JP4109621B2 - リン酸モノエステル化合物の分子量を求める方法、およびマススペクトル測定用添加剤 - Google Patents

リン酸モノエステル化合物の分子量を求める方法、およびマススペクトル測定用添加剤 Download PDF

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Description

本発明は、生体試料等に含まれるリン酸モノエステル化合物の分子量を求める方法、および当該方法に使用されるマススペクトル測定用添加剤に関するものである。
ある種の生体内酵素は、活性中心を代表とする特定部位にセリンやトレオニン,チロシン残基を有し、これらの水酸基が、キナーゼと呼ばれる酵素によりリン酸化(リン酸モノエステル化)されたり或いは脱リン酸化されることによって、酵素活性が調節されている。また、リシン,アルギニン,ヒスチジンの窒素や、アスパラギン酸,グルタミン酸のカルボキシル基がリン酸化(または脱リン酸化)されることによって、活性が調節されている酵素もある。
この様なリン酸化−脱リン酸化により調節されている代謝系としては、グリコーゲン合成の抑制とその分解系がよく知られている。この代謝系は、主としてリン酸化−脱リン酸化によりカスケード制御され、調節されている。
そして近年、このリン酸化−脱リン酸化が、疾病に関係する代謝系において重要な役割を有していることが明らかとなってきている。
例えば、細胞のガン化は、リン酸化−脱リン酸化の異常が一因であるといわれている。つまり、細胞周期の進行や停止は様々な酵素(タンパク質)のリン酸化(または脱リン酸化)により制御されており、このリン酸化にはサイクリンとサイクリン依存性キナーゼ(CDK)が関与しているが、斯かるメカニズムが損傷するとリン酸化(または脱リン酸化)に乱れが生じ、その結果、細胞の異常増殖が引発されることになる。
その他にも、プロテインキナーゼCが、アトピー性皮膚炎や花粉症などのアレルギー疾患の原因となるヒスタミンの脱顆粒に関与することや、アルツハイマー病患者の脳で発生する神経原繊維変化は、リン酸化されたタウタンパク質によることが明らかにされている。
従って、生体試料中どの酵素(タンパク質)がリン酸化(または脱リン酸化)されているかを把握できれば、生体組織細胞遺伝子の発現の探索や酵素活性評価のみならず、疾病の診断や治療にも役立つ可能性がある。
ところが、従来より用いられてきたリン酸化タンパク質(または脱リン酸化タンパク質)の特定方法には、様々な欠点がある。
例えば、酵素免疫法は、対象となるタンパク質試料が微量であっても分析可能という利点があるが、必要な抗体を充分量得ることが困難であり、また、対象タンパク質が数kDa以下である場合には、タンパク質中のリン酸化部位に結合する抗体を調製することができない。
また、放射性同位元素32Pで標識されたリン酸を使用することによって、タンパク質への特異的結合を検出する方法も考えられるが、放射性同位元素の取扱には当然に注意が必要であり、廃液の管理や処理まで要求される。
更に、リン酸化タンパク質と脱リン酸化タンパク質とでは電荷が異なることから、二次元電気泳動法の応用も考えられる。しかし、特に生体試料を分析する場合には、試料に多種類のタンパク質が含まれていることから、スポットの特定が非常に困難である。それに加え、このスポット特定のために放射性同位元素を用いるとすれば、前述した問題が生じてくる。
ところで、非特許文献1には亜鉛錯体が記載されており、当該亜鉛錯体は、二つの亜鉛イオンがジヌクレオチド中のリン酸基に作用し、切断するという機能を有する。しかし、非特許文献1における当該錯体の機能はあくまで触媒としてのものであり、リン酸基との配位結合能に関しては、一切記載されていない。実際、本発明者らによる実験によれば、当該錯体と2つのヌクレオチド間のリン酸基(リン酸ジエステル基)との解離定数は非常に大きい。即ち、リン酸ジエステル基に対する当該錯体の配位結合能は低い。
また、非特許文献2にも、上記亜鉛錯体と類似の構造を有する鉄錯体が記載されている。しかし、当該鉄錯体は、酸素分子の運搬タンパク質であるヘムエリトリン(hemerythrin)のモデルとして合成されたものであり、当該鉄錯体とリン酸モノエステル基との配位結合能に関して全く記載も示唆もされていないことは、上記非特許文献1と同様である。
本発明者らは、既にリン酸モノエステル基を有するペプチド等を特定する方法を開発し、特許出願している(出願番号:PCT/JP02/13341)。当該技術では、リン酸モノエステル基等のアニオン性置換基へ特異的に配位結合する錯体を利用し、当該錯体を作用させた試料と作用させない試料とで例えばマススペクトルを比較し、リン酸モノエステル基等が結合した化合物の情報を得ることができる。即ち、当該錯体が結合した化合物と結合していない化合物では錯体の分だけ分子イオンピークの値が異なるはずであるから、リン酸モノエステル基を有する化合物の分子量を知ることができる。
