JP4303875B2 - 固体撮像装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、固体撮像装置に関し、とくに受光面領域を2つ、またはそれ以上の複数の領域に分割し、それぞれの領域の光電変換部から信号を増幅する増幅器とこの出力に接続された信号出力端子を有する固体撮像素子を使用した固体撮像装置に関する。
【0002】
さらに詳述すれば、上述の固体撮像素子を使用して、全受光領域にわたって均一な出力信号が得られるように、それぞれの増幅器出力のバラツキを補正することが可能な固体撮像装置に関する。
【0003】
【従来の技術】
固体撮像装置は、静止画から動画撮影用へと、また低解像度から高解像度撮影用へと進展しており、その中で取り扱う画像情報量は急速に増大しており、またデータレートも高くなる傾向にある。固体撮像装置の中でも撮像素子から得られた信号を加工する信号処理回路はデジタル技術が主流となっており、並列信号処理手法を用いることで扱う情報のデータレートをいくらでも大きくすることが可能になっている。一方、装置のセンサーとなる撮像素子は取り扱う信号がアナログ信号であるため、完全な並列処理は難しく、如何にして高いデータレートで映像信号を読み出すかが1つのキー技術となっている。
【0004】
撮像素子のデータレートを上げる方法の1つとして、撮像素子の受光面を複数の領域に分割し、それぞれの領域に転送部、蓄積部、増幅器、および出力端子を持たせ、並列に光電変換信号を出力させる方法が良く用いられる。この方法の利点は、撮像素子の基本動作周波数を上昇させること無く、撮像素子全体としてのデータレートを向上させることが出きることにある。
【0005】
一方、この方法の欠点として、各領域毎の光電変換に関する各種の特性および増幅器の特性のバラツキによって、撮像素子全体としての均一性が低下してしまうことにある。つまり、このような複数の出力端子を有する撮像素子から出力された光電変換信号は、受光面上に結像された2次元の光学像を短冊状に切り離したものとなるが、これら複数の出力信号から得た画像を隣接して並べてモニタ上に表示した場合、領域毎に黒レベルおよびゲインの差異が生じたりして境界線が生じ、滑らかな1枚の画像として表示することができないということである。これらの不具合、すなわち、複数の領域の境界における不連続性が生じる主な原因としては、次ぎの3つが考えられる。
A)それぞれの領域毎の回路素子や増幅器の動作レベルとしての直流レベルの差異。
B)それぞれの領域における増幅器のゲインの差異。
C)それぞれの水平転送CCD、増幅器およびその後段に接続された回路のライン読出し開始時の動特性に起因したゲイン不安定性。
上述のA)、B)により生じる差異は出力端子の静特性に関わるものであり、撮像素子の駆動タイミングによらず一定であるが、上述したC)に起因したバラツキは1ラインの映像信号の最初の部分数画素のみに現れる。
【0006】
これらの不均一性を軽減する方法として、あらかじめ各領域および増幅器の特性を測定して補正係数を求めておき、映像信号処理時に補正する方法が用いられている。しかし、この方法ではあらかじめ決められた条件の下で各領域の特性を測定し、補正係数を算出しておかなくてはならないため、リアルタイム性に欠け、増幅器および周辺の信号処理回路の温度変動または経時変動に対応することができず、その度毎に調整または補正係数の再設定が必要となる。また、静止画撮影装置では撮影毎に調整をし、補正処理をすることも可能であるが、動画撮影装置では撮影中の温度変動および電圧変動の影響を受け、従来の方法では各出力端子のバラツキおよびそれに起因した画像の不均一性を十分に補正することができなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のように従来方法による補正方法では動作条件によって補正量が変わるため、補正値がずれると分割された領域毎の画像の特性が異なり、撮影映像がタイル状になったり領域の境目で不連続になったりする問題があった。また、このような領域毎のバラツキは増幅器の静特性だけでなく動特性も含んだ複数の要因が関係しているため非線形特性を示し、従来の方法では完全に補正することが困難であった。とくに動画像の場合には撮影途中での周囲温度変化、動作電圧などの動作環境の変化によって補正のための条件が変化してしまい、十分な補正ができないという問題があった。
