JP4303595B2 - アニオン性置換基を有する物質を捕捉可能な亜鉛錯体 - Google Patents

アニオン性置換基を有する物質を捕捉可能な亜鉛錯体 Download PDF

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Description

本発明は、アニオン性置換基を有する物質を捕捉可能な新規な亜鉛錯体と、これを利用した、アニオン性置換基を有する物質の捕捉剤、リン酸化物質の不活性化剤、脱リン酸化酵素阻害剤、質量分析用添加剤、電気泳動分析用添加剤、核磁気共鳴分析用添加剤、クロマトグラフ分析用添加剤、亜鉛錯体の製造方法、アニオン性置換基を有する物質の捕捉方法及びアニオン性置換基を有する物質の分析方法に関するものである。
リン酸化物質、例えばリン酸化された生体物質などを分析するための方法としては、従来より、酵素免疫法による方法や放射性同位元素を用いる方法が知られている。リン酸化された生体物質などの分析をするためには、一定条件下において、アニオン性置換基の一つである二価のリン酸モノエステルアニオンと強く結合する性質と、その複合体の検出が可能という性質とを備え、かつ安全で安価な物質が望まれている。
また、排水中のリン酸濃度を下げるための方法として、特開平11−57695号公報に開示された複合金属水酸化物を用いる方法がある。また、医薬の分野では、高リン血症の治療に用いる物として、特開平8−506846号公報に開示されたグアニジノ基を有するポリマーがある。しかし、複合金属水酸化物またはグアニジノ基を有するポリマーよりも強くリン酸と結合し、安全で安価な物質が望まれている。
しかし、上記のような、二価のリン酸モノエステルアニオンと強く結合し、その複合体の検出が可能で、かつ安全で安価な物質は知られていない。
リン酸化された生体物質を分析するための方法の一つである酵素免疫法は、抗体が目標物質と特異的に結合することを作用としている。そのため、目的物質固有の抗体を作製しなければならない。その抗体の作製には、目的物質を多量に精製し入手する必要があるという問題点がある。さらに、抗体の作製には動物の免疫反応を用いるため、抗体の作製には時間がかかるという問題点がある。また、数kDa(ダルトン)以下の分子構造中のリン酸化部位に対する抗体を作製することができないため、そのような分子構造をもつリン酸化された生体物質を酵素免疫法によって分析することができないという問題点がある。
放射性同位元素を用いてリン酸化された生体物質を分析する方法では、放射性同位元素32Pを用いる。そのため、実験室の放射線の管理や、廃液の管理に手間がかかるという問題点がある。
また、排水中のリン酸濃度を下げるための複合金属水酸化物、および高リン血症の治療に用いるグアニジノ基を有するポリマーは、リン酸基に対する結合力が弱い。そのため、一定量のリン酸を捕捉するためには、多量のリン酸基結合基質としての複合金属水酸化物およびグアニジノ基を有するポリマーを用いなければならない。
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、一定条件下において、アニオン性置換基、特に二価のリン酸モノエステルアニオンと結合し、それら置換基を持つ物質の検出が容易に可能な、安全で安価な物質を提供することにある。また、上記のような結合を応用した物質、リン酸化された物質を迅速かつ容易に捕捉することができる物質、その捕捉方法および捕捉した物質の検出方法を提供することにある。
発明の開示
本発明者は、新規な亜鉛錯体(二核亜鉛錯体)を合成した。また、ある種の亜鉛錯体(前記の新規な亜鉛錯体を含む)が、中性条件下において、アニオン性置換基と結合する、特に二価のリン酸モノエステルアニオンと強く結合することを見出し、以下の発明を完成するに至った。
本発明(1)は、式(I−0):
Figure 0004303595
{式中、Rは、相互に同一又は異なっていてもよく、H;炭素数が1〜16であるアルキル基;アシル基、カルボキシアルキル基、アシルアルキル基、カルバモイルアルキル基、シアノアルキル基、ヒドロキシアルキル基(例えば、ヒドロキシメチル基)、アミノアルキル基(例えば、アミノメチル基)又はハロアルキル基(ここで、これらの基のアルキル部分の炭素数は、1〜16である);カルボキシル基;カルバモイル基;ヒドロキシル基;シアノ基;アミノ基或いは;ハロゲノ基である(但し、すべてがHである場合を除く)}で示される新規な亜鉛錯体である。
上記構成によると、本発明の亜鉛錯体は、アルコキシドで架橋された二核亜鉛錯体構造となっており、アニオン性置換基と結合する。その結果、本発明の亜鉛錯体を用いて、迅速かつ容易に、各種アニオン性置換基を含む物質を分析および分離することができる。
例えば、式(I−0)に含まれる新規亜鉛錯体として、すべてのRが6位で置換されているメチル基である場合を挙げることができ、以下の式(Ib)で表される:
Figure 0004303595
この亜鉛錯体は、実施例に示す方法によって、容易かつ安価に合成することができる。さらに、この亜鉛錯体は、アニオン性置換基と結合する。その結果、容易かつ安価に合成可能な上記亜鉛錯体を用いることによって、迅速かつ容易に、各種アニオン性置換基を含む物質を分析および分離することができる。なお、式(I’)は式(I−0)又は以下の式(I)に番号を振った式であり、式(I−0)又は式(I)の6位とは式(I’)に6と振った位置のことである。
Figure 0004303595
本発明(2)は、式(I):
Figure 0004303595
{式中、Rは、相互に同一又は異なっていてもよく、H;炭素数が1〜16であるアルキル基;アシル基、カルボキシアルキル基、アシルアルキル基、カルバモイルアルキル基、シアノアルキル基、ヒドロキシアルキル基(例えば、ヒドロキシメチル基)、アミノアルキル基(例えば、アミノメチル基)又はハロアルキル基(ここで、これらの基のアルキル部分の炭素数は、1〜16である);カルボキシル基;カルバモイル基;ヒドロキシル基;シアノ基;アミノ基或いは;ハロゲノ基である}で示される亜鉛錯体(二核亜鉛錯体)を含有する、アニオン性置換基を有する物質の捕捉剤である。上記亜鉛錯体は、アニオン性置換基と結合する性質があるので、アニオン性置換基を有する物質を迅速かつ容易に捕捉しうる。また、溶液中のアニオン性置換基を含む物質を捕捉して、アニオン性置換基を含む物質と溶媒とを分離することに上記捕捉剤を使用することができる。さらに、アニオン性置換基を含む物質の定量に上記捕捉剤を使用することも可能である。
例えば、式(I)に含まれる亜鉛錯体として、すべてのRが水素である場合を挙げることができ、以下の式(Ia)で表される:
Figure 0004303595
この亜鉛錯体は、実施例に示す方法によって、容易かつ安価に合成することができる。さらに、この亜鉛錯体は、アニオン性置換基と結合する。その結果、容易かつ安価に合成可能な上記亜鉛錯体を用いることによって、迅速かつ容易に、各種アニオン性置換基を含む物質を分析および分離することができる。因みに、この式(Ia)の亜鉛錯体は、本発明(2)のみならず、以下の本発明(3)〜(9)の各種用途においても好適である。
本発明(3)は、アニオン性置換基を有する物質が、リン酸化物質である、前記発明(2)の捕捉剤である。本発明の亜鉛錯体は、アニオン性置換基の一つである二価のリン酸モノエステルアニオンと強く結合する性質がある。その結果、亜鉛錯体と二価のリン酸モノエステルアニオンとの結合により、リン酸化物質を、迅速かつ容易に捕捉する捕捉剤を得ることができる。また、溶液中のリン酸化物質を捕捉して、リン酸化物質と溶媒とを分離することに、上記捕捉剤を使用することができる。さらに、リン酸化物質の定量に上記捕捉剤を使用することも可能である。
