JP4302938B2 - 電磁波シールド用樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子機器から発生する電磁波の外部への漏洩防止、及び外部環境から室内に到達する電磁波の侵入防止用として好適な電磁波シールド用樹脂組成物及びその成形体に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来、ノート型パーソナルコンピューター、電子手帳、携帯電話、ビデオカメラ等に代表される携帯用電子機器の筺体は、薄肉化、軽量化、絶縁性、設計の自由度等から樹脂成形品が用いられている。電子機器の筺体には、電子機器内部で発生する電磁波の外部への漏洩防止のために導電性が必要であり、金属と樹脂の多層構造にする方法、樹脂製の筺体内部に導電性塗料を塗布したり又は金属メッキしたりして導電層を設ける方法、樹脂に導電性添加剤を練り込む方法等により導電性を付与している。
【0003】
しかし、金属と樹脂の多層構造にした場合、薄肉化が困難になり軽量化も図れない。また、筺体内部に導電層を設ける方法は、工程が複雑になり、製品価格も割高になってしまう。更に、樹脂自体に導電性添加剤を練り込む方法は、樹脂の機械的性質が低下するだけでなく、溶融粘度も増加してしまうので、製品の信頼性、軽量化、薄肉化の面で問題がある。
【0004】
また最近では、外部環境から室内への電磁波が侵入することにより、人体に悪影響を与えることについても懸念されており、建物自体に対する電磁波のシールドについての要望もある。
【0005】
なお、電磁波のシールドを目的とする樹脂組成物としては、特開昭62−124150号公報において金属繊維含有樹脂組成物が開示されている。しかし、この組成物は、実施例にも開示されているとおり、金属繊維集束体を得るためにクロロホルム等の有機溶剤を使用しているため、工程が煩雑であり、有機溶剤の廃棄処理や有機溶剤による作業者への悪影響等の問題もある。
【0006】
本発明は、電磁波のシールド性が高く、製造も容易であり、各種用途に適用できる電磁波シールド用樹脂組成物及びその成形体を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題の解決手段として、熱可塑性樹脂及び電磁波シールド部材を含んでなる電磁波シールド用樹脂組成物であり、電磁波シールド部材が、繊維長が2〜14mmである金属繊維、金属で被覆された非金属繊維及び炭素繊維から選ばれる繊維束に樹脂を含浸させた樹脂含浸繊維束で、組成物中の平均繊維含有量が80質量%以下である電磁波シールド用樹脂組成物を提供する。
【0008】
また本発明は、上記他の課題の解決手段として、上記の電磁波シールド用樹脂組成物からなる、平均繊維含有量が40質量%以下である成形体であり、所定条件下における電磁波シールド効果が20dB以上で、かつ電磁波シールド効果のバラツキが50%以下である電磁波シールド用樹脂成形体を提供する。
【0009】
電磁波シールド効果及びそのバラツキは、実施例に記載した方法により求めたものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明で用いる熱可塑性樹脂としては、スチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂から選ばれる1又は2種以上のものを挙げることができる。
【0011】
スチレン系樹脂としては、スチレン及びα置換、核置換スチレン等のスチレン誘導体の重合体を挙げることができる。。また、これら単量体を主として、これらとアクリロニトリル、アクリル酸並びにメタクリル酸のようなビニル化合物及び/又はブタジエン、イソプレンのような共役ジエン化合物の単量体から構成される共重合体も含まれる。例えばポリスチレン、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、スチレン−メタクリレート共重合体(MS樹脂)、スチレン−ブタジエン共重合体(SBS樹脂)等を挙げることができる。。
【0012】