【0008】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは上記のような複数の出力端子を有する撮像素子において温度変動などに対しても精度良く補正することができるよう、領域毎のバラツキをリアルタイムに補正する方法を実現する撮像装置を提供することを目的とする。また、高速でかつシンプルな補正方法を用い、静止画だけでなく、動画撮影装置にも対応できるようにする撮像装置を提供することを目的とする。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、光電変換部を有する受光面全体、主走査方向に2つ、またはそれ以上の複数の領域に電気的に分割した構成を有し、光電変換部からの信号を読出して出力する前記それぞれの領域に対して設けられた転送手段と出力手段を有する固体撮像素子と、当該受光面に被写体からの像を結像する結像光学系を有する固体撮像装置において、垂直ブランキング期間に、前記固体撮像素子へ前記結像光学系による光を遮光するメカニカルシャッタと、前記垂直ブランキング期間以外で前記結像光学系からの入射光によって前記受光面の光電変換部に蓄積された電荷を伝送した後、前記垂直ブランキング期間で、前記メカニカルシャッタにより前記固体撮像素子へ前記結像光学系による光を遮光している期間に、前記固体撮像素子の受光面に対して参照光を照射する参照光照射手段前記固体撮像素子の前記複数の領域のうち、前記受光面全体の主走査方向における最初の第1の領域を除く、第2の領域以降の各領域の各出力手段に接続された各乗算手段であって、前記出力手段の出力と当該出力に対応して画素位置毎に設定された補正係数とを入力して乗算し、補正された信号値を出力する、各乗算手段と、前記参照光によって光電変換部に形成された信号を、前記受光面全体の主走査方向から見た最初の領域に対しては前記固体撮像素子の前記出力手段、および前記最初の領域以後の領域に対しては前記乗算手段を通して得た、前記それぞれの領域の、1つまたはそれ以上の複数ラインの信号値を、あらかじめ定めた画素位置毎に記憶する、各領域毎の記憶手段と、前記第1の領域の出力手段および前記各乗算手段の出力における、互いに接する各領域の境界を挟んで互いに隣接する少なくとも2つの画素位置の前記参照光による信号レベルが同一となるように、隣接する2つの領域の前記記憶手段からの対応する画素の信号値を入力して対応する乗算手段に出力する前記補正係数を再設定する、前記乗算手段のそれぞれに対応して設けられた補正係数再設定手段を有し、前記補正係数再設定手段は、前記垂直ブランキング期間毎に前記補正係数の更新動作を実行し、最初の領域に対しては前記固体撮像素子の前記出力手段の出力、および前記最初の領域以後の領域に対しては前記乗算手段の出力、から出力信号を形成することを特徴とするものである。
【0011】
また、請求項に記載の発明は、請求項1に記載の固体撮像装置において、前記固体撮像素子は、前記それぞれの分割領域の受光面の画素に隣接して、1ラインまたはそれ以上の複数ラインにわたって遮光した画素領域をそれぞれ有し、前記転送手段および出力手段は、当該画素領域の信号を前記受光面の光電変換信号と同様に転送および出力し、前記各領域毎に、前記出力された、遮光した画素領域の信号レベルを画素毎に記憶する黒レベル記録手段と、前記固体撮像素子の前記各領域毎の出力手段からの信号、および前記黒レベル記録手段からの信号を入力し、前記各領域毎の出力手段からの信号から、対応する前記黒レベル記録手段からの信号が減算された信号を出力する減算手段とをさらに有し、前記複数の領域のうち、前記最初の領域を除く、各領域の乗算手段は、前記減算手段からの出力を入力し、前記複数の領域のうち、最初の領域の記憶手段は、前記減算手段からの信号を入力し、前記各乗算手段は、前記減算手段からの信号を入力することを特徴とするものである。
【0012】
また、請求項に記載の発明は、請求項1に記載の固体撮像装置において、前記補正係数再設定手段は、前記参照光による信号レベルについて、前記最初の領域を除く各領域の前記開始画素から少なくとも複数の各画素値の補正された結果が、同じになるように、補正係数を再設定することを特徴とするものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を、図を参照しながら説明する。
【0015】