本発明(4)は、前記発明(2)の式(I)の亜鉛錯体を含有する、リン酸化物質の不活性化剤である。リン酸化物質不活性化剤に含まれる亜鉛錯体は、二価のリン酸モノエステルアニオンと強く結合する。そのため、上記亜鉛錯体はリン酸化部位と結合する。その結合により、上記亜鉛錯体はリン酸化部位を覆う、つまりキャップして、リン酸化部位を持つ物質と他の物質との反応をそのキャップが抑制する。その結果、リン酸化物の生物的活性を低下させることができる。
本発明(5)は、前記発明(2)の式(I)の亜鉛錯体を含有する、脱リン酸化酵素阻害剤である。脱リン酸化酵素阻害剤に含まれる亜鉛錯体は、二価のリン酸モノエステルアニオンと強く結合する。そのような性質によって、脱リン酸化酵素阻害剤に含まれる亜鉛錯体は、タンパク質およびヌクレオチドのリン酸化部位に結合し、リン酸化部位をキャップする。そのキャップによって、脱リン酸化酵素を一時的に働かせないようにする。その結果、上記脱リン酸化酵素阻害剤を用いて、新規の脱リン酸化酵素(ホスファターゼ)の有無および酵素活性を調べることができる。
本発明(6)、本発明(7)、本発明(8)及び本発明(9)は、前記発明(2)の式(I)の亜鉛錯体を含有する、夫々、質量分析用添加剤、電気泳動分析用添加剤核磁気共鳴分析用添加剤及びクロマトグラフ分析用添加剤である。この分析用の添加剤に含まれる亜鉛錯体には、アニオン性置換基と結合し、特に二価のリン酸モノエステルアニオンと強く結合するという性質がある。さらに、その結合の有無を、既存の分析方法により見つけることができる。その結果、アニオン性置換基または二価のリン酸モノエステルアニオンを持つ物質を既在の方法で分析するとき、本発明の分析用添加剤を用いて分析することができる。
本発明(10)は、前記発明(2)の式(I)の亜鉛錯体の製造方法であって、ポリアミン配位子の溶液に亜鉛イオン(例えば亜鉛塩の形態で)を添加し、次に上記溶液の液性を中性に調整し、その調整後、溶液を濃縮する工程を含む方法である。本発明によれば、ポリアミン配位子の溶液に亜鉛イオン(二価)を添加し、次に液を中性とし、その後濃縮するという簡単な方法によって、亜鉛錯体を得ることができる。亜鉛イオンは、例えば亜鉛塩を溶解させることにより、容易に入手できる。その結果、上記発明の効果に加えて、さらに容易に亜鉛錯体を合成することができる。
本発明(11)は、ポリアミン配位子が、式(II):
Figure 0004303595
{式中、Rは、前記発明(2)で定義したものと同じである}で示される、前記発明(10)の方法である。例えば、すべてのRが水素である場合は、N,N,N’,N’−テトラキス((2−ピリジル)メチル)−1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパン(以下、TPAHPという)であり、すべてのRが6位に結合したメチル基の場合は、N,N,N’,N’−テトラキス((6−メチル−2−ピリジル)メチル)−1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパン(以下、TMAHPという)である。これらは容易かつ安価に得ることができる。以下に、TPAHP{式(IIa)}とTMAHP{(式(IIb)}の構造を示す:
Figure 0004303595
本発明(12)は、ポリアミン配位子が、N,N,N’,N’−テトラキス((2−ピリジル)メチル)−1,3−ジアミノ−2−ハイドロキシプロパンである、前記発明(10)の方法である。即ち、前記発明(10)の内、ポリアミン配位子がTPAHPの場合である。
本発明(13)は、亜鉛イオンの供給源として、酢酸亜鉛を用いる、前記発明(10)〜(12)のいずれか一つの方法である。亜鉛イオンの供給源として酢酸亜鉛を用いると、得られる亜鉛錯体は1分子の酢酸アニオンと結合した状態となる。その結果、亜鉛錯体は、常温で安定な錯体となり、濃縮された溶液状態のまま実験室で容易に保存することができる。その結果、亜鉛錯体の保存が容易となる。
本発明(14)は、アニオン性置換基を有する物質を、前記発明(2)の式(I)の亜鉛錯体に結合させることによって捕捉する工程を含む、アニオン性置換基を有する物質の捕捉方法である。本発明によれば、上記亜鉛錯体にアニオン性置換基を有する物質を結合させて捕捉する。その亜鉛錯体を用いるときは、例えば、何種類かの担体に亜鉛錯体を担持させて用いることができる。その結果、捕捉するときの規模または形態に応じた担体を用いて、アニオン性置換基を有する物質の捕捉を行うことができる。
本発明(15)は、アニオン性置換基を有する物質が、二価のリン酸モノエステルアニオンを有する物質である、前記発明(14)の方法である。本発明によれば、アニオン性置換基を有する物質が、二価のリン酸モノエステルアニオンを有する物質である。2価のリン酸モノエステルアニオンを有する物質とは、例えば、リン酸化物質などがある。その結果、上記方法による効果に加え、リン酸化された物質の捕捉を簡単に行うことができる。
本発明(16)は、中性条件下でアニオン性置換基を有する物質と亜鉛錯体とを結合させ、次いで、酸性条件下でアニオン性置換基を有する物質を亜鉛錯体から解離させる工程を含む、前記発明(14)又は(15)の方法である。本発明によれば、アニオン性置換基を有する物質を捕捉するときは中性条件下、捕捉されたアニオン性置換基を有する物質を亜鉛錯体から離すときは酸性条件下とする。このようにアニオン性置換基を有する物質を捕捉し、さらに捕捉した物質を放出できるのは、アニオン性置換基を有する物質と亜鈴錯体との結合がpHにより変化するからである。その結果、アニオン性置換基を有する物質の捕捉を簡単に行うことができる。また、捕捉と捕捉された物質の回収とを、pHの条件変化により自在に行うことができる。なお、ここでの中性条件とは、液のpHの上限値が8以下、好ましくは7.5以下、下限値が5以上、好ましくは5.5以上のことをいう。また、ここでの酸性条件とは、液のpHの上限値が4.5以下、好ましくは4以下のことをいう。
1.亜鉛錯体の合成
本発明の実施の一形態について説明すれば、以下の通りである。なお、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変更が可能である。
本実施の形態における亜鉛錯体は、以下の式(I)で表すことができる。特に、すべてのRが水素である場合は式(Ia)で表され、すべてのRが6位のメチル基である場合は式(Ib)で表される。更に、式(I)の亜鉛錯体とアニオン性置換基を有する物質(ここでは酢酸アニオン)との複合体は、以下の式(III)で表すことができる。特に、式(Ia)の亜鉛錯体と酢酸アニオンとの複合体は、式(IIIa)で表され、式(Ib)の亜鉛錯体と酢酸アニオンとの複合体は、式(IIIb)で表される。
Figure 0004303595
Figure 0004303595
上記の錯体は、ポリアミン配位子である下記の式(II)の化合物の溶液に、亜鉛イオンまたは亜鉛塩を添加し、次に上記溶液の液性を中性に調整し、その調整後、溶液を濃縮すると得られる。
Figure 0004303595
なお、上記「上記溶液の液性を中性に調整」とは、液のpHの上限値を9以下、好ましくは7.5以下、さらに好ましくは7.2以下、下限値を5以上、好ましくは6.5以上、さらに好ましくは6.8以上に調整することである。また、濃縮とは、溶媒を蒸発させることである。また、式(II)の化合物と亜鉛塩(亜鉛イオン)とを溶かす溶媒として、例えば、エタノール、メタノールなどのアルコールを採用することができる。しかし、その溶媒は、アルコールだけでなく、他の非プロトン性極性溶媒でもよい。
