JP4303503B2 - γ−アミノ酪酸を富化した生地の製造方法 - Google Patents

γ−アミノ酪酸を富化した生地の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、γ−アミノ酪酸を富化した生地の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
γ−アミノ酪酸(GABA)は、動植物など自然界に広く分布する神経伝達物質として作用するアミノ酸の一種で、血圧降下作用を始めとする様々な生理活性が報告されており、健康機能を発揮する摂取量として一日20mgが推奨されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
γ−アミノ酪酸に関するものとしては、▲1▼米胚芽、胚芽を含む米糠、胚芽米、小麦胚芽及び小麦胚芽を含む麩の中の少なくとも1種をpH2.5〜7.5かつ50℃以下の条件で水に浸漬して得たγ−アミノ酪酸を富化した食品素材(特許文献1)、▲2▼米胚芽、胚芽を含む米糠、胚芽米、小麦胚芽及び小麦胚芽を含む麩の中の少なくとも1種をpH2.5〜7.5かつ50℃以下の条件で水に浸漬して得たγ−アミノ酪酸を富化した食品素材に酸を加えて抽出し、抽出物をイオン交換クロマトグラフィーにより精製することを特徴とするγ−アミノ酪酸の製造法(特許文献2)、▲3▼米胚芽、胚芽を含む米糠若しくは胚芽米の少なくとも1種に、グルタミン酸若しくはグルタミン酸の塩を含む溶液を添加して反応させ、該添加溶液中のグルタミン酸と前記米胚芽、胚芽を含む米糠若しくは胚芽米中のグルタミン酸脱炭酸酵素の酵素作用によりγ−アミノ酪酸を生成する方法(特許文献3)、▲4▼小麦粒を水に浸漬して発芽させた後、乾燥、粉砕することを特徴とするγ−アミノ酪酸を含有する発芽小麦粉の製造方法(特許文献4)等がある。
【0004】
【非特許文献1】
「食品と開発」vol.36、No.6、2001、p.4
【特許文献1】
特許第2590423号公報
【特許文献2】
特開平8−280394号公報
【特許文献3】
特開2000−201651号公報
【特許文献4】
特開2002−335891号公報
【0005】
上記の従来法▲1▼〜▲3▼は、水溶液下のγ−アミノ酪酸の生成を目的としたものであるので、そのまま、通常のパン等の食品製造工程に適用し得ないという欠点がある。また、従来法▲4▼は、発芽という面倒な工程を必要とするため、加工に手間がかかり、またγ−アミノ酪酸の生成率が低いという欠点がある。
以上のことから、通常の食品製造工程にそのまま適用し得るような、簡便に食品中のγ−アミノ酪酸を付加させる方法の開発が待たれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、通常の食品製造工程にそのまま使用し得る、γ−アミノ酪酸を富化した食品素材を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決するため鋭意研究を重ねたところ、生地の調製に穀物粉末を用いれば、生地中においてもグルタミン酸からのγ−アミノ酪酸生成反応が十分に生起することを知り、更に研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明は、以下の構成からなるものである。
1.穀物粉末に水を添加し、次いで混捏することにより得られる生地を用いた食品の製造方法であって、該生地を5〜45℃で1〜20時間静置する工程を経て生地中にグルタミン酸からγ−アミノ酪酸を生地100g当たり11mg以上生成させることを特徴とするγ−アミノ酪酸を富化した生地を用いた食品の製造方法。
2.穀物粉末が、胚芽及び/又は外皮を含むものである上記1記載の生地を用いた食品の製造方法。
3.穀物が、小麦、大麦、ライ麦、米又は蕎麦である上記1又は2記載の生地を用いた食品の製造方法。