しかし、単一試料(精製された試料)はともかく、複数化合物が含まれる混合試料の分析では、たとえチャートを拡大したとしても目的とする分子イオンピークを特定できない場合がある。つまり、マススペクトルでは化合物を構成する原子の同位体分布によってイオンピークの表われ方が異なるため、当該錯体が結合した化合物と結合していない化合物間では分子イオンピークの表われ方が異なり、ピークを特定し難いことがある。
ヤシロ・モリオ,他2名,「Preparation and Study of Dinuclear Zinc(II) Complex for the Efficient Hydrolysis of the Phosphodiester Linkage in a Diribonucleotide」,ジャーナル・オブ・ザ・ケミカル・ソサエティ・ケミカル・コミュニケーションズ(Journal of the Chemical society, Chemical communications),p.1793−1794(1995年) ヒデカズ・アリイ,他6名,「A novel diiron complex as a functional model for hemerythrin」,ジャーナル・オブ・インオーガニック・バイオケミストリー(Journal of Inorganic Biochemistry),第82巻,p.153−162(2000年)
上述した状況の下、本発明が解決すべき課題は、たとえ複数化合物が含まれる生体試料等であっても、この中からリン酸モノエステル化された化合物(ペプチドや糖類など)の分子量を容易に特定することができる方法を提供することにある。
これに加えて、本発明では、上記方法に使用できるマススペクトル測定用添加剤を提供することも課題としている。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、リン酸モノエステル基に対する高い結合能を示す金属錯体であり既に開発済みのものについて更に鋭意研究を進めたところ、単一の亜鉛同位体が配位した錯体化合物を被検試料に作用させ複数のマススペクトル測定結果を取得し、これらを比較すれば、容易にリン酸モノエステル化合物の分子量を同定できることを見出して本発明を完成した。
即ち、本発明に係るリン酸モノエステル化合物の分子量を求める方法は、
(1) 単一の亜鉛同位体により構成されており且つ式(I)で表わされる化合物を含む錯体化合物と被検試料とを溶媒中で混合して溶液とした後、当該溶液についてマススペクトル測定を行なう工程、
[式中、R〜Rは水素原子または置換基を示す。]
(2) 上記同位体とは異なる単一の亜鉛同位体により構成されており且つ式(I)で表わされる化合物を含む錯体化合物と被検試料とを溶媒中で混合して溶液とした後、当該溶液についてマススペクトル測定を行なう工程、
(3) 上記マススペクトル測定結果を比較することによって、リン酸モノエステル化合物の分子量を求める工程、
を含むことを特徴とする。
当該方法においては、被検試料中にリン酸モノエステル化合物が含まれる場合、2つのマススペクトルでは異なる位置に現れる分子イオンピークがある。その両分子イオンピークを比較すると、化合物(I)として亜鉛同位体以外の基本骨格を同一のものとした場合には、使用した2つの亜鉛同位体の分子量差を2倍した値(リン酸モノエステル化合物1分子当たりに複数のリン酸モノエステル基が存在する場合には、更にその数を乗じた値)の分だけ位置がずれ、且つ両ピークはほぼ同一の形を有していることから、リン酸モノエステル化されている化合物の分子イオンピークを容易に特定することができ、且つ分子量を求めることができる。
上記錯体化合物(I)としては、R〜Rが全て水素原子であるものが好ましい。化合物(I)の中でも構造が最も単純であることから製造し易く、また、分子イオンピークがより単純化するからである。
また、本発明に係るマススペクトル測定用添加剤は、リン酸モノエステル化合物の分子量を求めるために使用されるものであって、単一の亜鉛同位体により構成されており且つ式(I)で表わされる化合物を含む錯体化合物を含有する試薬、および上記同位体とは異なる単一の亜鉛同位体により構成されており且つ式(I)で表わされる化合物を含む錯体化合物を含有する試薬を含むことを特徴とする。
[式中、R〜Rは水素原子または置換基を示す。]
上記錯体化合物としては、R〜Rが全て水素原子であるものが好適である。やはり、構造が最も単純であり製造し易いこと等による。