式(II)がN,N,N’,N’−テトラキス((2−ピリジル)メチル)−1,3−ジアミノ−2−ハイドロキシプロパン(TPAHP)であるとき、式(Ia)および式(IIIa)の化合物を得ることができる。そのTPAHPは、文献(Bull.Chem.Soc.Jpn.,1990,Vol.63,p1115-1120)に記載の方法により合成することができる。式(II)がN,N,N’,N’−テトラキス((6−メチル−2−ピリジル)メチル)−1,3−ジアミノ−2−ハイドロキシプロパン(TMAHP)であるとき、式(Ib)および式(IIIb)の化合物を得ることができる。尚、TMAHPは、文献(J.Am.Chem.Soc.,1995,Vol.117,p11220-11229)に記載の方法により合成することができる。
式(III)の化合物は、式(I)の化合物に酢酸アニオンが配位した亜鉛錯体(A-−Zn2L)である。この式(III)の化合物は、実施例に示す方法によって合成することができる。なお、「A-」とは「CH3COO-」のことであり、「L」とは式(I)から二つの亜鉛イオン(Zn2+)を除いた部分(リガンド)のことである。
式(I)及び式(III)で示される化合物は、比較的安価な化合物と一般的な合成施設とを利用して、ほぼ定量的に合成することができる。上記比較的安価な化合物は、例えば、亜鉛塩としての酢酸亜鉛がある。
上記のように、亜鉛イオンの供給源として酢酸亜鉛を用いると、得られる錯体は1分子の酢酸アニオンと結合した状態となる。その結果、式(IIIa)や(IIIb)をはじめとする式(III)の複合体は、常温で安定な錯体となり、濃縮された溶液状態のまま実験室で容易に保存することができる。その結果、錯体の保存が容易となる。また、式(IIIa)や(IIIb)の複合体は、カウンターアニオンと共に固体として得ることができる。その固体は、毒性や吸湿性が低く保管や取り扱いが容易である。
式(I)〜式(III)中の置換基Rは、同一でも異なっていてもよく、H;炭素数が1〜16であるアルキル基(例えば、メチル基);アシル基、カルボキシアルキル基、アシルアルキル基、カルバモイルアルキル基、シアノアルキル基、ヒドロキシアルキル基(例えば、ヒドロキシメチル基)、アミノアルキル基(例えば、アミノメチル基)又はハロアルキル基(ここで、これらの基のアルキル部分の炭素数は、1〜16である);カルボキシル基;カルバモイル基;ヒドロキシル基;シアノ基;アミノ基或いは;ハロゲノ基である。なお、製造の容易さを考慮すると、式(I)〜式(III)のRは、すべて同じ置換基であることが好ましい。なお、式(II’)は式(II)に番号を振った式であり、式(II)の6位とは式(II’)中に6と振った位置のことである。
Figure 0004303595
式(I−0)又は式(I)の置換基Rの導入は、その導入したい置換基をまず式(II)に導入することによって可能となる。式(II)に示す置換基Rを所望の置換基とすることは、ピリジン誘導体の合成に用いる方法により可能である。そのピリジン誘導体の合成に用いる方法とは、例えば、「"Aromatic Amine Oxides",Eiji Ochiai,Elsevier Publishing Company,1967」、「"Rodd's Chemistry Of Carbon Compounds" Vol.IV Part F,Elsevier Publishing Company,1976」などに記載の方法である。
式(I)の亜鉛錯体は、溶液中で3価のカチオンとして安定に存在する。また、式(Ib)は、分子量約800Daの亜鉛錯体である。また、式(Ib)および式(IIIb)に示す化合物の合成方法を実施例1に、そして、式(Ia)および式(IIIa)に示す化合物の合成方法を実施例2に示す。
2.錯体の性質
中性条件下(生理条件下)において、アニオン性置換基を有する物質の溶液に式(I)の亜鉛錯体を加えると、アニオン性置換基と錯体とが結合する。その結合の様子を図1に示す。
図1において、「anion」はアニオン性置換基を有する物質、「Zn2L」は式(I)に示す錯体、「anion−Zn2L」はアニオン性置換基を有する物質と式(I)の錯体とが結合した複合体のことである。なお、アニオン性置換基とは、例えば、−PO3 2-、−COO-、−OPO3 2-、−SO3 -、NO3 -、Cl-などである。また、酸性条件とすると、アニオン性置換基と錯体とは結合しない。
上記亜鉛錯体と各種アニオン性置換基との複合体の例を、図2〜図5に示す。図2は、4−ニトロフェニルリン酸モノエステルアニオン(O2NC64OPO3 2-)と、式(Ib)に示す錯体(Zn2L(o-methyl型))との結合を示す図である。図3は、酢酸アニオンと式(Ib)に示す錯体(Zn 2 L(o-methyl型))との結合を示す図である。図4は、4−ニトロフェニルリン酸モノエステルアニオン(O2NC64OPO3 2-)と、式(Ia)に示す錯体(Zn2(H型))との結合を示す図である。図5は、酢酸アニオンと式(Ia)に示す錯体(Zn 2 L(H型))との結合を示す図である。
なお、中性条件下において、二価のリン酸モノエステルアニオンを有する物質の溶液に本実施の形態の錯体を加えると、二価のリン酸モノエステルアニオンと錯体とは結合して複合体を形成する。また、酸性条件とすると、二価のリン酸モノエステルアニオンと錯体とは結合しない。
なお、従来より、生体に存在するリン酸エステラーゼの作用機序を解明する研究が行われている。それによると、多数のリン酸エステラーゼが、二個の金属イオン(Zn、Ni、Cuなどのイオン)で活性化されることが示されている(D.E.Wilcox,Chem.Rev.,96,2435,(1996))。また、人工合成された金属錯体を用いて、リン酸エステルの加水分解機能を解明する研究も行われている。しかし、これまでに、リン酸モノエステルを選択的に認識するために必要な分子構造は明らかにされていない。本実施の形態の錯体は、そのリン酸モノエステルを選択的に認識するために必要な分子構造を解く鍵となる。
3.錯体の利用
(物質の捕捉)
本実施の形態の錯体を捕捉剤の成分として用いて、アニオン性置換基を有する物質を捕捉することができる。また、本実施の形態の錯体を用いることにより、アニオン性置換基を有する物質を捕捉する方法を提供することができる。なお、アニオン性置換基とは、例えば、−PO3 2-、−COO-、−OPO3 2-、−SO3 -、NO3 -、Cl-などの置換基である。
また、本実施の形態の錯体を捕捉剤の成分として用いて、二価のリン酸モノエステルアニオンを有する物質を捕捉することができる。二価のリン酸モノエステルアニオンを有する物質とは、例えば、図6〜図8に示すリン酸化されたアミノ酸残基、およびそれらアミノ酸残基を有するタンパク質などがある。本実施の形態の錯体は、二価のリン酸モノエステルアニオンと強く結合するため、本実施の形態の錯体はリン酸化されたアミノ酸を捕捉することができる。
本実施の形態の錯体は、上記のように、リン酸化されたアミノ酸、リン酸化されたアミノ酸残基、およびそのアミノ酸を持つタンパク質に対して応用することができる。タンパク質のリン酸化・脱リン酸化は、生体内の情報伝達に関する重要な研究テーマの1つであり、生命機能に重要な関係を持つ。また、そのようなリン酸化過程の解明は、ポストゲノム研究の主要課題となっており、創薬ターゲットとしても注目されている。