4.穀物粉末に水を添加し、次いで混捏することにより得られる生地が、更にグルタミン酸源が添加された生地である上記1、2又は3記載の生地を用いた食品の製造方法
5.生地を用いた食品が、ベーカリー類、焼き・蒸し菓子類又は麺類である上記1、2、3又は4記載の生地を用いた食品の製造方法
【0009】
本発明、グルタミン酸からのγ−アミノ酪酸生成反応は、穀物粉末からなるものを用いると、生地中においても十分に生起するという、全く意外な事実の発見に基づいてなされたものである。
【0010】
本発明は、穀物粉末に水を添加し、混捏することにより、生地中にグルタミン酸からのγ−アミノ酪酸生成反応を十分に生起させて、γ−アミノ酪酸を富化した生地を得る点に特徴を有するものである。
本発明によれば、従来のような水溶液中ではなくて、生地中においても、γ−アミノ酪酸が効率良く生成し、その結果、γ−アミノ酪酸を富化した生地が得られるという、驚くべき効果を達成し得た。
本発明の生地を用いて食品を製造すると、γ−アミノ酪酸を富化した食品を製造することが出来る。
【0011】
一般に、γ−アミノ酪酸を多く含むと言われている食品100g中のγ−アミノ酪酸の量は、玄米では5〜10mg、発芽させた玄米では10〜20mg、通常の小麦粉(小麦の胚乳部分を主体とするもの)では1mg、全粒粉小麦粉(小麦全粒を製粉したもの)では3〜10mg、発芽させた小麦を製粉した小麦粉では10〜20mgであることが知られている。
本発明によれば、生地又はベーカリー類、焼き菓子類、麺類などの最終食品100g中に10〜500mgの範囲でγ−アミノ酪酸を含有させることができる。
そして、本発明の生地を用いて食品を製造すると、通常の食品製造工程を使用して、γ−アミノ酪酸が富化した食品を簡便に製造することが出来る。
【0012】
本発明において、従来のような水溶液中ではなくて、穀物の粉末からなる生地中においても、γ−アミノ酪酸が効率よく生成することが出来た理由は、以下の通りであると推察される。
(1)穀物の粉末に水を添加した場合、粉末中に水が浸透し、次いで、この浸透水中で、粉末中の反応成分のグルタミン酸とグルタミン酸脱炭酸酵素からなる脱炭酸反応系が形成され、グルタミン酸からのγ−アミノ酪酸の生成反応が生起する。
(2)その結果、穀物粉末からなるものを用いた場合、生地中にもかかわらず、グルタミン酸からのγ−アミノ酪酸の生成反応が十分に生起し、本発明の生地中のγ−アミノ酪酸の含有率が高くなるものと考えられる。
【0013】
本発明で得られたγ−アミノ酪酸を富化した生地は、そのまま、食品製造用生地として各種の食品製造に使用することが出来るので、γ−アミノ酪酸を富化した食品の製造には最適な食品素材となる点で優れている。
即ち、本発明のγ−アミノ酪酸の富化は生地中で行われるので、従来のように、通常の食品製造工程とは別に、γ−アミノ酪酸の取得を目的とする工程を設けるという面倒な方法を採用することなく、γ−アミノ酪酸を富化した食品を簡便に得ることができる。
【0014】
以下、本発明について、更に詳細に説明する。
本発明は、穀物を粉砕し、得られた粉末に水を添加し、次いで混捏して生地を調製することにより、γ−アミノ酪酸を富化した生地を製造した点に特徴を有する。
【0015】
(1)穀物
本発明の穀物としては、小麦、大麦、ライ麦、燕麦、米、蕎麦、ひえ、あわ、とうもろこし、もろこし、大豆などの食用穀物が挙げられる。
一般に穀物には、グルタミン酸を基質としてγ−アミノ酪酸を生成するグルタミン酸脱炭酸酵素が存在する。この酵素は、穀物の部位の中で胚芽や外皮に多く含まれるので、本発明では、これらの穀物を粉砕した穀粉、胚芽や外皮など穀物の特定部位の粉末、それらを適宜混合したものを用いることができる。例えば、小麦の胚芽や外皮(ふすま)を多く含有する穀粉として、いわゆる全粒粉などは、様々な加工食品の原材料として広く用いることができる。
【0016】
(2)穀物粉末
本発明は、穀物粉末を用いて、初めて、生地中においても、グルタミン酸からγ−アミノ酪酸を生成する反応を十分に生起させた点に特徴を有するものであるので、穀物を粉砕する必要がある。
