰囲気中、37℃で23時間インキュベーションした。
翌日、培地をすべてのウエルから除き、細胞をリン酸塩緩衝化生理的食塩水(PBS)で1回洗浄した。細胞を溶解し、溶解液をICAM−1の存在についてアッセイした。溶解は、80μlの溶解緩衝液における4℃で45分間のインキュベーションによって達成された。溶解緩衝液は、8.7g/lのNaCl、6.05g/lのTris、0.5%(v/v)のNP40を含んでいた(pH 8.0)。溶解緩衝液はまた、プロテアーゼ阻害剤PMSF、ヨードアセトアミドおよびベンズアミドを100mMの濃度で、そしてペプスタチンAおよびロイペプチンをそれぞれ50mMおよび5mMの濃度で、含有した。これらの阻害剤は使用時に溶解緩衝液調製液に初めて加えられた。
ウエルの内容物を、マイクロピペットを使用して混合し、その後、溶解液を新しい丸底96ウエルプレートに取り出した。プレートを遠心分離して、沈殿した細胞破片を除き、清澄化された溶解液をさらなる新しい96ウエルプレートに保存(−20℃)または即座のアッセイのために取り出した。
アッセイの場合、20μlの清澄化された溶解液を、市販のELISAシステム(sICAM−1モジュールセット;Bender Medsystems、Towcester、英国)および供給者により推奨される条件を使用して、可溶化ICAM−1の存在について分析した。それぞれのウエルにおける溶液の吸光度を、プレート読み取り装置を492nmで使用して読み取った。吸光度図を抗体濃度に対してプロットした。すべてのアッセイにおいて、陽性のコントロール調製物は、このアッセイでは著しいTNFαの中和を1μg/ml未満の濃度で一貫して明らかにする治療用抗体インフリキシマブ(Schering−Plough ltd)のサンプルであった。同様に、本発明の改変された抗体は、陽性のコントロール調製物と同等な、ICAM−1発現の濃度依存的な阻害を一貫して明らかにしている。図3には、このアッセイから得られるプロットの一例が示される。
実施例8
TNFαへの結合についての改変型抗体の競合アッセイ
TNFα受容体(RII、p75)と競合する本発明の改変された抗体の能力が、Siegel他に基づいて競合ELISAで測定される[Siegel他(1995)、Cytokine、7(1):15〜25]。ELISAプレートを受容体(TNFαRII−Fc)でコーティング処理し、一定量のビオチン化TNFαと2倍希釈系列の抗体との混合物とインキュベーションした。受容体に対するTNFαの結合を、ストレプトアビジン−HRPコンジュゲートを使用する比色測定アッセイによって測定した。アッセイは、炭酸塩コーティング緩衝液において5μg/mlのTNFαRII−Fc(R&D Systems、Abingdon、英国)と4℃で一晩インキュベーションすることによって調製されたImmulon2HB 96ウエルプレート(Fisher、Loughborough、英国)を使用して行われた。50μl量をプレートの各ウエルに加えた。コーティング処理されたプレートをPBS−0.05%(v/v)ツイーン20(PBS−T)で少なくとも5回洗浄し、そして、PBS−Tにおける1%(v/v)のBSA溶液を加え、室温で少なくとも1時間さらにインキュベーションすることによってブロッキング処理した。
このインキュベーションのとき、試験抗体およびコントロール試薬が加えられた希釈プレートを準備した。典型的には、50μl/ウエルの最終体積において50μg/mlの濃度から始まる2倍希釈系列をそれぞれの試験抗体について使用した。コントロールは、TNFα非結合抗体を陰性物として、そして臨床規格のインフリキシマブ(Schering−Plough ltd、英国)の調製物を陽性物として含んだ。コントロール抗体は、試験抗体と同じイソ型であった。抗体を添加した後、50 ng/mlのビオチン−TNFα溶液のウエルあたり50μlを加え、軽くたたくことによって、プレートを混合した。TNFαは、前述のように市販の製品(Peprotech、London、英国)であり、EZリンクスルホ−NHS−ビオチン(Perbio、Tattenhall、英国)および供給者の推奨プロトコルを使用してビオチン化した。