錯体を捕捉剤として利用する形態としては、例えば、高分子膜、カラム担体、プレート孔などの担体に、錯体を担持させるという形態がある。また、担体に錯体を担持させる方法は、例えば、錯体の配位子であるピリジン骨格に導入した置換基(アミノ基や水酸基など)を高分子膜などの担体に架橋剤で共有結合させる方法がある。また、担体に錯体を担持させる別の方法としては、高分子原料をバインダーにして錯体を混合し、その混合物を発泡・造粒させるという方法がある。上記捕捉割によって物質を捕捉するときは、捕捉したい物質を含む溶液と捕捉剤とを接触させる。その接触により、捕捉したい物質を捕捉することができる。上記のような高分子膜、カラム担体、プレート孔などの様々な担体に錯体を担持させることにより、捕捉剤の形態は様々な形態をとることになる。このように捕捉剤は様々な形態をとることが可能なので、捕捉する物の規模または形態に応じて捕捉剤を選択することができる。
(物質の分析)
アニオン性置換基を持つ物質およびリン酸化された物質を分析するための分析用添加剤として、本実施の形態の亜鉛錯体を利用することができる。また、アニオン性置換基を持つ物質およびリン酸化された物質の分析方法に、本実施の形態の錯体を用いることができる。なお、上記アニオン性置換基を持つ物質およびリン酸化された物質の分析方法には、例えば、質量分析法、電気泳動分析法、核磁気共鳴分析法およびクロマトグラフ分析法などの方法がある。
例えば、リン酸化物質を分析するとき、対象とする被測定物を含む溶液のpHを調整した上で、まず、通常の方法で質量分析、電気泳動分析、核磁気共鳴分析またはクロマトグラフ分析を行う。これをコントロールとする。次に、コントロールと同じ溶液に - −Zn 2 を十分に添加後、同様の分析を行う。さらに、上記2つの分析結果を比較して相違点を探すことによって、リン酸化された物質を分析することができる。
上記のような相違点が現れるのは、以下の理由による。質量分析法またはクロマトグラフ分析法により分析が可能であるのは、被測定物に錯体が結合すると、錯体の分子量の大きさだけ被測定物の分子量が増加するからである。例えば、式(Ib)の錯体が結合すると、分子量は約800Da増加する。
また、電気泳動分析により分析が可能であるのは、被測定物に錯体が結合すると、被測定物の電荷が+3増加するからである。例えば、二価のリン酸基の場合、被測定物に錯体が結合すると、−2から+1に電荷が変化する。そのため、二次元電気泳動法において、等電位方向、質量の変化に対応するスポット変化が期待できる。よって、錯体の存在の有無により、リン酸化されたペプチドおよびタンパク質の存在を、既存の分析システムで簡単に知ることができる。
また、核磁気共鳴分析法により分析が可能であるのは、被測定物に錯体が結合すると、化学シフトが変化するからである。
また、錯体のRを高級アルキル基にして、キャピラリー内管を脂溶性にすると、キャピラリー法液体クロマトグラフでも錯体を利用することが可能となる。
上記の分析用添加剤および分析方法は、リン酸化された生体物質に用いることができる。タンパク質のリン酸化・脱リン酸化は、生体内の情報伝達に関する重要な研究テーマの1つであり、生命機能に重要な関係を持つ。また、そのようなリン酸化過程の解明は、ポストゲノム研究の主要課題となっており、創薬ターゲットとしても注目されている。
ここで、生体物質のリン酸化および脱リン酸化について簡単に説明する。生体物質のリン酸化および脱リン酸化において、各種の酵素が触媒となる。一般に、リン酸化する酵素はキナーゼと呼ばれる。キナーゼによってタンパク質がリン酸化されるとき、リン酸化されるアミノ酸残基には、セリン(Ser)、トレオニン(Thr)、チロシン(Tyr)がある。図6〜図8に示すように、リン酸化されたアミノ酸残基には、二価のリン酸基(二価のリン酸モノエステルアニオン)が結合している。また、ポリヌクレオチドキナーゼは、ポリヌクレオチドの5’末端のOH基にATP(アデノシン三リン酸)のγ位リン酸を転移する反応の触媒となる酵素である。
リン酸化された生体物質からリン酸基を加水分解によって離脱させる酵素は、一般にホスファターゼと呼ばれる。例えば、LAR脱リン酸化酵素、Yop脱リン酸化酵素などは、リン酸化されたチロシンからリン酸基を外す。λホスファターゼは、リン酸化されたSer、Thr、およびTyrのいずれからもリン酸基を外す反応の触媒となる酵素である。
大腸菌から抽出されたアルカリ性ホスファターゼは、94kDaのサブユニット2つからなる二量体であり、種々のリン酸エステルの加水分解を触媒する酵素である。この酵素の2つの亜鉛イオンは、約4Å(約4×10-10m)離れた位置にあることが知られている。このように、生体物質のリン酸化・脱リン酸化は、生命機能に重要な機能を持ち、リン酸化過程の解明がポストゲノム研究の主要課題となっている。
リン酸化された生体物質の分析をするための方法として、従来、酵素免疫法による方法および放射性同位元素による方法が知られている。
酵素免疫法(ELISA)は次のような方法である。まず、分析される目標物質に特異的に結合する抗体(または抗原でもよい)を作製する。次に、十分な量の抗体を固定した担体と、目標物質を含む溶液とを反応させる。その反応により、目的物質を抗体に結合させる。その後、抗体に結合した物質の量または物質と結合しなかった抗体の量を、酵素を用いて測定する。このようにリン酸化された生体物質の分析をするのが、酵素免疫法である。
上記方法は、抗体が、目標物質の分子構造を結合部位として認識する。その結果、リン酸化された目標物質についても、この方法を用いることができる。また、上記方法は酵素を用いているので、結合物質を敏感に検出できる。ゆえに、目標物質が微量であっても検出できるという利点がある。
しかし、上記方法は、抗体が目標物質と特異的に結合することを作用としているので、目的物質固有の抗体を作製しなければならない。その抗体の作製には、目的物質を多量に精製し入手する必要がある。さらに、抗体の作製には動物の免疫反応を用いるため、抗体の作製には時間がかかる。さらに、通常の抗体が目標物質として認識するために、目標分子の分子量が数万Da程度必要である。従って、分割されたタンパク質断片(ペプチド)のように、目標物質の分子量が数kDa以下である場合、分子構造中のリン酸化部位に対する抗体は作製できない。ゆえに、目標物質の分子量が数kDa以下である場合、酵素免疫法を用いるのは困難である。
そこで、本実施の形態の錯体を含む分析用添加剤を用いると、酵素免疫法を用いずに、リン酸化物質の分析をすることができる。その結果、上記のような抗体の作製をしなくてもよい。また、目標物質の分子量が数kDa以下であっても、上記捕捉剤を用いて、目標物質のリン酸化部位を検出することができる。
放射性同位元素を用いてリン酸化された生体物質を分析する方法は、以下のような方法である。この方法では、放射性同位元素32Pを用いる。通常、γ部位が放射性同位元素で置換された[γ−32P]ATPによって、目標物質をリン酸化する。その後、イオン交換膜の一種であるホスホセルロースフィルターを用いて、フィルター中のアニオンと目標物質を含む溶液中の放射性リン酸とを置換させて、放射性リン酸を捕捉する。次に、フィルターを酸で洗浄して、余剰の[γ−32P]ATPを離脱させる。その後、フィルターに残った放射性リンの量を放射線カウンターで定量する。その定量によってリン酸化された生体物質を分析する、というのがこの方法である。
なお、上記ホスホセルロースフィルターとは、例えば、「Isolation of Phosphorylated Peptides and Proteins on Ion Exchange Papers,D.B.Glass et al,Anal.Biochem.87,p566-575(1978)」または特開2000−316599号公報などに開示されたフィルターである。