上記錯体化合物としては、化合物(I)が酢酸イオンと更に錯体を形成しているものが好ましい。酢酸イオンが配位していない化合物よりも安定であり保存に便利だからであり、また、被検試料と当該錯体化合物を加えるとリン酸モノエステル基が酢酸イオンと交換的に配位できるため、酢酸イオンが配位していない化合物と同様にリン酸モノエステル化合物を検出することができるからである。
上記試薬としては、塩の状態にあるものが好ましい。保存安定性に優れるからである。また、溶液状態のものも好適である。試料溶液に添加するか或いは試料を添加剤溶液に添加する等によって、そのままマススペクトル測定用試料とすることができるからである。
本発明方法は、たとえ複数化合物が含まれる生体試料等であっても、この中からリン酸モノエステル化合物(リン酸化ペプチド等)の存在を確認でき、且つその分子量を容易に同定することができる。従って、生体試料等に本発明方法を適用することによって、病気の診断等に応用でき得る点で非常に有用である。
また、本発明に係るマススペクトル測定用添加剤は、上記方法に使用できるものとして、産業上非常に有用である。
本発明方法が享有する最大の特徴は、分子量がそれぞれ異なる亜鉛同位体を含む2つの錯体化合物を用い、それぞれの錯体化合物が配位した試料のマススペクトルを比較することによって、被検試料中に含まれるリン酸モノエステル化合物の存在を容易に確認でき、且つその分子量を求めることができる点にある。
即ち、従来、リン酸基と結合できる金属錯体は種々知られていたものの、本発明に係る錯体化合物がリン酸モノエステル基と強い結合能を有することは全く認識されていなかった。また、本発明者らは、本発明に係る錯体化合物をマススペクトル測定用添加剤(質量分析用添加剤)として用いる発明について既に特許出願しているが、本発明は当該発明を改良したものであり、リン酸モノエステル化合物の確認とその分子量の同定を更に容易にしたものである。
以下に、斯かる特徴を発揮する本発明の実施形態、及びその効果について説明する。
本発明に係る方法では、先ず、(1) 単一の亜鉛同位体により構成されており且つ式(I)で表わされる化合物を含む錯体化合物と被検試料とを溶媒中で混合して溶液とした後、当該溶液についてマススペクトル測定を行なう工程を行なう。
[式中、R〜Rは水素原子または置換基を示す。]
最初に、「単一の亜鉛同位体により構成されており且つ式(I)で表わされる化合物を含む錯体化合物」について説明する。
「式(I)で表わされる化合物」中、R〜Rの定義における「置換基」は、化合物(I)のリン酸モノエステル基への配位を阻害しないものであれば特に限定されないが、例えば、直鎖状または分枝鎖状のC1-6アルキル基,アミノ基,水酸基,カルバモイル基,直鎖状または分枝鎖状のC1-6アルコキシ基,ハロゲン原子,ニトロ基,スルホン酸基,カルボキシル基,ホルミル基,アシル基,シアノ基,アミノメチル基,ヒドロキシメチル基等を挙げることができる。
〜Rとしては、水素原子が好ましい。安価に且つより容易に合成できることに加え、得られる分子イオンピークがより単純になるからである。また、R〜Rとしては、ピリジン環上の4または6位における電子供与性置換基も好適である。適切な置換位置に導入された電子供与性置換基によってピリジン窒素が電気的にリッチとなっているため、亜鉛に対する配位性に優れており、結果的に製造が容易であり、また、安定性を有するからである。
〜Rは同一であっても互いに異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。主として合成が容易であることによる。
上記式(I)において、配位金属として亜鉛を選択した理由は、リン酸モノエステル基への配位能が極めて高いことによる。
「式(I)で表わされる化合物を含む錯体化合物」とは、錯体化合物の主要部分が式(I)で表される化合物であることを意味する。例えば、式(I)で表わされる化合物の更なる安定化を図るために、下図の様に酢酸イオン等を配位させてもよい。式(I)で表わされる化合物はリン酸モノエステル基に対して極めて高い配位能を有するため、他の化合物が配位していても、溶液中にリン酸モノエステル基を有する化合物が存在すれば速やかに交換が起こり、錯体化合物とリン酸モノエステル化合物との複合体が形成されるからである。
天然に存在する亜鉛の同位体としては、分子量が64,66,67,68,70のものがある。工程(1)では、これらから選択した単一の同位体により構成される錯体化合物を使用する。