図1は、本発明の実施形態の概要を説明するための図である。本実施形態の撮像装置はレンズ光学系によって受光面に結像された光学像を電気信号に変換するCCD撮像素子11、CCD撮像素子11の出力信号を信号処理する映像信号処理回路12、CCD撮像素子11が信号読出し動作時に結像光学系からの結像光を遮光するメカニカルシャッタ13、CCD撮像素子11とメカニカルシャッタ13の間に設置された参照光照明用LED14、およびこれらのメカニカルシャッタ13、参照光照明用LED14、CCD撮像素子11、映像信号処理回路12の動作タイミングを制御するタイミング制御回路15から構成される。この図においては、本発明と直接関わらない、被写体像をCCD撮像素子上に結像するレンズ光学系、3CCD撮像光学系におけるプリズム光学系等は省略し、発明要部のみを図示している。またメカニカルシャッタの駆動手段についても省略している。
【0016】
本実施形態では図1の撮像素子11として受光面を4つの領域に分割し、それぞれの領域に映像信号出力端子141〜144を有する図2に示すようなフレームトランスファ型(FT型)CCDを使用している。図2に示すようにCCD撮像素子はライン数Mの受光部101〜104、ライン数Lの光学的黒レベル用画素111〜114を有する光電変換部と、ライン数(M+N+L)の信号電荷蓄積部121〜124、および4つの水平転送CCD131〜134、4つの増幅器141〜144、4つの出力端子151〜154を含んで構成される。
【0017】
本撮像装置の動作を、図3を使用して説明する。この図は垂直ブランキングから始まる1フレーム期間を示し、この1フレーム期間の動作が繰り返される。この1フレーム期間の最初に、メカニカルシャッタが閉じ、結像光学系からの結像光に対して受光面を遮光している期間に、その前のフレームにおいて光電変換されたMライン分の全信号電荷、およびLラインの黒レベル用画素の信号電荷は、その光電変換部および信号電荷蓄積部の垂直電荷転送パルスを駆動することにより信号電荷蓄積部に転送される。次ぎに参照光照明用LEDを点灯させてCCD11の受光面を照明する。その後、受光部、および信号電荷蓄積部の垂直電荷転送パルスを駆動し、受光面で光電変換された信号のうちNライン分のみを信号電荷蓄積部に転送する。最後に受光面における参照光LEDによる余分な光電荷信号(M−Nのライン分が残っている)を画素リセットパルスによりリセットする。ここまでの動作は図示しているようにブランキング期間(メカニカルシャッタにより結像光学系からの結像光が遮光されている期間)に行われる。したがって、上述した参照光照明用LED点灯時には、CCDの受光面には結像レンズの結像光は入射せず、参照光照明用LEDの照明光のみが入射される。以上の動作により、信号電荷蓄積部にはLライン分の光学的黒レベル画素信号、Mライン分の光学像に基づく撮像画像情報、そしてNライン分の参照光LEDによる参照光信号が順に記録された状態となる。この時点でCCD撮像素子の信号電荷蓄積部には図4に示すような種類の信号電荷が蓄積された状態となっている。
【0018】
次ぎにメカニカルシャッタを開き、受光部では次フレームにおいて出力することになる光学像の光電変換を開始し、また、信号電荷蓄積部では垂直電荷転送パルスを1ライン期間に1段駆動することにより、信号を1ラインずつシフトし、垂直蓄積部それぞれの出口に設けられている水平転送CCD131〜134に送る。水平転送CCD131〜134に送られたそれぞれのラインの信号は、水平方向にクロックによりシフトし、それぞれの水平転送CCD131〜134に接続された4つの増幅器141〜144に電荷を転送する。水平転送された信号は増幅器を通して出力端子151〜154から出力される。このとき、各出力端子151〜154から得られた信号の例を図5に示す。
【0019】
図1における映像処理回路12中の本実施形態における信号補正回路のブロックダイヤグラムを図6に示す。ここでは、図1、あるいは図2に示したCCD撮像素子の出力端子から出力された信号が、相関2重サンプリング回路などによってリセット雑音等が除去され、A/D変換器でデジタル信号に変換されていることを想定している。図6に示す領域1〜4からの信号は、以上のように変換された信号とする。また、図5に示した信号も同様の信号である。まず、それぞれの領域からの4つの信号は、信号補正回路においてそれぞれの信号処理系路を経由して並列に処理される。それぞれの処理系路において、それぞれの信号中でLラインの黒レベル信号のうち、1ラインの信号を黒レベル記録用ラインメモリに記録する。記録の方法は黒レベル信号1ライン分をそのまま記録してもよいが、Lラインの黒レベル信号のうち、複数ラインを積分してノイズを抑圧した黒レベル信号を記録することも可能である。次に、撮像信号、および参照レベル信号が含まれるライン信号aが入力された際に、黒レベル記録用ラインメモリからタイミングを合わせて読み出した信号bを引き去ることにより黒レベル分の変動を抑圧した撮像信号または参照レベル信号cが得られる。その結果、各領域毎の映像信号として直流レベル変動を含まない信号が得られる。