上記放射性同位元素を用いる方法は、放射線を用いるため、極めて高感度に測定できる。しかし、この方法は、放射性同位元素を使用するため、廃液の管理に手間がかかる。また、放射線を用いるための設備を準備しなければならない。
そこで、放射性同位元素を用いた方法の代わりに錯体を含む捕捉剤を用いた方法を用いると、上記のような廃液の管理という手間からは開放される。もちろん、錯体を含む捕捉剤を用いた方法では、放射線を用いないので、放射線を用いるための設備を準備しなくてもよい。
上記従来の分析法においては、リン酸化された物質があるかどうか不明という場合には、さらに分析上の課題がある。例えば、タンパク質の機能を解明するために、二次元電気泳動法が用いられている。タンパク質消化酵素で分断されたペプチドは、ゲル上で等電位点・質量ごとに分離され、ペプチドに特有なスポットを形成する。リン酸化されたぺプチドとリン酸化されていないぺプチドとでは、電荷が異なる。ゆえに、二次元電気泳動法は、リン酸化・非リン酸化ペプチドを分離することができる。しかし、多数のスポットがある場合、どれがリン酸化されたペプチドであるかを同定することはできない。放射性同位元素で標識されたATPを用いて合成したリン酸化タンパク質については、各スポットの放射線を検出することにより、リン酸化ぺプチドの同定・分離が可能となる。しかし、この方法は、上記と同様、放射線取り扱い上の課題がある。これは、液体クロマトグラフィー、核磁気共鳴分析でも同様である。
そこで、本実施の形態の錯体を含む分析用添加剤を用いると、二次元電気泳動法において、リン酸化・非リン酸化ぺプチドを分離することも可能となり、放射線取り扱い上の課題を回避することもできる。
(反応の調節)
リン酸化された物質を不活性化するリン酸化物質不活性化剤の成分として、本実施の形態の錯体を利用することができる。
本実施の形態の錯体は、アミノ酸などがリン酸化された部位に結合する。そのような部位に結合すると、錯体がリン酸化部位をキャップすることになる。そのようなキャップが形成されると、リン酸化部位を持つ物質と他の物質との反応は抑制され、リン酸化物の生物的活性は低下する。
本実施の形態の錯体は、リン酸化部位に強く結合する性質を有する。また、中性条件においては、亜鉛イオンをほとんど放出しないため、人体に与える影響の小さい錯体である。そのため、本実施の形態のリン酸化物質不活性化剤を、例えば、高リン血症などの治療薬として利用することができる。このように錯体を利用すると、少量の投与で薬効が高く副作用の小さい高リン血症の治療薬となることが期待できる。
また、本実施の形態の錯体は、脱リン酸化酵素阻害剤の成分として利用することができる。
本実施の形態の錯体は、タンパク質およびヌクレオチドのリン酸化部位に結合し、リン酸化部位をキャップする。そのキャップによって、脱リン酸化酵素を一時的に働かせないようにする。
本実施の形態の脱リン酸化酵素阻害剤は、次のような用途に利用することができる。例えば、アミノ酸またはタンパク質のリン酸化部位を脱リン酸化させたくない場合、本実施の形態の錯体を添加してリン酸化部位をキャップし、脱リン酸化酵素(ホスファターゼ)を一時的に働かせないようにすることができる。さらに、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)などの金属キレート剤の添加またはpHの調整によって、一時的に働かせないようにしたホスファターゼの酵素活性を取り戻すこともできる。上記のような脱リン酸化酵素阻害剤を利用することによって、例えば、新規なホスファターゼの有無およびホスファターゼの活性を調ベることができる。
なお、錯体を各種修飾した化合物、および錯体の各種異性体を合成することも可能である。ゆえに、上記脱リン酸化酵素阻害剤に利用するときは、本実施の形態の錯体をそのまま利用する、錯体を各種修飾した化合物を利用する、または錯体の各種異性体を利用することも可能である。
実施例1:亜鉛錯体の合成
式(Ib)および式(IIIb)の化合物を次の方法により合成した。
酢酸亜鉛(1.0mmol)のエタノール溶液(3ml)に、o-methyl型配位子であるTMAHPのメタノール溶液(3ml)を室温で加えた。次に、マグネティクスターラーなどで攪拌しながら、水酸化ナトリウム(0.5mmol)と過塩素酸ナトリウム(2.0mmol)とを上記混合溶液に加えた。さらに、溶液のpHを測定し、液のpHが7.0に近づくように調整した。その調整後、無色の溶液を濃縮した。その濃縮により、87%の収率(0.39g)でZn2L(o-methyl)-acetate(ClO42の白色固体を得た。ここで(ClO42は、カウンターアニオンである。
元素分析、1H−NMR(400MHz)、13C−NMR(100MHz)、および赤外線分析により、上記白色固体の化学構造を確認した。下記に、そのデータを示す。
元素分析によると、元素分析の理論値はC33H40N6O11CL2Zn2:C,44.12;H4.49;N,9.35であるが、元素分析の実測値はC,44.04;H,4.51;N,9.48であった。
1H−NMRの結果は、1H NMR(CD3CN溶媒,400MHz):δ=2.23(3H,s,CH3COO),2.27(2H,t,CH2N),2.78(6H,s,pyCH3),2.80(6H,s,pyCH3),3.02(2H,dd,CH2N),3.71(2H,d,NCH2py),4.02(2H,d,NCH2py),4.07(2H,d,NCH2py),4.14(1H,m,CH),4.46(2H,d,NCH2py),7.22(2H,d,pyH),7.33(2H,d,pyH),7.36(2H,d,pyH),7.41(2H,d,pyH),7.86(2H,t,pyH),7.88(2H,t,pyH).であった。
13C−NMRの結果は、13C NMR(CD3CN溶媒,100MHz):δ=24.6(pyCH 3 ,24.7(pyCH3),25.8(CH3-),55.4(CH2N),58.4(NCH2py),58.7(NCH2py),62.6(CH),122.9(py),123.2(py),126.6(py),126.7(py),141.7(py),142.0(py),156.5(py), 160.4(py),161.0(py),180.8(COO).であった。
赤外線分析の結果は、IR(cm-1):νas(COO),1576;νs(COO),1440; ν3(ClO4),1086であった。
上記のデータは、式(Ib)の化合物と酢酸イオンが1:1で結合し、式(Ib)に示す化合物のモル数に対し2倍量の過塩素酸イオンを、カウンターイオンとして持つ物質であることを示している。
実施例2:亜鉛錯体の合成
式(Ia)および式(IIIa)の化合物を次の方法により合成した。
H型配位子であるTPAHP(4.39mmol)のエタノール溶液(100ml)に、10M水酸化ナトリウム水溶液(1.0eq)を加え、次いで酢酸亜鉛二水和物(9.66mmol,2.2eq)を加えた。溶媒を減圧留去し褐色オイル状残渣を得た。この残渣に水(10mL)を加え、溶解し、1.0M過塩素酸ナトリウム水溶液(3.0eq)を加熱しながら滴下した。乳白色の結晶が析出した。濾取し、加熱乾燥して微黄褐色の粉末状結晶を79%の収率(2.99g)でZn 2 L(H型)-acetate(ClO42の白色固体を得た。ここで(ClO42は、カウンターアニオンである。
元素分析、1H−NMR(400MHz)、13C−NMR(100MHz)、および赤外線分析により、上記白色固体の化学構造を確認した。下記に、そのデータを示す。