工程(1)では、当該錯体化合物と被検試料とを溶媒中で混合して溶液にする。すると、式(I)で表わされる化合物はリン酸モノエステル基への配位結合能が極めて高いため、被検試料中のリン酸モノエステル化合物へ速やかに配位して複合体を形成する。従って、当該混合溶液は加熱したり複合体形成のために時間をかける必要は特にないが、勿論、本発明の目的を損なわない範囲で加熱等してもかまわない。
また、「錯体化合物と試料とを溶媒中で混合」するには、溶媒へ錯体化合物と被検試料とを加えてもよいし、錯体化合物溶液へ被検試料またはその溶液を加えてもよいし、被検試料溶液へ錯体化合物またはその溶液を加えてもよい。
ここで使用される溶媒としては、本発明に係る錯体化合物と被検試料を本発明の効果を発揮できる範囲で溶解できるものであれば特に制限されず、例えば、水(緩衝液やその他の塩溶液を含む);メタノール,エタノール等のアルコール;アセトニトリル;ジメチルホルムアミド,ジメチルアセトアミド等のアミド;およびこれらの混合溶液を挙げることができるが、水または水と水溶性有機溶媒との混合溶液(水系溶媒)が好ましい。本発明の錯体化合物と生体試料等の溶解性に優れるからである。
工程(1)では、「錯体化合物と被検試料とを溶媒中で混合して溶液」にするが、錯体化合物と被検試料とを完全に溶解する必要はなく、被検試料に含まれるリン酸モノエステル化合物に錯体化合物が配位することができる範囲で溶解すればよい。即ち、完全な「溶液」である必要はなく、一部に不溶成分が残留していてもよい。
次に、本発明に係る錯体化合物とリン酸モノエステル化合物との複合体が含まれる当該溶液(混合液)について、マススペクトル測定を行なう。マススペクトルの測定方法は、検出を目的とする化合物に適したものを使用すれば良いが、本発明では主として生体試料に含まれる高分子の分子量を求めることを目的としているので、MALDI TOF-MAS(マトリックス支援レーザ脱離イオン化飛行時間型質量分析法)を採用することが好ましい。タンパク質の様な巨大分子の質量も測定することができるからである。
本発明では主としてリン酸モノエステル化ペプチドの分子量を同定することを目的としているが、被検試料は特にこれに限られず、例えば、リン酸化タンパク質と糖類との複合体やリン酸化された糖類などにも応用できる。
次に、上記工程(1)と同様の手法によって工程(2)を行なう。特に、化合物(I)は、工程(1)と(2)とで同一のものを用いることが好ましい。比較すべき分子イオンピークの形状がほぼ同一のものになり、分子イオンピークの特定がより容易になるからである。但し、上記工程(1)で用いた単一の亜鉛同位体とは異なる亜鉛同位体により構成されている錯体化合物を用いることを必須とする。工程(1)と(2)とで同一の亜鉛同位体を用いたのでは、本発明の効果を発揮できないからである。
また、上記工程(1)と(2)は同時に行なってもよい。つまり、互いに分子量の異なる亜鉛同位体により構成される2種の化合物(I)を含むマススペクトル用添加剤を被検試料に加え、マススペクトル測定を行なう態様も、本発明範囲に含まれるものとする。但し、多くの化合物を含む被検試料の場合には、リン酸モノエステル化合物と化合物(I)との錯体の分子イオンピークを特定することが困難となるので、工程(1)の後に工程(2)を実施する態様が好ましい。
次に、工程(3)として、工程(1)と(2)で得られたマススペクトル測定結果を比較することによってリン酸モノエステル化合物の分子量を求める。
先ず、両マススペクトル測定結果を比較して、異なるピークを見付ける。ここで、異なる亜鉛同位体により構成されている式(I)の化合物または錯体化合物の分子イオンピークは当然に異なるが、被検試料中にリン酸モノエステル化合物が含まれている場合には、式(I)の化合物がリン酸モノエステル化合物へほぼ定量的に配位して複合体を形成するので、この複合体の分子イオンピークの値も、亜鉛同位体の分子量差に依存する分だけ異なることになる。
上記工程(1)と(2)で得られたマススペクトル結果より当該複合体の分子イオンピークを特定することは容易である。何故なら、両分子イオンピークはほぼ同一の形状を示すので、両ピークを拡大して比較すれば、両者が同一のリン酸モノエステル化合物に由来する分子イオンピークであるか否かは容易に判断できるからである。また、両ピークの分子量差は、上記工程(1)と(2)で同一の化合物(I)を使用すれば、亜鉛同位体分子量差の2倍値の更に整数倍に等しいことからも、両分子イオンピークの特定は容易になる。これは、本発明で使用する錯体化合物には2つの亜鉛原子が配位しているからであり、また、本発明の錯体化合物はほぼ定量的に被検化合物中に存在するリン酸モノエステル基に配位することから、両分子量差はある程度予想できることによる。