また、ポリスチレン系樹脂として、ポリアミド系樹脂との相溶性をあげるためのカルボキシル基含有不飽和化合物が共重合されているスチレン系共重合体を含んでもよい。カルボキシル基含有不飽和化合物が共重合されているスチレン系共重合体は、ゴム質重合体の存在下に、カルボキシル基含有不飽和化合物及び必要に応じてこれらと共重合可能な他の単量体を重合してなる共重合体である。成分を具体的に例示すると、
1)カルボキシル基含有不飽和化合物を共重合したゴム質重合体の存在下に、芳香族ビニルモノマーを必須成分とする単量体あるいは芳香族ビニルとカルボキシル基含有不飽和化合物とを必須成分とする単量体を重合して得られたグラフト重合体、
2)ゴム質重合体の存在下に、芳香族ビニルとカルボキシル基含有不飽和化合物とを必須成分とする単量体を共重合して得られたグラフト共重合体、
3)カルボキシル基含有不飽和化合物が共重合されていないゴム強化スチレン系樹脂とカルボキシル基含有不飽和化合物と芳香族ビニルとを必須成分とする単量体の共重合体との混合物、
4)上記1),2)とカルボキシル基含有不飽和化合物と芳香族ビニルとを必須とする共重合体との混合物、
5)上記1)、2)、3)、4)と芳香族ビニルを必須成分とする共重合体との混合物がある。
【0013】
上記1)〜5)において、芳香族ビニルとしてはスチレンが好ましく、また芳香族ビニルと共重合する単量体としてはアクリロニトリルが好ましい。カルボキシル基含有不飽和化合物は(A)成分中、好ましくは0.1〜8重量%であり、より好ましくは0.2〜7重量%である。
【0014】
ポリアミド系樹脂としては、ジアミンとジカルボン酸とから形成されるポリアミド樹脂及びそれらの共重合体、具体的にはナイロン66、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン6・10)、ポリヘキサメチレンドデカナミド(ナイロン6・12)、ポリドデカメチレンドデカナミド(ナイロン1212)、ポリメタキシリレンアジパミド(ナイロンMXD6)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)及びこれらの混合物や共重合体;ナイロン6/66、6T成分が50モル%以下であるナイロン66/6T(6T:ポリヘキサメチレンテレフタラミド)、6I成分が50モル%以下であるナイロン66/6I(6I:ポリヘキサメチレンイソフタラミド)、ナイロン6T/6I/66、ナイロン6T/6I/610等の共重合体;ポリヘキサメチレンテレフタルアミド(ナイロン6T)、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド(ナイロン6I)、ポリ(2−メチルペンタメチレン)テレフタルアミド(ナイロンM5T)、ポリ(2−メチルペンタメチレン)イソフタルアミド(ナイロンM5I)、ナイロン6T/6I、ナイロン6T/M5T等の共重合体が挙げられ、そのほかアモルファスナイロンのような共重合ナイロンでもよく、アモルファスナイロンとしてはテレフタル酸とトリメチルヘキサメチレンジアミンの重縮合物等を挙げることができる。。
【0015】
更に、環状ラクタムの開環重合物、アミノカルボン酸の重縮合物及びこれらの成分からなる共重合体、具体的には、ナイロン6、ポリ−ω−ウンデカナミド(ナイロン11)、ポリ−ω−ドデカナミド(ナイロン12)等の脂肪族ポリアミド樹脂及びこれらの共重合体、ジアミン、ジカルボン酸とからなるポリアミドとの共重合体、具体的にはナイロン6T/6、ナイロン6T/11、ナイロン6T/12、ナイロン6T/6I/12、ナイロン6T/6I/610/12等及びこれらの混合物を挙げることができる。。
【0016】
ポリカーボネート系樹脂としては、2価フェノールとカーボネート前駆体とを、周知の溶液法又は溶融法により反応させて得られるものを挙げることができる。。
【0017】
2価フェノールは、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)サルファイド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン等から選ばれる1種以上を挙げることができる。。これらの中でもビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン系のものが好ましく、特にビスフェノールAが好ましい。
【0018】