元素分析によると、元素分析の理論値はC29H34N6O12CL2Zn2:C 40.49;H 3.98;N 9.77であるが、元素分析の実測値はC 40.43;H 3.86;N 9.85であった。
1H−NMRの結果は、1H NMR(DMSO-D6溶媒,400MHz):δ=2.04(2H,dd,J=12.1 and 12.4Hz,HC-1,3),2.53(3H,s,HC-35),3.06(2H,dd,J=12.1 and 12.3Hz,HC-1,3),3.74(1H,t,J=10.4Hz,HC-2),4.02-4.34(8H,m,HC-5,13,20,27),7.54-7.65(8H,m,HC-10,11,18,19,25,26,32,33),8.06-8.12(4H,m,HC-9,17,24,31),8.58(4H,dd,J=16.3 and 16.5Hz,HC-8,16,23,30).であった。
13C−NMRの結果は、13C NMR(DMSO-D6溶媒,100MHz):δ=58.0,60.1,62.0,64.6,122.7,124.3,124.4,139.9,140.4,147.0,147.2,154.7,155.1.であった。
赤外線分析の結果は、IR(cm-1):νas(COO),1556;ν3(ClO4),1090であった。
上記のデータは、式(Ia)の化合物と酢酸イオンが1:1で結合し、式(Ia)に示す化合物のモル数に対し2倍量の過塩素酸イオンを、カウンターイオンとして持つ物質であることを示している。
実施例3:質量分析1
4−ニトロフェニルリン酸モノエステルアニオンとZn2(o-methyl型)とが結合した錯体の質量分析(TOF−Mass分析)を行った。
式(Ib)で表される化合物(Zn2L(o-methyl型)−acetate)の水/アセトニトリル(1:1)溶液(0.1mM)に、式(Ib)で表される化合物と等モル量の4−ニトロフェニルリン酸モノエステルアニオンを加えてサンプル溶液とした。サンプル溶液の分析には、Micromass社のエレクトロスプレーイオン化−質量(ESI−MS)分析装置(LCT型)を用いた。その結果を図9および図10に示す。
図9および図10の結果によると、Zn2(o-methyl型)に結合していた酢酸アニオンが、定量的に4−ニトロフェニルリン酸モノエステルアニオンに置き換わったことが分かる。つまり、その置き換わりにより、4−ニトロフェニルリン酸モノエステルアニオンの結合したZn2L(o-methyl型)錯体のピークが得られた。
図10のTheoreticalと書いたピークは、図9に示す構造式に基づいて作製した理論分析ピークである。その理論分析ピークは、亜鉛および炭素の安定同位体(64Zn、66Zn、67Zn、68Zn、70Zn;12C、13C)とその存在比から計算した。また、図10のExperimentalと書いたピークは、実験により得られたピークを示す。これらピークにより、理論分析ピークと実験により得られたピークとがほぼ一致することが分かった。
なお、4−ニトロフェニルリン酸モノエステルアニオンがリン酸化されていない場合、つまり4−ニトロフェノールと無機リン酸イオンとが存在する場合には、分子量の異なるピークが2つ現れる。その2つのピークとは、リン酸水素イオンの結合した錯体およびフリーの亜鉛錯体のピークである。その結果、簡単な質量分析法と亜鉛錯体とを用いることにより、リン酸化の有無を迅速容易に判定できる。
実施例4:質量分析2
リン酸化されたセリンとZn2(o-methyl型)とが結合した錯体の質量分析(Tof−Mass分析)を行った。
式(Ib)で表される化合物(Zn2L(o-methyl型)-acetate)の水/アセトニトリル(1:1)溶液(0.1mM)に、式(Ib)で表される化合物と等モル量のリン酸化セリン(−2価、2ナトリウム塩、シグマ社製)を加えてサンプル溶液とした。サンプル溶液の分析には、Micromass社のエレクトロスプレーイオン化−質量(ESI−MS)分析装置(LCT型)を用いた。その結果を図11に示す。
図11に示す結果によると、予想通り、Zn2(o-methyl型)に結合していた酢酸アニオンが、定量的にリン酸化セリンに置き換わったことが分かる。図11の(i)から(v)に示す分析ピークは、図11中に示す(i)から(v)の化合物のピークである。(i)(820付近)の分析ピークが、リン酸化セリンとZn2(o-methyl型)とが結合した錯体を示すピークである。
実施例5:質量分析3
各種リン酸化アニオンに式(Ia)で示される化合物を添加し、マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析計(MALDI−TOF/MS)を用い質量分析を行った。
MALDI-TOF/MS:Voyager RP型(PE Biosystems社)
添加剤:式(Ia)で示される化合物
サンプル:p60c-src Peptide 521-533, リン酸化型と非リン酸化型
O-Phospho-L-serineナトリウム塩
マトリックス:THAP(2,4,6-trihydroxyacetophenone)40mg/mL(CH3CN)
サンプル溶解用pH緩衝液:10mM Tris-H3BO3 buffer (pH = 8.0)
測定用サンプルの調整と測定方法:
式(Ia)で示される化合物(1mM)および各サンプル(1mM、は2mM)を蒸留水に溶解した。1.5mLのミクロチューブに以下割合で混合し、MALDI−TOF/MS測定用サンプル溶液とした。1 mMの式(Ia)で示される化合物(5μL)、サンプル水溶液(10μL)、10 mM Tris-borate buffer(pH=8.0)(30μL),蒸留水(5μL):全量50μLとした。測定用サンプル0.5μLをサンプルプレート上に塗布した後、直ちにマトリックス溶液0.5μLをその液滴に加えた。室温下、溶媒を風乾した後、質量分析を行った。分析結果をp60c-src Peptide 521-533、リン酸化型と非リン酸化型に関しては図12から図14に、O-Phospho-L-serineナトリウム塩に関しては図15に示す。その結果、本分析法と亜鉛錯体とを用いることにより、生理pH範囲でリン酸化された化合物が感度よく測定できる。
実施例6: 31 P)核磁気共鳴分析
4−ニトロフェニルリン酸モノエステルアニオンとZn2(o-methyl型)とが結合した錯体の31P核磁気共鳴分析を行った。
式(Ib)で表される化合物(Zn2L(o-methyl型)-acetate)の重水/重アセトニトリル(1:1)溶液(5.0mM)に、式(Ib)で表される化合物と等モル量の4−ニトロフェニルリン酸モノエステルアニオンを加えてサンプル溶液とした。サンプル溶液は、LA500核磁気共鳴装置(日本電子(株)製)を用いて分析された。なお、分析中の温度は35℃とした。
4−ニトロフェニルリン酸モノエステルアニオンが亜鉛錯体と結合していないとき、リン核はδ=2.74ppmのピークを示した。しかし、上記分析の結果、4−ニトロフェニルリン酸モノエステルアニオンが亜鉛錯体と結合しているとき、結合していないときより高磁場側にシフトした、δ=0.55ppmの鋭いピークをリン核は示すことが分かった。なお、レファレンスには、80%リン酸水溶液(δ=0ppm)を用いた。
実施例7:電気泳動1
リン酸化されたチロシンとZn2(o-methyl型)とが結合した錯体の電気泳動を行った。