例えば、化合物(I)として同一の化合物を用い、亜鉛同位体として64Znと68Znを用いれば、工程(1)と(2)で得られるリン酸化ペプチド等と錯体化合物との複合体の分子量の差は、8の整数倍(8に化合物1分子中に存在するリン酸モノエステル基の個数を乗じた数)になる。また、測定された分子量差によって、リン酸モノエステル化合物1分子中に存在するリン酸モノエステル基の数も知ることができる。
更に、本発明では単一の亜鉛同位体を用いていることから、複数の亜鉛同位体を原因とする分子イオンピークの複雑化が抑制されており、分子イオンピークの「割れ」は、炭素同位体等を原因とするものに限られることも、分子イオンピークの特定が容易になる理由の一つである。
次に、特定された分子イオンピークより分子量を読み取り、化合物(I)の分子量を引けば、リン酸モノエステル化合物の分子量を同定することができる。例えば、化合物(I)として下に示す化合物(R〜Rが全て水素原子であり、亜鉛同位体が64Znである化合物)を用いた場合には、リン酸モノエステル化合物に結合しているリン酸モノエステル基数が1であれば、複合体の分子イオンピークの値から579を引くことによりリン酸モノエステル化合物の分子量を求めることができる。ここで、下記化合物(I)の分子量である581を引かないのは、リン酸モノエステル化合物が化合物(I)に配位する際にはリン酸モノエステル基から2個の水素陽イオンが脱離すると考えられるので、その原子量を足す必要があるからである。
本発明のマススペクトル測定用添加剤は、リン酸モノエステル化合物の分子量を求めるために使用されるものであって、単一の亜鉛同位体により構成されており且つ式(I)で表わされる化合物を含む錯体化合物を含有する試薬、および上記同位体とは異なる単一の亜鉛同位体により構成されており且つ式(I)で表わされる化合物を含む錯体化合物を含有する試薬を含む。
ここで、「単一の亜鉛同位体により構成されており且つ式(I)で表わされる化合物を含む錯体化合物」や「上記同位体とは異なる単一の亜鉛同位体により構成されており且つ式(I)で表わされる化合物を含む錯体化合物」は、前述したものと同義である。
「錯体化合物を含有する試薬」とは、当該試薬は、錯体化合物の塩や溶媒和物(水和物など)の形態をとっていてもよいことを意味する。ここで塩の構成成分とされるカウンターイオンは、本発明に効果を妨げないものであれば特に限定されないが、錯体化合物含有試薬が結晶形として得られるものや錯体化合物の安定性を向上させるものが好ましい。例えば、過塩素酸イオン(ClO4 -)が好適である。また、特定の水和物の状態をとることによって、湿気等に対する安定性を向上させることも考えられる。
また、本発明のマススペクトル測定用添加剤は、溶液状態のものであってもよい。溶液であれば、そのまま被検試料溶液に加えたり、また、溶液に被検試料または被検試料溶液を加えればよいため、利便性が高いからである。当該溶液に使用される溶媒は、錯体化合物と試料とを混合するための上記溶媒と同様のものを使用することができる。また、錯体化合物の安定性を向上させるための添加剤を加えてもよい。
試薬を「含む」とは、2種の試薬が1の組成物に含まれていてもよい意である。しかし、上述した様に、本発明の工程(1)と工程(2)は、同時に行なってもよいが順次実施することが好ましいので、本発明のマススペクトル測定用添加剤は、それぞれの試薬を別々に含むキットであることが好ましい。
上記式(I)で表わされる化合物は、スキーム1により容易に製造することができる。
[スキーム1]
[式中、R〜Rは水素原子または置換基を示す。]
上記スキーム1においては、化合物(II)に単一の亜鉛同位体化合物を反応させることによって、式(I)の化合物を合成する。原料化合物である化合物(II)は後述のスキーム2によって合成でき、単一の亜鉛同位体化合物としては、金属亜鉛や酸化亜鉛,亜鉛塩などを用いる。尚、化合物(II)は塩であってもかまわない。
上記スキーム1では、中性に調整された水系溶媒中で加熱することによって、容易に亜鉛が化合物(II)に配位する。但し、亜鉛化合物が充分に溶解している必要があるので、事前に超音波処理したり一旦塩酸に溶解する等により粒子を微粒化しておくのがよい。また、ここで「中性」とは厳密な意味でなく「ほぼ中性」であればよいが、好ましくはpH6.8以上に調整する。
スキーム1で使用される水系溶媒は、化合物(II)と亜鉛化合物を溶解できるものであれば特に制限されないが、純水,蒸留水,水道水,緩衝液の他にも、これらにアルコール類,アミド類,アセトニトリル等を加えたものでもよい。
加熱温度としては30〜90℃が好ましく、好適には50〜90℃である。反応時間は10分〜数時間でよい。反応後は濾過等により過剰の試薬を除去した後、ゆっくり冷却して析出する結晶を濾別したり、通常の再結晶法を用いることによって目的物を得る。また、酢酸イオン等を配位させることによって錯体の更なる安定化を図ってもよい。