全粒中に含有されている、γ−アミノ酪酸は100g当たり3〜10mgであるが、これを粉砕して粉末にして、生地を調製すれば、生地中にγ−アミノ酪酸を富化することができる。この場合、特により細かく粉砕することによって、より多量のγ−アミノ酪酸を富化することができる。
穀物の粉砕機としては、穀物粉を粉末に粉砕するものであれば、特に制限なく使用することができる。例えば、ロール粉砕機、ピンミル、ハンマーミル、スクリーンミル、ボールミル、ジェット粉砕機等が用いられる。
【0017】
(3)生地
1)混捏
本発明のγ−アミノ酪酸の生成は、先ず、反応成分(グルタミン酸、グルタミン酸脱炭酸酵素)と水からなる反応系を形成して反応を生起させ、次いで、生成物のγ−アミノ酪酸を生地中に均一に分散することによって、所期の目的を達成することが出来る。
そのための手段としては、食品加工に用いられている通常の混捏方法をそのまま採用することができる。
即ち、食品加工の混捏方法としては、例えば、原料を均一に混ぜる低速混捏工程と、穀物粉(小麦粉等)の蛋白質が水と結合してできるグルテンが生地中に均一に分散し、生地の伸展性と弾力性のバランスが程良く釣り合うようにする中・高速混捏工程がある。これらの各工程は、そのまま、本発明のγ−アミノ酪酸の生成工程に使用可能であるから、本発明では、該生成工程を別に設ける必要はない。この点が、本発明の特徴の一つとなっている。
【0018】
2)生地を置く条件
本発明における生地を置くとは、調製した生地の状態で一定時間経過させることをいう。
一般に、食品に加工する目的で、まとめた生地、シート状にした生地、成形した生地を意図的にある条件下に置くことを、「生地をねかせる」、「生地を休ませる」、「生地を熟成させる」などと表現することがあるが、本発明ではこれらの表現のものも含まれる。
また、生地の状態で置く時間には、一般的な製パン、製菓、製麺など食品の調理加工工程において、生地の調製から最終的な喫食を目的として加熱調理されるまでの間で、生地の状態で経過する時間も含まれる。従って、例えば製麺食品の場合、生地や生麺の状態にしてから置かれる時間も含まれる。
本発明における生地を置く温度は、0〜50℃、好ましくは5〜45℃にするのが望ましい。温度がこの範囲外では、γ−アミノ酪酸を富化させる酵素活性が低くなるのをはじめ、生地の状態がその後の食品加工における作業性や最終食品の品質に好ましくない影響を及ぼす場合がある。
生地の静置時間は、通常、0〜20時間程度でよいが、静置温度が低い場合、γ−アミノ酪酸の生成反応の反応速度が遅くなるので、そのぶん静置時間を長くする必要がある。
【0019】
3)副材料
本発明では、グルタミン酸源として、グルタミン酸、グルタミン酸塩、またはこれらを多く含む食用素材を使用するのが特に好ましい。例えば、昆布、チーズ、のり、蛋白質酵素分解物、胚芽粉末などを用いるのがよい。
こうしたグルタミン酸源を配合することにより、生地中のγ一アミノ酪酸の含量をさらに増加させることができる。
その他の通常の食品用副材料としては、通常のものが使用可能である。例えば、澱粉、糖類、調味料、膨張剤、食塩、水、蛋白素材、油脂、乳化剤などが挙げられる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明の実施例におけるγ−アミノ酪酸の分析方法は以下の通りである。
【0021】
(1)試料からの抽出
生地や水分の多い食品は液体窒素等で凍結して、乾燥した食品は一般の粉砕機にかけて粉末にして試料とした。試料1gに蒸留水5mlを加えよく撹絆してから、16%TCA水溶液5mlを加えて攪拌してさらに超音波を5分間かけて抽出した。抽出液を8000rpmで10分間遠心処理して得た上澄みを0.45μmメンプレンフィルターで濾過して濾液をHPLC分析用の被検液とした。
【0022】
(2)HPLC(高速液体クロマトグラフィー)による定量