カーボネート前駆体は、ジフェニルカーボネート等のジアリルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のジアルキルカーボネート、ホスゲン等のカルボニルハライド、2価フェノールのジハロホルメート等のハロホルメート等から選ばれる1種以上を挙げることができる。。
【0019】
ポリカーボネート系樹脂の数平均分子量は特に限定されるものではないが、組成物から得られる成形体に実用上要求される機械的強度を付与するためには、約17000〜32000の範囲が好ましい。
【0020】
ポリエステル系樹脂は、二価以上のカルボン酸成分又はエステル形成能をもつそれら誘導体、二価以上のアルコール成分及び/又はフェノール成分、エステル形成能をもつそれら誘導体とを公知の方法で重縮合して得られる飽和ポリエステル樹脂である。
【0021】
ポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート等から選ばれる1種以上を挙げることができる。。これらの中でも、特に成形性、耐熱性等の性能のバランスが優れていることから、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートが好ましい。
【0022】
ポリオレフィン系樹脂としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、3−メチルブテン−1,4−メチルペンテン−1等のα−オレフィンの単独重合体、又はこれらα−オレフィンのランダム若しくはブロック等の共重合体、或いはこれらのα−オレフィンを主成分として含有し(好ましくは50質量%以上)、その他のモノマーを共重合させた共重合体を挙げることができる。。
【0023】
他のモノマーとしては、ブタジエン、イソプレン、ジシクロペンジエン、1,4−ヘキサジエン、4−エチリデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン等のジエン類、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、酢酸ビニル、メタクリル酸メチル、マレイン酸イミド等の不飽和酸又はその誘導体、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族アルケニル化合物等を挙げることができ、これらは1又は2以上組合わせて用いることができる。
【0024】
ポリオレフィン系樹脂は、非晶性又は結晶性のものを用いることができるが、好ましくは結晶性を示すものである。これらの中でも、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(1−ブテン)、エチレン−プロピレン共重合体、ポリ(3−メチルブテン−1)、ポリ(4−メチルペンテン−1)が好ましい。
【0025】
ポリフェニレンスルフィド樹脂は、下記一般式で示される繰り返し単位を有する単独重合体又は共重合体である。
【0026】
【化1】
【0027】
ポリフェニレンスルフィド系樹脂は、上記繰り返し単位を70モル%以上含むものが好ましく、90モル%以上含むものがより好ましく、100モル%含むものが更に好ましい。
【0028】
共重合単位としては、上記繰り返し単位において、メタ結合、エーテル結合、スルフォン結合、ビフェニル結合、アミノ基置換フェニルスルフィド結合、カルボキシル基置換フェニルスルフィド結合、アルキル基置換フェニルスルフィド結合、ニトロ基置換フェニルスルフィド結合、フェニル基置換フェニルスルフィド結合、アルコキシ置換フェニルスルフィド結合、3官能フェニルスルフィド結合を含む構成単位等を挙げることができる。が、共重合体単位の含有量は、30モル%以下が好ましく、10モル%以下がより好ましく、5モル%以下が更に好ましい。
【0029】
本発明で用いる電磁波シールド部材は、繊維長が2〜14mmである金属繊維、金属で被覆された非金属繊維及び炭素繊維から選ばれる繊維束に樹脂を含浸させた樹脂含浸繊維束である。
【0030】
金属繊維としては、ステンレス繊維、アルミニウム繊維、銅繊維、黄銅繊維から選ばれる1又は2種以上のものを挙げることができる。
【0031】