式(II)で表わされる化合物は、スキーム2により製造することができる。
[スキーム2]
[式中、R〜Rは水素原子または置換基を示す。]
スキーム2は、原料化合物である化合物(III)(1,3-ジアミノ-2-プロパノール)へ、R〜Rを有する2-ピリジルメチル基を順次導入していく反応経路である。スキーム2で使用される化合物(III)は、市販のものを使用することができる。また、化合物(IV)やその他の2-ホルミルピリジン化合物は比較的簡単な構造を有しているので、市販のものを用いるか、或いは当業者公知の方法により合成することができる。また、置換基(R〜R)が反応性基である場合には、当該置換基を一般的な保護基で保護してもよく、当該保護基は適宜除去すればよい。
スキーム2では、先ず、化合物(III)と(IV)を縮合反応させて、化合物(V)を得、順次2-ピリジルメチル基を導入して化合物(II)を合成する。但し、R〜Rが同一基である場合には、一度に4当量以上の2-ホルミルピリジン化合物(IV)を使用することによって一段階反応で化合物(II)を得ることもできる。
スキーム2では、縮合反応として還元的アミノ化反応を行なっている。その場合に使用される溶媒は、化合物(III)と化合物(IV)等の2-ホルミルピリジン化合物とを実質的に溶解でき、反応を阻害しないものであれば特に制限なく使用することができるが、例えば、メタノール,エタノール,イソプロパノール等のアルコール類;ジエチルエーテル,テトラヒドロフラン,ジオキサン等のエーテル類;水;又はこれらの混合溶媒を使用することができる。
還元的アミノ化反応では、先ず化合物(III)と2-ホルミルピリジン化合物を縮合した後、一般的な還元試薬により還元するが、縮合の際に触媒として塩酸等を添加してもよい。また、化合物(III)としてその塩酸塩を用いてもよい。
反応温度と反応時間は、原料化合物の種類等によって好適な条件を採用すればよいが、例えば20〜80℃で12〜100時間反応させる。
反応終了後は、溶媒等を減圧留去した後に水を加え、非水溶性溶媒で抽出し、油相を無水硫酸マグネシウム等で乾燥した後、溶媒を減圧留去する。次いで、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー等の公知方法により精製した後、順次ピリジルメチル基の導入反応を行なうことにより化合物(II)を得ることができる。
尚、化合物(II)を得る方法はスキーム2で示した方法に限られず、例えば化合物(III)とハロゲン化合物から化合物(II)を合成してもよい。また、R〜Rが全て水素原子である化合物(II)の合成方法は、公知文献(M.Suzukiら, Bull.Chem.Soc.Jpn., Vol.63, pp1115-1120(1990))に記載されており、R〜Rが全て6位(2位)に導入されたメチル基である化合物(II)等の合成方法も公知文献(Y.Hayashiら, J.Am.Chem.Soc., Vol.117, pp11220-11229(1995))に記載されている。
以下に、製造例および試験例を示し、本発明を更に詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
製造例1−1 本発明に係る亜鉛錯体(塩)
N,N,N',N'-テトラキス[(2-ピリジル)メチル]-1,3-ジアミノ-2-ハイドロキシプロパン(以下、「TPAHP」という)の四過塩素酸塩2.5水和物902mg(1mmol)と64ZnO160mg(2mmol)を水65mlに加え、50℃でソニケーションして64ZnOを分散させながら溶解した。当該溶液へ1.0M水酸化ナトリウム水溶液1.0mlを加え、80℃の水浴により30分間加熱した後濾過し、更に80℃の水浴で加熱しつつ1.0M酢酸ナトリウム水溶液2.0mlを攪拌しつつ滴下した。反応液を室温でゆっくり冷却した後、析出した無色結晶をグラスフィルターで濾取し、50℃約10mmHgで3時間乾燥することによって、目的物760mg(89%)が得られた。当該目的物について、H NMR測定とIR測定を行なった。結果をそれぞれ図1,2に示す。
製造例1−2 本発明に係る亜鉛錯体(塩)