分離にODSカラム、検出に蛍光検出器を装備した(株)島津製作所製のポストカラム反応HPLCシステムを用いて分析定量した。溶離液は(株)島津製作所製のアミノ酸分析用移動相キット、ポストカラム反応液は(株)島津製作所製のアミノ酸分析用OPA試薬を用いた。定量には、和光純薬工業(株)製のアミノ酸混合標準液並びに4−アミノ酪酸を用いて、検量線定量法により分析した。
【0023】
【実施例】
(試験例1)生地
穀粉100gに水70ml加えて、充分に混捏して、生地の塊を調製した。調製した生地は、均一に直径15〜20cmに伸ばして、ビニールで包んで各温度に設定した恒温槽に置いた。
穀粉として、実施例では、品種ホクシン小麦をピンミル(ホソカワミクロン(株)製)を用いて、粉砕して調製した全粒粉末を使用した。比較例では、実施例の全粒粉末の代わりに、市販の薄力小麦粉(木田製粉(株)製)、又は市販の強力小麦粉(ハルエゾ:木田製粉(株)製)を用いた。
生地を所定温度で所定時間置いた後に、生地の中心部付近の一部を採取して直ちに液体窒素で凍結して、凍結したものを試料として前述のHPLCを用いてγ一アミノ酪酸を定量して、生地中のγ一アミノ酪酸含有量を求めた。生地を置く時と凍結の時以外の操作は、室温で行った。
なお、生地を置く時間が0時間については、生地にする前の穀粉のγ−アミノ酪酸を定量して、その分析値に100/170を乗じた数値を用いた。
試験結果は、表1に示す。
【0024】
【表1】
Figure 0004303503
*:生地を置く時間
【0025】
(試験例2)生地
試験例1の全粒粉末に、グルタミン酸ナトリウム(味の素(株)製)、胚芽粉末(小麦胚芽をピンミルで粉砕)、グルテン酵素分解物(大日本明治製糖(株)製)または昆布エキス粉末((株)サトー商会製)を配合した穀粉ミックスを調製し、試験例1と同様の方法で生地を調製して、30℃の恒温槽に置いた。
γ−アミノ酪酸の分析方法は、試験例1の方法に従った。
試験結果は、表2に示す。
【0026】
【表2】
Figure 0004303503
*1:グルタミン酸源の穀粉に対する配合割合
*2:生地を置く時間
【0027】
(試験例3)パン
実施例17の穀粉ミックス(全粒小麦粉100、胚芽粉末5、グルテン酵素分解物1の配合)を用いて、以下の工程で食パンを製造した。
また、実施例での最初の生地配合のねかし時間は、28℃で、0時間(実施例18)、2時間(実施例19)、4時間(実施例20)、6時間(実施例21)行った。
一方、比較例では、実施例の生地配合の穀粉ミックスを、強力粉(ハルエゾ:木田製粉(株)製)に代えた以外は、実施例と同じ工程で、ねかし時間、0時間(比較例6)、6時間(比較例7)で、食パンを製造した。
【0028】
1.生地の調製
(1)生地配合
穀扮ミックス 50重量%
水 40重量%
(2)水和
ミキシング 低速3分、中速2分
捏上温度 28℃
ねかし 0、2、4、6時間で水和(28℃)
(3)本捏配合
強力粉(ハルエゾ:木田製粉 (株)) 50重量%
食塩 2重量%
上白糖 5.5重量%
ドライイースト 1重量%
脱脂粉乳 1.7重量%
バター 3.5重量%
水 30重量%
(4)本捏
ミキシング 低速3分 中速4分 油脂入れ 低速1分 中速4分
捏上温度 26℃
【0029】
2.発酵・成形
発酵時間 28℃ 相対湿度 80% 60分、パンチ、15分
分割重量 450g×2
ベンチタイム 30分
成形 再丸め型に入れる
ホイロ 38℃ 相対湿度80% 60分
焼成 上段175℃/下段200℃ 40分
食パン中のγ−アミノ酪酸含有量は、試験例1と同様の方法で測定した。
試験結果は、表3に示す。
【0030】
【表3】
Figure 0004303503
*:生地を置く時間
【0031】
(試験例4) クラッカー
実施例17と同じ配合の穀粉ミックス(全粒小麦粉100、胚芽粉末5、グルテン酵素分解物1の配合)を用いて、以下の工程でクラッカーを製造した(実施例22)。