ブロッキング液をアッセイプレートから除き、プレートを前述のように洗浄した。希釈プレートの各ウエルからの50μlをアッセイプレートの関連するウエルに加え、混合後、アッセイプレートを室温で少なくとも1時間インキュベーションした。インキュベーション後、プレートを洗浄し、100μlの希釈されたストレプトアビジン−HRP(Sigma、Poole、英国)試薬をプレートのすべてのウエルに加えた。プレートを室温で少なくとも1時間さらにインキュベーションし、前述のように洗浄した。このアッセイは、Sigma−fast OPD錠剤(Sigma、Poole、英国)(100μl/ウエル)を使用して検出が行われ、発色反応は、50μl/ウエルの1M硫酸を加えることにより停止させる。プレートを読み取り、結果を、492nmでの吸光度に対する抗体濃度としてプロットした。
図4には、このアッセイから得られるプロットの一例を示す。本発明の好ましい抗体は、このアッセイにおける陽性のコントロール抗体に対する競合曲線と同等な、TNFα結合について濃度依存的な競合曲線を示す。
実施例9
Hs27細胞におけるIL−6のTNFα誘導によるアップレギュレーションの阻害
ヒト包皮線維芽細胞は、TNFαにさらされることによってIL−6を産生させるように誘導することができる。発現のこのアップレギュレーションを阻止する本発明の改変された抗体の能力を、細胞をTNFαおよび試験抗体と同時にインキュベーションし、続いて、培地中に分泌されたその後のIL−6レベルを、市販のIL−6検出システムを使用して測定することによって評価した。
アッセイのために、平行した2組の96ウエルプレートを準備する。「アッセイプレート」と名付けられた一方には細胞を播種し、「調製プレート」と名付けられたもう一方を使用して、TNFα溶液ならびに試験抗体溶液およびコントロール抗体溶液の希釈物を調製する。調製プレートの内容物は、最終的には、アッセイプレートに移す。すべてのアッセイは二連で行う。
アッセイプレートについては、European Collection of Animal Cell Culturesから得られるヒト包皮線維芽細胞Hs27(ECACC第94041901号)を2x104細胞/ウエルの密度で播種し、細胞を、5%CO2を含有する加湿雰囲気中、37℃で一晩インキュベーションすることによってプレートに接着させる。培養培地は、期間を通して、10%ウシ胎児血清(Perbio、Chester、英国)および従来の抗生物質/抗カビ剤調製物(Gibco)を含有するDMEM+Glutamax(Gibco、Paisley、英国)であった。
調製プレートについては、2倍希釈系列の試験抗体および陽性コントロール抗体をプレートに二連で加えた。抗体に対する開始濃度は、100μl/ウエルの最終体積で、1.25μg/mlであった。陰性コントロールには抗体が加えられなかった。3 ng/mlのTNFα(PeproTech EC Ltd、London、英国)の溶液をすべての抗体含有ウエルに加え、抗体を含まないコントールウエルについては、さらに100μl/ウエルの培地が加えられる。プレートを、軽くたたくことによって混合し、室温で少なくとも30分間インキュベーションした。
培地を、Hs27細胞を含有するアッセイプレートから除き、調製プレートの各ウエルからの100μlをアッセイプレートの関連するウエルに移した。プレートを、軽くたたくことによって混合し、5%CO2を含有する加湿雰囲気中、37℃で少なくとも18時間インキュベーションした。インキュベーション後、培地を、各ウエルから、新しいU型底96ウエルプレートに−20℃での保存のために、または即座のアッセイのために移した。