金属で被覆された非金属繊維としては、ニッケル、銅、コバルト、銀、アルミニウム、鉄及びこれらの合金から選ばれる1又は2種以上の金属で被覆された、ガラス繊維、アラミド繊維、ポリエステル繊維から選ばれる1又は2種以上の非金属繊維を挙げることができる。
【0032】
繊維長は、好ましくは2〜12mmであり、より好ましくは3〜12mmである。繊維束の本数は、用途に応じた電磁波シールド性の程度や機械的強度、成形作業性等を考慮して決定される。
【0033】
繊維束に含浸させる樹脂としては、上記したスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂から選ばれる1又は2種以上のものを挙げることができる。なお、本発明の組成物においてマトリックスとなる熱可塑性樹脂と、繊維束に含浸させる樹脂とは、同一であっても異なっていてもよい。
【0034】
繊維束中における平均繊維含有量は、80質量%以下、好ましくは20〜80質量%、より好ましくは20〜70質量%、更に好ましくは30〜60質量%である。
【0035】
繊維束に樹脂を含浸させ、樹脂含浸繊維束を得る方法としては、上記した各繊維束と樹脂を用い、図1に示すような製造工程により、クロスヘッドダイを用いた引抜成形法を適用する方法が望ましい。
【0036】
本発明の電磁波シールド用成形体は、上記した電磁波シールド用樹脂組成物を成形してなるものである。
【0037】
電磁波シールド用成形体における平均繊維含有量は、40質量%以下、好ましくは2〜40質量%、より好ましくは2〜15質量%、更に好ましくは3〜7質量%である。
【0038】
電磁波シールド用成形体は、所定条件下における電磁波シールド効果が20dB以上、好ましくは25dB以上、より好ましくは30dB以上であり、かつ電磁波シールド効果のバラツキが50%以下、好ましくは40%以下、より好ましくは30%以下のものである。
【0039】
本発明の組成物から得られる電磁波シールド用成形体は、優れた電磁波シールド性を有しているため、例えば、家庭電化製品やOA機器のハウジング及び部品、車両搭載電子部品、携帯電話等の用途に適用できる。
【0040】
【実施例】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、以下における繊維の種類、試験方法は次のとおりである。
【0041】
(1)繊維束の種類
ステンレス繊維束:直径12μmのステンレス繊維、約7000本の繊維束
炭素繊維束:直径7μmの炭素繊維、約24,000本の繊維束
(2)試験方法
(2−1)成形体中の平均繊維含有量(金属繊維)
成形体を600℃で焼き、残部の灰分を測定して平均繊維含有量とした。また、各実施例及び比較例において、各3枚の成形体を焼いて平均値をとった。なお、表1に示す組成物の組成から明らかなとおり、成形体中の平均繊維含有量と組成物中の平均繊維含有量は同じである。
【0042】
(2−2)成形体中の平均繊維含有量(炭素繊維)
成形体中の炭素繊維含有量は、JIS K7076−1991の炭素繊維の質量測定、硫酸分解法によった。
【0043】
(2−3)電磁波シールド効果(dB)
成形体(縦150mm、横150mm、厚み2mm)5枚を用い、KEC法(磁界500MHz)に準拠して測定し、5枚の平均値を電磁波シールド効果とした。
【0044】
(2−4)電磁波シールド効果レンジ(dB)
電磁波シールド効果の上限値と下限値を電磁波シールド効果レンジとして示した。
【0045】
(2−5)電磁波シールド効果のばらつき率(%)
次式:(上限値−下限値)/平均値×100から求めた。
【0046】
実施例1〜7
図1に示す装置を用い、表1に示す各条件で、樹脂含浸繊維束を製造した。各繊維からなる繊維束(約7000本の繊維の束)を、予備加熱装置による150℃の加熱を経て、クロスヘッドダイに通した。そのとき、クロスヘッドダイには、2軸押出機,シリンダー温度230℃)から溶融状態のABS樹脂(ダイセル化学工業製のセビアンV680)又はポリアミド/ABS樹脂(PA/ABS)(ダイセル化学工業のノバロイA1700)を供給し、繊維束にABS樹脂又はPA/ABSを含浸させた。その後、クロスヘッドダイ出口の賦形ノズルで賦形し、整形ロールで形を整えた後、ペレタイザーにより所定長さに切断し、ペレット状(円柱状)の樹脂含浸繊維束を得た。このようにして得た樹脂含浸繊維束は、各繊維が長さ方向にほぼ平行になっていた。