TPAHPの四過塩素酸塩2.5水和物658mg(0.73mmol)と68Zn100mg(1.47mmol)を水10mlに加え、50℃でソニケーションして68Znを分散させながら溶解した。68Znについては、事前に濃塩酸5mlに溶解した後水を減圧留去し、更にメタノール共沸を行なって減圧乾燥するという前処理を行なった。当該溶液へ0.1M水酸化ナトリウム水溶液36.5mlを加え、80℃の水浴により30分間加熱した後濾過し、更に80℃の水浴で加熱しつつ酢酸ナトリウム水溶液(酢酸ナトリウム160mgを蒸留水5mlに溶解したもの)を攪拌しつつ滴下した。反応液を室温でゆっくり冷却した後、析出した無色結晶をグラスフィルターで濾取し、50℃約10mmHgで3時間乾燥することによって、目的物440mg(70%)が得られた。
製造例1−3 天然同位体亜鉛により構成されている亜鉛錯体(塩)
TPAHP(4.39mmol)のエタノール溶液(100ml)に10M 水酸化ナトリウム水溶液(1.0eq)を加え、次いで酢酸亜鉛(9.66mmol,2.2eq)を加えた。溶媒を減圧留去し、褐色オイル状残渣を得た。この残渣に水10mlを加えて溶解し、1.0M 過塩素酸ナトリウム水溶液(3.0eq)を加熱しながら滴下したところ、乳白色の結晶が析出した。これを濾取し、加熱乾燥して微黄褐色で粉末状の目的物2.99g(79%)を得た。目的物であることは、H-NMR(400MHz)と13C-NMR(100MHz)、IR分析により確認した。
1H-NMR (DMSO-D6, 400MHz) : δ 2.04(2H, dd, J=12.1 and 12.4Hz, HC-1,3), 2.53(3H, s, HC-35), 3.06(2H, dd, J=12.1 and 12.3Hz, HC-1,3), 3.74(1H, t, J=10.4Hz, HC-2), 4.02-4.34(82H, m, HC-5,13,20,27), 7.54-7.65(8H, m, HC-10,11,18,19,25,26,32,33), 8.06-8.12(4H, m, HC-9,17,24,31), 8.58(4H, dd, J=16.3 and 16.5Hz, HC-8,16,23,30)
13C-NMR (DMSO-D6, 100MHz) : δ 58.0, 60.1, 62.0, 64.6, 122.7, 124.3, 124.4, 139.9, 140.4, 147.0, 147.2, 154.7, 155.1
IR (cm-1) : νas (COO) 1556, ν3(ClO4) 1090。
試験例1
上記製造例1−1〜1−3で製造した亜鉛錯体化合物(64Zn,68Znおよび天然同位体Znを構成成分とする)それぞれを蒸留水に溶解し、1mM水溶液とした。被検試料として、P60c−srcペプチド 521−533 リン酸化型の1mM水溶液を用いた。尚、当該リン酸化ペプチドの構造は、以下の通りである。
それぞれの1mM亜鉛錯体水溶液5μLに、被検試料10μL,および緩衝液30μL,蒸留水5μLを加えて全量を50μLとし、これを測定用サンプルとしてマススペクトル測定(MALDI TOF-MAS)を行なった。当該測定用サンプル0.5μLをサンプルプレート上に塗布し、速やかにマトリックスとして0.5μLをその上に加え、チップの先がプレートに接触しない様注意しつつ軽くピペッティングした。その後、溶媒が風乾するまで待ち(約5分)、測定を行なった。尚、マススペクトル測定の条件は、以下の通りである。
MALDI TOF-MAS : autoflex(BRUCKER DALTONICS社)
マトリックス:THAP(2,4,6-トリヒドロキシアセトフェノン)40mg/ml(in アセトニトリル)
緩衝液(試料溶解用):10mM Tris-borate buffer(pH=8.0)。
天然同位体亜鉛錯体との複合体の結果を図3,64Zn亜鉛錯体のものを図4,68Zn亜鉛錯体のものを図5として示す。
当該結果によれば、64Zn亜鉛を含む複合体の分子イオンピークは2122であり、68Zn亜鉛を含む複合体の分子イオンピークは2130である。従って、被検試料はモノリン酸エステル化されており、結合しているリン酸基は1個であることが分かる。また、64Zn亜鉛を含む複合体の分子量から錯体化合物の分子量(581)を引くと1541となる。当該値は上記[化10]に示した値(1543)と異なるが、これは、[化11]に示す通り、錯体化合物が、ペプチド中のイオン化した(水素陽イオンが脱離した)リン酸モノエステル基に対して配位することに起因すると考えられる。つまり、脱離した2個の水素陽イオンの分子量を足せば、1543となり分子量はデータと一致する。
また、天然同位体亜鉛を含む複合体の分子イオンピークは、複数の亜鉛同位体を原因として複雑化しているが、単一の同位体を用いた場合はより単純化されており、且つそのピークの表われ方はほぼ同一の形状を示している。従って、本発明方法によれば、たとえ生体試料等の混合試料であっても、容易にモノリン酸エステル化合物の分子イオンピークを特定できることが実証された。