一方、比較例では、最初の生地配合の穀粉ミックスを強力粉(ハルエゾ:木田製粉(株)製)に代えた以外は、実施例と同じ工程で、クラッカーを製造した(比較例8)。
【0032】
1.生地の調製
(1)中種配合
穀粉ミックス 70重量%
イースト 0.3重量%
イーストフード 0.1重量%
モルト 0.3重量%
ショートニング 5重量%
水 29重量%
(2)水和
ミキシング 低速2分 油脂入れ 中速2分
捏上温度 24℃
水和時間 28℃ 相対湿度 75% 16時間(28℃)
(3)本捏配合
穀粉ミックス 30重量%
食塩 1.5重量%
上白糖 3重量%
モルト 0.3重量%
ショートニング 5重量%
重曹 0.6重量%
水 17.5重量%
(4)本捏
ミキシング 低速3分 中速7分
捏上温度 26℃
【0033】
2.発酵・成形
発酵時間 28℃ 相対湿度 80% 4時間
シーティング 2mm
カッティング 7cm ×7cm角
焼成 上段260℃/下段220℃ 5〜6分
クラッカー中のγ−アミノ酪酸含有量は、試験例1と同様の方法で測定した。
試験結果は、表4に示す。
【0034】
【表4】
Figure 0004303503
【0035】
(試験例5)中華麺
実施例17と同じ配合の穀粉ミックス(全粒小麦粉100、胚芽粉末5、グルテン酵素分解物1の配合)を用いて、以下の工程により、生地のねかし(熟成)時間を変えて生麺を製造して、試験例1と同じ方法でγ−アミノ酪酸含有量を測定した。
また、実施例での製麺工程でのねかし時間は、0時間(実施例23)、3時間(実施例24)、9時間(実施例25)、24時間(実施例26)で行った。
一方、比較例では、最初の生地配合の穀粉ミックスを、強力粉(ハルエゾ:木田製粉(株))に代えた以外は、実施例と同じ工程で、ねかし時間、0時間(比較例9)、6時間(比較例10)で生麺を製造した。
【0036】
1.生地の調製
Figure 0004303503
【0037】
(2)製麺
ミキシング 高速5分 低速10分
複合 各々1回
三層合わせ 内層 7.7mm 外層 3.3mm
ねかし 0、3、9、24時間(20℃)
圧延 4〜5回
切り出し 切り刃♯22番角(最終麺厚1.35〜1.4mm)
中華麺中のγ−アミノ酪酸含有量は、試験例1と同様の方法で測定した。
試験結果は、表5に示す。
【0038】
【表5】
Figure 0004303503
以上の表1〜5の結果から、穀物粉末のものを用いた場合、γ−アミノ酪酸が富化した生地や食品が得られることが解る。
【0039】
【発明の効果】
本発明によれば、従来のような水溶液中ではなくて、穀物粉末から調製した生地中においても、γ−アミノ酪酸が効率良く生成し、その結果、γ−アミノ酪酸が富化した生地が得られるという、優れた効果が奏される。
本発明の生地を用いて食品を製造すると、通常の食品製造工程を使用して、γ−アミノ酪酸が富化した食品を簡便に製造することが出来る。

Claims (5)

  1. 穀物粉末に水を添加し、次いで混捏することにより得られる生地を用いた食品の製造方法であって、該生地を5〜45℃で1〜20時間静置する工程を経て生地中にグルタミン酸からγ−アミノ酪酸を生地100g当たり11mg以上生成させることを特徴とするγ−アミノ酪酸を富化した生地を用いた食品の製造方法。
  2. 穀物粉末が、胚芽及び/又は外皮を含むものである請求項1記載の生地を用いた食品の製造方法。
  3. 穀物が、小麦、大麦、ライ麦、米又は蕎麦である請求項1又は2記載の生地を用いた食品の製造方法。
  4. 穀物粉末に水を添加し、次いで混捏することにより得られる生地が、更にグルタミン酸源が添加された生地である請求項1、2又は3記載の生地を用いた食品の製造方法
  5. 生地を用いた食品が、ベーカリー類、焼き・蒸し菓子類又は麺類である請求項1、2、3又は4記載の生地を用いた食品の製造方法
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