式(Ib)で表される化合物(Zn2L(o-methyl型)-acetate)の水/アセトニトリル(1:1)溶液(5mM)に、式(Ib)で表される化合物と等モル量のリン酸化チロシン(−2価、2ナトリウム塩、シグマ社製)を加えた。その後、溶媒を減圧除去し、白色固体を得た。その白色固体を少量の水に溶解させ、サンプル溶液とした。
電気泳動には、電気泳動装置SJ-1051 V-C stabilizer(アトー株式会社製)を用いた。また、電解液は、50mM−pH7.4のHEPES緩衝水溶液を用いた。電気泳動膜は、6×12cmのセルロースアセテート紙(Gelmam Science Seprahore III)を使用した。レファレンスには、標準試薬のブロモフェノールブルー(−1価)と、錯体が結合していないリン酸化チロシンとを用いた。また、リン酸化チロシンの発色剤として、1%ニンヒドリン水溶液を用いた。なお、温度は室温、電気泳動の電圧は300V、泳動の時間は5分間という条件で電気泳動を行った。結果を図16に示す。
図16において、aはリン酸化チロシン、bはリン酸化されたチロシンとZn2(o-methyl型)とが結合した錯体、cはブロモフェノールブルーを示す。図16に示すように、aおよびcは、マイナスの電荷を帯びているため、プラス極方向に移動した。しかし、bはマイナス極方向に移動した。bがマイナス方向に移動するのは、リン酸化されたチロシン(−2)とZn2(o-methyl型)(+3)とが結合した錯体は、プラスの電荷(+1)を帯びているからである。
実施例8:電気泳動2
様々な長さ(587〜51pb)の二本鎖DNAを酸性フォスファターゼで処理したもの(5’末端にリン酸基を持たないもの、5’−OH)と未処理のもの(5’−P)を同じゲルで電気泳動し、エチジウムブロマイド染色した。結果を図17に示す。
図中(A)は一般的な泳動バッファー(Tris−ホウ酸)を用いた場合である。10μMの式(Ia)で示される化合物を添加した場合では、リン酸基を持つDNAは全て泳動距離が短くなった。式(Ia)で示される化合物が末端リン酸基に結合してアンカーとしての役割を果たしていることを示している。
図中(B)は過剰の無機リン酸イオンを含むpH緩衝液を用いた場合である。(A)のような泳動距離の違いは見られない。無機リン酸イオンが式(Ia)で示される化合物と競合的に結合してしまうため、式(Ia)で示される化合物が末端リン酸基に結合できないためである。
この結果は、リン酸基を持つDNAと同じ長さのリン酸基を持たないDNAとを電気泳動により分離することができることを示している。また、リン酸化分子に結合した式(Ia)で示される化合物は、無機リン酸イオンを添加することにより容易に除去できる。
実施例9:電気泳動3
8個のセリン残基がリン酸化されたカゼインとそれらのリン酸基を取り除いたものをポリアクリルアミド電気泳動をで分離し、クマシーブリリアントブルー染色した。電気泳動の条件と結果を図18に示す。なお、牛血清アルブミンを比較たんぱく質とした。
式(Ia)で示される化合物を含まないコントロール実験では、電気的によりマイナスなリン酸化されたカゼインの方がより早く+極に泳動された(泳動図A)。一方、20μMの式(Ia)で示される化合物を添加した場合(泳動図B)、リン酸基に+3価の式(Ia)で示される化合物が結合したため、リン酸化カゼインとリン酸化されていないカゼインの泳動位置は逆転した。
この結果は、生理条件下でリン酸化たんぱく質の電気泳動位置を自由に変えることができることを示している。
実施例10:電気泳動4
5個のセリン残基がリン酸化されたカゼインを基質とし、ポテト酸性フォスファターゼ(PAP)による脱リン酸化反応に対する式(Ia)で示される化合物添加効果を実験した。リン酸化カゼインと脱リン酸化カゼインは、SDSポリアクリルアミド電気泳動で分離し、クマシーブリリアントブルー染色した。電気泳動の条件と結果を図19に示す。
式(Ia)で示される化合物の濃度の増加(図の2→8参照)と共に脱リン酸化反応が抑制されていることが分かった。複数のバンドはリン酸化の数の違うカゼイン(脱リン酸化反応の中間体)が存在するためである。
この結果は、式(Ia)で示される化合物がリン酸基の関与する様々な反応を制御できることを示している。
図1は、式(I)の亜鉛錯体が行うアニオンの捕捉という概念を示す図である。 図2は、4−ニトロフェニルリン酸モノエステルアニオンと亜鉛錯体(式Ib)との結合を示す図である。 図3は、酢酸アニオンと亜鉛錯体(式Ib)との結合を示す図である。 図4は、4−ニトロフェニルリン酸モノエステルアニオンと亜鉛錯体(式Ia)との結合を示す図である。 図5は、酢酸アニオンと亜鉛錯体(式Ia)との結合を示す図である。 図6は、リン酸化されたセリンを示す図である。 図7は、リン酸化されたトレオニンを示す図である。 図8は、リン酸化されたチロシンを示す図である。 図9は、本発明の亜鉛錯体(Ib)と4−ニトロフェニルリン酸モノエステルアニオンとが結合した複合体を質量分析した結果(m/zが0から1500まで)を示す図である。 図10は、本発明の亜鉛錯体(Ib)と4−ニトロフェニルリン酸モノエステルアニオンとが結合した複合体を質量分析した結果(m/zが845から870まで)を示す図である。 図11は、本発明の亜鉛錯体(Ib)とリン酸化セリンとが結合した化合物を質量分析した結果(m/zが0から1500まで)を示す図である。 図12は、本発明の亜鉛錯体を用いずに、リン酸化されたペプチドとリン酸化されていないペプチドのMALDI−TOF/MS分析結果を示す図である。なお、図12(m/z 1463.72 [M+3H]+, m/z 1485.65 [M+2H+Na]+ , m/z 1501.64 [M+2H+K]+)における、p60c-src ペプチド 521-533の非リン酸化型(C62H92N16O25 2-+H2-Thr-Ser-Thr-Glu-Pro-Gln-Tyr-Gln-Pro-Gly-Glu-Asn-Leu-O-;Exact Mass:1460.64)とリン酸化型(C62H91N16O28P4-+H2-Thr-Ser-Thr-Glu-Pro-Gln-Tyr(PO3H2)-Gln-Pro-Gly-Glu-Asn-Leu-O-;Exact Mass:1538.59)の測定条件は、以下の通りである:マトリックス:THAP; 実験モード: リフレクター(Reflector); 加速電圧: 20000V; グリッド電圧: 57.500%; レーザー強度: 2400; 測定回数: 128; 真空度: 2.51e-07 mmHg。 図13は、図12での両ペプチドに本発明の亜鉛錯体を添加した場合のMALDI−TOF/MS分析結果を示す図である。なお、図13における、p60c-src ペプチド 521-533 非リン酸化型とリン酸型のフォスタグ(Phos-tag)コンプレックス(C89H120N22O29PZn2 -; Exact Mass: 2119.69; m/z 2122.03 [M+2H]+
Figure 0004303595

の測定条件は、以下の通りである:マトリックス: THAP; 実験モード: リフレクター(Reflector); 加速電圧: 20000V; グリッド電圧: 57.500%; レーザー強度: 2400; 測定回数: 128; 真空度: 2.82e-07 mmHg。なお、フォスタグ(Phos-tag)とは、式(Ia)で示される化合物である