培地を、市販のELISAシステム(IL−6モジュールセット;Bender Medsystems、Towcester、英国)および供給者により推奨されるプロトコルを使用してIL−6の存在について分析した。アッセイのために、50μlの培地を1:15(v/v)で希釈した。各ウエルにおける溶液の吸光度を、プレート読み取り装置を492nmで使用して読み取った。吸光度図を抗体濃度に対してプロットした。すべてのアッセイにおいて、陽性のコントロール調製物は治療用抗体インフリキシマブ(Schering−Plough ltd、英国)のサンプルであった。本発明の好ましい改変された抗体は、IL−6発現の濃度依存的な阻害を一貫して明らかにしている。図9には、このアッセイから得られるプロットの一例を示す。
実施例10
TNFαの検出
簡便なプレートELISAを、TNFαと結合する本発明の改変された抗体の能力を確認するために使用した。アッセイは、陽性コントロールとしての治療用抗体インフリキシマブ(Schering−Plough ltd、英国)の調製物と陰性コントロールとしてのTNFα非結合ヒトIgG調製物(Sigma I2511)との比較で行った。アッセイは、下記に詳しく記載される方法を使用して行い、アッセイにより、本発明の好ましい組成(Vh5/Vk12)がこのアッセイではコントロール抗体と等しい効力を有することが明らかにされる。典型的な結合曲線を図7に示す。
Immulon2HB 96ウエルプレート(Fisher、Loughborough、英国)を、炭酸塩コーティング緩衝液において2.5μg/mlのTNFα(Peprotech、London、英国)により4℃で一晩コーティング処理した。50μL量をプレートの各ウエルに加えた。コーティング処理されたプレートをPBS−0.05%(v/v)ツイーン20(PBS−T)で3回洗浄した。
各抗体の2倍希釈系列を調製し、ウエルあたり100μlの体積で、それぞれ二連で加えた。最大抗体濃度は1μg/mlであった。プレートを室温で1時間インキュベーションし、前述のようにPBSTで洗浄した。結合した抗体を検出するために、プレートを、PBSTに1/1000で希釈されたマウス抗ヒトIgG−HRPコンジュゲート(Sigma、Poole、英国)調製物とインキュベーションした。インキュベーションは室温で少なくとも90分間であった。プレートを、PBSTを使用して前述のように再び洗浄し、結合した抗体を、100μl/ウエルのSigma−Fast OPDを使用して検出した。色を5分間発色させ、反応を、40μl/ウエルの1M H2SO4を加えることにより停止させた。プレートを492nmで読み取り、データを抗体濃度対光学濃度としてプロットした。図7には、このアッセイでは機能が改変型抗体(Vh5/Vk12)と陽性コントロールとの間で等価であることを示す代表的な結合曲線が示される。
実施例11
ヒトPBMCインビトロ増殖アッセイを使用する改変型抗TNFα抗体における低下した免疫原性能力の実証
改変された抗体を実施例5の方法に従って調製した。陽性コントロール(負荷抗原)は臨床規格のインフリキシマブ(Schering−Plough ltd、英国)であった。T細胞増殖アッセイのために、健康なドナーに由来する(ウエルあたり)4x106個のPBMCを、(24ウエルプレートで)2 mlのバルク培養(bulk culture)において、非改変抗体および改変型抗体とインキュベーションした。それぞれのドナーは改変型抗体および非改変抗体により5μg/mlおよび50μg/mlで処置された。非処理のコントロールに加えて、刺激指数を測定することを可能にするバルク培養が維持された。5日目、6日目、7日目および8日目に、それぞれのバルク培養について細胞を穏やかに撹拌し、50μlのサンプルを増殖指数の測定のために三連で取り出した。50μl量のアリコートをそれぞれ、U型底96ウエルプレートの3つのウエルに移した。新しいAIM V培地(130μl)を96ウエルのそれぞれに加えた。細胞を、20ulのAIM V培地の総体積に希釈された1μCi/ウエルの[3H]−チミジンで(18〜21時間)パルス処理した。各培養物に対する総体積は200μlであった。CPM値を、ベータ−プレート読み取り装置を使用して集め、それぞれの時点に対する刺激指数を上記の実施例2に従って求めた。