試験例2
上記製造例1−1,1−2で製造した亜鉛錯体(64Znおよび68Znを構成成分とする)を用いて、上記試験例1と同様の方法でマススペクトル測定を行なった。但し、被検試料として、下に構造を示すP60c−srcペプチド Substrate II リン酸化型を、測定機器としてVoyager RP型(PE Biosystem社)を用いた。
64Zn亜鉛錯体に係るマススペクトル結果を図6,68Zn亜鉛錯体のものを図7として示す。
当該結果によれば、試験例1と同様に、本発明方法を使用すれば被検試料がモノリン酸化されており、結合しているリン酸基は1個であることが分かる。また、両分子イオンピークはほぼ同一の形状をしており、混合試料中であってもリン酸モノエステル化合物の分子量を容易に同定することができることが明らかにされた。また、64Zn亜鉛を含む複合体の分子量から錯体化合物の分子量(581)を引くと747となる。当該値は上記[化12]に示した値と異なるが、これは、上記試験例1の結果と同様に、リン酸モノエステル基がイオン化している結果であると考えられ、脱離した水素陽イオンの分を足せば749となる。
本発明に係る錯体化合物のH NMR測定結果である。 本発明に係る錯体化合物のIR測定結果である。 被検試料と天然同位体亜鉛錯体との複合体のマススペクトルである。複数の亜鉛同位体の存在により、ピークは複雑化している。 被検試料と64Zn亜鉛錯体との複合体のマススペクトルである。当該に含まれる亜鉛は単一の同位体であるので、天然同位体亜鉛錯体に比して、ピークはより単純化している。 被検試料と68Zn亜鉛錯体との複合体のマススペクトルである。図4と同様に、天然同位体亜鉛錯体を使用した場合に比べてピークは単純化している。 被検試料と64Zn亜鉛錯体との複合体のマススペクトルである。 被検試料と68Zn亜鉛錯体との複合体のマススペクトルである。図6と比較することによって、リン酸モノエステル化合物の分子量を求めることができる。

Claims (7)

  1. リン酸モノエステル化合物の分子量を求める方法であって、
    (1) 単一の亜鉛同位体により構成されており且つ式(I)で表わされる化合物を含む錯体化合物と被検試料とを溶媒中で混合して溶液とした後、当該溶液についてマススペクトル測定を行なう工程、
    [式中、R1〜R4は水素原子、或いは互いに同一または異なって、直鎖状もしくは分枝鎖状のC1-6アルキル基,アミノ基,水酸基,カルバモイル基,直鎖状もしくは分枝鎖状のC1-6アルコキシ基,ハロゲン原子,ニトロ基,スルホン酸基,カルボキシル基,ホルミル基,アシル基,シアノ基,アミノメチル基またはヒドロキシメチル基を示す。]
    (2) 上記同位体とは異なる単一の亜鉛同位体により構成されており且つ式(I)で表わされる化合物を含む錯体化合物と被検試料とを溶媒中で混合して溶液とした後、当該溶液についてマススペクトル測定を行なう工程、
    (3) 上記マススペクトル測定結果を比較することによって、リン酸モノエステル化合物の分子量を求める工程、
    を含むことを特徴とする方法。
  2. 請求項1に記載の方法において、上記錯体化合物としてR1〜R4が全て水素原子であるものを使用する方法。
  3. リン酸モノエステル化合物の分子量を求めるために使用されるマススペクトル測定用添加剤であって、単一の亜鉛同位体により構成されており且つ式(I)で表わされる化合物を含む錯体化合物を含有する試薬、および上記同位体とは異なる単一の亜鉛同位体により構成されており且つ式(I)で表わされる化合物を含む錯体化合物を含有する試薬を含むことを特徴とするマススペクトル測定用添加剤。
    [式中、R1〜R4は水素原子、或いは互いに同一または異なって、直鎖状もしくは分枝鎖状のC1-6アルキル基,アミノ基,水酸基,カルバモイル基,直鎖状もしくは分枝鎖状のC1-6アルコキシ基,ハロゲン原子,ニトロ基,スルホン酸基,カルボキシル基,ホルミル基,アシル基,シアノ基,アミノメチル基またはヒドロキシメチル基を示す。]
  4. 上記錯体化合物としてR1〜R4が全て水素原子であるものを含有する試薬を含む請求項3に記載のマススペクトル測定用添加剤。
  5. 上記錯体化合物が、式(I)で表わされる化合物と酢酸イオンとで更に錯体を形成しているものである請求項3または4に記載のマススペクトル測定用添加剤。
  6. 上記試薬が塩の状態にある請求項3〜5のいずれかに記載のマススペクトル測定用添加剤。
  7. 上記試薬が溶液の状態にある請求項3〜5のいずれかに記載のマススペクトル測定用添加剤。
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