【0020】
次に、それぞれの領域の信号間、あるいは画素のゲイン補正方法について説明する。とくに各領域毎のゲイン補正方法に関しては、従来方法では水平走査において最初に出力される画素を含む領域1の信号レベルを基準として領域2の信号レベルのゲインを補正する方法を説明する。他の隣接チャンネル間のゲインのバラツキに関しては同様な方法で領域2の信号レベルを基準として領域3のゲインを、領域3の信号レベルを基準として領域4の信号レベルを調整することができる。
【0021】
黒レベル変動を抑圧した信号cのうち、1ライン分の参照レベル信号を参照レベル記録用メモリに記録する。このときもメモリに記録するさいにはNラインの参照レベル信号のうち、複数ラインを積分してノイズ成分の影響を低減する方法を用いても構わない。また、1ライン分の参照レベル信号すべてを記録する必要はなく、後の信号処理に必要な部分のみ記録しておいても構わない。これらの手法の違いは回路構成上の差であり、本発明の本質的な部分には何ら影響を与えない。同様に領域2の信号に関しても黒レベル変動を抑圧した信号iをゲイン補正した信号jより参照レベル信号を参照レベル記録メモリに記録する。このときの参照レベル記録メモリに記録された領域1からの信号cと領域2からの信号iの各画素毎の信号レベルの例を図7に示す。
【0022】
図7において画素データdnは、領域1の画素で領域2との境界にある画素であり、画素k1は領域2の画素で領域1との境界にある画素である。領域2のknの画素は領域3との境界にある画素である。ここでは、水平に右方向に延びる時間軸を基準にすると、領域1および領域2の信号は、上下関係に並べるべきであるが、説明の容易化のために、CCD撮像素子の画素の並びのように左右に配置している。
【0023】
ここで、撮像素子に照射された参照光は2次元的に細かなレベル変化を持つものではなく一様性を持つものとしている。また少なくとも、領域1と領域2の境界近傍において一様性を示すものとしている。すると、領域1の信号の1ラインの最後の出力信号と領域2の信号ラインの1ラインの最初の出力信号において連続性を仮定できるため、領域1の信号のライン信号のうちの最後の画素(dn)と同一のレベルになるように、領域2の1ライン信号の読出し開始直後の第1画素から回路の動特性の影響が見られなくなる数画素程度の画素までの画素(k1、k2、・・km)に対して補正処理を行なうことができる。ここで参照光によって得られる信号レベルを適切に設定することにより、このようにして得た領域2の画素k1〜kmに対しての補正係数を、領域2の撮像信号のそれぞれの画素に対して乗算することにより、領域2の信号回路ゲインを領域1のものと同じにし、さらに領域1と領域2の動特性の違いや影響を除去して、撮像信号の境界における滑らかな連続性を維持することができる。
【0024】
以下に、図6の実施形態を参照しながら詳細に説明する。この実施形態では、補正が正確に行われるようにフィードバック方式の補正方法としている。領域1の信号については、前述したように黒レベルの補正のみを行う。領域2の信号については、前述した黒レベルの補正がされた信号に対しては、補正係数1の算出から得られた係数の乗算をして最終的に補正された領域2の信号を得る。ここでは、参照信号がそれぞれの領域の信号から出力される毎に、それぞれの算出された補正係数が以前の補正係数に乗算されるように動作する。この撮像装置の電源が投入された直後では、あるいは本発明による補正回路の制御のオン/オフの機能があり、この機能がオンされた直後では、補正係数のそれぞれは1に、あるいは、あらかじめ使用する固体撮像素子に固有の値に設定されている。先ず、領域1の信号の参照レベル記録用メモリ1から1ライン内の最後の画素dnのデータを、参照レベル記録用メモリ2から1ライン内の最初の数画素程度(k1、k2、・・km)の画素データを読出す。ここで、最初に設定されている画素単位の補正係数1をf’1、f’2、・・・f’mとし、黒レベルが補正された段階の領域2の信号(図6のiの信号)において、画素k1、k2、・・kmのデータがそれぞれk1、k2、・・kmとする。画素dnに対する画素(k1、k2、・・km)のデータが更なる補正係数f1、f2、・・・fmを得たとして、この補正係数を先の補正係数に乗算した結果の補正係数は、f’x×fx(ここで、x=1,2,・・・m)となる。この補正係数を画素k1、k2、・・kmのデータそれぞれk1、k2、・・kmに乗算した結果が、画素dnのデータdnに等しいとすると、以下の式となる。