【0047】
次に、表1に示す熱可塑性樹脂と樹脂含浸繊維束(質量比で16/1)を用い、射出成形機により射出成形して、電磁波シールド用成形体(150×150×2mm)を得た。射出成形条件は、シリンダー温度は、熱可塑性樹脂がABS樹脂の場合は230℃、PA/ABSの場合は250℃であり、射出圧力は約80kPa、射出速度は約3m/秒、背圧は1500kPa、スクリュー回転数は70rpmである。なお、射出成形開始から10ショット分は捨て打ちを行い、各実施例につき計50枚を成形した。
【0048】
比較例1
実施例1と同じステンレス繊維を予め3mm長さに切断したもの1kgと、実施例1と同じABS樹脂1kgを2軸押出機で混練した後、押し出してストランドを得た。このストランドを冷却後、3mm長さに切断し、重量平均繊維長0.7mmのステンレス繊維を50質量%含む繊維束を得た。この繊維束中、各繊維はランダム方向に存在していた。この繊維束を用い、実施例1〜7と同様にして成形体を得た。
【0049】
比較例2
実施例1と同じABS樹脂と鱗片状のステンレスを、質量比で33/1の割合でドライブレンドした後、実施例1〜7と同様にして射出成形し、成形体を得た。
【0050】
比較例3、4、6
繊維束に含まれる繊維長を表1に示すものとしたほかは、実施例1〜7と同様にして樹脂含浸繊維束を得た後、成形体を得た。
【0051】
比較例5
PA/ABS(ノバロイA1700)と0.3mmの炭素繊維(質量比4/1)とを射出成形機に仕込んで、実施例1〜7と同様にして成形体を得た。
【0052】
【表1】
【0053】
表から明らかなとおり、実施例の組成物から得られた成形体は、電磁波シールド効果が高いだけでなく、電磁波シールドレンジが狭く、かつ電磁波シールド効果のバラツキも小さいことが確認された。
【0054】
【発明の効果】
本発明の電磁波シールド用樹脂組成物及びそれから得られる成形体は、電磁波シールド効果が高く、更に電磁波シールドレンジが狭く、電磁波シールド効果のバラツキも小さい。このため、成形体を大きな面積のものとした場合であっても、電磁波シールド効果が均質なものを得ることができるので、従来と同様の電気・電子機器のハウジング等の用途の他にも、建築物の壁面材料のような、大きな面積が必要な用途にも好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明で用いる樹脂含浸繊維束の製造方法の説明図。
Claims (6)
- 金属繊維、金属で被覆された非金属繊維及び炭素繊維から選ばれる繊維束と、溶融状態の樹脂をクロスヘッドダイに供給し、引抜成形した後に切断して、繊維長が2〜14mmである金属繊維、金属で被覆された非金属繊維及び炭素繊維から選ばれる繊維束に樹脂が含浸された樹脂含浸繊維束の製造方法。
- 繊維束に含浸させる樹脂が、スチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂から選ばれる1又は2種以上のものである請求項1記載の樹脂含浸繊維束の製造方法。
- 金属繊維が、ステンレス繊維、アルミニウム繊維、銅繊維、黄銅繊維から選ばれるものである請求項1又は2記載の樹脂含浸繊維束の製造方法。
- 金属で被覆された非金属繊維が、ニッケル、銅、コバルト、銀、アルミニウム、鉄及びこれらの合金から選ばれる金属で被覆された、ガラス繊維、アラミド繊維、ポリエステル繊維から選ばれる非金属繊維である請求項1〜3のいずれか1記載の樹脂含浸繊維束の製造方法。
- 樹脂含浸繊維束中の平均繊維含有量が20〜80質量%である請求項1〜4のいずれか1記載の樹脂含浸繊維束の製造方法。
- 金属繊維、金属で被覆された非金属繊維及び炭素繊維から選ばれる繊維束と、溶融状態の樹脂をクロスヘッドダイに供給し、引抜成形した後に切断して、繊維長が2〜14mmである金属繊維、金属で被覆された非金属繊維及び炭素繊維から選ばれる繊維束に樹脂が含浸された樹脂含浸繊維束を得た後、
前記樹脂含浸繊維束を用いて射出成形する、平均繊維含有量が80質量%以下である電磁波シールド用樹脂成形体の製造方法。
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