図14は、リン酸化されたペプチドに本発明の亜鉛錯体を添加した場合のMALDI−TOF/MS分析結果を示す図である。なお、図14における、p60c-src ペプチド 521-533リン酸化型+フォスタグ(Phos-tag)コンプレックス (m/z 2122.39 [M+2H]+)の測定条件は、以下の通りである:マトリックス: THAP; 実験モード: リフレクター(Reflector); 加速電圧: 20000V; グリッド電圧: 57.500%; レーザー強度: 2400; 測定回数: 128; 真空度: 2.93e-07 mmHg。なお、フォスタグ(Phos-tag)とは、式(Ia)で示される化合物である 図15は、O−ホスフォ−L−セリンに本発明の亜鉛錯体を添加した場合のMALDI−TOF/MS分析結果を示す図である。なお、図15における、O−フォスフォ−L−セリン +フォスタグ(Phos-tag)コンプレックス(C30H35N7O7PZn2 +; Exact Mass: 764.09; m/z 763.97 M+
Figure 0004303595

の測定条件は、以下の通りである:マトリックス: THAP; 実験モード: リフレクター(Reflector); 加速電圧: 20000V; グリッド電圧: 57.500%; レーザー強度: 2350; 測定回数: 128; 真空度: 2.47e-07 mmHg。なお、フォスタグ(Phos-tag)とは、式(Ia)で示される化合物である
図16は、本発明の亜鉛錯体(Ib)とリン酸化チロシンとが結合した化合物を電気泳動した結果を示す図である。 図17は、リン酸基の有無による、DNAの電気泳動した結果を示した図である。尚、二本鎖DNA(pBR322を制限酵素Hae IIIで処理したもの)のポリアクリルアミドゲル電気泳動(10%ゲル)に関する図17において、(A)は、90mM トリス-90 mM ホウ酸緩衝液を用いた場合の、対照{5’−リン酸(1(i))、5’−OH(1(ii))}及びフォスタグ(Phos-tag) 10μM{5’−リン酸(2(i))、5’−OH(2(ii))}のバンドを示したものであり、(B)は、90mM トリス-22.5 mM リン酸緩衝液を用いた場合の、対照{5’−リン酸(1(i))、5’−OH(1(ii))}及びフォスタグ(Phos-tag) 10μM{5’−リン酸(2(i))、5’−OH(2(ii))}のバンドを示したものである。なお、「フォスタグ(Phos-tag)」と記載されているものは、式(Ia)で示される化合物である 図18は、亜鉛錯体の電気泳動距離を電気泳動した結果を示した図である。尚、図18におけるネイティブ(Native)-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(7.5%ゲル)での測定条件は下記の通りである:40 mA、1.5時間、クマシーブリリアントブルー染色、分離用緩衝液(lower gel buffer): 375mM トリス-塩酸 (pH 8.8), 濃縮用緩衝液(stacking gel buffer): 125 mM トリス-塩酸 (pH 6.8), 泳動用緩衝液(running buffer): 25 mM トリス-塩酸 (pH 8.4) + 192 mM グリシン。また、図中(A)は対照の場合であり、(B)は20μMフォスタグ(Phos-tag)の場合であり、レーン1は牛血清アルブミンのバンドであり、レーン2は牛のαs1-カゼイン(8個のセリンがリン酸化形態)のバンドであり、レーン3は牛のαs1-カゼイン(脱リン酸化形態)のバンドである。なお、「フォスタグ(Phos-tag)」と記載されているものは、式(Ia)で示される化合物である 図19は、亜鉛錯体が酵素阻害剤になることを電気泳動で示した図である。尚、図19におけるSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(12.5%ゲル)での測定条件は下記の通りである:40 mA、1時間、クマシーブリリアントブルー染色、分離用緩衝液(lower gel buffer): 375mM トリス-塩酸 (pH 8.8), 0.1%(w/v) SDS, 濃縮用緩衝液(stacking gel buffer): 125 mM トリス-塩酸 (pH 6.8), 0.1%(w/v) SDS, 泳動用緩衝液(running buffer): 25 mM トリス-塩酸 (pH 8.3) + 190 mM グリシン, 0.1%(w/v) SDS。また、図中レーン1は牛のβ-カゼイン(リン酸化形態)のバンドであり、レーン2は牛のβ-カゼイン(脱リン酸化形態)のバンドであり、レーン3〜8はPAP加水分解反応産物(3: 30μM Phos-tag; 4: 40μM Phos-tag; 5: 50μM Phos-tag; 6: 100μM Phos-tag; 7: 150μM Phos-tag; 8: 200μM Phos-tag)のバンドである。なお、「フォスタグ(Phos-tag)」と記載されているものは、式(Ia)で示される化合物である

Claims (14)

  1. 式(I):
    Figure 0004303595
    {式中、Rは、相互に同一又は異なっていてもよく、H;炭素数が1〜16であるアルキル基;アシル基、カルボキシアルキル基、アシルアルキル基、カルバモイルアルキル基、シアノアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アミノアルキル基又はハロアルキル基(ここで、これらの基のアルキル部分の炭素数は、1〜16である);カルボキシル基;カルバモイル基;ヒドロキシル基;シアノ基;アミノ基或いは;ハロゲノ基である}で示される亜鉛錯体を含有する、−COO、−OPO 2−、−SO 及びClから選択したアニオン性置換基を有する物質の捕捉剤。
  2. アニオン性置換基を有する物質が、リン酸化物質である、請求項記載の捕捉剤。
  3. 請求項記載の式(I)の亜鉛錯体を含有する、リン酸化物質の不活性化剤。
  4. 請求項記載の式(I)の亜鉛錯体を含有する、脱リン酸化酵素阻害剤。
  5. 請求項記載の式(I)の亜鉛錯体を含有する、質量分析用添加剤。
  6. 請求項記載の式(I)の亜鉛錯体を含有する、電気泳動分析用添加剤。
  7. 請求項記載の式(I)の亜鉛錯体を含有する、核磁気共鳴分析用添加剤。
  8. 請求項記載の式(I)の亜鉛錯体を含有する、クロマトグラフ分析用添加剤。
  9. 請求項記載の式(I)の亜鉛錯体の製造方法であって、式(II):
    Figure 0004303595
    (式中、Rは、請求項で定義したものと同じである)で示されるポリアミン配位子の溶液に亜鉛イオンを添加し、次に上記溶液の液性を中性に調整し、その調整後、溶液を濃縮する工程を含む方法。
  10. ポリアミン配位子が、N,N,N’,N’−テトラキス((6−メチル−2−ピリジル)メチル)−1,3−ジアミノ−2−ハイドロキシプロパンである、請求項記載の方法。
  11. 亜鉛イオンの供給源として、酢酸亜鉛を用いる、請求項又は10記載の方法。
  12. −COO、−OPO 2−、−SO 及びClから選択したアニオン性置換基を有する物質を、請求項記載の式(I)の亜鉛錯体に結合させることによって捕捉する工程を含む、アニオン性置換基を有する物質の捕捉方法(ただし、ヒトの治療又は診断に係る方法を除く)。
  13. アニオン性置換基を有する物質が、二価のリン酸モノエステルアニオンを有する物質である、請求項12記載の方法。
  14. 中性条件下でアニオン性置換基を有する物質と亜鉛錯体とを結合させ、次いで、酸性条件下でアニオン性置換基を有する物質を亜鉛錯体から解離させる工程を含む、請求項12又は13記載の方法。
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