【0025】
【数1】
Figure 0004303875
【0026】
したがって、新たな補正係数fxは、以下の式で表すことができる。
【0027】
【数2】
Figure 0004303875
【0028】
この新たな補正係数f1、f2、・・・fm、すなわちfxは、1に収束する。
【0029】
このようにして得られた最終的な補正係数Fx=fx×f’xを黒レベル変動補正後の信号(i1、i2、・・・im)に、すなわち撮像信号に対して乗算する。乗算の方法は以下の式に基づいて行うこととする。
【0030】
【数3】
Figure 0004303875
【0031】
すなわち、領域1の画素に隣接する領域2の画素のうち、最初に読み出されるm個の画素は、画素単独に補正係数F1・・・Fmを有し、以降の全ての画素については補正係数Fmを使用して補正する。
【0032】
以上説明したような処理を領域3に対して、また領域4に対して行う。この場合、それぞれの領域信号において、参照信号のライン信号が、1フレームに1回同時に図6に示した補正回路に入力されることになり、したがって、一時に領域1から領域4までの補正を行うことができないことになる。しかし、補正動作開始からの垂直ブランキング毎に、補正係数1から順に補正係数3にかけて補正係数を確定して行くことが可能なので、実際上では問題は生じない短時間に補正係数が確定される。
【0033】
本処理によって補正後の信号出力(jx x=1、2、・・・n)を領域1の1ライン中の最後の画素レベルと領域2の1ラインの最初の画素レベルを同じ値とすることができ、また領域毎の回路ゲインのバラツキを補正でき、分割読出しした場合の分割境界において画像レベルの連続性を再現できる。
【0034】
以上において、補正係数の生成をフィードバック方式で行う場合を説明したが、本発明の趣旨を逸脱しないで、フィードフォワード形式で補正係数を生成するように変更することは容易である。
【0035】
また、本発明の実施形態において、FT型CCD撮像素子を用いた場合としたが、そのほかのタイプのCCDでも同様にその効果を発揮することができる。そのほかのタイプではメカニカルシャッタを必要としないものもあるが、この場合にも垂直ブランキング期間内の映像信号読出し直後に参照光用LEDを短時間点灯させ、参照光信号電荷を蓄積部に転送した後、光電変換部をリセットし、映像信号の光電変換を開始することにより上記と同様の信号を得ることができ、信号処理をすることにより同様の効果が得られる。
【0036】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明によれば、受光面を複数の領域に分割し、それぞれの領域毎に出力端子を有する多出力構造を有するCCD撮像素子を用いた撮像装置において、それぞれの領域の電気的特性のバラツキによって生じていた領域毎のレベル差、分割領域境界上に現れる境界ノイズを抑圧でき、複数の領域から読み出した映像データにもかかわらず、境界線や領域バラツキの無い連続的な1枚の撮像画像を生成することができる。
【0037】
また、領域毎のレベル差、分割領域境界上に現れる境界ノイズについて、温度的、経時的な変化も抑圧できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の全体を示すブロック図である。
【図2】本発明に使用する撮像素子の構造例を説明する図である。
【図3】本発明の実施形態における動作を説明する図であり、図1における機械式シャッタと参照光LEDそして図2に示す撮像素子の駆動信号の関係を示す図である。
【図4】図2に示した撮像素子の信号電荷蓄積部に蓄積された信号の種類を説明する図である。
【図5】図4に示した信号電荷蓄積部に蓄積された電荷を読み出した場合の信号例を示す図である。
【図6】本発明に関わる信号補正回路の構成例を示し、参照信号および黒レベル信号を使用して映像信号を処理する様子を示す図である。