SIをそれぞれの時点および抗体処理についてプロットした。有意なSIが>2.0として見なされた。応答性ドナーにおいて、インフリキシマブによる処理は、7日目に最大に達した有意な増殖応答をもたらした。同じドナーにおいて、本発明の改変された抗体組成(Vh5/Vk12)による処理は有意な増殖応答をもたらしていない。この結果は、元の抗体と比較したとき、本発明の好ましい抗体組成では免疫原性能力が低下していることを示している。このアッセイから得られる代表的なプロットが図10に示される。
潜在的なヒトMHCクラスII結合活性を有する抗TNFα抗体cA2のV領域ドメインに由来するペプチド配列の表を示す。図1Aは重鎖由来配列に関する。図1Bは軽鎖由来配列に関する。 本発明の抗TNFα抗体(Vh5/Vk12)を使用したときのインビトロでのWEHI細胞のTNFα誘導による殺傷の中和を明らかにするグラフを示す。 本発明の抗TNFα抗体(Vh5/Vk12)を使用したときのインビトロでのヒト臍静脈内皮細胞におけるICAM−1発現のTNFα刺激による産生の中和を明らかにするグラフを示す。 インビトロアッセイにおいて、TNFαへの結合について陽性コントロール抗体(インフリキシマブ)と競合する本発明の抗TNFα抗体(Vh5/Vk12)の能力を明らかにするグラフを示す。 インビトロナイーブT細胞増殖アッセイにおける合成ペプチドに対する増殖応答を表す一連のヒストグラムを示す。 インビトロナイーブT細胞増殖アッセイにおける13 merのペプチドP1〜P15のそれぞれに対して記録された増殖応答を示す。 本発明の改変された抗体(Vh5/Vk12)によってTNFαが検出されるプレートELISAの結果を示す。結合曲線は、492nmでの光学濃度(OD492)に対する抗体濃度のプロットである。 本発明の抗TNFα抗体の改変された可変領域ドメインのアミノ酸配列を示す。 本発明の抗TNFα抗体(Vh5/Vk12)を使用したときのインビトロでのヒトHS27線維芽細胞におけるIL−6発現のTNFα刺激による産生の中和を明らかにするグラフを示す。 種々の濃度の改変された抗体(Vh5/Vk12)または免疫原性の元の抗体(インフリキシマブ)が存在するもとで培養されたナイーブヒトPBMCを使用する免疫原性アッセイの結果を示すプロットである。

Claims (5)

  1. 非修飾の元のキメラな抗体A2(cA2)と比較して、免疫原性の小さいまたは実質的に免疫原性でなく、およびインビボで使用したときに該非修飾の抗体と同じ生物活性を有する、修飾されたモノクローナル抗TNFα抗体であって、該修飾された抗体が配列番号3の重鎖配列(Vh5)および配列番号6の軽鎖配列(Vk12)の対の可変領域アミノ酸配列を有する、修飾されたモノクローナル抗TNFα抗体。
  2. ヒトT細胞の誘導された細胞増殖の生物学的アッセイで完全タンパク質として試験されたとき、同じドナーに由来する細胞を使用して平行して試験された元の抗体よりも小さい刺激指数を示し、前記指数は、前記タンパク質による刺激の後でスコア化され、タンパク質が与えられていないコントロール細胞においてスコア化された細胞増殖の値により除された細胞増殖の値とし、細胞増殖は任意の好適な手段によって測定される請求項1に記載の修飾されたモノクローナル抗TNFα抗体。
  3. 請求項1または2に記載の修飾されたモノクローナル抗TNFα抗体をコードするDNA分子。
  4. 請求項1または2に記載の修飾されたモノクローナル抗TNFα抗体を、場合により、医薬品として許容される担体、希釈剤または賦形剤と一緒に含む医薬品組成物。
  5. 慢性関節リウマチおよびクローン病を処置するための医薬品を製造するための、請求項1または2に記載の修飾されたモノクローナル抗TNFα抗体の使用。
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