【図7】図6に示した参照レベル記録メモリに記録された信号例を示す図である。
【符号の説明】
11 CCD撮像素子
12 映像信号処理回路
13 メカニカルシャッタ
14 参照光用LED
15 タイミング制御回路
101、102、103、104 Mラインの受光部
111、112、113、114 Lラインの光学的黒レベル用画素
121、122、123、124 信号電荷蓄積部
131、132、133、134 水平転送CCD
141、142、143、144 増幅器
151、152、153、154 出力端子

Claims (3)

  1. 光電変換部を有する受光面全体、主走査方向に2つ、またはそれ以上の複数の領域に電気的に分割した構成を有し、光電変換部からの信号を読出して出力する前記それぞれの領域に対して設けられた転送手段と出力手段を有する固体撮像素子と、当該受光面に被写体からの像を結像する結像光学系を有する固体撮像装置において、
    垂直ブランキング期間に、前記固体撮像素子へ前記結像光学系による光を遮光するメカニカルシャッタと、
    前記垂直ブランキング期間以外で前記結像光学系からの入射光によって前記受光面の光電変換部に蓄積された電荷を伝送した後、前記垂直ブランキング期間で、前記メカニカルシャッタにより前記固体撮像素子へ前記結像光学系による光を遮光している期間に、前記固体撮像素子の受光面に対して参照光を照射する参照光照射手段
    前記固体撮像素子の前記複数の領域のうち、前記受光面全体の主走査方向における最初の第1の領域を除く、第2の領域以降の各領域の各出力手段に接続された各乗算手段であって、前記出力手段の出力と当該出力に対応して画素位置毎に設定された補正係数とを入力して乗算し、補正された信号値を出力する、各乗算手段と、
    前記参照光によって光電変換部に形成された信号を、前記受光面全体の主走査方向から見た最初の領域に対しては前記固体撮像素子の前記出力手段、および前記最初の領域以後の領域に対しては前記乗算手段を通して得た、前記それぞれの領域の、1つまたはそれ以上の複数ラインの信号値を、あらかじめ定めた画素位置毎に記憶する、各領域毎の記憶手段と、
    前記第1の領域の出力手段および前記各乗算手段の出力における、互いに接する各領域の境界を挟んで互いに隣接する少なくとも2つの画素位置の前記参照光による信号レベルが同一となるように、隣接する2つの領域の前記記憶手段からの対応する画素の信号値を入力して対応する乗算手段に出力する前記補正係数を再設定する、前記乗算手段のそれぞれに対応して設けられた補正係数再設定手段
    を有し、
    前記補正係数再設定手段は、前記垂直ブランキング期間毎に前記補正係数の更新動作を実行し、最初の領域に対しては前記固体撮像素子の前記出力手段の出力、および前記最初の領域以後の領域に対しては前記乗算手段の出力、から出力信号を形成することを特徴とする固体撮像装置。
  2. 請求項1に記載の固体撮像装置において、
    前記固体撮像素子は、前記それぞれの分割領域の受光面の画素に隣接して、1ラインまたはそれ以上の複数ラインにわたって遮光した画素領域をそれぞれ有し、
    前記転送手段および出力手段は、当該画素領域の信号を前記受光面の光電変換信号と同様に転送および出力し、
    記各領域毎に、前記出力された、遮光した画素領域の信号レベルを画素毎に記憶する黒レベル記録手段と、
    前記固体撮像素子の前記各領域毎の出力手段からの信号、および前記黒レベル記録手段からの信号を入力し、前記各領域毎の出力手段からの信号から、対応する前記黒レベル記録手段からの信号が減算された信号を出力する減算手段と
    をさらに有し、
    前記複数の領域のうち、前記最初の領域を除く、各領域の乗算手段は、前記減算手段からの出力を入力し、
    前記複数の領域のうち、最初の領域の記憶手段は、前記減算手段からの信号を入力し、前記各乗算手段は、前記減算手段からの信号を入力することを特徴とする固体撮像装置。
  3. 請求項1に記載の固体撮像装置において、
    前記補正係数再設定手段は、前記参照光による信号レベルについて、前記最初の領域を除く各領域の前記開始画素から少なくとも複数の各画素値の補正された結果が、同じになるように、補正係数を再設定することを特徴とする固体撮像装置。
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